以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。これらの実施の形態は、本発明のヒータユニットを車両用ステアリングヒータに適用することを想定した例を示すものである。
まず、図1,図2を参照して実施の形態1を説明する。この実施の形態1におけるコード状ヒータ1の構成から説明する。実施の形態1におけるコード状ヒータ1は図8に示すような構成になっている。まず、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束からなる芯線3があり、該芯線3の外周には、素線径0.08mmの硬質錫入り銅合金線からなる5本の導体素線5aを引き揃えて構成されたものがピッチ約1.0mmで螺旋状に巻装されている。導体素線5aには、アルキドシリコーンワニス(アルキド:シリコーン=50:50)を塗布し乾燥して形成したシリコーンを含有する絶縁被膜5bが、厚さ約5μmで形成されている。このように構成されたコード状ヒータ1の外径は、0.38mmとなっている。また、コード状ヒータ1の外周には、融点163℃のポリエステル樹脂が0.13mmの厚さで押出被覆されて熱融着部9が形成されている。熱融着部まで含めたコード状ヒータ1の仕上がり外径は、0.64mmである。又、屈曲性や引張強度を考慮した場合には上記芯線3は有効であるが、芯線3を使用せず、複数本の導体素線を引き揃えるか或いは撚り合わせたものとすることも考えられる。
次に、上記構成をなすコード状ヒータ1を接着・固定する基材11の構成について説明する。実施の形態1における基材11及び基材11´は、見かけ密度0.03g/cm3、(JIS K7222準拠)、硬さ11.77(JIS K6400−2準拠)、厚さ4mmの発泡ポリウレタン樹脂からなる。このような基材11及び基材11´は、型抜き等の公知の手法により所望の形状とされる。
次に、上記コード状ヒータ1を基材11と基材11´の間に所定のパターン形状で配設して接着・固定する構成について説明する。図7はコード状ヒータ1が配設された基材を加熱加圧するためのホットプレス式ヒータ製造装置13の構成を示す図である。まず、ホットプレス治具15があり、このホットプレス治具15上には複数個の係り止め機構17が設けられている。上記係り止め機構17は、図6に示すように、ピン19を備えていて、このピン19はホットプレス冶具15に穿孔された孔21内に下方より差し込まれている。このピン19の上部には先端が針となった係り止め部材23が軸方向に移動可能に取り付けられていて、コイルスプリング25によって常時上方に付勢されている。そして、図6中仮想線で示すように、これら複数個の係り止め機構17の係り止め部材23にコード状ヒータ1を引っ掛けながら、一方の基材11上に、コード状ヒータ1を所定のパターン形状にて配設することになる。
図11に戻って、上記複数個の係り止め機構17の上方にはプレス熱板27が昇降可能に配置されている。すなわち、一方の基材11´を各係り止め部材23に刺し込んで、ホットプレス治具15に一方の基材11´を配置した状態で、コード状ヒータ1を複数個の係り止め機構17の係り止め部材23に引っ掛けながら所定のパターン形状にて配設し、その上に両面テープを貼り付けたもう一方の基材11を置く。その状態で上記プレス熱板27を降下させてコード状ヒータ1、基材11及び基材11´に、加熱加圧を施すものである。尚、プレス熱板27の降下による加熱加圧時には複数個の係り止め機構17の係り止め部材23はコイルスプリング25の付勢力に抗して下方に移動するものである。また、プレス熱板27の表面には、凹凸形成板29が配置されており、コード状ヒータ1、基材11及び基材11´はこの凹凸形成板29を介してプレス熱板27により加熱加圧されることになる。実施の形態1による凹凸形成板29は、いわゆるパンチング板と称されるものであり、厚さ0.5mmのニッケルメッキ鋼材のもので、直径2mmの円形の孔が孔間隔2mmで六方配置されたものとなっている。また、プレス熱板27の降下にあたっては、少なくとも、基材11及び基材11´の圧縮量がコード状ヒータ1の外径よりも大きくなるように設計することが好ましい。それによって、基材11及び基材11´が圧縮されるとともに、コード状ヒータ1の外周の熱融着部9が融着してコード状ヒータ1、基材11及び基材11´が接着・固定されることになる。
上記作業を行うことにより、図1及び図2に示すようなヒータユニット31を得ることができる。なお、図2は図1の要部を拡大して示す断面図である。基材11及び基材11´は、プレス熱板27によって圧縮されることになるため、コード状ヒータ1が配設される箇所については、より強く加圧されることになる。これにより、基材11及び基材11´におけるコード状ヒータ1が配設される箇所は、コード状ヒータ1の形状に沿うような形状で、他の箇所よりも高密度化され且つ薄くなる。これにより、ヒータユニット31のコード状ヒータ1が配設される面は、コード状ヒータ1が配設される箇所においても凹凸がなく、平坦な形状となる。また、このようにして得られたヒータユニット31は、基材11及び基材11´が圧縮され高密度になっているため、機械的強度を向上させることができる。また、基材11の表面は、凹凸形成板29により凹凸が形成される。
実施の形態1によって得られたヒータユニット31の厚さは凹部で1.0mm、凸部で1.5mmであり、コード状ヒータ1が配設された箇所における基材11の厚さは凹部で0.5mm、凸部で1.0mmであり、コード状ヒータ1が配設された箇所における基材11´の厚さは0.5mmであり、コード状ヒータ1が配設されていない箇所における基材11及び基材11´の厚さは凹部で1.00mm、凸部で1.5mmであり、コード状ヒータ1が配設されていない箇所における基材11´の厚さは1.00mmであった。また、凹凸の構成としては、直径2mm、高さ0.5mmの円柱形状の凸部が、隣接する凸部同士の中心間距離3mmの六方配置で形成されており、凸部以外の部分が凹部となっている。また、基材11における凸部の占有面積比は40.2%であった。また、基材11及び基材11´の凹部の見かけ密度は、凸部の密度の1.5倍となっており、凸部における基材の気孔率より、凹部における基材の気孔率の方が大きいこととなっていた。
なお、コード状ヒータ1の外周の熱融着部9は、加熱加圧により変形して流動し、その一部が基材11及び基材11´の空隙(気孔)間に侵入していた。
上記のようにして得られた実施の形態1によるヒータユニット31について、コード状ヒータ1の両端は、引き出されてリード線35に接続され、このリード線35により、コード状ヒータ1、温度制御装置39、及び、コネクタ(図示しない)が接続されている。温度制御装置はコード状ヒータ1上に配置され、コード状ヒータ1の発熱によってヒータユニットの温度制御を行うこととなる。そして、上記したコネクタを介して図示しない車両の電気系統に接続されることになる。又、上記構成をなすヒータユニット31は、図12に示すような状態で、ステアリングホイール71に設置される。このステアリングホイール71は、ホイール部72、スポーク部73及びボス部74からなり、ヒータユニット31は、ホイール部72のホイール芯材77と被覆材78の間に設置されることになる。
基材11には、ヒータユニット31とステアリングホイールの被覆材78とを接着するための接着層(図示しない)が形成される。接着層の形成は、予め離型シート上に接着剤のみからなる接着層を形成し、該接着層を上記離型シートから上記基材11の表面に転写することが好ましい。これにより、接着剤は基材11の内部には侵入せず、基材11の表面のみに接着層が形成されることになる。なお、実施の形態1においては、ヒータユニット31と被覆材78とを接着する際、凹凸を形成しなかった基材11´の側と被覆材78とを接着することになる。
上記のようにして得られた実施の形態1によるヒータユニット31について、図12に示すようにステアリングホイールに組み込んだ状態で、実使用に供し、違和感の確認を行った。確認は、10人の使用者がステアリングホイールを握り、左右10回ずつ操舵作業を行って、コード状ヒータ1による凹凸を感じるかを聞き取り調査した。その結果、実施の形態のものについて、違和感を覚えると回答した使用者は0人だった。
また、上記のようにして得られた実施の形態1によるヒータユニット31について、図12に示すようにステアリングホイールに組み込んだ状態で通電を行い、昇温特性について測定を行った。測定方法として、−20℃の恒温槽にステアリングホイールを放置した後、13.5V(73.2W)の電圧を印加し、ステアリングホイール表面の温度の経時的変化を測定した。併せて、加熱加圧時に凹凸形成板を使用せず、基材に凹凸を形成しない厚さ1.0mmのヒータユニットとしたものを比較の形態1として、昇温特性について測定を行った。また、比較の形態1について、15.0V(90.4W)の電圧を印加したものを比較の形態2として、昇温特性について測定を行った。これらの測定結果について、図14に示す。
図14に示す通り、印加電圧は同じ13.5V(73.2W)であっても、実施の形態1によるヒータユニットは、比較の形態1によるヒータユニットに比べ、ステアリングホイール表面の温度が高くなっていることが確認された。特に、通電から3分後の温度は、実施の形態1が4.5℃、比較の形態1が−0.5℃であり、5.0℃の温度差が生じていた。また、比較の形態2は、実施の形態1よりも印加電圧が高いにもかかわらず、実施の形態1の方がステアリングホイール表面の温度が高くなっており、実施の形態1の加熱効率の高さが確認された。
次いで、図3,図4を参照して実施の形態2を説明する。この実施の形態2におけるコード状ヒータ1の構成から説明する。実施の形態2におけるコード状ヒータ1は図8に示すような構成になっている。まず、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束からなる芯線3があり、該芯線3の外周には、素線径0.08mmの硬質錫入り銅合金線からなる5本の導体素線5aを引き揃えて構成されたものがピッチ約1.0mmで螺旋状に巻装されている。導体素線5aには、アルキドシリコーンワニス(アルキド:シリコーン=50:50)を塗布し乾燥して形成したシリコーンを含有する絶縁被膜5bが、厚さ約5μmで形成されている。このように構成されたコード状ヒータ1の外径は、0.38mmとなっている。また、コード状ヒータ1の外周には、融点163℃のポリエステル樹脂が0.13mmの厚さで押出被覆されて熱融着部9が形成されている。熱融着部まで含めたコード状ヒータ1の仕上がり外径は、0.64mmである。又、屈曲性や引張強度を考慮した場合には上記芯線3は有効であるが、芯線3を使用せず、複数本の導体素線を引き揃えるか或いは撚り合わせたものとすることも考えられる。
次に、上記構成をなすコード状ヒータ1を接着・固定する基材11の構成について説明する。実施の形態2における基材11は、見かけ密度0.03g/cm3、(JIS K7222準拠)、硬さ11.77(JIS K6400−2準拠)、厚さ8mmの発泡ポリウレタン樹脂からなる。このような基材11は、型抜き等の公知の手法により所望の形状とされる。
次に、上記コード状ヒータ1を基材11上に所定のパターン形状で配設して接着・固定する構成について説明する。図5はコード状ヒータ1が配設された基材を加熱加圧するためのホットプレス式ヒータ製造装置13の構成を示す図である。まず、ホットプレス治具15があり、このホットプレス治具15上には複数個の係り止め機構17が設けられている。上記係り止め機構17は、図7に示すように、ピン19を備えていて、このピン19はホットプレス冶具15に穿孔された孔21内に下方より差し込まれている。このピン19の上部には先端が針となった係り止め部材23が軸方向に移動可能に取り付けられていて、コイルスプリング25によって常時上方に付勢されている。そして、図6中仮想線で示すように、これら複数個の係り止め機構17の係り止め部材23にコード状ヒータ1を引っ掛けながら、一方の基材11上に、コード状ヒータ1を所定のパターン形状にて配設することになる。
図5に戻って、上記複数個の係り止め機構17の上方にはプレス熱板27が昇降可能に配置されている。すなわち、コード状ヒータ1を複数個の係り止め機構17の係り止め部材23に引っ掛けながら所定のパターン形状にて配設し、その上に基材11を置く。その状態で上記プレス熱板27を降下させてコード状ヒータ1と基材11に、加熱加圧を施すものである。尚、プレス熱板27の降下による加熱加圧時には複数個の係り止め機構17の係り止め部材23はコイルスプリング25の付勢力に抗して下方に移動するものである。また、プレス熱板27の表面には、凹凸形成板29が配置されており、コード状ヒータ1と基材11はこの凹凸形成板29を介してプレス熱板27により加熱加圧されることになる。本実施の形態による凹凸形成板29は、いわゆるパンチング板と称されるものであり、厚さ0.5mmのニッケルメッキ鋼材のもので、直径2mmの円形の孔が孔間隔2mmで六方配置されたものとなっている。また、プレス熱板27の降下にあたっては、少なくとも、基材11の圧縮量がコード状ヒータ1の外径よりも大きくなるように設計する必要がある。それによって、基材11が圧縮されるとともに、コード状ヒータ1の外周の熱融着部9が融着してコード状ヒータ1と基材11が接着・固定されることになる。
上記作業を行うことにより、図3及び図4に示すようなヒータユニット31を得ることができる。なお、図4は図3の要部を拡大して示す断面図である。基材11は、プレス熱板27によって圧縮されることになるため、コード状ヒータ1が配設される箇所については、より強く加圧されることになる。これにより、基材11におけるコード状ヒータ1が配設される箇所は、コード状ヒータ1の形状に沿うような形状で、他の箇所よりも高密度化され且つ薄くなる。これにより、ヒータユニット31のコード状ヒータ1が配設される面は、コード状ヒータ1が配設される箇所においても凹凸がなく、平坦な形状となる。また、このようにして得られたヒータユニット31は、基材11が圧縮され高密度になっているため、機械的強度を向上させることができる。また、コード状ヒータ1が配設されない面は、凹凸形成板29により凹凸が形成される。
実施の形態2によって得られたヒータユニット31の厚さは凹部で1.0mm、凸部で1.5mmであり、コード状ヒータ1が配設された箇所における基材11の厚さは凹部で0.5mm、凸部で1.0mmであり、コード状ヒータ1が配設されていない箇所における基材11の厚さは凹部で1.0mm、凸部で1.5mmであった。また、凹凸の構成としては、直径2mm、高さ0.5mmの円柱形状の凸部が、隣接する凸部同士の中心間距離3mmの六方配置で形成されており、凸部以外の部分が凹部となっている。また、基材11における凸部の占有面積比は40.2%であった。また、基材11の凹部の見かけ密度は、凸部の密度の1.5倍となっており、凸部における基材の気孔率より、凹部における基材の気孔率の方が大きいこととなっていた。
なお、コード状ヒータ1の外周の熱融着部9は、加熱加圧により変形して流動し、その一部が基材11の空隙(気孔)間に侵入していた。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。まず、コード状ヒータ1の構成としては、例えば、上記実施の形態のように、絶縁被膜5bにより被覆された導体素線5aを複数本撚り合わせ又は引き揃え、これを芯線3上に巻装し、その外周に熱融着部9を形成したもの(図8参照)、芯線3を使用せず、絶縁被膜5bにより被覆された導体素線5aを複数本撚り合わせたもの(図9参照)、絶縁被膜5bにより被覆された導体素線5aを複数本引き揃えたもの(図10参照)であっても良い。
又、導体素線5aには、絶縁被覆5bが形成されていないものも考えられる。例えば、全ての導体素線5aについて絶縁被覆5bが形成されていない形態、絶縁被膜5bにより被覆された導体素線5aと絶縁被膜5bにより被覆されていない導体素線5aが交互に配置された形態、一部の導体素線5aのみが絶縁被膜5bにより被覆されている又は被覆されてない形態が考えられ、それら以外にも様々な構成のものが想定される。又、芯線3と導体素線5aを撚り合せることも考えられる。
芯線3としては、例えば、ガラス繊維等の無機繊維や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の有機繊維のモノフィラメント、マルチフィラメント、スパン、或いはそれらの繊維材料、若しくは、それらの繊維材料を構成する有機高分子材料を芯材とし、その周上に熱可塑性の有機高分子材料が被覆された構成を有する繊維などが挙げられる。又、芯線3を熱収縮性及び熱溶融性を有するものとすれば、導体素線5aが断線してしまった際の異常加熱により芯線が溶融切断されるとともに収縮することで、巻装された導体素線5aもこの芯線3の動作に追従し、断線した導体素線5aの端部同士を分離することになる。そのため、断線した導体素線のそれぞれの端部が接したり離れたりすることや点接触のようなわずかな接触面積で接することがなくなり、異常発熱を防止することができる。又、導体素線5aが絶縁被膜5bにより絶縁されている構成であれば、芯線3は絶縁材料にこだわる必要はない。例えば、ステンレス鋼線やチタン合金線等を使用することも可能である。しかし、導体素線5aが断線したときのことを考慮すると、芯線3は絶縁材料であった方が良い。
導体素線5aとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、銅線、銅合金線、ニッケル線、鉄線、アルミニウム線、ニッケル−クロム合金線、鉄−クロム合金線、などが挙げられ、銅合金線としては、例えば、錫−銅合金線、銅−ニッケル合金線、銅固溶体と銅銀共晶がファイバー状になった銀入り銅合金線などが挙げられる。このうち、コストと特性のバランスの点から、銅線又は銅合金線を使用することが好ましい。これら銅線又は銅合金線には軟質のものと硬質のものがあるが、耐屈曲性の観点からは、軟質のものよりも硬質のものの方が特に好ましい。尚、硬質銅線はJIS−C3101(1994)、軟質銅線はJIS−C3102(1984)においても定義がなされており、外径0.10〜0.26mmでは伸び15%以上、外径0.29〜0.70mmでは伸び20%以上、外径0.80〜1.8mmでは伸び25%以上、外径2.0〜7.0mmでは伸び30%以上のものが軟質銅線とされる。また、銅線には錫メッキが施されているものも含まれる。錫メッキ硬質銅線はJIS−C3151(1994)、錫メッキ軟質銅線はJIS−C3152(1984)にて定義がなされている。又、導体素線5aの断面形状についても種々のものが使用でき、通常使用される断面円形のものに限られず、いわゆる平角線と称されるものを使用しても良い。
但し、芯線3に導体素線5aを巻装する場合は、上記した導体素線5aの材料の中でも、巻付けたときのスプリングバックする量が小さいものが好ましい。例えば、銅固溶体と銅銀共晶がファイバー状になった銀入り銅合金線などは、抗張力性に優れ引張強度や屈曲強度には優れるものの、巻付けたときスプリングバックし易い。そのため、芯線3に巻装する際に、導体素線5aの浮きや、過度の巻付けテンションによる導体素線5aの破断が生じ易く、又加工後には撚り癖が生じ易いため好ましくない。特に、導体素線5aに絶縁被膜5bが被覆される形態とした場合は、この絶縁被膜5bによる復元力も加わることになる。そのため、導体素線5aの復元率が小さいものを選定し、絶縁被膜5bによる復元力をカバーすることが重要となる。
導体素線5aに被覆される絶縁被膜5bとしては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコーンなどが挙げられるが、これらの中でもシリコーンを含有したものが好ましい。シリコーンは、シロキサン結合による主骨格を持つ人工高分子化合物の総称であり、シリコーン樹脂やシリコーンゴム(シリコーンエラストマー)などの形態をとるものである。置換基としてメチル基とフェニル基の量を適宜調整したものや、エーテル基、フルオロアルキル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基等の他の置換基を適宜導入したものも考えられる。また、例えば、ポリエステル樹脂とシリコーン樹脂を混合した所謂アルキドシリコーン、アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンのグラフト共重合体である所謂アクリルシリコーンのような、シリコーンと他の高分子材料の混合物や、ポリシロキサンと他のポリマー成分の共重合体を使用することも考えられる。絶縁被膜5bに含有されるシリコーンの量は、種々特定の観点から特定の範囲内とすることが好ましい。尚、シリコーンと他のポリマー成分の共重合体を使用する場合は、共重合体におけるシリコーン分のみの重量をシリコーンの量として算出する。シリコーンの量が少なすぎると、スパーク時の熱による他の成分の熱分解によって、絶縁被膜5bが脱離してしまう可能性がある。また、外観にも悪影響を及ぼす可能性がある。この観点から、シリコーン含有量は、重量比で、20%以上とすることが好ましく、更には40%以上とすることが考えられる。また、シリコーンの量が多すぎると、濡れ性が低くなって導体素線5aへの塗布が困難となってしまい、外観に問題が生じる可能性がある。また、それによって、絶縁被膜5bの絶縁性が充分なものでなくなってしまう可能性がある。この観点から、シリコーン含有量は、重量比で、90%以下とすることが好ましく、更には80%以下とすることが考えられる。また、導体素線5aと絶縁被膜5bの密着性を向上させるために、予め導体素線5aにプライマーを塗布しておくことも考えられる。
これらのようなシリコーンを含有した絶縁被膜5bは耐熱性に優れるとともに不燃性で化学的に安定したものであり、スパークの際の高熱に受けた場合でも酸化ケイ素被膜を形成し、絶縁を保持することができる。更には、スパークの際の高熱によってシロキサンガスを発生させ、このシロキサンガスが導体素線の端面で酸化ケイ素被膜を析出させ絶縁するため、その後のスパークを防止することができる。これらのようなシリコーンは、例えば、溶剤や水のような溶媒又は分散媒に溶解又は分散した状態で導体素線5aに塗布し乾燥する方法、導体素線5aの外周に押出成形等の成形手段によって形成する方法などにより、導体素線5aに被覆され、絶縁被膜5bとされる。シリコーンの押出成形は比較的定温ですることができるが、溶剤や水等で溶解または分散したシリコーンを塗布する場合は、乾燥を短時間で済ますために比較的高温環境に晒されることになる。上記のように、銅線又は銅合金線の導体素線5aは、熱履歴によって硬質か軟質かが変わることになるため、この点も考慮した絶縁被膜5bの形成方法を選択する必要がある。また、絶縁被膜5bの形成に当たっては、押出成形よりも、塗布の方が絶縁被膜5bの厚さを薄くすることができる。これにより、コード状ヒータとして細径化を図ることができる。
また、絶縁被膜5bの厚さは、導体素線5aの直径の3〜30%であることが好ましい。3%未満であると、十分な耐電圧特性が得られず、導体素線5aを個別に被覆する意味がなくなる可能性がある。また、30%を超えると、接続端子を圧着する際に絶縁被膜5bの除去が困難となるとともに、コード状ヒータが無駄に太くなってしまうことになる。
上記導体素線5aを引き揃え又は撚り合せて芯材3上に巻装する際には、撚り合せるよりも、引き揃えた方が好ましい。これは、コード状ヒータの径が細くなるとともに、表面も平滑になるためである。又、引き揃え又は撚り合わせの他に、芯材3上に導体素線5aを編組することも考えられる。
本発明によるコード状ヒータ1として、導体素線5aの外周に絶縁被覆7が形成されているものも考えられる(例えば、図11参照)。この絶縁被覆7により、万が一導体素線5aが断線した場合にも、他の部材への通電が絶縁されるとともに、スパークが発生した場合も高温の発熱を断熱することになる。絶縁被覆7を形成する場合は、押出成形等によって行っても良いし、予めチューブ状に成形した絶縁被覆7を被せても良く、形成の方法には特に限定はない。押出成形によって絶縁被覆7を形成すると、導体素線5aの位置が固定されるため、位置ズレによる導体素線5aの摩擦や屈曲を防止できることから、耐屈曲性が向上されるため好ましい。絶縁被覆7を構成する材料としても、コード状ヒータの使用形態や使用環境などによって適宜設計すれば良く、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、塩化ビニル樹脂、変性ノリル樹脂(ポリフェニレンオキサイド樹脂)、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、合成ゴム、フッ素ゴム、エチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等、種々のものが挙げられる。特に、難燃性を有する高分子組成物が好ましく使用される。ここでの難燃性を有する高分子組成物とは、JIS−K7201(1999年)燃焼性試験における酸素指数が21以上のものを示す。酸素指数が26以上のものは特に好ましい。このような難燃性を得るため、上記した絶縁被覆7を構成する材料に適宜難燃材等を配合してもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物、酸化アンチモン、メラミン化合物、リン系化合物、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤には公知の方法で適宜表面処理を施しても良い。
コード状ヒータ1の外周に熱融着部9を形成することにより、加熱加圧によりコード状ヒータ11を基材11に熱融着することができる。絶縁被覆7を形成した場合、この絶縁被覆7の外周に熱融着部9が形成される。熱融着部9を構成する材料は、上記の絶縁被覆7を構成する材料と同様のものを使用することができる。これらの中でも、基材との接着性に優れるオレフィン系樹脂が好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和エステル共重合体などが挙げられる。これらの中でも特に、エチレン−不飽和エステル共重合体が好ましい。エチレン−不飽和エステル共重合体は、分子内に酸素を有する分子構造であるため、ポリエチレンのような炭素と水素のみの分子構造をしている樹脂と比較して燃焼熱が小さくなり、その結果、燃焼の抑制につながることとなる。又、元々の接着性が高いため基材との接着性も良好である上、無機粉末等を配合した際の接着性の低下が少ないため、種々の難燃剤を配合するのに好適である。エチレン−不飽和エステル共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などが挙げられ、これらの単独又は2種以上の混合物であってもよい。ここで「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を表すものである。これらの内から任意に選択すれば良いが、上記した絶縁被膜5bを構成する材料の分解開始温度以下又は融点以下の温度で溶融する材料である方が良い。又、基材11との接着性に優れる材料として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエステル型、ポリエステル−ポリエーテル型のものがあるが、ポリエステル−ポリエーテル型の方が高い接着性を有するため好ましい。尚、コード状ヒータ1と基材11を熱融着する場合、コード状ヒータ1と基材11との接着強度は非常に重要なものである。この接着強度が充分でないと、使用していくうちに基材11からコード状ヒータ1が離脱してしまい、それにより、コード状ヒータ11には予期せぬ屈曲が加わることになるため、導体素線5aが断線する可能性が高くなる。導体素線5aが断線すると、ヒータとしての役を果たさなくなるだけでなく、チャタリングによりスパークに至るおそれもある。
絶縁被覆7を形成する場合、絶縁被覆7の融点は、熱融着部9の融点よりも高いことが求められる。これにより、加熱加圧等により熱融着部9を融着させる際にも、絶縁被覆7の形状が略変形せず、充分な絶縁性能を維持することができる。絶縁被覆7の融点としては、215℃〜250℃であることが好ましく、熱融着部9の融点としては、100℃〜185℃であることが好ましい。また、導体素線5aに絶縁被膜5bを形成する場合は、絶縁被覆7の融点は、絶縁被膜5bの融点よりも低いことが好ましい。
また、絶縁被覆7を構成する材料と、熱融着部9を構成する材料は、同系の高分子材料であることが好ましい。ここで、同系の高分子材料とは、それぞれが、共通の主鎖構造を有している高分子材料、共通の官能基を有している高分子材料、分子量のみ異なる高分子材料、共通のモノマー単位を有している共重合体、共通の高分子材料を配合している混合物、などが該当する。このようなものであれば、絶縁被覆7と熱融着部9の相互が充分に接着するため、コード状ヒータが基材から脱離することを防ぐことができる。
導体素線5aの外周には、絶縁被覆7と熱融着部9の2層だけでなく、他の層を適宜形成してもよい。又、絶縁被覆7や熱融着部9は、長さ方向に連続して形成することに限定されず、例えば、コード状ヒータ1の長さ方向に沿って直線状やスパイラル線状に形成する、ドット模様に形成する、断続的に形成するなどの態様が考えられる。但し、接着強度の観点から、絶縁被覆7及び熱融着部9は、長さ方向に連続して形成することが好ましい。
また、上記のようにして得られたコード状ヒータ1は、自己径の6倍の曲率半径で90度ずつの屈曲を行う屈曲性試験において、導体素線が少なくとも1本切れるまでの屈曲回数が2万回以上であることが好ましい。
基材11についても、発泡ポリウレタン樹脂に限定されるものではなく、例えば、他の材質からなる発泡樹脂シート、発泡ゴムシートなど種々の高分子発泡体が考えられる。特に空隙を有するもので、伸縮性に優れるものが好ましく、表面にコード状ヒータの凹凸が現れないように硬度を調節したものが好ましい。また、硬度を調節するには、発泡率を調整する、気泡の状態を独立気泡または連続気泡にする、目的に応じた硬度の材料を使用するなどの方法がある。材料としては、ポリウレタン樹脂、クロロプレンゴム、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、ジエン系ゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体など、種々の樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどから選択すれば良い。また、上記実施の形態1のように1対の基材11及び11´を使用する場合、基材11と基材11´とで異なる材料や異なる気孔率等のものを使用しても良い。
基材11としては、空隙を有している高分子発泡体が使用されるが、特に、コード状ヒータ1が配設される面(以下、配設面と記すことがある)が、コード状ヒータ1が配設されない面(以下、非配設面と記すことがある)よりも空隙が多くなっているように構成されることが好ましい。空隙が多い状態とは、例えば、発泡樹脂シートや発泡ゴムシートのような多孔体の場合、気孔率が大きい状態のことを示す。例えば、厚さ方向で気孔率が傾斜するように発泡制御した発泡樹脂シート又は発泡ゴムシート、空隙の多さが異なる材料を貼り合わせたもの、などが挙げられる。又、特に基材11の空隙は連続していることが好ましい。これは、溶融した熱融着部が連続した空隙に浸透していくことで、アンカー効果が増して接着強度が向上するためである。このような空隙が連続している態様としては、連続気孔を有する発泡樹脂シートや発泡ゴムシートなどが考えられる。なお、基材11として空隙を有するものを使用する場合、コード状ヒータ1の熱融着部9が侵入する範囲まで空隙を有していれば充分であり、例えば、非配設面は空隙を有していないものも考えられる。
基材11の非配設面に形成される凹凸は、基材11全面に形成されている必要はなく、少なくともコード状ヒータが存する位置に対応した部分に形成されていればよい。このコード状ヒータ1が存する位置に対応した部分とは、コード状ヒータ1を非配設面に投影した部分を中心に、コード状ヒータの外径の2倍分だけその両側方に拡幅した部分を示す。勿論、この部分以外に凹凸を形成しても構わない。
基材11に形成される凹凸の形状や寸法等については特に限定はなく、取り付けられる被加熱物や使用状態に応じて適宜設計すればよい。
凹凸の形状について、上記実施の形態のような円筒形状の凸部のみでなく、例えば、角柱形状の凸部、円錐形状の凸部、角錐形状、半球形状、円環形状の凸部なども考えられる。また、円筒形状、角柱形状、円錐形状、角錐形状、半球形状、円環形状の凹部を形成して、その他の部分を凸部とすることも考えられる。また、線状や格子状の凹部や凸部を形成することも考えられる。また、これらを適宜組合せることも考えられる。ウェーブ状に凹部と凸部がなだらかに連続しているようなものも考えられる。
特に、凹部の底部から凸部の頂部までの高さが、基材11の最大厚さの0.2倍以上であることが好ましい。このような凹凸であれば、凹凸の間に充分に空気が存在することになり、この空気により非配設面への断熱がされることになる。そのため、配設面への熱の伝導が多くなり、加熱効率が向上することになる。また、凹部の底部から凸部の頂部までの高さが、基材11の最大厚さからコード状ヒータ1の外径を引いた値以下であることが好ましい。このような凹凸であれば、非配設面におけるコード状ヒータが存する位置の凹凸部分においてコード状ヒータ1が露出することを防止することができる。なお、凹部の底部から凸部の頂部までの高さが一定ではない場合、配設面から最も厚さが小さい部分を凹部の底部とし、最も厚さが大きい部分を凸部の頂部とする。また、上記実施の形態1のように、一対の基材11,11´でコード状ヒータ1を挟持する場合、基材の厚さとは、凹凸が形成されている側の基材11の厚さとなる。また、ここでいうコード状ヒータの外径とは、熱融着部9を形成する場合は、この熱融着部9の肉厚を含まないものであり、絶縁被覆7を形成する場合は、この絶縁被覆7の肉厚を含むものである。但し、凹部の底部から凸部の頂部までの高さを測定する際には、コード状ヒータ1が存する位置に対応した部分以外に形成された凹凸については参酌されない。
また、凸部の平均径が上記基材の最大厚さの0.5倍以上4倍以下であり、基材における凸部の占有面積比が20%以上60%以下であることが好ましい。このような凹凸であれば、ヒータユニット31を被加熱物に押圧させながら配置した際にも凹凸が潰れてしまうことを防止でき、また、凹凸の間に充分に空気が存在することになり、この空気により非配設面への断熱がされることになる。そのため、配設面への熱の伝導が多くなり、加熱効率が向上することになる。尚、凸部や凹部の側面が傾斜している場合、配設面から最も厚さが小さい部分と最も厚さが大きい部分の中間の面を基準面とし、この基準面よりも厚さが小さい部分を凹部、厚さが大きい部分を凸部とする。また、上記実施の形態1のように、一対の基材11,11´でコード状ヒータ1を挟持する場合、基材の厚さとは、凹凸が形成されている側の基材11の厚さとなる。但し、凸部の平均径及び凸部の占有面積比の測定並びに上記基準面の設定に際しては、コード状ヒータ1が存する位置に対応した部分以外に形成された凹凸については参酌されない。
また、凹部における基材11の気孔率より、凸部における基材11の気孔率の方が大きいことが好ましい。気孔率が大きい方が熱伝導率は低くなるため、これにより、非配設面への熱の伝導や、非配設面からそこに接触している他部材への熱の伝導は更に抑えられることになる。
基材11の凹凸を形成する方法としては特に限定はなく、例えば、上記実施の形態のように凹凸形成板を使用して加熱加圧する方法、元々凹凸が形成されている基材11を使用する方法、基材11を切削加工する方法、凹部に該当する部分を加熱して溶融させる方法等が考えられる。これらの中でも、凹凸形成板を使用して加熱加圧する方法であれば、凹部をより強く圧縮する工法であるため、簡便に凹部における基材11の気孔率を小さくすることができ好ましい。
また、コード状ヒータ1を基材11に配設する際、加熱加圧による融着によって接着・固定する態様でなく、他の態様によりコード状ヒータ1を基材11に固定しても良い。例えば、通常の使用よりも高い温度になるよう、コード状ヒータ1に通電して加熱させ、その熱で熱融着部9を溶融させて基材11と接着・固定する態様、誘導加熱によって導体素線5を加熱させ、その熱で熱融着部9を溶融させて基材11と接着・固定する態様、温風により熱融着材からなる熱融着部9を溶融させて接着・固定する態様、加熱しながら一対の基材11で挟持固定する態様などが考えられる。また、基材11を加熱加圧する際には、プレス熱板27のみでなくホットプレス治具15についても加熱しても良い。この際、プレス熱板27とホットプレス治具15の温度を異なるものとして、基材11の圧縮率を変え、即ち気孔率を変化させることも考えられる。また、熱融着部9を用いなくとも、コード状ヒータ1を基材11に配設することができる。例えば、表面に接着剤等を形成した基材11及び基材11´によってコード状ヒータ1を挟持・固定する態様、コード状ヒータ1を基材11上に縫製によって固定する態様、基材11側を溶融させてコード状ヒータ11を融着・固定する態様、コード状ヒータ1の配設箇所に接着剤を塗布等によって形成して、コード状ヒータ1を基材11上に接着・固定する態様等が考えられる。
また、接着層としては、例えば、高分子アクリル系粘着剤からなりテープ基材を使用しない接着層や、ポリプロピレンフィルムの両面に接着剤を形成してなる接着層など種々のもの使用できる。それ単独でFMVSS No.302自動車内装材料の燃焼試験に合格するような難燃性を有するものであれば、ヒータユニットの難燃性が向上し好ましい。また、ヒータユニットの伸縮性を損なわないために、粘着剤のみからなる接着層であることが好ましい。
なお、本発明のヒータユニット31を車両用シートヒータとして適用する場合、図13に示すような状態で、車両用のシート41内に埋め込まれて配置されることになる。すなわち、車両用シート41の表皮カバー43又は座席パット45に、ヒータユニット31が貼り付けられることとなるものである。