JP2019040281A - ラベルの検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器に巻かれたラベルの上下方向における向きの正否判定に適した検査方法等を提供する。【解決手段】ラベル2が正しく巻かれている見本容器1Aを周方向の複数の位置から撮影した複数の見本画像100を取得するとともに、検査対象の容器1Cを周方向の一の位置から撮影した検査対象画像110を取得し、ラベル2上に施された視覚的要素に対応して画像中に出現すべき特徴に関する近似度に基づいて、検査対象画像110と比較されるべき比較対象画像を複数の見本画像100から選択し、検査対象画像110と比較対象画像としての見本画像100との比較に基づいて、ラベル2が容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する。【選択図】図6
Description
本発明は、容器に対してラベルが上下方向に正しい向きで巻かれているか否かを検査する方法等に関する。
飲料容器等に巻かれたラベルを検査する方法として、容器の周囲に配置された複数台のカメラにて容器の全周を撮影し、得られた画像に基づいてラベルの上下方向における位置のずれ等の有無を検査する方法が知られている(特許文献1参照)。良品ラベルを全周に亘って撮影した標本画像と、検査対象のラベルを全周に亘って撮影した検査対象画像とを比較してラベルの適否を判別する方法も知られている(特許文献2参照)。検査対象のラベルが写り込んだ部分画像を取得し、良品ラベルの印刷データに基づく良品画像から検査対象ラベルの部分画像と比較すべき対応画像を抽出し、得られた部分画像と対応画像のそれぞれから特定色の画像領域を検出し、検出された画像領域を比較してラベルの良否を判別する方法も知られている(特許文献3参照)。
容器に巻かれたラベルに関する検査として、ラベルが容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを検査することが必要な場合がある。しかしながら、上述した従来の検査方法はそのような用途に必ずしも適合していない。例えば、特許文献1の方法はラベルの貼り付け時における位置ずれの有無を検査するにすぎない。特許文献2の方法は検査対象のラベルを全周に亘って撮影し、これを良品ラベルの全周画像と比較しているが、検査対象の多数の容器のそれぞれのラベルを全周に亘って撮影することは、ラベルの上下方向の向きを判定する目的に照らして必ずしも合理的ではない。特許文献3の方法は、ラベルの剥がれ等が生じている箇所では、ラベルの色に代えて容器の色が写り込む、といった画像中の色の相違を利用してラベルの適否を判別しようとするものであって、その手順はラベルの上下方向における向きの正否判定を考慮していない。
そこで、本発明は容器に巻かれたラベルの上下方向における向きの正否判定に適した検査方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るラベルの検査方法は、容器に巻かれたラベル(2)を検査するラベルの検査方法であって、前記ラベルが正しく巻かれている見本容器(1A)を周方向の複数の位置から撮影した複数の見本画像(100)を取得する工程(一例として図1)と、検査対象の容器を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像を取得する工程(S11、S12)と、前記ラベル上に施された視覚的要素に対応して画像中に出現すべき特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の見本画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する工程(S13〜S20)と、を備えたものである。
上記態様の検査方法においては、検査対象画像と特徴が近似する見本画像を比較対象画像として選択し、検査対象画像と比較対象画像としての見本画像との比較に基づいてラベルが上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かが判別される。ラベルには、色彩、模様、図形、文字列、ロゴあるいは商標といった各種の視覚的要素がその表面の各所に予め付加されていることが通例であり、検査対象の容器をどのような方向から撮影した場合でも、上下方向の向きを判別する手掛かりとして利用し得る特徴を含んだ検査対象画像を取得することができる。一方、見本画像は周方向の複数の位置から撮影されているため、ラベルに施された特徴に関する検査対象画像と各見本画像との近似度を調べることにより、検査対象画像との比較に適した見本画像を選択することが可能である。複数の位置のそれぞれから撮影された複数の見本画像を合成してラベルの全周の画像を生成し、あるいはラベルを展開した画像を撮影し、その画像から、検査対象画像と比較すべき特徴を含んだ領域を抽出するといった処理も不要である。ラベルの上下方向の向きを判定する手掛かりとなるべき特徴部分を予め指定し、その特徴部分が検査対象画像に含まれるように、検査対象の容器の向きを調整してこれを撮影する必要もない。あるいは、検査対象容器を周方向の複数の位置から撮影してラベルの上下方向の向きを判別するための特徴部分を含んだ画像を選び出すといった手間も不要である。したがって、ラベルの上下方向における向きの正否を比較的簡易にかつ効率的に検査することができる。
上記態様の検査方法において、前記判別する工程では、前記検査対象画像及び前記複数の見本画像におけるエッジの分布を前記特徴として検出し、前記検査対象画像におけるエッジの分布と前記複数の見本画像のそれぞれにおけるエッジの分布との近似度に基づいて、前記比較対象画像としての見本画像を選択してもよい。これによれば、ラベルに施された視覚的要素の特徴をエッジ分布に置き換えて検出し、検査対象画像との比較に適した見本画像を簡易かつ効率よく選択することができる。
上記態様の検査方法は、前記複数の見本画像のそれぞれに対して前記ラベルが前記上下方向に倒立した複数の倒立画像(101)を取得する工程(一例として図2)をさらに含んでもよい。その場合、前記判別する工程では、前記特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の倒立画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較、及び前記検査対象画像と前記比較対象画像としての倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別してもよい。これによれば、倒立画像からも比較対象画像を選択して検査対象画像と比較しているので、その比較結果と、検査対象画像と比較対象画像としての見本画像との比較結果とを照らし合わせることにより、検査精度を向上させることが可能である。例えば、検査対象画像と比較対象画像としての見本画像とがよく似通っている一方、検査対象画像と比較対象画像としての倒立画像とが比較的相違している場合には、ラベルが上下方向に正しい向きで巻かれていると判定し、そうでなければラベルが上下方向に逆向きで巻かれているか、あるいはそのおそれがあると判定する、といったように、検査対象画像と見本画像との比較結果の信頼性を、検査対象画像と倒立画像との比較結果に基づいて確認し、検査精度の向上を図ることができる。
上記態様の検査方法において、前記判別する工程では、前記検査対象画像と前記比較対象画像との一致度を比較して前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別してもよい。これによれば、画像の一致度を検査するための各種の画像処理手法を利用して、検査対象画像と比較対象画像とがどの程度に似通っているかを効率よく判別することが可能である。
本発明の一態様に係るラベルの検査装置は、容器に巻かれたラベル(2)を検査するラベルの検査装置(10)であって、前記ラベルが正しく巻かれている見本容器(1A)を周方向の複数の位置から撮影した複数の見本画像(100)を記憶する記憶手段(14)と、検査対象の容器(1C)を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像(110)を取得する画像取得手段(20、S11、S12)と、前記ラベル上に施された視覚的要素に対応して画像中に出現すべき特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の見本画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する検査処理手段(21、S13〜S20)と、
を備えたものである。
を備えたものである。
上記態様の検査装置によれば、上記態様の検査方法を実施してラベルの上下方向の向きに関する正否を簡易かつ効率的に検査することができる。なお、上記態様の検査装置において、前記検査処理手段は、前記検査対象画像及び前記複数の見本画像におけるエッジの分布を前記特徴として検出し、前記検査対象画像におけるエッジの分布と前記複数の見本画像のそれぞれにおけるエッジの分布との近似度に基づいて、前記比較対象画像としての見本画像を選択してもよい。前記記憶手段は、前記複数の見本画像のそれぞれに対して前記ラベルが前記上下方向に倒立した複数の倒立画像(101)をさらに記憶し、前記検査処理手段は、前記特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の倒立画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較、及び前記検査対象画像と前記比較対象画像としての倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別してもよい。前記検査処理手段は、前記検査対象画像と前記比較対象画像との一致度を比較して前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別してもよい。
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
図1〜図5は本発明の一形態に係るラベルの検査方法の手順を示している。本形態の検査方法は、図1及び図2に示す準備段階と、図3〜図5に示す検査段階との二段階の手順を含んでいる。本形態では、ペットボトル等の飲料容器の胴部に巻かれたラベルを検査対象とする例を示す。ラベルは、例えばシュリンクフィルムを熱収縮させて容器に巻かれるが、シュリンクフィルムの表面には、色彩、模様、図形、文字列、ロゴあるいは商標といった各種の視覚的要素が予め印刷等により付加されている。図ではラベルの表面に英文字の一文字が視覚的要素の一例として表示された例を示すが、実際のラベルの視覚的要素は適宜の模様、図形等が表示されてよい。
まず準備段階を説明する。図1に示すように、準備段階では、胴部の全周に亘ってラベル2が巻かれた見本容器1Aが用意される。見本容器1Aは、印刷欠陥や破損等の異常箇所が存在しない良品のラベル2が上下方向に関して正しい向きで巻かれた容器である。容器の上下方向は容器の底を下として、容器の軸線CLに沿った方向である。準備段階では、見本容器1Aが回転台3上に同軸的に設置される。次に、回転台3を一定角度ずつ段階的に回転させつつ、各角度位置にてラベル2を含んだ見本容器1Aの画像をカメラ4で撮影することにより、ラベル2を周方向に互いに異なる位置から撮影した複数の見本画像100が取得される。また、準備段階では、図2に示すように、複数の見本画像100のそれぞれを180°回転させることにより、ラベル2が倒立した状態で写り込んでいる複数の倒立画像101も取得される。なお、準備段階における見本容器1Aの一回の回転角度(単位角度)は適宜でよいが、単位角度を小さく設定するほど検査精度を高め得る一方で、単位角度が小さいと検査段階での処理に要する時間が長引くおそれがある。一例として、単位角度は5〜10°程度に設定すれば十分である。単位角度を5°に設定した場合、72枚の見本画像100を取得することができる。
次に、検査段階を説明する。検査段階では、図3に示す画像処理を適用する工程と、図4に示す比較対象画像を選択する工程と、ラベルの向きの正否を判定する工程とが順に行われる。まず、図3に示す工程では、ラベル2が巻かれた検査対象容器1Cが撮影され、得られた画像から見本画像100等との比較に使用するための処理対象領域ARに対応する検査対象画像110が切り出される。検査対象画像110は、見本画像100と同一の撮影条件にてラベル2を撮影した画像である。ただし、検査対象画像110は、検査対象容器1Cを周方向のいずれか一つの位置にて撮影した一枚の画像でよい。検査対象容器1Cがベルトコンベア等の搬送装置にて搬送される多数の容器の一つであり、搬送中の各容器の周方向の向きが不定であっても、検査対象画像110はどのような方向から撮影されても構わない。なお、検査対象画像110の撮影条件は見本画像100の撮影条件と同一に設定される。
検査対象画像110の取得後は、検査対象画像110の特徴を抽出する処理の一例として、検査対象画像110に対してエッジ抽出処理を適用したエッジ抽出画像111が生成される。エッジ抽出処理では、検査対象画像110の周方向に延びたエッジのみを抽出し、上下方向に延びたエッジのみを抽出し、あるいは上下方向に延びたエッジ及び周方向に延びたエッジの両者を抽出するといったように、抽出対象のエッジの方向を適宜に選択してよい。エッジ抽出の完了後、エッジ抽出画像111が多数の単位領域SCに分割され、各単位領域SCにおけるエッジの有無を記述したエッジ分布情報を取得する。単位領域SCは一例として矩形状に設定される。単位領域SCの個数、言い換えれば検査対象画像110の分割数は、ラベル2の外観、デザイン等に応じて適宜に設定されてよい。上述したように、ラベル2には各種の視覚的要素が各所に付加されており、それらの視覚的要素は、形状、大きさ、あるいは配置に応じて様々な特徴を含んだエッジを有している。検査対象画像110にはそうした特徴的なエッジが出現するはずであり、エッジ抽出を適用して領域SCごとの分布を検出すれば、ラベル2の上下方向の向きを判別する手掛かりとなる特徴を含んだ情報を取得することが可能である。
上述した画像処理は、準備段階で取得された複数の見本画像100及び複数の倒立画像101のそれぞれに対しても同様に適用される。すなわち、見本画像100及び倒立画像101に関しても、エッジ抽出処理、領域分割処理が順次適用され、領域ごとのエッジの有無を記述したエッジ分布情報が生成される。
次に、図4に示す工程では、検査対象画像110に対応するエッジ分布情報と、複数の見本画像100のそれぞれに対応するエッジ分布情報との比較に基づいて、検査対象画像110と比較すべき見本画像100及び倒立画像101を選択する。この処理は、検査対象画像110のエッジ分布情報と、見本画像100及び倒立画像101のそれぞれに関して求められているエッジ分布情報とを比較して、検査対象画像110のエッジ分布情報と最も近似するエッジ分布情報を見本画像100及び倒立画像101のそれぞれについて特定し、特定されたエッジ分布情報に対応する見本画像100及び倒立画像101を比較対象画像として選択する処理である。なお、図4は検査対象画像110のエッジ分布情報と、見本画像100のエッジ分布情報との比較を示すが、検査対象画像110のエッジ分布情報と倒立画像101のエッジ分布情報との比較も同様である。
比較対象画像が選択されると、図5の工程へと処理が進められる。図5の工程では、検査対象画像110を、比較対象画像として選択された見本画像100及び倒立画像101のそれぞれと比較して、検査対象容器1Cに巻かれたラベル2の上下方向における向きの正否を判定する。画像の比較には、一例として、正規化相互相関マッチング法により一致度を求める手法が用いられる。見本画像100及び倒立画像101は容器の周方向に関して一定角度ごとに撮影された画像の一つであり、検査対象画像110は周方向に関して未知の方向から撮影された画像であることから、検査対象画像110と比較対象画像としての見本画像100及び倒立画像101のそれぞれとの間には周方向にいくらか角度のずれが存在することがある。よって、一致度を求める場合には、周方向に関する比較位置を適宜にずらしつつ最も高い一致度が得られるように調整することが望ましい。また、ラベル2が上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かの判定では、検査対象画像110と見本画像100との一致度と、検査対象画像110と倒立画像101との一致度を相互に比較し、前者が後者よりも有意に高い場合には正しい向きで巻かれていると判定すればよい。
以上の検査方法によれば、予め見本画像100と倒立画像101とを取得しておけば、検査対象容器1Cを不特定の一方向から撮影するだけでラベル2が上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを検査することが可能である。ラベル2には、上下方向の向きの判別に利用可能な種々の視覚的要素が含まれていることが通例であり、見本画像100及び倒立画像101は容器の周方向に関して位置を変えつつ複数枚取得されているので、検査対象容器1Cを全周に亘って撮影しなくとも、一方向から撮影した画像を取得するだけで検査対象画像110に特徴が近似する見本画像100及び倒立画像101を選び出し、ラベル2の上下方向の向きに関する正否を判別することができる。そのため、検査対象容器1Cを複数台のカメラで撮影して全周に亘る画像を生成するといった処理を省略することができ、検査を簡易かつ効率的に実施することができる。倒立画像101と検査対象画像110との比較を加えているので、誤判定のおそれを軽減して検査精度を高めることができる。したがって、ラベルの上下方向に関する向きの正否判定を簡易かつ安定して実施することが可能である。
なお、ラベル2のデザイン等によっては、検査対象画像110と見本画像100との一致度が所定レベル以上であればラベル2の上下方向の向きの正否を実用上十分な精度で検査できることがある。そのような場合には、倒立画像101の取得、及び検査対象画像110と倒立画像101との比較といった手順は適宜に省略されてよい。
上記の検査方法では、検査対象画像110と比較すべき見本画像100等を選択するためにエッジ分布情報を用いたが、これに限らず、画像の特徴を検出するために用いられる頂点情報、エッジパターン情報、色情報、明暗分布情報といった各種の情報が比較対象画像の選択に利用されてよい。検査対象画像110と比較対象画像としての見本画像100等との一致度の判定に関しても、画像同士の一致度、あるいは類似度を判定するために利用される各種の手法が用いられてよい。
次に、上述した検査方法を実施するための検査装置の一例を図6〜図8により説明する。なお、以下では、見本画像100と倒立画像101の両者を利用する例を説明するが、倒立画像101の利用が適宜省略可能であることは上述した通りである。したがって、図示の検査装置において、倒立画像101に関連した事項は適宜に省略されてよい。図6は、検査装置10の一例を示す。検査装置10は、準備部11、検査部12、制御部13及び記憶部14を備えている。準備部11は、見本容器1Aを回転台3に乗せて所定の単位角度ずつ回転させ、単位角度ごとにカメラ4にて見本容器1Aに巻かれたラベル2を周方向の複数の位置から撮影する。検査部12は、検査対象容器1Cに巻かれたラベル2を周方向における一つの位置からカメラ4にて撮影する。なお、準備部11及び検査部12のカメラ4は共用されてもよいし、準備部11及び検査部12のそれぞれにカメラ4が設けられてもよい。ただし、準備部11及び検査部12のそれぞれにカメラ4を設置する場合には、画像の比較等の便宜を考慮して、同一仕様のカメラを用い、かつ画角、露出その他の撮影条件も互いに一致させることが望ましい。
制御部13は、準備部11及び検査部12のそれぞれにて撮影された画像を取得し、必要な処理を施してラベル2の上下方向に関する向きの正否を判定するといったように、カメラ4にて取得された画像に基づくラベル2の検査に必要な各種の処理を実行する。制御部13は、一例として、コンピュータのハードウエア資源とソフトウエア資源とを組み合わせた論理的装置として構成されてよい。記憶部14は、制御部13に対する記憶手段の一例として設けられる。記憶部14は、制御部13からの指示に従って各種のデータを保存し、それらのデータを制御部13の求めに応じて提供する。
制御部13には、画像取得手段の一例としての画像取得部20、及び検査処理手段の一例としての検査処理部21を含んでいる。画像取得部20は、準備部11及び検査部12のそれぞれのカメラ4が撮影した画像、すなわち、見本画像100及び検査対象画像110を取得し、記憶部14に保存するとともに、見本画像100を180°回転させて、各見本画像100に対応する倒立画像101を生成する。見本画像100は所定の単位角度ごとに撮影され、倒立画像101も単位角度ごとに生成されるため、画像取得部20は見本画像100及び倒立画像101を角度と対応付けて記録する等、撮影位置と見本画像100、及び倒立画像101との対応関係が判るようにしてそれらの画像100、101を記録する。検査処理部21は、画像取得部20が取得した画像に基づいてラベル2の検査に必要な各種の処理を実行する。
検査処理部21には、画像処理部22、画像選択部23、一致度演算部24及び判定部25がさらに設けられる。画像処理部22は、記憶部14に保存された見本画像100、倒立画像101、及び検査対象画像110に対して図3に示した各種の処理、すなわちエッジ抽出、領域分割、エッジ分布情報の生成といった処理を適用し、得られたエッジ分布情報130を記憶部14に保存する。エッジ分布情報130には、見本画像100に対応するエッジ分布情報131、倒立画像101に対応するエッジ分布情報132、及び検査対象画像110に対応するエッジ分布情報が含まれる。見本画像100及び倒立画像101に対応するエッジ分布情報131、132は、見本画像100及び倒立画像101と対応付けて記憶部14に記録される。
画像選択部23は、検査対象画像110に対応するエッジ分布情報133と、見本画像100及び倒立画像101のそれぞれに対応するエッジ分布情報131、132との比較に基づいて、比較対象画像としての見本画像100及び倒立画像101を選択する。その選択手法は図4にて説明した通りである。一致度演算部24は、図5にて説明したように、検査対象画像110と、画像選択部23にて選択された見本画像100及び倒立画像101との一致度を正規化相互相関マッチング法等を用いて演算する。判定部25は、一致度演算部24にて演算された一致度に基づいて、ラベル2が上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判定する。その処理は、一例として、上述したように検査対象画像110と見本画像100との一致度が、検査対象画像110と倒立画像101との一致度よりも有意に高い場合に正常判定するといった処理である。ただし、検査対象画像110と見本画像100との一致度が所定レベル以上確保されているといったように、ラベル2が正しい向きで巻かれていると判定するために、さらなる条件が設定されてもよい。
次に、図7及び図8を参照して検査装置10にて検査を実行する場合の処理手順を説明する。なお、見本画像100の取得に関しては、回転台3上に見本容器1Aを同軸的に設置し、回転台3を所定の単位角度ずつ回転させながらカメラ4にてラベル2を含んだ見本容器1Aの画像を撮影し、得られた画像を画像取得部20が取得して記憶部14に撮影位置(角度)と対応付けて記録すればよい。また、倒立画像101の取得については、見本画像100のそれぞれを180°回転させればよい。したがって、それらの手順の詳細は説明を省略する。回転台3の回転は作業者が手動にて実施すれば足りる。回転台3が回転駆動機構と回転位置の割出機構とを備える場合には、制御部13にてその回転台3の回転位置を制御しつつ所定の単位角度ごとにカメラ4を動作させて見本画像100を撮影し、これを画像取得部20に取り込むようにしてもよい。
図7は、制御部13の画像処理部22が記憶部14に保存されている見本画像100及び倒立画像101のそれぞれに対応するエッジ分布情報を生成するために実行するエッジ分布情報生成処理の手順を示している。この処理は、準備段階にて見本画像100及び倒立画像101をそれぞれ取得した後であって、かつ検査段階で比較対象画像としての見本画像100及び倒立画像101を選択する前の適宜の時期に行われる処理である。以下では、見本画像100に対してエッジ分布情報を生成する場合を例にして説明するが、倒立画像101に関するエッジ分布情報の生成も同一の手順で行われてよい。
図7のエッジ分布情報生成処理が開始されると、画像処理部22はまず処理数をカウントするための変数Nに初期値1をセットし(ステップS1)、次いでN番目の見本画像100を記憶部14から取得する(ステップS2)。その後、画像処理部22は、取得した見本画像100に対してエッジ抽出処理を適用し、見本画像100に対応した図3のエッジ抽出画像111を生成する(ステップS3)。次いで、画像処理部22はエッジ抽出画像111を多数の領域SCに分割し(ステップS4)、各領域SCごとのエッジの有無を検査してエッジ抽出画像111におけるエッジ分布情報を生成する(ステップS5)。その後、画像処理部22はステップS5で生成したエッジ分布情報を記憶部14に保存する(ステップS6)。エッジ分布情報の保存後、画像処理部22は変数Nが最後の見本画像100に対応するか否かを判別し(ステップS7)、対応していなければ変数Nに1を加算してステップS2に戻る(ステップS8)。ステップS7にて変数Nが最後の見本画像100に対応すると判断されると、画像処理部22は図7の処理を終える。
図8は、制御部13が検査対象容器1Cに巻かれたラベル2の上下方向における向きの正否を検査するために実行するラベル検査処理の手順を示している。図8の処理は、検査部12に検査対象容器1Cが配置されるごとに繰り返し実行される処理である。図8のラベル検査処理が開始されると、まず画像取得部20が検査部12のカメラ4を制御して検査対象容器1Cのラベル2を含んだ画像を取得し(ステップS11)、その画像から見本画像100等との比較に使用するための処理対象領域ARに対応する検査対象画像110を切り出して記憶部14に記録する(ステップS12)。検査対象画像110の取得後は画像処理部22に処理が進められる。ステップS11及びS12の処理を実行することにより、画像取得部20は画像取得手段の一例として機能する。
画像処理部22は、得られた検査対象画像110に対してエッジ抽出処理を適用し、検査対象画像110に対応した図3のエッジ抽出画像111を生成する(ステップS13)。次いで、画像処理部22はエッジ抽出画像111を多数の領域SCに分割し(ステップS14)、各領域SCごとのエッジの有無を検査してエッジ抽出画像111におけるエッジ分布情報を生成する(ステップS15)。
検査対象画像110に対応するエッジ分布情報が生成されると、画像選択部23へと処理が進む。画像選択部23は、検査対象画像110に対応するエッジ分布情報を、各見本画像100に対応するエッジ分布情報と比較し、検査対象画像110のエッジ分布情報と最も近似したエッジ分布情報を持つ見本画像100を比較対象画像として選択する(ステップS16)。この処理は図4の工程に対応する。この後、一致度演算部24は、検査対象画像110と比較対象画像として選択された見本画像100との一致度を演算する(ステップS17)。その処理は上述したように、正規化相互相関マッチング法等を用いて行われてよい。
ステップS17にて一致度が演算された後、画像選択部23は、検査対象画像110に対応するエッジ分布情報を、各倒立画像101に対応するエッジ分布情報と比較し、検査対象画像110のエッジ分布情報と最も近似したエッジ分布情報を持つ倒立画像101を比較対象画像として選択する(ステップS18)。この後、一致度演算部24は、検査対象画像110と比較対象画像として選択された倒立画像101との一致度を演算する(ステップS19)。その処理はステップS17のそれと同様でよい。
ステップS17及びステップS19にて一致度が演算されると、それらの演算結果が判定部25に提供される。判定部25は、ステップS17及びステップS19のそれぞれで演算された一致度を比較してラベル2の上下方向に関する向きの正否を判別する(ステップS20)。この場合、検査対象画像110と見本画像100との一致度が、検査対象画像110と倒立画像101との一致度よりも有意に高ければラベル2の上下方向における向きが正常と判定し、そうでなければラベル2が上下方向に逆向きに巻かれているか、あるいはそのおそれがある、と判定すればよい。なお、以上の処理において、ステップS13〜S20の処理を実行することにより、検査処理部21は検査処理手段の一例として機能する。
本発明は以上の形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、見本画像100、及び検査対象画像110をそれぞれ一台のカメラ4によって撮影するものとしたが、見本画像100を複数台のカメラで周方向に分担して撮影してもよい。倒立画像101は、見本画像100を回転させて取得する例に限らない。例えば、ラベル2が上下方向に関して逆向きに巻かれた倒立容器を用意し、これを見本容器1Aと同様に所定の単位角度ずつ回転させながらカメラ4にて撮影することにより複数の倒立画像101を取得してもよい。検査対象画像110は一台にカメラにて周方向の一の位置から撮影すれば足りるが、周方向における複数の位置にて検査対象画像を取得することを排除するものではない。この場合、複数の位置で撮影された複数の検査対象画像のそれぞれに対して上記の処理を適用して、検査の精度や信頼性を高めるといった処理が追加されてもよい。
上記の形態では、検査対象画像110と比較すべき見本画像100及び倒立画像101として、エッジ分布情報が最も近い画像を選択するものとしたが、本発明はそのような形態に限定されない。例えば、エッジ分布情報などの特徴情報が過度に近似する見本画像や倒立画像は異常値として処理し、次に近似する画像を比較対象画像として選択するといった処理が追加されてもよい。周方向に同一又は類似のパターンが繰り返し周期的に出現するようなラベルが使用されている場合には、特徴情報が所定レベル以上に近似した複数の見本画像等を比較対象画像として取得し、それらの比較対象画像の平均値を取得する等して比較対象画像を生成し、これを検査対象画像と比較するといった変形も可能である。
上記の形態では、容器として円筒状の胴部を有する飲料容器を例示したが、本発明の検査方法及び装置は、円筒状の胴部を有する容器を対象とする例に限定されない。角筒状の胴部を有する容器であっても、上記と同様にしてラベルの上下方向に関する向きの正否を検査することが可能である。
なお、上述した実施形態及びその変形例からは以下に述べる別態様の発明を抽出することが可能である。すなわち、別態様に係る検査方法は、容器に巻かれたラベル(2)を検査するラベルの検査方法であって、前記ラベルが上下方向に関して正しい向きで巻かれている見本容器(1A)を全周に亘って撮影した見本画像(100)、及び当該見本画像に対して前記ラベルが上下方向に倒立した倒立画像(101)を取得する工程(一例として図1及び図2)と、検査対象の容器を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像を取得する工程(S11、S12)と、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像としての見本画像(100)及び倒立画像(101)を前記見本画像及び前記倒立画像を取得する工程にて取得された画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像及び倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する工程(S13〜S20)と、を備えたものである。
また、別態様に係る検査装置は、容器に巻かれたラベル(2)を検査するラベルの検査装置であって、前記ラベルが上下方向に関して正しい向きで巻かれている見本容器(1A)を全周に亘って撮影した見本画像(100)、及び当該見本画像に対して前記ラベルが上下方向に倒立した倒立画像(101)を記憶する記憶手段(14)と、検査対象の容器を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像を取得する画像取得手段(20、S11、S12)と、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像としての見本画像(100)及び倒立画像(101)を前記記憶手段が記憶する画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像及び倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する検査処理手段(21、S13〜S20)と、を備えたものである。
これらの態様の検査方法及び検査装置によれば、ラベルが上下方向に正しい向きで巻かれた見本容器の全周に亘る画像(周方向に関して分割された画像群の集合でもよいし、全周に亘って連続する一枚の画像でもよい)と、その見本画像に対してラベルが上下方向に倒立した倒立画像から、検査対象画像と比較すべき見本画像及び倒立画像を取得し、それらの画像を検査対象画像と比較することにより、検査対象画像が見本画像、又は倒立画像のいずれにより近似するか、を判別し、その判別結果に基づいてラベルが上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを検査することが可能である。
1A 見本容器
1C 検査対象容器
2 ラベル
3 回転台
4 カメラ
10 検査装置
14 記憶部(記憶手段)
20 画像取得部
21 検査処理部(検査処理手段)
100 見本画像
101 倒立画像
110 検査対象画像
111 エッジ抽出画像
130 エッジ分布情報
1C 検査対象容器
2 ラベル
3 回転台
4 カメラ
10 検査装置
14 記憶部(記憶手段)
20 画像取得部
21 検査処理部(検査処理手段)
100 見本画像
101 倒立画像
110 検査対象画像
111 エッジ抽出画像
130 エッジ分布情報
Claims (8)
- 容器に巻かれたラベルを検査するラベルの検査方法であって、
前記ラベルが正しく巻かれている見本容器を周方向の複数の位置から撮影した複数の見本画像を取得する工程と、
検査対象の容器を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像を取得する工程と、
前記ラベル上に施された視覚的要素に対応して画像中に出現すべき特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の見本画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する工程と、
を備えたラベルの検査方法。 - 前記判別する工程では、前記検査対象画像及び前記複数の見本画像におけるエッジの分布を前記特徴として検出し、前記検査対象画像におけるエッジの分布と前記複数の見本画像のそれぞれにおけるエッジの分布との近似度に基づいて、前記比較対象画像としての見本画像を選択する請求項1に記載のラベルの検査方法。
- 前記複数の見本画像のそれぞれに対して前記ラベルが前記上下方向に倒立した複数の倒立画像を取得する工程をさらに含み、
前記判別する工程では、前記特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の倒立画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較、及び前記検査対象画像と前記比較対象画像としての倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する請求項1又は2に記載のラベルの検査方法。 - 前記判別する工程では、前記検査対象画像と前記比較対象画像との一致度を比較して前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する請求項1〜3のいずれか一項に記載のラベルの検査方法。
- 容器に巻かれたラベルを検査するラベルの検査装置であって、
前記ラベルが正しく巻かれている見本容器を周方向の複数の位置から撮影した複数の見本画像を記憶する記憶手段と、
検査対象の容器を周方向の一の位置から撮影した検査対象画像を取得する画像取得手段と、
前記ラベル上に施された視覚的要素に対応して画像中に出現すべき特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の見本画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する検査処理手段と、
を備えたラベルの検査装置。 - 前記検査処理手段は、前記検査対象画像及び前記複数の見本画像におけるエッジの分布を前記特徴として検出し、前記検査対象画像におけるエッジの分布と前記複数の見本画像のそれぞれにおけるエッジの分布との近似度に基づいて、前記比較対象画像としての見本画像を選択する請求項5に記載のラベルの検査装置。
- 前記記憶手段は、前記複数の見本画像のそれぞれに対して前記ラベルが前記上下方向に倒立した複数の倒立画像をさらに記憶し、
前記検査処理手段は、前記特徴に関する近似度に基づいて、前記検査対象画像と比較されるべき比較対象画像を前記複数の倒立画像から選択し、前記検査対象画像と前記比較対象画像としての見本画像との比較、及び前記検査対象画像と前記比較対象画像としての倒立画像との比較に基づいて、前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する請求項5又は6に記載のラベルの検査装置。 - 前記検査処理手段は、前記検査対象画像と前記比較対象画像との一致度を比較して前記ラベルが前記容器の上下方向に関して正しい向きで巻かれているか否かを判別する請求項5〜7のいずれか一項に記載のラベルの検査装置。
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