JP2019039872A - 容器およびその製造方法ならびに被験物質の検出方法 - Google Patents

容器およびその製造方法ならびに被験物質の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素免疫測定法(ELISA法)における洗浄操作を簡便に行うことができる容器を提供する。【解決手段】酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられる容器1であって、一方主面11と他方主面12を有している基材10を有し、基材10は、一方主面11側であって重心Cを含む中央開口13と、中央開口13と連通しており基材10の放射方向に延在している複数の内部流路15と、を有している。基材10は積層されている上側基材20および下側基材30を有し、下側基材30は一方主面側に下側基材30の重心を含む第1開口35と、第1開口35と連通しており放射方向に延在している第2開口36を有し、上側基材20は第1開口35と重なっている第1貫通口25を有し、中央開口13が第1開口35および第1貫通口25から形成され、内部流路15が第2開口36から形成されていることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、酵素免疫測定法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay:ELISA法)による被験物質の検出に用いられる容器およびその製造方法ならびに上記容器を用いた被験物質の検出方法に関する。
ELISA法は、抗原の抗原決定基と抗体との特異的結合反応、および抗体または抗原に標識した酵素による呈色反応を組み合わせて用いる免疫学的測定法(イムノアッセイ)の一種である。ELISA法では、特異性の高い抗原抗体反応を利用し、酵素反応に基づく発色を電気信号に変換して測定するため、高感度で検出でき、定量性にも優れている。また、標識物質として放射性物質を用いる放射免疫測定(ラジオイムノアッセイ、RIA)に比べて安全性が高く、安価で簡便である。そのため、ELISA法は、抗体、インフルエンザウイルス、血漿タンパク質、サイトカイン、DNA、ペプチド、リガンドなどの生体関連物質;食品などに含まれる残留農薬や環境ホルモンなどの化学物質;糖尿病、癌などの診断に用いられる血糖、腫瘍マーカーなどの診断用物質など、様々な被験物質の検出や定量に汎用されている。
ELISA法では、容器としてマイクロプレートが使用されている。マイクロプレートは、平板状のプレートに複数のくぼみ(ウェル)が設けられたものであり、抗原抗体反応と洗浄を一括して行える。マイクロプレートの製造工程や被験物質の検出工程では、未反応の抗体等を洗い流す洗浄操作を手作業または専用のプレート洗浄器により行う。手作業による洗浄は作業が煩雑であるため非熟練者にとっては容易でなく、また、洗浄が不十分なマイクロプレートを使用すると未反応の抗体が残存していることにより、感度の低下や測定誤差の増加を引き起こすおそれがある。他方、プレート洗浄器は、ポンプやバルブ等の周辺機器を備えているため、高価かつ大型であり、使用できるのは検査機関や研究機関に限られてしまい利便性に欠ける。そこで、より簡便な方法で洗浄可能な容器が開発されている。例えば、特許文献1には遠心力を利用した円盤型分析チップが開示されている。この分析チップには複数の槽が設けられており、各槽に反応液や洗浄液を注入し、遠心力の大きさや方向を変えることで洗浄や反応が行われる。遠心力を利用しておりポンプやバルブ等の周辺機器が不要であるため、洗浄器を安価かつ小型化することができる。
米国特許出願公開第2015/226730号明細書
しかし、特許文献1に記載されている分析チップは、槽の構造が複雑であるため、遠心力の大きさや方向を変えることで抗原抗体反応と洗浄を切り換えたり、予め複数の槽に洗浄液を充填しておく必要があり、利便性に欠ける点で改善の余地があった。そこで、本発明は、酵素免疫測定法における洗浄操作を簡便に行うことができる容器を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の容器は、酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられるものであって、一方主面と他方主面を有している基材を有し、基材は、一方主面側であって重心を含む中央開口と、中央開口と連通しており基材の放射方向に延在している複数の内部流路と、を有している点に要旨を有するものである。本発明の容器によれば、中央開口に洗浄液を入れて、容器に遠心力を付与するという簡便な方法で中央開口と連通している複数の内部流路に一斉に洗浄液を移動させることで容易かつ十分に洗浄することができる。このため、操作者の習熟度によらず被験物質の検出精度を確保することができる。また、ポンプやバルブ等の周辺機器が不要な小型で安価な遠心器を洗浄器として利用することができる。
上記容器において、基材は、互いに積層されている上側基材および下側基材を有し、下側基材は、一方主面側に下側基材の重心を含む第1開口と、第1開口と連通しており、放射方向に延在している第2開口とを有し、上側基材は、第1開口と重なっている第1貫通口を有しており、中央開口が、第1開口および第1貫通口から形成されており、内部流路が、第2開口から形成されていることが好ましい。
上記容器において、下側基材は、互いに積層されている下側第1基材および下側第2基材から構成されており、第1開口および第2開口が、下側第1基材に設けられており、上側基材側から下側第2基材側に向かって貫通していることが好ましい。
上記容器において、放射方向において、第1開口の外方端が、第1貫通口の外方端よりも内方に形成されていることが好ましい。
上記容器において、基材は、中央開口よりも放射方向の外方であって、内部流路とそれぞれ連通している複数の外側開口を有していることが好ましい。
上記容器において、内部流路の周囲に液体を吸収するフィルタが設けられていることが好ましい。
上記容器において、内部流路を構成する壁面に被験物質を検出するための抗体が保持されていることが好ましい。
また、本発明は酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられる容器を製造する方法も提供する。本発明の容器の製造方法は、一方主面と他方主面を有する下側基材であって、一方主面側に下側基材の重心を含む第1開口と、第1開口と連通しており放射方向に延在している複数の第2開口を有する下側基材を準備する工程と、一方主面と他方主面を有する上側基材であって、上側基材の重心を含む第1貫通口と、第1貫通口の周囲に配置されている複数の第2貫通口を有する上側基材を準備する工程と、第1開口と第1貫通口を重ね、かつ第2開口と第2貫通口を重ねた状態で下側基材の一方主面と上側基材の他方主面を接合する工程と、第2貫通口から被験物質を検出する抗体を含む液体を入れる工程と、第1貫通口から洗浄液を入れる工程と、容器を回転させて、遠心力により抗体を含む液体の残液と洗浄液を排出する工程と、を有する点に要旨を有する。
上記容器の製造方法は、さらに、第2貫通口からブロッキング剤を含む液体を入れる工程と、第1貫通口から洗浄液を入れる工程と、容器を回転させて、遠心力によりブロッキング剤を含む液体の残液と洗浄液を排出する工程と、を有することが好ましい。
さらに、本発明は、上記容器を用いた酵素免疫測定法による被験物質の検出方法も提供する。本発明の検出方法は、中央開口から洗浄液を入れる工程と、容器を回転させて、遠心力により洗浄液を複数の内部流路にそれぞれ移動させる工程と、を有する点に要旨を有する。
本発明の容器によれば、中央開口に洗浄液を入れて、容器に遠心力を付与するという簡便な方法で中央開口と連通している複数の内部流路に一斉に洗浄液を移動させることで容易かつ十分に洗浄することができる。このため、操作者の習熟度によらず被験物質の検出精度を確保することができる。また、ポンプやバルブ等の周辺機器が不要な小型で安価な遠心器を洗浄器として利用することができる。
本発明の実施の形態に係る容器の斜視図を表す。 本発明の実施の形態に係る容器の正面図を表す。 図2のIII−III線に沿った断面図を表す。 図1に示す容器の上側基材の平面図を表す。 図1に示す容器の下側第1基材の平面図を表す。 図1に示す容器の下側第2基材の平面図を表す。 図2に示した容器の変形例を示す正面図を表す。 図7のVIII−VIII線に沿った断面図を表す。 図2に示した容器の他の変形例を示す正面図を表す。 図9のX−X線に沿った断面図を表す。 図9に示す容器の上側基材の平面図を表す。 図9に示す容器の下側第1基材の平面図を表す。 図9に示す容器のフィルタの平面図を表す。 図9に示す容器の下側第2基材の平面図を表す。 容器の製造方法を示す模式図を表す。 容器の製造方法を示す模式図を表す。 容器の製造方法を示す模式図を表す。 容器の製造方法を示す模式図を表す。
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.容器
本発明の容器は、酵素免疫測定法(ELISA法)によって被験物質を検出する際に、試料や洗浄液を入れるための容器であり、従来のマイクロプレートに代わって好ましく用いられる。本発明の容器は、被験物質または被験物質に対して特異的な相互作用(抗原抗体反応等)の検出、測定、分析のほか、これらの検出結果、測定結果、または分析結果に基づく人体への影響度等の各種評価や病気等の診断にも利用することができる。
上記被験物質としては、例えば、抗体、インフルエンザウイルス、C反応性タンパク質、血漿タンパク質、サイトカイン、DNA、ペプチド、リガンドなどの生体関連物質;食品などに含まれる残留農薬や環境ホルモンなどの化学物質;糖尿病、癌などの診断に用いられる血糖、腫瘍マーカーなどの診断用物質などが挙げられる。
図1〜図6を用いて、本発明の容器について説明する。図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態に係る容器1(1A)の斜視図、正面図、図2のIII−III線に沿った断面図を示している。図4〜図6は、それぞれ図1に示す容器1Aの上側基材20、下側第1基材37、下側第2基材38の平面図を表す。
容器1は、一方主面11と他方主面12を有している基材10を有し、基材10は、一方主面11側であって重心Cを含む中央開口13と、中央開口13と連通しており基材10の放射方向に延在している複数の内部流路15と、を有している。
本発明において、放射方向とは、基材10の重心Cから離れる方向を指し、厚さ方向とは、基材10の一方主面11から他方主面12に向かう方向を指す。
基材10は容器1の全体形状を構成し、好ましくは平板状に形成される。基材10を一方主面11側から見たときの形状は、円形状、楕円形状、多角形状等、またはこれらの組み合わせにすることができるが、円形状であることが好ましい。
基材10を構成する材料は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)を挙げることができる。基材10が複数の基材から構成されている場合、他方主面12側に配置される基材(例えば、後述する下側第2基材38)の材料としては、透明度が高い、屈折率の空間分布や異方性が小さい、表面粗さが小さいといった特性を有しているPMMAを用いることが好ましい。これにより、下側第2基材38にレーザー光を照射することによって、被験物質から得られる散乱光を検出しやすくなる。
内部流路15に供給されている液体を視認可能とするために、基材10は透明または半透明な材料から構成されていることが好ましい。
被験物質にレーザー光を照射して、得られる散乱光を検出することによって被験物質の濃度を測定する場合、基材10は光透過性を有していることが好ましい。具体的には、基材10は、波長532nmの光を85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上透過させるものであることが好ましい。
基材10の厚さは特に限定されないが、例えば、0.1mm以上、0.2mm以上、0.5mm以上、または1mm以上であってもよく、10mm以下、8mm以下、または5mm以下であることも許容される。
容器1に供給される洗浄液や試料の微量化の観点からは、一方主面11側から見た基材10の外径は150mm以下、100mm以下、または50mm以下であることが好ましい。容器1の取り扱い性を良好にする観点からは、一方主面11側から見た基材10の大きさは10mm以上、15mm以上、または20mm以上であることが好ましい。
基材10の一方主面11側には、重心Cを含む中央開口13が設けられている。中央開口13は、洗浄液の供給口として機能する。また、基材10には、中央開口13と連通しており基材10の放射方向に延在している複数の内部流路15も設けられている。本発明の容器1は、中央開口13から洗浄液を入れて、容器1に遠心力を付与する、例えば、重心Cを中心として基材10を回転させるという簡便な方法によって中央開口13と連通している複数の内部流路15に一斉に洗浄液を移動させることができる。このため、容器を容易かつ十分に洗浄することができ、操作者の習熟度によらず、被験物質の検出精度を確保することができる。また、ポンプやバルブ等の周辺機器が不要な小型で安価な遠心器を洗浄器として利用することができる。
基材10に設けられる中央開口13の数は特に限定されないが、1つのみ設けられていることが好ましい。中央開口13から洗浄液を入れるという一つの操作で、複数の内部流路15に洗浄液を送り込むことができるため、操作を簡便にすることができる。
基材10の一方主面11側から見たときの中央開口13の形状は、円形状、楕円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせにすることができるが、中央開口13に洗浄液を滴下しやすくする観点からは円形状であることが好ましい。円形状の中央開口13の中心は、基材10の重心と重なっていてもよい。
内部流路15は、基材10の内部に設けられる流路であり、従来のマイクロプレートのウェルに相当する。
内部流路15は放射方向に沿って延在している、すなわち放射状に形成されているものであればよく、直線状に形成されていてもよく、非直線状、例えば曲線状に形成されていてもよい。内部流路15は、容器1の回転方向に沿って延在していてもよく、容器1の回転方向と反対向きに沿って延在していてもよい。また、内部流路15は、湾曲部分や屈曲部分を有していてもよい。
1つの容器1中、内部流路15の数は奇数でも偶数でもよく、特に限定されないが、例えば4以上、6以上、8以上、または10以上に設定することができ、30以下、25以下、20以下、または15以下に設定することも許容される。
基材10の厚さ方向における内部流路15の高さは、例えば、0.1mm以上、0.2mm以上、0.3mm以上、または0.5mm以上であってもよく、3mm以下、2mm以下、または1mm以下であってもよい。
複数の内部流路15は、同じ形状に形成されていることが好ましい。各内部流路15に流れ込む洗浄液の量を均一にするためには、複数の内部流路15は重心Cを中心として回転対称に形成されていることが好ましい。
基材10は単一の部材から構成されていてもよく、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。複数の部材を組み合わせて基材10を構成する例について図1〜図6を用いて説明する。容器1の基材10は、互いに積層されている上側基材20および下側基材30を有していてもよい。その場合、下側基材30は、一方主面11側に下側基材30の重心を含む第1開口35と、第1開口35と連通しており、放射方向に延在している第2開口36とを有していることが好ましい。また、上側基材20は、第1開口35と重なっている第1貫通口25を有しており、中央開口13が、第1開口35および第1貫通口25から形成されており、内部流路15が、第2開口36から形成されていることが好ましい。このように基材10を複数の部材から構成することにより、各部材の材質や厚さを変えたり、各部材に異なる機能を付与することができる。例えば、上側基材20の下側基材30と対向する側の壁面には、抗体を修飾しやすい材料、例えばポリスチレン樹脂がコーティングされていることが好ましい。
上側基材20は、内部流路15の上側壁面(蓋)を構成し、基材10に遠心力を付与したときに内部流路15から意図せず液体が排出されたり、容器1を所定時間放置するときに液体が蒸発することを抑制する。上側基材20としては、図4に示すように、中央開口13を形成するための第1貫通口25が1つ形成されている平板状のプレートを使用することができる。詳細は後述するが、上側基材20には、複数の外側開口18を形成するための第2貫通口26が設けられていてもよい。
下側基材30の第1開口35が中央開口13の下側を構成し、第2開口36が内部流路15の横側壁面と底壁面を構成するため、第1開口35および第2開口36は、厚さ方向において非貫通の溝であることが好ましい。厚さ方向において、下側基材30の第1開口35と第2開口36は同じ高さを有していてもよく、異なる高さを有していてもよい。
複数の第2開口36は、同じ形状に形成されていることが好ましい。各内部流路15に流れ込む洗浄液の量を均一にするためには、複数の第2開口36は、下側基材30の重心を中心として回転対称に形成されていることが好ましい。
図1および図3では、基材10を一方主面11側から見て、上側基材20と下側基材30は同じ円形状の外形に形成されているが、例えば下側基材30の外方端が上側基材20の外方端よりも外方に延在していてもよい。上側基材20と下側基材30は、同じ材料または異なる材料から構成することができる。
上側基材20と下側基材30を接合する方法としては、両面テープ等の接着剤による接着、レーザー溶着や超音波溶着等の熱溶着、一の部材に設けられる凸部と他の部材に設けられる凹部の係合等が挙げられる。
さらに、下側基材30が複数の部材から構成されていてもよい。下側基材30は、互いに積層されている下側第1基材37および下側第2基材38から構成されていることが好ましい。その場合、第1開口35および第2開口36が、下側第1基材37に設けられており、上側基材20側から下側第2基材38側に向かって貫通していることが好ましい。下側基材30を下側第1基材37と下側第2基材38から構成することにより、これら基材の材質や厚さを変えたり、異なる機能を付与することができる。また、第1開口35と第2開口36が貫通していることにより、第1開口35からは洗浄液を、第2開口36からは抗原等の被験物質を含む液体(以下、「サンプル液」と称することがある)を内部流路15に入れることができる。
図1および図3では、下側第1基材37が基材10の一方主面11側、下側第2基材38が基材10の他方主面12側に設けられている。下側第1基材37としては、図5に示すように、中央開口13を形成するための第1開口35と、第1開口35に連通しており、内部流路15を形成するための第2開口36を有している平板状のプレートを用いることができる。下側第2基材38としては、図6に示すように、溝や貫通孔が設けられていない平板状のプレートを用いることができる。下側第1基材37と下側第2基材38を接合することによって、下側基材30を形成することができる。下側第1基材37と下側第2基材38は、上側基材20と下側基材30と同様の方法で接合できる。
厚さ方向において、上側基材20よりも下側基材30が厚くてもよく、上側基材20よりも下側基材30が薄くてもよい。同様に、下側第1基材37と下側第2基材38の厚さの大小関係も特に制限されない。例えば、上側基材20を厚さ0.5mmのPMMAから構成されているプレートとし、下側第1基材37と下側第2基材38をそれぞれ厚さ0.2mmのPMMAから構成されているプレートとしてもよい。
下側基材30の第1開口35と上側基材20の第1貫通口25は、同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。図3に示すように、本実施形態では第1開口35と第1貫通口25は、同一面積の円形状に形成されている。
基材10は、中央開口13よりも放射方向の外方であって、内部流路15とそれぞれ連通している複数の外側開口18を有していることが好ましい。外側開口18から内部流路15にサンプル液を供給することができる。また、外側開口18を排液の排出口として使用することもできる。
内部流路15に供給する液体を滴下可能、あるいは内部流路15から液体を排出可能であれば、外側開口18の開口面積は、中央開口13の開口面積より小さくてもよい。
外側開口18が設けられる位置は特に限定されないが、外側開口18を洗浄液の排出口とサンプル液の供給口の少なくともいずれか一方として使用する場合には、外側開口18が放射方向における内部流路15の外方端と重なっていることが好ましい。また、外側開口18をサンプル液の供給口としてのみ使用する場合には、外側開口18は内部流路15の外方端よりも内方に存在していてもよい。
外側開口18は、一の内部流路15の放射方向における内方端と外方端の中点よりも内方に設けられていることが好ましい。これにより、外側開口18を通じて内部流路15に供給された液体が意図せず排出されることを防げる。
基材10が互いに積層されている上側基材20および下側基材30を有している場合、外側開口18が上側基材20の第2貫通口26から形成されていることが好ましい。上側基材20に第2貫通口26を設けるという簡便な方法で、外側開口18を形成することができる。
内部流路15は、中央開口13に向かって幅が狭くなっている幅狭部16を有していることが好ましい。内部流路15に幅狭部16を設けることにより、遠心力を付与しない時に、例えば抗原抗体反応をさせているときに、洗浄液が内部流路15に意図せず移動してしまうことを防ぐ。幅狭部16の幅は特に限定されないが、内部流路15の最大幅の2分の1以下の幅であることが好ましく、より好ましくは3分の1以下である。
幅狭部16は、放射方向において内部流路15の内方端と外方端の中点よりも内方に形成されていることが好ましい。また、放射方向における幅狭部16の長さは、内部流路15の長さの5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましい。これらの構成により、洗浄液の移動抑制効果が効果的に発揮される。
容器1は、内部流路15を構成する壁面に被験物質を検出するための抗体が保持されていることが好ましい。具体的には、上記抗体が基材10の一方主面11側の内壁面に固相化されていることがより好ましい。さらに、上記抗体が基材10の一方主面11側の内壁面に保持されており、他方主面12側の内壁面に保持されていないことが好ましい。このように抗体が保持されていれば、基材10の他方主面12側からレーザーを照射することで被験物質からの散乱光強度を測定しやすくなる。
さらに、内部流路15を構成する壁面にブロッキング剤が付着していることが好ましい。ブロッキング剤は、未反応の抗体が内部流路15の壁面に付着することを抑制する。ブロッキング剤は、基材10の一方主面11側の内壁面に付着していることが好ましく、内部流路15を構成する内壁面全体に付着していることがより好ましい。ブロッキング剤としては、市販のブロッキング試薬(例えばELISA ULTRABLOCK AbD serotec)を用いることができる。
次に、図1〜図6に示した容器1Aとは異なる態様の容器1(1B)について、図7〜図8を参照しながら説明する。なお図7〜図8の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。図7は、凸部17が設けられている容器1Bの平面図であり、図8は図7に示した容器1BのXIII−XIII線に沿った断面図である。
図7に示すように、基材10の一方主面11側であって中央開口13内には、厚さ方向において基材10の一方主面11よりも低く、中央開口13の底面よりも高く凸状に形成されている凸部17が設けられていることが好ましい。凸部17は、内部流路15内のサンプル液が、毛細管現象により中央開口13に到達して、上記内部流路15と隣り合う別の内部流路15内のサンプル液と混ざり合うことを抑制するために設けられる。したがって、凸部17は、基材10の周方向において隣り合う2つの内部流路15の間に設けられていることが好ましい。
凸部17を形成するためには、図7〜図8に示すように、基材10の一方主面11側から見て、上側基材20の第1貫通口25内に、下側第1基材37の第1開口35が配置されていることが好ましい。すなわち、放射方向において、第1開口35の外方端が、第1貫通口25の外方端よりも内方に形成されていることが好ましい。これにより、中央開口13が基材10の他方主面12側に向かって狭まって形成される。基材10の厚さ方向において、中央開口13は、基材10の一方主面11側が広くなっているため、洗浄液を滴下しやすくなる。
凸部17は、すべての内部流路15の間に設けられていることが好ましい。これにより、内部流路15に存在しているサンプル液が互いに混ざり合うことを抑制する効果が好適に発揮される。
基材10の周方向において、隣り合う凸部17の最小離間距離は、内部流路15の最大幅よりも狭く形成されていることが好ましい。また、凸部17は、基材10の重心Cに向かって幅が狭くなっている部分を有していることが好ましい。このように凸部17を形成することにより、容器1に遠心力を付与したときに、洗浄液の内部流路15への移動が阻害されることを抑制できる。
図示していないが、基材10の一方主面11側から見て、下側基材30の第1開口35内に上側基材20の第1貫通口25が配置されていてもよい。これにより、中央開口13が基材10の一方主面11側に向かってすぼんだ形状に形成される。基材10の厚さ方向において、中央開口13は、基材10の他方主面12側が広くなっているため、洗浄液が放射方向の外方に向かって拡散しやすくなる。
次に、図1〜図8に示した容器1A、1Bとは更に異なる態様の容器1(1C)について、図9〜図14を参照しながら説明する。なお図9〜図14の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。図9は、排液を吸収するためのフィルタ40が基材10内に設けられている容器1Cの平面図であり、図10は図9に示した容器1CのX−X線に沿った断面図であり、図11は、上側基材20の平面図であり、図12は下側第1基材37の平面図であり、図13はフィルタ40の平面図であり、図14は下側第2基材38の平面図である
容器1(1C)は、図11〜図14に示す部材によって構成されている。図10に示すように、容器1Cには、内部流路15の周囲に液体を吸収するフィルタ40が設けられていることが好ましい。このようにフィルタ40を設けることにより、遠心力を付与したときに内部流路15から排出される液体を吸収できる。
内部流路15にある液体を意図せず吸収することを防ぐため、フィルタ40は、放射方向において内部流路15の外方端よりも外方に延在していることが好ましい。また、吸収容量を確保する観点から、フィルタ40は内部流路15の外方端よりも内方に延在していてもよい。
フィルタ40は、図9〜図10に示すように基材10の内部に設けられていてもよい。具体的には、厚さ方向において上側基材20と下側基材30の間に設けられていることが好ましい。また、基材10の厚さが増大することを防ぐため、フィルタ40は放射方向において基材10の外方端よりも外方に設けられていてもよい。フィルタ40の大きさや配置位置は、内部流路15に加えられる液量に応じて設定すればよい。例えば、フィルタ40は、基材10の周方向の一部にのみ設けられていてもよく、図9に示すように基材10の周方向全体にわたって設けられていてもよい。
フィルタ40の形状は特に限定されないが、例えば、円形状、多角形状、円環状等に形成することができる。特に、図13に示すような円環状のフィルタ40は、内部流路15を取り囲むように配置できるため、内部流路15の下側にフィルタ40が設けられている構成と比較して、容器1の厚さが増大することを防げる。
容器1の厚さを抑える観点からは、フィルタ40は膜状であることが好ましい。具体的には、厚さ方向において、フィルタ40は下側第1基材37以下の厚さを有していることが好ましい。フィルタ40は、親水性多孔質材料から構成されていることが好ましく、例えば、ろ紙や普通紙等の紙、吸水性の合成樹脂フィルムを用いることができる。
図14に示すように、下側第2基材38の一方主面11側には、補助開口19が設けられていることが好ましい。補助開口19は遠心力によって内部流路15から排出される液体をフィルタ40に吸収されるまでの間、一時的に貯留する槽として機能する。下側第2基材38の補助開口19は、下側第1基材37の第2貫通口26と連通していることが好ましい。下側第2基材38の補助開口19は、フィルタ40(好ましくはフィルタ40の外方端)よりも放射方向の内方に設けられていることが好ましい。内部流路15の周囲に設けられる補助開口19は、厚さ方向において下側第2基材38を貫通していない溝であることが好ましい。補助開口19は、中央開口13または外側開口18と同様の形状に形成されていてもよい。
2.容器の製造方法
次に、図15〜図18を参照しながら、酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられる容器1の製造方法について説明する。ここで製造される容器1は第1開口35と第2開口36を有している下側基材30と、第1貫通口25と第2貫通口26を有している上側基材20を有している。本発明の容器1の製造方法は、一方主面と他方主面を有する下側基材30であって、一方主面側に重心を含む第1開口35と、第1開口35と連通しており放射方向に延在している複数の第2開口36を有する下側基材30を準備する工程(工程1)と、一方主面と他方主面を有する上側基材20であって、上側基材20の重心を含む第1貫通口25と、第1貫通口25の周囲に配置されている複数の第2貫通口26を有する上側基材20を準備する工程(工程2)と、第1開口35と第1貫通口25を重ね、かつ第2開口36と第2貫通口26を重ねた状態で下側基材30の一方主面と上側基材20の他方主面を接合する工程(工程3)と、第2貫通口26から被験物質を検出する抗体を含む液体を入れる工程(工程4)と、第1貫通口25から洗浄液を入れる工程(工程5)と、容器1を回転させて、遠心力により上記抗体を含む液体の残液と洗浄液を排出する工程(工程6)と、を有する。以下、各工程について説明する。
(工程1)
まず、中央開口13および内部流路15を形成するための下側基材30を準備する。下側基材30は、一方主面と他方主面を有しており、一方主面側に重心を含む第1開口35と、第1開口35と連通しており放射方向に延在している複数の第2開口36を有する。具体的には、「1.容器」で説明した下側基材30を用いることができる。
(工程2)
中央開口13と外側開口18を形成するための上側基材20を準備する。上側基材20は、一方主面と他方主面を有しており、上側基材20の重心を含む第1貫通口25と、第1貫通口25の周囲に配置されている複数の第2貫通口26を有する。具体的には、「1.容器」で説明した上側基材20を用いることができる。
工程1および工程2において、内部流路15や中央開口13用の開口(溝)を形成する方法としては、レーザー加工、機械加工、サンドブラスト加工、射出成形などが挙げられ、中でも、平板状のプレートをレーザー加工することにより形成することが好ましい。
(工程3)
図3に示すように、第1開口35と第1貫通口25を重ね、かつ第2開口36と第2貫通口26を重ねた状態で下側基材30の一方主面と上側基材20の他方主面を接合する。これにより、第1開口35および第1貫通口25によって中央開口13が形成され、第2開口36および上側基材20の他方主面によって内部流路15が形成され、第2貫通口26によって外側開口18が形成される。上側基材20と下側基材30の接合方法は、「1.容器」で説明した方法を用いることができる。
工程3において、上側基材20の重心と下側基材30の重心が一致するように第1開口35と第1貫通口25を重ねることが好ましい。これにより、容器1に遠心力を付与したときに、複数の内部流路15に均一に洗浄液を供給しやすくなる。
(工程4)
図15に示すように、第2貫通口26(外側開口18)から被験物質を検出する抗体45を含む液体50を入れる。これにより内部流路15に上記抗体45を含む液体50が供給されるため、図16に示すように、内部流路15の壁面、特に上側基材20の下側基材30と対向している面に、被験物質を検出する抗体45を保持させることができる。第2貫通口26から抗体45を含む液体50を入れる方法としては、ビュレットやマイクロピペットで少量ずつ滴下する方法が挙げられる。各第2貫通口26に供給される上記液体50の量は、例えば1μL以上、3μL以上、5μL以上、または7μL以上とすることができ、30μL以下、20μL以下、または10μL以下とすることもできる。
内部流路15の壁面に抗体45を確実に保持させるため、工程4の後、上記液体50を内部流路15に入れた状態で恒温放置することが好ましい。放置時間は、例えば、30分以上、60分以上、90分以上、または120分以上でもよい。
(工程5)
未反応の抗体45、すなわち内部流路15の壁面に保持させなかった抗体45を洗い流すため、図17に示すように第1貫通口25から洗浄液を入れる。これにより、上側基材20と下側基材30によって形成される各内部流路15に一斉に洗浄液を供給することができる。第1貫通口25から洗浄液を入れる方法は、第2貫通口26から上記液体50を入れる方法と同様に行うことができる。第1貫通口25に供給される洗浄液の量は、例えば、1μL以上、5μL以上、10μL以上、または15μL以上とすることができ、また、100μL以下、80μL以下、50μL以下、40μL以下、または30μL以下とすることもできる。洗浄液としては、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を用いることができる。
(工程6)
図18に示すように、容器1を回転させて、遠心力により抗体45を含む液体50の残液と洗浄液51を排出する。容器1に遠心力を付与することにより、内部流路15に存在していた液体が遠心力により放射方向の外方に移動することで内部流路15が洗浄される。遠心器としては、市販の遠心器(例えば、日本ジェネティクス株式会社製の卓上マイクロ遠心器ミニ・セントリフュージ(型番:NE−NG002B))を用いることができる。容器1に付与する遠心力の大きさは一定であってもよく、経時変化させてもよい。図18では、外側開口18を形成する第2貫通口26から液体が排出されている例を示したが、第2貫通口26以外の開口から排出されてもよい。
工程6において、容器1の回転方向は特に限定されない。一方向にのみ回転させてもよく、一方向に回転させた後、他の方向に回転させてもよい。また、一方向と他方向を交互に回転させてもよい。
工程5〜工程6は繰り返し行ってもよく、例えば2回以上、3回以上とすることができるが、15回以下、10回以下、または5回以下としてもよい。
洗浄液を入れる工程5の前に、容器1を回転させて、遠心力により抗体45を含む液体50の残液のみを排出する工程を行ってもよい。抗体45を含む液体50の残液と洗浄液51を異なる工程で排出できるため、内部流路15に不要な液体が残りにくい。
本発明の容器1の製造方法は、さらに、第2貫通口26からブロッキング剤を含む液体を入れる工程(工程7)と、第1貫通口25から洗浄液51を入れる工程(工程8)と、容器1を回転させて、遠心力によりブロッキング剤を含む液体の残液と洗浄液51を排出する工程(工程9)と、を有していることが好ましい。これら工程7〜工程9により、ブロッキング剤を上側基材20の他方主面側に保持させることができるため、未反応の抗体が上側基材20の他方主面側に付着することを抑制でき、被験物質を確度よく検出できる容器1が得られる。
工程7において、ブロッキング剤は「1.容器」で説明したものを用いることができる。工程7において、ブロッキング剤を含む液体を入れる方法は、工程4と同様の方法で行うことができる。
工程8における洗浄液の量や種類、工程9において遠心力を付与する方法は、それぞれ工程5、6と同様の方法で行うことができる。
工程8〜工程9は繰り返し行ってもよく、例えば2回以上、3回以上とすることができるが、15回以下、10回以下、または5回以下としてもよい。
工程7の後、工程8の前に、上記液体を内部流路15に入れた状態で恒温放置することが好ましい。放置時間は、例えば、30分以上、60分以上、90分以上、または120分以上でもよい。また、ブロッキング剤を含む液体の放置時間は、抗体を含む液体の放置時間よりも短くてもよく、例えば前者を2時間、後者を1時間とすることができる。
3.被験物質の検出方法
本発明は、「1.容器」に記載の中央開口13と複数の内部流路15を有している容器1を用いて、ELISA法により被験物質を検出する方法も提供する。ELISA法は、測定原理の違いにより直接法、間接法、競合法、サンドイッチ法に大別される。
直接法では、内部流路15を構成する内壁面に被験物質を固相化した後、酵素で標識した抗体または被験物質中の抗体が特異結合する抗原を添加し、被験物質中の抗原または抗体と反応させる。次に、夾雑物を洗浄により除去し、標識した酵素に対する発色基質を添加して反応させ、発色した色素の吸光度や散乱光強度を測定することによって、被験物質中の抗原量または抗体量を測定する。発色した色素の散乱光強度の測定方法は、国際公開第2015/060269号を参照することができる。
間接法は、内部流路15を構成する内壁面に被験物質を固相化した後、酵素で標識した抗体(一次抗体)、その後、その抗体に対する酵素標識抗体(二次抗体)を反応させる。以降は、直接法の夾雑物の洗浄以降の操作と同様にして行うことができる。
競合法では、抗体が固相化されている容器1の内部流路15に、被験物質と酵素標識抗体を入れ、抗原抗体反応をさせる。以降は、直接法の夾雑物の洗浄以降の操作と同様にして行うことができる。
サンドイッチ法では、容器1の内部流路15に固相化されている抗体(一次抗体)と被験物質中の抗原を反応させた後、内部流路15を洗浄し、酵素標識抗体(二次抗体)を加えてさらに別の部位で抗原抗体反応をさせる。以降は、直接法の夾雑物の洗浄以降の操作と同様にして行うことができる。
上記検出方法は、被験物質を容器1の内部流路15に供給するとき、中央開口13以外の開口から被験物質を含む液体(サンプル液)を入れる工程(工程A)を有していることが好ましい。例えば、容器1に外側開口18が設けられている場合、外側開口18から被験物質を含む液体を入れる工程を有していることが好ましい。
上記検出方法は、中央開口13から洗浄液を入れる工程(工程B)と、容器1を回転させて、遠心力により洗浄液を複数の内部流路15にそれぞれ移動させる工程(工程C)を有しているものである。このように中央開口13から洗浄液を入れて、容器1に遠心力を付与するという簡便な方法で中央開口13と連通している複数の内部流路15に一斉に洗浄液を移動させることで容易かつ十分に容器1を洗浄することができる。このため、本発明の被験物質の検出方法によれば、操作者の習熟度によらず被験物質の検出精度を確保することができる。また、ポンプやバルブ等の周辺機器が不要な小型で安価な遠心器を洗浄器として利用することができる。
工程Bにおいて中央開口13から洗浄液を入れる方法や、工程Cにおいて容器1に遠心力を付与する方法は、それぞれ「2.容器の製造方法」の工程5、工程6と同様の方法で行うことができる。
1、1A、1B、1C:容器
10:基材
11:一方主面
12:他方主面
13:中央開口
15:内部流路
16:幅狭部
17:凸部
18:外側開口
19:補助開口
20:上側基材
25:第1貫通口
26:第2貫通口
30:下側基材
35:第1開口
36:第2開口
37:下側第1基材
38:下側第2基材
40:フィルタ
45:抗体
50:被験物質を検出する抗体を含む液体
51:洗浄液

Claims (10)

  1. 酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられる容器であって、
    一方主面と他方主面を有している基材を有し、
    前記基材は、前記一方主面側であって重心を含む中央開口と、前記中央開口と連通しており前記基材の放射方向に延在している複数の内部流路と、を有していることを特徴とする容器。
  2. 前記基材は、互いに積層されている上側基材および下側基材を有し、
    前記下側基材は、一方主面側に前記下側基材の重心を含む第1開口と、前記第1開口と連通しており、前記放射方向に延在している第2開口とを有し、
    前記上側基材は、前記第1開口と重なっている第1貫通口を有しており、
    前記中央開口が、前記第1開口および前記第1貫通口から形成されており、
    前記内部流路が、前記第2開口から形成されている請求項1に記載の容器。
  3. 前記下側基材は、互いに積層されている下側第1基材および下側第2基材から構成されており、
    前記第1開口および前記第2開口が、前記下側第1基材に設けられており、前記上側基材側から前記下側第2基材側に向かって貫通している請求項2に記載の容器。
  4. 前記放射方向において、前記第1開口の外方端が、前記第1貫通口の外方端よりも内方に形成されている請求項2または3に記載の容器。
  5. 前記基材は、前記中央開口よりも前記放射方向の外方であって、前記内部流路とそれぞれ連通している複数の外側開口を有している請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
  6. 前記内部流路の周囲に液体を吸収するフィルタが設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器。
  7. 前記内部流路を構成する壁面に被験物質を検出するための抗体が保持されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
  8. 酵素免疫測定法による被験物質の検出に用いられる容器を製造する方法であって、
    一方主面と他方主面を有する下側基材であって、前記一方主面側に前記下側基材の重心を含む第1開口と、前記第1開口と連通しており前記放射方向に延在している複数の第2開口を有する下側基材を準備する工程と、
    一方主面と他方主面を有する上側基材であって、前記上側基材の重心を含む第1貫通口と、前記第1貫通口の周囲に配置されている複数の第2貫通口を有する上側基材を準備する工程と、
    前記第1開口と前記第1貫通口を重ね、かつ前記第2開口と前記第2貫通口を重ねた状態で前記下側基材の一方主面と前記上側基材の他方主面を接合する工程と、
    前記第2貫通口から被験物質を検出する抗体を含む液体を入れる工程と、
    前記第1貫通口から洗浄液を入れる工程と、
    前記容器を回転させて、遠心力により前記抗体を含む液体の残液と前記洗浄液を排出する工程と、を有することを特徴とする方法。
  9. さらに、前記第2貫通口からブロッキング剤を含む液体を入れる工程と、
    前記第1貫通口から洗浄液を入れる工程と、
    前記容器を回転させて、遠心力により前記ブロッキング剤を含む液体の残液と前記洗浄液を排出する工程と、を有する請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器を用いて、酵素免疫測定法により被験物質を検出する方法であって、
    前記中央開口から洗浄液を入れる工程と、
    前記容器を回転させて、遠心力により前記洗浄液を複数の前記内部流路にそれぞれ移動させる工程と、を有する検出方法。
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