JP2019039312A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼室に必要量の吸気を行うと共に、燃焼室において良好な混合を行う内燃機関を構成する。【解決手段】クランクシャフト1と同期回転する吸気カムシャフト7と、吸気カムシャフト7の回転に伴う吸気バルブVaの開閉作動のタイミングを設定する弁開閉時期制御機構VTと、吸気カムシャフト7の回転に伴う吸気バルブVaのリフト量を設定するリフト量設定機構Lと、を備え、吸気カムシャフト7のカム部7aのうち、吸気バルブVaを開放作動させる開放作動領域7asを、回転軸芯Xを中心とする円弧状に設定した。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関に関する。
特許文献1には、バルブのリフト量を可変とする作動角可変機構と、バルブの開閉タイミングを変化させる可変バルブタイミング機構とを備えた内燃機関において、作動角可変機構と可変バルブタイミング機構とを制御する技術が記載されている。
特許文献2には、燃焼室の吸気バルブが開放した状態で、アクチュエータにより吸気バルブを開放状態に維持するバルブタイミング制御装置の技術が記載されている。この技術では、応答遅れに応じた適切なタイミングでアクチュエータを駆動してバルブの保持タイミングの制御を可能にしている。また、この特許文献2には、吸気カムシャフトのカムプロフィールの変更により、吸気バルブの開閉タイミングとリフト量とを切り換える技術も記載されている。
内燃機関では、吸気により燃焼室に取り入れた新気と、燃料と燃焼室において良好に混合することが適正な燃焼を実現する観点において好ましい。
特許文献1,2に記載される内燃機関では、吸気バルブが開放するタイミングにおいて、吸気バルブの開度が小さいため、燃焼室に対して新気(ポート噴射の場合、混合気)が高速に吸引され、タンブル流を発生させ良好な混合が可能となる。
つまり、内燃機関では、吸気バルブが開放作動を開始し、吸気バルブの開度が小さい状況で燃焼室が負圧になることにより、燃焼室においてタンブル流が発生し新気と燃料との混合を良好に行わせるものである。
しかしながら、特許文献1のように作動角可変機構によってリフト量を低減した場合や、特許文献2のようにカムプロフィールの切換により、吸気時にタンブル流を積極的に発生させることが可能になるものの、必要とする吸気量を得られないことになり改善の余地がある。
このような理由から、燃焼室に必要量の吸気を行うと共に、燃焼室において良好な混合を行う内燃機関が求められる。
本発明の特徴は、クランクシャフトと同期回転する吸気カムシャフトと、
前記吸気カムシャフトの回転に伴う吸気バルブの開閉作動のタイミングを設定する弁開閉時期制御機構と、
前記吸気バルブのリフト量を設定するリフト量設定機構と、を備え、
前記吸気カムシャフトのカム部のうち、前記吸気バルブを開放作動させる開放作動領域が、前記吸気カムシャフトの回転軸芯を中心とする円弧状に設定されている点にある。
前記吸気カムシャフトの回転に伴う吸気バルブの開閉作動のタイミングを設定する弁開閉時期制御機構と、
前記吸気バルブのリフト量を設定するリフト量設定機構と、を備え、
前記吸気カムシャフトのカム部のうち、前記吸気バルブを開放作動させる開放作動領域が、前記吸気カムシャフトの回転軸芯を中心とする円弧状に設定されている点にある。
この特徴構成によると、吸気カムシャフトの回転に伴い吸気バルブを開放作動させる際には、吸気カムシャフトのカム部のうち開放作動領域からの圧力により吸気バルブを開放作動させると共に、吸気バルブが開放状態に達した場合には決まった開度を維持する。これにより、リフト量設定機構により吸気バルブのリフト量を低減した場合には、小さい開度で継続的に吸気を行えるため、吸気を高速化しタンブル流を継続的に作り出すことが可能となり、リフト量を低減しても吸気量が不足する不都合も解消できる。更に、この構成では、弁開閉時期制御機構を備えているため、例えば、ピストンの下死点としてのBDCに達したタイミングと、吸気バルブの開放タイミングとしてのIVOとの関係を、吸気に適したタイミングに設定することも可能となる。
従って、燃焼室に必要量の吸気を行うと共に、燃焼室において良好な混合を行う内燃機関が構成された。
従って、燃焼室に必要量の吸気を行うと共に、燃焼室において良好な混合を行う内燃機関が構成された。
他の構成として、1つの燃焼室に一対の前記吸気バルブを備え、この一対の前記吸気バルブを個別に制御可能な位置に前記カム部をそれぞれ形成することで1つの燃焼室に一対の前記カム部が配置され、一対の前記カム部の各々の前記開放作動領域が、前記吸気カムシャフトの回転軸芯に沿う方向で連なる状態で前記吸気バルブの開閉タイミングを異ならせると共に、
前記リフト量設定機構が、一対の前記吸気バルブのうち開放姿勢にあるものに従って前記一対の前記吸気バルブを開放しても良い。
前記リフト量設定機構が、一対の前記吸気バルブのうち開放姿勢にあるものに従って前記一対の前記吸気バルブを開放しても良い。
これによると、リフト量設定機構により、吸気カムシャフトが回転する際には一対のカム部のうちの、一方からの力により一対の吸気バルブの両方を開放し、他方からの力により一対の吸気バルブの両方を継続して開放させることが可能となり、結果として、クランクアングルで大きい角度領域で吸気バルブを開放して吸気量の増大が可能となる。
他の構成として、前記リフト量設定機構が複数の燃焼室の各々に対応して独立にリフト量を設定できるように構成されても良い。
これによると、複数の燃焼室毎にリフト量の調節が可能となり、例えば、複数の燃焼室毎のリフト量を等しくすることも容易に行える。
他の構成として、前記吸気バルブの開時期であるIVOから、閉時期となるIVCまでの期間を、前記クランクシャフトの回転角で270度を超える値に設定しても良い。
これによると、IVOを、BDCより前のタイミングに設定した場合でも、IVCをTDCの後に設定することが容易となる。つまり、吸気行程においてピストンが上死点から下降を開始する以前に吸気バルブを開放しておき、ピストンが下死点に達した後に吸気バルブを閉塞するため、リフト量を低減した状態でも充分な量の吸気を可能にする。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、吸気バルブVaの開閉時期を設定する弁開閉時期制御機構VTと、吸気バルブVaのリフト量を設定するリフト量設定機構Lと、ECUとして機能するエンジン制御ユニット40とを備えて内燃機関としてのエンジンEが構成されている。
〔基本構成〕
図1に示すように、吸気バルブVaの開閉時期を設定する弁開閉時期制御機構VTと、吸気バルブVaのリフト量を設定するリフト量設定機構Lと、ECUとして機能するエンジン制御ユニット40とを備えて内燃機関としてのエンジンEが構成されている。
図1、図2に示す内燃機関Eは、乗用車等の車両に備えられるものを想定している。このエンジンE(内燃機関の一例)は、クランクシャフト1を支持するシリンダブロック2の上部にシリンダヘッド3を連結し、シリンダブロック2に形成された複数のシリンダボアにピストン4を摺動自在に収容し、ピストン4をコネクティングロッド5によりクランクシャフト1に連結して4サイクル型に構成されている。
このエンジンEでは一方の端部から他方に向けて#1気筒、#2気筒、#3気筒、#4気筒(図2では、#1、#2、#3、#4として示している)が配置され、シリンダの内部空間のうちピストン4とシリンダヘッド3との間に燃焼室が形成される。
シリンダヘッド3には、吸気時に開放する吸気バルブVaと、排気時に開放する排気バルブVbとを備え、シリンダヘッド3の上部に吸気カムシャフト7と、排気カムシャフト8とを備えている。また、クランクシャフト1の出力スプロケット1Sと、弁開閉時期制御機構VTの吸気側スプロケット21Sおよび排気側スプロケット8Sとに亘ってタイミングベルト6(タイミングチェーンでも良い)が巻回されている。
図2、図7に示すように、1つの燃焼室には一対の吸気バルブVaと、一対の排気バルブVbとを備えている。リフト量設定機構Lは、1つの燃焼室に1つ備えられ、4つの燃焼室毎に独立して吸気バルブVaのリフト量を設定することも可能に構成されている。
シリンダヘッド3には、ポート噴射型のインジェクター9と、点火プラグ10とが備えられている。シリンダヘッド3には、吸気バルブVaを介して燃焼室に空気を供給するインテークマニホールド11と、排気バルブVbを介して燃焼室からの燃焼ガスを送り出すエキゾーストマニホールド12とが連結されている。
このエンジンEでは、ポート噴射型のインジェクター9を備えているが、後述する別実施形態で説明するように筒内噴射型のインジェクター9を備えても良い。
インテークマニホールド11の上流位置にスロットルバルブ13を備えている。また、スロットルバルブ13の開度を検知するスロットルセンサ13Sを備えている。
このエンジンEでは、クランクシャフト1の近傍位置に単位時間あたりの回転数を検知するシャフトセンサ16を備えている。弁開閉時期制御機構VTの近傍に駆動ケース21と内部ロータ22との相対回転位相を検知する位相センサ17を備えている。駆動ケース21と内部ロータ22との構成については後述する。
エンジン制御ユニット40は、エンジンEを制御するECUとして機能し、燃焼制御部41と、位相制御部42と、リフト量制御部43とを備えている。燃焼制御部41はエンジンEの燃焼室での燃焼を制御する。位相制御部42は、弁開閉時期制御機構VTの相対回転位相を制御する。リフト量制御部43はリフト量設定機構Lでの吸気バルブVaのリフト量を制御する。このエンジン制御ユニット40の詳細と制御形態は後述する。
〔弁開閉時期制御機構〕
図2〜図5に示すように、弁開閉時期制御機構VTは、駆動ケース21と、内部ロータ22とを有すると共に、これらの相対回転位相を位相制御モータMの駆動力により設定する位相調節部を備えている。
図2〜図5に示すように、弁開閉時期制御機構VTは、駆動ケース21と、内部ロータ22とを有すると共に、これらの相対回転位相を位相制御モータMの駆動力により設定する位相調節部を備えている。
駆動ケース21は、外周にスプロケット21Sが形成されると共に、吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと同軸芯に配置されている。内部ロータ22は、駆動ケース21に対して相対回転自在に内包され、連結ボルト23により吸気カムシャフト7に連結固定されている。駆動ケース21と内部ロータ22との間に位相調節部が配置され、駆動ケース21の開口部分を覆う位置にフロントプレート24を配置し、これを複数の締結ボルト25により駆動ケース21に締結している。
この弁開閉時期制御機構VTでは、図3に示すようにタイミングベルト6からの駆動力により全体が駆動回転方向Sに回転する。また、位相制御モータMの駆動力により駆動ケース21に対する内部ロータ22の相対回転位相が、駆動回転方向Sと同方向に変位する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への変位を遅角方向Sbと称する。
〔弁開閉時期制御機構:位相調節部〕
図2〜図5に示すように、位相調節部は、内部ロータ22の内周に一体形成される複数の内歯部26Tを有し、回転軸芯Xと同軸芯に配置されるリングギヤ26を備えると共に、これに咬合するための複数の外歯部27Tを有し、回転軸芯Xに平行する姿勢の偏心軸芯Yと同軸芯に配置されるインナギヤ27を備え、偏心カム体28と、継手部Jとを備えて構成される。
図2〜図5に示すように、位相調節部は、内部ロータ22の内周に一体形成される複数の内歯部26Tを有し、回転軸芯Xと同軸芯に配置されるリングギヤ26を備えると共に、これに咬合するための複数の外歯部27Tを有し、回転軸芯Xに平行する姿勢の偏心軸芯Yと同軸芯に配置されるインナギヤ27を備え、偏心カム体28と、継手部Jとを備えて構成される。
この位相調節部では、リングギヤ26の内歯部26Tの歯数に対してインナギヤ27の外歯部27Tの歯数が1歯だけ少ないものが用いられている。
継手部Jは、駆動ケース21に対して内部ロータ22が回転軸芯Xに直交する方向への変位を許しつつ駆動ケース21と内部ロータ22との相対回転を阻止するオルダム継手として構成されている。(図4を参照)
図3に示すように、偏心カム体28は、回転軸芯Xと同軸芯で回転するようにフロントプレート24に対して第1軸受31により支持されている。この偏心カム体28には、回転軸芯Xに平行する姿勢の偏心軸芯Yを中心とする偏心カム面28Aが一体形成され、この偏心カム面28Aに対して第2軸受32を介してインナギヤ27が回転自在に支持される。また、偏心カム面28Aに形成した凹部にバネ体29を嵌め込み、このバネ体29の付勢力を、第2軸受32を介してインナギヤ27に作用させている。
この偏心カム体28は全体に筒状であり、内周には一対の係合溝28Bが回転軸芯Xと平行となる姿勢で形成されている。
これにより、リングギヤ26の内歯部26Tの一部にインナギヤ27の外歯部27Tの一部が咬合する。尚、第1軸受31と第2軸受32とはボールベアリングで構成されるものであるが、ブッシュで構成されるものでも良い。
図4に示すように、継手部Jは、板材をプレス加工して成る継手部材33を有しており、この継手部材33に形成した一対の係合アーム33Aを駆動ケース21の係合溝部21Gに係合させ、この継手部材33に形成した一対の係合凹部33Bをインナギヤ27の係合突部27Uに係合させて構成されている。
つまり、継手部材33は、中央部分が環状に形成されると共に、この環状の中央部分から外方に向けて一対の係合アーム33Aを突出形成し、環状の中央部分の空間と連なるように一対の係合凹部33Bを形成した構造を有している。
この継手部Jでは、継手部材33が、駆動ケース21の一対の係合溝部21Gを結ぶ直線方向に変位自在となり、この継手部材33に対してインナギヤ27が一対の係合突部27Uを結ぶ直線方向に変位自在となる。
位相制御モータMは、エンジンEに支持されると共に、出力軸Maに対して直交姿勢で備えた係合ピン34を備えており、この係合ピン34を、偏心カム体28の内周の係合溝28Bに嵌め込んでいる。尚、位相制御モータMには、ブラシレス直流モータが使用されるが、ステッピングモータ等の同期モータを用いても良い。
これにより、エンジンEが停止する状態で作動形態を考えると、位相制御モータMの駆動力で偏心カム体28が回転した場合には偏心カム面28Aが回転軸芯Xを中心に回転し、この回転に伴いインナギヤ27が回転軸芯Xを中心に公転を開始する。この公転時には、インナギヤ27の外歯部27Tとリングギヤ26の内歯部26Tとの咬合位置がリングギヤ26の内周沿って変位するためインナギヤ27には偏心軸芯Yを中心に自転させる力が作用する。
つまり、インナギヤ27が1回転だけ公転した場合には、リングギヤ26の内歯部26Tの歯数と、インナギヤ27の外歯部27Tの歯数と差(歯数差)に相当する角度(1歯に対応する角度)だけインナギヤ27に対して回転させようとする回転力(自転力)が作用する。
前述したように、継手部Jは、駆動ケース21に対するインナギヤ27の回転を規制する構造であるため、駆動ケース21に対してインナギヤ27が回転することはなく、インナギヤ27に作用する回転力により、駆動ケース21に対してリングギヤ26が回転し、このリングギヤ26と一体的に内部ロータ22が相対回転すること結果、駆動ケース21に対する吸気カムシャフト7の回転位相の調節が実現する。
特に、インナギヤ27が、回転軸芯Xを中心に1回転だけ公転した場合には、駆動ケース21に対して吸気カムシャフト7を、インナギヤ27の外歯部27Tの歯数と差(歯数差)に相当する角度だけ回転させるため大きい減速比での調節が実現する。
〔弁開閉時期制御機構:位相調節の概要〕
吸気側の弁開閉時期制御機構VTによる位相調節を例に挙げると、エンジン制御ユニット40の位相制御部42は、吸気カムシャフト7の回転速度と等速度で同じ方向に位相制御モータMの出力軸Maを駆動回転することで駆動ケース21と内部ロータ22との相対回転位相が維持される。
吸気側の弁開閉時期制御機構VTによる位相調節を例に挙げると、エンジン制御ユニット40の位相制御部42は、吸気カムシャフト7の回転速度と等速度で同じ方向に位相制御モータMの出力軸Maを駆動回転することで駆動ケース21と内部ロータ22との相対回転位相が維持される。
また、吸気カムシャフト7の回転速度を基準にして、位相制御モータMの回転速度を増大する又は低減することにより相対回転位相を進角方向Sa又は遅角方向Sbに変位させる。
特に、弁開閉時期制御機構VTは、位相制御モータMの駆動力により相対回転位相を変位させるため、油圧により変位を実現するものと比較して高速での作動が可能であり、エンジンEの始動時のように油圧が充分でない状況においても、必要とする回転位相に迅速に設定することが可能である。
〔リフト量設定機構〕
図1、図6に示すように、吸気バルブVaと排気弁バルブVbとは、バルブステム50が一体形成され、バルブスプリング51により閉じ方向に付勢されている。シリンダヘッド3の上部にロッカーアーム52が配置され、ロッカーアーム52の一方の端部をバルブステム50の上端部50aに当接させ、他方の端部をラッシュアジャスタ53の上端に当接させている。ロッカーアーム52の中間には受圧ローラ52aが回転自在に支持されている。
図1、図6に示すように、吸気バルブVaと排気弁バルブVbとは、バルブステム50が一体形成され、バルブスプリング51により閉じ方向に付勢されている。シリンダヘッド3の上部にロッカーアーム52が配置され、ロッカーアーム52の一方の端部をバルブステム50の上端部50aに当接させ、他方の端部をラッシュアジャスタ53の上端に当接させている。ロッカーアーム52の中間には受圧ローラ52aが回転自在に支持されている。
排気バルブVbは、排気カムシャフト8の排気側カム部8aがロッカーアーム52の受圧ローラ52aに当接することにより開閉作動する。これに対して、吸気バルブVaは、後述するリフト量設定機構Lがロッカーアーム52を作動させることで開閉する。前述したようにリフト量設定機構Lは1つの気筒(燃焼室)に対して1つ備えられ、リフト量を設定する場合には、4つのリフト量設定機構Lが同時に等しく制御される。
図6に示すように、リフト量設定機構Lは、吸気カムシャフト7の回転に伴い作動する作動アームLaと、リフト量制御モータLmの制御により作動するアーム位置設定部Lbとを備えている。また、このリフト量設定機構Lでは、シリンダヘッド3に固定された固定フレーム55に備えられた基準プレート56と、作動アームLaの位置を決めるトーションスプリング57とを備えている。
図7に示すように、作動アームLaは、アーム本体60と、一対の支持ローラ61と、一対の受動ローラ62とを備えている。アーム本体60は、全体的に縦方向き姿勢に配置され、下端に操作体60aが一体形成されている。
図6に示すように、支持ローラ61は、インナレースとアウタレースとの間に多数のボールを配置したボールベアリングが用いられている。この支持ローラ61は、アーム本体60の上部位置に貫通する支持軸61aの両端位置において回転自在に支持されている。支持軸61aは、吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと平行姿勢で備えられている。
図6、図8に示すように、トーションスプリング57は、互いに平行姿勢となる一対の線状の当接部を形成するようにバネ線材の加工により製造され、支持軸61aのうち支持ローラ61から外方に突出した突出部に、トーションスプリング57の付勢力が作用する。このトーションスプリング57の付勢力の作用により、一対の支持ローラ61を、基準プレート56の基準面56sと、アーム位置設定部Lbを構成する制御カム65の制御カム面65aとに同時に当接する。
受動ローラ62は、支持ローラ61と同様にインナレースとアウタレースとの間に多数のボールを配置したボールベアリングが用いられている。この受動ローラ62は、アーム本体60の中間位置に貫通する受動軸62aの両端に回転自在に支持されている。受動軸62aは、吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと平行姿勢で備えられ、受動ローラ62は吸気カムシャフト7の2つの吸気側カム部7aが当接する位置に配置されている。
図7に示すように、アーム位置設定部Lbは、固定フレーム55に対して回転軸芯Xと平行姿勢で支持した制御軸64と、この制御軸64に対して回転自在に外嵌した一対の制御カム65と、一対の制御カム65と一体回転するセクタギヤ66と、セクタギヤ66に噛合するウオームギヤ67とを備えて構成されている。ウオームギヤ67は前述したリフト量制御モータLmによって回転駆動される。
一対の制御カム65は一体回転する構造であり、一対の支持ローラ61に当接するように、この一対の支持ローラ61と等しい間隔で配置されている。制御カム65は外周に制御カム面65aが形成され、制御軸64を中心に回転姿勢が変化することにより支持ローラ61を変化させるようにプロフィールが設定されている。
このような構成から、図6に示すように、トーションスプリング57の付勢力により、一対の支持ローラ61は基準プレート56の基準面56sに当接すると同時に、一対の制御カム65のうち対応する制御カム65の制御カム面65aに当接することで位置が決まる。このように位置が決まることにより、アーム本体60は、支持軸61aの軸芯を中心に揺動自在となる。
図6、図8に示すように、吸気カムシャフト7に形成された吸気側カム部7aのうち突出部分は、回転軸芯Xを中心として等しい半径の円弧状となる開放作動領域7asが形成されている。回転軸芯Xに沿う方向視において一対の開放作動領域7asが連なるように一対の吸気側カム部7aが配置されている。つまり、吸気カムシャフト7のうち1つの燃焼室に対応した一対の吸気側カム部7aは、異なる開閉タイミングとなる位相で配置されるものであるが、一対の吸気側カム部7aの各々の開放作動領域7asを一連に配置することにより吸気バルブVaを連続して開放できるように構成されている。
〔リフト量設定機構の作動形態〕
図6に示すように、支持軸61aの位置が設定された状態で吸気カムシャフト7が回転することにより、吸気カムシャフト7の一対の吸気側カム部7aのうち回転方向での上流側のものが一対の受動ローラ62のうち対応するものに当接することでアーム本体60を揺動させる。この揺動によりアーム本体60の操作体60aがロッカーアーム52の受圧ローラ52aに押圧力を作用させ、このロッカーアーム52の揺動に伴いバルブステム50の上端部50aに圧力を作用させ吸気バルブVaを開放する。
図6に示すように、支持軸61aの位置が設定された状態で吸気カムシャフト7が回転することにより、吸気カムシャフト7の一対の吸気側カム部7aのうち回転方向での上流側のものが一対の受動ローラ62のうち対応するものに当接することでアーム本体60を揺動させる。この揺動によりアーム本体60の操作体60aがロッカーアーム52の受圧ローラ52aに押圧力を作用させ、このロッカーアーム52の揺動に伴いバルブステム50の上端部50aに圧力を作用させ吸気バルブVaを開放する。
図6では、吸気バルブVaのリフト量を最小リフト量Tminとして示している。前述したように吸気側カム部7aに形成された開放作動領域7asが回転軸芯Xを中心とする円弧状に形成されているため、吸気カムシャフト7の回転が継続する場合にも図11に示すように吸気バルブVaのリフト量は変化することはない。
吸気カムシャフト7の回転が進み、吸気カムシャフト7の一対の吸気側カム部7aのうち回転方向での下流側のものが一対の受動ローラ62のうち対応するものに当接した場合にも吸気バルブVaのリフト量は変化することはなく、その後、吸気カムシャフト7が所定角度だけ回転すると吸気バルブVaが閉塞する。
つまり、吸気カムシャフト7の吸気側カム部7aのうちの一方が対応する受動ローラ62に当接し、吸気側カム部7aのうちの他方が対応する受動ローラ62に当接することになるが、単一のアーム本体60に対して一対の受動ローラ62を備えているため、何れかの吸気側カム部7aが対応する受動ローラ62に当接する限り、アーム本体60を揺動させ、吸気バルブVaの開放を行わせるのである。そして、このアーム本体60の揺動に伴い一対のロッカーアーム52を更に揺動させ、一対の吸気バルブVaを同時に開放し、同時に閉塞させることが可能となる。
図8に示すように、リフト量制御モータLmの駆動によって、制御カム65を所定量だけ回転させた場合には制御カム面65aに当接する支持ローラ61が、基準プレート56の基準面56sに沿って移動する。支持ローラ61の位置が同図において右側に変位するほど、支持軸61aをロッカーアーム52の受圧ローラ52aに接近させて吸気バルブVaのリフト量を増大させることになり、同図では、吸気バルブVaのリフト量を最大リフト量Tmaxとして示している。
また、図8に示す設定において吸気カムシャフト7の回転が継続する場合にも図10に示すように吸気バルブVaのリフト量は変化することはない。尚、リフト量設定機構Lは図6〜図8に示す構成に限るものではなく、任意の構成のものを利用できる。
〔制御構成〕
図1に示すように、エンジン制御ユニット40は、吸気バルブVaのリフト量を設定すると共に、吸気バルブVaの開閉時期(開閉タイミング)を制御する。この制御を実現するためにエンジン制御ユニット40は、スロットルセンサ13Sと、シャフトセンサ16と、位相センサ17とからの検知信号が入力する。また、エンジン制御ユニット40には、位相制御モータMと、リフト量制御モータLmと、燃焼管理部19とに制御信号を出力する。
図1に示すように、エンジン制御ユニット40は、吸気バルブVaのリフト量を設定すると共に、吸気バルブVaの開閉時期(開閉タイミング)を制御する。この制御を実現するためにエンジン制御ユニット40は、スロットルセンサ13Sと、シャフトセンサ16と、位相センサ17とからの検知信号が入力する。また、エンジン制御ユニット40には、位相制御モータMと、リフト量制御モータLmと、燃焼管理部19とに制御信号を出力する。
燃焼制御部41は、燃焼管理部19の制御によりインジェクター9による燃料の噴射と、各燃焼室での点火プラグ10の点火とを管理する。位相制御部42は、弁開閉時期制御機構VTの位相制御モータMの制御により吸気バルブVaの開閉時期(開閉タイミング)を設定する。リフト量制御部43は、リフト量設定機構Lでの吸気バルブVaのリフト量を制御する。
燃焼制御部41と位相制御部42とリフト量制御部43とはソフトウエアで構成されるものを想定しているが、これらはロジック等を有する回路で成るハードウエアで構成されるものでも良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせによって構成されるものでも良い。
このエンジン制御ユニット40では、吸気サイクルで燃焼室において新気と燃料とを良好に混合させるため、リフト量設定機構Lの制御により吸気バルブVaのリフト量を低減することにより、燃焼室に吸引される気流の流速を増大させタンブル流を発生させる制御が行われる。また、この制御と並行して、弁開閉時期制御機構VTにより吸気時期の変位を修正する制御が行われる。
図9〜図11にはクランクアングルを横軸に取り、吸気バルブVaのリフト量を縦軸にとったタイミングチャートと、タイミングダイヤグラムとを示している。同図では、ピストン4の上死点をTDCとして示し、下死点をBDCとして示し、吸気バルブVaの開時期をIVOとして示し、閉時期をIVCとして示している。
特に、この構成では、吸気カムシャフト7の2つの吸気側カム部7aの位相を異ならせ、回転軸芯Xに沿う方向視で各々の吸気側カム部7aの開放作動領域7asが連続するように形成している。これにより、IVOをTDC以前に設定し、IVCをBDC以前に設定することも可能なり、リフト量を低減した状態で吸気行程において吸気が開始される時点から、吸気を終了する時点までリフト量を小さい状態に維持することでタンブル流による良好な混合を可能にしている。
図9のタイミングチャートでは、アイドリング時等の低トルク時のリフト量を低リフト量Minとして示し、標準的なトルク時のリフト量を中リフト量Midとして示し、高トルク時のリフト量を高リフト量Maxとして示している。リフト量制御部43では、低リフト量Minと、中リフト量Midと、高リフト量Maxとの3位置の他に、これらの中間位置にも設定可能に構成されている。
また、中リフト量Midに設定された状況でのIVOをTDC以前に設定し、IVCをBDC以前に設定するため、IVOからIVCにまでのクランクアングルは180度を超える値に設定される。更に、リフト量が中リフト量Midより小さい値に設定された場合にも、IVOからIVCにまでのクランクアングルを、270度を超えるように設定することが望ましい。
図9には、アイドリング時のように通常の開閉時期(バルブタイミング)が設定される際のIVOをIVO(n)として示し、これと同様にIVCをIVC(n)として示している。これに対しエンジンEの始動時のようにクランキングの負荷を軽減するために、開閉時期(バルブタイミング)を遅角方向に変位させた際のIVOをIVO(r)として示しており、これと同様にIVCをIVC(r)として示している。
これに対応して、図9の左側のタイミングダイヤグラムに示すように、アイドリング時のように通常の開閉時期では、排気領域Exの開放側と閉塞側の端部に、吸気領域Inの端部がオーバーラップする。また、図9の右側のタイミングダイヤグラムに示すように遅角方向に変位させた開閉時期(バルブタイミング)では、排気領域Exの開放側の端部と吸気領域Inの吸気側の端部とが非オーバーラップ(ネガティブオーバーラップ)状態となり、クランキング時の負荷の軽減を実現する。
リフト量制御部43では、例えば、アクセルペダルを踏み込んだ場合のように、エンジンEの吸気量を増大する場合には、スロットルバルブ13の開度を拡大すると同時に、図10のタイミングチャートに示すように、吸気バルブVaのリフト量を増大する制御が行われる。同図では最大リフト量Tmaxに対応するものを示している。このようにリフト量を増大した場合には、中リフト量Midと比較してIVOが進角方向に変位し、IVCが遅角方向に変位する。
これに対応するタイミングダイヤグラムでは、中リフト量Midと比較して排気領域Exの開放側と閉塞側の端部と、吸気領域Inの端部とのオーバーラップ量が増大する。
また、図11のタイミングチャートに示すように、リフト量を、最小リフト量Tminに設定した場合には、限られた領域で吸気バルブVaが開放することになるが、吸気時に燃焼室に吸引される気流を極めて高くするため、タンブル流による混合気の混合を良好に行わせる。このようにリフト量を最小に設定した場合でも、同図に示すタイミングダイヤグラムように、排気領域Exの開放側と閉塞側の端部に、吸気領域Inの端部がオーバーラップする。
特に、リフト量設定機構Lによって吸気バルブVaのリフト量を設定する場合には、この設定に連係してIVOが変化することになるが、IVOを決まったタイミングに維持するように弁開閉時期制御機構VTを制御することも可能である。尚、リフト量設定機構Lによりリフト量を設定した際のIVOの変位量は予め取得してテーブル化することが可能であるため、リフト量を設定する際には、テーブルデータから取得したデータに基づいて弁開閉時期制御機構VTが制御することになる。
〔実施形態の作用効果〕
このように、実施形態の構成のエンジンEでは、吸気行程において吸気バルブVaのリフト量を小さい値に維持できるので、燃焼室に吸引される気流の流速を高め、燃焼室でタンブル流を発生させ良好な混合状態を作り出し、燃焼速度を低下させることや、不完全な燃焼を招くことがなく良好な燃焼を実現する。
このように、実施形態の構成のエンジンEでは、吸気行程において吸気バルブVaのリフト量を小さい値に維持できるので、燃焼室に吸引される気流の流速を高め、燃焼室でタンブル流を発生させ良好な混合状態を作り出し、燃焼速度を低下させることや、不完全な燃焼を招くことがなく良好な燃焼を実現する。
また、1つの燃焼室に対応する一対の吸気側カム部7aの位相を異ならせ、回転軸芯Xに沿う方向視において各々の開放作動領域7asが一連に連なるように形成しているので、吸気バルブVaのリフト量を小さい値に設定した場合でも、吸気行程の全域においても吸気量の不足を招くことがない。
リフト量制御部43での制御では、エンジン負荷の上昇に伴い吸気量を増大させる場合には、吸気バルブVaのリフト量を増大させることにより対応が可能であり、このようにリフト量を増大させた場合にも燃焼室に吸引される気流の流速を、ある程度は高めた状態を維持できるため、良好な燃焼を実現する。
吸気行程の全域で燃焼室に吸引される気流の流速を高めるためには、IVOに達する以前や、IVOの直後に吸気バルブVaを開放することになる。これに対して、リフト量設定機構Lはリフト量の設定に伴いIVOのタイミングが変化するため、このリフト量の設定に伴い、吸気バルブVaのIVO(開時期)を決まったタイミングに設定することにより良好な燃焼を可能にする。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)弁開閉時期制御機構VTは、油圧式に作動する構成のものであってもよい。また、排気バルブVbの開閉時期を設定する弁開閉時期制御機構を備えても良い。
(b)実施形態では、ポート噴射型のインジェクター9を備えているが、筒内噴射型のインジェクター9を備えても良い。このように筒内噴射型のインジェクター9を備えたエンジンEでも、吸気バルブVaを介して燃焼室に吸引される気流の流速を高め、タンブル流の発生により新気と燃焼との良好な混合を実現する。
(c)吸気バルブVaは、1つの燃焼室に対して一対以上の数を備える構成であっても良い。例えば、1つの燃焼室に対して3つの吸気バルブVaを備え、吸気カムシャフト7の吸気側カム部7aを3つ備えているものでは、3つの吸気側カム部7aの各々に対して開放作動領域7asを形成することになる。
(d)IVOからIVCまでのクランクアングルを、270度を超えるように設定する。このように設定することにより、吸気バルブVaのリフト量が最小リフト量Tminに設定された場合にも、IVOをTDC以前に設定し、IVCをBDC以前に設定することも可能となる。これにより、吸気量の減少を抑制しつつ、燃焼室に吸引される気流の流速を極めて高く維持して良好な混合を実現する。
本発明は、吸気バルブのリフト量を設定可能な内燃機関に利用することができる。
1 クランクシャフト
7 吸気カムシャフト
7a カム部
7as 開放作動領域
L リフト量設定機構
Va 吸気バルブ
VT 弁開閉時期制御機構
X 回転軸芯
7 吸気カムシャフト
7a カム部
7as 開放作動領域
L リフト量設定機構
Va 吸気バルブ
VT 弁開閉時期制御機構
X 回転軸芯
Claims (4)
- クランクシャフトと同期回転する吸気カムシャフトと、
前記吸気カムシャフトの回転に伴う吸気バルブの開閉作動のタイミングを設定する弁開閉時期制御機構と、
前記吸気バルブのリフト量を設定するリフト量設定機構と、を備え、
前記吸気カムシャフトのカム部のうち、前記吸気バルブを開放作動させる開放作動領域が、前記吸気カムシャフトの回転軸芯を中心とする円弧状に設定されている内燃機関。 - 1つの燃焼室に一対の前記吸気バルブを備え、この一対の前記吸気バルブを個別に制御可能な位置に前記カム部をそれぞれ形成することで1つの燃焼室に一対の前記カム部が配置され、一対の前記カム部の各々の前記開放作動領域が、前記吸気カムシャフトの回転軸芯に沿う方向で連なる状態で前記吸気バルブの開閉タイミングを異ならせると共に、
前記リフト量設定機構が、一対の前記吸気バルブのうち開放姿勢にあるものに従って前記一対の前記吸気バルブを開放する請求項1に記載の内燃機関。 - 前記リフト量設定機構が複数の燃焼室の各々に対応して独立にリフト量を設定できるように構成されている請求項1又は2に記載の内燃機関。
- 前記吸気バルブの開時期であるIVOから、閉時期となるIVCまでの期間を、前記クランクシャフトの回転角で270度を超える値に設定している請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関。
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-
2017
- 2017-08-22 JP JP2017159755A patent/JP2019039312A/ja active Pending
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