JP2019038553A - 包装容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓋材を開封する際に、開封予定範囲を超えて容器本体から開封されることがないようにした包装容器を提供する。【解決手段】収容部の上面に開口部11を有し、前記開口部11から外方向に延びたフランジ部14を有する熱可塑性樹脂からなる容器本体10と、前記フランジ部14の全域に亘って熱接着されることで前記収容部を密封する蓋材20と、からなる包装容器1であって、前記フランジ部14と前記蓋材20が領域によって異なる条件下で熱接着されており、領域間におけるピール力の差が1.8N以上である包装容器1。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂でできた包装容器に関する。より詳しくは、蓋材と熱可塑性樹脂でできた容器本体とが熱接着される際に、領域によって異なる条件下で熱接着されている包装容器に関する。
現在、包装容器内に食品を内包した多種多様な製品が市場に流通している。一例としては即席食品が挙げられ、さらに即席食品としては容器入りの即席麺が挙げられる。容器入り即席麺は、密封された容器の蓋材を開封した後、容器内に規定量の熱湯を注湯して数分間放置するだけで喫食できる、極めて簡便性の高い食品である。
ところで、容器の蓋材は即席麺を湯戻しする際に重要な役割を果たす。容器の蓋材を全部剥がしてしまうと、お湯が冷めやすくなってしまい、湯戻りに必要な熱量が不足してしまうおそれがある。そこで、開封後に蓋材を再封し、湯戻りに必要な熱量を確保するための手段として、再封止手段が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の再封止手段は、摘まみ片の略中央に切り込み線によって形成された切り込み片を設け、切り込み片の先端部を、フランジ部の下面の一部に係止させる構成となっている。
特開2001-48220号公報
しかしながら、特許文献1の再封止手段は蓋材の開封範囲を制御するものではない。そのため、開封予定範囲を超えて蓋材を開封してしまった場合、再封止しても容器本体と蓋材との間に隙間ができてしまい、熱が逃げやすくなってしまうといった問題がある。また、湯戻し後に湯切りして喫食するような容器入り即席麺の場合、開封予定範囲を超えて開封してしまうと、湯切りの際に本来ならば漏れ出さないはずの箇所から湯が漏れ出す恐れもある。このように、蓋材を開封する際には、開封予定範囲を超えて開封されないようにすることが求められているが、いまだ満足のいくものは得られていない。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、蓋材を開封する際に、開封予定範囲を超えて容器本体から開封されることがないようにした包装容器を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、収容部の上面に開口部を有し、前記開口部から外方向に延びたフランジ部を有する熱可塑性樹脂からなる容器本体と、前記フランジ部の全域に亘って熱接着されることで前記収容部を密封する蓋材と、からなる包装容器であって、前記フランジ部と前記蓋材が領域によって異なる条件下で熱接着されており、領域間におけるピール力の差が1.8N以上である包装容器である。
このような構成によると、領域間におけるピール力の差が存在するため、開封予定範囲を認識することができる。これにより、開封予定範囲を超えて容器本体から蓋材が開封されることを防ぐことができる。
本発明によれば、蓋材を開封する際に、開封予定範囲を超えて容器本体から開封されることがない。これにより、湯戻りに必要な熱量を確保することができる。また、湯切りの際に、意図しない個所から湯漏れによる火傷などを防ぐことができる。
本発明にかかる包装容器の断面図である。 本発明にかかる容器本体のフランジ部の拡大図である。 本発明にかかる容器本体のフランジ部と蓋材との熱接着状態を説明するための説明図であって、(a)は弱い接着状態を示し、(b)は強い接着状態を示す説明図である。 第一実施形態にかかるPSP製容器本体のフランジ部と蓋材との熱接着状態を説明するための説明図である。 第二実施形態にかかるPSP製容器本体のフランジ部と蓋材との熱接着状態を説明するための説明図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、以下のすべての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付しており、その重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本発明における包装容器1の断面図である。本発明にかかる包装容器1は、熱可塑性樹脂からなる容器本体10と、蓋材20とで構成される。さらに、本発明にかかる容器本体10は、上方に開口部11を有し、さらに底面部12と側面部13を有する。また、本発明にかかる容器本体10は、開口部11から外側に伸びるフランジ部14を有している。
容器本体10に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂層は単層でも良いし、積層であっても良い。
本発明にかかる熱可塑性樹脂容器の成形方法としては、真空圧縮発泡成形、射出成形、圧空成形、熱板成形などの慣用の成形方法を用いることができる。このうち、真空圧縮発泡成形が好ましい。
本発明においては、容器本体10が発泡成形されていることが好ましい。発泡成形の場合、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加することができる。発泡剤としては、公知の発泡剤が挙げられ、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、ヘキサン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル化合物、二酸化炭素、窒素、アンモニア、水等が挙げられる。また、前記発泡剤として、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸水素ナトリウム、クエン酸等の有機酸又はその塩と炭酸水素ナトリウムとの混合物等の分解性の発泡剤が用いられてもよい。
これらの発泡剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
次に、容器本体10のフランジ部14の形状について、図2を参照しながら説明する。本発明にかかるフランジ部14は、容器本体10と一体的に設けられている。また、本発明にかかるフランジ部14の上面と下面は、それぞれ異なる形状となっている。フランジ部14の上面は、外周縁から容器側面部13に向かって平坦な面141から上方に向かって弧を描く凸部142が形成されている。一方、フランジ部14の下面は、外周縁から容器側面部13に向かって平坦な面143から上方に凹んだ凹部144が設けられている。凹部144は凸部142より側面部13寄りに設けられていることが好ましい。凹部144の形状は特に制限されないが、矩形状であることが好ましい。
フランジ部14の厚みHは2〜5mmであることが好ましい。ここで、フランジ部14の厚みHとは、凸部142の頂点をO、凹部144の上面の頂点をPとしたときの、Oから頂点Pを通る水平線におろした垂線の長さを意味する。厚みHが2mm未満だと、耐久性がないため、好ましくない。
フランジ部14の幅Wは6〜10mmであることが好ましい。ここで、フランジ部14の幅は次のようにして求めることができる。フランジ部14の外周縁端部と接するように水平面に対して垂直に引いた接線Aと、凸部142の頂点Oと接するように水平に対して並行に引いた接線Bとが交差する点をQとする。次に、容器本体10の側面部13の延長線Cと接線Bとが交差する点をRとしたときに、点Q−R間の最短距離がフランジ部14の幅Wとなる。幅Wが6mm未満だと、蓋材20と十分な接着が得られないため、好ましくない。
フランジ部14に凹部144を設けることで容器が変形した際に破損しないように耐久性を付与することができる。なお、フランジ部14に凹部144を設けた場合でも、フランジ部14の厚みHが薄いと容器が破損しやすくなるため、凹部144と厚みHのバランスを考慮することが重要である。
蓋材20の構成としては特に制限されず、単層でも多層構造であってもよい。多層構造の場合、容器本体10に用いられる熱可塑性樹脂との接着強度に応じて構成すればよい。一例としては、容器の内側からシーラント層/アルミ/ポリエチレン層/印刷層の構成が挙げられる。
蓋材20と容器本体10の接着機構は、蓋材20を容器本体10から剥がす際の剥離機構に基づいて定めることができる。剥離機構としては、凝集剥離、界面剥離または層間剥離に大別できる。ブレンドする粒子の大きさやブレンド材の種類を変えればよい。このうち、凝集剥離機構は、熱可塑性樹脂に非相溶系あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂をブレンドすることで設計される。凝集剥離機構における剥離原理としては、非相溶系あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂ブレンド層の凝集力が小さいことを利用し、開封時は蓋材最内シーラントとフランジ部との界面ではなく、非相溶系あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂ブレンド層の凝集破壊を利用することが挙げられる。
非相溶系あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂の材料としては、ワックスや粘結材をブレンドしたEVA系材料や、ポリオレフィン/ポリスチレン系、ポリエチレン/ポリプロピレン系などの非相溶ポリマーアロイが知られており、ピール強度のシール温度安定性、夾雑物シール性、耐内容物性に優れているという特徴がある。
次に、容器本体10と蓋材20との熱接着方法について説明する。
容器本体10を嵌めた時に、フランジ部14が引っ掛かるような穴の開いた型に設置し、開口部11の上に蓋材20を置く。ヒートシーラーによって、まず熱接着(以下、「シール」という場合がある。)条件のうち、弱い接着(以下、「一次シール」という場合がある。)条件に基づいてフランジ部14周囲全体を熱接着する。このとき、弱い接着条件としては、100〜110℃、0.1MPaの圧力程度である。これにより、蓋材20が開口部11からずれることを防ぎ、密封性を付与することができる。
続いて、強い接着(以下、「二次シール」という場合がある。)条件で接着する箇所に合わせた形状をしたヒートシーラーによって、熱接着を行う。強い接着条件としては、120〜145℃、0.3MPa以上の圧力である。なお、ここではヒートシーラーを2台用いた場合を想定して説明したが、ヒートシーラー一台のみで行ってもよい。例えば、ヒートシーラーを目的の接着強度に応じて切り欠いた段差構造とすることで、目的を達成することができる。また、強い接着条件のみのヒートシーラーを1台だけ使うのであれば、弱い接着条件に対応した個所の蓋材20の上に熱が加わりにくい部材を置いて、加わる温度を調整して熱接着してもよい。なお、ヒートシーラーを2台用いる場合であれば、一次シール後に、弱い接着条件に対応した個所に熱が加わらないようにした別部材を載置した後に二次シールする方法が好ましい。
接着方法についてより詳細に説明すると、台座には、容器本体10が嵌め込まれるための窪みと、容器本体10及び蓋材20の位置を決めるための位置決め部材が設けられている。窪みは容器本体10の形状と同じ形状となっており、容器本体10よりもわずかに大きく形成されている。
まず、台座に対して、容器本体供給装置から容器本体10が開口部11を上方に向けて窪みの形状に合わせて供給される。ここで、窪みは容器本体10よりもわずかに大きいため、容器本体10が窪みに嵌り込み、容器本体10のフランジ部14が台座の窪み周囲の面に当接する。これにより、容器本体10が台座に支持されるようになっている。なお、容器本体10が窪みに嵌めこまれる際に、位置決め部材によって、容器本体10の位置が微調整される。
次に、台座に設置された容器本体10内に、食品充填装置から食品が充填される。次いで、蓋材供給装置から蓋材20が供給される。供給された蓋材20は、位置決め部材によって容器本体10との位置ずれが調整される。これにより、包装容器内に所定の空間が形成できる。その後、上からシールヘッドが下降し、蓋材20の上から圧力と温度をかけて一次シールを行う。このときの圧力と熱の一例としては、0.1MPa、105℃である。これにより、蓋材20と容器本体10のフランジ部14同士が接着され、弱接着部ができる。
ここで、弱接着部は図3(a)に示すように、フランジ部14の凸部142のみが圧力で潰れて蓋材20と接着される。それに対して、フランジ部14の上面にある平坦な面141とは接着されない。これにより、シール幅が狭くなり、剥離強度が低くなる。一方、蓋材20と平坦面141の間には隙間ができる。
次に、強接着を行わない個所に熱伝導率の低い別部材を設置する。別部材としては、ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。また、強接着を行う部分には熱伝導率の高い部材を設置する。熱伝導率の高い部材としてはアルミが挙げられる。なお、熱伝導率の高い部材と低い部材はあらかじめ一体なっていることが好ましい。これにより、部材同士の厚みを同じにすることができるので、容器本体10への圧力のかかりを均一にすることができる。
その後、上からシールヘッドが下降し、蓋材20の上から圧力と温度をかけて二次シールを行う。このときの圧力と熱の一例としては、0.3MPa、120℃である。これにより、強接着部が形成される
ここで、強接着部は図3(b)に示すように、フランジ部14の凸部142だけでなく、蓋材20がフランジ部14上側の平坦面141とも接着する。これにより、弱接着部より強固に蓋材20と接着することとなる。なお、より幅広な範囲で蓋材20と接着させるためには、圧力が重要な因子となる。
最後に、蓋材20とフランジ部14が熱接着された包装容器1が製造装置から取り出される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。また、本発明の各特性は、以下の方法により評価した。
(フランジ部形状の効果について)
開封予定範囲を超えて容器本体から開封されないようにするためには、剥離力の差が重要となる。換言すれば、接着部間における接着力の差が重要となる。ここでは、フランジ部形状の違いによる接着力の格差について検証を行った。
[実施例1]
市販のPSPシートを真空成形し、フランジ部の幅Wが6mm、フランジ部の高さHが3mmの容器本体を作製した。また、内側から、シーラント層/アルミ層/ポリエチレン層/印刷層からなる蓋材を用意した。
次に、上述したように、熱接着用の台座に容器本体を設置し、フランジ部端部に合わせて蓋材を載置した。そして、0.1MPa,105℃の条件で1秒間、一次シールを行った。次に、開口部である蓋材の下半分側(開封用の把持部を備える側)に熱伝導性の低い樹脂材、上半分側に熱伝導性の高い金属部材からなる被覆部材を用いて、被覆部材の上から、0.3MPa,120℃の条件で1秒間二次シールを行い、実施例1に係る包装容器を得た。
[比較例1]
フランジ部が平坦で水平方向に延びている点以外は、実施例1の容器本体と同じである。なお、比較例1のフランジ部の幅は6mmであり、フランジ部の厚みは3mmである。
蓋材は実施例1と同じものを使用し、実施例1と同じ条件でシールを行った。
<剥離強度(ピール力)の測定>
実施例1および比較例1の蓋材を容器本体から剥がす際の剥離強度を測定した。剥離強度(ピール力)の測定は、引張試験機(ORIENTEC社製 製品名「RTC-1310A」)を用いて実施した。容器本体と蓋材とを一次シール及び二次シールした後、把持部をエアージョウで挟み、300mm/minの速さでエアージョウを垂直方向に引っ張り、その時の抵抗力を剥離強度とした。
結果を表1に示す
Figure 2019038553
表1から明らかなように、実施例1の方が比較例1よりもピール力の差が大きかった。一方、比較例1では一次シール領域の剥離力と二次シール領域の剥離力の差を感じにくかった。この理由としては次のように考えられる。接着力は、温度、圧力、時間が重要な因子であり、さらに接着するフランジ部の面積によって最終的な接着力が定まる。接着力が強ければ、その分、剥離力も強くなる。比較例1は平坦なフランジ部が開口部周囲に同じ幅で設けられており、蓋材とフランジ部との接着面積は接着領域に関わらず常に同じである。比較例1の蓋材を把持部から剥がした場合、蓋材とフランジ部の剥離箇所における接触単位面積ははじめ広く、開口部の開口面積が半分達するまで漸減し、その後、蓋材を剥ぎ取るまでまた漸増する。かかる場合、フランジ部幅が同じであるため、最終的には弱い接着領域と強い接着領域との差は温度と圧力に依存することとなる。
これに対して、実施例1では蓋材とフランジ部の接触幅は接着領域によって異なる。また、接着領域によって温度と圧力も異なる。そのため、弱い接着領域と強い接着領域との差は、フランジ部幅、温度および圧力が関与することとなり、比較例1よりも剥離力の差を大きく感じるものと考えられる。なお、比較例1に比べて実施例1は弱い接着領域において蓋材と接着しているフランジ部幅が狭いため、比較例1よりも総じて剥離力は小さくて済む。そして、小さい剥離力で剥離していった後、強い接着力の領域に当たると、感覚的に実際よりもより強く抵抗を感じるものと考えられる。
次に熱接着条件による効果の違いについて検証を行った。
[実施例2、比較例2]
一次熱接着を0.2MPaに変更した以外は実施例1、比較例1と同じである。
[実施例3、比較例3]
一次熱接着を120℃に変更した以外は実施例1、比較例1と同じである。
[実施例4、比較例4]
二次熱接着を135℃に変更した以外は実施例1、比較例1と同じである。
[実施例5、比較例5]
二次熱接着を0.4MPa、135℃に変更した以外は実施例1、比較例1と同じである。
結果を表2及び表3に示す。
Figure 2019038553
Figure 2019038553
実施例2,3は一次シールの条件を変更したものである。実施例1と実施例2,3を比較すると一次シール部のピール強度および一次シール部のシール幅が増していることがわかる。一方、実施例2及び実施例3を比較すると、一次シールの温度または圧力を変更しても、ピール強度およびシール幅はほとんど変わっていないことがわかる。なお、圧力が高い方が、若干ではあるがシール幅が増していることがわかる。また、二次シール部のピール強度および二次シール部のシール幅については変化が認められなかった。
実施例4,5は二次シールの条件を変更したものである。実施例1と実施例4,5を比較すると一次シール部のピール強度および一次シール部のシール幅には変化が認められなかった。一方、二次シール部のピール強度および二次シール部のシール幅が増していることがわかる。さらに、実施例4と実施例5を比較すると、実施例5のシール条件の方が強いにもかかわらず、結果はほとんど変わらなかった。これは実施例4のシール条件で蓋材とフランジ部が十分に接着しているため、それ以上のシール条件を変更してもシール状態に変化が起こらないためと考えられる。
これに対して、比較例2,3では比較例1とほぼ同一の結果が得られた。これはフランジ部がフラットであるため、比較例1の条件で蓋材とフランジ部が十分に接着しており、シール条件を変えたとしてもシール状態に変化が起こらないためと考えられる。すなわち、一次シールについては、それ以上のシール条件でシールしても効果に差がないことを示唆している。
比較例4,5についてみると、比較例1よりも二次シール部のピール力が増加していることがわかる。比較例1に比べれば剥離強度差が出ているが、それでも開封範囲を制御するには十分とは言えないものであった。
(フランジ部幅の効果について)
続いて、蓋材と接着するフランジ部の幅について検証を行った。フランジ部の幅は密封性の確保とともに易開封性という二律背反の効果を奏する必要がある。また、一次シール領域と二次シール領域とのピール力差において明確な差が出るようにする必要がある。
[実施例6〜10]
フランジ部幅を8mmに変更した以外は実施例1〜5と同じである。
結果を4に示す。
Figure 2019038553
実施例6〜10は、フランジ部の長さを2mm延ばしたことによって、二次シール部のシール幅が増えていることがわかる。また、シール幅が増えたことによってピール力差も増えており、実施例1〜5と比べて最低でも2N以上のピール力差が増えている。この結果から、開封範囲を超えて開封されないようにするためには、フランジ部の長さを変えることも一つの手段であることがわかる。
また、比較例1〜5と比べた場合であっても、ピール力差が最低でも3N以上増加していることがわかる。これにより、開封範囲を超えて開封されることがないようにすることができる。
以上の結果より、本発明においては、一次シール領域としては、3mm以上あることが好ましい。1mm未満だとピール力は小さくて済むが、代わりに接着不良が発生しやすくなり、運搬時や店頭陳列時などに不意な外力が加わると蓋が剥離しやすくなってしまうといった問題が生じやすくなる。そのため、不意な外力が加わっても剥離しにくい3mm以上が好ましい。一方、二次シール領域との差が1.5mm未満だとピール力差を得られにくくなってしまう。
一方、二次シール領域としては、7mm以上15mm以下であることが好ましい。一次シール領域との差が1.5mm未満だと一次シール接着領域との剥離力の差が得られにくくなる。一方、15mmより大きくなると、剥離するのが難しくなるとともに、剥離時に蓋材のフランジ部相当部分が破壊しやすくなるため好ましくない。
また、一次シール領域と二次シール領域とのピール力差は、少なくとも1.8N以上あることが好ましく、2.0N以上あることがより好ましく、4.0N以上あることがさらにより好ましい。1.8N以上あれば、明確なピール力の差を感じるため、開封予定範囲を超えて容器本体から開封されることを防ぐことができる。一方、1.8N未満だと、剥離時にピール力の差を感じにくいため、誤って開封予定を超えて容器本体から開封される恐れがある。なお、上記実施例においては、一次シール領域では3〜4mm、二次シール領域では6〜8mmの範囲内で、ピール力の差が2.0N以上となる組み合わせを選択すればよい。
上記実施例では図4に示すように、2種類の接着領域を採用した容器を例に説明したが、図5に示すように、3つの接着領域を設けてもよい。3つの接着領域を設けることで、例えば注湯に際していったん開封を留め、喫食時に蓋材を全て剥離する際には剥離しやすくすることができる。
以上説明したように、本発明によればフランジ部と蓋材が領域によって異なる条件下で熱接着される。そして、異なる条件下で熱接着されたことにより、剥離力に差を設けることができるため、蓋材を開封する際に開封予定範囲を超えて容器本体から開封されるのを防ぐことができる。
1 包装容器
10 容器本体
11 開口部
12 底面部
13 側面部
14 フランジ部
141 フランジ部上側の平坦面
142 凸部
143 フランジ部下側の平坦面
144 凹部
20 蓋材
H フランジ部の高さ
W フランジ部の幅

Claims (1)

  1. 収容部の上面に開口部を有し、前記開口部から外方向に延びたフランジ部を有する熱可塑性樹脂からなる容器本体と、前記フランジ部の全域に亘って熱接着されることで前記収容部を密封する蓋材と、からなる包装容器であって、
    前記フランジ部と前記蓋材が領域によって異なる条件下で熱接着されており、
    領域間におけるピール力の差が1.8N以上である包装容器。
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