JP2019037349A - 食器及びワーク - Google Patents

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Yoshitaka Gunji
吉隆 郡司
聡 宮原
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聡 宮原
眞二 栗原
Shinji Kurihara
眞二 栗原
尹 祐根
Wookeun Yoon
祐根 尹
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Abstract

【課題】ピッキング作業を行うロボット及び作業員にとって認識率の高い食器、ワークを提供することにある。
【解決手段】本実施形態に係る食器200は、高台220を備え、高台220の表面に食器200の種類に応じて割り当てられ且つ人間が視認し識別することの可能な形態を備えた識別子230が表記され、識別子230の位置と範囲と向きとを特定するための少なくとも2直線が組み合わされてなるシンボル240が識別子230に併記される。
【選択図】 図3

Description

本発明の実施形態はロボットシステムによるピッキング対象の食器及びワークに関する。
現在の外食産業における重要な課題の一つは労働力不足に起因する省力化である。この課題を解決する一つの対策として、ロボットを導入する事例が増加している。例えば、食器の洗浄作業にロボットを導入した事例では、食器洗浄機で洗浄され、ピッキングエリアに運ばれてきた食器をピックアップして、所定のリリースエリアにリリースするロボットが使用される。このようなシステムでは、ピッキングエリアに運ばれてきた食器の種類をロボットに認識させるために、ピッキングエリアを俯瞰する位置にカメラが配置される。ロボットは、カメラで取得したピッキングエリア画像を二値化し、食器の輪郭を抽出し、その輪郭をテンプレートマッチング処理にかけることで、食器の種類を判別することができる。しかしながら、ピッキングエリア画像を撮影するカメラは作業員が往来する厨房内に配置されるため、作業員の影となってピッキングエリア画像から食器の輪郭を正確に抽出できず、食器を認識できない場合がある。また、食器洗浄機で洗浄された食器に付着する水滴は食器認識率の低下を生じさせる。一方で、作業員が足りているとき、作業員が食器のピッキング作業を行うことがある。作業員はピッキングエリアに運ばれてきた食器を目視し、その食器の種類を判別してからピッキング作業を行う。しかしながら、特に絵柄、形状が同一で大きさだけが異なる食器の目視による判別は難しく、作業員によるピッキング作業の効率が低下する。
目的は、ピッキング作業を行うロボット及び作業員にとって認識率の高い食器、ワークを提供することにある。
本実施形態に係る食器は、ロボットシステムによるピッキング対象である。前記食器は高台を備え、前記高台の表面に前記食器の種類に応じて割り当てられ且つ人間が視認し識別することの可能な形態を備えた識別子が表記され、前記識別子の位置と範囲と向きとを特定するための少なくとも2直線が組み合わされてなるシンボルが前記識別子に併記される。
図1は、本実施形態に係る食器が使用されるロボットシステムの全体外観を表す斜視図である。 図2は、図1のロボットアーム機構を表す斜視図である。 図3は、本実施形態に係る食器を表す下方斜視図である。 図4は、図3の食器の高台に表記される識別子とシンボルとを表す図である。 図5は、図4のシンボルが表記される位置を示す図である。 図6は、図4の識別子の他の例を示す図である。 図7は、図4のシンボルの他の例を示す図である。 図8は、図4のシンボルの他の例を示す図である。 図9は、図1のロボット装置のブロック構成図である。 図10は、図1のロボット装置による食器の判別手順を示すフローチャートである。 図11は、図10のフローチャートの各手順を絵図にして表す図である。 図12は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第1段階を表す図である。 図13は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第2段階を表す図である。 図14は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第3段階を表す図である。 図15は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第4段階を表す図である。 図16は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第5段階を表す図である。 図17は、図1のロボットアーム機構による食器のピックアップ動作の第6段階を表す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る食器を説明する。
食器洗浄システムは、食器洗浄機300とロボット装置100とを有する。図1に示すように、食器洗浄機300は、直線的に配置された洗浄用コンベア310を有する。洗浄用コンベア310は洗浄室360を跨いで配置される。ロボット装置100はロボットアーム機構101を備える。ロボットアーム機構101は、その可動範囲内に洗浄用コンベア310の下流側であって、洗浄用コンベア310上に規定されたピッキングエリアの全域が含まれる位置に配置される。このロボットアーム機構101の可動範囲内には、ロボットアーム機構101によりピッキングされた食器200を収容するストックラック350を載置するストック台340が配置される。ロボットアーム機構101のストックエリア(リリースエリアともいう)はストックラック350の内側に位置合わせされる。ロボット装置100はピッキングエリアを撮影するカメラ103を備える。カメラ103は洗浄用コンベア310上のピッキングエリアを俯瞰する位置に設置される。カメラ103で撮影したピッキングエリア内の画像はロボット装置で画像処理され、それによりロボット装置100は、ピッキングエリアに搬送された食器200の属性を認識する。
作業員は予備洗浄用シンク320で予備洗浄した食器200を、その高台が上向きになるように洗浄用コンベア310に載置し、予備洗浄用シンク320の下方の床面に配置されたフットスイッチ330を踏下する。フットスイッチ330が踏下されたのを契機に、洗浄用コンベア310が予め定められた長さを移動するとともに、洗浄室360内で洗浄水及びすすぎ水が噴出される洗浄動作が開始される。洗浄用コンベア310に載置された食器200は、洗浄室360の中を移動されながら洗浄される。洗浄室360の中で洗浄された食器200は、洗浄用コンベア310によりピッキングエリアに搬送される。ピッキングエリアに搬送された食器200は、ロボット装置100により認識され、ロボットアーム機構101により順次ピックアップされ、ストックエリアにリリースされる。ストックエリアにリリースされた食器200は、作業員によって収納される。上記の食器洗浄システムによれば、作業員は食器200の予備洗浄をし、予備洗浄した食器200を洗浄用コンベア310の上に載置し、フットスイッチ330を押すだけで、その後の食器200の洗浄作業と食器200のピッキング作業とをロボット装置100に担当させることができる。このように、食器200の洗浄工程にロボット装置100を導入することで、作業員は、空いた少しの時間で、ロボット装置100と協働して、食器200の洗浄作業を行うことができ、作業員の不足を解消することができる。
(ロボットアーム機構101)
図2は、図1のロボットアーム機構101の外観斜視図である。ロボットアーム機構101は、略円筒形状の支柱部2と、支柱部2の上部に載置される起伏部4と、起伏部4から伸延するアーム部5と、アーム部5の先端に取り付けられる手首部6を備える。手首部6の後述する第6回転軸RA6の回転部には図示しないアダプタが設けられている。このアダプタに吸着パッド8を備えるエンドエフェクタ7(手先効果器)が取り付けられる。
ロボットアーム機構101は、複数、ここでは6つの関節部J1,J2,J3,J4,J5,J6を有する。第1、第2、第3関節部J1,J2,J3は手首部6の位置を変化させる根元3軸と呼ばれ、第1、第2、第3関節部J1,J2,J3の主要構成部分は支柱部2に収容される。第4、第5、第6関節部J4,J5,J6は主にエンドエフェクタ7(手先効果器)の姿勢を変化させる手首3軸と呼ばれ、第4、第5、第6関節部J4,J5,J6の主要構成部分は手首部6に収容される。
第1関節部J1は、鉛直方向に平行な回転軸RA1を備える旋回用の回転関節部であり、第1関節部J1の回転によりアーム部5は左右に旋回回転される。第2関節部J2は、回転軸RA1に対して直交する回転軸RA2を備える起伏用の回転関節部であり、第2関節部J2の回転によりアーム部5は上下に起伏する。第3関節部J3は、直動伸縮機構により提供される。直動伸縮機構は発明者らが新規に開発した構造を備えており、可動範囲の観点でいわゆる従来の直動関節とは明確に区別される。第3関節部J3のアーム部5は伸縮軸RA3に沿って伸縮する。このように、根元3軸は、旋回用関節部、起伏用関節部及び直動伸縮機構で構成される。つまり、図2に示すロボットアーム機構101は極座標形である。
第4〜第6関節部J4〜J6はそれぞれ直交3軸の回転軸RA4〜RA6を備える。第4関節部J4は伸縮軸RA3と略一致する回転軸RA4を中心とした回転関節部であり、この第4関節部J4の回転によりエンドエフェクタ7は揺動回転される。第5関節部J5は回転軸RA4に対して垂直に配置される回転軸RA5を中心とした回転関節部であり、この第5関節部J5の回転によりエンドエフェクタ7は前後に傾動回転される。第6関節部J6は回転軸RA4と回転軸RA5とに対して垂直に配置される回転軸RA6を中心とした回転関節部であり、この第6関節部J6の回転によりエンドエフェクタ7は軸回転される。
このように、エンドエフェクタ7は、第1、第2、第3関節部J1,J2,J3により任意位置に移動され、第4、第5、第6関節部J4,J5,J6により任意姿勢に配置される。特に第3関節部J3のアーム部5の伸縮距離の長さは、支柱部2の近接位置から遠隔位置までの広範囲の対象にエンドエフェクタ7を到達させることを可能にする。第3関節部J3はそれを構成する直動伸縮機構により実現される直線的な伸縮動作とその伸縮距離の長さとが従前の直動関節と異なる特徴的な点である。
エンドエフェクタ7は、食器200をピッキングするための吸着パッド8を備える。吸着パッド8は、例えばシリコン樹脂製の蛇腹チューブであり、その先端が円錐形に拡がっている。吸着パッド8にはエアチューブを介してエアポンプが接続されている。吸着パッド8の先端を食器200の高台220の表面に密着させた状態でエアポンプが駆動し、エアポンプにより負圧が発生されると、吸着パッド8の内部の負圧により食器200が吸着パッド8に吸着される。エアポンプが停止すると吸着パッド8の内部が大気圧に復帰して食器200の吸着状態が解除される。
(食器200)
図3に示すように、食器200は、半球形状の胴体210と胴体210を支える円環形状の高台220とからなる。高台220で囲まれた胴体210の表面(以下、高台220の表面という)には、識別子230とシンボル240とが表記される。識別子230とシンボル240とは、食器200の絵柄とともに印刷により表記される。もちろん、識別子230とシンボル240とを高台220の表面に油性ペン等で直接記入してもよいし、フィルムに印刷された識別子230とシンボル240とを高台220の表面に貼付してもよい。
識別子230は、人間が視認し、且つ識別することの可能な形態を備える。識別子230としては、人間が視認できない、又は識別することのできない若しくは困難なバーコード、2次元コード、磁気的コードなどは除外される。形態の異なる複数の識別子230が用意される。食器200の属性、典型的には食器200の種類(大きさ、茶碗/丼/皿など)に応じて、複数の識別子230から一の識別子230が、食器200に対して割り当てられる。図4に示すように、ここでは、高台220の表面に、識別子230としてアルファベット「A」が表記されている。なお、識別子230は、作業員が視認し、識別することのできる字、例えば平仮名、カタカナ、漢字、ハングル文字、アラビア文字等であってもよい。また、識別子230は、文字ではなく、意味を付された図形、絵柄、模様等であってもよい。例えば、図6に示すように、識別子230は、互いに平行に配置された3本の直線からなる図形であってもよい。これにより、ロボットアーム機構101に代わって作業員がピッキング作業を担当した場合であっても、洗浄用コンベア310によりピッキングエリアに搬送されてきた食器200をすぐに識別することができる。
シンボル240は、識別子230の位置と範囲と向きとを特定するために識別子230に併記される。シンボル240は2直線が組み合わされてなる。典型的には、2直線は互いに90度の向きに配置され、好ましくは、その2直線のうち一方が識別子230の上下方向と平行に、他方が識別子230の左右方向と平行になる向きに配置される。シンボル240を構成する直線は識別子230と間隙をあけられている。
ここでは、図4に示すように、シンボル240は互いに直交する2直線、最も好ましくは端部で垂直に接続されてL字状をなす2直線からなる。2直線のうち一方が識別子230の左方に識別子230の上下方向と平行に配置され、他方が識別子230の下方に識別子230の左右方向と平行に配置される。典型的には、識別子230の上下方向と平行に配置された直線は、識別子230の高さよりも長い。同様に、典型的には、識別子230の左右方向と平行に配置された直線は、識別子230の幅よりも若干長い。これにより、シンボル240を構成する2直線を2辺とする矩形範囲内に識別子230を収めることができる。
なお、図5に示すように、シンボル240は、シンボル240の外形状により規定される範囲、ここでは互いに直交する2直線を2辺とする矩形範囲(シンボル範囲)240Aの重心位置240Cが食器200の重心位置200Cに一致するように配置される。食器200の重心位置200Cは食器200のピックアップ位置に対応する。これにより、ピッキングエリア画像から食器200のシンボル240を抽出し、シンボル範囲230Aの重心位置240Cを特定することにより食器200のピックアップ位置を特定することができる。同様に、シンボル240は、その中心線230Lが食器200に対して予め決められた向きに配置される。これにより、ピッキングエリア画像から食器200のシンボル240を抽出し、その中心線240Lの向きを特定することにより、食器200の向きを特定することができる。つまり、シンボル240は、識別子230の位置と範囲と向きとを特定するためだけではなく、食器200のピックアップ位置(重心位置)と食器200の姿勢とを特定するための用途としても用いることができる。シンボル240により食器200のピックアップ位置、向きを特定できることで、食器200のピックアップ位置を特定するためだけの他のマークの表記、画像処理を不要とすることができる。食器200の向きを特定することは、食器200をリリースするときの食器200の向きを揃えて積み重ねることを可能にする。
また、シンボル240の形状は上記に限定されない。例えば、図7に示すように、シンボル240は、互いに90度の向きに配置されるが交差しない2直線で構成されてもよい。また、図8に示すように、シンボル240は、平行な2直線とそれら2直線に垂直な1直線とが組み合わされてなるものでもよい。シンボル240は、それを構成する平行な2直線が識別子230の左右方向と平行になり、且つ2直線に垂直な1直線が識別子230の上下方向と平行になる向きに配置される。さらに、図示しないが、シンボル240は、3本以上の直線の組み合わせ、少なくとも一辺が欠落した多角形状、一部分が欠落した円形状、または一部分が欠落した楕円形状であってもよい。
本実施形態において、食器200は、高台220が上方を向いた状態で洗浄用コンベア310に載置され、カメラは洗浄用コンベア310上のピッキングエリアを俯瞰する位置に配置される。そのため、識別子230とシンボル240とを食器200の高台220の表面に表記することでピッキングエリア画像に確実に識別子230とシンボル240を収めることができる。しかしながら、食器200に識別子230とシンボル240とを表記する箇所はこれに限定されない。例えば、食器200が高台220を備えない場合、識別子230とシンボル240とは食器200の底部表面に表記すればよい。もちろん、ロボットアーム機構101のピッキング対象は食器200に限定されない。ピッキング対象のワークの撮影方向に応じた表面箇所に、識別子230とシンボル240とを表記すればよい。例えば、ワークの側方から撮影する場合であれば、ワークの側面に識別子230とシンボル240とを表記すればよい。
(ロボット装置100)
図9に示すように、ロボット装置100はロボットアーム機構101と、ピッキングエリアを俯瞰する位置に配置されるピッキングエリアカメラ103と、ロボット装置100の全体制御を担う制御部102と、ピッキングエリアカメラ103で取得した画像を処理して食器200の種類を判別するとともに食器200のピックアップ位置(重心位置)及び食器200の姿勢を算出する画像処理部108と、ピッキングエリア上の食器200ごとにストックエリアのリリース位置を決定するリリース位置決定部107と、ピックアップ位置からリリース位置に食器200をピッキングするようロボットアーム機構101を制御するピッキング動作制御部105と、吸着パッド8にエアチューブを介して接続されるエアポンプ109と、食器洗浄機300と信号送受信のためのインタフェース(I/F)110を備える。
ロボット装置100によるピッキング作業における画像認識処理の手順を図10、図11を参照して説明する。
カメラ103でピッキングエリアを撮影し(S1)、撮影した画像(ピッキングエリア画像)103Pに対して、後段のパターンマッチング処理の精度を安定化するためにコントラスト強調、二値化、ノイズ除去等の前処理を実行する(S2)。次に、前処理がなされたピッキングエリア画像103Pから食器200の領域を抽出する(S3)。ピッキングエリア画像103Pの食器領域からシンボル240を抽出し(S4)、そのシンボル240のピッキングエリア画像103Pにおける位置、範囲、回転角を特定する(S5)。具体的には、画像処理部108は、シンボル240である互いに直交する2直線を抽出し、これら2直線を2辺とする矩形範囲(シンボル範囲)240Aを特定する。画像処理部108は、特定したシンボル範囲240Aの重心位置240Cをピックアップ位置として計算する。また、画像処理部108は、特定したシンボル範囲240Aの中心線240Lがピッキングエリア画像の任意の軸、例えば水平軸に対してどれだけ傾いているか、その回転角を計算する。次に、シンボル範囲240Aを識別子230の種類毎に予め用意された識別子パターンを用いたパターンマッチング処理にかけて識別子230を認識し(S6)、認識した識別子230を識別子属性表200tに照合し、食器200の属性を特定する。
なお、ステップS3の画像処理部108による処理結果として食器200の輪郭を抽出できなかったとき、つまりピッキングエリアに食器200が存在しないとき、ロボット装置100は食器洗浄機300に対してピッキングが完了してピッキングエリアに食器200が存在しないことを表す信号(ピッキング完了信号)を送信する。もちろん、画像処理部108による処理結果として食器領域の輪郭が2等の所定数以下であるとき、つまりピッキングエリアの食器200が2個等の所定数以下であるとき、ロボット装置100は、食器洗浄機300に対してピッキング完了信号を送信するものであってもよい。食器洗浄機300はピッキング完了信号を受信したとき、駆動許可フラグを立てる。駆動許可フラグが立てられた状態で、フットスイッチ208からオン信号を受信したとき、食器洗浄機300は洗浄動作を開始し、駆動許可フラグが落ちる。駆動許可フラグが落ちた状態で、フットスイッチ208からオン信号を受信しても、食器洗浄機300は洗浄動作を開始しない。
リリース位置決定部107は、画像処理部108で判別された食器200の属性情報に従って、その食器200のリリース位置を決定する。具体的には、食器200の属性毎に複数のリリース位置が予め割り当てられている。食器200の属性毎に割り当てられている複数のリリース位置には、リリースする順番に関する優先順位が設定されている。また、リリース位置ごとに積み重ね可能な食器数の上限が設定されている。リリース位置決定部107は、画像処理部108で判別された食器200の属性情報に対応する複数のリリース位置を特定し、特定した複数のリリース位置から、積み重ねられている食器数が上限数に達していないリリース位置を抽出し、その中の最も優先順位の高いリリース位置を選択する。
ピッキング動作制御部105は、食器200のピックアップ位置(重心位置)と、食器200の向きと、食器種類に固有の食器高さに応じたピックアップ高と、リリース位置決定部107で決定したリリース位置と、そのリリース位置に積み重ねられている食器数と食器種類に固有の食器高さとから決まるリリース高とから、吸着パッド8の軌道を計算し、その軌道に従ってロボットアーム機構101を逐次制御する。
ロボットアーム機構101による食器200のピックアップ動作を図12乃至図17を参照して説明する。図12に示すように、吸着パッド8は、ロボットアーム機構101により食器200のピックアップ位置Puの上方に移動された後、降下される。ピックアップ位置Puは、食器200の高台220の表面よりもわずかに下方に設定されている。図13に示すように、吸着パッド8は、ロボットアーム機構101によりピックアップ位置Puのわずかに上方の位置Peで一旦停止される。図14に示すように、一旦停止した位置Peで、エアポンプが駆動し、吸着パッド8に正圧が供給され、吸着パッド8から空気が排気される。これにより、高台220内に溜まっていた水200waを高台220内から外側に飛ばすことができ、吸着パッド8の吸着動作を安定化させることができる。吸着パッド8から空気が排気された後、図15に示すように、吸着パッド8は一旦停止した位置Peからピックアップ位置Puに降下される。これにより、図16に示すように、吸着パッド8の吸着面が食器200の高台220の表面に押し付けられる。吸着パッド8の吸着面が食器200の高台220の表面に押し付けられた状態で、エアポンプが駆動し、吸着パッド878に負圧が供給されることで、高台220の表面が吸着パッド8に吸着される。吸着パッド8に食器200が吸着されると、図17に示すように、エンドエフェクタ7は上昇される。これにより、食器200は吸着パッド8により洗浄用コンベア310の載置面からピックアップされる。
例えば、識別子230のみが表記された食器200の場合、その識別子230を認識するためには、食器領域を抽出し、その食器領域を複数種類の識別子パターンを用いたパターンマッチング処理にかける必要がある。食器領域が円形状で表されるなど、食器領域を抽出しただけでは識別子230の向きを特定できない場合がある。そのため、パターンマッチング処理では、1つの識別子パターンに対して、回転角を変化させた複数種類の識別子パターンを用いる必要がある。また、食器領域が広い場合、パターンマッチング処理にかける範囲が広がる。
一方、本実施形態にように、識別子230とシンボル240とが表記された食器200の場合、その識別子230のパターンマッチング処理の前段階で、シンボル240を抽出する。識別子230はシンボル240により規定される所定範囲に表記されているため、シンボル240を抽出することで、識別子230が含まれる範囲を特定することができる。これにより、パターンマッチング処理にかける範囲をシンボル240により規定された所定範囲に限定することができる。すなわち、識別子230のみ表記されている場合に比べて、パターンマッチング処理にかける範囲を狭めることができる。パターンマッチング処理にかける範囲を狭くすることは、食器200の認識精度の向上に寄与する。
また、シンボル240を抽出することで、識別子230の向きを特定することができる。そのため、パターンマッチング処理では、識別子230の向きに対応する向きに回転させた複数種類の識別子パターンを用いるだけでよい。すなわち、識別子230のみ表記されている場合に比べて、パターンマッチング処理にかける識別子パターンの数を少なくすることができる。パターンマッチング処理にかける識別子パターンの数を少なくすることは、食器200の認識精度の向上に寄与する。
以上説明した本実施形態に係る食器200によれば、食器200の属性毎に割り当てられた識別子230に、識別子230の位置、範囲、向きを特定するためのシンボル240を併記することにより、シンボル240が併記されていない場合に比べて、識別子230の認識精度を向上させることができる。例えば、シンボル240は識別子230や他の絵柄とともに印刷により表記してもよいし、ペン等で直接記入してもよいし、シンボル240を印刷したフィルムを貼付してもよい。食器200が陶磁器製であれば絵付け工程で、他の絵柄とともに絵付けしてもよい。このように、シンボル240は簡単な形状であるため、識別子230にシンボル240を併記する作業は簡易である。
また、食器200に対して、その食器200の属性に応じた識別子230にシンボル240を併記することで、画像処理による食器200の認識精度が上がり、且つその画像処理の時間を短縮できることから、ロボット装置100による食器200のピッキング作業の効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
200…食器、210…胴体、220…高台、230…識別子、240…シンボル。

Claims (11)

  1. ロボットシステムによるピッキング対象の食器であって、
    前記食器は高台を備え、前記高台の表面に前記食器の種類に応じて割り当てられ且つ人間が視認し識別することの可能な形態を備えた識別子が表記され、前記識別子の位置と範囲と向きとを特定するための少なくとも2直線が組み合わされてなるシンボルが前記識別子に併記されることを特徴とする食器。
  2. 前記2直線は互いに90度の向きに配置されてなることを特徴とする請求項1記載の食器。
  3. 前記シンボルは平行な2直線とそれらは2直線に垂直な1直線とが組み合わされてなることを特徴とする請求項1記載の食器。
  4. 前記シンボルは前記識別子の左右方向に平行な直線と上下方向に平行な直線とから構成されることを特徴とする請求項1記載の食器。
  5. 前記識別子は前記シンボルを構成する直線と間隙をあけられていることを特徴とする請求項1記載の食器。
  6. 前記識別子は文字、記号又は絵柄で表されることを特徴とする請求項1記載の食器。
  7. ロボットシステムによるピッキング対象のワークであって、
    前記ワークの表面には前記ワークの属性に応じて割り当てられた識別子が表記され、前記識別子の位置と範囲と向きとを特定するためのシンボルが前記識別子に併記されることを特徴とするワーク。
  8. 前記識別子は人間が視認し、識別することの可能な形態を備えることを特徴とする請求項7記載のワーク。
  9. 前記ワークは高台を有する食器であり、前記高台の表面に前記識別子と前記シンボルとが表記されることを特徴とする請求項7記載のワーク。
  10. 前記シンボルは、一辺が欠落した多角形をなすことを特徴とする請求項7記載のワーク。
  11. 前記シンボルは、直線の組み合わせ、一部分が欠落した円形状または一部分が欠落した楕円形状をなすことを特徴とする請求項7記載のワーク。
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