JP2019035588A - 磁気センサおよびカードリーダ - Google Patents

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瀧田 幸彦
Yukihiko Takita
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Abstract

【課題】カード基材が金属である場合もICチップの接点端子2aの有無を検出することが可能な磁気センサ1およびカードリーダ100を提供すること。
【解決手段】カードリーダ100のカード挿入部50は、ICチップの接点端子2aを検出する磁気センサ1を備える。磁気センサ1は、検出コイル20と、検出コイル20の位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイル30および第2励磁コイル40を備える。磁気センサ1は、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40の一方がICカード2に搭載されるICチップの接点端子2aが通過する位置と対向し、他方が接点端子2aから外れた位置でICカード2のカード基材のみの部分と対向する位置に並んで配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ICチップが搭載されたICカードと通信を行うカードリーダおよびICカードの接点端子を検出する磁気センサに関する。
カードリーダによって情報の読取りおよび情報の書込みの少なくとも一方が行われるカードとして、ICチップが搭載されたICカードが用いられる。ICチップが搭載されたカードの表面には、ICチップの接点端子が設けられている。特許文献1には、カード表面の接点端子の有無を検出する磁気センサ(入口センサ)を備えたカードリーダが開示されている。
特許文献1のカードリーダにおいて、ICチップの接点端子を検出する磁気センサ(入口センサ)は、カードと対向するコア端部およびカードとは反対側に突出するコア端部にそれぞれ巻かれた励磁コイルと、コア中央部に巻かれた検出コイルとを備える。カード側のコア端部に巻かれた励磁コイルと、カードとは反対側のコア端部に巻かれた励磁コイルは逆方向の磁界を発生させるように巻かれている。検出コイルの出力は、検出位置にICチップの接点端子が存在しないときは2つの励磁コイルの磁界が等しいため、出力なし(出力がゼロ)となる。一方、検出位置に接点端子が存在するときは、カード側の励磁コイルの磁界に過電流による損失が生じるため、過電流損失に応じた出力が得られ、出力ありとなる。よって、検出コイルの出力に基づき、ICチップの接点端子を検出することができる。
特開2003−337922号公報
ICチップが搭載されるカードには、カード基材としてプラスチックではなく金属を用いたものがある。カード基材が金属であるカード(メタルカード)は、カードに接点端子が設けられていなくてもカード基材に過電流が発生する。従って、特許文献1の磁気センサでは、メタルカードに対しては、接点端子がない場合も検出コイルの出力はゼロにならない。また、接点端子とカード基材の材質の差によって過電流の発生量の差はあるものの、この差に起因する検出コイルの出力の差は小さい。従って、特許文献1の磁気センサでは、カード基材が金属である場合に、ICチップの接点端子の有無を検出コイルの出力に基づいて判別することは困難である。
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、カード基材が金属である場合もICチップの接点端子の有無を検出することが可能な磁気センサおよびカードリーダを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の磁気センサは、コア体と、前記コア体に巻き回される検出コイルと、前記コア体に巻き回され、前記検出コイルの位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイルおよび第2励磁コイルと、を有し、前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルは、一方がカードに搭載されるICチップの接点端子と対向するとき、他方が前記接点端子から外れた位置で前記カードと対向する位置に配置されること
を特徴とする。
本発明では、検出コイルの位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを備えているため、検出コイルからは、第1励磁コイルの磁界および第2励磁コイルの磁界の差に対応する出力が得られる。そして、第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、一方がカードに搭載されるICチップの接点端子と対向するとき、他方が接点端子から外れた位置でカードと対向する間隔で並んで配置されている。従って、カード基材が金属などの導体であっても、第1励磁コイルの磁界および第2励磁コイルの磁界の差をとることによって、検出コイルの出力から、カード基材に起因する過電流損失の影響を排除することができる。従って、ICチップの接点端子が設けられていないカードに対しては、カード基材が金属などの導体であっても、検出コイルからは出力が出ないようにすることができる。また、接点端子を備えたカードに対しては、接点端子による過電流損失に基づく出力を得ることができる。従って、カード基材が金属などの導体であっても、接点端子の有無を検出できる。
本発明において、前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルは、前記検出コイルに対して同じ側に配置されるように構成することができる。このようなコイルの配置により、第1励磁コイルおよび第2励磁コイルをカード通過方向と交差する方向に並べて配置してカードと対向させることができる。
本発明において、前記第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、互いに平行なコイル軸線回りに巻き回されていることが好ましい。例えば、前記コア体として、前記検出コイルが巻かれるコア中央部と、前記第1励磁コイルが巻かれる第1コア端部と、前記第2励磁コイルが巻かれる第2コア端部を備え、前記第1コア端部と前記第2コア端部は、前記検出コイルに対して同じ側に向かって平行に延びている形状のものを用いた場合には、第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを互いに平行なコイル軸線回りに巻き回すことができる。このようにすると、第1励磁コイルと第2励磁コイルをカードに対して垂直に配置することができる。カードに対して垂直にコイルを配置すれば、カードに対するコイルの位置決めが容易である。従って、第1励磁コイルと第2励磁コイルの位置精度を高めることができ、磁気センサによる検出精度を高めることができる。また、カードに対して垂直にコイルを配置すれば、渦電流損失を大きくすることができる。従って、接点端子を備えたカードに対する検出コイルの出力を大きくすることができる。
本発明において、前記コア中央部には、前記検出コイルが巻かれる範囲を規制するフランジ部が設けられていることが好ましい。このようにすると、検出コイルの位置決めが容易であり、検出コイルの位置精度を高めることができる。従って、磁気センサの検出精度を高めることができる。
本発明において、前記第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、前記コイル軸線と直交する方向から見て同一位置に配置されることが好ましい。このようにすると、第1励磁コイルと第2励磁コイルをカードに対して等距離の位置に配置し、且つ、第1励磁コイルと第2励磁コイルをカードに対して垂直に配置することができる。
次に、本発明のカードリーダは、上記の磁気センサと、前記カードを挿入可能なカード挿入路と、前記カード挿入路に接続されるカード搬送路と、前記カード搬送路の所定位置に取り込まれた前記カードの前記接点端子と接触して前記ICチップと通信を行うIC接点ブロックと、を有し、前記磁気センサは、前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルが前記カード挿入路のカード通過方向と交差する方向に離間しており、前記第1励磁コイルは、前記カードが前記カード挿入路を通過するときに前記接点端子が通過する位置と対向し、前記第2励磁コイルは、前記カードが前記カード挿入路を通過するときに前記接
点端子から外れた前記カードの部位が通過する位置と対向することを特徴とする。
本発明のカードリーダによれば、カード基材が金属などの導体であっても、第1励磁コイルの磁界および第2励磁コイルの磁界の差をとることによって、検出コイルの出力から、カード基材に起因する過電流損失の影響を排除することができる。従って、ICチップの接点端子が設けられていないカードに対しては、カード基材が金属などの導体であっても、検出コイルからは出力が出ないようにすることができる。また、接点端子を備えたカードに対しては、接点端子による過電流損失に基づく出力を得ることができる。従って、カード基材が金属などの導体であっても、接点端子の有無を検出することができる。よって、カード挿入路に挿入されるカードがプラスチックカードであっても金属製のメタルカードであっても、当該カードにおけるICチップの接点端子の有無を検出できる。
本発明において、前記磁気センサは、前記カード挿入路に前記接点端子を持たないカードが挿入された状態、あるいは、前記カードが挿入されていない状態で、前記検出コイルの出力が予め設定した値となるように前記第1励磁コイルの通電量および前記第2励磁コイルの通電量が設定されていることが好ましい。このようにすると、磁気センサ自体の組立誤差や、カードリーダへの磁気センサの取付誤差などに起因する検出コイルの出力の変動を通電量の調整によって解消することができる。従って、接点端子なしのカードに対して検出コイルの出力がゼロとなるように調整すれば、検出コイルの出力の有り無しによって接点端子の有無を判別することができる。よって、接点端子の有無を精度良く検出することができる。
本発明によれば、検出コイルの位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを備えているため、検出コイルからは、第1励磁コイルの磁界および第2励磁コイルの磁界の差に対応する出力が得られる。そして、第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、一方がカードに搭載されるICチップの接点端子と対向するとき、他方が接点端子から外れた位置でカードと対向する間隔で並んで配置されている。従って、カード基材が金属などの導体であっても、第1励磁コイルの磁界および第2励磁コイルの磁界の差をとることによって、検出コイルの出力から、カード基材に起因する過電流損失の影響を排除することができる。従って、ICチップの接点端子が設けられていないカードに対しては、カード基材が金属などの導体であっても、検出コイルからは出力が出ないようにすることができる。また、接点端子を備えたカードに対しては、接点端子による過電流損失に基づく出力を得ることができる。従って、カード基材が金属などの導体であっても、接点端子の有無を検出することができる。
本発明を適用した磁気センサおよびICカードの説明図である。 ICカードの接点端子を検出するための磁気センサの配置の説明図である。 磁気センサと対向する位置を通過するICカードの構成と検出コイルの出力との対応関係を示すテーブルである。 図1の磁気センサを搭載したカードリーダを側方から見た説明図である。 図4のカードリーダにおけるカード挿入部の側面図および正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を適用した磁気センサおよびカードリーダの実施形態を説明する。
(磁気センサ)
図1は、本発明を適用した磁気センサ1およびICカード2の説明図である。磁気セン
サ1は、コア体10と、コア体10に巻き回された検出コイル20と、検出コイル20に対して互いに対称な位置でコア体10に巻き回された第1励磁コイル30および第2励磁コイル40を備える。図1において、X方向およびY方向は互いに直交する方向である。本明細書では、X方向の一方側をX1、他方側をX2とする。また。Y方向の一方側をY1、他方側をY2とする。X方向およびY方向は、薄板状部材からなるコア体10の板厚方向に対して垂直な方向である。磁気センサ1は、コア体10のX方向の中央を基準としてY方向に対称に形成されている。
コア体10は、検出コイル20が巻き回されるコア中央部11と、第1励磁コイル30が巻き回される第1コア端部12と、第2励磁コイル40が巻き回される第2コア端部13を備える。コア中央部11は略矩形であり、コア体10のX方向の中央に位置する。コア中央部11は、Y方向の両側の辺の中央部を切り欠いた形状である。すなわち、コア中央部11は、X方向に所定長さで延在するコイル巻回部111と、コイル巻回部111のX方向の一方側X1の端部に設けられるフランジ部112A、および、他方側X2の端部に設けられるフランジ部112Bを備える。フランジ部112A,112Bは、コイル巻回部111よりY方向の幅が大きい。コア中央部11において検出コイル20が巻かれる範囲は、フランジ部112A、112Bによって規制される。
コア体10は、コア中央部11からX方向の一方側X1および他方側X2へそれぞれ直線状に突出する第1腕部14および第2腕部15を備える。第1コア端部12および第2コア端部13は、第1腕部14および第2腕部15の先端から、それぞれ、Y方向の一方側Y1に向かって直線状に延びている。コア体10は、コア中央部11と、第1腕部14および第2腕部15と、第1コア端部12および第2コア端部13が一体に形成された薄板状部材である。コア体10において、第1腕部14および第2腕部15はX方向の長さが同一であり、第1コア端部12および第2コア端部13はY方向の長さが同一である。第1励磁コイル30は第1コア端部12の先端に巻き回されている。また、第2励磁コイル40は、第2コア端部13の先端において、Y方向の位置が第1励磁コイル30と同一位置となるように巻き回されている。
このように、コア体10は、第1コア端部12および第2コア端部13が互いに平行に延びており、第1コア端部12および第2コア端部13は、コア中央部11に対して同じ側(Y方向の一方側Y1)に延びている。従って、磁気センサ1は、検出コイル20に対して第1励磁コイル30および第2励磁コイル40が同じ側(本形態では、Y方向の一方側Y1)に配置されている。検出コイル20は、X方向と平行なコイル軸線周りに巻き回されている。一方、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40は、検出コイル20のコイル軸線と直交するコイル軸線周りに巻き回されている。すなわち、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40のコイル軸線は互いに平行であり、Y方向と平行である。また、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40は、コイル軸線と直交する方向(X方向)から見た場合に同一位置に配置されている。
磁気センサ1において、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40は、第1コア端部12および第2コア端部13がカードと対向していない状態、あるいは、ICチップの接点端子2aがないカードと対向している状態では、検出コイル20の位置で、第1励磁コイル30の磁界φ1と第2励磁コイル40の磁界φ2が同一強さであり、且つ、逆方向の磁界となるようにコイル巻き数および通電量が設定されている。
(磁気センサによるICカード上の接点端子の検出)
図2は、ICカード2の接点端子2aを検出するための磁気センサ1の配置の説明図である。図2(a)は磁気センサ1が接点端子2aと対向する位置(図2(c)のA位置)にある状態を示し、図2(b)は磁気センサ1が接点端子2aから外れた位置(図2(c
)のB位置)にある状態を示す。図2(c)はICカード2の平面図である。ICカード2は、例えば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状のカードである。ICカード2は、用途に応じて各種のカード基材により形成される。カード基材には、プラスチック(例えば、塩化ビニール)、金属、紙などがある。カード2にはICチップ(図示省略)が搭載され、カード2の表面にはICチップとの通信用の接点端子2aが設けられる。図2(c)では、接点端子2aが2列に配置されている。また、ICカード2には、用途に応じて、磁気ストライプ(図示省略)が形成される。
図2(a)に示すように、接点端子2aの検出は、磁気センサ1とICカード2とをY方向に対向させて行う。Y方向はICカード2に対して垂直な方向である。ICカード2が図2(c)の矢印で示すカード通過方向F1に移動する際、磁気センサ1は、接点端子2aと対向するA位置、および、接点端子2aと対向しないB位置を経由する。磁気センサ1は、A位置とB位置で検出コイル20の出力が異なるように構成されている。
図2(a)に示すように、磁気センサ1は、ICカード2のカード幅方向であるX方向において、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40の一方は、ICカード2に設けられた接点端子2aが通過する位置に配置される。また、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40の他方は、接点端子2aの通過位置から外れた位置で、カード基材のみが通過する位置に配置される。例えば、本形態では、カード通過方向F1と直交する方向(X方向)に第1励磁コイル30と第2励磁コイル40が並んでいる。なお、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40は、本形態のようにカード通過方向F1と直交する方向(X方向)に並んでいなくても良く、カード通過方向F1と交差する方向に並んで配置されていればよい。
磁気センサ1は、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40がICカード2とY方向に対向するように配置される。第1励磁コイル30は、接点端子2aの通過位置とY方向に対向する位置に配置される。なお、第2励磁コイル40が接点端子2aの通過位置とY方向に対向し、第1励磁コイル30が接点端子2aの通過位置から外れた位置(カード基材のみが通過する位置)と対向するように磁気センサ1を配置してもよい。
図1に示すように、磁気センサ1は、第1コア端部12および第2コア端部13の先端をICカード2に向けて、第1コア端部12および第2コア端部13がICカード2に対して垂直となるように配置される。これにより、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40のコイル軸線方向がICカード2に対して垂直となる。また、この状態では、第1励磁コイル30とICカード2との距離D1は、第2励磁コイル40とICカード2との距離D2と同一になる。この状態で、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40に通電すると、検出コイル20の位置の磁界は、第1励磁コイル30の磁界φ1と、第2励磁コイル40の磁界φ2を合成した磁界となる。
図3は、磁気センサ1と対向する位置を通過するICカード2の構成と検出コイル20の出力との対応関係を示すテーブルである。図3において、「プラスチックカード」はカード基材がプラスチックである場合を示し、「メタルカード」はカード基材が金属である場合を示す。また、「接点あり」「接点なし」は、それぞれ、接点端子2aを備えている場合と、備えていない場合を示す。「カードなし」は、磁気センサ1と対向する位置にICカード2が存在しない場合を示す。磁気センサ1は、「カードなし」の状態において、第1励磁コイル30の磁界φ1と、第2励磁コイル40の磁界φ2が逆向きで且つ同一強さ(例えば、φ1=H、φ2=−H)となるように構成されている。従って、「カードなし」の状態では、検出コイル20の位置の磁界はφ1+φ2=0となるので、検出コイル20の出力は得られず、「出力なし」となる。
ICカードが接点端子2aを備えている場合は、磁気センサ1がA位置を通過するとき、第1励磁コイル30の磁界φ1は、接点端子2aを構成する金属で発生する過電流の影響を受ける。例えば、「プラスチックカード」で「接点あり」の場合は、接点端子2aに起因する過電流損失をΔφとすると、検出コイル20の位置における第1励磁コイル30の磁界φ1は、φ1=H−Δφとなる。一方、第2励磁コイル40の磁界φ2には、過電流の影響はない。従って、第2励磁コイル40の磁界φ2は、φ2=−Hである。その結果、検出コイル20の位置の磁界(φ1+φ2)は、φ1+φ2=−Δφとなるので、検出コイル20からは、接点端子2aに起因する過電流損失Δφに応じた強さの出力が得られる。よって、「プラスチックカード」で「接点あり」の場合は、検出コイル20の出力は「出力あり」となる。
ICカード2が「メタルカード」で「接点あり」の場合は、第1励磁コイル30に対向する位置と第2励磁コイル40に対向する位置のいずれにおいても、金属のカード基材が存在し、カード基材に過電流が発生する。加えて、第1励磁コイル30に対向する位置では、接点端子2aにも過電流が発生する。従って、接点端子2aに起因する過電流損失をΔφ、カード基材に起因する過電流損失をΔφ1とすると、検出コイル20の位置における第1励磁コイル30の磁界φ1は、接点端子2aとカード基材の両方の影響を受けるので、φ1=H−Δφ−Δφ1となる。また、第2励磁コイル40の磁界φ2は、カード基材の影響のみを受けるので、φ2=−(H−Δφ1)となる。
つまり、本形態の磁気センサ1は、第1励磁コイル30の磁界φ1と第2励磁コイル40の磁界φ2が、いずれもカード基材で発生する過電流の影響を同じように受ける。そのため、検出コイル20の位置の磁界(φ1+φ2)は、カード基材に起因する過電流損失Δφ1が互いに打ち消し合ってその影響が排除される。よって、「メタルカード」「接点あり」の場合においても、検出コイル20の位置の磁界(φ1+φ2)は−Δφとなり、検出コイル20からは、接点端子2aに起因する過電流損失Δφに応じた強さの出力が得られる。つまり、磁気センサ1は、ICカード2のカード基材が金属であっても金属でなくても、「接点あり」のICカード2に対しては「出力あり」となる。
次に、ICカード2が接点端子2aを備えていない場合の磁気センサ1の出力を説明する。図2(b)は、磁気センサ1が接点端子2aから外れたB位置でICカード2と対向する状況を示す。ICカード2が接点端子2aを備えていない場合、この状況と同じ出力が得られる。図2(b)では、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40は、両方ともカード基材と対向する。ここで、ICカード2が「プラスチックカード」である場合、第1励磁コイル30の磁界φ1と、第2励磁コイル40の磁界φ2は、いずれも「カードなし」の状態と同様に過電流の影響を受けない。従って、「プラスチックカード」「接点なし」の場合、検出コイル20の位置の磁界は、φ1+φ2=0となり、検出コイル20の出力は「出力なし」となる。
また、「メタルカード」「接点なし」の場合、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40は、両方とも金属のカード基材と対向する。従って、検出コイル20の位置における第1励磁コイル30の磁界φ1は、φ1=H−Δφ1となる。また、第2励磁コイル40の磁界φ2は、φ2=−(H−Δφ1)となる。そして、検出コイル20の位置の磁界(φ1+φ2)は、カード基材に起因する過電流損失Δφ1が互いに打ち消し合ってその影響が排除されるので、φ1+φ2=0となる。よって、「メタルカード」「接点なし」の場合、検出コイル20の出力は「出力なし」となる。
(カードリーダ)
図4は図1の磁気センサ1を搭載したカードリーダ100を側方から見た説明図である。また、図5は図4のカードリーダ100におけるカード挿入部50の側面図および正面
図であり、図5(a)は側面図であり、図5(b)は正面図である。カードリーダ100は、ICカード2に記録されたデータの読取りおよびICカード2へのデータの書込みの少なくとも一方を行う装置であり、所定の上位装置に搭載されて使用される。
図4に示すように、カードリーダ100は、カードリーダ本体60と、カードリーダ本体60の前端に設けられるカード挿入部50を備える。カードリーダ本体60の内部には、カード挿入部50から挿入されたICカード2が搬送されるカード搬送路61が形成されている。カードリーダ本体60は、ICカード2の接点端子2aと接触してデータの通信を行うIC接点ブロック62を備える。また、カードリーダ本体60は、磁気ストライプを備えるICカード2から磁気データの読取りおよび書込みの少なくとも一方を行う磁気ヘッド63を備える。IC接点ブロック62および磁気ヘッド63は、カード搬送路61の所定位置に配置される。
カードリーダ本体60は、カード搬送路61においてICカード2の搬送位置を検出するセンサ(図示省略)と、カード搬送機構64を備える。カード搬送機構64は、搬送ローラ641と、モータ642と、モータ642の回転を搬送ローラ641に伝達する駆動力伝達機構643を備える。
図4、図5(a)に示すように、カード挿入部50は、カード挿入口51と、カード挿入口51からICカード2が挿入されるカード挿入路52を備える。カード挿入路52は、カードリーダ本体60のカード搬送路61と繋がっている。カード挿入口51は、装置幅方向に直線状に延在するスリット状のカード挿入路52を中心として、装置前方に向かうに従って開口高さが増大する形状である。
また、カード挿入部50は、カード挿入路52を開閉するシャッター53と、シャッター53に対してカード挿入口51側に配置されるプリヘッド54および磁気センサ1と、カード挿入口51へのICカード2の挿入を検知する挿入検知センサ(図示省略)を備える。プリヘッド54は、ICカード2が磁気ストライプを備えている場合に、磁気ストライプに記録される磁気データを検出する。磁気センサ1は、ICカード2にICチップが搭載されているか否かを判別するため、ICカード2の接点端子2aを検出する。
磁気センサ1は、カード挿入口51とプリヘッド54の間に配置され、カード挿入路52を間に挟んでプリヘッド54と反対側に配置されている。この配置は、ICカード2において、磁気ストライプはカードの一方の面に設けられ、ICチップの接点端子2aはカードの他方の面に設けられることを前提としている。
図5(b)に示すように、磁気センサ1は、カード挿入部50を装置正面側から見た場合にカード挿入路52の幅方向の一方側寄りの位置に配置される。この位置は、カード挿入路52にICカード2が正しい姿勢で挿入された場合に、磁気センサ1の第1励磁コイル30がICカード2の接点端子2aが通過する位置と対向し、第2励磁コイル40が接点端子2aから外れた位置と対向する位置である。なお、磁気センサ1の説明において述べたように、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40の位置が逆であってもよい。ICカード2の正しい挿入姿勢は、図5(a)に示すように、接点端子2aが設けられた面を上側に向けるとともに、接点端子2aがICカード2の挿入方向前方側に位置する姿勢である。
カードリーダ100の制御部(図示省略)には、磁気センサ1およびプリヘッド54を含む各種のセンサの信号が入力される。制御部は、これらのセンサの信号に基づいてカードリーダ100の各部の制御を行う。カード挿入部50へICカード2が挿入される前は、シャッター53はカード挿入路52を閉鎖した状態となっている。カードリーダ100
の制御部は、挿入検知センサの出力によりカード挿入路52へのカード状の物体の挿入を検知すると、磁気センサ1の信号に基づいて接点端子2aの有無を判定する。また、プリヘッド54の信号に基づいて、磁気ストライプへの磁気データの記録の有無を判定する。そして、接点端子2aが検出されたと判定した場合には、正常なICカード2が正しい姿勢で挿入されたと判定して、シャッター駆動機構(図示省略)を駆動してシャッター53を開けて、ICカード2をカード搬送路61へ取り込む。そして、カード搬送路61においてICカード2を搬送し、IC接点ブロック62をICカード2の接点端子2aと接触させて、ICチップとのデータの通信を行う。また、ICカード2が磁気ストライプを備えている場合には、磁気ヘッド63により、磁気データの読取りや書込みを行う。
ここで、磁気センサ1の組立誤差、および、カードリーダ100への磁気センサ1の取付誤差などに起因して、図1に示す距離D1、D2が同一とならないような配置で磁気センサ1が取り付けられた場合には、磁気センサ1の検出コイル20の出力に誤差が生じ、図3に示すような対応関係が得られないおそれがある。そこで、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40への通電量を調整することにより、検出コイル20の出力の誤差を低減させることができる。すなわち、カードリーダ100への磁気センサ1の取付後に、カードなし状態、あるいは接点端子2aを持たないカードを挿入した状態で検出コイル20からの出力が「出力なし」となるように、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40への通電量を調整する。これにより、図3に示すような対応関係が得られるので、接点端子2aの有無を精度良く検出することができる。
なお、カードなし状態、あるいは接点端子2aを持たないカードを挿入した状態で検出コイル20からの出力が予め設定した出力となるように、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40への通電量を調整することもできる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の磁気センサ1は、検出コイル20の位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイル30および第2励磁コイル40を備えているため、検出コイル20からは、第1励磁コイル30の磁界および第2励磁コイル40の磁界の差に対応する出力が得られる。そして、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40は、一方がICカード2に搭載されるICチップの接点端子2aと対向するとき、他方が接点端子2aから外れた位置でICカード2と対向する間隔で並んで配置されている。従って、カード基材が金属などの導体であっても、第1励磁コイル30の磁界および第2励磁コイル40の磁界の差をとることによって、検出コイル20の出力から、カード基材に起因する過電流損失の影響を排除することができる。従って、ICチップの接点端子2aが設けられていないカードに対しては、カード基材が金属などの導体であっても、検出コイル20からは出力が出ないようにすることができる。また、接点端子2aを備えたICカード2に対しては、接点端子2aによる過電流損失に基づく出力を得ることができる。従って、カード基材が金属などの導体であっても、接点端子2aの有無を検出できる。
本形態では、磁気センサ1のコア体10において、第1励磁コイル30が巻かれる第1コア端部12と、第2励磁コイル40が巻かれる第2コア端部13は、検出コイル20が巻かれるコア中央部11から同じ側(Y方向の一方側Y1)に平行に延びている。従って、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40を検出コイル20に対して同じ側に配置し、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40をカード通過方向と交差する方向に並べて配置して、ICカード2と対向させることができる。
また、本形態では、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40を互いに平行なコイル軸線回りに巻き回しているので、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40をICカード2に対して垂直に配置することができる。ICカード2に対して垂直に第1励磁コイル30
および第2励磁コイル40を配置すれば、ICカード2に対する第1励磁コイル30および第2励磁コイル40の位置決めが容易である。従って、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40の位置精度を高めることができ、磁気センサ1による検出精度を高めることができる。また、ICカード2に対して垂直に第1励磁コイル30および第2励磁コイル40を配置すれば、渦電流損失を大きくすることができる。従って、接点端子2aを備えたICカード2に対する検出コイルの出力を大きくすることができる。
更に、本形態では、第1励磁コイル30および第2励磁コイル40は、コイル軸線方向(Y方向)と直交する方向(X方向)から見て同一位置に配置される。これにより、第1励磁コイル30と第2励磁コイル40をICカード2に対して垂直にした状態で、ICカード2に対して等距離の位置に配置することができる。従って、接点端子2aがないICカードに対しては、検出コイル20の出力が出ないようにすることができる。よって、検出コイル20の出力の有り無しによって接点端子2aの有無を判別できるため、接点端子2aの検出が容易である。
本形態では、検出コイル20が巻かれるコア中央部11には、検出コイル20が巻かれる範囲を規制するフランジ部112A、112Bが設けられている。従って、検出コイル20の位置決めが容易であり、検出コイル20の位置精度を高めることができる。よって、磁気センサ1の検出精度を高めることができる。
本形態のカードリーダ100は、上記の磁気センサ1を備えている。磁気センサ1は、ICカードが正しい姿勢でカードリーダ100のカード挿入路52を通過するときに、第1励磁コイル30は、ICカード2の接点端子2aが通過する位置と対向し、且つ、第2励磁コイル40は、ICカード2の接点端子2aから外れた部位が通過する位置と対向するように配置されている。従って、カード基材が金属などの導体であっても、第1励磁コイル30の磁界および第2励磁コイル40の磁界の差をとることによって、検出コイル20の出力から、カード基材に起因する過電流損失の影響を排除することができる。よって、カード挿入路に挿入されるカードがプラスチックカードであっても金属製のメタルカードであっても、当該カードにおけるICチップの接点端子の有無を検出できる。
1…磁気センサ、2…ICカード、2a…接点端子、10…コア体、11…コア中央部、12…第1コア端部、13…第2コア端部、14…第1腕部、15…第2腕部、20…検出コイル、30…第1励磁コイル、40…第2励磁コイル、50…カード挿入部、51…カード挿入口、52…カード挿入路、53…シャッター、54…プリヘッド、60…カードリーダ本体、61…カード搬送路、62…接点ブロック、63…磁気ヘッド、64…カード搬送機構、100…カードリーダ、111…コイル巻回部、112A、112B…フランジ部、641…搬送ローラ、642…モータ、643…駆動力伝達機構、D1、D2…距離、F1…カード通過方向

Claims (8)

  1. コア体と、
    前記コア体に巻き回される検出コイルと、
    前記コア体に巻き回され、前記検出コイルの位置で互いに逆向きの磁界を発生させる第1励磁コイルおよび第2励磁コイルと、を有し、
    前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルは、一方がカードに搭載されるICチップの接点端子と対向するとき、他方が前記接点端子から外れた位置で前記カードと対向する位置に配置されることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルは、前記検出コイルに対して同じ側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、互いに平行なコイル軸線回りに巻き回されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気センサ。
  4. 前記コア体は、前記検出コイルが巻かれるコア中央部と、前記第1励磁コイルが巻かれる第1コア端部と、前記第2励磁コイルが巻かれる第2コア端部を備え、
    前記第1コア端部と前記第2コア端部は、前記検出コイルに対して同じ側に向かって平行に延びていることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
  5. 前記コア中央部には、前記検出コイルが巻かれる範囲を規制するフランジ部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。
  6. 前記第1励磁コイルおよび第2励磁コイルは、前記コイル軸線と直交する方向から見て同一位置に配置されることを特徴とする請求項3から5の何れか一項に記載の磁気センサ。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の磁気センサと、
    前記カードを挿入可能なカード挿入路と、
    前記カード挿入路に接続されるカード搬送路と、
    前記カード搬送路の所定位置に取り込まれた前記カードの前記接点端子と接触して前記ICチップと通信を行うIC接点ブロックと、を有し、
    前記磁気センサは、
    前記第1励磁コイルおよび前記第2励磁コイルが前記カード挿入路のカード通過方向と交差する方向に離間しており、
    前記第1励磁コイルは、前記カードが前記カード挿入路を通過するときに前記接点端子が通過する位置と対向し、
    前記第2励磁コイルは、前記カードが前記カード挿入路を通過するときに前記接点端子から外れた前記カードの部位が通過する位置と対向することを特徴とするカードリーダ。
  8. 前記磁気センサは、前記カード挿入路に前記接点端子を持たないカードが挿入された状態、あるいは、前記カードが挿入されていない状態で、前記検出コイルの出力が予め設定した値となるように前記第1励磁コイルの通電量および前記第2励磁コイルの通電量が設定されていることを特徴とする請求項7に記載のカードリーダ。
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