JP2019033683A - 栽培装置及び栽培方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一態様に係る栽培装置は、作物を着生させる制限培地と、上記制限培地よりも低位置に配置され、灌漑水に肥料を混合した栽培液を貯留する貯留槽と、上記制限培地の底部と上記貯留槽とを接続し、上記貯留槽内の栽培液を毛管現象により制限培地の底部に供給可能な液送部と、上記栽培液を得るために灌漑水に肥料を混合する混合装置を有し、上記貯留槽の液面高さを一定範囲内に保持するよう上記栽培液を上記制限培地又は貯留槽に供給する栽培液供給部と、上記灌漑水をそのまま上記制限培地に散水する灌漑水散水部とを備える。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る栽培装置及び栽培方法を説明する。
図1に示す本発明の一実施形態に係る栽培装置は、灌漑水を貯留する灌漑水タンク1と、肥料を貯留する1又は複数の肥料タンク2と、作物を着生させる制限培地3と、この制限培地3よりも低位置に配置され、灌漑水に肥料を混合した栽培液を貯留する貯留槽4と、制限培地3の底部と貯留槽4とを接続し、貯留槽4内の栽培液を毛管現象により制限培地3の底部に供給可能な液送部5と、貯留槽4の液面高さを一定範囲内に保持するよう栽培液を貯留槽4に供給する栽培液供給部6と、灌漑水タンク1から供給される灌漑水をそのまま制限培地3に上方から散水する灌漑水散水部7とを備える。
灌漑水タンク1は、灌漑水を貯留する。この灌漑水タンク1に貯留される灌漑水としては、塩分を比較的高濃度に含有する汽水(淡水と海水とが混合した水)等を用いることができる。
肥料タンク2は、作物の栽培に必要な肥料を貯留する。肥料タンク2に貯留される肥料としては、灌漑水との混合が容易な液体肥料を用いることが好ましい。また、当該栽培装置は、複数の肥料タンク2を備え、複数種類の肥料を灌漑水に混合した栽培液を使用してもよい。
制限培地3は、容器8と、この容器8内に充填される粒子状の固形培地9とを有する。
貯留槽4は、台座10の側方に形成されることで、制限培地3よりも低位置に配置される。この貯留槽4は、台座10と一体に形成されてもよい。また、貯留槽4の中に台座10を設けることによって、貯留槽4の上方に制限培地3を配置してもよい。
液送部5は、貯留槽4に貯留される栽培液を毛管現象により揚水して制限培地3に供給する。この液送部5は、制限培地3内の水分量が小さくなる程、貯留槽4から制限培地3への栽培液の供給量を増大させる。制限培地3の底面と貯留槽4の液面との高低差は、液送部5による栽培液の供給抵抗となるため、貯留槽4の液面高さによって、制限培地3の底部における含水量を調節することができる。
栽培液供給部6は、レベルセンサ11の出力に応じて、貯留槽4に貯留される栽培液の液面高さを一定範囲内に保持するよう栽培液を貯留槽4に供給するよう構成される。具体的には、貯留槽4の液面高さが所定の下限以下となったときに栽培液の供給を開始し、貯留槽4の液面高さが所定の上限以上となったときに栽培液の供給を停止するよう構成することができる。
灌漑水散水部7は、制限培地3の上方に配置されるシャワーノズル13を有し、このシャワーノズル13から灌漑水をシャワー状に噴水することで、灌漑水を制限培地3の固形培地9に散水することが好ましい。このように、灌漑水をシャワー状に噴水することによって、制限培地3の固形培地9の表面に広範に散水して、固形培地9全体に均等に通水することができる。
本発明の別の実施形態に係る栽培方法は、図1の栽培装置を用い、貯留槽4の液面高さを一定範囲内に保持するよう、灌漑水に肥料を混合すると共にこの混合で得られる栽培液を貯留槽4に供給する工程(供給工程)と、灌漑水をそのまま制限培地3に上方から散水する工程(散水工程)とを備える。
当該栽培装置及び当該栽培方法は、貯留槽4から液送部5を介して比較的小容量の制限培地3の底部に栽培液を供給するため、水分蒸発量が小さく、固形培地9内の塩分濃度の上昇を抑制することができる。また、当該栽培装置及び当該栽培方法は、灌漑水散水部7が灌漑水をそのまま制限培地3に上方から散水するので、制限培地3中の塩分を灌漑水で貯留槽4に排出することができる。したがって、当該栽培装置及び当該栽培方法は、塩分濃度が高い灌漑水を使用しても制限培地3中の塩分濃度を一定の範囲内に保つことができるので、塩分濃度が高い灌漑水を使用して作物を栽培することができる。
図2に示す本発明の別の実施形態に係る栽培装置は、灌漑水を貯留する灌漑水タンク1と、肥料を貯留する1又は複数の肥料タンク2と、作物を着生させる制限培地3aと、この制限培地3aよりも低位置に配置され、灌漑水に肥料を混合した栽培液を貯留する貯留槽4aと、制限培地3aの底部と貯留槽4aとを接続し、貯留槽4a内の栽培液を毛管現象により制限培地3aの底部に供給可能な液送部5と、貯留槽4aの液面高さを一定範囲内に保持するよう栽培液を制限培地3aの表面に供給する栽培液供給部6aと、灌漑水タンク1から供給される灌漑水をそのまま制限培地3aの表面に散水する灌漑水散水部7aとを備える。また、当該栽培装置は、貯留槽4aに制限培地3aから排出された灌漑水を回収する回収部14をさらに備える。
図2の栽培装置において、制限培地3は、貯留槽4aの内部に配置される。具体的には、貯留槽4aの内部に、貯留槽4の周壁よりも高さが小さい台座10aが配置され、制限培地3は、貯留槽4a内の台座10aよりも上方の空間内に収容されている。
貯留槽4aは、この台座10aの周囲の空間に栽培液を貯留する。貯留槽4aは、台座10aと一体に形成されてもよく、台座10aが中空であってもよい。
栽培液供給部6aは、レベルセンサ11の出力に応じて、貯留槽4aに貯留される栽培液の液面高さを一定範囲内に保持するよう栽培液を制限培地3aの固形培地9の表面に供給するよう構成される。
灌漑水散水部7aは、制限培地3aの固形培地9の表面に灌漑水を散水するよう構成される。この灌漑水散水部7aは、栽培液供給部6aと散水チューブ15を共用するよう構成することができる。栽培液供給部6aと灌漑水散水部7aとが散水チューブ15を共用することによって、栽培液供給部6a及び灌漑水散水部7が、互いに干渉せず、栽培液又は灌漑水をいずれも固形培地9の全体に通水できるよう設計することが容易となる。
回収部14は、灌漑水散水部7aから制限培地3aに灌漑水を散水するとき、制限培地3aから貯留槽4aに排出される灌漑水(肥料等を含み得る)を貯留槽4aから排出して不図示の水槽等に回収する機構である。このような回収部14を備えることによって、当該栽培装置は、リーチングに使用した灌漑水を回収して再利用することができるので、灌漑水の使用量を抑制することができる。
本発明のさらに別の実施形態に係る栽培方法は、図2の栽培装置を用い、貯留槽4aの液面高さを一定範囲内に保持するよう、灌漑水に肥料を混合すると共にこの混合で得られる栽培液を制限培地3aに表面から供給する工程(供給工程)と、灌漑水をそのまま制限培地3aに上方から散水する工程(散水工程)とを備える。
当該栽培装置及び当該栽培方法は、灌漑水散水部7aが灌漑水をそのまま制限培地3aに散水するので、制限培地3a中の塩分を貯留槽4aに排出することができる。したがって、当該栽培装置及び当該栽培方法は、塩分濃度が高い灌漑水を使用しても制限培地3a中の塩分濃度を一定の範囲内に保つことができるので、塩分濃度が高い灌漑水を使用して作物を栽培することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
栽培例1として、ビニールハウス内に設置した図1に準じる栽培装置を用い、葉かび病耐病性Cf9をもつトマト「桃太郎ヨーク」を栽培した。制限培地の容量は0.5Lとし、固形培地として鳥取砂丘砂を使用した。灌漑水としては、1000質量ppmの塩化ナトリウム水溶液を使用した。給水工程では、貯留槽の液面高さが、制限培地の底面を基準として−7cmとなるように栽培液を供給した。散水工程は、簡易的塩収支モデルにより推定される制限培地内の塩分濃度が10g/L以上になったときに行った。各散水工程では、制限培地の容量と同量の灌漑水を散水した。
栽培例2は、貯留槽の液面高さを−4cmとした以外は、上記栽培例1と同様とした。
栽培例3は、各散水工程における散水量を制限培地の容量の2倍とした以外は、上記栽培例2と同様とした。
栽培例4は、固形培地として、ルナサンド社の青森砂「ルナサンドH」を使用した以外は、上記栽培例3と同様とした。
栽培例5として、栽培例1〜4と同じビニールハウス内での土耕により、栽培例1〜4と同じトマトを栽培した。土壌としては、鳥取砂丘砂を用い、土壌表層にグラフテック社の水分センサ「WD3−WET−5TE」を設置し、電気伝導度を0.19V(水分含有率換算で11体積%)に保持するよう灌漑水を1株につき1本の点滴チューブから灌水した。
2 肥料タンク
3,3a 制限培地
4,4a 貯留槽
5 液送部
6,6a 栽培液供給部
7,7a 灌漑水散水部
8,8a 容器
9 固形培地
10,10a 台座
11 レベルセンサ
12 混合装置
13 シャワーノズル
14 回収部
15 散水チューブ
Claims (9)
- 作物を着生させる制限培地と、
上記制限培地よりも低位置に配置され、灌漑水に肥料を混合した栽培液を貯留する貯留槽と、
上記制限培地の底部と上記貯留槽とを接続し、上記貯留槽内の栽培液を毛管現象により制限培地の底部に供給可能な液送部と、
上記栽培液を得るために灌漑水に肥料を混合する混合装置を有し、上記貯留槽の液面高さを一定範囲内に保持するよう上記栽培液を上記制限培地又は貯留槽に供給する栽培液供給部と、
上記灌漑水をそのまま上記制限培地に散水する灌漑水散水部と
を備える栽培装置。 - 上記制限培地の容量が、作物1株当たり30L以下である請求項1に記載の栽培装置。
- 上記灌漑水散水部から上記制限培地への灌漑水の散水位置の中心と上記制限培地の中心との水平距離が、上記制限培地の短径の0.3倍以下である請求項1又は請求項2に記載の栽培装置。
- 上記灌漑水散水部から上記制限培地への灌漑水の散水位置の中心と上記制限培地の表面との垂直距離が5cm以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の栽培装置。
- 上記灌漑水散水部が、灌漑水をシャワー状に噴水する請求項4に記載の栽培装置。
- 上記貯留槽に排出された灌漑水を回収する回収部をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の栽培装置。
- 作物を着生させる制限培地と、上記制限培地よりも低位置に配置され、灌漑水に肥料を混合した栽培液を貯留する貯留槽と、上記制限培地の底部と上記貯留槽とを接続し、上記貯留槽内の栽培液を毛管現象により制限培地の底部に供給可能な液送部とを備える栽培装置を用い、
上記貯留槽の液面高さを一定範囲内に保持するよう、上記灌漑水に肥料を混合すると共にこの混合で得られる栽培液を上記制限培地又は貯留槽に供給する工程と、
灌漑水をそのまま上記制限培地に散水する工程と
を備える栽培方法。 - 上記散水工程における灌漑水の散水量が、上記制限培地の容量の1.0倍以上3.0倍以下である請求項7に記載の栽培方法。
- 上記散水工程を上記制限培地の塩分濃度が1g/L以上20g/L以下のときに行う請求項7又は請求項8に記載の栽培方法。
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