JP2019032351A - 光学フィルタおよび光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】意匠性と、赤外光に対する高い感度とを両立させる。【解決手段】光学フィルタは、透明樹脂に、可視光を吸収する1種以上の色素と、微粒子とを含有した波長選択性吸収層を備え、前記波長選択性吸収層は、近赤外域のうちの少なくとも連続する15nmの波長帯である第1の近赤外波長帯の光に対する直進透過率の平均が80%以上であるとともに、波長532nmの光に対する拡散反射率が0.04%以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外光、特に近赤外光を選択的に透過させる光学フィルタ、およびこれを用いた光学装置に関する。
近赤外光は、撮影用途の他、計測、通信、生体認証など様々な用途で用いられている。
近赤外光を利用した光学装置は、一般に近赤外光発光部および/または近赤外光受光部を有している。該光学装置には、これら発光部や受光部を介して近赤外光を外部に出射したり外部から受光したりする目的で、近赤外光を通過させ、可視光を遮断させる近赤外光透過フィルタが設けられる。このような近赤外光透過フィルタは、発光部や受光部に入射する可視光等の不要光を低減できる(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2には、スマートフォン等の意匠性を高めるために淡色系の色を実現しつつ、近赤外光に対する透過性を実現した遮光膜の一例が示されている。
国際公開第2014/084147号パンフレット 特開2015−185096号公報
このようにモバイル端末に用いられる近赤外光透過フィルタは、その光沢度が高いと、筐体と近赤外光透過フィルタとの間で色を合わせてもコントラストが生じて、開口部が視認されるなど装置の意匠性が低下することがある。特に、筐体の色味として、黒色などの濃色でありながらマット感を有する場合、コントラストにより開口部が視認されやすい。
特許文献2に記載の遮光膜は、遮蔽性を実現するために黒色顔料(又は赤色顔料及び青色顔料)を含有した樹脂層Bと、可視光に対して散乱性を持たせるために白色顔料を含有した樹脂層Aとを有する。そして、遮光膜を、基板側に樹脂層Aが位置するように積層することで、可視光に対する遮蔽性および近赤外光に対する透過性だけでなく、色味として淡色化を実現している。
しかし、特許文献2に記載の遮光膜は、透過させるべき近赤外光に対するヘイズについて問題としたような記載はない。ところが、実際には、該遮光膜は、樹脂層Aにおいて可視光だけでなく近赤外光も散乱してしまうため、近赤外光の直進透過率が十分でなく、近赤外光の光利用効率が低いという問題があった。
このように遮光膜を直進透過する近赤外光の光利用効率が低いと、受光素子と組み合わせて用いる赤外線カメラ装置などの光学装置において、画像が暗くなったり、像がぼやけたりするなど品質の低下を引き起こしてしまう。
そこで、本発明は、意匠性(特に、マット感のある濃色の筐体との間での低コントラスト化)と、近赤外光に対する高い感度とを両立した光学フィルタおよび該光学フィルタを用いた光学装置の提供を目的とする。
本発明による光学フィルタは、透明樹脂に、可視光を吸収する1種以上の色素と、微粒子とを含有した波長選択性吸収層を備え、前記波長選択性吸収層は、近赤外域のうちの少なくとも連続する15nmの波長帯である第1の近赤外波長帯における直進透過率の平均が80%以上であるとともに、波長532nmの光に対する拡散反射率が0.04%以上であることを特徴とする。
また、本発明による光学装置は、近赤外域の一部の波長域の光を発光する発光部、または、近赤外域の一部の波長域の光を受光する受光部と、前記発光部または前記受光部を囲う筐体と、前記筐体の開口部に設けられる近赤外光透過フィルタとを備え、前記近赤外光透過フィルタが、上記の光学フィルタであることを特徴とする。
本発明によれば、マット感のある濃色をなす意匠性と、近赤外光に対する高い感度とを両立した光学フィルタおよび該光学フィルタを用いた光学装置を提供できる。
第1の実施形態にかかる光学フィルタ10の例を示す構成図である。 着色樹脂12と微粒子13の屈折率波長分散特性の例を模式的に示す概念図である。 樹脂材料および微粒子材料の屈折率の一例を示す説明図である。 樹脂材料および微粒子材料の屈折率の一例である。 透過光のヘイズの測定方法の概要を示す説明図である。 透過光のヘイズの測定方法の概要を示す説明図である。 拡散反射率の測定方法の概要を示す説明図である。 拡散反射率の測定方法の概要を示す説明図である。 光学フィルタ10の他の構成例を示す図である。 光学フィルタ10の他の構成例を示す図である。 光学フィルタ10の他の構成例を示す図である。 第2の実施形態にかかる光学装置の例を示す構成図である。 実施例および比較例の評価結果である。 実施例および比較例の直進透過率の評価結果を示すグラフである。 比較例の光学フィルタの構成例を示す構成図である。 比較例の光学フィルタの構成例を示す構成図である。
実施形態1.
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる光学フィルタ10の構成例である。光学フィルタ10は、樹脂15中に、可視域に吸収を有する色素14と、微粒子13とを含有した波長選択性吸収層11を備える。なお、以下、樹脂15に色素14が均一に溶解または分散された状態を指して、着色樹脂12という場合がある。
可視域は、およそ波長400〜700nm、より好ましくは400〜730nmである。また、近赤外域は、およそ波長800nm以上である。なお、吸収および拡散反射させたい可視光や、赤外センサの検出帯域を有する近赤外光が予め決まっている場合、可視域、近赤外域ともに上記範囲内において、さらに対象とする波長帯の光を特定してもよい。また、特にことわりがない場合、可視域は波長400〜700nmであり、近赤外域は波長780以上、特に波長800〜2000nmとする。
光学フィルタ10は、近赤外光を用いる光学装置等において、近赤外光を一定割合以上透過させ、可視光を一定割合以上吸収するとともに可視光を一定割合以上拡散反射させる近赤外光透過フィルタとして用いられる。
また、光学フィルタ10は、人の目には、マット感のある濃色(例えば、黒色)に着色されたように観測される。
樹脂15は、可視光に対して散乱がなければ吸収があってよく、近赤外光に対して吸収および散乱のない樹脂であればよい。ここで、吸収の有無は、対象波長の光に対する平均透過率が95%以上であれば吸収がないとするなど、透過率を用いて判定してもよい。
樹脂15は、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エン・チオール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂等が例示できる。
また、樹脂15は、原料成分の分子構造を調整する等により、屈折率を調整できる。具体的には、原料成分のポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を付与する方法が挙げられる。ポリマー内に付与する構造は特に限定されないが、例えば、フルオレン骨格が挙げられる。透明樹脂は複数の異なる樹脂を組み合わせたポリマーアロイでもよい。
また、例えば、樹脂15は、予め高分子量化されている樹脂でも、低分子量体を塗布し、熱または紫外線等のエネルギー線により重合(高分子量化)し硬化させる樹脂でもよい。この様な樹脂を用いることで、モールドを使ったプロセスが可能となり、任意の形状にパターニングすることができる。
樹脂15は、近赤外光に対する屈折率が、1.3〜2.0が好ましく、1.4〜1.7がより好ましい。樹脂15の屈折率をこの範囲にすることで、近赤外域における後述する微粒子13との屈折率差を小さくでき、近赤外光に対するヘイズを低減できる
色素14は、可視光に対して吸収を有する材料(可視光吸収材料)であれば、特に問わない。なお、図1には、樹脂15に、顔料などの所定の粒子径を有する色素14が分散、混入される例を示すが、色素14は、樹脂15に溶解される染料でもよい。また、樹脂15中に、2種以上の色素が含有されてもよい。
色素14は、例えば、黒色色素のみでもよく、黒色色素と緑色色素のように2種以上でもよい。黒色色素の例としては、ペリレン系色素(ペリレン系顔料)、アゾ系色素、アジン系色素、アントラキノン系色素、ペリノン系色素、キノリン系色素が挙げられる。また、緑色色素の例としては、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、シアニン系色素、インドナフトール系色素、キサンテン系色素、ジピロメテン系色素、アントラキノン系色素、ジケトピロロピロール系色素、イモニウム系色素、ジイモニウム系色素、クロコニウム系色素、アゾキレート系色素、ジチオール金属錯体、ジチオレン金属錯体、スクアリリウム金属錯体、及びインドアニリンキレート色素が挙げられる。色素14は、これらのうちの少なくとも1種を含んでもよい。なお、色素14はこれらに限定されない。
色素14は、その種類や量を調整することで、波長選択性吸収層11の遮蔽性を実現できる。遮蔽性の指標として、波長選択性吸収層11は、厚さが1μmのときの可視光の平均透過率が、50%以下が好ましく、40%以下がさらに好ましい。
本実施形態において、色素14は、吸収による着色効果だけでなく、着色樹脂12に屈折率異常分散を生じさせる効果を有している。一般に、物質の屈折率は、光の波長が長くなるに従って単調に減少する傾向にあるが、その物質が吸収を起こす光の波長を有する場合、その波長近辺において急激な変化(異常分散)が生じる。すなわち、着色樹脂12に、色素14による吸収ピークがあると、その吸収ピークに伴い屈折率異常分散が生じる。波長選択性吸収層11は、このような着色樹脂12の可視域での屈折率異常分散を利用して、可視域において着色樹脂12と微粒子13との間に屈折率差を生じさせ、その結果、可視光を散乱させる。屈折率の変化の大きさは、吸収の強さと関係がある。このため、樹脂15に含有させる色素14の種類や量を、色味の観点だけでなく、生じる屈折率異常分散(吸収ピーク波長や吸収の強さ)の観点からも調整することにより、波長選択性吸収層11における可視光に対する散乱性を調整できる。
微粒子13は、可視光を吸収しない材料が好ましい。本実施形態において、微粒子13は、波長選択性吸収層11内において可視光を散乱させるために用いられる。微粒子13は、可視光の散乱能、より具体的にはマット感の発現性の観点から、平均粒子径が、70nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。一方、平均粒子径が大きすぎると波長選択性吸収層11の膜厚を必要以上に厚くしてしまうおそれがあるため、5000nm以下が好ましく、2000nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって測定されたD50の値である。
また、微粒子13は、樹脂15と微粒子13との間の近赤外光に対する屈折率差が小さいまたは屈折率が略一致するような樹脂15と微粒子13の組み合わせが好ましい。
微粒子13は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化イットリウム、酸化イットリビウムの金属酸化物およびこれらの複合酸化物等の金属酸化物微粒子が例示できる。また、微粒子13はこの他にも、アクリル系や、スチレン系、ウレタン系、シリコーン系、ナイロン系の有機高分子微粒子でもよい。なお、微粒子13はこれらに限定されず、樹脂15の屈折率によっては、例えば二酸化チタンの微粒子でもよい。また、微粒子13は、二種以上の材料からなる微粒子でもよく、例えばコーティング処理等がされてもよい。
微粒子13は、近赤外光に対する屈折率が、1.3〜2.5が好ましく、1.4〜2.0がより好ましい。微粒子13の屈折率をこの範囲にすることで、近赤外域における樹脂15との屈折率差を小さくでき、近赤外光に対するヘイズを低減できる。
このように、樹脂15に含有させる色素14の種類や量の調整に加えて、例えば、微粒子13の平均粒子径や、微粒子13とバインダーとなる樹脂15との屈折率の差を調整することで、波長選択性吸収層11の、可視光および近赤外光に対する散乱性を調整できる。なお、屈折率の調整対象の一方を樹脂15としているのは、本発明で用いる色素は近赤外域において吸収が殆ど発現しないため、近赤外域での着色樹脂12の屈折率として、樹脂15の屈折率を援用できるからである。
図2は、着色樹脂12と微粒子13の屈折率波長分散特性の例を模式的に示す概念図である。図2(a)は、着色樹脂12および微粒子13の屈折率波長分散特性の一例を、図2(b)は、着色樹脂12の吸収スペクトルの一例を模式的に示すグラフである。なお、図2(a)は、図2(b)に示すように、色素14によって着色樹脂12に3本の吸収ピークが発生したと仮定したときの、着色樹脂12の屈折率の波長依存性を、微粒子13の屈折率の波長依存性とともに模式的に示したものである。なお、実際の吸収スペクトルは複雑であり、図2(a)、図2(b)はあくまで原理を説明するための概念図である。
着色樹脂12が可視域に吸収を有する場合、図2(a)に示すように、着色樹脂12の屈折率波長分散において、異常分散、特に可視域における急激な変化が生じる(図中の一点鎖線で囲まれた部分参照)。すると、可視域に、微粒子13との屈折率差が大きくなる領域が生じる。一方で、着色樹脂12と微粒子13との間の近赤外域における屈折率差は小さいままである。また、微粒子13と着色樹脂12の吸光度の差は、可視域においては大きく、近赤外域においては小さい。本実施形態の波長選択性吸収層11は、このような屈折率差と吸光度の波長依存性の原理によって波長選択的に発生する散乱現象を利用する。
図1に示す例では、可視光102は、光学フィルタ10の視認側から+z方向で光学フィルタ10に入射する。一方、近赤外光は、光学フィルタ10の視認側から+z方向で光学フィルタ10に入射してもよいし、反視認側から−z方向で入射してもよい。なお、図中の近赤外光101aは前者の例であり、近赤外光101bは後者の例である。
例えば、光学フィルタ10に可視光102が入射すると、該可視光102は波長選択性吸収層11によって一部が吸収され、一部が反射散乱される。このため、光学フィルタ10はマット感のある濃色に着色して見える。一方、光学フィルタ10に近赤外光101a、101bが入射すると、該近赤外光101a、101bは波長選択性吸収層11で一部散乱されるが、多くの成分は直進透過して、そのまま波長選択性吸収層11を透過する。
このような散乱性の評価指標として、波長選択性吸収層11における、近赤外域またはそのうちの特定の波長域(例えば、波長800〜1000nm)での着色樹脂12と微粒子13との間の屈折率差は、0.5以下が好ましく、0.3以下がさらに好ましい。なお、上記条件は、着色樹脂12を樹脂15と置き換えてもよい。これは、近赤外光に対する色素14による吸収は非常に小さいとみなせるからである。
図3および図4に、種々の樹脂材料および微粒子材料の屈折率の一例を示す。なお、図3は、樹脂材料および微粒子材料として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリカ微粒子、アルミナ微粒子および二酸化チタン微粒子の代表的な屈折率波長分散を示すグラフである。また、図4は、同材料の波長532nmおよび940nmの光に対する屈折率の一覧である。このように、樹脂材料および透明微粒子材料として、屈折率が非常に近い組み合わせが存在しており、このような屈折率差の小さい組み合わせを用いれば、近赤外光に対する散乱を抑制できる。なお、光学装置において必要とされる近赤外光の直進透過率によっては、上記程度の屈折率差は許容される場合がある。
また、近赤外光に対する透過性の評価指標として、波長選択性吸収層11は、近赤外域のうちの少なくとも連続する15nmの波長帯である第1の近赤外波長帯の光に対する直進透過率の平均が、80%以上が好ましく、85%以上がさらに好ましい。なお、第1の近赤外波長帯の幅(連続する波長の長さ)は、15nm以上であればよく、30nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。該幅が30nm以上、50nm以上の場合でも、上記の直進透過率の平均は、それぞれ、80%以上が好ましく、85%以上がさらに好ましい。
ここで、第1の近赤外波長帯は、光学フィルタ10を備える光学装置において用いられる近赤外光の波長を少なくとも含んでいればよい。例えば、第1の近赤外波長帯は、光学フィルタ10を備える光学装置において用いられる近赤外光の波長±7.5nmや、該波長±15nmや、該波長±25nmでもよい。
他の指標として、波長選択性吸収層11は、上記の第1の近赤外波長帯の光に対する透過光のヘイズが、1%以下が好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。なお、透過光のヘイズの測定方法については後述する。
また、可視光に対する散乱性の評価指標として、波長選択性吸収層11は、波長532nmの光に対する拡散反射率が、0.04%以上が好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。なお、拡散反射率の測定方法については後述する。
また、着色性の評価指標として、波長選択性吸収層11は、厚さを1μmとしたときの可視光に対する平均透過率が、50%以下が好ましく、40%以下がさらに好ましい。また、波長選択性吸収層11は、可視光に対する平均透過率が、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。なお、上記の波長選択性吸収層11での可視光に対する平均透過率は、波長選択性吸収層11を含む光学フィルタ10全体での可視光に対する平均透過率でもよい。
次に、透過光のヘイズの測定方法を説明する。図5および図6は、本実施形態で用いた透過光のヘイズの測定方法の概要を示す説明図である。なお、特にことわりがない場合、透過光のヘイズは以下に示す方法および条件での測定結果とする。
図5は、透過光のヘイズの測定系の例であり、試験光は、波長940±5nmのレーザー光が使用される。該レーザー光は、光束の直径が1.0mmの平行光となるように調整される。積分球の大きさは、直径2インチ、入口開口0.5インチ、出口開口0.15インチ、受光器開口0.5インチとする。受光器開口は、入口開口および出口開口から90°の中心角をなす位置に設けられる。積分球の入口開口および出口開口の中心を試験光が通過するようにする。試験片は、入口開口から10mm離れた位置に置かれる。なお、試験光の波長は、光学フィルタに使用する近赤外光の波長に合わせて変更でき、その波長の光に対する測定結果をもって透過光のヘイズを評価できる。
また、図6は、透過光のヘイズを測定するための計測値T1〜T4の計測手順を示す説明図である。本実施形態では、透過光のヘイズH[%]を、4つの計測値T1〜T4を基に、以下の式(1)によって求める。
H=(T4/T2−T3/T1)×100 ・・・(1)
T1は、入射光の光束の測光結果を表す。T1は、図6(a)に示すように、入口開口に何も設けず、出口開口に参照白板を設けた状態で試験光を入射させて測定された値である。T2は、試験片を透過した光束の測光結果を表す。T2は、図6(b)に示すように、入口開口に試験片を設けるとともに、出口開口に参照白板を設けた状態で試験光を入射させて測定された値である。T3は、装置で拡散した光束の測光結果を表す。T3は、図6(c)に示すように、入口開口および出口開口に何も設けない状態で試験光を入射させて測定された値である。T4は、装置および試験片で拡散した光束の測光結果を表す。T4は、図6(d)に示すように、入口開口に試験片を設け、出口開口に何も設けない状態で試験光を入射させて測定された値である。なお、参照白板は、積分球同様、ほぼ100%の光が拡散反射されるようにコーティングされている。
なお、透過光のヘイズの測定方法はこれに限定されず、例えば、村上色彩技術研究所製分光ヘイズメーターHSP−150VIR等を用いてもよい。この測定方法においても、透過光のヘイズHは1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
次に、拡散反射率の測定方法を説明する。図7および図8は、本実施形態で用いた拡散反射率の測定方法の概要を示す説明図である。なお、特にことわりがない場合、拡散反射率は以下に示す方法および条件での測定結果とする。
図7は、拡散反射率の測定系の例であり、試験光は、波長532nmのレーザー光が使用される。積分球の大きさは、直径2インチ、開口は全て0.5インチとする。受光器開口(図示省略)は、入口開口、出口開口および反射開口から90°の中心角をなす位置に設けられる。積分球の入口開口および出口開口の中心を試験光が通過するようにする。反射開口に貼り付けられる参照白板または試験片は、正反射光が出口開口を通過するように設けられる。
また、図8は、拡散反射率を測定するための計測値R1,R2の計測手順を示す説明図である。本実施形態では、拡散反射率DR[%]を、2つの計測値R1,R2を基に、以下の式(2)によって求める。
DR=R2/R1×100 ・・・(2)
R1は、装置の拡散反射光の光束の測光結果を表す。R1は、図8(a)に示すように、入口開口および出口開口に何も設けず、反射開口に参照白板を設けた状態で試験光を入射させて測定された値である。R2は、試験片の拡散反射光の光束の測光結果を表す。R2は、図8(b)に示すように、入口開口および出口開口に何も設けず、反射開口に試験片を設けた状態で試験光を入射させて測定された値である。得られた拡散反射率DRは、0.04%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましい。
また、図9〜図11は、光学フィルタ10の他の構成例を示す図である。図9に示すように、光学フィルタ10は、例えば、基材16をさらに備え、基材16上に波長選択性吸収層11が積層されていてもよい。また、図10(a)に示すように、光学フィルタ10は、さらに波長選択性吸収層11のいずれか一方の面に誘電体多層膜17を備えていてもよく、図11に示すように、波長選択性吸収層11の両方の面に、誘電体多層膜17(誘電体多層膜17aおよび誘電体多層膜17b)を備えていてもよい。なお、波長選択性吸収層11が基材16の上に積層されている場合は、波長選択性吸収層11の外側および/または基材16の外側に、誘電体多層膜17(誘電体多層膜17aおよび/または誘電体多層膜17b)を備えていてもよい(図10(b)、図11参照)。
基材16は、近赤外光に対して吸収や散乱のない部材により構成されていればよく、可視光に対して吸収を有する部材でも構わない。なお、基材16は、例えば、ガラスや樹脂等によって作製された基板でもよい。
誘電体多層膜17、17aおよび17bは、例えば、近赤外光や上記の第1の近赤外波長帯の光に対して反射防止機能を有するものでもよい。また、誘電体多層膜17、17aおよび17bは、例えば、上記の第1の近赤外波長帯よりも長波長の光に対して反射機能を有し、バンドパスフィルタとして機能するものでもよい。また、誘電体多層膜17、17aおよび17bは、上記の両方の機能を有するものでもよく、上記機能のいずれかを有する誘電体多層膜が2種組み合わされたものでもよい。
なお、第1の近赤外波長帯の光に対する反射防止機能および第1の近赤外波長帯よりも長波長の光に対する反射機能を実現する部材は、誘電体多層膜に限らない。例えば、第1の近赤外波長帯の光に対し、塗布法を用いて得られる反射防止膜がある。用いられる材料としては、第1の近赤外波長帯の光に対して、吸収と散乱がない材料であれば、特に制限ないが、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素化アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、フッ素化シクロオレフィン樹脂などが挙げられる。またシリカ微粒子や中空シリカ微粒子を加えることで、低屈折率化の実現や耐擦傷性の向上が可能となる。反射防止膜の厚さは通常、100〜2000nmである。
また、図示省略しているが、基材16と波長選択性吸収層11との間に機能性フィルム等による接着層を備えていてもよい。
このように、本実施形態によれば、波長選択性吸収層11が色素14と微粒子13とを含むことにより、マット感のある濃色をなす意匠性と、近赤外光に対する高い感度とを両立した光学フィルタを実現できる。
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態を、図面を参照して説明する。図12は、本発明の第2の実施形態にかかる光学装置の例を示す構成図である。
図12に示す光学装置100は、筐体4内に、近赤外光発光部2および/または近赤外光受光部3を有している。また、光学装置100は、筐体4に設けられた開口部を覆うように上述した光学フィルタ10が設けられている。このような構成とすることにより、近赤外光は、光学フィルタ10を通して筐体4の外部へ受発光される。
光学装置100は、例えば、近赤外光を用いて画像を撮影するカメラ装置や、近赤外光を用いて、物体の距離や近くの物体の有無を検出する距離センサ、近接センサなどの計測装置や、近赤外光を用いて情報通信などを行う通信装置や、近赤外光を用いて虹彩や指紋、静脈の認証などの生態認証などを行う認証装置といった光学装置である。
また、筐体4は、近赤外光発光部2や近赤外光受光部3以外の他の機能を発揮する機器を囲っていてもよい。
本実施形態において、筐体4の外側表面は、黒色などの濃色かつマット感のある色味に着色されている。
近赤外光発光部2は、ランプなどに限らず、LEDやレーザ光源を用いたものでもよい。また、近赤外光発光部2は、自身が近赤外光を発光する機能を有するものに限らず、他で発光された近赤外光を出力する送信部でもよい。
また、近赤外光受光部3は、フォトダイオードのような単一の受光素子に限らず、CMOSセンサなどのように、画像情報を取得するものでもよい。
このような構成であれば、近赤外光の送信感度および/または受信感度を低下させずに、筐体の開口部から内部が視認されず、かつ、開口部自体も外部から視認されにくい光学装置が得られる。
例1.
本例は、図9に示した光学フィルタ10の一実施例である。本例において、樹脂15にはポリイミド樹脂(三菱ガス化学(株)製 商品名「L−3450」)を用いた。また、色素14には、3種の色素、具体的には、アゾ系色素(1)(C.I.ソルベントオレンジ7)、アゾ系色素(2)(C.I.ソルベントブラック3)、フタロシアニン系色素(山田化学工業(株)製 商品名「FDN−001」)を用いた。また、微粒子13には、シリカ微粒子(日産化学社製、商品名「MEK−AC−5140Z」微粒子濃度(SiO固形分)40wt%)を用いた。また、基材16には、近赤外光透過ガラス(松波硝子工業(株)製 商品名「D263Teco」)板を用いた。
本例の樹脂15は、波長940nmの光に対する屈折率が1.60であり、微粒子13は、波長940nmの光に対する屈折率が1.45であり、その差は0.15である。また、微粒子13の平均粒子径は、約100nmである。
また、製造方法は次の通りである。まず、上記のポリイミド樹脂を0.797gと、上記のアゾ系色素(1)を0.062g、アゾ系色素(2)を0.078gおよびフタロシアニン系色素を0.081gと、表面調整剤としてのBYK−325(ビックケミージャパン(社)製)を0.005gと、上記のシリカ微粒子を1.275gとを、シクロペンタノン8.5gに溶解して溶液を調製した。
次に、この溶液を、76mm×76mm×0.145mmの上記の基材16の一方の面に塗布した後、焼成して、波長選択性吸収層11となる構造体を形成した。塗布には、スピンコータ(ミカサ(株)製 スピンコータMS−A200)を用いた。また、焼成温度は150℃、焼成時間は10分である。形成された波長選択性吸収層11は、厚さ7.2μmであり、構造体中の微粒子濃度(SiO濃度)は、33wt%であった。
このようにして得た本例の光学フィルタ10の評価結果を図13および図14に示す。結果は、図5〜8を用いて説明した測定方法に基づいて得たものであり、他の実施例、比較例についても同様である。図13に示すように、本例の光学フィルタ10は、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが0.06%であり、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが0.12%であり、いずれも良好な結果となった。また、実際にマット感のある濃色の筐体に組み込んだところ、非視認性(コントラスト判定)は良好すなわち境界が目立たず、低コントラストであることが確認された。
また、図14は、各例の直進透過率の評価結果を示すグラフである。なお、図14(a)は、波長400〜1000nmの光に対する各例の直進透過率の評価結果を示すグラフであり、図14(b)は、そのうちの波長400〜800nmの光における直進透過率を、0〜5%の値域にて拡大して示したグラフである。また、図14(c)は、そのうちの波長800〜1000nmの光における直進透過率を、80〜95%の値域にて拡大して示したグラフである。
図14によれば、本例の光学フィルタ10は、可視域、特に波長400〜700nmおよび波長400〜730nmの光に対する直進平均透過率が5%未満であるとともに、近赤外域、特に波長850〜1000nmの光に対する直進平均透過率が80%以上である。また、本例の光学フィルタ10は、近赤外域、特に波長870〜1000nmの光に対する直進透過率の変動が小さく、いずれの波長域の光においても85%以上の高水準を保っている。
例2.
本例は、第1例の光学フィルタ10と比べて、微粒子13として、シリカ微粒子ではなくアルミナ微粒子を用いた点が異なる。なお、本例も、図10に示した光学フィルタ10の一実施例である。本例において、微粒子13には、アルミナ微粒子(トーヨーカラー社製、商品名「OP−9611Aホワイト」、微粒子濃度75wt%)を用いた。なお、他の材料は第1例と同様である。
本例の微粒子13は、波長940nmの光に対する屈折率が1.76であり、樹脂15の屈折率との差は0.16である。また、微粒子13の平均粒子径は、約400nmである。
また、製造方法は次の通りである。まず、第1例と同じポリイミド樹脂を0.548gと、第1例と同じアゾ系色素(1)を0.029g、アゾ系色素(2)を0.036gおよびフタロシアニン系色素を0.038gと、表面調整剤としてのBYK−325(ビックケミージャパン(社)製)を0.002gと、上記のアルミナ微粒子を0.046gとを、シクロペンタノン5.5gに溶解して溶液を調製した。
この溶液を、第1例と同じ基材16上に第1例と同様の方法で製膜し、波長選択性吸収層11となる構造体を形成した。形成された波長選択性吸収層11は、厚さ7.1μmであり、構造体中の微粒子濃度(Al濃度)は、5wt%であった。
図13に示すように、本例の光学フィルタ10は、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが0.10%であり、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが0.9%であり、いずれも良好な結果となった。また、実際にマット感のある濃色の筐体に組み込んだところ、非視認性(コントラスト判定)は良好すなわち境界が目立たず、低コントラストであることが確認された。
また、図14によれば、本例の光学フィルタ10は、可視域、特に波長400〜700nmおよび波長400〜730nmの光に対する直進平均透過率が5%未満であるとともに、近赤外域、特に波長850〜1000nmの光に対する直進平均透過率が85%以上である。また、本例の光学フィルタ10は、近赤外域、特に波長850〜1000nmの光に対する直進透過率の変動がほとんどなく、いずれの波長域の光においても85%以上の高水準を保っている。
例3.
本例は、第1例の光学フィルタ10の構成に、さらに、機能性フィルムを備えた例である。機能性フィルムには、OCAテープ(3M社製、商品名「optically clear adhesive 8211」;厚さ25μm)を用いた。なお、他の材料は第1例と同様である。
また、製造方法は次の通りである。まず、剥離性基材としてロールフィルム(日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノア(登録商標)ZF16」;厚さ100μm)を用意し、該基材の一方の面に第1例と同様の方法で波長選択性吸収層11となる構造体を形成した。形成された波長選択性吸収層11は、厚さ7.2μmであり、構造体中の微粒子濃度(SiO濃度)は、33wt%であった。
次に、該構造体上に微粘着フィルム(日栄化工(株)製 商品名「PET75−H109(20)」を貼り合わせ、上記の剥離性基材を剥離した。次に、剥離性基材が備えられていた側の構造体の表面に、上記のOCAテープを貼り合わせた。この後、第1例と同じ基材16の一方の面に上記OCAテープを貼り合わせ、上記の微粘着フィルムを剥離した。このようにして本例の光学フィルタ10を得た。該光学フィルタ10において、構造体(波長選択性吸収層11)およびOCAテープの厚さの合計は32μmであった。
図13に示すように、本例の光学フィルタ10は、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが0.07%であり、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが0.5%であり、いずれも良好な結果となった。また、実際にマット感のある濃色の筐体に組み込んだところ、非視認性(コントラスト判定)は良好すなわち境界が目立たず、低コントラストであることが確認された。
また、図14によれば、本例の光学フィルタ10は、可視域、特に波長400〜700nmおよび波長400〜730nmの光に対する直進平均透過率が5%未満であるとともに、近赤外域、特に波長850〜1000nmの光に対する直進平均透過率が85%以上である。また、本例の光学フィルタ10は、近赤外域、特に波長850〜1000nmの光に対する直進透過率の変動が小さく、いずれの波長域の光においても85%以上の高水準を保っている。
比較例1.
本例は、波長選択性吸収層11が微粒子13を含まない例に相当する。図15は、本例の光学フィルタ90aの構成を示す構成図である。本例の光学フィルタ90aは、基材96と、着色樹脂92とを備える。基材96および着色樹脂92は、上記の実施形態の基材16、着色樹脂12に相当する。なお、着色樹脂92は、図示省略しているが、樹脂中に色素を含有したものである。
本例において、基材96には、第1例の基材16と同様のものを用いた。また、着色樹脂92を構成する樹脂には、ポリイミド樹脂(三菱ガス化学(株)製 商品名「L−3450」)を用いた。また、着色樹脂92を構成する色素には、3種の色素、具体的には、アゾ系色素(1)(C.I.ソルベントオレンジ7)、アゾ系色素(2)(C.I.ソルベントブラック3)、フタロシアニン系色素(山田化学工業(株)製 商品名「FDN−001」)を用いた。
また、製造方法は次の通りである。まず、上記のポリイミド樹脂を0.27gと、上記のアゾ系色素(1)を0.026g、アゾ系色素(2)を0.033gおよびフタロシアニン系色素を0.081gと、表面調整剤としてのBYK−325(ビックケミージャパン(社)製)を0.002gとを、シクロペンタノン2.73gに溶解して溶液を調製した。
この溶液を、上記の基材96の一方の面に塗布した後、焼成し、着色樹脂92となる構造体を形成した。塗布には、スピンコータ(ミカサ(株)製 スピンコータMS−A200)を用いた。また、焼成温度は150℃、焼成時間は10分である。このようにして本例の光学フィルタ90aを得た。形成された着色樹脂92は、厚さ4.2μmであった。
図13に示すように、本例の光学フィルタ90aは、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが0.08%であって良好であるが、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが0.02%であり、0.03%以下であって可視光に対する散乱性を満足しない結果となった。実際にマット感のある濃色の筐体に組み込んだところ、境界が視認されるなど、高コントラストであることが確認された。
比較例2.
本例は、波長選択性吸収層11が、着色樹脂と、着色を含まない散乱層とに分かれて備えられた例に相当する。図16は、本例の光学フィルタ90bの構成を示す構成図である。本例の光学フィルタ90bでは、基材96上に、散乱層98と、着色樹脂92とがこの順序で積層されている。基材96および着色樹脂92は、上記の実施形態の基材16、着色樹脂12に相当する。また、散乱層98は、樹脂95中に散乱のための微粒子93を含有したものである。
本例において、基材96には、第1例の基材16と同様のものを用いた。また、着色樹脂92を構成する樹脂には、ポリイミド樹脂(三菱ガス化学(株)製 商品名「L−3450」)を用いた。また、着色樹脂92を構成する色素には、3種の色素、具体的には、アゾ系色素(1)(C.I.ソルベントオレンジ7)、アゾ系色素(2)(C.I.ソルベントブラック3)、フタロシアニン系色素(山田化学工業(株)製 商品名「FDN−001」)を用いた。また、樹脂95には、着色樹脂92と同様の、ポリイミド樹脂(三菱ガス化学(株)製 商品名「L−3450」)を用いた。また、微粒子93には、シリカ微粒子(日産化学社製、商品名「MEK−AC−5140Z」微粒子濃度(SiO固形分)40wt%)を用いた。
本例の樹脂95の波長940nmの光に対する屈折率は1.60であり、微粒子93の波長940nmの光に対する屈折率は1.45であり、その差は0.15である。また、微粒子93の平均粒子径は、約100nmである。
また、製造方法は次の通りである。まず、樹脂95として、上記のポリイミド樹脂0.36gを、シクロペンタノン3.64gに溶解させ、次に、微粒子93として、上記のシリカ微粒子を0.1g加えて、白色散乱塗工液を調整した。
この溶液を、上記の基材96上に第1例と同様の方法で製膜し、散乱層98となる構造体を形成した。形成された散乱層98は、厚さ0.8μmであり、構造体中の微粒子濃度(SiO濃度)は、10wt%であった。
次に、この散乱層98上に、第1の比較例と同様の方法で着色樹脂92を形成し、本例の光学フィルタ90bを得た。
図13に示すように、第2比較例の光学フィルタ90bは、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが0.25%であって良好であるが、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが0.03%であり、可視光に対する散乱性能を満足しない結果となった。実際にマット感のある濃色の筐体に組み込んだところ、境界が視認されるなど、高コントラストであることが確認された。
比較例3.
本例は、第2の比較例の光学フィルタ90bと比べて、微粒子93にシリカ微粒子ではなく二酸化チタンを用いた点が異なる。本例において、微粒子93には、二酸化チタン微粒子(堺化学社製、商品名「D918」平均粒子径280nm)を用いた。なお、他の材料は第2比較例と同様である。
本例の樹脂95の波長940nmの光に対する屈折率は1.6であり、微粒子93の波長940nmの光に対する屈折率は2.5であり、その差は0.9である。
また、製造方法は次の通りである。まず、0.10gの二酸化チタン微粒子と、0.10gの分散剤(ビックケミージャパン社製、商品名「BYK−170」)と、10gのシクロペンタノンとをそれぞれ秤量し、ガラスビーズを加え、ボールミルで分散処理を行うことで、1wt%のTiO分散液を得た。さらに、この分散液2gに、樹脂95を0.18g溶解して、溶液(白色散乱塗工液)を調整した。
次に、この溶液を、基材96上に第2の比較例と同様の方法で製膜し、散乱層98となる構造体を形成した。形成された散乱層98は、厚さ3μmであり、構造体中の微粒子濃度(TiO濃度)は、10wt%であった。
次に、この散乱層98上に、第1の比較例と同様の方法で着色樹脂92を形成し、本例の光学フィルタ90bを得た。
図13に示すように、第3比較例の光学フィルタ90bは、波長532nmの光に対する拡散反射率DRが1.90%であって良好であるが、波長940nmの光に対する透過ヘイズHが1.48%であり、1%以上であって赤外光に対する直進透過性能を満足しない結果となった。
また、図14によれば、本例の光学フィルタ90bは、可視域の光に対する直進平均透過率は1%未満であるが、近赤外域のほとんどの領域の光に対して直進透過率が85%を下回っている。また、本例の光学フィルタ90bは、近赤外域の光に対する直進透過率の変動も大きく、感度が安定しないことが予想される。
本発明は、近赤外光を利用する撮影用途の他、計測、通信、生体認証など様々な装置に好適に利用できる。
100 光学装置
10 光学フィルタ
11 波長選択性吸収層
12 着色樹脂
13 微粒子
14 色素
15 樹脂
16 基材
17、17a、17b 誘電体多層膜
101a、101b 近赤外光
102 可視光
2 近赤外光発光部
3 近赤外光受光部
4 筐体
90a、90b 光学フィルタ
92 着色樹脂
93 微粒子
95 樹脂
96 基材
98 散乱層

Claims (15)

  1. 透明樹脂に、可視光を吸収する1種以上の色素と、微粒子とを含有した波長選択性吸収層を備え、
    前記波長選択性吸収層は、近赤外域のうちの少なくとも連続する15nmの波長帯である第1の近赤外波長帯の光に対する直進透過率の平均が80%以上であるとともに、波長532nmの光に対する拡散反射率が0.04%以上である
    ことを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記波長選択性吸収層は、厚さが1μmのときの可視光に対する平均透過率が50%以下である
    請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 可視光に対する平均透過率が5%以下である
    請求項1または請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記波長選択性吸収層は、前記第1の近赤外波長帯の光に対する透過ヘイズが1%以下である
    請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルタ。
  5. 前記微粒子の平均粒子径が、70〜5000nmである
    請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルタ。
  6. 近赤外光に対する、前記透明樹脂に前記色素を含有した色素含有透明樹脂と前記微粒子との屈折率差が、0.5以下である
    請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルタ。
  7. 前記透明樹脂の近赤外光に対する屈折率が1.3〜2.0であり、
    前記微粒子の近赤外光に対する屈折率が1.3〜2.5である
    請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルタ。
  8. 前記微粒子は、シリカ、ポリスチレン、アルミナ、酸化イットリウム、酸化イットリビウムの金属酸化物およびこれらの複合酸化物、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、シリコーン系、ナイロン系から選ばれる少なくとも1種を含む
    請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルタ。
  9. 前記色素は、黒色色素を含む
    請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルタ。
  10. 前記色素は、緑色色素および黒色色素を含む
    請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルタ。
  11. 透明基板を備え、
    前記波長選択性吸収層は、前記透明基板上に形成される
    請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルタ。
  12. 前記波長選択性吸収層の少なくとも一方の主面に、誘電体多層膜を備える
    請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルタ。
  13. 前記誘電体多層膜は、前記第1の近赤外波長帯の光に対して反射防止機能を有する
    請求項1〜12のいずれかに記載の光学フィルタ。
  14. 前記誘電体多層膜は、前記第1の近赤外波長帯よりも長波長の光を遮蔽する反射機能を有する
    請求項1〜13のいずれかに記載の光学フィルタ。
  15. 近赤外域の一部の波長域の光を発光する発光部、または、近赤外域の一部の波長域の光を受光する受光部と、前記発光部または前記受光部を囲う筐体と、前記筐体の開口部に設けられる近赤外光透過フィルタとを備え、
    前記近赤外光透過フィルタが、請求項1〜14に記載の光学フィルタのいずれかである
    ことを特徴とする光学装置。
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