本発明は、振動型角速度センサの改良を目的とする。
本開示は、振動型角速度センサ用の環状共振器を提供し、環状共振器は、X−Y平面内に位置する平面状の環状部材と、環状部材をX−Y平面内で柔軟に支持するように配置された1つ以上の支持構造とを備え、1つ以上の支持構造はそれぞれ、環状部材から半径方向に延び、X−Y平面における第1の厚さを有する半径方向部分と、半径方向部分から円周方向に延び、X−Y平面における第2の厚さを有する円周方向部分とを備えており、第1の厚さが第2の厚さよりも大きい。
したがって、本開示によれば、支持構造(すなわち、脚)は、X−Y平面における種々の厚さを有した少なくとも2つの実質的に直交する部分に分けられることが、当業者には理解されるであろう。さらに、半径方向部分は円周方向部分よりも厚い。このことは、例えばせん断による衝撃が並進モードを励起したときに生じる脚の応力のピークを低下させ、また、検出に使用されるCos2θモードの共振周波数またはQ値に影響することなく、望ましくない共振モードの周波数を高くする。
いくつかの例では、支持構造は、半径方向部分が環状部材から半径方向に延び、円周方向部分が半径方向部分から円周方向に延びる実質上L字形とすることができる。しかし、例えば、振れの電気的なトラッキングを可能にするために、支持構造が環状部材からさらに半径方向に延びることが望ましい場合がある。したがって、いくつかの例では、1つ以上の支持構造はそれぞれ、円周方向部分から半径方向に延びる追加の半径方向部分を備える。支持構造は、実質的にZ形状であってもよい。そのような例では、好ましくは、追加の半径方向部分は、半径方向部分と同じ方向に半径方向に延びる。したがって、支持構造は、円周方向部分であっても環状部材の周りにスポークとして配置されてよい。さらに、または代替的に、支持構造は、環状部材から半径方向の内側または外側に延びることができる。好ましくは、支持構造は、単独または組、例えば対で配置され、環状部材の周りに等角度間隔で配置される。
1つ以上の支持構造は、環状部材の半径方向の内側または外側に配置された固定支持体に接続されてもよい。いくつかの例では、支持構造は固定支持体と一体的に形成される。さらに、または代替的に、支持構造は、環状部材と一体的に形成される。固定支持体、環状部材及び支持構造は、好ましくは同じ材料で作られ、さらに好ましくは、それらは当技術分野で知られている技術、例えば深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を用いて、単一のシリコンウェハから構築される。
これらの例のいずれにおいても、導電性(例えば、金属性)トラッキングは、例えば環状部材と固定支持体との間に配置された1つ以上の支持構造に沿わせておくことができる。角速度センサは、容量型、誘導型、または圧電型のセンサであってもよい。誘導型は、中央磁石を可能にするために、通常、外部に取り付けられた支持脚、すなわち環状部材から半径方向の外側に延びる支持構造を有している。容量型及び圧電型は、通常、内部に取り付けられた支持脚、すなわち環状部材から半径方向の内側に延びる支持構造を有している。
一連の例では、環状共振器は、偶数個の支持構造を、好ましくは8個備え、環状部材の周囲に対で配置されている。一対の支持構造は、例えばWO2010/007406に開示されているように、環状部材の円周の周りに等角度間隔で配置することができ、WO2010/007406の内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。好ましくは、支持構造の各対は、時計回りの支持構造と反時計回りの支持構造とを備える。1つ以上の支持構造に沿わせた導電性トラッキングを備える誘導型センサの例では、対称的な時計回り、反時計回りの対の支持構造が、磁場内のトラッキングに沿って流れる電流による環状共振器のねじれを防止する。環状共振器が奇数個の支持構造を備える他の例では、当然ながら支持構造は、依然として環状部材の周囲に等角度間隔で配置されてよい。
第1の厚さを第2の厚さよりも大きくすることにより、モーダルスペクトルは、並進モードにより高い周波数を与えるように最適化することができ、このことはcos2θモード周波数に影響を与えることなく堅牢性を助長する。1つ以上の例では、第1の厚さが第2の厚さよりも少なくとも20%、30%、40%または50%大きい。1つ以上の例では、第1の厚さが第2の厚さよりも20%から80%大きい。例えば、第2の厚さは約22μmであってもよく、第1の厚さは少なくとも26μm、例えば26から28μmであってもよい。いくつかの例では、第2の厚さは25から30μmの範囲内にあり、第1の厚さは35から40μmの範囲内にあってもよい。いくつかの例では、第2の厚さは10μmと低い。半径方向部分を厚くする(すなわち、第1の厚さを厚くする)と、cos2θモード周波数に影響を及ぼすことなく、いくつかのモード周波数が高くなり、衝撃下の応力も減少する。円周方向部分を厚くする(すなわち、第2の厚さを厚くする)と、cos2θモード周波数と他のモード周波数が高くなり、一方、衝撃下の応力は減少する。第1の厚さと第2の厚さとの間の差異を調整することにより、衝撃下の応力を減少させることができ、センサをより堅牢なものとし、一方では、cos2θモード周波数の所望の共振周波数(例えば14kHz)と高いQ値とを維持しつつ、望ましくないモードをcos2θモード周波数から適切に遠く離れた周波数に保持する。
第1及び第2の厚さを互いに相対的に調整することに加え、環状部材の厚さを調整することにより、例えばcos2θモードの共振周波数を調整することもできる。
少なくともいくつかの例では、半径方向及び/または円周方向部分の形状を調整することによって、支持構造内の応力を低減することができる。本出願人は、支持構造と環状部材との間の接続部、及び/または、固定支持体を備える例では、支持構造と固定支持体との間の接続部において最大応力領域が経験され得ることを認識している。支持構造の半径方向部分と円周方向部分との間の接続部においてもまた、最大応力領域が経験され得る。前者を軽減するために、支持構造の半径方向部分は、フィレットのような接続部によって環状部材及び/または固定支持体に接続されてもよく、支持構造は、接続部で幅が大きく、接続部から離れたところで幅が小さくなるように先細る。後者を軽減するために、半径方向部分と円周方向部分との間、及び場合により円周方向部分と追加の半径方向部分との間の1つ以上の接続部は、接続部で幅が大きく、接続部から離れたところで幅が小さくなるように先細る支持構造を備えてもよい。これらの例のいずれにおいても、接続部は、楕円形のフィレットを備えることができる。楕円形のフィレットが良好な応力低減をもたらすことが判明しているが、他の形状のフィレット、例えば湾曲状、三角形状、またはフレア状のものも可能である。FE解析を使用して、接続部の幅の変化を最適化し、応力集中を低減することができる。環状共振器は、少なくとも1つのバンプストップ、例えば環状部材の半径方向の外側に配置されるバンプストップをさらに備えてもよい。バンプストップは、振動型角速度センサにおける環状部材の面内移動を制限し、最大応力限界を規定するのに役立つことが知られている。
本開示は、上述した例のいずれかによる環状共振器を備えた振動型角速度センサにまで及ぶ。センサは、容量型角速度センサ、誘導型角速度センサまたは圧電型センサであってもよい。振動型角速度センサにおいて周知であるように、環状共振器は、使用時にCos2θモードで共振するように構成することができる。
固定支持体を備えた例では、これは八角形状であってもよく、その一例がEP2799814に詳細に記載されている(その内容は、参照により本明細書の一部を構成するものとして援用される)。
本明細書に記載される任意の例の特徴は、必要に応じて、本明細書に記載される他の例に適用することができる。種々の例または一連の例を参照する場合、これらは必ずしも別個である必要は無く、重複してもよいことを理解されたい。
本開示のいくつかの例を、添付の図面を参照して説明する。
図1は、一例に係る誘導型の振動型角速度センサの概略断面図であり、支持ガラス層104と、下部極106と、磁石108と、上部極110とを含む構成要素の積層体を載せたベース102を備えている。ペデスタル112は、下部極106の周辺の支持ガラス層104上に置かれ、環状共振器100を含むシリコンダイ114を支持している。環状共振器100は、平面状の環状部材(または「リング」)202を備えており、この環状部材202は、シリコンダイ114に形成された複数の支持構造(または「脚」)204によって柔軟に支持されている。環状共振器100は、上部極110と下部極106との間に位置するように配置され、以下でより詳細に説明するように、速度センサの回転速度の決定を行うことができるように、使用中に振動するように構成されている。
磁石108は、環状共振器100の領域に垂直磁場を生成し、環状共振器100によって支えられた金属トラックに沿って接線方向に振動電流が印可され、これにより環状共振器100を一次Cos2θモードで半径方向に振動させる。WO2010/007406(その内容は、参照により本明細書の一部を構成するものとして援用される)は、金属トラックが、一般にリング部材202の上面の絶縁表面酸化層の上及びその支持脚204に沿ってどのように装備されるかについてのさらなる詳細を提供し、各金属トラックは、単一の駆動装置またはピックオフトランスデューサに結合されている。図1は誘導型の振動型角速度センサを示すが、磁石部品が無い代わりに放射状の容量電極が設けられた容量型のバージョンも可能である。そのような容量型の振動型角速度センサの一例が、US6,282,958に記載されており、その内容は、参照により本明細書の一部を構成するものとして援用される。
図2は、速度センサの環状共振器100のより詳細な図を示している。環状共振器100は、外径部と面内における厚さが例えば120ミクロンの厚み部分とを有した平面状の環状部材202を備える。環状部材202は、例えば図1に示されたシリコンダイ114によって画定されるようなX−Y平面内に位置する。環状共振器100は、複数の支持構造(または「脚」)204をさらに備えており、支持構造204は、環状部材202の周囲に配置されていて、また、環状部材202の外径部に接続されており、そして環状部材202によって画定されるX−Y平面内に位置している。支持構造204は、固定支持体201を形成するシリコンダイの残りの部分に対して、環状部材202を柔軟に支持する。この例では、固定支持体201は八角形の形状をとっていることが分かる。
各支持構造204は、内側半径方向部分206、円周方向部分208及び外側半径方向部分210を備えている。内側半径方向部分206は、環状部材202の外径部上の接続部212から半径方向の外側に延びる。内側半径方向部分206の最も外側の端部は、円周方向部分208の第1の端部を画定する。円周方向部分208は、外側半径方向部分210の内端を画定する第2の端部まで円周方向に(すなわち、上記外径部から実質的に一定の距離を維持して)延びる。外側半径方向部分210は、その内端から外端まで半径方向の外側に延びる。誘導型センサ用の環状共振器のこの例では、支持構造204は、環状部材204から固定支持体201まで半径方向に外に向かって延びている。しかし、他の例では、1つ以上の支持構造204が、代替的または追加的に、例えば容量型センサにおいて、環状部材204の内部に配置された中央ボスなどの固定支持体に対して、半径方向に内に向かって延び得ることが理解されよう。
この例では、複数の支持構造204の半分は、円周方向部分208が第1の端部から第2の端部まで時計回りの方向に延びるという点で「時計回り」の構造である。複数の支持構造204の他の半分は、円周方向部分208が第1の端部から第2の端部まで反時計回りの方向に延びるという点で「反時計回り」の構造である。複数の支持構造204は、時計回り及び反時計回りの支持構造204が環状部材202の周りで交互になるよう、対で配置される。環状共振器100は、合計16個(すなわち、8対の時計回り及び反時計回り)の支持構造204を備える。これら8対は、誘導型センサにおいて、磁場内のトラッキングに沿って流れる電流に起因した環状共振器のねじれを防止する。当然ながら、任意の適切な数の支持構造204が環状部材202の周囲に配置され、その円周の周りに均等または不均等に間隔を置いて配置されてもよい。
各支持構造204の内側及び外側半径方向部分206及び210は、円周方向部分208の厚さよりも大きな厚さを有するように製作される。例えば、内側及び外側半径方向部分206及び210は、25から40ミクロンの厚さを有していてよく、円周方向部分208は、約20ミクロンの厚さを有していてよい。厚さは、環状部材202の、例えば図1に示したシリコンダイ114によって画定されるX−Y平面において測定される。これらの厚さは、例えば深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を用いる、環状部材202の製造中のエッチング技術及び/または製造後の技術によって定められてもよい。内側及び外側半径方向部分206及び210の厚さが厚いほど、環状共振器100は、使用中に遭遇する可能性のある並進運動の衝撃に対して、より高い弾性を有するようになる。しかし、以下に示すように、支持構造204の厚さ及び形状の変化のすべては、特定の共振モードにおける環状共振器100の共振周波数に影響を及ぼさないように注意深く設計されなければならない。
各支持構造204と環状部材202との間の接続部212はまた、環状共振器100の応力耐性が最大になるように設計されている。例えば、フィレットを支持構造204の根元に加え、そこで環状部材202との接続部212を形成するようにしてもよい。支持構造204の他端に、固定支持体201との接続部を形成するフィレットを備えることもできる。これらの接続部212のより詳細な説明については、図4を参照して後に提示する。
製造中、導電性(例えば金属性)材料が環状部材202及び支持構造204の表面に選択的に塗布されて、いくつかの導電性ループが形成される。導電性材料は、各ループが電気的に分離されることを保証するために、厚さ約1μmの薄い酸化物層によって、環状部材202の導電性シリコンから絶縁されている。導電性ループ214のトラッキング経路の例が、図2に点線で示される。いくつかのこのようなループ214が、環状部材202の全周に形成され、当技術分野で周知のように、使用中に制御可能な交流(AC)電源(図示せず)に接続される。
使用時に環状共振器100は、環状部材202が磁石108の2つの極106及び110の間の磁場内に位置するように、図1に示すような速度センサ内に配置させることができる。交流電流がCos2θ共振周波数で、直径方向に対向する導電性ループ214(一次駆動トラック)に対して選択的に印加され、その結果生じたローレンツ力が環状部材202を変形させることにより、環状共振器100を、印加される交流電流の周波数と、環状部材202の厚さ及び支持構造204の厚さのような物理的パラメータとで決定される共振周波数のCos2θモードで共振させる。共振の定常状態である一次Cos2θモードが、図3aに図式的に表されている。
図3aは、環状共振器302における一次Cos2θ振動モードを図式的に示している。環状共振器302は、通常(励起されていない場合)は円形である。しかし、一次Cos2θモードで励起されると、環状共振器302は変形し、より具体的には、x軸に沿って整列した主軸を有する楕円と、y軸に沿った主軸を有する楕円との間で振動する。この面内共振が図3aに示されている。
角速度センサが回転すると、ローレンツ力によって引き起こされる変形の性質がコリオリ力の影響によって変化し、この変形の変化を測定することで、センサが経験している回転速度を示す指標とすることができる。この変形の変化は、図3bに図式的に表されており、図3bは、角速度に比例した動作の振幅を有し、一次モードに対して45度をなす二次振動モードを示している。一次及び二次Cos2θ振動モードでは、環状共振器はいかなるせん断力も経験しない。
「開ループ」タイプのシステムでは、上述の動作の振幅が測定されて、センサによって経験される角速度を示す指標とするが、「閉ループ」タイプのシステムでは、二次動作がゼロになるように二次駆動が適用される。この場合、二次駆動振幅が角速度に比例するため、二次駆動振幅を測定すれば角速度を示す指標が得られる。
環状共振器100において、支持構造204は、環状部材202の面内振動を構造の残りの部分から隔離するように設計されている。支持構造204が薄いほど、環状部材202はより隔離される。円周方向部分208の薄さが、このような隔離をもたらす。
支持構造204の数は、Cos2θモードが平衡している(すなわち、一次及び二次モードが同じ周波数を有する)ことを確かにするように選択される。8対の支持構造(本明細書に記載)はこの基準を満たすが、例えば4対は適切でないことが知られている。環状共振器は、任意の適切な数の支持構造を備えることができる。種々の数の脚を有した環状共振器のいくつかの例は、US6,883,374、US6,848,305及びUS6,978,674に見出すことができる。
本出願人は、並進運動の衝撃の間に環状共振器100が、環状部材202の面内横方向の偏位に起因し、半径方向脚部206及び210に作用するせん断力を伴う並進モードでも励起され得ることを認識している。しかしながら、支持構造204の半径方向部分206及び210の厚さを増加させることによって、この並進モードにおける環状部材202の共振周波数が高くなるので、これにより、いかなる励起も低減される。上述したように、厚さが増した支持構造204の半径方向部分206及び210には応力耐性も付加されるため、環状共振器100は、支持構造204の(環状部材202との及び固定支持体201との)接続部における高い応力に起因した故障をせず、並進運動のより大きな衝撃に耐えることができる。支持構造204の半径方向部分206及び210を厚くするだけならば、Cos2θモードでの振動の周波数に影響を与えないことを意味する。
図示されていないが環状共振器100は、環状部材202が、並進モードで任意の方向に所定量を超えて移動することを防止する1つ以上のバンプストップを固定支持体201上にさらに備えることができる。このようなバンプストップは、環状部材202及び/または円周方向部分208の外径部から適切に離間していてもよい。
図4は、図2の破線の円F4で強調された領域であって、一対の支持構造204の内側半径方向部分206と環状部材202との間の接続部212の上面図を概略的に示している。内側半径方向部分206は、面内での主要な幅を有する主要部分402と、環状部材202との接続部212に向かって外側に先太りになる端部分404とを備えていて、接続部212における端部分404の面内での幅は、主要部分402の面内での主要な幅よりも大きい。この端部分404の広がったテーパは、楕円形のフィレットを備える。
端部分404の楕円形フィレットは、支持構造204と環状部材202との間の接触表面積を増加させ、接続部212の堅牢性を高める一方で、環状共振器100の動作に影響を及ぼす可能性のある支持構造204の重量または剛性には有意な増加をもたらさない。支持構造204と固定支持体201との間の接続部もまた、本明細書で説明するように楕円形のフィレットを備えることができる。
図1の例は、誘導型ジャイロスコープまたは角速度センサに関する。しかし、環状共振器100は、容量型または圧電型ジャイロスコープにおいても同様に使用できることが理解されよう。環状部材202の外径部からのバンプストップの距離は、ジャイロスコープのタイプと、環状部材202の一般的な移動範囲とに応じて調整することができる。
[実施例]
本開示の実施例による環状共振器であるロバストSGH03をモデル化した。モデル化された環状共振器の寸法は、16個の支持構造の円周方向部分の厚さが22μm、支持構造の半径方向部分の厚さが27μmであり、環状部材の厚さが120μmである。
モデル化された環状共振器の性能は、従来技術の一般的な3つの共振器と比較され、寸法は以下の通りである。SGH01は、支持構造(脚)の厚さが50μm、リングの厚さが120μmである。SGH02は、支持構造(脚)の厚さが20μm、リングの厚さが120μmである。SGH03は、支持構造(脚)の厚さが20μm、リングの厚さが120μmである。
図5aは、モデル化された環状共振器の共振モード周波数を示す。このグラフは、Cos2θモードと並進モードの両方において、従来技術の一般的な3つの共振器の共振モード周波数を、本実施例による共振器のものと共に示している。
本実施例によるロバストSGH03共振器の並進モードにおける共振周波数502は、約12kHzであることが分かり、これはテストされた他の共振器の並進共振周波数よりも高く、このモードにおける共振器の剛性は他の共振器よりも高いことを示している(一般的に、共振周波数は剛性の平方根に比例する)。SGH01は、同様の(わずかに低い)並進共振周波数を有し、テストされた他の共振器と比較して堅牢ではあるが性能が低い(Q値が低い)ことが知られている。
Cos2θモードにおける本実施例による共振器の共振周波数504は、従来技術の共振器のそれとほぼ同じ14kHzであることが分かる。これは、支持構造の厚さの差異と改良された接続部が、Cos2θモードにおける共振周波数に影響しないことを実証している。
並進モードとCos2θモードの共振周波数が重ならないという事実は、共振器がCos2θモードで振動しているときに、(望ましくない)並進モードの不慮の励起が最小限に抑えられることを意味する。
図5bは、共振器がせん断方向に(すなわち、共振器の平面内で)20000gの力を受けたときに測定された最大応力値を示す。本実施例によるロバストSGH03共振器が経験する応力506は、従来技術の一般的な共振器に比べて大幅に低減されることが明らかである。
経験された応力の減少は、この共振器が、Cos2θモードを14kHzの同じ共振周波数に維持しながらも、従来技術の一般的な共振器よりもより堅牢であり、より大きな衝撃に耐えることができることを示す。これにより、より強固で高性能(高Q値)のセンサが実現される。