JP2019031945A - 空燃比センサの異常診断装置 - Google Patents

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【課題】ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサの異常診断の精度を担保することが可能な空燃比センサの異常診断装置。【解決手段】空燃比センサの異常診断装置は、三元触媒16と、燃料噴射弁13と、複数の気筒のうちの一部の気筒をリーン燃焼気筒とし、複数の気筒のうちの別の気筒をリッチ燃焼気筒とするディザ制御処理を実行するディザ制御部と、空燃比センサ31とを備えた内燃機関に適用され、複数の気筒における空燃比を変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて該空燃比センサ31の異常診断を行う。空燃比センサの異常診断装置は、ディザ制御処理が実行されているときには、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、空燃比センサ31の異常診断を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、空燃比センサの異常診断装置に関する。
特許文献1に記載の内燃機関は、各気筒において生成された排気が排出される排気通路を有している。排気通路には、各気筒における空燃比を検出するための空燃比センサが設けられている。特許文献1に記載の空燃比センサの異常診断装置では、空燃比を理論空燃比よりもリーンにしたときと、空燃比を理論空燃比よりもリッチにしたときとの空燃比センサの出力の変化に基づいて異常診断を行う。すなわち、空燃比を理論空燃比よりもリーンにしたときの空燃比センサの出力と、空燃比を理論空燃比よりもリッチにしたときの空燃比センサの出力との差や比などが予め定められている正常範囲外にあるときに異常と判定している。
また、内燃機関においては、排気通路に設けられている触媒を早期に昇温させるために、内燃機関の複数の気筒のうち、一部の気筒における空燃比を、理論空燃比よりもリーンとし、他の気筒における空燃比を、理論空燃比よりもリッチにするディザ制御処理を実行することがある。このように、各気筒間において空燃比を変化させることにより、排気通路に未燃燃料と酸素とが供給され、これらが反応することによって触媒の温度が早期に上昇する。
特開2009‐299500号公報
各気筒に導入される各々の吸気の合計を、各気筒に噴射される各々の燃料噴射量の合計で割った質量比を平均空燃比とする。発明者は、平均空燃比が同じ場合であっても、上記ディザ制御処理により排気通路に供給される未燃燃料の影響により、ディザ制御処理を実行しているときと、ディザ制御処理を実行していないときとでは、空燃比センサの出力にずれが生じることを見出した。特許文献1に記載されているように空燃比を変化させることによって空燃比センサの異常診断を行う場合、ディザ制御処理が実行されているときには、上述した空燃比センサの出力のずれに起因して、空燃比センサが正常であるにも拘わらず空燃比センサの出力が正常範囲外の値となり、異常であると誤診断される事態が生じ得る。このように、特許文献1に記載の空燃比センサの異常診断装置は、異常診断の精度を担保する上で、未だ改善の余地がある。
上記課題を解決するための空燃比センサの異常診断装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、複数の気筒から排出された排気を浄化する触媒と、前記複数の気筒のうちの一部の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とするディザ制御処理を実行するディザ制御部と、前記排気通路において前記触媒よりも排気上流側に配置された空燃比センサとを備えた内燃機関に適用され、前記複数の気筒における空燃比を変化させたときの前記空燃比センサの出力に基づいて該空燃比センサの異常診断を行う空燃比センサの異常診断装置であって、前記ディザ制御部によって前記ディザ制御処理が実行されているときには、前記ディザ制御処理が実行されているときと、前記ディザ制御処理が実行されていないときとにおける前記空燃比センサの出力のずれを考慮して、前記空燃比センサの異常診断を行う。
上記構成では、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサの出力のずれを考慮して空燃比センサの異常診断を行う。そのため、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合に、ディザ制御処理の実行に起因した空燃比センサの出力のずれを考慮しない構成に比して、空燃比センサの異常診断をより正確に行うことが可能になる。したがって、上記構成によれば、ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサの異常診断の精度を担保することが可能になる。
第1実施形態の空燃比センサの異常診断装置および内燃機関を示す図。 空燃比センサの異常診断装置を含む制御装置の機能ブロック図。 空燃比センサの異常診断処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。 (a)〜(d)は、空燃比センサの異常診断処理における各パラメータの推移を示すタイミングチャート。 空燃比センサの出力のずれ量を示すグラフ。 第2実施形態の空燃比センサの異常診断装置における異常診断処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。 (a)〜(c)は、空燃比センサの異常診断処理における各パラメータの推移を示すタイミングチャート。 補正要求値と空燃比センサの出力との関係を示すグラフ。 第3実施形態の空燃比センサの異常診断装置における異常診断処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。 空燃比センサの応答時間の違いを模式的に示すグラフ。 補正要求値と空燃比センサの出力における振幅との関係を示すグラフ。 空燃比センサの応答時間のずれ量を示すグラフ。 第4実施形態の空燃比センサの異常診断装置における異常診断処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。 空燃比センサの出力の変化態様を示すグラフ。 平均空燃比と空燃比センサの出力との関係を示すマップ。 空燃比センサの異常診断装置の変形例において実行される実行時異常診断処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。 (a)〜(e)は、空燃比センサの異常診断処理における各パラメータの推移を示すタイミングチャート。
(第1実施形態)
空燃比センサの異常診断装置の第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関10の機関本体11には、4つの気筒(第1気筒#1〜第4気筒#4)が形成されている。機関本体11には吸気通路12が連結されている。吸気通路12は、吸気下流側の端部が4つに分岐していて、分岐した端部の各々が別々の気筒に接続されている。各気筒#1〜#4には、吸気通路12を通じて吸気が供給される。機関本体11には、複数の燃料噴射弁13が設けられている。燃料噴射弁13は、複数の気筒毎に1つずつ設けられている。燃料噴射弁13は、気筒内に燃料を噴射する。また、機関本体11には、複数の点火プラグ14が設けられている。点火プラグ14は、複数の気筒毎に1つずつ設けられている。各気筒#1〜#4では、吸気通路12から導入された吸気と、燃料噴射弁13から噴射された燃料とが混合して混合気が生成される。なお、混合気における吸気と燃料との質量比を空燃比という。混合気は、点火プラグ14によって着火されて燃焼する。
機関本体11には排気通路15が連結されている。排気通路15は、排気上流側の端部が4つに分岐していて、分岐した端部の各々が別々の気筒に接続されている。各気筒#1〜#4において、混合気の燃焼により生じた排気は、排気通路15に排出される。排気通路15には、排気を浄化する触媒として三元触媒16が設けられている。三元触媒16は、排気に含まれる酸素を吸蔵する機能を有している。三元触媒16は、吸蔵した酸素または排気に含まれる酸素を用いて、排気に含まれる一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を酸化する。また、三元触媒16は、排気に含まれる窒素酸化物(NOx)を還元する。排気通路15には、三元触媒16よりも排気上流側に空燃比センサ31が配置されている。空燃比センサ31は、排気通路15を流れる排気の酸素濃度、すなわち、各気筒における空燃比に応じた電気信号を出力する。
内燃機関10の制御装置20には、空燃比センサ31からの出力信号が入力される。また、制御装置20には、クランクシャフトの回転速度である機関回転速度NEを検出するクランク角センサ32、及び各気筒#1〜#4に供給される吸入空気量Gaを検出するエアフローメータ33などの各種のセンサからの出力信号も入力される。制御装置20は、CPU、ROM、およびRAMを備えている。制御装置20は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより空燃比フィードバック制御や、ディザ制御などの各種制御を実行する。
空燃比フィードバック制御は、空燃比センサ31の出力に基づいて算出される実際の空燃比(検出空燃比Af)と、空燃比の目標値である目標空燃比Af*との偏差を小さくするために実行される制御である。ディザ制御は、排気通路15に設けられている三元触媒16の温度を早期に上昇させる昇温要求が生じることを条件に実施される制御である。ディザ制御では、各気筒#1〜#4における一部の気筒における空燃比を、理論空燃比よりもリーンとし、他の気筒における空燃比を、理論空燃比よりもリッチにすることで、排気通路15に未燃燃料と酸素とを供給し、三元触媒16におけるこれらの反応によって触媒床温を早期に上昇させる。なお、昇温要求は、例えば、三元触媒16の床温が所定温度以下であるときなどを含む。
図2に示すように、制御装置20は、機能部として、第1目標空燃比設定部M10、ベース噴射量算出部M12、フィードバック項算出部M14、及びフィードバック処理部M16を有している。また、制御装置20は、機能部として、要求値算出部M20、リッチ補正係数算出部M22、リッチ補正部M24、乗算処理部M26、リーン補正係数算出部M28、リーン補正部M30、及び噴射量制御部M32を有している。要求値算出部M20、リッチ補正係数算出部M22、リッチ補正部M24、乗算処理部M26、リーン補正係数算出部M28、リーン補正部M30、及び噴射量制御部M32がディザ制御部を構成している。
第1目標空燃比設定部M10は、内燃機関10の運転状態や、後述する要求値算出部M20によって算出された補正要求値αなどに基づいて第1目標空燃比Af1*を設定する。第1目標空燃比Af1*は、各気筒において全ての気筒#1〜#4における空燃比を平均した平均空燃比に対する目標値に相当する。なお、平均空燃比とは、各気筒#1〜#4に導入される各々の吸気の合計を、各気筒#1〜#4に噴射される各々の燃料噴射量の合計で割った質量比である。
ベース噴射量算出部M12は、第1目標空燃比設定部M10によって設定された第1目標空燃比Af1*、機関回転速度NE、及び吸入空気量Gaに基づき、燃料噴射量におけるベース噴射量Qbを算出する。ベース噴射量Qbは、各気筒#1〜#4における空燃比を第1目標空燃比Af1*に制御するための開ループ操作量として算出される。
フィードバック項算出部M14は、検出空燃比Afを第1目標空燃比Af1*にフィードバック制御するためのフィードバック操作量KAFを算出する。フィードバック項算出部M14は、第1目標空燃比Af1*から検出空燃比Afを減算した値を入力とする比例要素、積分要素、および微分要素の各出力値の和を、フィードバック操作量KAFとして算出する。
フィードバック処理部M16は、ベース噴射量算出部M12によって算出されたベース噴射量Qbに、フィードバック項算出部M14によって算出されたフィードバック操作量KAFを乗算して、要求噴射量Qdを算出する。
要求値算出部M20は、平均空燃比を第1目標空燃比Af1*としつつも、各気筒#1〜#4における空燃比を異ならせるディザ制御処理を実行する際の補正要求値αを算出する。本実施形態では、ディザ制御処理において、第1気筒#1〜第4気筒#4のうちの1つの気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチとするリッチ燃焼気筒とし、残りの3つの気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンとするリーン燃焼気筒とする。そして、リッチ燃焼気筒における噴射量を、要求噴射量Qdの「1+α」倍とし、リーン燃焼気筒における噴射量を、要求噴射量Qdの「1−(α/3)」倍とする。
リッチ補正係数算出部M22では、補正要求値αに「1」を加算することで、リッチ燃焼気筒に関する要求噴射量Qdの補正係数「1+α」を算出する。
リッチ補正部M24は、リッチ補正係数算出部M22によって算出された補正係数「1+α」を要求噴射量Qdに乗算することによって、リッチ燃焼気筒とされる気筒#wの燃料噴射量Qr*を算出する。「w」は、「1」〜「4」のいずれかを意味する。
乗算処理部M26では、補正要求値αを「−1/3」倍する。リーン補正係数算出部M28では、乗算処理部M26の出力値に「1」を加算して、リーン燃焼気筒に関する要求噴射量Qdの補正係数「1−(α/3)」を算出する。リーン補正部M30は、リーン補正係数算出部M28によって算出された補正係数「1−(α/3)」を要求噴射量Qdに乗算することによって、リーン燃焼気筒とされる気筒#x,#y,#zの燃料噴射量Ql*を算出する。「x」,「y」,「z」は、「1」〜「4」のいずれかであって、且つ「w」、「x」,「y」,「z」は、互いに異なるものとする。ちなみに、気筒#1〜#4のうちのいずれがリッチ燃焼気筒となるかは、1燃焼サイクルよりも長い周期で変更されることが望ましい。
噴射量制御部M32は、リッチ補正部M24が算出した燃料噴射量Qr*と同量の燃料がリッチ燃焼気筒とされる気筒#wに噴射されるように該気筒#wに設けられている燃料噴射弁13を制御する。また、噴射量制御部M32は、リーン補正部M30が算出した燃料噴射量Ql*と同量の燃料がリーン燃焼気筒とされる気筒#x,#y,#zに噴射されるように、各気筒#x,#y,#zに設けられている燃料噴射弁13を制御する。
また、制御装置20は、機能部として、第2目標空燃比設定部M34と、フィードバック処理禁止部M36とを有している。
第2目標空燃比設定部M34は、フィードフォーワード制御によって燃料噴射量を制御するための第2目標空燃比Af2*を算出する。第2目標空燃比Af2*は、内燃機関10の運転状態や、補正要求値αなどに基づいて設定される。第2目標空燃比Af2*は、各気筒において全ての気筒#1〜#4における空燃比を平均した平均空燃比に対する目標値に相当する。
フィードバック処理禁止部M36は、フィードバック処理部M16においてベース噴射量Qbに対するフィードバック操作量KAFの乗算処理を禁止する禁止処理を実行する。フィードバック処理禁止部M36によって禁止処理が実行されると、ベース噴射量Qbは、フィードバック操作量KAFが乗算されることなく、リッチ補正部M24及びリーン補正部M30に入力される。
制御装置20では、フィードフォーワード制御を実行する際に、ベース噴射量算出部M12において、第2目標空燃比設定部M34によって設定された第2目標空燃比Af2*、機関回転速度NE、及び吸入空気量Gaに基づいて、ベース噴射量Qbを算出する。第2目標空燃比Af2*に基づいて算出されたベース噴射量Qbは、各気筒#1〜#4における空燃比を第2目標空燃比Af2*に制御するための開ループ操作量として算出される。そして、フィードバック処理禁止部M36によって禁止処理を実行することで、第2目標空燃比Af2*に基づいて算出されたベース噴射量Qbを、フィードバック操作量KAFによって補正することなく、要求噴射量Qdとしてリッチ補正部M24及びリーン補正部M30に入力させる。なお、要求値算出部M20は、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する場合には、補正要求値αを、平均空燃比を第2目標空燃比Af2*としつつも、各気筒#1〜#4における空燃比を異ならせるための値として算出する。
また、制御装置20は、各種制御として、空燃比センサ31の異常を診断する異常診断処理を行う。すなわち、制御装置20は、空燃比センサ31の異常診断装置としても機能する。本実施形態では、異常診断処理においてフィードフォーワード制御によって燃料噴射量を制御する。異常診断処理では、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチにした基準リッチ空燃比と、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリーンにした基準リーン空燃比とに繰り返し変化させる。そして、こうして第2目標空燃比Af2*を変化させて実際の平均空燃比を変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて、異常診断を行う。なお、目標空燃比Af*が同じ値に設定されている場合、すなわち平均空燃比が同じになるように制御されている場合であっても、ディザ制御処理を実行しているときと、ディザ制御処理を実行していないときとでは、空燃比センサ31の出力にずれが生じることがある。このずれは、ディザ制御処理により排気通路15に供給される未燃燃料の影響によるものである。そのため、空燃比センサ31の出力に基づいた空燃比センサ31の異常診断を、ディザ制御処理を実行しつつ行う場合には、空燃比センサ31の出力のずれによって、異常がないにも拘わらず異常と誤判定する事態が生じ得る。本実施形態では、異常診断処理において、ディザ制御処理が実行されているときには、ディザ制御処理が実行されているときとディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、空燃比センサ31の異常診断を行う。
図3のフローチャートを参照して、本実施形態における空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理の流れについて説明する。空燃比センサ31の異常診断処理は、制御装置20によって所定周期毎に繰り返し実行される。なお、以下では、異常診断処理の実行前後において、検出空燃比Afが理論空燃比に制御される場合を例に説明する。
図3に示すように、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を実行すると、制御装置20はまず、異常診断処理の実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS300)。異常診断処理の実行条件としては、例えば、空燃比センサ31が活性温度以上であり、燃料噴射弁13の異常が生じていない場合などが挙げられる。制御装置20は、異常診断処理の実行条件が成立していると判定すると(ステップS300:YES)、燃料噴射量をフィードバック制御によって設定する態様から、フィードフォーワード制御によって設定する態様に切り換える。すなわち、ベース噴射量算出部M12は、第2目標空燃比設定部M34によって設定された第2目標空燃比Af2*に基づいてベース噴射量Qbを算出するとともに、フィードバック処理禁止部M36が上述した禁止処理を実行する。
制御装置20は次に、ディザ制御処理の実行中ではないか否かを判定する(ステップS301)。この処理では、例えば、三元触媒16の床温が所定温度を超えているときに、ディザ制御処理の実行中ではないと判定する。制御装置20は、ディザ制御処理の実行中ではないと判定すると(ステップS301:YES)、次に通常時異常診断処理を実行する(ステップS302)。
図4(a)に実線で示すように、タイミングt41において実行条件が成立し、通常時異常診断処理を開始すると、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に設定する。第2目標空燃比Af2*が基準リッチ空燃比に設定されると、図4(c)に実線で示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdが増量される。これにより、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に変化する。図4(d)に実線で示すように、空燃比センサ31が正常であるときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に相当する値となる。その後、制御装置20は、タイミングt42において、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に設定する。第2目標空燃比Af2*が基準リーン空燃比に設定されることにより、図4(c)に実線で示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdが減量される。これにより、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に変化する。図4(d)に実線で示すように、空燃比センサ31が正常であるときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リーン空燃比に相当する値となる。なお、本実施形態では、理論空燃比から基準リッチ空燃比までのリッチ側ずれ量と、理論空燃比から基準リーン空燃比までのリーン側ずれ量とが等しくなるように、基準リッチ空燃比及び基準リーン空燃比が設定されている。
その後、制御装置20は、タイミングt43において第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比に設定し、タイミングt44において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定する。制御装置20は、タイミングt44において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定すると、通常時異常診断処理を終了する。
図3に示すように、制御装置20は、通常時異常診断処理を実行すると、次に、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303の処理では、図4に示すように、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比にしたとき(例えば、タイミングt41〜t42)における空燃比センサ31の出力が、基準リッチ空燃比に相当する値を含むリッチ側正常範囲R1内にあるか否かを判定する。リッチ側正常範囲R1は、基準リッチ空燃比に相当する値よりも高い第1上限判定値A1と、基準リッチ空燃比に相当する値よりも低い第1下限判定値A2との間の範囲である。また、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比にしたとき(タイミングt42〜t43)における空燃比センサ31の出力が、基準リーン空燃比に相当する値を含むリーン側正常範囲R2内にあるか否かを判定する。リーン側正常範囲R2は、基準リーン空燃比に相当する値よりも高い第2上限判定値B1と、基準リーン空燃比に相当する値よりも低い第2下限判定値B2との間の範囲である。これらリッチ側正常範囲R1、及びリーン側正常範囲R2は、空燃比センサ31の異常を判定可能な範囲となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
制御装置20は、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力がリッチ側正常範囲R1内にあって、且つ空燃比センサ31のリーン側の出力がリーン側正常範囲R2内にあるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS303:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS304)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、ステップS303の処理において、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力がリッチ側正常範囲R1内にない場合、または空燃比センサ31のリーン側の出力がリーン側正常範囲R2内にない場合には、制御装置20は、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS303:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS305)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
一方で、制御装置20は、ステップS301の処理において、ディザ制御処理の実行中であると判定した場合には(ステップS303:NO)、実行時異常診断処理を実行する(ステップS306)。
図5に一点鎖線で示すようにディザ制御処理を実行しているときには、図5に実線で示すようにディザ制御処理を実行していないときに比して、空燃比センサ31の出力がリッチ側にずれた値となる。すなわち、図5に実線で示すように、ディザ制御処理を実行していないときには、空燃比センサ31の出力は平均空燃比に対応した値となる。そのため、平均空燃比が理論空燃比であれば、空燃比センサ31の出力も理論空燃比に相当する値Qrとなる。
一方、図5に一点鎖線で示すように、ディザ制御処理を実行しているときには、空燃比センサ31の出力が、平均空燃比に対応した値よりもリッチ側にずれた値となる。そのため、平均空燃比が理論空燃比であっても、空燃比センサ31の出力は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に相当する値Qfとなる。
ここで、本実施形態では、ディザ制御処理の実行時には、実行時異常診断処理を実行するようにしているが、こうした構成との違いを明らかにするために、本実施形態の比較例として、ディザ制御処理の実行と通常時異常診断処理とを併せて実行する場合を例に説明する。
図4(b)に二点鎖線で示すように、この構成では、通常時異常診断処理の実行前後を通じてディザ制御処理の実行条件が成立している。図4(c)に示すように、通常時異常診断処理を開始する前(タイミングt41よりも前)には、第2目標空燃比Af2*が理論空燃比に設定されている。この場合、空燃比センサ31が正常であっても、図4(d)に二点鎖線で示すように、空燃比センサ31の出力は理論空燃比に相当する値にはならず、空燃比センサ31の出力は理論空燃比よりもリッチ側の値になる。そのため、空燃比センサ31の出力は、ディザ制御処理を実行していないときの出力(図4(d)の実線)に比して、リッチ側にずれている。なお、空燃比センサ31の出力は、なまし処理などが施されていて、ディザ制御処理により各気筒#1〜#4の空燃比が異なる場合であっても、それら空燃比を平均した平均空燃比に相当する値として出力される。また、通常時異常診断処理を開始する前において、ディザ制御における燃料噴射量を、第2目標空燃比Af2*に基づいて設定するのではなく、第1目標空燃比Af1*に基づいて設定することも可能である。
そして、タイミングt41において、通常時異常診断処理が開始されると、第2目標空燃比Af2*が理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に設定される。これにより、燃料噴射量の要求噴射量Qdが増量され、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化する。こうした空燃比の変化に追従して、タイミングt41以降は、空燃比センサ31の出力がリッチ側に変化するが、このときの空燃比センサ31の出力は、基準リッチ空燃比に対応した値よりもリッチ側にずれた値となる。また、タイミングt42において、第2目標空燃比Af2*が理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に設定されると、燃料噴射量の要求噴射量Qdが減量され、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリーン側に変化する。こうした空燃比の変化に追従して、タイミングt42以降は、空燃比センサ31の出力がリーン側に変化するが、このときの空燃比センサ31の出力は、基準リーン空燃比に対応した値よりもリッチ側にずれた値となる。そのため、空燃比センサ31が正常であるときであっても、空燃比センサ31の出力がリッチ側正常範囲R1内や、リーン側正常範囲R2内にない場合が生じ得る。
こうした点に鑑み、本実施形態では、ディザ制御処理が実行されているときには、通常時異常診断処理ではなく、実行時異常診断処理を実行する。実行時異常診断処理では、上述した出力のずれを考慮して異常診断を行う際の第2目標空燃比Af2*を変化させる。すなわち、制御装置20は、異常診断処理の実行条件が成立したタイミングt41において、ディザ制御処理が実行されているときには、実行時異常診断処理を開始する。そして、実行時異常診断処理ではまず、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比よりもリーン側の減少リッチ空燃比に設定する。減少リッチ空燃比の設定は、例えば図5に示すマップに基づいて行う。このマップは、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。これにより、図4(c)に一点鎖線で示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdは、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比に設定した場合(図4(c)の実線)に比して少なくなる。すなわち、第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比に設定した場合の要求噴射量である減少リッチ噴射量は、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比に設定した場合の要求噴射量である基準リッチ噴射量よりも少なくなる。減少リッチ空燃比は、ディザ制御処理が実行されていないときとの空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、空燃比センサ31の出力が、基準リッチ空燃比に相当する値となるように上記マップから求められる。そのため、図4(d)に実線で示すように、第2目標空燃比Af2*が減少リッチ空燃比に設定されている場合、ディザ制御処理が実行されていても、空燃比センサ31が正常であるときには、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に対応した値となる。
その後、制御装置20は、タイミングt42において、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比よりもリーン側の増大リーン空燃比に設定する。これにより、図4(c)に一点鎖線で示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdは、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定した場合(図4(c)の実線)に比して少なくなる。すなわち、第2目標空燃比Af2*を増大リーン空燃比に設定した場合の要求噴射量である増大リーン噴射量は、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定した場合の要求噴射量である基準リーン噴射量よりも少なくなる。増大リーン空燃比は、ディザ制御処理が実行されていないときとの空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、空燃比センサ31の出力が、基準リーン空燃比に相当する値となるように上記マップから求められる。そのため、図4(d)に実線で示すように、第2目標空燃比Af2*が増大リーン空燃比に設定されている場合、ディザ制御処理が実行されていても、空燃比センサ31が正常であるときには、空燃比センサ31の出力は、基準リーン空燃比に対応した値となる。その後、制御装置20は、タイミングt43において第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比に設定し、タイミングt44において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定する。制御装置20は、タイミングt44において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定すると実行時異常診断処理を終了する。
図3に示すように、制御装置20は、実行時異常診断処理を実行すると、次に、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303の処理では、図4に示すように、第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比にしたとき(例えば、タイミングt41〜t42)における空燃比センサ31の出力が、リッチ側正常範囲R1内にあるか否かを判定する。また、第2目標空燃比Af2*を増大リーン空燃比にしたとき(タイミングt42〜t43)における空燃比センサ31の出力が、リーン側正常範囲R2内にあるか否かを判定する。
制御装置20は、実行時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力がリッチ側正常範囲R1内にあって、且つ空燃比センサ31のリーン側の出力がリーン側正常範囲R2内にあるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS303:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS304)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、ステップS303の処理において、実行時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力がリッチ側正常範囲R1内にない場合、または空燃比センサ31のリーン側の出力がリーン側正常範囲R2内にない場合には、制御装置20は、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS303:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS305)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
なお、制御装置20は、ステップS304の処理またはステップS305の処理を実行すると、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する態様から、フィードバック制御によって設定する態様に切り換える。すなわち、ベース噴射量算出部M12は、第1目標空燃比設定部M10によって設定された第1目標空燃比Af1*に基づいてベース噴射量Qbを算出するとともに、フィードバック処理禁止部M36の上述した禁止処理を解除することで、ベース噴射量Qbに対するフィードバック操作量KAFの乗算処理を実行させる。
また、制御装置20は、ステップS300の処理において異常診断処理の実行条件が成立していないと判定すると(ステップS300:NO)、その後の処理を実行せずに、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
第1実施形態の作用効果について説明する。
(1)本実施形態では、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合、空燃比をリッチ化する際の第2目標空燃比Af2*を、ディザ制御処理が実行されていないときの第2目標空燃比Af2*に比してリーン側に設定した。また、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合、空燃比をリーン化する際の第2目標空燃比Af2*を、ディザ制御処理が実行されていないときの第2目標空燃比Af2*に比してリーン側に設定した。そして、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合、空燃比センサ31の出力を基準リッチ空燃比、及び基準リーン空燃比に対応した値となるように制御した。このように、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力のずれを考慮して空燃比センサ31の異常診断を行う。そのため、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合に、ディザ制御処理の実行に起因した空燃比センサ31の出力のずれを考慮しない構成に比して、空燃比センサ31の異常診断をより正確に行うことが可能になる。したがって、ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサ31の異常診断の精度を担保することが可能になる。
(第2実施形態)
空燃比センサの異常診断装置の第2実施形態について、図6〜図8を参照して説明する。本実施形態では、異常診断の方法が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図6のフローチャートに示すように、本実施形態において、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を実行すると、制御装置20はまず、異常診断処理の実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS600)。制御装置20は、異常診断処理の実行条件が成立していると判定すると(ステップS600:YES)、次に、通常時異常診断処理を実行する(ステップS601)。この通常時異常診断処理は、上記第1実施形態のステップS302の処理において実行される処理と同様である。
すなわち、図7(a)に示すように、タイミングt71において実行条件が成立すると、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に設定する。第2目標空燃比Af2*が基準リッチ空燃比に設定されると、図7(b)に示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdが基準リッチ噴射量に設定されて増量される。これにより、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に変化する。図7(c)に実線で示すように、ディザ制御処理が実行されていないときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に相当する値QR1となる。また、図7(c)に一点鎖線で示すように、ディザ制御処理が実行されているときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に相当する値QR1よりもリッチ側の値QR2となる。
その後、制御装置20は、タイミングt72において、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に設定する。第2目標空燃比Af2*が基準リーン空燃比に設定されることにより、図7(b)に示すように、燃料噴射量の要求噴射量Qdが基準リーン噴射量に設定されて減量される。これにより、実際の平均空燃比が理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に変化する。なお、本実施形態では、理論空燃比から基準リッチ空燃比までのリッチ側ずれ量と、理論空燃比から基準リーン空燃比までのリーン側ずれ量とが等しくなるように、基準リッチ空燃比及び基準リーン空燃比が設定されている。
図7(c)に実線で示すように、ディザ制御処理が実行されていないときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リーン空燃比に相当する値QL1となる。また、図7(c)に一点鎖線で示すように、ディザ制御処理が実行されているときには、こうした空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に相当する値QL1よりもリッチ側の値QL2となる。
その後、制御装置20は、タイミングt73において第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比に設定し、タイミングt74において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定する。制御装置20は、タイミングt74において第2目標空燃比Af2*を理論空燃比に設定すると、通常時異常診断処理を終了する。
その後、図6のフローチャートに示すように、制御装置20は、ディザ制御処理の実行中ではないか否かを判定する(ステップS602)。制御装置20は、ディザ制御処理の実行中ではないと判定すると(ステップS602:YES)、通常時判定範囲Raを算出する(ステップS603)。通常時判定範囲Raは、第1リッチ側正常範囲Ra1と第1リーン側正常範囲Ra2とを含んでいる。図7(c)の実線の範囲で示すように、第1リッチ側正常範囲Ra1は、基準リッチ空燃比に相当する値QR1を含み、該値QR1よりも高い第1上限判定値Aa1と、値QR1よりも低い第1下限判定値Aa2との間の範囲である。また、第1リッチ側正常範囲Ra2は、基準リーン空燃比に相当する値QL1を含み、該値QL1よりも高い第2上限判定値Ba1と、値QL1よりも低い第2下限判定値Ba2との間の範囲である。第1リッチ側正常範囲Ra1及び第1リーン側正常範囲Ra2は、空燃比センサ31の異常を判定可能な範囲となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
制御装置20は、通常時判定範囲Raを算出すると、図6に示すように、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS605)。この処理において制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていない場合、図7(c)に実線の範囲で示すように、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比にしたとき(例えば、タイミングt71〜t72)における空燃比センサ31の出力が、第1リッチ側正常範囲Ra1内にあるか否かを判定する。また、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比にしたとき(タイミングt72〜t73)における空燃比センサ31の出力が、第1リーン側正常範囲Ra2内にあるか否かを判定する。
制御装置20は、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力が第1リッチ側正常範囲Ra1内にあって、且つ空燃比センサ31のリーン側の出力が第1リーン側正常範囲Ra2内にあるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS605:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS606)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていないときには、ステップS605の処理において、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力が第1リッチ側正常範囲Ra1内にない場合に空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する。また、空燃比センサ31のリーン側の出力が第1リーン側正常範囲Ra2内にない場合に空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS605:NO)。こうした場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS607)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
一方、ステップS602の処理において、制御装置20は、ディザ制御処理の実行中であると判定すると(ステップS602:NO)、実行時判定範囲Rbを算出する(ステップS604)。実行時判定範囲Rbは、第2リッチ側正常範囲Rb1と第2リーン側正常範囲Rb2とを含んでいる。図7(c)の一点鎖線の範囲で示すように、第2リッチ側正常範囲Rb1は、基準リッチ空燃比に相当する値QR1よりもリッチ側の値QR2を含み、該値QR2よりも高い第1上限判定値Ab1と、値QR1よりも低い第1下限判定値Ab2との間の範囲である。また、第2リーン側正常範囲Rb2は、基準リーン空燃比に相当する値QL1よりもリッチ側の値QL2を含み、該値QL2よりも高い第2上限判定値Bb1と、値QL2よりも低い第2下限判定値Bb2との間の範囲である。第2リッチ側正常範囲Rb1及び第2リーン側正常範囲Rb2は、ディザ制御処理の実行による空燃比センサ31の出力のずれを考慮して設定されており、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
図8は、実行時判定範囲Rbの算出に係るマップを示している。
図8に実線で示すように、ディザ制御処理を行っていないときの空燃比センサ31の出力に対して、図8に一点鎖線で示すように、ディザ制御処理を行っているときの空燃比センサ31の出力は、補正要求値αが大きくなるほどリッチ側に大きくずれる。補正要求値αは、上述したように、リッチ燃焼気筒における要求噴射量Qdの算出に用いられるものである。そのため、ディザ制御処理におけるリッチ燃焼気筒における燃料噴射量が大きいときほど(図8の横軸における右側ほど)、ディザ制御処理を行っていないときとの空燃比センサ31の出力のずれは大きくなる。これは、リッチ燃焼気筒における燃料噴射量が大きいときほど、排気に含まれる未燃燃料が多くなることによる。
制御装置20は、こうした空燃比センサ31における出力のずれについて、予め実験やシミュレーションを行うことにより求められたマップを記憶している。そして、このマップに基づいて、ディザ制御処理の実行時における実行時判定範囲Rbを算出する。
制御装置20は、実行時判定範囲Rbを算出すると、図6に示すように、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS605)。ステップS605の処理では、図7(c)に一点鎖線で示すように、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比にしたとき(例えば、タイミングt71〜t72)における空燃比センサ31の出力が、第2リッチ側正常範囲Rb1内にあるか否かを判定する。また、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比にしたとき(タイミングt72〜t73)における空燃比センサ31の出力が、第2リーン側正常範囲Rb2内にあるか否かを判定する。
制御装置20は、ディザ制御処理が実行されているときにおいて、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力が第2リッチ側正常範囲Rb1内にあって、且つ空燃比センサ31のリーン側の出力が第2リーン側正常範囲Rb2内にあるときに、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS605:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS606)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、ディザ制御処理が実行されているときにおいて、通常時異常診断処理における空燃比センサ31のリッチ側の出力が第2リッチ側正常範囲Rb1内にない場合には、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する。また、制御装置20は、空燃比センサ31のリーン側の出力が第2リーン側正常範囲Rb2内にない場合には、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS605:NO)。こうした場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS607)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
なお、制御装置20は、ステップS606の処理またはステップS607の処理を実行すると、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する態様から、フィードバック制御によって設定する態様に切り換える。
また、制御装置20は、ステップS600の処理において異常診断処理の実行条件が成立していないと判定すると(ステップS600:NO)、その後の処理を実行せずに、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
第2実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(2)本実施形態では、異常診断を行う際の空燃比センサ31の出力に係る判定範囲を、ディザ制御処理を実行しているときと、ディザ制御処理を実行していないときとで変更している。すなわち、ディザ制御処理を実行していないときには、図7(c)に実線で示す通常時判定範囲Raに基づいて空燃比センサ31の異常診断が行われる。また、ディザ制御処理を実行しているときには、図7(c)に一点鎖線で示す実行時判定範囲Rbに基づいて空燃比センサ31の異常診断が行われる。実行時判定範囲Rbは、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力のずれを反映させた判定範囲である。そのため、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合に、ディザ制御処理の実行に起因した空燃比センサ31の出力のずれを考慮しない構成に比して、空燃比センサ31の異常診断をより正確に行うことが可能になる。したがって、ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサ31の異常診断の精度を担保することが可能になる。また、本実施形態によれば、燃料噴射量などの他の制御量を変更しなくても、空燃比センサ31の異常診断が可能になる。
(第3実施形態)
空燃比センサの異常診断装置の第3実施形態について、図9〜図12を参照して説明する。本実施形態では、異常判定の方法において、空燃比センサ31の出力の応答時間に基づいて異常を診断する点が上記各実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図9のフローチャートを参照して、本実施形態における空燃比センサの異常診断処理に係る一連の処理について説明する。なお、図9に示す処理において、ステップS600〜ステップS602までの処理は、第2実施形態におけるステップS600〜ステップS602までの処理と同じであるため、説明を省略する。
制御装置20は、ステップS602の処理において、ディザ制御処理の実行中ではないと判定すると(ステップS602:YES)、空燃比センサ31の出力の応答時間に係る判定値として、通常時判定範囲Taを設定する(ステップS903)。また、制御装置20は、ステップS602の処理において、ディザ制御処理の実行中であると判定すると(ステップS602:NO)、空燃比センサ31の出力の応答時間に係る判定値として、実行時判定範囲Tbを設定する(ステップS904)。
図10に示すように、空燃比センサ31は、平均空燃比の変化に伴ってその出力が変化する。図10には、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側の基準リッチ空燃比に設定している状態から理論空燃比よりもリーン側の基準リーン空燃比に設定した場合において、ディザ制御処理を実行していない場合の出力の変化を実線で示し、ディザ制御処理を実行している場合の出力の変化を一点鎖線で示している。なお、図10では、空燃比センサ31の出力の変化態様を模式的に示している。
本実施形態では、空燃比センサ31の出力が予め定められた第1判定値から第2判定値まで変化する際の応答時間、及び第2判定値から第1判定値まで変化する際の応答時間に基づいて空燃比センサ31の異常を診断する。上述したように、ディザ制御処理が実行されているときの空燃比センサ31の出力は、第2目標空燃比Af2*が基準リッチ空燃比に設定されている場合、基準リッチ空燃比に相当する値よりもリッチ側の値となる。また、第2目標空燃比Af2*が基準リーン空燃比に設定されている場合、空燃比センサ31の出力は、基準リーン空燃比に相当する値よりもリッチ側の値となる。平均空燃比を基準リッチ空燃比に制御している場合において、ディザ制御処理を行っていないときに対する空燃比センサ31の出力のずれ量FRは、平均空燃比を基準リーン空燃比に制御している場合において、ディザ制御処理を行っていないときに対する空燃比センサ31の出力のずれ量FLよりも大きくなる傾向にある(FR>FL)。そのため、ディザ制御処理を行っているときとディザ制御処理を行っていないときとでは、空燃比センサ31の出力における振幅が異なる。
図11に示すように、空燃比センサ31の出力における振幅は、補正要求値αが大きくなるほど大きくなる傾向にある。これは、ディザ制御処理におけるリッチ燃焼気筒の燃料噴射量が大きいときほど(図11の横軸における右側ほど)、上記ずれ量FRと上記ずれ量FLとの差が大きくなることによる。
図10に示すように、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比に設定している状態から基準リーン空燃比に設定した場合において空燃比センサ31の出力が変化するとき、一点鎖線で示すディザ制御処理を実行しているときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間(タイミングt102〜タイミングt104)を応答時間Td1とする。また、実線で示すディザ制御処理を実行していないときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間(タイミングt101〜タイミングt103)を応答時間Tn1とする。この場合、応答時間Td1と応答時間Tn1とは異なり、応答時間Td1は応答時間Tn1よりも長くなる傾向にある(Td1>Tn1)。なお、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定している状態から基準リッチ空燃比に設定した場合においても、空燃比センサ31の出力の変化態様は同じである。すなわち、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定している状態から基準リッチ空燃比に設定した場合において、ディザ制御処理を実行しているときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間Td2と、ディザ制御処理を実行していないときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間Tn2とは異なる。応答時間Td2は応答時間Tn2よりも長くなる傾向にある(Td2>Tn2)。
図12に実線の範囲で示すように、本実施形態では、ディザ制御処理を実行していないときの通常時判定範囲Taを、空燃比センサ31が正常であるときに想定される第1基準応答時間Tv1を基準として設定している。そして、制御装置20は、通常時判定範囲Taを第1基準応答時間よりも長い第1上限時間Ta1と、第1基準応答時間よりも短い第1下限時間Ta2との間の範囲となるように設定している。この通常時判定範囲Taは、ディザ制御処理を実行していないときにおいて、空燃比センサ31の異常を判定可能な範囲となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
また、図12に一点鎖線の範囲で示すように、本実施形態では、ディザ制御処理を実行しているときの実行時判定範囲Tbを、空燃比センサ31の出力における振幅の増大を考慮して、空燃比センサ31が正常であるときに想定される第2基準応答時間Tv2を基準として設定している。第2基準応答時間Tv2は空燃比センサ31の出力における振幅が大きくなるほど長くなり、図12に実線で示す第1基準応答時間Tv1とのずれ量は該振幅が大きいときほど大きくなる。制御装置20は、実行時判定範囲Tbを、第2基準応答時間Tv2よりも長い第2上限時間Tb1と、第2基準応答時間Tv2よりも短い第2下限時間Tb2との間の範囲となるように設定している。この実行時判定範囲Tbは、ディザ制御処理を実行しているときにおいて、空燃比センサ31の異常を判定可能な範囲となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
図9に示すように、こうして通常時判定範囲Taまたは実行時判定範囲Tbを設定すると、制御装置20は、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS905)。この処理において制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていない場合には、通常時判定範囲Taに基づいて空燃比センサ31の異常を診断する。すなわち、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の応答時間Tn1が通常時判定範囲Ta内にあるか否か、及び第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の応答時間Tn2が通常時判定範囲Ta内にあるか否かを判定する。
制御装置20は、応答時間Tn1及び応答時間Tn2が共に通常時判定範囲Ta内にあるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS905:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS906)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていないときにおいて、応答時間Tn1及び応答時間Tn2の少なくとも一方が通常時判定範囲Ta内にないときには、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS905:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS907)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
一方、ディザ制御処理が実行されている場合には、ステップS905の処理において、制御装置20は、実行時判定範囲Tbに基づいて空燃比センサ31の異常を診断する。すなわち、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の応答時間Td1が実行時判定範囲Tb内にあるか否か、及び第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の応答時間Td2が実行時判定範囲Tb内にあるか否かを判定する。
制御装置20は、応答時間Td1及び応答時間Td2が共に実行時判定範囲Tb内にあるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS905:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS906)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、応答時間Td1及び応答時間Td2の少なくとも一方が実行時判定範囲Tb内にないときには、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS905:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS907)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
なお、制御装置20は、ステップS906の処理またはステップS907の処理を実行すると、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する態様から、フィードバック制御によって設定する態様に切り換える。
第3実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(3)本実施形態では、異常診断を行う際の空燃比センサ31の応答時間に係る判定範囲を、ディザ制御処理を実行しているときと、ディザ制御処理を実行していないときとで変更している。すなわち、ディザ制御処理を実行していないときには、通常時判定範囲Taに基づいて空燃比センサ31の異常診断が行われる。また、ディザ制御処理を実行しているときには、実行時判定範囲Tbに基づいて空燃比センサ31の異常診断が行われる。ディザ制御処理が実行されているときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間と、ディザ制御処理が実行されていないときにおける空燃比センサ31の出力の応答時間とにはずれが生じる。実行時判定範囲Tbは、この応答時間のずれを反映させた判定範囲である。そのため、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合に、ディザ制御処理の実行に起因した空燃比センサ31の出力のずれを考慮しない構成に比して、空燃比センサ31の異常診断をより正確に行うことが可能になる。したがって、ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサ31の異常診断の精度を担保することが可能になる。また、本実施形態によれば、燃料噴射量などの他の制御量を変更しなくても、空燃比センサ31の異常診断が可能になる。
(第4実施形態)
空燃比センサの異常診断装置の第4実施形態について、図13及び図14を参照して説明する。本実施形態では、異常判定の方法が第3実施形態と異なっている。第3実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図13のフローチャートを参照して、本実施形態における空燃比センサの異常診断処理に係る一連の処理について説明する。なお、図13に示す処理において、ステップS600〜ステップS602までの処理は、第2実施形態におけるステップS600〜ステップS602までの処理と同じであるため、説明を省略する。
制御装置20は、ステップS602の処理において、ディザ制御処理の実行中ではないと判定すると(ステップS602:YES)、空燃比センサ31の出力の応答時間が予め定められた所定時間Ttとなるように通常時基準値Kaを設定する(ステップS1303)。また、制御装置20は、ステップS602の処理において、ディザ制御処理の実行中であると判定すると(ステップS602:NO)、空燃比センサ31の出力の応答時間が予め定められた所定時間Ttとなるように実行時基準値Kbを設定する(ステップS1304)。
図14に示すように、通常時基準値Kaは、第1通常基準値Ka1と第2通常基準値Ka2とを含んでいる。これら第1通常基準値Ka1と第2通常基準値Ka2とは、図14に実線で示すディザ制御処理を実行していないときの空燃比センサ31の出力において、その出力の応答時間が所定時間Ttとなるように設定されている。所定時間Ttは、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときのタイミングt140から所定時間経過したタイミングt141を始期として設定されている。第1通常基準値Ka1は、空燃比センサ31が正常であるときにおいて、ディザ制御処理を実行していないときの空燃比センサ31の出力(実線)におけるタイミングt141の値である。また、タイミングt141から所定時間Tt経過したときのタイミングをタイミングt142とする。第2通常基準値Ka2は、空燃比センサ31が正常であるときにおいて、ディザ制御処理を実行していないときの空燃比センサ31の出力におけるタイミングt142の値である。これら所定時間Tt、第1通常基準値Ka1、及び第2通常基準値Ka2は、ディザ制御処理を実行していないときの空燃比センサ31の出力の応答時間に基づいて異常を判定可能な値となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
実行時基準値Kbは、第1実行基準値Kb1と第2実行基準値Kb2とを含んでいる。これら第1実行基準値Kb1と第2実行基準値Kb2とは、図14に一点鎖線で示すディザ制御処理を実行しているときの空燃比センサ31の出力において、その出力の応答時間が所定時間Ttとなるように設定されている。すなわち、第1実行基準値Kb1は、空燃比センサ31が正常であるときにおいて、ディザ制御処理を実行しているときの空燃比センサ31の出力(一点鎖線)におけるタイミングt141の値である。また、第2実行基準値Kb2は、空燃比センサ31が正常であるときにおいて、ディザ制御処理を実行しているときの空燃比センサ31の出力におけるタイミングt142の値である。図14に示す例では、第2実行基準値Kb2は、第2通常基準値Ka2よりリッチ側の値である。また、第1実行基準値Kb1は、第1通常基準値Ka1よりもリッチ側の値である。これら第1実行基準値Kb1及び第2実行基準値Kb2は、ディザ制御処理を実行しているときの空燃比センサ31の出力の応答時間に基づいて異常を判定可能な値となるように、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
なお、ステップS1303では、制御装置20は上記と同様にして、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定している状態から基準リッチ空燃比に設定した場合についての通常時基準値Kaを、所定時間Ttに基づいて設定する。また、ステップS1304の処理では、制御装置20は同様にして、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比に設定している状態から基準リッチ空燃比に設定した場合についての実行時基準値Kbを所定時間Ttに基づいて設定する。
図13に示すように、こうして通常時基準値Kaまたは実行時基準値Kbを算出すると、制御装置20は、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあるか否かを判定する(ステップS1305)。この処理において制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていない場合には、通常時基準値Kaに基づいて算出される応答時間を用いて空燃比センサ31の異常を診断する。すなわち、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて、その出力が第1通常基準値Ka1となったときのタイミングから第2通常基準値Ka2となったときのタイミングまでの応答時間Tm1を算出する。そして、この応答時間Tm1が所定時間Ttと略同一であるか否かを判定する。また、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて、その出力が第2通常基準値Ka2となったときのタイミングから第1通常基準値Ka1となったときのタイミングまでの応答時間Tm2を算出する。そして、この応答時間Tm2が所定時間Ttと略同一であるか否かを判定する。
制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていないときにおいて、応答時間Tm1及び応答時間Tm2が共に所定時間Ttと略同一であるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS1305:YES)。なお、「略同一」とは、所定時間Ttと一致するだけでなく、所定時間Ttとの差が空燃比センサ31の出力の誤差を含んだ範囲内にあることをいう。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS1306)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、ディザ制御処理が実行されていないときにおいて、応答時間Tm1及び応答時間Tm2の少なくとも一方が所定時間Ttと略同一ではないときには、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS1305:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS1307)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
一方、ディザ制御処理が実行されている場合には、ステップS1305の処理において、制御装置20は、実行時基準値Kbに基づいて算出される応答時間を用いて空燃比センサ31の異常を診断する。すなわち、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて、その出力が第1実行基準値Kb1となったときのタイミングから第2実行基準値Kb2となったときのタイミングまでの応答時間Tx1を算出する。そして、この応答時間Tx1が所定時間Ttと略同一であるか否かを判定する。また、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて、その出力が第2実行基準値Kb2となったときのタイミングから第1実行基準値Kb1となったときのタイミングまでの応答時間Tx2を算出する。そして、この応答時間Tx2が所定時間Ttと略同一であるか否かを判定する。
制御装置20は、ディザ制御処理が実行されているときにおいて、応答時間Tx1及び応答時間Tx2が共に所定時間Ttと略同一であるときには、空燃比センサ31の出力が正常範囲内にあると判定する(ステップS1305:YES)。その後、制御装置20は、空燃比センサ31が正常であるとの正常判定を行い(ステップS1306)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。
また、制御装置20は、ディザ制御処理が実行されているときにおいて、応答時間Tx1及び応答時間Tx2の少なくとも一方が所定時間Ttと略同一ではないときには、空燃比センサ31の出力は正常範囲内にないと判定する(ステップS1305:NO)。この場合には、制御装置20は、空燃比センサ31が異常であるとの異常判定を行い(ステップS1307)、空燃比センサ31の異常診断処理に係る一連の処理を終了する。なお、異常判定を行った場合、制御装置20は、例えば報知ランプを点灯するなどして、その異常を報知する。
なお、制御装置20は、ステップS1306の処理またはステップS1307の処理を実行すると、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する態様から、フィードバック制御によって設定する態様に切り換える。
第4実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(4)本実施形態では、空燃比センサ31の出力の応答時間が所定時間Ttと略同一であるか否かに基づいて異常診断を行う。そして、この異常診断に係る判定値である応答時間を算出するための基準値を、ディザ制御処理を実行しているときと、ディザ制御処理を実行していないときとで変更している。すなわち、ディザ制御処理を実行していないときには、通常時基準値Kaに基づいて空燃比センサ31の出力の応答時間が算出される。また、ディザ制御処理を実行しているときには、実行時基準値Kbに基づいて空燃比センサ31の出力の応答時間が算出される。実行時基準値Kbは、ディザ制御処理が実行されている場合とディザ制御処理が実行されていない場合とにおける空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、正常時における空燃比センサ31の出力の応答時間を所定時間Ttに調節するために設定されている。
そのため、ディザ制御処理が実行されているときに異常診断を行う場合に、ディザ制御処理の実行に起因した空燃比センサ31の出力のずれを考慮しない構成に比して、空燃比センサ31の異常診断をより正確に行うことが可能になる。したがって、ディザ制御処理の実行中であっても、空燃比センサ31の異常診断の精度を担保することが可能になる。また、本実施形態によれば、燃料噴射量などの他の制御量を変更しなくても、空燃比センサ31の異常診断が可能になる。
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。以下の変更例は、互いに適宜組み合わせて実施することも可能である。
・上記第1実施形態における変形例として、例えば、図15〜図17に示す実施形態を採用することができる。この実施形態では、空燃比センサの異常診断処理において、実行時異常診断処理の内容が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、実行時異常診断処理において、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比よりもリーン側の減少リッチ空燃比に設定し、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比よりもリーン側の増大リーン空燃比に設定する。これにより、空燃比センサ31の出力を基準リッチ空燃比及び基準リーン空燃比に対応した値となるように変化させる。本実施形態では、制御装置20は、図15に示すマップに基づいて、減少リッチ空燃比及び増大リーン空燃比を算出する。
図15に示すように、減少リッチ空燃比dR2は、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に対応した値となるように、基準リッチ空燃比dR1よりもリーン側に設定される。また、増大リーン空燃比dL2は、空燃比センサ31の出力が基準リーン空燃比に対応した値となるように、基準リーン空燃比dL1よりもリーン側に設定される。
理論空燃比dAから基準リッチ空燃比dR1までのリッチ側増大量は、理論空燃比dAから基準リーン空燃比dL1までのリーン側減少量と等しくなるように設定されている。この場合、実行時異常診断処理において第2目標空燃比Af2*をリーン側に変化させることで、理論空燃比dAからのリッチ側増大量と、理論空燃比dAからのリーン側増大量とが異なることとなる。すなわち、図15に示すように、理論空燃比dAから減少リッチ空燃比dR2までのリッチ側増大量ΔRと、理論空燃比dAから増大リーン空燃比dL2までのリーン側減少量ΔLとは異なる値となる。その結果、異常時診断処理の実行期間における平均空燃比を平滑化した平滑化空燃比は、理論空燃比dAよりもリーン側に偏ることとなる。
本実施形態では、実行時異常診断処理において、第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比dR2に設定する期間と、増大リーン空燃比dL2に設定する期間とを第2目標空燃比Af2*、すなわち燃料噴射量に応じて変更する。
図16のフローチャートを参照して、本実施形態における実行時異常診断処理に係る処理の流れについて説明する。
図16に示すように、制御装置20は、実行時異常診断処理を開始するとまず、減少リッチ空燃比dR2及び増大リーン空燃比dL2を算出する(ステップS1600)。この算出は、図15に示すマップに基づいて行われる。なお、図15に示すマップは、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。その後、図16に示すように、制御装置20は、減少リッチ空燃比dR2に基づいた要求噴射量Qdである減少リッチ噴射量Qd1を算出し、増大リーン空燃比dL2に基づいた要求噴射量Qdである増大リーン噴射量Qd2を算出する(ステップS1601)。
次に、制御装置20は、燃料噴射量が減少リッチ噴射量Qd1となるように燃料噴射弁13を制御する。これにより平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2にする(ステップS1602)。この処理では、減少リッチ空燃比dR2に設定する期間TRを、次の(式1)に基づいて算出する。
TR=TL・(QdA−Qd2)/(Qd1−QdA)…(式1)
QdAは、平均空燃比を理論空燃比dAにするための要求噴射量である。すなわち、(QdA−Qd2)は、平均空燃比を理論空燃比dAから増大リーン空燃比dL2に変化させるときの燃料噴射量の減少量に相当する。また、(Qd1−QdA)は、平均空燃比を理論空燃比dAから減少リッチ空燃比dR2に変化させるときの燃料噴射量の増大量に相当する。TLは、平均空燃比を増大リーン空燃比dL2に設定する期間である。期間TLは、第2目標空燃比Af2*が変化した後、空燃比センサ31が基準リーン空燃比に対応した値を出力するために要する期間よりも長く設定されている。期間TLは、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置20に記憶されている。
制御装置20は、算出した期間TRの間、燃料噴射量が減少リッチ噴射量Qd1となるように燃料噴射弁13を制御すると、次に、期間TLの間、燃料噴射量が増大リーン噴射量Qd2となるように燃料噴射弁13を制御する。これにより、平均空燃比を増大リーン空燃比dL2にする(ステップS1603)。
その後、制御装置20は、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比dAに設定して平均空燃比を理論空燃比dAとし(ステップS1604)、実行時異常診断処理を終了する。なお、制御装置20は、実行時異常診断処理を実行している間、吸入空気量Gaが変化しないように、例えばスロットルバルブなどの吸入空気量操作部を制御する。
図17を参照して、本実施形態の実行時異常診断処理における各パラメータの推移について説明する。
図17(a)に示すように、異常診断処理の実行条件が成立したタイミングt171において、図17(b)に示すように、ディザ制御処理が実行されていると、制御装置20は、実行時異常診断処理を開始する。これにより、図17(d)に示すように、燃料噴射量が減少リッチ空燃比dR2に基づいた減少リッチ噴射量Qd1に設定される。制御装置20は、期間TRの間継続して、燃料噴射量を減少リッチ噴射量Qd1に設定する。これにより、空燃比センサ31が正常であるときには、図17(e)に示すように、空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リッチ空燃比に相当する値となる。
その後、タイミングt171から期間TR経過したタイミングt173において、図17(d)に示すように、制御装置20は、燃料噴射量を増大リーン空燃比dL2に基づいた増大リーン噴射量Qd2に設定する。制御装置20は、期間TLの間継続して、燃料噴射量を増大リーン噴射量Qd2に設定する。これにより、空燃比センサ31が正常であるときには、図17(e)に示すように、空燃比の変化に追従して、空燃比センサ31の出力が基準リーン空燃比に相当する値となる。その後、図17(d)に示すように、タイミングt173から期間TL経過したタイミングt174において、制御装置20は、燃料噴射量を理論空燃比dAに基づいた理論噴射量QdAに設定する。このように、本実施形態では、実行時異常診断処理において、第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比dR2に設定する期間TRと、増大リーン空燃比dL2に設定する期間TLとを燃料噴射量に応じて変更する。
ここで、本実施形態における空燃比センサ31の異常診断装置の特徴構成を明らかにするために、第2目標空燃比Af2*を減少リッチ空燃比dR2に設定する期間TRを固定の期間TRiとし、増大リーン空燃比dL2に設定する期間TLを固定の期間TLiとした場合を比較例として説明する。
図17(c)に示すように、この構成では、タイミングt171において、燃料噴射量が減少リッチ噴射量Qd1となるように燃料噴射弁13を制御する。これにより、平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2にする。平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2に設定している期間TRiは、タイミングt171を始期とし、タイミングt173よりも前のタイミングt172を終期としている。その後、この構成では、タイミングt172において、燃料噴射量を増大リーン噴射量Qd2となるように燃料噴射弁13を制御する。これにより、平均空燃比を増大リーン空燃比dL2にする。平均空燃比を増大リーン空燃比dL2に設定している期間TLiは、平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2に設定している期間TRiと同じであり、タイミングt172を始期とし、タイミングt174を終期としている。すなわち、タイミングt172は、タイミングt171とタイミングt174との中間に位置している。この場合では、図17(e)に一点鎖線で示すように、タイミングt172において、空燃比センサ31の出力が基準リーン空燃比に相当する値となるように変化し始める。
こうして、期間TRiと期間TLiとを同じ固定期間とした場合、図17(c)に斜線の領域で示すように、期間TRi(タイミングt171〜タイミングt172)における燃料噴射量の総量と、期間TLi(タイミングt172〜タイミングt174)における燃料噴射量の総量との平均は、平均空燃比を理論空燃比dAとするための燃料噴射量(=QdA)よりも少ない量となる。その結果、期間TRiにおける平均空燃比と、期間TLiにおける平均空燃比とを平滑化した平滑化空燃比が、理論空燃比dAよりもリーン側に偏る。
こうした構成に対し、本実施形態では、平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2に設定する期間TRと、増大リーン空燃比dL2に設定する期間TLとを燃料噴射量に応じて変更している。これにより、平均空燃比を減少リッチ空燃比dR2に設定している期間TR(タイミングt171〜タイミングt173)は、第2目標空燃比Af2*を増大リーン空燃比dL2に設定している期間TL(タイミングt173〜タイミングt174)よりも長くなる。そのため、図17(d)に斜線の領域で示すように、期間TRにおける燃料噴射量の総量と、期間TLにおける燃料噴射量の総量との平均は、平均空燃比を理論空燃比dAとするための燃料噴射量(=QdA)に等しい量となる。そのため、期間TRにおける平均空燃比と、期間TLにおける平均空燃比とを平滑化した平滑化空燃比を、理論空燃比dAとすることができる。
本実施形態によれば、上記(1)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
(5)本実施形態では、第2目標空燃比Af2*をリッチ側に設定する期間TRと、第2目標空燃比Af2*をリーン側に設定する期間TLとを燃料噴射量に応じて変更している。そのため、第2目標空燃比Af2*をリッチ側に設定している期間TRにおける平均空燃比と、第2目標空燃比Af2*をリーン側に設定している期間TLにおける平均空燃比とを平滑化した平滑化空燃比を調節することが可能になり、平滑化空燃比を理論空燃比dAとすることができる。その結果、空燃比センサ31の異常診断を行っているときの排気性状を好適な状態に維持することができる。
・上記変形例において、実行時異常診断処理を実行している間、吸入空気量Gaを変化させることも可能である。この場合には、吸入空気量Gaの積算値も考慮して、平滑化空燃比が理論空燃比dAとなるように上記期間TR,TLを設定すればよい。
・上記変形例では、平滑化空燃比が理論空燃比dAとなるように上記期間TR,TLを設定したが、平滑空燃比を理論空燃比dAと異なる空燃比に設定することも可能である。
・第1実施形態及び上記変形例では、異常診断処理に係る一連の処理において、ディザ制御処理の実行の有無を判断してから通常時異常診断処理と実行時異常診断処理とを選択して実行するようにした。こうした構成は適宜変更が可能である。例えば、異常診断処理に係る一連の処理において、通常時異常診断処理の実行中にディザ制御処理が開始された場合には、通常時異常診断処理から実行時異常診断処理に切り替えるといった構成を採用することも可能である。また、実行時異常診断処理の実行中にディザ制御処理が終了した場合には、実行時異常診断処理から通常時異常診断処理に切り替えるといった構成を採用してもよい。
・第1実施形態、第2実施形態、及び変形例では、空燃比センサ31のリッチ側の出力とリーン側の出力とが共に正常範囲内にあるときに、空燃比センサ31が正常であると判定した。こうした構成に代えて、空燃比センサ31のリッチ側の出力とリーン側の出力とのいずれか一方が正常範囲内にあるときに空燃比センサ31が正常であると判定することも可能である。この場合には、空燃比センサ31のリッチ側の出力とリーン側の出力との双方が正常範囲内にないときに空燃比センサ31が異常であると判定すればよい。
・第3実施形態及び第4実施形態では、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力の応答時間と、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力の応答時間とが共に正常範囲内にあるときに、空燃比センサ31が正常であると判定した。こうした構成に代えて、第2目標空燃比Af2*を基準リッチ空燃比から基準リーン空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力の応答時間と、第2目標空燃比Af2*を基準リーン空燃比から基準リッチ空燃比に変化させたときの空燃比センサ31の出力の応答時間とのいずれか一方が正常範囲内にあるときに空燃比センサ31が正常であると判定してもよい。この場合には、双方の応答時間が正常範囲内にないときに空燃比センサ31が異常であると判定すればよい。
・異常診断処理では、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側に設定した状態とリーン側に設定した状態とを繰り返すようにしていたが、必ずしも繰り返す必要はない。例えば、第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側に設定した状態とリーン側に設定した状態とを1回ずつ生じさせることで異常診断を行うことは可能である。
・異常診断処理において、最初に第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側に設定し、その後に第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリーン側に設定していたが、これらの順番は適宜変更が可能である。すなわち、異常診断処理において、最初に第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリーン側に設定し、その後に第2目標空燃比Af2*を理論空燃比よりもリッチ側に設定してもよい。
・理論空燃比から基準リッチ空燃比までのリッチ側ずれ量と、理論空燃比から基準リーン空燃比までのリーン側ずれ量とが等しくなるように、基準リッチ空燃比及び基準リーン空燃比を設定したが、これらのずれ量が異なっていてもよい。
・異常診断処理において、制御装置20が異常判定を行った場合、その異常を報知するようにしていた。こうした構成は省略してもよい。この場合には、例えば、制御装置20が異常判定を行ったときには、そのことを制御装置20に記憶させる。そして、メンテナンス時などに制御装置20にアクセスし、空燃比センサ31の異常を検出すればよい。
・異常診断処理において、正常判定または異常判定した後に、燃料噴射量をフィードフォーワード制御によって設定する態様から、フィードバック制御によって設定する態様に切り換えるようにしていた。こうした構成は変更が可能である。例えば、異常診断処理において正常判定した後にはフィードバック制御によって設定する態様に切り換えるとともに、異常診断処理において異常判定した後にはフィードフォーワード制御のままとすることも可能である。また、異常診断処理において、正常判定または異常判定した後、燃料噴射量をフィードバック制御によって設定する態様に切り換えずに、フィードフォーワード制御のままとしてもよい。
・異常診断処理において、フィードフォーワード制御によって燃料噴射量を制御していたが、フィードバック制御によって燃料噴射量を制御することも可能である。この場合には、第1目標空燃比Af1*を理論空燃比よりもリッチ側とリーン側とに変化させたときの空燃比センサ31の出力に基づいて該空燃比センサ31の異常診断を行えばよい。なお、こうした構成であっても、フィードバックゲインによっては、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力にずれが生じることがある。そのため、上記各実施形態と同様に、ディザ制御処理が実行されているときには、ディザ制御処理が実行されているときと、ディザ制御処理が実行されていないときとにおける空燃比センサ31の出力のずれを考慮して、空燃比センサ31の異常診断を行えばよい。
・異常診断処理の実行前後において、検出空燃比Afを理論空燃比に制御する例を説明したが、検出空燃比Afを理論空燃比に制御しなくてもよい。例えば、異常診断処理の実行前後において、検出空燃比Afが理論空燃比よりもリッチ側になるように制御してもよい。また、異常診断処理の実行前において、検出空燃比Afが理論空燃比よりもリーン側になるように制御し、異常診断処理の実行後において、検出空燃比Afが理論空燃比よりもリッチ側になるように制御してもよい。
・燃料噴射弁を複数の気筒毎に1つずつ設けたが、燃料噴射部の配置はこれに限らない。例えば、燃料噴射弁を各気筒に2つ以上設けてもよい。また、ディザ制御処理が実行可能であれば、燃料噴射弁を気筒毎に設けるのではなく、吸気通路12に設けることも可能である。
・内燃機関10における気筒数は4つに限らない。すなわち、気筒数が2つ以上の内燃機関に適用される空燃燃比センサの異常診断装置であれば、上述した各実施形態と同様の構成を適用することができる。
10…内燃機関、11…機関本体、12…吸気通路、13…燃料噴射弁、14…点火プラグ、15…排気通路、16…三元触媒、20…制御装置、31…空燃比センサ、32…クランク角センサ、33…エアフローメータ。

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、複数の気筒から排出された排気を浄化する触媒と、
    前記複数の気筒のうちの一部の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とするディザ制御処理を実行するディザ制御部と、
    前記排気通路において前記触媒よりも排気上流側に配置された空燃比センサとを備えた内燃機関に適用され、
    前記複数の気筒における空燃比を変化させたときの前記空燃比センサの出力に基づいて該空燃比センサの異常診断を行う空燃比センサの異常診断装置であって、
    前記ディザ制御部によって前記ディザ制御処理が実行されているときには、前記ディザ制御処理が実行されているときと、前記ディザ制御処理が実行されていないときとにおける前記空燃比センサの出力のずれを考慮して、前記空燃比センサの異常診断を行う空燃比センサの異常診断装置。
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