JP2019031407A - ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を低コストで簡単に製造することができるヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法を提供する。【解決手段】三酸化二アンチモン1.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた懸濁液に含オゾンガスを2L/minの流量で60分間通気することにより、三酸化二アンチモンを水酸化カリウム水溶液に溶解させた後、このようにして得られた三酸化二アンチモンが溶解した水溶液に、濃度を1mol/Lに調整した水酸化リチウム水溶液を50mL加え、2時間撹拌した後、10000rpmの回転速度で5分間遠心分離し、上澄み液を除去して粒子を回収した。【選択図】 図1
Description
本発明は、粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法に関する。
ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムの製造方法としては、三酸化二アンチモンを水酸化リチウム水溶液に溶解させることで、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムを析出させることが考えられるが、三酸化二アンチモンを水酸化リチウム水溶液に溶出させるためには、高い温度を必要とするのみならず、溶出速度が遅いという問題があった。
そこで、本願発明者は、三酸化二アンチモンに、1mol/L以上の濃度を有する水酸化リチウム水溶液を加えて、オゾンガスを通気することによって懸濁液を生成し、この懸濁液にオゾンガスを通気することで、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムを製造する方法を見いだした。
この方法によれば、水酸化リチウム水溶液の添加及びオゾンガスの通気という簡易な工程によって、100℃以下の温度範囲において、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムを低コストで製造することができる。
しかしながら、上述した方法で製造されたヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムは、粒子径が数百nmレベルで比較的大きく、こういったヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムを難燃助材として使用すると、難燃性能を高めるために添加量を多くしなければならず、原料コストが高くなると共に、添加される樹脂自体の特性が変化してしまうといった問題がある。
また、粒子径が数百nmと大きいヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムは透明性を有していないため、これを樹脂に練り込んだり、樹脂成形品や合成繊維、布地等に塗布したりすると、樹脂自体の色彩が変化したり、樹脂成形品や合成繊維、布地等の色合いを損なうといった問題もある。
さらに、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムは、リチウムイオン電池の電極として使用することができるが、粒子径が数百nmと大きいヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムは比表面積が小さいため、これをリチウムイオン電池の電極として使用すると、充放電速度が遅くなるといった問題もある。
そこで、この発明の課題は、粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を低コストで簡単に製造することができるヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法であって、三酸化二アンチモン粒子に、1mol/L以上の濃度を有する、水酸化カリウム水溶液、水酸化セシウム水溶液または水酸化ルビジウム水溶液を加えて懸濁液を生成し、この懸濁液にオゾンガスを通気することによって三酸化二アンチモン粒子を溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることを特徴とするヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法を提供するものである。
また、請求項2に係る発明は、平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法であって、三酸化二アンチモン粒子に、1mol/L以上の濃度を有する、水酸化カリウム、水酸化セシウムまたは水酸化ルビジウムのオゾン含有水溶液を加えて三酸化二アンチモン粒子を溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることを特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法において、下記式(1)及び式(2)の双方を満足するように、水酸化リチウム水溶液のモル濃度が設定されていることを特徴としている。
CLi≧CSb ・・・(1)
CLi×CSb≧6.5×10−3[mol2/L2] ・・・(2)
CLi:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のリチウムイオンのモル濃 度[mol/L]
CSb:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のアンチモンイオンのモル 濃度[mol/L]
CLi≧CSb ・・・(1)
CLi×CSb≧6.5×10−3[mol2/L2] ・・・(2)
CLi:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のリチウムイオンのモル濃 度[mol/L]
CSb:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のアンチモンイオンのモル 濃度[mol/L]
なお、上記「平均粒子径」とは、動的光散乱法(DLS)で測定した個数平均粒子径をいう。
請求項1に係る発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法では、任意の粒子径の三酸化二アンチモンを原料として用い、室温下で、水酸化カリウム水溶液、水酸化セシウム水溶液または水酸化ルビジウム水溶液の添加、オゾンガスの通気及び水酸化リチウム水溶液の添加という簡易な工程によって、平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を製造することができる。
請求項2に係る発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法では、任意の粒子径の三酸化二アンチモンを原料として用い、室温下で、水酸化カリウム、水酸化セシウムまたは水酸化ルビジウムのオゾン含有水の添加及び水酸化リチウム水溶液の添加という簡易な工程によって、平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を製造することができる。
特に、請求項3に係る発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法のように、請求項1または2に係る発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法において、上記式(1)及び式(2)の双方を満足するように、水酸化リチウム水溶液のモル濃度を設定しておくと、三酸化二アンチモン粒子中のアンチモンが全て反応してヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子となるので、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を効率よく製造することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、本発明のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示すように、粒子径分析装置(Malvem社製 ゼータサイザーナノZS)を用いて動的光散乱法(DLS)で測定した個数平均粒子径が352nmの三酸化二アンチモン[Sb2O3]1.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム[KOH]水溶液を50mL加えた懸濁液を300mLの三角フラスコに注ぎ、酸素を一部オゾンに変換することで発生させた含オゾンガスを2L/minの流量で通気しながら、マグネットスターラーを用いて60分間撹拌した。なお、含オゾンガス中のオゾン含有量は0.025g/Lであり、含オゾンガスを2L/minで通気した場合、0.05g/minでオゾンガスを通気したことになる。懸濁液は、初期時点で白く白濁していたが、含オゾンガスを約30分間通気させることにより透明となった。
表1に示すように、粒子径分析装置(Malvem社製 ゼータサイザーナノZS)を用いて動的光散乱法(DLS)で測定した個数平均粒子径が352nmの三酸化二アンチモン[Sb2O3]1.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム[KOH]水溶液を50mL加えた懸濁液を300mLの三角フラスコに注ぎ、酸素を一部オゾンに変換することで発生させた含オゾンガスを2L/minの流量で通気しながら、マグネットスターラーを用いて60分間撹拌した。なお、含オゾンガス中のオゾン含有量は0.025g/Lであり、含オゾンガスを2L/minで通気した場合、0.05g/minでオゾンガスを通気したことになる。懸濁液は、初期時点で白く白濁していたが、含オゾンガスを約30分間通気させることにより透明となった。
このようにして得られた三酸化二アンチモンが溶解した水溶液に、濃度を1mol/Lに調整した水酸化リチウム[LiOH]水溶液を50mL加えて2時間撹拌すると、粒子が析出したので、10000rpmの回転速度で5分間遠心分離し、上澄み液を除去して粒子を回収した。
(実施例2)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.5mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.5mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例3)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.2mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.2mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例4)
表1に示すように、三酸化二アンチモン0.5gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点を除いて、実施例2と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、三酸化二アンチモン0.5gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点を除いて、実施例2と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例5)
表1に示すように、三酸化二アンチモン0.25gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、三酸化二アンチモン0.25gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例6)
表1に示すように、三酸化二アンチモン1.2gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点及び水酸化リチウム水溶液の濃度が0.165mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、三酸化二アンチモン1.2gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点及び水酸化リチウム水溶液の濃度が0.165mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例7)
表1に示すように、三酸化二アンチモン3.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点及び水酸化リチウム水溶液の濃度が0.4mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、三酸化二アンチモン3.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を50mL加えた点及び水酸化リチウム水溶液の濃度が0.4mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例8)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.1mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.1mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例9)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.0667mol/Lである点を除いて、実施例7と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.0667mol/Lである点を除いて、実施例7と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例10)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.01mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.01mol/Lである点を除いて、実施例1と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(実施例11)
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.0686mol/Lである点を除いて、実施例4と同様の方法で粒子を生成・回収した。
表1に示すように、水酸化リチウム水溶液の濃度が0.0686mol/Lである点を除いて、実施例4と同様の方法で粒子を生成・回収した。
(比較例)
また、上記粒子径分析装置(Malvem社製 ゼータサイザーナノZS)を用いて動的光散乱法(DLS)で測定した個数平均粒子径が352nmの三酸化二アンチモン1.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化リチウム水溶液を50mL加えた懸濁液を300mLの三角フラスコに注ぎ、酸素を一部オゾンに変換することで発生させた含オゾンガスを2L/minの流量で2時間通気した。なお、含オゾンガス中のオゾン含有量は0.025g/Lであり、含オゾンガスを2L/minで通気した場合、0.05g/minでオゾンガスを通気したことになる。初期時点で白濁していた懸濁液は、含オゾンガスを2時間通気しても白濁したままであったので、この懸濁液を10000rpmの回転速度で5分間遠心分離し、上澄み液を捨てて粒子を回収した。
また、上記粒子径分析装置(Malvem社製 ゼータサイザーナノZS)を用いて動的光散乱法(DLS)で測定した個数平均粒子径が352nmの三酸化二アンチモン1.0gに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化リチウム水溶液を50mL加えた懸濁液を300mLの三角フラスコに注ぎ、酸素を一部オゾンに変換することで発生させた含オゾンガスを2L/minの流量で2時間通気した。なお、含オゾンガス中のオゾン含有量は0.025g/Lであり、含オゾンガスを2L/minで通気した場合、0.05g/minでオゾンガスを通気したことになる。初期時点で白濁していた懸濁液は、含オゾンガスを2時間通気しても白濁したままであったので、この懸濁液を10000rpmの回転速度で5分間遠心分離し、上澄み液を捨てて粒子を回収した。
実施例1〜9で得られた粒子及び比較例で得られた粒子をX線回折装置(MiniFlexII型 Rigaku社製)を用いてX線結晶構造解析を行ったところ、図1〜図10に示すX線回折チャートが得られた。
図1〜図9に示す、実施例1〜9で得られた粒子のX線回折チャートには、以下の文献に示されているヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム[LiSb(OH)6]の構造解析結果を基にRIETANを用いて計算したシミュレーション回析パターンのピークがプロットされており、このシミュレーション回析パターンのピークのプロットと、実施例1〜9で得られた粒子のX線回折チャートのピークとが略一致していることから、実施例1〜9で得られた粒子がヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムであることは明らかである。
<文献>
iroshi Mizoguchi, Nattamai S. P. Bhuvanesh, Young-Il Kim, Satoshi Ohara and Patrick M. Woodward:“ Hydrothermal Crystal Growth and Structure Determination of Double Hydroxides LiSb(OH)6, BaSn(OH)6, and SrSn(OH)6”,Inorganic Chemistry, 53, 10570-10577.(2014)
<文献>
iroshi Mizoguchi, Nattamai S. P. Bhuvanesh, Young-Il Kim, Satoshi Ohara and Patrick M. Woodward:“ Hydrothermal Crystal Growth and Structure Determination of Double Hydroxides LiSb(OH)6, BaSn(OH)6, and SrSn(OH)6”,Inorganic Chemistry, 53, 10570-10577.(2014)
一方、図10に示す、比較例で得られた粒子のX線回折チャートには、上述したヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムのシミュレーション回析パターンのピークと、三酸化二アンチモンについて、データベース化された入射角に対する回折強度がそれぞれプロットされており、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムのシミュレーション回析パターンのピークのプロットと、比較例で得られた粒子のX線回折チャートのピークとは略一致しているが、三酸化二アンチモンのX線回折チャートに現れる28deg付近のピークや45deg付近のピーク等が、比較例で得られた粒子のX線回折チャートにも現れていることから、比較例で得られた粒子は、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムだけでなく、出発物質である三酸化二アンチモンが一部残存していることが予想され、比較例の製法では、出発原料である三酸化二アンチモンを完全にヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウムに変化させることができなかったことが分かる。
また、実施例1〜9で得られた粒子及び比較例で得られた粒子の個数平均粒子径を上記粒子径分析装置(Malvem社製 ゼータサイザーナノZS)を用いて動的光散乱法(DLS)で測定した。実施例1〜9で得られた粒子の個数平均粒子径については表1に示す。また、比較例で得られた粒子の個数平均粒子径は、240.1nmであった。
上述したように、三酸化二アンチモンに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化リチウム水溶液を加えて懸濁液を生成し、この懸濁液に含オゾンガスを通気することにより生成した比較例のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム粒子は、その粒子径が数百nm程度であったが、三酸化二アンチモンに、濃度を1mol/Lに調整したpH14の水酸化カリウム水溶液を加えて懸濁液を生成し、この懸濁液にオゾンガスを通気することによって三酸化二アンチモン粒子を一旦溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることにより生成した実施例1〜9のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム粒子は、表1に示すように、その粒子径が50nmを下回る数十nm程度の微粒子であった。
なお、実施例10、11については、生成された粒子が極微量であったため、X線結晶構造解析及び個数平均粒子径の測定を行わなかったが、実施例1〜9と同様に、実施例10、11で得られた粒子も、粒子径が数十nm程度のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子であると推定される。
以上のように、数平均粒子径が数百nm程度の三酸化二アンチモンに水酸化カリウム水溶液を加え、これに含オゾンガスを通気することによって三酸化二アンチモン粒子を溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることにより、粒子径が数十nm程度のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を製造することができる。
また、表1から分かるように、下記式(1)及び式(2)の双方の条件を満足するように、水酸化リチウム水溶液のモル濃度が設定されている実施例1〜7については、溶液中に存在しているアンチモンイオンのほとんどがヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子に変化しており、収率が極めて良かった。これに対して、下記式(1)及び式(2)のいずれか一方の条件だけを満足している実施例9、11や、下記式(1)及び式(2)の双方の条件を満足していない実施例8、10については、下記式(1)及び式(2)の双方の条件を満足する場合に比べて収率が悪かった。
CLi≧CSb ・・・(1)
CLi×CSb≧6.5×10−3[mol2/L2] ・・・(2)
CLi:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のリチウムイオンのモル濃 度[mol/L]
CSb:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のアンチモンイオンのモル 濃度[mol/L]
CLi≧CSb ・・・(1)
CLi×CSb≧6.5×10−3[mol2/L2] ・・・(2)
CLi:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のリチウムイオンのモル濃 度[mol/L]
CSb:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のアンチモンイオンのモル 濃度[mol/L]
以上のことから、混合溶液中のアンチモンイオン濃度が高い場合は、混合溶液中のリチウムイオン濃度がアンチモンイオン濃度と等濃度であれば、アンチモンイオンのほとんどをヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子に変化させることができるが、混合溶液中のアンチモンイオン濃度が低い場合は、混合溶液中のリチウムイオン濃度がアンチモンイオン濃度と等濃度では、アンチモンイオンのほとんどをヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子に変化させることができず、混合溶液中のアンチモンイオンのほとんどをヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子に変化させるためには、混合溶液中のリチウムイオン濃度をアンチモンイオン濃度に対して高濃度にしておく必要があることが分かる。
なお、上述した実施例1〜11では、pH14(1mol/L)に調整した水酸化カリウム水溶液を使用しているが、これに限定されるものではなく、水酸化カリウム水溶液のpHは14以上であればよい。
また、上述した実施例1〜11では、三酸化二アンチモンにpH14に調整した水酸化カリウム水溶液を加えているが、これに限定されるものではなく、水酸化カリウム水溶液に代えて、pH14以上に調整した、水酸化セシウム水溶液または水酸化ルビジウム水溶液を加えることによっても、同様のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を生成することができる。
また、上述した実施例1〜11では、三酸化二アンチモンにpH14に調整した水酸化カリウム水溶液を加えた後、含オゾンガスを通気しているが、これに限定されるものではなく、オゾンガスを通気するのではなく、pH14以上に調整した、オゾン含有水酸化カリウム水溶液、オゾン含有水酸化セシウム水溶液またはオゾン含有水酸化ルビジウム水溶液を加えることによっても、同様のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を生成することができる。このときに使用するオゾン含有水酸化カリウム水溶液、オゾン含有水酸化セシウム水溶液またはオゾン含有水酸化ルビジウム水溶液は、出発物質である三酸化二アンチモンの濃度が1mol/Lに対してオゾン濃度が1ppm以上であることが好ましく、出発物質である三酸化二アンチモンの濃度が1mol/Lに対してオゾン濃度が5ppm以上であることがより好ましい。
本発明は、ヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子を製造する際に利用することができる。
Claims (3)
- 平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法であって、
三酸化二アンチモン粒子に、1mol/L以上の濃度を有する、水酸化カリウム水溶液、水酸化セシウム水溶液または水酸化ルビジウム水溶液を加えて懸濁液を生成し、この懸濁液にオゾンガスを通気することによって三酸化二アンチモン粒子を溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることを特徴とするヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法。 - 平均粒子径が100nm以下のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法であって、
三酸化二アンチモン粒子に、1mol/L以上の濃度を有する、水酸化カリウム、水酸化セシウムまたは水酸化ルビジウムのオゾン含有水溶液を加えて三酸化二アンチモン粒子を溶解させた後、水酸化リチウム水溶液を加えることを特徴とするヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法。 - CLi≧CSb ・・・(1)
CLi×CSb≧6.5×10−3[mol2/L2] ・・・(2)
CLi:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のリチウムイオンのモル濃 度[mol/L]
CSb:水酸化リチウム水溶液を加えた状態の水溶液中のアンチモンイオンのモル 濃度[mol/L]
上記式(1)及び式(2)の双方を満足するように、水酸化リチウム水溶液のモル濃度が設定されている請求項1または2に記載のヘキサヒドロキソアンチモン酸リチウム微粒子の製造方法。
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