以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明器具の実施形態の一例について詳細に説明する。実施形態の説明では、説明の便宜上、照明器具を水平な天井に取り付けた状態で、照明器具の鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」とし、器具本体と枠体が並ぶ方向(収容部の軸方向)を「上下方向」とする。なお、本明細書において、「略〜」との記載は、略平行を例に説明すると、完全に平行な状態および実質的に平行と認められる状態を含む意図である。
本開示に係る照明器具は、図書館、駅等の公共施設、デパート等の商業施設、店舗、オフィス、住居、工場等の室内、通路などにおいて水平な天井に取り付けられるが、水平方向および鉛直方向に対して傾斜した天井に取り付けることも可能である。照明器具が取り付けられる天井は、建築空間の上方を区画する部位であればよく、例えば玄関ポーチ、テラスなどの天井であってもよい。
図1は、実施形態の一例である照明器具10の全体を上方から見た斜視図である。図2は、照明器具10の全体を下方から見た斜視図である。図3は、図1中のAA線断面図である。図4は照明器具10の上側部分の斜視図、図5は照明器具10の下側部分の斜視図である。図1〜図4では、リード線17の図示を省略している。以下では、説明の便宜上、収容部20の軸方向に沿った第1方向を「Z方向または上下方向」とし、第1方向に直交する第2方向を「XY平面方向」とする。
図1〜図5に示すように、照明器具10は、光源11と、光源11の収容部20を有する器具本体12と、光源11に接続されるリード線17(図8参照)と、収容部20の筒壁21に取り付けられるパッキン50とを備える。収容部20は、筒壁21と、上端(軸方向一端)に形成された天部22とを有し、有天筒状を呈する。収容部20は、筒壁21を貫通して下端(軸方向他端)から天部22側に延びるリード線挿通用の開口部であるスリット24と、スリット24と連通してスリット24の両側に形成されたパッキン50の収容溝25とを有する。パッキン50は、各収容溝25に挿し込まれてリード線17に当接すると共に、リード線17が通るスペースを残してスリット24を塞いでいる。
照明器具10では、筒壁21に形成されたスリット24によってリード線17を収容部20内から引き出すことができ、パッキン50によって筒壁21の隙間(スリット24)を塞ぎ、収容部20内に虫等が侵入することを防止できる。スリット24のシール構造は、収容溝25にパッキン50を挿し込むという簡便な方法によって構成され、組立が容易である。他方、パッキン50は収容溝25によって安定に支持され、リード線17が通るスペースを残してスリット24を隙間なく塞ぐことができる。また、パッキン50は、リード線17に当接して押し付けられるため、例えばリード線17の張力止め部材としても機能する。
照明器具10は、収容部20の開口側に位置する器具本体12の下端部に固定される枠体13を備える。また、器具本体12は、少なくとも収容部20の天部22に立設した放熱フィン30を備えることが好適である。放熱フィン30は、上下方向(Z方向)およびXY平面方向に沿って複数形成されている。複数の放熱フィン30の少なくとも一部は、XY平面方向のうちの一の方向である所定方向に延びて、収容部20の所定方向両端から外側に張り出していてもよい。
照明器具10は、収容部20の開口を鉛直下方に向けた状態で、天井に形成された埋め込み孔に挿入されて天井に取り付けられる。照明器具10は、天井埋め込み型の器具であって、一般的にダウンライトと呼ばれる。照明器具10の取り付け方法は特に限定されないが、一例としては、照明器具10が挿入される天井裏空間に設置された吊り金具を用いる方法が挙げられる。吊り金具は、例えば先端部にネジが切られた棒状の金具であって、枠体13に固定される。
照明器具10では、器具本体12の下端に形成された収容部20の開口から光源11の光が出射される。収容部20内には反射体27(図3、後述の図8参照)が設置されており、光源11の光の一部は反射体27で反射されて当該開口から下方に出射される。反射体27は、軸方向に垂直な断面が略真円形状で軸方向両端(上下両端)が開口しており、下端に近づくほど拡径した末広がりの形状を有する。反射体27の内面には、蒸着、メッキ、スパッタリング等により金属層が形成されていてもよく、研磨等により鏡面仕上げされていてもよい。或いは、白色顔料を含有する白色の塗膜が形成されていてもよい。
照明器具10は、枠体13に固定された筒体14を備える。筒体14は、軸方向が照明器具10の上下方向に沿うように枠体13内に配置されている。筒体14は、反射体27と同様に、軸方向に垂直な断面が略真円形状で、下端に近づくほど拡径している。収容部20の開口から出射された照明光は、筒体14の上端開口から筒体14内に導入され、筒体14の下端開口から出射される。筒体14は、補助反射体として機能することが好ましい。この場合、筒体14の内面には、反射体27と同様の反射面が形成される。
筒体14は、リング状の筒体用支持部材48、および当該部材に固定された少なくとも2つの係合バネ49を用いて枠体13に固定される。照明器具10では、筒体用支持部材48が筒体14の上端開口の周縁に係合すると共に、係合バネ49が枠体13の上枠40に形成された貫通孔45に挿し込まれることで、筒体14が枠体13に固定されている。係合バネ49には、例えばトーションバネが使用される。
光源11は、器具本体12の収容部20内において天部22に固定されることが好適である。光源11を構成する発光素子は、半導体発光素子であることが好ましく、中でもLED(Light Emitting Diode)が特に好ましい。発光素子は、蛍光体を含む封止層で封止されていてもよい。この場合、光源11は、蛍光体によって発光素子の光の一部をより長波長の光に変換することで白色光を出射する。光源11は、例えば回路基板18に複数実装され、発光モジュール19を構成する。
本実施形態では、リード線17が発光モジュール19の回路基板18を介して光源11に接続されている。照明器具10は、一般的に、発光モジュール19に供給する電力を制御する電源装置(図示せず)を備える。電源装置は、例えばスイッチ、リモコン等の操作信号、または人感センサ、照度センサ等の検知信号に基づいて供給電力を制御する。リード線17は、収容部20から引き出されて電源装置に接続される。
照明器具10は、さらに、器具本体12の収容部20の開口を塞ぐ透光性カバー15と、器具本体12に固定され、透光性カバー15を支持する支持部材16とを備えることが好ましい。透光性カバー15は、反射体27の下端開口よりも大きな略円板形状を有し、反射体27と支持部材16との間に配置される。照明器具10には、反射体27の外側に装着された、反射体27と同様の形状を有するゴム部材28が設けられており、透光性カバー15の周縁と支持部材16の間にはゴム部材28が介在している。ゴム部材28は、例えばシリコーンゴムで構成される。
透光性カバー15は、ガラス板、樹脂板等の透明な部材である。なお、透光性カバー15は、光拡散用のフィラーまたはボイドを含有する乳白色の透光部材であってもよく、また入射面と出射面とで光を成形するレンズ機能を有していてもよい。透光性カバー15は、収容部20に収容された発光モジュール19を覆って保護すると共に、発光モジュール19の光源11から出射される光を透過または拡散透過させる機能を有する。
図3および図4に示すように、支持部材16は、収容部20の下端に固定される。支持部材16は、透光性カバー15よりも外径が大きく、内径がやや小さなリング状の部材である。本実施形態では、収容部20の下端開口の周縁に外側に張り出したフランジ23が形成されており、フランジ23の下面に支持部材16がネジ止めされている。支持部材16を収容部20に固定することで、透光性カバー15等が支持され、またスリット24を塞ぐパッキン50が支持される。
支持部材16は、後述するように、パッキン50を押圧することが好ましい。照明器具10では、透光性カバー15等を支持する支持部材、およびパッキン50を押圧する支持部材として、共通の支持部材16を設けているが、各支持部材は別部材で構成されてもよい。また、各支持部材の形状は特に限定されない。
照明器具10は、上述のように、収容部20および複数の放熱フィン30を有する器具本体12の下端部に、筒体14を保持する枠体13が固定された構造を有する。照明器具10では、収容部20のフランジ23の下面に、支持部材16を介して枠体13がネジ止めされている。器具本体12の下部は、枠体13の直径よりも小さく、枠体13内に挿入された状態で枠体13と連結されている。
収容部20は、略円筒状に形成されており、フランジ23が形成された下端部で直径が最大となっている。すなわち、フランジ23の先端(外端)が、収容部20のXY平面方向の外端となる。なお、フランジ23の先端は大部分が円弧状に形成されているが、一部分が直線状に形成されている(図4参照)。この直線状に形成された部分は、器具本体12と枠体13を結合する際の位置決めに利用される。
本実施形態では、光源11を含む発光モジュール19が、収容部20内において天部22に固定されている。そして、天部22は、発光モジュール19が固定される範囲の少なくとも一部が厚肉に形成されている(図3参照)。この場合、天部22の熱容量を大きくすることができる。当該厚肉部には、後述する上部フィン31およびセンターフィン33が接続されるので、光源11で発生した熱を効率良くフィンに伝達することができる。
複数の放熱フィン30の少なくとも1つは、XY平面方向のうちの一の方向である所定方向(以下、「X方向」とする)に延びて、収容部20のX方向両端から外側に張り出している。そして、器具本体12の下端部は、少なくともX方向両側で当該方向に縮小している。また、隣り合う放熱フィン30の少なくとも一部の間隙36は、上下方向両端が開口している。
この場合、放熱フィン30のX方向外側に張り出した部分の下方に、X方向に直交する方向(以下、「Y方向」とする)に連通した空間が形成される。このため、当該張り出し部の下から放熱フィン30の間隙36に空気が流入し易くなり、効率良く対流が起こって優れた放熱特性が得られる。
器具本体12は、光源11を含む発光モジュール19よりも枠体13側に位置する部分が、少なくともX方向両側で当該方向に縮小していることが好ましい。器具本体12は、放熱フィン30として、複数の上部フィン31と、複数の下部フィン32とを有する。上部フィン31は、少なくとも光源11より上側(第1方向他端側)に形成され、収容部20の端からXY平面方向に張り出している。下部フィン32は、少なくとも光源11より下側(第1方向一端側)に形成され、上部フィン31よりもXY平面方向の長さが短くなっている。
器具本体12では、上部フィン31および下部フィン32の各々がX方向に沿って形成されている。そして、下部フィン32のX方向の長さを上部フィン31のX方向の長さよりも短くすることで、器具本体12の発光モジュール19よりも枠体13側に位置する部分がX方向に縮小している。また、上部フィン31の各々が収容部20の天部22に立設し、下部フィン32の各々が収容部20の筒壁21から外側に張り出している。
器具本体12は、放熱フィン30として、収容部20の天部22に立設してY方向に延びたセンターフィン33を有し、上部フィン31の各々がセンターフィン33によって連結されていることが好ましい。この場合、光源11で発生した熱の一部はセンターフィン33を介して上部フィン31の先端側(X方向端部側)に拡散する。上部フィン31およびセンターフィン33は、上述のように、天部22の厚肉部に接続されている。センターフィン33を設けることで、器具本体12の放熱性を向上させることができる。
なお、各放熱フィン30は、XY平面方向の複数の方向に沿って形成されてもよい。例えば、収容部20の中心軸の周囲に、複数の放熱フィン30が放射状に形成されていてもよい。
枠体13は、筒体14を保持し、また照明器具10を天井に取り付ける際に利用される。本実施形態では、枠体13の上枠40に、上記吊り金具の先端部を挿通可能な貫通孔46が形成されている。例えば、貫通孔46に挿通された吊り金具の先端部にナットを取り付けることで、枠体13を吊り金具に固定することができる。また、枠体13は、器具本体12の収容部20および筒体14の軸方向が一致した状態で、収容部20と筒体14を上下方向に並べて配置させる。これにより、収容部20内に配置された反射体27と筒体14が接続され、照明光の導通路が形成される。
枠体13は、上枠40と、下枠41と、これら2つの枠を連結する連結フレーム42とで構成されている。上枠40および下枠41は、いずれも略円環状を呈し、その内側に筒体14を収容できる寸法で形成される。下枠41は、筒体14の下端部と略同じXY平面上に位置し、筒体14の下端部を外側から支持する。連結フレーム42は、例えば上枠40および下枠41の周方向に略一定の間隔をあけて複数設けられる。各連結フレーム42の上下方向長さは、筒体14の上下方向長さよりも長く、上枠40と下枠41の間に筒体14を収容できる距離を確保する。
上枠40は、内径が収容部20のフランジ23よりも大きな略円環状の基部43と、支持部材16を介してフランジ23の下面に固定される複数の固定片44とを有する。図5に示すように、基部43には、係合バネ49が挿し込まれる2つの貫通孔45と、上記吊り金具の先端部が挿通される2つの貫通孔46とが形成されている。貫通孔45,46は、それぞれ基部43の径方向に並んで形成されることが好ましい。
上枠40には、基部43の径方向に並ぶ2つの固定片44が形成されている。固定片44の各々は、基部43から下枠41側に延出し、途中で基部43の径方向内側に折れ曲がった略L字形状を有する。固定片44は、器具本体12を下から支え、収容部20のフランジ23に支持部材16を介してネジ止めされる。本実施形態では、固定片44と筒体14との間にリング状カバー47が設けられている。リング状カバー47は、支持部材16および固定片44がネジ止めされたフランジ23の下面を覆って、ネジ等が下から見えないように隠蔽する。リング状カバー47は、略円環形状を有し、固定片44に下から固定される。
なお、枠体13は上述の構造を有するものに限定されない。例えば、固定片44、貫通孔45,46は3つ以上存在してもよい。また、上枠40および下枠41は、矩形の枠状に形成されてもよい。上枠40および下枠41の形状は、器具本体12の形状、或いは筒体14の形状に応じて変更可能である。
以下、図6〜図8を参照しながら、器具本体12について、さらに詳説する。図6は器具本体12を上方から見た斜視図、図7は器具本体12を下方から見た斜視図である。図8は、照明器具10の上側部分の分解斜視図であって、収容部20から引き出されたリード線17を図示している。
図6〜図8に示すように、器具本体12は、収容部20よりも上下方向に長く延びた複数の上部フィン31を備える。上部フィン31は、収容部20のフランジ23の先端を超えてX方向に張り出している。また、器具本体12の下部には、上部フィン31よりも上下方向およびX方向に短い複数の下部フィン32が形成されている。上部フィン31および下部フィン32は、上下方向に並んで配置されることが好ましい。この場合、隣り合う上部フィン31の間隙36の下端開口が広くなって間隙36に空気が流入し易くなり、放熱性がさらに向上する。器具本体12は、例えばダイカスト法により成形できる。
上部フィン31の上下方向長さは、例えば収容部20の上下方向長さの1.5倍〜5倍、好ましくは2倍〜4倍であり、器具本体12の上下方向長さの60%〜85%を占める。下部フィン32は、収容部20の上下方向の略全長にわたって形成されることが好ましく、例えば筒壁21と略同じ上下方向長さを有する。本実施形態では、フランジ23の先端よりも外側に張り出さない程度のX方向長さで、各下部フィン32が形成されている。
器具本体12において、光源11で発生した熱は、上部フィン31側に伝搬され易い。例えば、光源11で発生した熱の多くは、上下方向およびX方向に沿って大きく形成された上部フィン31によって放熱される。ただし、筒壁21からX方向に張り出す下部フィン32を設けることで、器具本体12の放熱性がさらに向上する。複数の下部フィン32は、筒壁21の周囲に複数の凹凸を形成して表面積を大きくし、光源11に近い部分の放熱性を向上させる。
なお、筒壁21の周囲に下部フィン32を形成せず、筒壁21の厚みを増加させて凹部が存在しない構造とすることも可能であるが、放熱性、軽量性等の観点から、下部フィン32を形成することが好ましい。
器具本体12は、上述のように、収容部20の天部22に立設して上部フィン31の各々を連結するセンターフィン33を有することが好ましい。センターフィン33は、例えば天部22の中心を通ってY方向に延び、各上部フィン31に対して略垂直に形成される。また、センターフィン33は、天部22の端からY方向に張り出している。センターフィン33は、天部22のY方向両端からフランジ23の先端を超えてY方向両側に張り出すことが好ましい。
また、器具本体12は、放熱フィン30として、センターフィン33の上記張り出し部(天部22の端からY方向に張り出した部分)からX方向両側に延びた補助フィン34を有する。本実施形態では、器具本体12のY方向両端部に、3つずつ合計6つの補助フィン34が形成されている。また、器具本体12には、センターフィン33(Y方向)に沿って筒壁21から外側に張り出した部分と、その先端部からX方向両側に延出した部分とを有する略T字形状または略十字形状の下部補助フィン35が形成されている。
複数の補助フィン34のうち、センターフィン33のY方向両端部のそれぞれで最もY方向中央側に形成された2つの補助フィン34aは、下部補助フィン35上に形成されている。すなわち、補助フィン34aは下部補助フィン35を介してフランジ23上に配置される。他方、残り4つの補助フィン34bは、フランジ23よりもY方向外側に形成されている。なお、X方向に並んで形成される2つの補助フィン34aのうち貫通孔46側に位置する一方のフィンは、他方のフィンよりX方向長さが短い。これにより、補助フィン34aと上枠40の貫通孔46に挿通される吊り金具との干渉を避けることができる。
器具本体12は、少なくとも下端部がX方向およびY方向に縮小していることが好適である。器具本体12では、収容部20が形成された範囲(例えば、器具本体12の下端から器具本体12の上下方向長さの15%〜40%の範囲)がX方向およびY方向に縮小している。言い換えると、上部フィン31、センターフィン33、および補助フィン34が形成された器具本体12の上部が、XY平面方向に張り出している。器具本体12の下端部の外接円(XY平面方向に沿った外接円)の直径は、上部フィン31等が形成された器具本体12の上部の外接円の直径よりも小さく、例えば上部の外接円の直径の1/3〜2/3程度である。
上部フィン31の各々は、センターフィン33が延びるY方向に間隔をあけて、X方向に沿って互いに略平行に形成されている。上部フィン31同士の間隔は、それぞれ同一であってもよく、器具本体12のY方向両端に近づくほど次第に広がっていてもよい。つまり、隣り合う上部フィン31の間隙36の幅(Y方向長さ)は、それぞれ同一であってもよく、器具本体12のY方向両端に近づくほど次第に広がっていてもよい。上述のように、下部フィン32は上部フィン31と上下方向に並んで形成されることが好ましいため、下部フィン32もX方向に沿って互いに略平行に形成される。
補助フィン34についても、上部フィン31と同様に、Y方向に間隔をあけて、X方向に沿って互いに略平行に形成されている。このため、上部フィン31と補助フィン34とは略平行に配置される。隣り合う補助フィン34の間隙36は、隣り合う上部フィン31の間隙36より広くてもよく、Y方向両端に近づくほど次第に広がっていてもよい。補助フィン34の間隙36は、上部フィン31の場合と同様に、上下方向両端が開口している。
上部フィン31および補助フィン34の各々は、センターフィン33からX方向両側に延出している。また、センターフィン33の両側で、2枚の上部フィン31および2枚の補助フィン34はそれぞれ、X方向に沿って同一直線上に形成されている。この場合、センターフィン33の両側で放熱特性が均一になり易い。ただし、センターフィン33の両側で上部フィン31、補助フィン34の位置がY方向にずれていてもよい。すなわち、各フィンはX方向に沿って同一直線上に形成されていなくてもよい。
上部フィン31および補助フィン34の各々は、互いに略同一の上下方向長さを有していてもよく、各フィンの上端は略同じXY平面上に位置していてもよい。他方、上部フィン31および補助フィン34のX方向長さは、補助フィン34の方が短く、器具本体12のY方向両端に近づくほど次第に短くなることが好ましい。例えば、Y方向両端寄りのフィンは、Y方向中央寄りのフィンと比較して温度上昇が小さいので、X方向長さを短くしても放熱性は損なわれず、寧ろ軽量化、小型化、材料コストの低減につながる。なお、器具本体12のY方向両端に近づくほど、フィンの上下方向長さを次第に短くしてもよい。
複数の放熱フィン30の少なくとも1つは、収容部20の中央側に位置する部分よりもXY平面方向の外端側で薄肉に形成されることが好ましい。特に、XY平面方向の外端に近づくほど、次第にフィンの厚みが薄くなることが好適である。本実施形態では、上部フィン31および補助フィン34の各々が、センターフィン33との接続部で最も分厚く、X方向外端に近づくにつれて次第に厚みが薄くなった先細り形状を有する。
上部フィン31および補助フィン34は、外端に近い部分ほど温度上昇が小さいので、当該部分の厚みを薄くしても放熱性は損なわれず、寧ろ軽量化、材料コストの低減につながる。なお、下部フィン32も同様に、X方向外端に向かって薄肉化された先細り形状を有していてもよい。他方、センターフィン33は、Y方向両端の補助フィン34まで熱が伝わり易いように、一定の厚みで形成されることが好ましい。
上部フィン31および補助フィン34の下端部は、他の部分よりも厚肉に形成されていてもよい。この場合、光源11に近い各フィンの下端部の熱容量が大きくなるため、例えば各フィンのX方向外側に熱を素早く拡散できる。また、器具本体12は、ダイカスト法により成形されるため、成形品を金型から押し出す際に、当該下端部を押し出しピンの当接部として利用できる。
本実施形態では、上下方向両端が開口した放熱フィン30の間隙36が、隣り合う上部フィン31同士の間、隣り合う上部フィン31と補助フィン34との間、および隣り合う補助フィン34同士の間にそれぞれ形成されている。上部フィン31がX方向両側に、補助フィン34がY方向両側にそれぞれ張り出し、器具本体12の下部がXY方向に縮小した形状とすることで、上下方向両端が開口した当該各フィンの間隙36が形成される。
また、器具本体12には、上部フィン31および補助フィン34のXY平面方向に張り出した部分の下方に空間が形成されている。また、この空間は、収容部20の周囲に形成され、上部フィン31および補助フィン34の間隙36と連通している。器具本体12では、上部フィン31および補助フィン34の上下に障害物が無く、収容部20の周囲に空間が形成されるため、当該各フィンの間隙36に空気が流入し易い。このため、器具本体12の上部では効率良く対流が起こって良好な放熱性が得られる。なお、下部フィン32の間隙は、下端側がフランジ23によって閉じられているため、上部フィン31等に比べて対流が起こり難い構造となっている。
図8に示すように、少なくとも1つの上部フィン31の下部には、XY平面方向の外端から当該方向に沿ってリード線係止用の切込みであるフィンスリット37が形成されていてもよい。器具本体12では、2つの上部フィン31の間に、収容部20内からリード線17を引き出すためのスリット24が形成されており、当該2つの上部フィン31の一方にフィンスリット37が形成されている。
フィンスリット37は、例えば上部フィン31の下部において、フィンの先端からX方向に沿って形成される。フィンスリット37は、上部フィン31のX方向全長にわたって、または天部22の端から張り出した部分の全長にわたって形成されてもよい。フィンスリット37は、上部フィン31の下部において、例えば厚肉に形成された下端部を残して形成される。この場合、収容部20から引き出されたリード線17は、フィンスリット37に挿入され、上部フィン31の下端部に巻き付けられる。
また、上記2つの上部フィン31の他方には、当該フィンの先端部に、結束バンド39を挿通可能な貫通孔38が形成されていてもよい。貫通孔38は、例えばY方向にフィンスリット37と対向する位置に形成される。図8に示す例では、貫通孔38が形成された上部フィン31の下にリード線17が通され、貫通孔38に挿通された結束バンド39によってリード線17が当該フィンに固定されている。上部フィン31の下方には上記空間が存在するため、収容部20の近傍で、このようなリード線17の固定が可能となる。
以下、図6〜図8に加えて、図9および図10を適宜参照する。図9は、器具本体12のスリット24が形成された部分およびその近傍の拡大図、図10はスリット24を塞ぐパッキン50の斜視図である。
図6〜図9に示すように、収容部20の筒壁21には、リード線17を通すための開口部であるスリット24、およびスリット24と連接してスリット24の両側に形成されたパッキン50の収容溝25が設けられている。パッキン50は、上述の通り、各収容溝25に挿し込まれてリード線17に当接すると共に、リード線17が通るスペースを残してスリット24を塞いでいる。かかるスリット24のシール構造は、組立が容易でありながら密閉性に優れ、例えば収容部20内に虫が侵入することを防止する。
スリット24は、収容部20の筒壁21において、例えばY方向に隣り合う2つの上部フィン31、下部フィン32の間に形成される。照明器具10では天部22の内面に発光モジュール19が固定されるので、スリット24は、筒壁21の上下方向全長にわたって、すなわち収容部20の下端から天部22にわたって形成されることが好ましい。この場合、収容部20内におけるリード線17の配索が容易になる。スリット24の幅は、例えばリード線17の直径よりもやや大きい。
スリット24および収容溝25は、フランジ23の下面に開口している。このため、パッキン50は、当該開口からスリット24および収容溝25に挿し込むことができる。スリット24の縁部のうち天部22側に位置する縁部、すなわちスリット24の上縁部分には、当該縁部の表面がリード線17の表面に沿うように窪んだ凹部26(本体側凹部)が形成されることが好ましい。凹部26を設けることで、スリット24の上縁部分がリード線17の表面に沿って接触し、リード線17と筒壁21との間に大きな隙間が形成され難くなる。なお、2つのパッキンを用いてリード線17を上下から挟持することも可能である。
収容溝25は、スリット24の両側において、筒壁21の周方向にスリット24と並んで形成されている。また、収容溝25は、スリット24と連通して筒壁21内に形成されている。スリット24の両側に形成される2つの収容溝25はパッキン50の幅方向両端部を収容し、これにより筒壁21内にパッキン50が保持される。例えば、スリット24の両側に形成される筒壁21の厚肉部に収容溝25を形成してもよく、スリット24の両側に形成される下部フィン32を利用して収容溝25を形成してもよい。後者の場合、下部フィン32内に収容溝25が形成されているとも言える。
収容溝25は、スリット24と同様に、収容部20の下端から天部22側に延びる。収容溝25は、スリット24より上下方向に短くてもよいが、リード線17に対する密着性を向上させるためには、スリット24と略同じ上下方向長さで形成されることが好ましい。各収容溝25の深さ(筒壁21の周方向に沿った長さ)は、スリット24の幅と略同じであってもよく、パッキン50の幅の10%〜40%であってもよい。収容溝25は、スリット24の側壁が筒壁21の周方向に窪んで形成された凹部であると言える。
収容溝25は、収容部20の天部22に近づくほど、筒壁21の周方向および厚み方向の少なくとも一方に縮小していてもよい。好ましくは、天部22に近づくほど、筒壁21の周方向および厚み方向に沿った収容溝25の長さ(収容溝25の深さ、幅)が次第に小さくなる。なお、パッキン50は収容溝25の当該形状に対応した形状を有する。この場合、パッキン50の筒壁21との良好な密着性を確保しながら、収容溝25にパッキン50を挿入し易くなる。
スリット24およびその両側に形成された2つの収容溝25には、上述のように、パッキン50が挿し込まれ、これによりリード線17が通るスペースを残してスリット24が塞がれる。パッキン50がスリット24に挿し込まれた状態で、スリット24の上縁に形成された凹部26と、パッキン50の後述する凹部56とが上下方向に並ぶことで、略真円形状のスリット24が通るスペース(貫通孔)が形成される。
本実施形態では、収容部20のフランジ23の下面に支持部材16が固定され、この支持部材16によってパッキン50が支持されている。パッキン50は、スリット24および収容溝25より上下方向にやや長く形成されていてもよく、パッキン50の下端部がスリット24および収容溝25の開口から少しとび出していてもよい。この場合、支持部材16によって、パッキン50が圧縮され、スリット24の縁部、収容溝25の壁面、およびリード線17に対して強く押し付けられる。このため、パッキン50とこれらとの良好な密着性が得られる。
図9に示すように、リード線17には、スリット24の縁部において筒壁21の内面に当接するストッパ60が取り付けられることが好ましい。ストッパ60は、リード線17の張力止め部材として機能する。例えば、リード線17が引っ張られたときに、ストッパ60が筒壁21の内面に引っ掛かることで、その力が当該内面に作用し、リード線17と発光モジュール19の接続部にかかる負荷を軽減できる。リード線17に押し付けられるパッキン50もリード線17の張力止めに寄与するが、ストッパ60を設けることで、より確実な張力止めが可能となる。
リード線17は、リード線17a,17b,17cのように、複数本設けられていてもよい。この場合、ストッパ60として、複数のリード線17を結束する結束バンドを用いてもよい。リード線17は、結束バンドが取り付けられた部分で、当該バンドを含むリード線17の直径がスリット24の幅よりも大きくなる。結束バンドは、複数のリード線17を束ねると共に、筒壁21の内面に当接してリード線17の張力止め部材として機能する。なお、リード線17が複数本存在しない場合であっても、結束バンドをストッパ60として用いてもよい。
図10に示すように、パッキン50は、扁平なブロック状の部材であって、支持部材16に押圧されて弾性変形するゴム製部材で構成されることが好ましい。パッキン50を透過して光が漏れないように、例えば黒色のパッキン50が用いられる。図10に例示するパッキン50は、厚み<幅<高さの寸法を有し、厚み方向が筒壁21の厚み方向に、高さ方向が筒壁21の上下方向にそれぞれ沿うように、スリット24および収容溝25に挿し込まれる。
パッキン50は、収容部20の天部22側に配置される上端側に向かって幅および厚みの少なくとも一方が縮小したテーパ形状を有していてもよい。器具本体12では、天部22に近づくほど筒壁21の周方向および厚み方向に沿った収容溝25の長さが次第に小さくなっているので、パッキン50は収容溝25の当該形状に合わせて、上端に近づくほど幅および厚みが次第に縮小している。この場合、パッキン50と収容溝25の側壁との良好な密着性を確保でき、かつ収容溝25にパッキン50を挿入し易くなる。
パッキン50は、厚み方向に沿った各側面に形成される凸部である第1凸部51を有していてもよい。図10に示す例では、当該各側面の上下方向全長にわたって第1凸部51が直線状に形成されている。第1凸部51は、筒壁21の周方向両側に突出して各収容溝25の壁面に当接する。パッキン50の幅方向両側面に第1凸部51を設けることで、パッキン50の側面と収容溝25との良好な密着性を確保でき、かつ収容溝25にパッキン50を挿入し易くなる。また、パッキン50の下端部には、幅方向中央部から厚み方向両側に突出した第2凸部52が形成されていてもよい。第2凸部52はスリット24内に配置され、パッキン50の取り付け安定性を向上させる。
パッキン50の端部のうち天部22側に配置される上端部には、当該上端部の表面がリード線17の表面に沿うように窪んだ凹部56(パッキン側凹部)が形成されることが好ましい。凹部56は、パッキン50の上端部において幅方向中央部に形成されている。凹部56を設けることで、パッキン50の上端部がリード線17の表面に沿って接触し、リード線17とパッキン50との間に大きな隙間が形成され難くなる。上述のように、凹部56は器具本体12の凹部26と上下方向に並ぶ位置に形成され、凹部26と共に略真円形状のスリット24が通る貫通孔を形成する。
以上のように、照明器具10によれば、スリット24および収容溝25にパッキン50を挿し込んで構成されたシール構造を有するため、収容部20内に虫等が侵入することを十分に防止できる。当該シール構造は、組立が容易であり、かつ密閉性に優れる。さらに、ストッパ60をリード線17に取り付けることで、簡便でありながら十分なリード線17の張力止めが可能となる。このため、収容部20内でリード線17を引き回すような張力止め構造を設ける必要がなく、器具本体12の小型化を図ることが可能である。なお、フィンスリット37を用いたリード線17の固定によっても、リード線17と発光モジュール19の接続部にかかる負荷が軽減される。
また、上部フィン31および補助フィン34が外側に張り出し、器具本体12の下部がXY方向に縮小した形状とすることで、上下方向両端が開口したフィンの間隙36が形成され、また器具本体12の下部の周囲に空間が形成される。このため、上部フィン31および補助フィン34の間隙36には空気が流入し易く、器具本体12の上部で効率良く対流が起こる。したがって、照明器具10によれば、良好な放熱性が得られ、器具の温度上昇を抑制できる。