JP2019028979A - 分析装置および分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の走行軌跡情報を用いて、配送業務における待ち時間を簡易に導出する技術を提供する。【解決手段】取得部50は、荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得する。特定部52は、取得部50において取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定する。導出部54は、特定部52において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出する。出力部59は、導出部54において導出した滞在時間情報を出力する。【選択図】図7
Description
本発明は、分析技術に関し、特に所望の情報を分析する分析装置および分析方法に関する。
車両などで荷物を集荷し、各配送先へ配送する配送業務に対して、配送計画をシミュレーションする配送計画立案方法が用いられている。この配送計画立案方法では、運転日報などの配車実績情報が入力されると、その配車実績情報を分析し、コストや手待ち時間などが提示される。しかしながら、この配送計画立案方法では、多くの配車実績情報を入力しなければ十分な分析をすることができず、正確なコストや手待ち時間が提示できない。そこで、荷扱いの指定時刻やその実績時間などを手入力することによって、手待ち時間が推定される(例えば、特許文献1参照)。
運送事業者が配送業務を効率よく実行する場合、それらに対する手待ち時間の導出が必要になる。このような状況下において、手待ち時間を導出するための処理が複雑になると、運送事業者の配送業務への負担が増加し、手待ち時間の推定が困難になる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の走行軌跡情報を用いて、配送業務における待ち時間を簡易に導出する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の分析装置は、荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得する取得部と、取得部において取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定する特定部と、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出する導出部と、導出部において導出した滞在時間情報を出力する出力部と、を備える。
本発明の別の態様は、分析方法である。この方法は、荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得するステップと、取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定するステップと、第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出するステップと、導出した滞在時間情報を出力するステップと、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、車両の走行軌跡情報を用いて、配送業務における待ち時間を簡易に導出できる。
(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載される端末装置から取得される走行軌跡情報と、この走行軌跡情報を用いて車両の物流拠点における手待ち時間(手待ち状態)の発生を分析する手待ち時間分析システムに関する。ドライバの不足あるいは高齢化に直面している物流業界ではさらなる業務効率化の糸口として、荷役における「手待ち時間」の削減に注目が集まっており、この課題解決に向けたソリューションの模索が行われている。物流事業者が「手待ち時間」に関する改善を検討するためには、まず、複数の取引先から委託された個々の運行(配送業務)において、運行に含まれる個々の荷役における「手待ち時間」を算出する。さらにそこから「手待ち時間」が多く発生しているデータを抽出した上で物流拠点別に表形式などで集計し、「手待ち時間」が多く発生している荷主や物流拠点を特定していくことが考えられる。これらの集計作業には非常に多くの労力が必要であり、慢性的な労働力不足の課題を持った中小の運送事業者などには、大きな負担となることが想像される。また、これらの集計はドライバが手待ち状態を直接記録することができるデジタルタコグラフなどを前提としたもので、ドライバへの負担増のほか、運送事業者にとっては機器導入コストも増加する。
本発明の実施例を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載される端末装置から取得される走行軌跡情報と、この走行軌跡情報を用いて車両の物流拠点における手待ち時間(手待ち状態)の発生を分析する手待ち時間分析システムに関する。ドライバの不足あるいは高齢化に直面している物流業界ではさらなる業務効率化の糸口として、荷役における「手待ち時間」の削減に注目が集まっており、この課題解決に向けたソリューションの模索が行われている。物流事業者が「手待ち時間」に関する改善を検討するためには、まず、複数の取引先から委託された個々の運行(配送業務)において、運行に含まれる個々の荷役における「手待ち時間」を算出する。さらにそこから「手待ち時間」が多く発生しているデータを抽出した上で物流拠点別に表形式などで集計し、「手待ち時間」が多く発生している荷主や物流拠点を特定していくことが考えられる。これらの集計作業には非常に多くの労力が必要であり、慢性的な労働力不足の課題を持った中小の運送事業者などには、大きな負担となることが想像される。また、これらの集計はドライバが手待ち状態を直接記録することができるデジタルタコグラフなどを前提としたもので、ドライバへの負担増のほか、運送事業者にとっては機器導入コストも増加する。
これに対応するために、本実施例では、手待ち時間の分析のために車両の走行軌跡情報を用いた手待ち時間分析システムを使用し、車両の走行軌跡情報の取得のために通信システムを使用する。通信システムは、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)2.0を前提とする。ETC2.0では、道路沿いに設置された複数の基地局装置のそれぞれが形成するITSスポットを、車両に搭載された端末装置が通過する際に、基地局装置から端末装置への下り通信と、端末装置から基地局装置への上り通信が実行される。こうした通信には、狭い範囲での双方向通信を目的とした電波ビーコン(5.8GHz帯)による通信方式であるDSRC(Dedicated Short Range Communication)が使用される。特に、上り通信においては、端末装置から基地局装置へ車両の走行軌跡情報が送信される。なお、走行軌跡情報によって示される車両の走行距離は、次の基地局装置(ITSスポット)までに車両が走行した距離あるいは車両の走行状態などにもよるが、端末装置に蓄積される走行軌跡の上限距離は約50〜80kmである。
車両の走行軌跡情報から「手待ち時間」を把握するためには、走行軌跡情報から「手待ち時間と荷役の時間」を伴う走行軌跡(区間)を抽出する必要がある。従来方式の1つ目の例では、物流拠点の入口・出口の座標近傍の通過、あるいは物流拠点を包含する領域の座標の出入りを監視することによって、そのような走行軌跡が抽出される。さらに、抽出した走行軌跡から「手待ち時間と荷役の時間」が集計される。しかしながら、この場合、事前に物流拠点の座標を登録する必要がある。従来方式の2つ目の例では、走行軌跡情報における停車時間に着目し、しきい値以上の停車時間から「手待ち時間と荷役の時間」が抽出される。しかしながら、この場合、単純な荷役・休憩・渋滞渦中などが集計の対象に含まれてしまう。
本実施例では、手待ち時間分析システムにおける分析装置は、物流拠点の位置情報などを必要とせず、ETC2.0走行軌跡の基本情報である緯度・経度・時刻のみから、「手待ち時間」、例えば、手待ち時間と荷役の時間との合計時間(あるいは物流拠点における滞在時間)を導出する。ここで、手待ちを伴う荷役の場合には、物流拠点周辺では待機場所での移動などで、車両が細かく停車位置を変えるといった特性があるが、単純な荷役や休憩などの場合には、車両の停車場所があまり変化しないといった特性がある。また、方位変化の累積量に着目すると、物流拠点周辺では累積量が多く、渋滞渦中では少ないといった特性もある。
これら特性に着目することで、物流拠点の位置情報に依存することなく、また、単純な荷役(手待ちを伴わない荷役)や休憩・渋滞といった対象外のデータを除去しつつ、手待ちを伴った荷役を含む走行軌跡が抽出可能になる。さらに、その軌跡の範囲などから「手待ち時間と荷役の時間」の合計時間(あるいは物流拠点における滞在時間)の推定が可能となる。また、分析装置は、その発生状況を俯瞰することによって概観的に手待ち時間の発生状況を把握することを可能にする。
図1は、通信システム100の構成を示す。通信システム100は、端末装置10、基地局装置12と総称される第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12c、車両14を含む。なお、基地局装置12の数は「3」に限定されない。ここでは、図1の左から右に向かって車両14が道路を走行している状況を想定する。これは、車両14が道路上のポイントP1、ポイントP2、ポイントP3の順に移動することに相当する。また、道路には、第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cが並んで設置される。車両14がポイントP1に達した場合に、第1基地局装置12aによって形成されるITSスポットに車両14は進入する。以下では、ITSスポットを「通信エリア」と呼ぶ。また、車両14がポイントP2に達した場合に、第2基地局装置12bによって形成される通信エリアに車両14は進入する。さらに、車両14がポイントP3に達した場合に、第3基地局装置12cによって形成される通信エリアに車両14は進入する。
第1基地局装置12aによって形成される通信エリアに車両14が進入すると、車両14に搭載された端末装置10は、第1基地局装置12aと通信を確立し、これに続いて、端末装置10は、第1基地局装置12aに車両14の走行軌跡情報を送信する。第2基地局装置12bによって形成される通信エリア、第3基地局装置12cによって形成される通信エリアに車両14が進入した場合も、同様の処理が実行される。なお、第2基地局装置12bでは、第1基地局装置12aから第2基地局装置12bに至る区間の走行軌跡情報が送信され、第3基地局装置12cでは、第2基地局装置12bから第3基地局装置12cに至る区間の走行軌跡情報が送信される。
図2は、通信システム100において物流拠点20を含む走行軌跡情報が送信される状況での構成を示す。第1車両14a、第2車両14bが物流拠点20に向かって走行し、第3車両14cが倉庫22の手前で手待ちをし、第4車両14dが倉庫22で荷役をし、第5車両14e、第6車両14fが物流拠点20から出場して走行する。第1車両14aから第6車両14fは共通の車両14と総称され、車両14には図1の端末装置10が搭載される。物流拠点20から出場した後、車両14(第6車両14f)は基地局装置12の通信エリアを通過する。その際、基地局装置12と車両14に搭載された端末装置10は例えばETC2.0による通信を実行する。その結果、物流拠点20に入場した車両14に搭載された端末装置10から、基地局装置12にETC2.0の走行軌跡情報が送信される。基地局装置12に送信された走行軌跡情報は、基地局装置12から後述するプローブ情報配信装置30に送信され、プローブ交通情報としてデータ収集される。なお、図2に示す状況では、ETC2.0の走行軌跡情報には、物流拠点20において手待ち状態と荷役状態とを経た走行軌跡を示す位置と時間の情報が時系列で記録される。
以下では、様々な状況における走行軌跡を説明するために、図3から図6を使用する。図3は、通信システム100において取得される休憩時の走行軌跡を示す。左右の方向に延びるように高速道路200が配置され、その中央部分にパーキングエリア202が配置される。走行軌跡80における矢印は、車両14の進行方向を示す。また、走行軌跡80における矢印の始点(または終点)は、測位した時点での車両14の位置を示す。走行軌跡80中のポイントP10において、休憩のために車両14が例えば2時間以上停車される。このような休憩時の走行軌跡80は、車両14の位置を変える回数が少なく、停車している回数が少なく、方位の累積変化量が少ないという特性を有する。
図4は、通信システム100において取得される渋滞時の走行軌跡を示す。走行軌跡82と走行軌跡84が示される。走行軌跡82、走行軌跡84における矢印は、それぞれ異なった車両14の進行方向を示す。また、走行軌跡82、走行軌跡84における矢印の始点(または終点)は、測位した時点での車両14の位置を示す。走行軌跡82のうちの低速走行区間86において車両14の速度が30km/h程度になり、走行軌跡84のうちの低速走行区間88においても車両14の速度が30km/h程度になる。このような渋滞時の走行軌跡82、走行軌跡84は、車両14の位置を変える回数が多く、停車している回数が少なく、方位の累積変化量が少ないという特性を有する。
図5は、通信システム100において取得される手待ちを伴わない荷役時の走行軌跡を示す。物流拠点20に倉庫22が配置される。走行軌跡90における矢印は、車両14の進行方向を示す。また、走行軌跡90にける矢印の始点(または終点)は、測位した時点での車両14の位置を示す。走行軌跡90におけるポイントP20において、つまり倉庫22の近傍において、車両14は荷役のために15〜30分停車される。これは、手待ちと伴わない単純な配送荷降ろしに相当する。このような手待ちを伴わない荷役時の走行軌跡90は、車両14の位置を変える回数が多く、停車している回数が少なく、方位の累積変化量が多いという特性を有する。
図6は、通信システム100において取得される手待ちを伴う荷役時の走行軌跡を示す。物流拠点20に倉庫22が配置される。走行軌跡92における矢印は、車両14の進行方向を示す。また、走行軌跡92にける矢印の始点(または終点)は、測位した時点での車両14の位置を示す。走行軌跡92における待ち区間94において、車両14は手待ちのために15〜30分の間に複数回停車されるとともに、その間に複数回方位が変化する。また、走行軌跡92における作業区間96において、車両14は荷役のために60分停車される。このような手待ちを伴う荷役時の走行軌跡92は、車両14の位置を変える回数が多く、停車している回数が多く、方位の累積変化量が多いという特性を有する。なお、待ち区間94は、車両14のドライバが作業を実行するまでの待ち状態に対応する区間(「第1区間」ともいう)である。また、作業区間96は、車両のドライバが作業を実行する荷役状態に対応する区間(「第2区間」ともいう)である。
図7は、手待ち時間分析システム150の構成を示す。手待ち時間分析システム150は、通信システム100、分析装置40、表示装置60を含む。通信システム100は、端末装置10、基地局装置12、プローブ情報配信装置30を含む。分析装置40は、取得部50、特定部52、導出部54、記録部56、処理部58、出力部59を含む。なお、分析装置40は、表示装置60を含む構成としてもよい。
端末装置10は、物流拠点20を利用する物流事業者の車両14に設置された車載器である。端末装置10は、GNSS(Global Navigation Satellite System(s))の測位機能を有し、車両14の位置情報を測位し、位置情報(緯度・経度情報)と測位時刻との組合せ(以下、「ノード」ということもある)を含めた走行軌跡情報を生成する。走行軌跡情報には、例えば、移動距離が約200m(約100m)あるいは方位変化が約45°以上の場合に位置情報と測位時刻との組合せが追加される。端末装置10は、基地局装置12の通信エリアを通過する際に、無線装置(例えば、DSRC)によって基地局装置12に、走行軌跡情報が含まれたデータを送信する。なお、走行軌跡情報には、異なる車両14を互いに識別するための車両識別情報を含めてもよい。
基地局装置12は、一端側において端末装置10と通信し、他端側においてプローブ情報配信装置30と通信する。なお、端末装置10との通信は無線通信であり、プローブ情報配信装置30との通信は有線通信あるいは無線通信である。端末装置10との無線通信によって、基地局装置12は、ETC2.0の上り通信情報として、端末装置10からのデータを受信する。基地局装置12は、受信したデータをプローブ情報配信装置30に送信する。基地局装置12は、物流拠点20の位置に関係なく、高速道路あるいは国道などに設置される。
プローブ情報配信装置30は、プローブ交通情報として、基地局装置12において受信したデータ(車両14の走行軌跡情報)を収集し、それらのデータを分析装置40に配信する。これは、ETC2.0の上り通信情報を収集し、物流事業者が配信対象として登録した端末装置10のETC2.0の上り通信データを物流事業者などへ配信することに相当する。
分析装置40における取得部50は、プローブ情報配信装置30と通信し、プローブ情報配信装置30からのデータを受けつける。データには、車両14の走行の軌跡が示された走行軌跡情報を取得する。取得部50は、走行軌跡情報を特定部52に出力する。
特定部52は、取得部50において取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、所定区間が「手待ちと荷役」がなされている区間を含むことを特定する。ここでは、特定部52における区間特定の処理を(1)〜(5)の順に説明する。
(1)特定部52は、走行軌跡情報に含まれた複数のノードに対して、終点ノード(現在)から始点ノード(過去)の方向に処理を実行する。特定部52は、走行軌跡情報に含まれた複数のノードのうち、処理していないノードの最後を現在ノードとして特定するとともに、現在ノードからの距離がD1以下の区間に含まれるノードを走行軌跡列(所定区間に相当)として取得する。ここで、D1は、走行軌跡列の距離範囲を示し、例えば、700mである。取得されなかったノードは、再び処理が(1)に戻ってきた場合に取得される。なお、距離D1は現在ノードから各ノードまでの距離としてもよい。
(1)特定部52は、走行軌跡情報に含まれた複数のノードに対して、終点ノード(現在)から始点ノード(過去)の方向に処理を実行する。特定部52は、走行軌跡情報に含まれた複数のノードのうち、処理していないノードの最後を現在ノードとして特定するとともに、現在ノードからの距離がD1以下の区間に含まれるノードを走行軌跡列(所定区間に相当)として取得する。ここで、D1は、走行軌跡列の距離範囲を示し、例えば、700mである。取得されなかったノードは、再び処理が(1)に戻ってきた場合に取得される。なお、距離D1は現在ノードから各ノードまでの距離としてもよい。
(2)特定部52は、取得した走行軌跡列に対して、各ノードの位置情報からノード間の車両の速度を算出する。特定部52は、速度V1以下となるノード区間を検索する。ここで、V1は、走行速度の条件しきい値を示し、例えば、30km/hである。また、V1は第1しきい値と呼ばれることもある。そのようなノード区間がない場合、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。一方、速度V1以下となるノード区間がある場合、特定部52は、走行軌跡列に含まれる上記ノード区間の数がN1以上であるかを判定する。N1は、上記ノード区間の数の下限値を示し、例えば、10個である。また、N1は第2しきい値と呼ばれることもある。これは、走行軌跡列に、速度V1以下となるノード区間がN1箇所以上含まれるか否かを判定することに相当する。なお、特定部52は、N1を、速度V1以下となるノード区間が時系列に連続している数の下限値として判定してもよい。
(3)速度V1以下となるノード区間がN1箇所以上含まれない場合、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。速度V1以下となるノード区間がN1箇所以上含まれる場合、特定部52は、走行軌跡列に、ノード間の時間差がT1以上となるノード区間がN2箇所以上含まれるかを判定する。ここで、T1は、ノード間の時間差条件を示し、例えば、3分であり、N2は、ノード間の時間差条件より停止と判定されるノード数の下限しきい値を示し、例えば、7回である。また、N2は第3しきい値と呼ばれることもある。時間差T1の一例を3分とする理由は、ノード間の時間差が3分以上であれば、車両14がほぼ停止していたと仮定しても問題ないからである。ETC2.0の走行軌跡の規定では、ノード間距離の最大は200m(あるいは100m)であるので、ノード間の時間差が3分以上であれば、1.1m/sあるいは2.2m/s以下に相当する。1.1m/sあるいは2.2m/s以下であれば、車両14がほぼ停止しているといえる。そのため、前述の判定は、走行軌跡列にN2箇所以上の停車状態(N2回以上の停車回数)が含まれるか否かを判定することに相当する。
(4)走行軌跡列にN2回以上の停車回数が含まれない場合、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。走行軌跡列にN2回以上の停車回数が含まれる場合、特定部52は、ノード間時間差の最大値、つまり移動時間がT2以上となるかを判定する。ここで、T2は、ノード間の時間差条件より停止と判定されるノードの停止時間最大値に対する下限しきい値を示し、例えば、60分である。また、T2は第4しきい値あるいは移動時間しきい値と呼ばれることもある。これは、走行軌跡列に時間差T2以上の停車時間が含まれるか否かを判定することに相当する。なお、時間差T2以上の停車時間となるノード区間は、車両14のドライバが作業を実行する荷役状態に対応する区間(第2区間)と推定される。
(5)走行軌跡列に時間差T2以上の停車時間が含まれない場合、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。走行軌跡列に時間差T2以上の停車時間が含まれる場合、特定部52は、走行軌跡列全体における方位変化量の総和を算出する。図8は、特定部52における処理の概要を示す。軌跡部分98では12回方位が変化している。ここで、各方位の変化はθ1からθ12と示される。特定部52は、θ1+θ2+・・・+θ12を計算することによって、軌跡部分98における方位変化量の総和を算出する。図7に戻る。特定部52は、方位変化量の総和がR1以上になるかを判定する。ここで、R1は、軌跡部分98における方位変化量の総和に対する下限しきい値を示し、例えば、540°である。また、R1は第5しきい値あるいは累積方位しきい値と呼ばれることもある。これは、総和R1以上の累積の方位変化量が含まれるか否かを判定することに相当する。なお、上記のように走行軌跡列全体を用いて方位変化量の総和を算出するのではなく、例えば、走行軌跡列のうち、始点ノードから、時間差T2以上の停車時間となるノード区間までの軌跡部分98における方位変化量の総和を算出するようにしてもよい。
総和R1以上の累積の方位変化量が含まれない場合、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。総和R1以上の累積の方位変化量が含まれる場合、特定部52は、走行軌跡列に「手待ち+荷役」が含まれるとして、当該走行軌跡列を特定する。その後、特定部52は、取得した走行軌跡列の最も始点側のノードを現在ノードとして(1)に戻る。つまり、特定部52は、走行軌跡情報のうち、車両14が速度V1以下となるノード区間がN1箇所以上含まれる走行軌跡列において、時間差T2以上の最大停車時間を含み、累積の方位変化量が総和R1以上である場合に、当該走行軌跡列において「手待ちと荷役」がなされていると推定する。これは、走行軌跡列が、車両14のドライバが作業を実行するまでの待ち状態に対応する区間(第1区間)と、車両のドライバが作業を実行する荷役状態に対応する区間(第2区間)とを含むと推定することに相当する。
導出部54は、特定部52において特定した走行軌跡列における終点側のノードの測位時刻から始点側のノードの測位時刻を減算することによって、時間差を導出する。この導出した時間差は、当該走行軌跡列における車両14の滞在時間であり、「手待ち時間と荷役の時間」の合計時間に相当する。滞在時間は「滞在時間情報」ということもある。手待ち時間は、車両14が作業を実行するまでの待ち時間に相当し、荷役の時間は、車両14が作業を実行する作業時間に相当する。導出部54は、時間差がT3以上であるかを判定する。ここで、T3は、時間差を処理対象とするか否かを判定するための下限しきい値を示し、例えば、120分である。時間差がT3以上でなければ、導出部54は、当該時間差を処理対象外にして特定部52に処理を戻す。時間差がT3以上であれば、導出部54は、時間差を合計時間として記録部56に記録させる。これに応じて、記録部56は、導出部54において導出した合計時間を記録する。
時間差がT3以上であれば、導出部54は、特定部52において特定した走行軌跡列を代表する地点(以下、「代表地点」という)の座標を導出する。代表地点の一例は、走行軌跡列を構成するノード座標の平均値から算出される地点、あるいは最大のノード間時間を持つ地点である。また、導出部54は、代表地点の座標のジオコーディングから、地名(市町村・番地)などを取得してもよい。以下では、代表地点の座標、代表地点の地名を「代表地点情報」と総称する。代表地点情報の導出には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。導出部54は、合計時間に対応づけながら代表地点情報も記録部56に記録させる。記録部56は、合計時間と代表地点情報とを対応づけて記録する。このように、特定部52、導出部54は、物流拠点20の座標情報などを用いず、収集された走行軌跡情報の位置情報と測位時刻のみを用いて、手待ちを伴わない荷役、休憩・渋滞渦中・信号待ちなどの状態を除きながら、物流拠点20別の「手待ちと荷役」を伴う合計時間を集計する。
処理部58は、記録部56において記録した代表地点情報ごとに、記録部56において記録した合計時間を集計する。例えば、処理部58は、地名別の総計時間と平均時間を算出する。総計時間は、一定期間におけるその場所での合計時間の総和を示し、平均時間は、一定期間におけるその場所における合計時間を平均した時間を示す。処理部58は、総計時間がT4以上、あるいは平均時間がT5以上である場合に、総計時間と平均時間をもとにした画像を生成する。画像では、総計時間と平均時間がグラフ形式で示されながら、地図に重畳される。ここで、総計時間T4は、描画における総計時間に関する下限しきい値を示し、例えば、1200分であり、平均時間T5は、描画における平均時間に関する下限しきい値を示し、例えば、120分である。処理部58は、生成した画像、つまり集計した結果(集計情報)を出力部59に出力する。
出力部59は、処理部58から、処理部58での集計情報、つまり滞在時間情報、代表地点情報を受けつけ、外部の表示装置60に出力する。
表示装置60は、分析装置40の出力部59から出力された集計情報を表示する。図9は、表示装置60に表示される画像を示す。表示装置60は、所定エリアの地図上に代表地点に対応する集計情報を重畳して表示している。第1地点250、第2地点252、第3地点254は、互いに異なった代表地点を示す。第1地点250、第2地点252、第3地点254のそれぞれにおいて、集計情報として総計時間260と平均時間262が示される。なお、総計時間260と平均時間262のいずれか一方だけが示されてもよい。このように、事業者が所有する車両14に対して基準時間を越えた合計時間が代表地点単位で集計され、結果が地図上にプロットされるので、手待ち発生状況(頻度と場所)の概観把握が簡易になる。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
以上の構成による手待ち時間分析システム150における分析装置40の動作を説明する。図10は、分析装置40による処理の手順を示すフローチャートである。特定部52は、現在ノードから距離がD1以下となる走行軌跡列を取得する(S10)。特定部52は、車両14の速度がV1以下となるノード区間を検索する(S12)。速度V1以下となるノード区間がある場合(S14のY)、当該ノード区間がN1箇所以上であり(S16のY)、ノード間の時間差がT1以上となるノード区間がN2箇所以上であり(S18のY)、ノード間時間差の最大値がT2以上である場合(S20のY)、特定部52は車両14の方位変化量の総和を算出する(S22)。
方位変化量の総和がR1以上である場合(S24のY)、導出部54は、集計処理を実行する(S26)。分析した走行軌跡列に続く走行軌跡列がある場合(S28のY)、特定部52は、現在ノードを変更し(S30)、ステップ10に戻る。速度V1以下となるノード区間がない場合(S14のN)、あるいは速度V1以下となるノード区間がN1箇所以上でない場合(S16のN)、あるいはノード間の時間差がT1以上となるノード区間がN2箇所以上でない場合(S18のN)、ノード間時間差の最大値がT2以上でない場合(S20のN)、あるいは方位変化量の総和がR1以上でない場合(S24のN)、ステップ10に戻る。分析した走行軌跡列に続く走行軌跡列がない場合(S28のN)、処理は終了される。
図11は、分析装置40による集計処理の手順を示すフローチャートである。導出部54は、走行軌跡列における終点ノードと始点ノードとの間の時間差を計測する(S50)。時間差がT3以上である場合(S52のY)、導出部54は代表地点情報を導出する(S54)。導出部54は、合計時間と代表地点情報との組合せを記録部56に記録させる(S56)。時間差がT3以上でない場合(S52のN)、処理は終了される。
本実施例によれば、走行軌跡情報の所定区間が第1区間と第2区間とを含むことを特定し、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出するので、配送業務における待ち時間を簡易に導出できる。また、車両の累積の方位変化量をもとに第1区間を特定し、車両の移動時間をもとに第2区間を特定するので、第1区間と第2区間の特定精度を向上できる。また、代表地点情報を導出するので、待ち時間が発生している場所を推定できる。また、低速で複数回移動し、停車回数が多く、最大停車時間が長く、累積の方位変化量が大きい場合に特定した区間の滞在時間を導出するので、手待ち時間を簡易に導出できる。また、ETC2.0の走行軌跡情報に含まれた位置情報と測位時刻から、複数種類のしきい値で構成されるフィルタ処理によって、「手待ちと荷役」がなされている区間を特定するので、物流拠点などの座標情報の入力を不要にできる。また、物流拠点などの座標情報の入力が不要になるので、ユーザの利便性を向上できる。また、物流拠点などの座標情報の入力が不要になるので、「手待ちと荷役」がなされている区間を効率的に特定できる。
また、停止回数・最大停止時間の判定を実行するので、単純な配送荷役(手待ちのない積み下ろし)・休憩などを除外できる。また、渋滞渦中や信号待ちなどにおいて累積の方位変化量が、「手待ちと荷役」がなされている場合に比較して著しく小さいので、累積の方位変化量を判定することによって、それらを除外できる。また、代表地点情報ごとに滞在時間情報を集計して出力するので、待ち時間が発生している場所の認識を容易にできる。また、代表地点情報に対応する滞在時間情報を地図上に表示させるので、待ち時間が発生している場所の認識を容易にできる。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2も実施例1と同様に手待ち時間分析システムに関する。実施例1では、ETC2.0によって取得した車両の走行軌跡情報をもとに分析装置が手待ち時間を分析する。つまり、ユーザによる入力がなくても手待ち時間が自動的に分析される。一方、実施例2では、ユーザによって手待ち状態と荷役状態に関する情報(以下、「第1情報」という)がデジタルタコグラフのような情報端末に入力される場合を想定する。情報端末は、第1情報を分析装置に出力する。分析装置は、分析によって取得した情報(以下、「第2情報」という)と、第1情報とを比較することによって、ユーザによる第1情報の入力漏れを検出する。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
次に、実施例2を説明する。実施例2も実施例1と同様に手待ち時間分析システムに関する。実施例1では、ETC2.0によって取得した車両の走行軌跡情報をもとに分析装置が手待ち時間を分析する。つまり、ユーザによる入力がなくても手待ち時間が自動的に分析される。一方、実施例2では、ユーザによって手待ち状態と荷役状態に関する情報(以下、「第1情報」という)がデジタルタコグラフのような情報端末に入力される場合を想定する。情報端末は、第1情報を分析装置に出力する。分析装置は、分析によって取得した情報(以下、「第2情報」という)と、第1情報とを比較することによって、ユーザによる第1情報の入力漏れを検出する。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
図12は、手待ち時間分析システム150の構成を示す。手待ち時間分析システム150は、通信システム100、分析装置40、表示装置60、情報端末70を含む。分析装置40は、取得部50、特定部52、導出部54、記録部56、処理部58、出力部59、受付部72、検出部74、集計部76を含む。
情報端末70は、例えば、デジタルタコグラフである。情報端末70には、手待ち状態および荷役状態が発生した場所とその時刻、ユーザである運転者、運転者の所属事業所などの情報がユーザによって入力されて記録される。これらの情報が前述の第1情報に相当する。また、情報端末70は、通信システム100の運行に伴って、走行軌跡情報も生成する。これらはデジタルタコグラフに本来備えられている機能であり、公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。なお、情報端末70は、スマートフォンであってもよい。情報端末70は、第1情報を分析装置40に出力する。情報端末70は、走行軌跡情報も受付部72に出力してもよい。
受付部72は、情報端末70に接続されて、情報端末70との間で、有線通信、無線通信、それらの組合せを実行可能である。受付部72は、情報端末70から第1情報を受けつける。第1情報には、手待ち状態と荷役状態に関する情報、情報端末70に第1情報を入力したユーザの属性情報が含まれる。ユーザの属性情報は、運転者、運転者の所属事業所の情報に相当する。以下では、第1情報に含まれる各種情報を次のように示す。手待ち時間が入力された範囲の座標データに関する重心が代表座標「XY」とされる。なお、代表座標は重心に限定されない。手待ち合計時間が手待ち時間「TT」とされる。荷役時間の合計時間が荷役時間「NT」とされる。手待ちおよび荷役の開始時刻が開始時刻「KT」とされる。運転者と事業所の情報が属性情報「ZK」とされる。受付部72は、第1情報を検出部74に出力する。
このような第1情報との対応を明確にするために、記録部56に記憶された情報は第2情報と呼ばれる。第2情報には、特定部52において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間に関する区間情報と、導出部54において導出した滞在時間情報が含まれる。以下では、第2情報に含まれる各種情報を次のように示す。区間情報の重心座標が推定代表座標「SXY」とされる。なお、推定代表座標は重心に限定されない。滞在時間情報が推定手待ち荷待ち時間「STT」とされる。滞在時間情報の開始時刻が推定開始時刻「SKT」とされる。記録部56は、第2情報を検出部74に出力する。
検出部74は、受付部72から第1情報を受けつけるとともに、記録部56から第2情報を受けつける。検出部74は、第1情報と第2情報とを比較し、情報端末70へのユーザの入力が漏れていると推測される第1情報を「未入力情報」として検出する。検出部74は、検出した「未入力情報」を集計部76に出力する。
集計部76は、検出部74から、第1情報の入力漏れである「未入力情報」を受けつける。集計部76は、ユーザの属性情報をもとに第1情報の入力漏れを集計する。例えば、運転者別もしくは事業所別などで「未入力情報」が集計される。集計部76は集計結果を出力部59に出力する。なお、集計部76は、第1情報の入力漏れを出力部59にそのまま出力してもよい。
出力部59は、第1情報の入力漏れとして、集計部76の集計結果を表示装置60に出力する。具体的に説明すると、出力部59は、「未入力情報」の集計結果を帳票へ出力し、画面表示形式に変換してから表示装置60に出力する。その際、未入力代表座標から地名を抽出し、帳票や画面表示に反映してもよい。図13は、表示装置60に表示される画面を示す。第1情報の入力漏れが運転者ごとに表示される。なお、第1情報の入力漏れがそのまま表示されてもよい。
以上の構成による手待ち時間分析システム150における分析装置40の動作を説明する。図14は、分析装置40による検出処理の手順を示すフローチャートである。これは、検出部74における処理を示す。検出部74は、第1情報と第2情報を取得する(S100)。ここで、検出部74において受けつけた第1情報の数が「N」であり、第2情報の数が「SN」であるとする。検出部74は一致フラグの初期化としてFLG=0を設定する(S102)。FLG=0は、第2情報が第1情報に対応しない場合を示す。推定開始時刻SKT(SN)から一定時間範囲内に開始時刻KT(N)があり(S104のY)、推定代表座標SXY(SN)から一定距離範囲内に代表座標XY(N)があり(S106のY)、推定手待ち荷待ち時間STT(SN)と、手待ち時間TT(N)+荷役時間NT(N)の差が一定以下である場合(S108のY)、検出部74はFLG=1を設定する(S110)。FLG=1は、第2情報の1つが第1情報に対応している場合に相当する。
推定開始時刻SKT(SN)から一定時間範囲内に開始時刻KT(N)がない場合(S104のN)、あるいは推定代表座標SXY(SN)から一定距離範囲内に代表座標XY(N)がない場合(S106のN)、あるいは推定手待ち荷待ち時間STT(SN)と、手待ち時間TT(N)+荷役時間NT(N)の差が一定以下でない場合(S108のN)、第1情報の残りがあれば(S112のY)、ステップ104に戻る。第1情報の残りがなければ(S112のN)、ステップ114に進む。
FLAG=0である場合(S114のY)、検出部74は「第2情報」(SN)を「未入力情報」(MN)として記録する(S116)。その際、推定代表座標SXY(SN)は未入力代表座標MXY(MN)とされ、推定手待ち荷待ち時間STT(SN)は未入力手待ち時間MTT(MN)とされ、推定開始時刻SKT(SN)は未入力開始時刻MKT(MN)とされ、属性情報ZK(SN)は未入力属性情報MZK(MN)とされる。FLG=0でなければ(S114のN)、ステップ118に進む。第2情報の残りがあれば(S118のY)、ステップ102に戻る。第2情報の残りがなければ(S118のN)、検出部74は未入力情報を出力する(S120)。つまり、検出部74は、第2情報における区間情報と、第2情報における滞在時間情報の少なくとも1つが第1情報に非対応である場合に、第1情報の入力漏れを検出する。検出部74は、第1情報の入力漏れである「未入力情報」(MN)を集計部76に出力する。
本実施例によれば、ユーザ入力による第1情報と、分析装置が特定した第2情報とを比較して第1情報の入力漏れを検出するので、入力されていない第1情報を特定できる。また、第2情報が第1情報に非対応である場合に第1情報の入力漏れを検出するので、処理を簡易にできる。また、第2情報が第1情報に非対応である場合に第1情報の入力漏れを検出するので、検出の精度を向上できる。また、運転者別もしくは事業所別で第1情報の入力漏れを集計するので、結果を分かりやすく知らせることができる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の分析装置は、荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得する取得部と、取得部において取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定する特定部と、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出する導出部と、導出部において導出した滞在時間情報を出力する出力部と、を備える。
この態様によると、走行軌跡情報の所定区間が第1区間と第2区間とを含むことを特定し、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出するので、配送業務における待ち時間を簡易に導出できる。
特定部は、所定区間における走行軌跡情報から、車両の累積の方位変化量が所定の累積方位しきい値以上となる区間を第1区間として特定し、所定区間における走行軌跡情報から、車両の移動時間が所定の移動時間しきい値以上となる区間を第2区間として特定してもよい。この場合、車両の累積の方位変化量をもとに第1区間を特定し、車両の移動時間をもとに第2区間を特定するので、第1区間と第2区間の特定精度を向上できる。
導出部は、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間を代表する地点の代表地点情報を導出し、出力部は、導出部において導出した代表地点情報も出力してもよい。この場合、代表地点情報を導出するので、待ち時間が発生している場所を推定できる。
導出部において導出した滞在時間情報と代表地点情報とを記録する記録部と、記録部において記録した代表地点情報ごとに、滞在時間情報を集計する処理部と、をさらに備えてもよい。出力部は、処理部において集計した滞在時間情報を出力してもよい。この場合、代表地点情報ごとに滞在時間情報を集計して出力するので、待ち時間が発生している場所の認識を容易にできる。
出力部において出力した情報を表示する表示部をさらに備え、表示部は、代表地点情報に対応する滞在時間情報を地図上に表示させてもよい。この場合、代表地点情報に対応する滞在時間情報を地図上に表示させるので、待ち時間が発生している場所の認識を容易にできる。
手待ち状態と荷役状態に関する第1情報がユーザによって入力される情報端末から、第1情報を受けつける受付部と、特定部において第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間に関する区間情報と、導出部において導出した滞在時間情報の少なくとも1つを含む第2情報と、受付部において受けつけた第1情報とを比較し、第1情報の入力漏れを検出する検出部とをさらに備えてもよい。出力部は、検出部において検出した第1情報の入力漏れを出力してもよい。この場合、第1情報と第2情報とを比較して第1情報の入力漏れを検出するので、入力されていない第1情報を特定できる。
検出部は、第2情報における区間情報と、第2情報における滞在時間情報の少なくとも1つが第1情報に非対応である場合に、第1情報の入力漏れを検出してもよい。この場合、第2情報が第1情報に非対応である場合に第1情報の入力漏れを検出するので、処理を簡易にできる。
受付部は、情報端末に第1情報を入力したユーザの属性情報も受けつけ、本分析装置はさらに、受付部において受けつけたユーザの属性情報をもとに、検出部において検出した第1情報の入力漏れを集計する集計部を備えてもよい。出力部は、検出部において検出した第1情報の入力漏れとして、集計部の集計結果を出力してもよい。この場合、ユーザの属性情報をもとに第1情報の入力漏れを集計するので、結果を分かりやすく知らせることができる。
取得部は、情報端末から走行軌跡情報を取得してもよい。この場合、情報端末からの情報だけで処理を実行できる。
本発明の別の態様は、分析方法である。この方法は、荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得するステップと、取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定するステップと、第1区間と第2区間とを含むと特定した所定区間における車両の滞在時間情報を導出するステップと、導出した滞在時間情報を出力するステップと、を備える。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例1、2において、導出部54は、「手待ち時間と荷役の時間」の合計時間を導出している。しかしながらこれに限らず例えば、導出部54は、合計時間から標準荷役時間を減算することによって、手待ち時間を導出してもよい。標準荷役時間は事業者別によって設定される標準的な荷役時間を示し、車両14の大きさ、積荷の種類、量・荷姿などでパターン化された値であってもよい。標準荷役時間は標準作業時間とも呼ばれる。この場合、これに続く処理において、これまでの合計時間の代わりに手待ち時間が使用される。本変形例によれば、合計時間から標準荷役時間を減算することによって手待ち時間を導出するので、手待ち時間だけを分析に利用できる。
本実施例2において、取得部50は、プローブ情報配信装置30と通信することによって、端末装置10からの走行軌跡情報を受けつける。しかしながらこれに限らず例えば、取得部50は、情報端末70から走行軌跡情報を取得してもよい。このような走行軌跡情報に対して、特定部52から出力部59はこれまでと同様の処理を実行すればよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。また、情報端末70からの情報だけで処理を実行できる。
10 端末装置、 12 基地局装置、 14 車両、 16 通信エリア、 20 物流拠点、 22 倉庫、 30 プローブ情報配信装置、 40 分析装置、 50 取得部、 52 特定部、 54 導出部、 56 記録部、 58 処理部、 59 出力部、60 表示装置、 100 通信システム、150 手待ち時間分析システム。
Claims (9)
- 荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得する取得部と、
前記取得部において取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、前記車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、前記車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定する特定部と、
前記特定部において前記第1区間と前記第2区間とを含むと特定した前記所定区間における前記車両の滞在時間情報を導出する導出部と、
前記導出部において導出した滞在時間情報を出力する出力部と、
を備える分析装置。 - 前記特定部は、前記所定区間における走行軌跡情報から、前記車両の累積の方位変化量が所定の累積方位しきい値以上となる区間を前記第1区間として特定し、前記所定区間における走行軌跡情報から、前記車両の移動時間が所定の移動時間しきい値以上となる区間を前記第2区間として特定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
- 前記導出部は、前記特定部において前記第1区間と前記第2区間とを含むと特定した前記所定区間を代表する地点の代表地点情報を導出し、
前記出力部は、前記導出部において導出した代表地点情報も出力することを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。 - 前記導出部において導出した滞在時間情報と代表地点情報とを記録する記録部と、
前記記録部において記録した代表地点情報ごとに、滞在時間情報を集計する処理部と、
をさらに備え、
前記出力部は、前記処理部において集計した滞在時間情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の分析装置。 - 前記出力部において出力した情報を表示する表示部をさらに備え、
前記表示部は、代表地点情報に対応する滞在時間情報を地図上に表示させることを特徴とする請求項3または4に記載の分析装置。 - 手待ち状態と荷役状態に関する第1情報がユーザによって入力される情報端末から、当該第1情報を受けつける受付部と、
前記特定部において前記第1区間と前記第2区間とを含むと特定した前記所定区間に関する区間情報と、前記導出部において導出した滞在時間情報の少なくとも1つを含む第2情報と、前記受付部において受けつけた第1情報とを比較し、第1情報の入力漏れを検出する検出部とをさらに備え、
前記出力部は、前記検出部において検出した第1情報の入力漏れを出力することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分析装置。 - 前記検出部は、第2情報における区間情報と、第2情報における滞在時間情報の少なくとも1つが第1情報に非対応である場合に、第1情報の入力漏れを検出することを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
- 前記受付部は、前記情報端末に第1情報を入力したユーザの属性情報も受けつけ、
本分析装置はさらに、
前記受付部において受けつけたユーザの属性情報をもとに、前記検出部において検出した第1情報の入力漏れを集計する集計部を備え、
前記出力部は、前記検出部において検出した第1情報の入力漏れとして、前記集計部の集計結果を出力することを特徴とする請求項6または7に記載の分析装置。 - 荷物を集配する車両の走行軌跡が示された走行軌跡情報を取得するステップと、
取得した走行軌跡情報のうち、所定区間における走行軌跡情報から、当該所定区間が、前記車両が作業を実行するまでの手待ち状態に対応する第1区間と、前記車両が作業を実行する荷役状態に対応する第2区間とを含むことを特定するステップと、
前記第1区間と前記第2区間とを含むと特定した前記所定区間における前記車両の滞在時間情報を導出するステップと、
導出した滞在時間情報を出力するステップと、
を備える分析方法。
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Cited By (1)
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CN115456485A (zh) * | 2022-11-09 | 2022-12-09 | 湖南省交通科学研究院有限公司 | 基于货车行驶轨迹的典型行业物流分析方法及系统 |
-
2018
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