JP2019027963A - ガス分析装置およびガス分析方法 - Google Patents

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充泰 岡田
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Abstract

【課題】広範な濃度範囲で水分濃度を測定することを可能とする。【解決手段】測定対象空間中に存在する水分子のガス濃度を分析するガス分析装置であって、ガス分析装置は、水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されたレーザ光を測定対象空間に向けて出射する発光部と、測定対象空間中を通過したレーザ光を受光して、受光強度に応じた検出信号を出力する受光部と、受光部によって出力された検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得する取得部と、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分子のガス濃度への変換式を変更する処理部と、変換式によって水分子のガス濃度を算出する算出部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス分析装置およびガス分析方法に関する。
レーザ吸収分光法を利用してガス中の水分濃度を測定するガス分析装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6044136号公報
[特許文献2] 特開2015−194383号公報
ガス分析装置においては、広範な濃度範囲で水分濃度を測定することができることが好ましい。
本発明の第1の態様においては、ガス分析装置を提供する。ガス分析装置は、測定対象空間中に存在する水分子のガス濃度を分析してよい。ガス分析装置は、発光部を備えてよい。発光部は、レーザ光を測定対象空間に向けて出射してよい。レーザ光は、水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されてよい。ガス分析装置は、受光部を備えてよい。受光部は、測定対象空間中を通過したレーザ光を受光してよい。受光部は、受光強度に応じた検出信号を出力してよい。ガス分析装置は、取得部を備えてよい。取得部は、受光部によって出力された検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得してよい。ガス分析装置は、処理部を備えてよい。処理部は、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分子のガス濃度への変換式を変更してよい。ガス分析装置は、算出部を備えてよい。算出部は、変換式によって水分子のガス濃度を算出してよい。
取得部は、受光部から出力された検出信号に対し、レーザ光における変調周波数の2倍の周波数でロックイン検出することによって、光吸収データの波形を得てよい。
処理部は、光吸収データの波形において極大値を示す波長に応じて、変換式を変更してよい。
処理部は、第1波長および第2波長を取得してよい。第1波長は、光吸収データの波形において第1の極大値を示す波長であってよい。第2波長は、光吸収データの波形において第2の極大値を示す波長であってよい。処理部は、第1波長と第2波長との間の波長幅に応じて、変換式を変更してよい。
処理部は、極大値波長および極小値波長を取得してよい。極大値波長は、光吸収データの波形において極大値を示す波長であってよい。極小値波長は、光吸収データの波形において極小値を示す波長であってよい。処理部は、極大値波長と極小値波長との間の波長幅に応じて、変換式を変換してよい。
算出部は、光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。処理部は、光吸収データの波形に基づいて、差分とガス濃度との関係を示す検量線を変更してよい。
算出部は、光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。処理部は、光吸収データの波形に基づいて、面積とガス濃度との関係を示す検量線を変更してよい。
算出部は、変換式として、第1変換式および第2変換式を実行可能であってよい。第1変換式は、光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。第2変換式は、光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。処理部は、光吸収データの波形に基づいて、算出部が実行する変換式として第1変換式と第2変換式とを切り替えてよい。
算出部は、変換式として、第1変換式および第2変換式を実行可能であってよい。第1変換式は、光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。第2変換式は、光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出してよい。処理部は、波長幅が第1閾値未満である場合には、算出部が実行する変換式を第1変換式に切り替えてよい。処理部は、波長幅が第1閾値以上であって第2閾値未満である場合には、算出部が実行する変換式を第2変換式に切り替えてよい。処理部は、波長幅が第2閾値以上である場合には、算出部が実行する変換式を第1変換式に切り替えてよい。
処理部は、探索部を有してよい。探索部は、光吸収データの波形の極小値を探索してよい。処理部は、分割部を有してよい。分割部は、第1領域と第2領域とに光吸収データの波形を分割してよい。第1領域は、極小値を示す極小値波長を基準として波長が極小値波長以下の領域であってよい。第2領域は、波長が極小値波長より長い領域であってよい。処理部は、波長取得部を有してよい。波長取得部は、第1波長および第2波長を取得してよい。第1波長は、第1領域において第1の極大値を示す波長であってよい。第2波長は、第2領域において第2の極大値を示す波長であってよい。処理部は、波長幅算出部を有してよい。波長幅算出部は、第1波長と第2波長との間の波長幅を算出してよい。算出部は、基準線算出部を有してよい。基準線算出部は、基準線を算出してよい。基準線は、光吸収データの波形の最大値と光吸収データの波形の極小値との間の値を示してよい。算出部は、面積算出部を有してよい。面積算出部は、基準線と光吸収データとによって囲まれる面積を光吸収データの波形の面積として算出してよい。
本発明の第2の態様においては、ガス分析方法を提供する。ガス分析方法は、測定対象空間中に存在する水分子のガス濃度を分析してよい。ガス分析方法は、レーザ光を測定対象空間に向けて出射する段階を備えてよい。レーザ光は、水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されてよい。ガス分析方法は、測定対象空間中を通過したレーザ光を受光する段階を備えてよい。ガス分析方法は、レーザ光の受光強度に応じた検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得する段階を備えてよい。ガス分析方法は、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分子のガス濃度への変換式を変更する段階を備えてよい。ガス分析方法は、変換式によって水分子のガス濃度を算出する段階を備えてよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の第1実施形態におけるガス分析装置100の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態におけるガス分析装置100の取得部50の構成例を示す図である。 差分法によるガス濃度の測定原理を示す図である。 第1実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部70の一例を示す図である。 水分濃度35vol%以下の場合における水分濃度に応じた光吸収データの波形の変化を示す図である。 水分濃度40vol%以上の場合における水分濃度に応じた光吸収データの波形の変化を示す図である。 差分値と水分濃度との関係を示す検量線の一例を示す図である。 第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の他の例を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の他の例を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部170の一例を示す図である。 面積法によるガス濃度の測定原理を示す図である。 面積と水分濃度との関係を示す検量線の一例を示す図である。 第2実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。 第3実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部270の一例を示す図である。 第3実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の第1実施形態におけるガス分析装置100の概略構成を示す断面図である。ガス分析装置100は、煙道10内を流れるガス中に含まれる対象ガス濃度を測定する。本例では、ガス分析装置100は、水分子のガス濃度を分析する。水分子のガス濃度を水分濃度と称する。本例の水分子は、気体、すなわち水蒸気の形態である。したがって、水分濃度は、水蒸気濃度を意味する。ガス分析装置100は、水分濃度に加えて、他の測定対象ガス成分の濃度を測定してよい。
ガス分析装置100は、レーザ光照射を用いたガス濃度測定装置であってよく、その測定方式は限定されない。例えば、照射したレーザ光2の光吸収を利用した、波長可変半導体レーザ光吸収分光法(TDLAS法)が測定方式として採用される。
図1において、煙道10は、ガスを流す流路を形成する。本例では、煙道10の内部空間が測定対象空間11である。煙道10は、ボイラまたは燃焼炉から排出されるガスの流路であってよい。ボイラまたは燃焼炉は、石炭、重油、またはごみを燃焼してよい。但し、煙道10は、ガス流路に限られない。本明細書における煙道10は、測定対象ガスが流れる内部空間を含む機器であればよく、容器、煙突、排気ダクト、脱硝装置、化学プラント設備、鉄鋼プラント設備、および加熱炉等の各種機器であってよい。煙道10の内壁は、高温に耐えるようにアルミナ等で形成されてよい。
本例において、ガス分析装置100は、発光側フランジ部20、受光側フランジ部22、発光部30、受光部40、取得部50、処理部60、算出部70、発光側角度調整部80、および受光側角度調整部82を備える。発光側角度調整部80および受光側角度調整部82は、省略されてもよい。
発光側フランジ部20が、煙道10の壁部12に設けられた開口14に通ずるように壁部12に固定される。一方、受光側フランジ部22は、煙道10を挟んで発光側フランジ部20に対向する位置において壁部12に設けられた開口に通ずるように壁部12に固定される。発光側フランジ部20および受光側フランジ部22は、例えば、煙道の壁部12に溶接等によって固定されている。発光側フランジ部20および受光側フランジ部22は、ステンレス等の金属材料によって形成されてよい。
発光側フランジ部20には、発光側角度調整部80の一端が接続されてよい。発光側角度調整部80は、管の形状をしており、煙道10に対する当該管の角度を調整可能に構成されている。本例においては、発光側角度調整部80の他端には、発光部30が取り付けられる。一方、受光側フランジ部22には、受光側角度調整部82の一端が接続されてよい。受光側角度調整部82は、発光側角度調整部80と同様の構成を有してよい。受光側角度調整部82の他端には、受光部40が設けられる。
発光部30は、煙道10の壁部12の開口14を通じて、測定対象空間11に向けてレーザ光2を出射する。発光部30は、少なくとも一つのレーザ発光素子32を備える。発光部30は、レーザ発光素子32を駆動する駆動部34を備える。レーザ光2は、水分子の光吸収波長である1.3μmを含む波長帯域において、波長が掃引(スキャン)かつ変調されてよい。具体的には、レーザ発光素子32に供給される駆動電流が大きくなると、レーザ光2の発光波長が長くなる。したがって、駆動部34が、レーザ発光素子32へ供給する駆動電流を制御して、レーザ光2の波長を掃引(スキャン)かつ変調する。
具体的には、駆動部34は、一定の信号レベルの範囲において徐々に増加または減少する掃引信号と、変調周波数fの正弦波変調信号とを重畳した駆動信号を生成してよい。一例において、変調周波数fは、10kHz程度であってよい。そして、駆動部34は、駆動信号をV−I変換した駆動電流をレーザ発光素子32に供給する。これにより、波長が掃引かつ変調されたレーザ光2が出射される。
発光部30は、出射管37を備えてよい。出射管37の端部には、発光側窓部38が設けられている。発光側窓部38は、出射管37の開口を塞ぐように設けられてよい。出射管37の端部が発光側角度調整部80に接続されてよい。受光部40は、受光素子42を備えてよい。受光素子42は、測定対象空間11中を通過したレーザ光2を受光する。受光素子42は、水分子の光吸収波長である1.3μmを含む波長帯域において受光感度を有する。受光素子42は、受光強度に応じた検出信号を出力する。
取得部50は、受光部40によって出力された検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得する。取得部50は、受光素子42に接続された受光回路であってよい。取得部50は、信号線110によって発光部30と電気的に接続されてよい。本例では、受光素子42および取得部50は、同じ筐体内に設けられている。受光部40が設けられている筐体は、入射管44を備えてよい。入射管44の端部には、受光側窓部46が設けられている。受光側窓部46は、入射管44の開口を塞ぐように設けられてよい。
本例では、入射管44の端部は、受光側角度調整部82に連結される。本例と異なり、発光側角度調整部80および受光側角度調整部82が省略される場合には、出射管37の端部は、発光側フランジ部20に連結されてよく、入射管44の端部は受光側フランジ部22に連結されてよい。なお、ガス分析装置100が、水分濃度のみならず、他のガス成分の濃度についても分析する場合には、他のガス成分の吸収波長を含むようにレーザ光2の波長が掃引かつ変調されてよい。また、ガス分析装置100は、互いに発光波長が異なる複数の発光素子からの複数のレーザ光2を用いて、複数種類の測定対象ガスの濃度を測定してもよい。
処理部60は、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分濃度への変換式を変更する。「変換式」とは、光吸収データから水分濃度に変換できる関係を示すものであればよい。変換式は、式として与えられてもよく、変換テーブルとして与えられてもよい。変換式は、予めガス分析装置100内に格納されていてよい。
算出部70は、処理部60が変更した変換式によって、水分濃度を算出する。本例では、処理部60は、水分濃度に応じて光吸収データの波形が変化するのに応じて、変換式を変更する。そして、算出部70は、水分濃度に応じて変更された変換式を用いて、水分濃度を算出する。したがって、ガス分析装置100は、広範な水分濃度の領域において、正確に水分濃度を測定することができる。
図2は、第1実施形態におけるガス分析装置100の取得部50の構成例を示す図である。取得部50は、受光部40から出力された検出信号に対し、レーザ光2における変調周波数fの2倍の周波数でロックイン検出することによって、光吸収データの波形を得てよい。取得部50は、I/V変換部51、ロックインアンプ部52、参照信号発生部54、フィルタ部56、およびAD変換部58を有してよい。
I/V変換部51は、受光素子42からの電流信号として与えられる検出信号を電圧信号に変換する、電圧信号は、ロックインアンプ部52に入力されてよい。参照信号発生部54は、レーザ光2における変調周波数fの2倍の周波数の信号を参照信号としてロックインアンプ部52へ出力する。ロックインアンプ部52では、変調周波数fの2倍の周波数の周波数成分の振幅のみを取り出す。これにより、ロックインアンプ部52によって得られた信号は、必要に応じてフィルタ部56においてノイズが除去されてよい。得られた信号は、必要に応じてAD変換部58によってアナログ・デジタル変換されてよい。このようにして得られた信号は、測定対象空間11中における水分子による光吸収を反映している。但し、取得部50の回路構成は、図2に示される場合に限られない。
図3は、差分法によるガス濃度の測定原理を示す図である。差分法は、光吸収データの極大値と極小値との間の差分に基づいてガス濃度を測定する方法である。図3は、波長変調方式を用いて取得部50によって得られた光吸収データの波形を示している。本例では、光吸収データの波形は、2倍の周波数(2f)の信号の波形(2倍波信号)を示している。図3の縦軸は、2倍波信号の信号レベルを示す。図3の横軸は、レーザ光2の波長を意味する。本例においては、レーザ光2の波長が時間に応じて掃引されるので、図3の横軸は、時間(掃引時間)に対応する。
光吸収データの波形は、極小値波長λbにおいて、信号レベルの極小値を示す。極小値は、ボトムBと称される。光吸収データの波形は、極小値波長λbを基準として、第1領域と第2領域とに分割される。第1領域は、波長が極小値波長λb以下の領域である。第2領域は、波長が極小値波長λbより長い領域である。光吸収データの波形は、第1領域において、信号レベルの第1極大値を示し、第2領域において、信号レベルの第2極大値を示す。第1極大値は、第1ピークP1と称され、第2極大値は、第2ピークP2と称される。第1極大値は、第1領域における極大値を意味し、第2極大値は第2領域における極大値を意味する。
第1ピークP1を示す波長は、第1波長λp1と称される。第2ピークP2を示す波長は、第2波長λp2と称される。第1波長λp1および第2波長λp2は、それぞれ極大値波長である。図3に示されるとおり、第1波長λp1と第2波長λp2との間の波長幅がW1である。極大値波長(例えば、第1波長λp1)と極小値波長λbとの間の波長幅がW2である。
第1ピークP1と第2ピークP2のうちで大きな値を示すピークが、最大値を意味する。図3に示される例では、第1ピークP1が、第2ピークP2より大きい。したがって、第1ピークP1が最大値である。本例において、算出部70は、光吸収データの波形の極大値と極小値との差分Dに基づいて水分濃度を算出する。具体的には、算出部70は、光吸収データの波形の第1ピークP1とボトムBとの高低差である差分Dに基づいて水分濃度を算出してよい。
波長変調方式で得られた測定対象ガスの2倍波信号において、信号波形の極大値と極小値との差分Dは、ランベルト・ベール則によれば、測定対象ガスの濃度に比例する。すなわち、測定対象ガスの濃度が高くなるにしたがって、差分Dが増加する。塩化水素(HCl)、アンモニア(NH)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、および酸素(O)等の測定対象ガスは、ランベルト・ベール則を満たす。
しかしながら、測定対象ガスが水分子(HO)の場合には、特定の水分濃度以上では、水分濃度が高くなるにしたがって、差分Dが減少する。したがって、差分Dの測定結果から、一意的に水分濃度を検出することが困難である。一方、水分濃度に応じて、光吸収データの波形が変化する。具体的には、水分濃度に応じて、波長幅W1、波長幅W2、第1波長λp1、および第2波長λp2が変化し得る。したがって、処理部60は、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分濃度への変換式を変更する。算出部70は、水分濃度に応じて適切に変更された変換式を用いて、水分濃度を算出する。
図4は、第1実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部70の一例を示す図である。処理部60は、探索部61、分割部62、波長取得部64、波長幅算出部66、変換式変更部68を備えてよい。算出部70は、差分算出部71および検量線参照部72を備えてよい。処理部60および算出部70は、マイクロコンピュータ等の演算素子の各機能として実現されてよい。処理部60は、光吸収データを取得する。光吸収データは、波長変調方式で得られた測定対象ガスの2倍波信号であってよい。
探索部61は、光吸収データの波形の極小値、すなわちボトムBを探索する。分割部62は、光吸収データの波形を第1領域と第2領域とに分割する。図3に説明したとおり、第1領域は、波長が極小値波長λb以下の領域である。第2領域は、波長が極小値波長λbより長い領域である。波長取得部64は、第1波長λp1と第2波長λp2とを取得する。第1波長λp1は、第1領域において第1の極大値を示す波長であり、第2波長λp2は、第2領域において第2の極大値を示す波長である。波長幅算出部66は、第1波長λp1と第2波長λp2との間の波長幅W1を算出する。変換式変更部68は、波長幅W1に応じて、変換式を変更する。
差分算出部71は、光吸収データの波形の極大値と極小値の差分、すなわちピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを算出する。検量線参照部72は、差分Dと水分濃度との関係を示す検量線を参照して、差分Dに対応する水分濃度を算出する。本例においては、変換式変更部68は、波長幅W1に応じて、検量線を変更する。したがって、検量線参照部72は、波長幅W1に応じて変更された検量線を参照して、差分Dに対応する水分濃度を算出する。
図5は、水分濃度35vol%以下の場合における水分濃度に応じた光吸収データの波形の変化を示す図である。図5は、水分濃度を0vol%から、5vol%間隔で35vol%まで増加させた場合における光吸収データの波形を示す。水分濃度が15vol%までは、水分濃度が高くなるにつれて線形に差分Dが増加する。水分濃度が15vol%を超えると、水分濃度が高くなった場合の差分Dの増加率が減少する。
水分濃度が30vol%のときの波形と、水分濃度が35vol%のときの波形とを比較してわかるように、水分濃度が30vol%を超えると、水分濃度が高くなるにつれて、差分Dが減少する。また、水分濃度が30vol%を超えると、水分濃度が高くなるにつれて、波長幅W1が広がる。図6は、水分濃度40vol%以上の場合における水分濃度に応じた光吸収データの波形の変化を示す図である。水分濃度が40vol%から増加するにつれて、差分Dが減少する。そして、水分濃度が高くなるにつれて、波長幅W1が広がる。
図7は、差分値と水分濃度との関係を示す検量線の一例を示す図である。図7は、図5および図6における水分濃度と差分Dとの関係を示す。図7において、縦軸は、極大値と極小値との差分D(任意単位)を示す。横軸は、水分濃度(vol%)を示す。図7において黒三角は、水蒸気を含むガス温度が230℃である場合を示している。黒四角は、水蒸気を含むガス温度が140℃である場合を示している。
一例として、水蒸気を含むガス温度が230℃である場合(黒三角)を参照すると、水分濃度が30vol%までは、水分濃度が高くなるにつれて、差分Dが増加する。一方、水分濃度が30vol%を超えると、水分濃度が高くなるにつれて、差分Dが減少する。したがって、例えば、図7において、差分Dが60(任意単位)を示す水分濃度としては、15vol%である場合と、52vol%である場合とが考えられる。それゆえ、差分Dからだけでは、水分濃度、すなわち、水分子の濃度を一意的に決定できない。
しかしながら、本例の処理部60によれば、光吸収データの波形に基づいて、差分Dと水分濃度との関係を示す検量線を変更する。具体的には、波長幅W1が閾値以下である場合には、変換式変更部68は、検量線を低水分量に対応する第1検量線4に変更する。波長幅W1が閾値より大きい場合には、変換式変更部68は、検量線を高水分量に対応する第2検量線5に変更する。したがって、算出部70は、波長幅W1が閾値以下の場合には、差分Dを第1検量線4と照合して水分濃度を算出する。一方、算出部70は、波長幅W1が閾値より大きい場合には、差分Dを第2検量線5と照合して水分濃度を算出する。すなわち、算出部70は、変更された検量線を用いて、差分Dに基づいて水分濃度を算出することができる。
図8は、第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。図8は、測定対象空間11中に存在する水分濃度を分析するガス分析方法の一例を説明する。発光部30は、レーザ光2を測定対象空間11に向けて出射する(ステップS101)。レーザ光2は、水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調される。
受光部40は、測定対象空間11中を通過したレーザ光2を受光する(ステップS102)。取得部50は、レーザ光2の受光強度に応じた検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得する(ステップS103)。処理部60は、第1ピークP1と第2ピークP2との間の波長幅W1を算出する(ステップS104)。そして、処理部60は、波長幅W1が閾値以下か否かを判断する(ステップS105)。
波長幅W1が閾値以下である場合には(ステップS105:YES)、処理部60は、検量線を低水分量に対応する第1検量線4に変更する(ステップS106)。一方、波長幅W1が閾値より大きい場合には(ステップS105:NO)、処理部60は、検量線を高水分量に対応する第2検量線5に変更する(ステップS107)。以上のように、処理部60は、波長幅W1に応じて、検量線を切り替えることによって、変換式を変更する。
波長幅W1が閾値以下の場合には(ステップS105:YES)、算出部70は、ピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを第1検量線4と照合して水分濃度を算出する(ステップS106、ステップS108)。一方、波長幅W1が閾値より大きい場合には(ステップS105:NO)、算出部70は、差分Dを第2検量線5と照合して水分濃度を算出することができる(ステップS107、ステップS108)。すなわち、算出部70は、変更された検量線を用いて、差分Dに基づいて水分濃度を算出することができる。
以上の図8において、ステップS101は、水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されたレーザ光2を測定対象空間11に向けて出射する段階に対応する。ステップS102は、測定対象空間11中を通過したレーザ光2を受光する段階に対応する。ステップS103は、レーザ光2の受光強度に応じた検出信号に基づいて、水分子による光吸収データの波形を取得する段階に対応する。ステップS104からステップS107は、光吸収データの波形に基づいて、光吸収データから水分子のガス濃度への変換式を変更する段階に対応する。ステップS108は、変換式によって水分子のガス濃度を算出する段階に対応する。
以上のように、本実施形態のガス分析装置100によれば、広範な濃度範囲で水分濃度を測定することができる。更に、図5および図6に示されるとおり、波長幅W1は、水分濃度が高くなるにつれて、差分Dが増加傾向から減少傾向に転じる水分濃度(本例では、30vol%)において広がる。したがって、処理部60が波長幅W1に応じて検量線を適切に切り替えることが可能である。このように検量線を切り替えることによって、広範な濃度範囲において水分濃度を一意的に決定することができる。
図9は、第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の他の例を示すフローチャートである。図9に示される処理内容は、ステップS204およびステップS205の処理を除いて、図8に示される処理内容と同様である。したがって、繰り返しの説明は省略される。
図8に示される処理においては、光吸収データの波形において第1の極大値を示す第1波長λp1と、第2の極大値を示す第2波長λp2とを取得し、第1波長λp1と第2波長λp2との間の波長幅W1に応じて、変換式を変更する場合を説明した。しかしながら、第1実施形態のガス分析装置100は、この場合に限られない。図9に示される処理においては、処理部60は、極大値波長(例えば、第1波長λp1)と極小値波長λbとを取得し、極大値波長(例えば、第1波長λp1)と極小値波長λbとの間の波長幅W2に応じて、変換式を変換する。図9に示されるとおり、処理部60の波長幅算出部66は、波長幅W1を算出する代わりに、波長幅W2を算出してよい(ステップS204)。
図5および図6において示されるとおり、水分濃度が特定の濃度より高くなると、波長幅W1のみならず、波長幅W2も広がる。したがって、処理部60は、波長幅W2に応じて、変換式、例えば検量線を変更する。
具体的には、処理部60は、極大値波長(例えば、第1波長λp1)と極小値波長λbとの間の波長幅W2を算出する(ステップS204)。波長幅W2が閾値以下である場合には(ステップS205:YES)、処理部60は、検量線を低水分量に対応する第1検量線4に変更する(ステップS206)。一方、波長幅W2が閾値より大きい場合には(ステップS205:NO)、処理部60は、検量線を高水分量に対応する第2検量線5に変更する(ステップS207)。図9に示される処理によっても、広範な濃度範囲で水分濃度を測定することができる。
図10は、第1実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の他の例を示すフローチャートである。図10に示される処理内容は、ステップS304およびステップS305の処理を除いて、図8および図9に示される処理内容と同様である。したがって、繰り返しの説明は省略される。
図10に示される処理においては、処理部60は、光吸収データの波形において極大値を示す波長に応じて、変換式を変更する。極大値を示す波長は、第1ピークP1を示す第1波長λp1であってもよく、第2ピークP2を示す第2波長λp2であってもよい。図5および図6に示されるとおり、水分濃度が特定の濃度より高くなると、第1波長λp1は、短波長側にシフトし、第2波長λp2は、長波長側にシフトする。したがって、処理部60は、第1波長λp1または第2波長λp2に応じて、処理部60は、波長幅W2に応じて、変換式、例えば検量線を変更する。
図10は、ガス分析装置100が第1波長λp1に応じて検量線を変更する場合について例示する。処理部60は、第1ピークP1を示す第1波長λp1を取得する(ステップS304)。第1波長λp1が閾値以上の場合には(ステップS305:YES)、処理部60は、検量線を低水分量に対応する第1検量線4に変更する(ステップS306)。一方、第1波長λp1が閾値未満の場合には(ステップS305:NO)、処理部60は、検量線を高水分量に対応する第2検量線5に変更する(ステップS307)。図10に示される処理によっても、広範な濃度範囲で水分濃度を測定することができる。
図11は、第2実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部170の一例を示す図である。第2実施形態におけるガス分析装置100の概略構成は、算出部170の構成を除いて、図1に示された第1実施形態のガス分析装置100と同様である。したがって、繰り返しの説明は省略される。算出部170は、光吸収データの波形の面積に基づいて水分濃度を算出する。処理部60は、光吸収データの波形に基づいて、面積と水分濃度との関係を示す検量線を変更する。算出部170は、基準線算出部171、面積算出部172、および検量線参照部173を備えてよい。図12は、面積法によるガス濃度の測定原理を示す図である。面積法は、光吸収データの波形の面積に基づいてガス濃度を測定する方法である。
基準線算出部171は、光吸収データの波形の最大値(第1ピークP1)と極小値(ボトムB)との高低差である差分Dを算出する。基準線算出部171は、光吸収データの波形の最大値と光吸収データの波形の極小値との間の値を示す基準線6を算出する。具体的には、基準線算出部171は、差分Dの半値(D/2)を算出する。基準線算出部171は、光吸収データの波形の最大値(第1ピークP1)よりD/2低く、極小値(ボトムB)よりD/2だけ高い線分を基準線6として算出する。基準線6は、グラフの縦軸方向に光吸収データの波形を二分する。但し、基準線6は、D/2の場合に限れない。
面積算出部172は、基準線6と光吸収データとによって囲まれる面積を光吸収データの波形の面積として算出する。なお、面積は、所定の波長範囲であるλ1以上λ2以下の範囲において算出されてよい。図12においては、面積算出部172によって算出される面積部分がハッチングされている。検量線参照部173は、面積と水分濃度との関係を示す検量線を参照して、面積に対応する水分濃度を算出する。本例においては、変換式変更部68は、波長幅W1に応じて、検量線を変更する。したがって、検量線参照部173は、波長幅W1に応じて変更された検量線を参照して、面積に対応する水分濃度を算出する。
図13は、面積と水分濃度との関係を示す検量線の一例を示す図である。図13は、光吸収データの波形の面積と水分濃度との関係を示す。図13において、縦軸は、光吸収データの波形の面積の値(任意単位)を示す。横軸は、水分濃度(vol%)を示す。図13において黒三角は、水蒸気を含むガス温度が240℃である場合を示している。×印は、水蒸気を含むガス温度が173℃である場合を示している。
一例として、水蒸気を含むガス温度が240℃である場合(黒三角)を参照すると、水分濃度が45vol%までは、水分濃度が高くなるにつれて、面積が増加する。一方、水分濃度が45vol%を超えると、水分濃度が高くなるにつれて、面積が減少する。このように面積法によれば、差分法による場合に比べて、水分濃度が高い濃度範囲まで一意的に濃度を測定することができる。
本例の処理部60によれば、光吸収データの波形に基づいて、面積と水分濃度との関係を示す検量線を変更する。具体的には、波長幅W1が閾値以下である場合には、変換式変更部68は、検量線を低水分量に対応する第1検量線7に変更する。波長幅W1が閾値より大きい場合には、変換式変更部68は、検量線を高水分量に対応する第2検量線8に変更する。したがって、波長幅W1が閾値以下の場合には、算出部170は、面積を第1検量線7と照合して水分濃度を算出する。一方、波長幅W1が閾値より大きい場合には、算出部170は、面積を第2検量線8と照合して水分濃度を算出する。すなわち、算出部170は、変更された検量線を用いて、面積に基づいて水分濃度を算出することができる。
図14は、第2実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。ステップS401からステップS405の処理は、図8において説明した第1実施形態におけるステップS101からステップS105の処理と同様である。波長幅W1が閾値以下である場合には(ステップS405:YES)、処理部60は、面積と水分濃度との関係を示す検量線を低水分量に対応する第1検量線7に変更する(ステップS406)。一方、波長幅W1が閾値より大きい場合には(ステップS405:NO)、処理部60は、検量線を高水分量に対応する第2検量線8に変更する(ステップS407)。
波長幅W1が閾値以下の場合には(ステップS405:YES)、算出部170は、基準線6と光吸収データとによって囲まれる面積を第1検量線7と照合して水分濃度を算出する(ステップS406、ステップS408)。一方、波長幅W1が閾値より大きい場合には(ステップS405:NO)、算出部170は、面積を第2検量線8と照合して水分濃度を算出する(ステップS407、ステップS408)。すなわち、算出部170は、変更された検量線を用いて、面積に基づいて水分濃度を算出することができる。
図14に示される処理においては、ステップS404およびステップS405に示されるとおり、第1波長λp1と第2波長λp2との間の波長幅W1に基づいて、検量線を変更する場合を説明した。しかしながら、第2実施形態は、この場合に限られない。処理部60は、図9に示される処理と同様に、極大値波長(第1波長λp1)と極小値波長λbとの間の波長幅W2に基づいて、検量線を変更してもよい。また、処理部60は、図10に示される処理と同様に、光吸収データの波形において極大値を示す波長(λp1、λp2)に応じて、検量線を変更してもよい。以上のように、第2実施形態におけるガス分析装置100によっても、広範な濃度範囲で水分濃度を測定することができる。
図15は、第3実施形態におけるガス分析装置100の処理部60および算出部270の一例を示す図である。第3実施形態におけるガス分析装置100の概略構成は、算出部270の構成を除いて、図1に示された第1実施形態のガス分析装置100と同様である。したがって、繰り返しの説明は省略される。
算出部270は、水分濃度を算出するための変換式として、第1変換式と第2変換式とを実行可能である。第1変換式は、光吸収データの波形の極大値と極小値との差分Dに基づいて水分濃度を算出する。第2変換式は、光吸収データの波形の面積に基づいて水分濃度を算出する。算出部270は、第1変換式を実行する第1算出部280と、第2変換式を実行する第2算出部290を備える。第1算出部280は、差分算出部71および検量線参照部72を備えてよい。第1算出部280は、図4において示された算出部70と同様の構成を備えてよい。第2算出部290は、基準線算出部171、面積算出部172、および検量線参照部173を備えてよい。第2算出部290は、図11において示された算出部170と同様の構成を備えてよい。
処理部60の変換式変更部68は、光吸収データの波形に基づいて、算出部270が実行する変換式を第1変換式または第2変換式に切り替える。例えば、波長幅算出部66は、第1波長λp1と第2波長λp2との間の波長幅W1を算出する。変換式変更部68は、波長幅W1に応じて、第1変換式と第2変換式とを切り替える。すなわち、処理部60は、光吸収データの波形に基づいて、差分法および面積法という水分濃度の算出方式を変更してよい。さらに、変換式変更部68は、光吸収データの波形に基づいて、第1変換式における検量線および第2変換式における検量線についても変更してよい。
但し、処理部60は、第1変換式における検量線および第2変換式における検量線について変更することなく、光吸収データの波形に基づいて、差分法および面積法という水分濃度の算出方式を変更してよい。一例において、処理部60は、水分濃度が30vol%までは、図7に示される差分法を用いた第1変換式を採用し、水分濃度が30vol%超える範囲では、図13に示される面積法を用いた第2変換式を採用してもよい。
さらに、図7に示される第1変換式における第1検量線4および第2検量線5と、図13に示される第2変換式における第1検量線7および第2検量線8とを、光吸収データの波形に基づいて、切り替えてよい。例えば、図7に示されるとおり、水分濃度20%未満の場合には、差分法による第1変換式において第1検量線4を適用することにより、水分濃度vol%の変化に対する差分Dの変化が大きくなり、水分濃度の測定感度が高くなる。同様に、水分濃度40vol%以上の場合に、差分法による第1変換式において第2検量線5を適用することにより、水分濃度vol%の変化に対する差分Dの変化が大きくなり、水分濃度の測定感度が高くなる。
一方、水分濃度が20vol%以上40vol%以下の範囲においては、差分法による第1変換式においては、水分濃度vol%の変化に対して差分Dの変化が小さい。一方、図13に示されるとおり、水分濃度が20vol%以上40vol%以下の範囲においては、面積法による第2変換式の第1検量線7を適用することによって、水分濃度vol%の変化に対する面積の変化が大きくなる。したがって、測定感度が高くなる。水分濃度の程度は、光吸収データの波形、例えば 波長幅W1によって評価することができる。
本例において、水分濃度が20volの場合の波長幅W1が第1閾値であってよく、水分濃度が40volの場合の波長幅W1が第2閾値であってよい。この場合、処理部60は、波長幅W1を第1閾値および第2閾値と比較することで、変換式を切り替えてよい。図16は、第3実施形態におけるガス分析装置100による処理内容の一例を示すフローチャートである。取得部50は、光吸収データの波形を取得する(ステップS501)。処理部60は、第1ピークP1と第2ピークP2との間の波長幅W1を算出する(ステップS502)。処理部60は、波長幅W1が第1閾値未満か否かを判断する(ステップS503)。
波長幅W1が、第1閾値未満である場合には(ステップS503:YES)、処理部60は、ピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを用いる第1変換式において、検量線を低水分量に対応する第1検量線4に変更する(ステップS504)。算出部270において、第1算出部280は、ピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを第1検量線4と照合して水分濃度を算出する(ステップS505)。したがって、処理部60は、波長幅W1が第1閾値未満である場合には、算出部270が実行する変換式を第1変換式に切り替えるとともに、検量線を第1検量線4に変更する。
波長幅W1が、第1閾値以上であって(ステップS503:NO)かつ第2閾値未満である場合には(ステップS506:NO)、処理部60は、算出部270が実行する変換式を第2変換式に切り替える(ステップS507)。第2変換式は、光吸収データの波形の面積を用いる変換式である。なお、検量線は、低水分量に対応する第1検量線7(図13参照)であってよい。算出部270において、第2算出部290は、基準線6と光吸収データとによって囲まれる面積を、第1検量線7と照合して水分濃度を検出する(ステップS508)。
波長幅W1が、第2閾値以上である場には(ステップS506:YES)、処理部60は、ピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを用いる第1変換式において、検量線を高水分量に対応する第2検量線5に変更する(ステップS509)。算出部270において、第1算出部280は、ピーク(P1またはP2)とボトムBとの差分Dを第2検量線5と照合して水分濃度を算出する(ステップS505)。したがって、処理部60は、波長幅W1が第2閾値以上である場合には、算出部270が実行する変換式を第1変換式に切り替えるとともに、検量線を第2検量線5に変更する。
第3実施形態のガス分析装置100によれば、水分濃度に応じて変更された変換式を用いて、水分濃度を算出する。したがって、ガス分析装置100は、広範な水分濃度の領域において、正確に水分濃度を測定することができる。また、水分濃度(vol%)に応じて、差分法と面積法とのうちで、ガス濃度の測定感度が高い方法に切り替えることができるので、検出感度を高めることもできる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。各実施の形態として説明した構成は、互いに組み合わされてもよい。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
2・・レーザ光、4・・第1検量線、5・・第2検量線、6・・基準線、7・・第1検量線、8・・第2検量線、10・・煙道、11・・測定対象空間、12・・壁部、14・・開口、20・・発光側フランジ部、22・・受光側フランジ部、30・・発光部、32・・レーザ発光素子、34・・駆動部、37・・出射管、38・・発光側窓部、40・・受光部、42・・受光素子、44・・入射管、46・・受光側窓部、50・・取得部、51・・I/V変換部、52・・ロックインアンプ部、54・・参照信号発生部、56・・フィルタ部、58・・AD変換部、60・・処理部、61・・探索部、62・・分割部、64・・波長取得部、66・・波長幅算出部、68・・変換式変更部、70・・算出部、71・・差分算出部、72・・検量線参照部、80・・発光側角度調整部、82・・受光側角度調整部、100・・ガス分析装置、110・・信号線、170・・算出部、171・・基準線算出部、172・・面積算出部、173・・検量線参照部、270・・算出部、280・・第1算出部、290・・第2算出部

Claims (11)

  1. 測定対象空間中に存在する水分子のガス濃度を分析するガス分析装置であって、
    前記水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されたレーザ光を前記測定対象空間に向けて出射する発光部と、
    前記測定対象空間中を通過した前記レーザ光を受光して、受光強度に応じた検出信号を出力する受光部と、
    前記受光部によって出力された検出信号に基づいて、前記水分子による光吸収データの波形を取得する取得部と、
    前記光吸収データの波形に基づいて、前記光吸収データから前記水分子のガス濃度への変換式を変更する処理部と、
    前記変換式によって前記水分子のガス濃度を算出する算出部と、を備える
    ガス分析装置。
  2. 前記取得部は、前記受光部から出力された検出信号に対し、前記レーザ光における変調周波数の2倍の周波数でロックイン検出することによって、前記光吸収データの波形を得る
    請求項1に記載のガス分析装置。
  3. 前記処理部は、前記光吸収データの波形において極大値を示す波長に応じて、前記変換式を変更する
    請求項1または2に記載のガス分析装置。
  4. 前記処理部は、前記光吸収データの波形において第1の極大値を示す第1波長と、第2の極大値を示す第2波長とを取得し、前記第1波長と前記第2波長との間の波長幅に応じて、前記変換式を変更する
    請求項1または2に記載のガス分析装置。
  5. 前記処理部は、前記光吸収データの波形において極大値を示す極大値波長と、極小値を示す極小値波長とを取得し、前記極大値波長と前記極小値波長との間の波長幅に応じて、前記変換式を変換する
    請求項1または2に記載のガス分析装置。
  6. 前記算出部は、前記光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出し、
    前記処理部は、前記光吸収データの波形に基づいて、前記差分と前記ガス濃度との関係を示す検量線を変更する
    請求項1から5の何れか1項に記載のガス分析装置。
  7. 前記算出部は、前記光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出し、
    前記処理部は、前記光吸収データの波形に基づいて、前記面積と前記ガス濃度との関係を示す検量線を変更する
    請求項1から5の何れか1項に記載のガス分析装置。
  8. 前記算出部は、前記変換式として、前記光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出する第1変換式と、前記光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出する第2変換式とを実行可能であり、
    前記処理部は、前記光吸収データの波形に基づいて、前記算出部が実行する変換式として前記第1変換式と前記第2変換式とを切り替える
    請求項1から5の何れか1項に記載のガス分析装置。
  9. 前記算出部は、前記変換式として、前記光吸収データの波形の極大値と極小値との差分に基づいて水分子のガス濃度を算出する第1変換式と、前記光吸収データの波形の面積に基づいて水分子のガス濃度を算出する第2変換式とを実行可能であり、
    前記処理部は、前記波長幅が第1閾値未満である場合には、前記算出部が実行する変換式を前記第1変換式に切り替え、前記波長幅が第1閾値以上であって第2閾値未満である場合には、前記算出部が実行する変換式を前記第2変換式に切り替え、前記波長幅が第2閾値以上である場合には、前記算出部が実行する変換式を前記第1変換式に切り替える
    請求項4に記載のガス分析装置。
  10. 前記処理部は、
    前記光吸収データの波形の極小値を探索する探索部と、
    前記極小値を示す極小値波長を基準として波長が前記極小値波長以下の第1領域と、波長が前記極小値波長より長い第2領域とに前記光吸収データの波形を分割する分割部と、
    前記第1領域において第1の極大値を示す第1波長を取得するとともに前記第2領域において第2の極大値を示す第2波長を取得する波長取得部と、
    前記第1波長と前記第2波長との間の波長幅を算出する波長幅算出部と、を有し、
    前記算出部は、
    前記光吸収データの波形の最大値と前記光吸収データの波形の極小値との間の値を示す基準線を算出する基準線算出部と、
    前記基準線と前記光吸収データとによって囲まれる面積を前記光吸収データの波形の面積として算出する面積算出部と、を有する
    請求項7から9の何れか1項に記載のガス分析装置。
  11. 測定対象空間中に存在する水分子のガス濃度を分析するガス分析方法であって、
    前記水分子の光吸収波長を含む波長帯域において波長が掃引かつ変調されたレーザ光を前記測定対象空間に向けて出射する段階と、
    前記測定対象空間中を通過した前記レーザ光を受光する段階と、
    前記レーザ光の受光強度に応じた検出信号に基づいて、前記水分子による光吸収データの波形を取得する段階と、
    前記光吸収データの波形に基づいて、前記光吸収データから前記水分子のガス濃度への変換式を変更する段階と、
    前記変換式によって前記水分子のガス濃度を算出する段階と、を備える
    ガス分析方法。
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