以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
第一実施形態による蒸発燃料処理装置1を図1〜8に基づいて説明する。
蒸発燃料処理装置1の概念図を図1に示す。蒸発燃料処理装置1は、キャニスタ81、燃料蒸気漏れ検出部91、密閉弁82、及び、ECU83などから構成される。蒸発燃料処理装置1では、「内燃機関」としてのエンジン10に供給される燃料を貯留する燃料タンク84内で発生する蒸発燃料をキャニスタ81によって回収する。キャニスタ81に回収された蒸発燃料は、エンジン10に接続する「吸気系」としての吸気管16が形成する吸気通路161にパージされ、エンジン10における燃料の燃焼に利用される。
キャニスタ81は、燃料タンク84内で発生する蒸発燃料を回収するキャニスタ吸着材811を有する。キャニスタ81は、「蒸発燃料通路形成部材」としての第一パージ管11を介して燃料タンク84と接続している。第一パージ管11は、燃料タンク84内とキャニスタ81内とを連通する「蒸発燃料通路」としての第一パージ通路111を形成する。燃料タンク84内で発生する蒸発燃料は、第一パージ通路111を通りキャニスタ吸着材811に吸着されることによって回収される。
キャニスタ81は、第二パージ通路131を形成する第二パージ管13を介して吸気管16と接続する。第二パージ管13にはパージ弁14が設けられている。パージ弁14は電磁弁であり、ECU83と電気的に接続している。パージ弁14は、ECU83が出力する指令信号にしたがってパージ弁14の開度が制御される。これにより、キャニスタ81から吸気通路161のスロットル弁18の下流側に供給される蒸発燃料の量が調整される。
燃料蒸気漏れ検出部91は、「キャニスタ通路」としてのキャニスタ接続通路191を形成する「キャニスタ通路形成部材」としてのキャニスタ接続管19を介してキャニスタ81と接続している。燃料蒸気漏れ検出部91は、燃料タンク84、キャニスタ81、第一パージ管11、第二パージ管13などにおける燃料蒸気の漏れの有無を判定する。
ここで、燃料蒸気漏れ検出部91が燃料蒸気漏れを検出可能な領域として、「キャニスタ側システム」、「燃料タンク側システム」、及び、「全体システム」を定義する。
「キャニスタ側システム」とは、キャニスタ81、第一パージ管11におけるキャニスタ81から密閉弁82までの領域、第二パージ管13におけるキャニスタ81からパージ弁14までの領域、及び、キャニスタ81内に連通する燃料蒸気漏れ検出部91内の領域を指す。
「燃料タンク側システム」とは、燃料タンク84、及び、第一パージ管11における燃料タンク84から密閉弁82までの領域を指す、
「全体システム」は、「キャニスタ側システム」と「燃料タンク側システム」とを組み合わせた領域を指す。
燃料蒸気漏れ検出部91は、「大気通路形成部材」としての大気管21、「圧力検出通路形成部材」としての圧力管23、第一切替弁25、「加減圧部」としてのポンプ27、「バイパス通路形成部材」としてのバイパス管29、「絞り部」としての基準オリフィス31、及び、「差圧検出部」としての差圧センサ33を有する。
大気管21は、第一切替弁25及びポンプ27に接続している。大気管21は、大気と連通する大気通路211を形成する。
大気管21には、フィルタ212が設けられている。フィルタ212は、キャニスタ81のキャニスタ吸着材811に蒸発燃料が吸着される場合、ポンプ27によって燃料タンク84内を減圧する場合、または、燃料タンク84内に燃料が供給される場合、燃料タンク84内またはキャニスタ81内の気体がフィルタ212を通って外部の大気に排出される。一方、キャニスタ81に吸着した蒸発燃料を吸気管16に供給する場合、外部の空気がフィルタ212を通ってポンプ27または第一切替弁25に導入される。このとき、フィルタ212は導入される空気に含まれる異物を回収する。なお、図1中の矢印F1は燃料蒸気漏れ検出部91と外部の大気とにおける気体の流れを示している。
圧力管23は、第一切替弁25及びポンプ27に接続している。圧力管23は、キャニスタ接続通路191に連通可能な圧力検出通路231を形成する。
第一切替弁25は、キャニスタ接続管19、大気管21、及び、圧力管23に接続している。第一切替弁25は、ECU83と電気的に接続している。第一切替弁25は、電力が供給されていないとき、図1に示すように、キャニスタ接続通路191と大気通路211とが連通する状態となる。第一切替弁25に電力を供給すると、第一切替弁25を介してキャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とが連通する。
ポンプ27は、大気管21と圧力管23とに接続している。ポンプ27は、ECU83と電気的に接続している。ポンプ27は、燃料タンク84内及びキャニスタ81内を減圧可能である。
バイパス管29は、第一切替弁25をバイパスし、キャニスタ接続管19と圧力管23とに接続している。バイパス管29は、キャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とを連通するバイパス通路291を形成する。バイパス管29は、「絞り部」としての基準オリフィス31を有する。基準オリフィス31の内径は、全体システムにおける燃料蒸気を含む気体の漏れの許容量の上限値となる穴の大きさと同じ大きさとなっている。
差圧センサ33は、燃料タンク84と密閉弁82との間の第一パージ管11と、圧力管23とを接続している差圧管332に設けられている。差圧管332は、第一パージ通路111と圧力検出通路231とを連通する差圧検出通路331を形成する。
差圧センサ33は、ECU83と電気的に接続している。差圧センサ33は、第一パージ通路111の圧力と圧力検出通路231の圧力との差分を検出し、当該差分に応じた信号をECU83に出力可能である。
密閉弁82は、第一パージ管11に設けられている。密閉弁82は、ECU83と電気的に接続している。密閉弁82は、ECU83が出力する指令信号にしたがって第一パージ通路111を開閉することが可能である。
ECU83は、演算部としてのCPU、ならびに、記録部としてのRAM及びROM等を有するマイクロコンピュータ等から構成されている。ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて、第一切替弁25、ポンプ27、及び、密閉弁82を制御する。
次に、蒸発燃料処理装置1におけるキャニスタ81の燃料蒸気の漏れ検出方法について、図2,3に基づいて説明する。図2には、蒸発燃料処理装置1におけるキャニスタ81の燃料蒸気の漏れ検出方法のフローチャートを示す。図3には、キャニスタ81の燃料蒸気の漏れ検出を行うときの特性図を示す。図3では、横軸に時間を示し、縦軸に各項目の数値または状態を示す。
図3には、順に、差圧センサ33が出力する信号に基づいて算出される差圧ΔP、圧力検出通路231の圧力P1、第一パージ通路111の圧力P2、密閉弁82の開閉状態、第一切替弁25の状態、ポンプ27の作動状態、及び、パージ弁14の開閉状態を示す。
蒸発燃料処理装置1では、圧力P1,P2は、実際には検出されない。しかしながら、図3に示す差圧ΔPは、圧力P2から圧力P1を差し引いた値となっていることから、圧力P1の大きさから圧力P2を予想することが可能である。例えば、図3に示すように、時刻0から時刻t11までの間では、差圧ΔPは、0より大きい値となっている。このとき、蒸発燃料処理装置1の状態から圧力検出通路231の圧力P1は、大気圧となっていることから、第一パージ通路111内は、正圧状態となっていることがわかる。図1に示すように、第一パージ通路111内の密閉弁82より燃料タンク84側は、燃料タンク84内に連通している。すなわち、第一パージ通路111の圧力P2は、燃料タンク84内の圧力であって、第一実施形態では、燃料タンク84内は、正圧状態となっていることがわかる。また、図3では、第一切替弁25に電力が供給され第一切替弁25を介してキャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とが連通するときを「ON」として示す。
最初に、ステップ(以下、単に「S」という)101において、蒸発燃料処理装置1による燃料蒸気のリークチェック開始条件を満たしているか否かを判定する。ECU83は、例えば、エンジン10を搭載する車両の状態や車両が停止してからの経過時間、燃料タンク内の内圧が安定しているか否かなどの各種情報に基づいて、蒸発燃料処理装置1によるリークチェックを開始することが可能であるか否かを判定する。各種情報がリークチェック開始条件を満たしていると判定される場合、S102に進む。各種情報がリークチェック開始条件を満たしていないと判定される場合、S101の判定を繰り返し行う。
S101の判定を行っているとき、蒸発燃料処理装置1は、図1に示す状態となっている。このうち、密閉弁82は、閉じられているため、燃料タンク84とキャニスタ81とは遮断されている。このことから、図3に示す時刻0から時刻t11までの間では、圧力P1は、上述したように大気圧となっていることが予想される。また、圧力P2は、燃料タンク84内の燃料蒸気によって大気圧に比べ高い圧力となっていることが予想される。これにより、図3では、差圧ΔPは0より大きい値として示している。
次に、S102において、燃料タンク84内の圧力の情報を含む「初期値」及び「ベース差分値」としての差圧ΔPs1を検出する。差圧ΔPs1は、上述したように、圧力P1が大気圧となっているときの差圧ΔPであることから、燃料タンク84内のゲージ圧と等しい。ECU83は、図3の時刻0から時刻t11の間における差圧ΔPを差圧ΔPs1として記録する。
次に、S103において、ポンプ27の駆動を開始する。S103では、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始する(図3の時刻t11)。これにより、大気が大気通路211、第一切替弁25、バイパス通路291、及び、圧力検出通路231を介して吸引され、圧力検出通路231の圧力P1が低下することが予想される(図3の時刻t11から時刻t12までの間)。圧力P1は、ある程度の時間が経過すると一定になることが予想される。ECU83は、ポンプ27の駆動を開始したあと差圧ΔPが一定となるとき、当該一定となった差圧ΔPを「参照差分値」としての差圧ΔPrefとして記録する。
次に、S104において、「参照値」としての基準圧Prefを算出する。S104では、ECU83は、S103において記録した差圧ΔPrefからS102において記録した差圧ΔPs1を差し引いた値の絶対値を基準圧Prefとして算出する。
次に、S105において、第一切替弁25に電力を供給する。S105では、ECU83は、第一切替弁25に電力を供給する。これにより、キャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とが第一切替弁25を介して連通する(図3の時刻t12)。
次に、S106において、「判定値」としての演算値Pcn1が基準圧Prefより大きいか否かを判定する。S106では、ECU83は、図3の時刻t12から時刻t13までの間において一定の値となった「判定差分値」としての差圧ΔPcn1を検出する。ECU83は、検出した差圧ΔPcn1からS102において記録した差圧ΔPs1を差し引いた値の絶対値を演算値Pcn1として算出する。ECU83は、演算値Pcn1と基準圧Prefとの大小を比較する。図3には、演算値Pcn1が基準圧Prefに比べ大きい場合の差圧ΔP及び圧力P1の時間変化の一例を実線L11で示す。演算値Pcn1が基準圧Prefに比べ大きいと判定される場合、S107に進む。また、図3には、演算値Pcn1が基準圧Pref以下の場合の差圧ΔP及び圧力P1の時間変化の一例を点線L12で示す。演算値Pcn1が基準圧Pref以下であると判定される場合、S112に進む。
S106において演算値Pcn1が基準圧Prefに比べ大きいと判定されると、S107において、第一切替弁25への電力の供給を停止するとともにポンプ27の駆動を停止する(図3の時刻t13)。
次に、S108において、差圧ΔPを測定する。S107において第一切替弁25への電力の供給を停止するとともにポンプ27の駆動を停止すると、図3の時刻t13以降に示すように、圧力P1は大気圧に戻ることが予想される。ECU83は、このときの差圧ΔPを「終期値」としての差圧ΔPe1として記録する。
次に、S109において、S104において検出した差圧ΔPs1とS108において検出した差圧ΔPe1とを比較する。具体的には、ECU83は、差圧ΔPs1と差圧ΔPe1との差の絶対値が所定値以下であるか否かを判定する。
差圧ΔPs1と差圧ΔPe1との差の絶対値が所定値以下であると判定される場合、S103からS107までの間、燃料タンク84内の圧力変化は比較的小さいと予想される。したがって、S109において、差圧ΔPs1と差圧ΔPe1との差の絶対値が所定値以下であると判定される場合、キャニスタ側システムに基準オリフィス31の内径に比べ大きな穴は形成されていないことがわかる。そこで、S110において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れはないと判定する。
また、差圧ΔPs1と差圧ΔPe1との差の絶対値が所定値より大きいと判定される場合、S103からS107までの間、燃料タンク84内の圧力変化は比較的大きいと予想される。したがって、S109において、差圧ΔPs1と差圧ΔPe1との差の絶対値が所定値より大きいと判定される場合、燃料タンク84内の圧力が不安定であることがわかる。そこで、S111において、ECU83は、キャニスタ側システムの漏れ検出を延期すると判定する。
また、S106において演算値Pcn1が基準圧Pref以下であると判定されると、S112において、時刻t12から一定の時間が経過したか否かを判定する。ECU83が時刻t12から一定の時間が経過したと判定すると、S113に進む。ECU83が時刻t12から一定の時間は経過していないと判定すると、S106に戻り、演算値Pcn1が基準圧Prefより大きいか否かを再度判定する。
S106において演算値Pcn1が基準圧Pref以下と判定され、S112において一定の時間が経過したと判定されると、キャニスタ側システムに基準オリフィス31の内径に比べ大きな穴が形成されていることがわかる。そこで、S113において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れがあると判定する。
次に、蒸発燃料処理装置1におけるパージ弁14及び密閉弁82の異常検出方法について、図4〜6に基づいて説明する。図4には、蒸発燃料処理装置1におけるパージ弁14及び密閉弁82の異常検出方法のフローチャートを示す。図4に示すフローチャートは、エンジン10が駆動しているとき、キャニスタ81に吸着されている蒸発燃料を吸気管16に供給するときに実行される。
図5,6には、パージ弁14及び密閉弁82の異常検出を行うときの特性図を示す。図5と図6との違いは、燃料タンク84の圧力が大気圧より大きいか否かである。図5には、燃料タンク84の圧力が大気圧に比べ高いときにパージ弁14及び密閉弁82の異常検出を行うときの特性図を示す。図6には、燃料タンク84の圧力が大気圧に比べ低いときのパージ弁14及び密閉弁82の異常検出時の特性図を示す。
最初に、S201において、燃料タンク84内の圧力の情報を含む差圧ΔPs2を検出する。S201では、ECU83は、図5,6の時刻0から時刻t211,t221まで間における差圧ΔPを差圧ΔPs2として記録する。
次に、S202において、差圧ΔPs2が所定値以上であるか否かを判定する。S202では、ECU83は、S201において検出した差圧ΔPs2が所定値以上であるか否かを判定する。
ここで、S202における所定値とは、例えば、0である。差圧ΔPs2が所定値以上となっているとき、燃料タンク84の内圧と等しい圧力P2は、図5に示すように、大気圧以上の圧力となっている。ECU83が差圧ΔPs2は所定値以上になっていると判定する場合、S203に進む。また、差圧ΔPs2が所定値より小さいとき、圧力P2は、図6に示すように、大気圧より小さい圧力となっている。ECU83が差圧ΔPs2は所定値より小さいと判定する場合、S214に進む。
S202において差圧ΔPs2が所定値以上であると判定されると、S203において、密閉弁82の開度を決定する。S203では、ECU83は、例えば、エンジン10の駆動状態などの情報に基づいて密閉弁82の開度を決定する。
次に、S204において、パージ弁14及び密閉弁82を開く。S204では、ECU83は、パージ弁14及び密閉弁82のいずれにも開弁する指令を出力する(図5の時刻t211)。これにより、キャニスタ81に吸着されている蒸発燃料に加え、燃料タンク84内の蒸発燃料を吸気管16に供給することが可能となる。パージ弁14を開くと吸気通路161とキャニスタ81内とが連通する。エンジン10が駆動しているとき吸気通路161内は、負圧状態となっているため、キャニスタ81内も負圧になる。このため、圧力P1は負圧を示すことが予想される(図5における時刻t211からt212)。
次に、S205において、差圧ΔPの変化量が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、S205における所定値とは、例えば、差圧ΔPの変化が認められる程度の値を指す。S205では、ECU83は、パージ弁14及び密閉弁82の開弁によって蒸発燃料が吸気管16に供給されているとき、時刻t211での差圧ΔPs2からの変化量(図5における時刻t211での差圧ΔPs2と時刻t212での差圧ΔPs21との差に相当)が所定値以上であるか否かを判定する。差圧ΔPの変化量が所定値以上であると判定される場合、S206に進む。差圧ΔPの変化量が所定値より小さいと判定される場合、S207に進む。
S205において差圧ΔPの変化量が所定値以上であると判定されると、S206において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと判定する。
また、S205において差圧ΔPの変化量が所定値より小さいと判定されると、S207において、ECU83は、時刻t211から所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、S207における所定の時間とは、例えば、時刻t211以降において差圧ΔPの時間変化が0となるまでの時間を指す。時刻t211から所定の時間が経過したと判定される場合、S208に進む。時刻t211から所定の時間が経過していないと判定される場合、S205に戻って差圧ΔPの変化量が所定値以上であるか否かの判定を再度行う。
S207において時刻t211から所定の時間が経過したと判定されると、S208において、ECU83は、パージ弁14が固着していると判定する。
S206及びS208の次に、S209において、パージ弁14及び密閉弁82を閉じる。ECU83は、パージ弁14及び密閉弁82のいずれにも閉弁する指令を出力する(図5の時刻t212)。これにより、吸気管16とキャニスタ81、及び、キャニスタ81と燃料タンク84とが遮断され、吸気管16への蒸発燃料の供給は終了する。
次に、S210において、差圧ΔPを検出する。S209においてパージ弁14及び密閉弁82を閉じると、図5の時刻t212以降に示すように、圧力P1は大気圧となることが予想される。S210では、ECU83は、時刻t212からある程度の時間が経過したのち安定している差圧ΔPを差圧ΔPe2として記録する。
次に、S211において、S202において検出した差圧ΔPs2とS210において検出した差圧ΔPe2とを比較する。具体的には、ECU83は、差圧ΔPs2と差圧ΔPe2との差の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、S211における所定値とは、例えば、差圧センサ33の検出誤差を指す。差圧ΔPs2と差圧ΔPe2との差の絶対値が所定値以上であると判定される場合、S212に進む。差圧ΔPs2と差圧ΔPe2との差の絶対値が所定値より小さいと判定される場合、S213に進む。
S211において差圧ΔPs2と差圧ΔPe2との差の絶対値が所定値以上であると判定されると、S212において、ECU83は、密閉弁82は固着していないと判定する。
また、S211において差圧ΔPs2と差圧ΔPe2との差の絶対値が所定値より小さいと判定されると、S213において、ECU83は、密閉弁82は固着していると判定する。
S202において差圧ΔPs2が所定値より小さいと判定されると、S214において、パージ弁14を開く。S214では、ECU83は、パージ弁14に開弁する指令を出力する(図6の時刻t221)。これにより、キャニスタ81に吸着されている蒸発燃料を吸気管16に供給することが可能となる。上述したように、パージ弁14を開くとキャニスタ81内も負圧になるため、圧力P1は負圧を示すことが予想される(図6における時刻t211からt212)。
次に、S215において、差圧ΔPの変化量が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、S215における所定値とは、例えば、差圧ΔPの変化が認められる程度の値を指す。S215では、ECU83は、パージ弁14の開弁によって蒸発燃料が吸気管16に供給されているとき、時刻t221での差圧ΔPs2からの変化量(図6における時刻t221での差圧ΔPs2と時刻t222での差圧ΔPs22との差に相当)が所定値以上であるか否かを判定する。差圧ΔPの変化量が所定値以上であると判定される場合、S216に進む。差圧ΔPの変化量が所定値より小さいと判定される場合、S217に進む。
S215において差圧ΔPの変化量が所定値以上であると判定されると、S216において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと判定する。
また、S215において差圧ΔPの変化量が所定値より小さいと判定されると、S217において、ECU83は、時刻t221から所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、S217における所定の時間とは、例えば、時刻t221以降において差圧ΔPの時間変化が0となるまでの時間を指す。時刻t221から所定の時間が経過したと判定される場合、S218に進む。時刻t221から所定の時間が経過していないと判定される場合、S215に戻って差圧ΔPの変化量が所定値以上であるか否かの判定を再度行う。
S217において時刻t221から所定の時間が経過したと判定されると、S218において、ECU83は、パージ弁14が固着していると判定する。
S216及びS218の次に、S219において、パージ弁14を閉じる。ECU83は、パージ弁14に閉弁する指令を出力する(図6の時刻t222)。これにより、吸気管16とキャニスタ81とは遮断され、吸気管16への蒸発燃料の供給は終了する。
次に、蒸発燃料処理装置1における燃料タンク84への給油時の作用について、図7,8に基づいて説明する。燃料タンク84に給油を行うとき、燃料タンク84内の圧力が大気圧に比べ高いと、給油口を開いたときに燃料蒸気が給油口から外部に放出されるおそれがある。そこで、蒸発燃料処理装置1では、図7に示すフローチャートにしたがって、燃料タンク84内の圧力を大気圧とし、給油口からの蒸発燃料の大気への排出を防止する。図8には、燃料タンクへの給油を行うときの特性図を示す。
図1に示す状態から給油のための給油口を開ける前、燃料タンク84内の圧力と等しい圧力P2は、図8の時刻0から時刻t31までの間に示すように、大気圧に比べ高い圧力となっている。このため、差圧ΔPは、0より大きい差圧ΔPs3となっている。
そこで、最初に、S301において、密閉弁82を開く。S301では、ECU83は、密閉弁82に開弁する指令を出力する(図8の時刻t31)。密閉弁82を開くと、燃料タンク84内の蒸発燃料は、第一パージ管11を通ってキャニスタ81に流入し、キャニスタ吸着材811に吸着される。これにより、圧力P2は、徐々に低下する(図8の時刻t31以降参照)。
次に、S302において、密閉弁82を開いた後の差圧ΔP(図8の時刻t31から時刻t32までの間の差圧ΔP)が所定の範囲内となっているか、または、所定の時間が経過しているか否かを判定する。S302では、ECU83は、燃料タンク84内の圧力の低下に対応して変化する差圧ΔPの値が0を含む所定の範囲内となっているか、または、時刻t31以降において差圧ΔPが比較的安定するまでの時間である所定の時間が経過しているか判定する。密閉弁82を開いた後の差圧ΔPが所定の範囲内となっているまたは所定の時間が経過していると判定される場合、S303に進む。密閉弁82を開いた後の差圧ΔPが所定の範囲内となっておらずかつ所定の時間が経過していない場合、S302の判定を繰り返す。
S302において差圧ΔPが所定の範囲内となっているまたは所定の時間が経過していると判定されると、S303において、密閉弁82を閉じる。ECU83は、密閉弁82に閉弁する指令を出力する(図8の時刻t312)。これにより、燃料タンク84とキャニスタ81とは遮断される。
次に、S304において、密閉弁82を閉じた後の差圧ΔP(図8の時刻t312から時刻t313までの間の差圧ΔP)が所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、S304における所定の範囲とは、0を含む比較的狭い範囲である。密閉弁82が閉じられているとき、密閉弁82を閉じた後の差圧ΔPが0を含む比較的狭い範囲内である場合、燃料タンク84内の圧力は大気圧近傍の圧力であることが推測される。密閉弁82を閉じた後の差圧ΔPが所定の範囲内であると判定される場合、S305に進む。密閉弁82を閉じた後の差圧ΔPが所定の範囲外である場合、S301に戻り、密閉弁82を再度開く。
次に、S305において、密閉弁82を開く。S305では、ECU83は、密閉弁82に開弁する指令を出力する(図8の時刻t313)。密閉弁82を開くと、燃料タンク84内は、第一パージ管11を介してキャニスタ81内に連通する。このとき、燃料タンク84内の圧力は、ほぼ大気圧となっている。
次に、S306において、給油口を開き、燃料を燃料タンク84に供給する。このとき、燃料タンク84に供給される燃料によって押し出される燃料タンク84内の気体は、第一パージ管11を通ってキャニスタ81内に流入する。
(a)第一実施形態による蒸発燃料処理装置1は、一つの差圧センサ33を備えている。差圧センサ33は、圧力検出通路231の圧力P1と第一パージ通路111の圧力P2との差分を検出し、当該差分に応じた信号をECU83に出力する。ECU83は、一つの差圧センサ33が出力する信号に基づいて、第一切替弁25、ポンプ27、及び、密閉弁82の作動を制御する。
ECU83は、S102において、圧力検出通路231の圧力P1が大気圧のときの差圧ΔPs1を検出する。ECU83は、差圧ΔPs1から大気圧を引いた値を第一パージ通路111の圧力P2として算出する。これにより、蒸発燃料処理装置1は、燃料タンク84のゲージ圧を検出することができる。また、ECU83は、S104及びS106において、差圧ΔPsに基づいて基準圧Pref及び演算値Pcn1を算出する。ECU83は、基準圧Prefと演算値Pcn1との大小関係に基づいて、キャニスタ側システムにおける燃料蒸気の漏れの有無を判定する。
このように、蒸発燃料処理装置1は、複数のセンサを備えることなく簡素な構成で燃料蒸気の漏れを検出することができる。
(b)蒸発燃料処理装置1では、キャニスタ側システムの燃料蒸気漏れの有無の判定において、S104において検出した差圧ΔPs1とS108において検出した差圧ΔPe1とを比較する。これにより、S103からS107までの間における燃料タンク84内の圧力変化の大きさを確認し、当該圧力変化が小さい場合、S103からS107までの間におけるキャニスタ側システムの燃料蒸気漏れの有無の判定精度を向上することができる。
(c)蒸発燃料処理装置1は、図4に示すフローチャートによって、蒸発燃料を吸気管16に供給するとき、差圧ΔPの変化量に基づいてパージ弁14及び密閉弁82の固着異常を判定することができる。
(d)蒸発燃料処理装置1では、図7に示すフローチャートによって、差圧センサ33によって燃料タンク84内の圧力を、大気圧となっている圧力管23の圧力との比較によって、ゲージ圧として検出することができる。これにより、燃料タンク84に給油を行うとき、給油口から蒸発燃料が大気に排出されることを確実に防止することができる。
(e)蒸発燃料処理装置1は、一つの差圧センサ33のみで燃料タンク内の圧力を検出しつつ燃料蒸気の漏れの有無を判定することができる。これにより、蒸発燃料処理装置1の製造コストを低減することができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態による蒸発燃料処理装置を図9,10に基づいて説明する。第二実施形態は、燃料タンクを含む全体システムにおける燃料蒸気の漏れ検出が可能である点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第二実施形態による蒸発燃料処理装置における燃料蒸気の漏れ検出方法について、図9,10に基づいて説明する。図9には、第二実施形態による蒸発燃料処理装置における燃料蒸気の漏れ検出方法のフローチャートを示す。図10には、燃料蒸気の漏れ検出を行うときの特性図を示す。図10に示すように、第二実施形態では、燃料タンク84内は、正圧状態となっている。
最初に、S401において、第二実施形態による蒸発燃料処理装置による燃料蒸気のリークチェック開始条件を満たしているか否かを判定する。ECU83は、第一実施形態のS101と同様に、第二実施形態による蒸発燃料処理装置によるリークチェックを開始することが可能であるか否かを判定する。各種情報がリークチェック開始条件を満たしていると判定される場合、S402に進む。各種情報がリークチェック開始条件を満たしていないと判定される場合、S401の判定を繰り返し行う。
次に、S402において、燃料タンク84内の圧力の情報を含む差圧ΔPs4を検出する。ECU83は、図10の時刻0から時刻t41までの間における差圧ΔPを差圧ΔPs4として記録する。
次に、S403において、差圧ΔPs4の絶対値が所定の範囲内であるか否かを判定する。S403では、EUC9は、S402において検出した差圧ΔPs4の絶対値が所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、S403における所定の範囲とは、0を含む比較的狭い範囲である。
S402において差圧ΔPs4を検出するとき、図10に示すように、密閉弁82は閉じられ、ポンプ27の駆動は停止している(図10の時刻0から時刻t41までの間)。したがって、差圧ΔPs4の絶対値が0を含む所定の範囲内であると判定される場合、第一パージ通路111の圧力P2は、大気圧となっている圧力検出通路231の圧力P1とほぼ同じ圧力であることが予想される。すなわち、第一パージ通路111に連通する燃料タンク84に漏れがあると考えられる。差圧ΔPs4の絶対値が所定の範囲内であると判定される場合、S404に進む。
一方、差圧ΔPs4の絶対値が0を含む所定の範囲外であると判定される場合、第一パージ通路111の圧力P2は、大気圧とは大きく異なる圧力であることが予想される。すなわち、第一パージ通路111の圧力P2は、燃料タンク84内の蒸発燃料によって大気圧に比べ高圧または低圧であるため、燃料タンク84に漏れはないと考えられる。差圧ΔPs4の絶対値が所定の範囲外であると判定される場合、S414に進む。
S403において差圧ΔPs4の絶対値が所定の範囲内であると判定されると、S404において、ポンプ27の駆動を開始する(図10の時刻t41)。
次に、S405において、基準圧Prefを算出する。S405では、ECU83は、S404においてポンプ27の駆動を開始したあと差圧ΔPが一定になると、当該一定となった差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録する。ECU83は、差圧ΔPrefからS402において記録した差圧ΔPs4を差し引いた値を基準圧Prefとして算出する。
次に、S406において、第一切替弁25に電力を供給するとともに、密閉弁82を開く(図10の時刻t42)。これにより、燃料タンク84内は、第一パージ通路111、キャニスタ81内、キャニスタ接続通路191、及び、第一切替弁25を介して圧力検出通路231に連通する。
このときの差圧ΔPの時間変化を図10の時刻t42から時刻t43までの間に示す。差圧ΔPは、時刻t42から時刻t43までの間では、減圧開始直後、流量に応じた配管による圧損によって変化するが、減圧が進み流量が小さくなると一定となる。
次に、S407において、差圧ΔPが所定の範囲内となっているかまたは所定の時間が経過しているか否かを判定する。S407では、ECU83は、燃料タンク84内の圧力の低下に対応して変化する差圧ΔPの値が所定の範囲内となっているまたは時刻t42以降において差圧ΔPが比較的安定するまでの時間である所定の時間が経過しているか否かを判定する。差圧ΔPが所定の範囲内となっているまたは所定の時間が経過していると判定される場合、S408に進む。差圧ΔPが所定の範囲内となっておらずかつ所定の時間が経過していない場合、S407の判定を繰り返す。
S407において差圧ΔPが所定の範囲内となっているまたは所定の時間が経過していると判定されると、S408において、密閉弁82を閉じる。S408では、ECU83は、密閉弁82に閉弁する指令を出力する(図10の時刻t43)。これにより、燃料タンク84とキャニスタ81とは遮断される。
次に、S409において、第一切替弁25への電力の供給を停止するとともに、ポンプ27への電力の供給を停止する(図10の時刻t44)。これにより、圧力検出通路231の圧力P1は、大気圧となることが予想される(図10の時刻t44以降)。
次に、S410において、「差分最大値」としての演算値Pcn4を算出する。ここで、差圧センサ33が出力する信号に基づいてECU83が算出する内容について、図10に基づいて説明する。
全体システムに漏れがない場合、図10に示す圧力P1は、実線L4b1に示すように、時刻t42から低下し、時刻t43から時刻t44にかけて一定となることが予想される。その後、時刻t44において第一切替弁25及びポンプ27への電力の供給が停止すると、時刻t44以降のように、大気圧となることが予想される。一方、全体システムに漏れがある場合、点線L4b2に示すように、時刻t42から時刻t44までの間の圧力P1は、実線L4b1に比べ高い圧力となることが予想される。
また、図10に示す圧力P2は、時刻t42から時刻t44までの間では、全体システムに漏れがない場合には実線L4c1となり、全体システムに漏れがある場合には点線L4c2となり、圧力P1と同じ時間変化を示すことが予想される。このため、差圧ΔPは、時刻t42から時刻t44までの間では、全体システムに漏れがあるか否かにかかわらず、実線L4a1の時間変化を示す。
時刻t44において、第一切替弁25への電力の供給を停止するとともに、ポンプ27への電力の供給を停止すると、圧力P2は、圧力P1とは異なった時間変化を示すことが予想される。
具体的には、実線L4c1の時間変化の後、全体システムに全く漏れがない場合、実線L4c3のような時間変化を示す。また、全体システムのどこかに基準オリフィス31の内径に比べ小さい内径の穴がある場合、点線L4c4のような時間変化を示す。
一方、点線L4c2の時間変化の後、全体システムに基準オリフィス31の内径に比べ大きい内径の穴がある場合、点線L4c5のような時間変化を示す。
実線L4c3、点線L4c4,L4c5の時間変化を示す圧力P2と、大気圧となった圧力P1との大小関係から、差圧ΔPは、図10の時刻t44以降の時間変化を示す。
具体的には、時刻t44において差圧ΔPは一旦低下する。このとき、圧力P2が実線L4c3や点線L4c4のような時間変化を示すとき、差圧ΔPは、0より小さい値の差圧ΔPs41まで低下する。一方、圧力P2が点線L4c5のような時間変化を示すとき、差圧ΔPは、0より小さい値の差圧ΔPs42までしか低下しない。
S410では、ECU83は、時刻t44以降における差圧ΔPの絶対値の最大値を演算値Pcn4として演算し記録する。上述した圧力P2が実線L4c3や点線L4c4のような時間変化を示すときの例では、演算値Pcn4は,差圧ΔPs41の絶対値となる。また、圧力P2が点線L4c5のような時間変化を示すときの例では、演算値Pcn4は,差圧ΔPs42の絶対値となる。
次に、S411において、演算値Pcn4と基準圧Prefとの大小を比較する。具体的には、ECU83は、演算値Pcn4が基準圧Prefより大きいか否かを判定する。演算値Pcn4が基準圧Prefより大きいと判定される場合、S412に進む。上述した実線L4a3、点線L4a4,L4a5の時間変化の例では、実線L4a3及び点線L4a4の時間変化のときの演算値Pcn4が基準圧Prefより大きいと判定される。演算値Pcn4が基準圧Prefより大きいと判定される場合、S413に進む。上述した実線L4a3、点線L4a4,L4a5の時間変化の例では、点線L4a5の時間変化のときの演算値Pcn4が基準圧Pref以下であると判定される。
S411において演算値Pcn4が基準圧Prefより大きいと判定されると、S412において、ECU83は、全体システムに漏れはないと判定する。
また、S411において演算値Pcn4が基準圧Pref以下であると判定されると、S413において、ECU83は、全体システムに漏れがあると判定する。
第二実施形態による蒸発燃料処理装置では、ポンプ27によって減圧された燃料タンク84を密閉弁82で締め切った後の圧力変化を大気圧となった圧力検出通路231の圧力P1との差圧の変化から算出し、燃料タンク84を含む全体システムの漏れの有無を判定する。これにより、第二実施形態による蒸発燃料処理装置2は、複数のセンサを備えることなく簡素な構成で全体システムにおける燃料蒸気の漏れを検出することができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態による蒸発燃料処理装置を図11に基づいて説明する。第三実施形態は、キャニスタ及び燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出と複数の弁の異常検出とを一連の作動で行うことが可能な点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第三実施形態による蒸発燃料処理装置における燃料蒸気の漏れを検出方法について、図11に基づいて説明する。図11は、燃料蒸気の漏れを検出するときの特性図を示す。第三実施形態による蒸発燃料処理装置における燃料蒸気の漏れの検出は、車両が停止してから、例えば、燃料タンク84内の圧力が比較的安定するまでの時間である。所定の時間が経過した後、実行される。第三実施形態では、図11に示すように、時刻0から時刻t51までの間の差圧ΔPは、0より大きい値となっている。このことから、燃料タンク84内は、正圧状態となっている。
最初に、時刻0から時刻t51までの間の差圧ΔPs5を検出し、差圧ΔPs5が0を含む所定の範囲外であるか否かを判定する。
差圧ΔPs5が所定の範囲外である場合、第一パージ通路111の圧力P2は、燃料タンク84内の蒸発燃料によって大気圧に比べ高圧または低圧であることから、燃料タンク84は密閉されており漏れはないと考えられる。したがって、ECU83は、燃料タンク84に漏れはないと判定する。
一方、差圧ΔPs5が所定の範囲内である場合、第一パージ通路111の圧力P2は、大気圧とほぼ同じ圧力であることから、第一パージ通路111に連通する燃料タンク84に漏れがある、または、周囲環境の温度変化が緩やかなどの理由でタンク内燃料蒸気による圧力発生が少ないことが考えられる。この場合、ECU83は、別異に燃料タンク84からの燃料蒸気の漏れの有無を確実に判定するため、例えば、第二実施形態による燃料蒸気の漏れ検出方法を実行する。
時刻t51において、ポンプ27の駆動を開始すると、圧力検出通路231の圧力P1が低下することが予想されるため、差圧ΔPは大きくなる。時刻t52において一定となっている差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録する。ECU83は、差圧ΔPrefから差圧ΔPs5を差し引いた値を基準圧Pref1として算出する。
時刻t52において、第一切替弁25に電力を供給する。ECU83が第一切替弁25に電力を供給すると、圧力検出通路231とキャニスタ81とが第一切替弁25を介して連通する。
時刻t52の後、第一切替弁25が切り替わり、かつ、キャニスタ側システムに漏れ穴がない場合、圧力P1は、図11の時刻t52と時刻t53との間の実線L5b1のような時間変化を示すことが予想される。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t52と時刻t53との間の実線L5a1のような時間変化を示す。
一方、第一切替弁25が固着している場合、圧力P1は、図11の時刻t52と時刻t53との間の実線L5b2のように時刻t52前の状態から変化しないことが予想される。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t52と時刻t53との間の点線L5a2のような時間変化を示すことが考えられる。これにより、ECU83は、第一切替弁25の固着異常を検出することが可能である。
また、圧力P1は、キャニスタ側システムに漏れ穴がある場合、図11の時刻t52と時刻t53との間の実線L5b3のような時間変化を示すことが予想される。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t52と時刻t53との間の点線L5a3のような時間変化を示す。これにより、キャニスタ側システムの異常を検出することが可能である。
時刻t53において、パージ弁14を開く。ECU83は、パージ弁14に開弁する指令を出力する。このとき、パージ弁14が開くと、圧力検出通路231には吸気管16を介して大気が流入するため、圧力P1は、図11の時刻t53と時刻t54との間の実線L5b4にように、大気圧まで戻ることが予想される。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t53と時刻t54との間の実線L5a4のような時間変化を示す。
一方、パージ弁14が固着している場合、圧力P1は、図11の時刻t53と時刻t54との間の実線L5b5のように時刻t53前の状態から変化しないことが予想される。これにより、ECU83は、パージ弁14の固着異常を検出することが可能である。
時刻t54において、パージ弁14を閉じるとともに第一切替弁25への電力の供給を停止する。ECU83は、パージ弁14に閉弁する指令を出力する。このとき、ポンプ27は駆動しているため、圧力検出通路231は、基準オリフィス31を介して吸引される大気の圧力となる。これにより、ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて二回目の基準圧Pref2を算出する。
時刻t55において、ポンプ27への電力の供給を停止する。これにより、圧力検出通路231の圧力P1は、大気圧となることが予想される。
時刻t56において、第一切替弁25に電力を供給する。ECU83が第一切替弁25に電力を供給すると、圧力検出通路231とキャニスタ81とが第一切替弁25を介して連通する。
時刻t57において、密閉弁82を開く。ECU83は、密閉弁82にも開弁する指令を出力する。これにより、キャニスタ81内と燃料タンク84内とが連通する。密閉弁82が開くと、燃料タンク84内の蒸発燃料がキャニスタ81に流入するため、第一パージ通路111の圧力P2は、図11の時刻t57以降の実線L5c6のように、低下することが予想される。一方、燃料タンク84からの気体の流れによって、圧力検出通路231の圧力P1は、図11の時刻t57以降の実線L5b6のように、上昇することが予想される。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t57以降の実線L5a6のように、大きく変動する。
一方、密閉弁82が固着している場合、圧力P2は、図11の時刻t57と時刻t58との間の点線L5c7のように時刻t57前の状態から変化しないことが予想される。これにより、図11の時刻t57と時刻t58との間の点線L5b7に示すように、圧力P1は時刻t57前の状態から変化しないことが予想される。したがって、図11の時刻t57と時刻t58との間の点線L5a7に示すように、差圧ΔPは、時刻t57前の状態から変化しない。これにより、密閉弁82の固着異常を検出することが可能である。
第三実施形態による蒸発燃料処理装置では、時刻0から時刻t51までの間における差圧ΔPs5の大きさに基づいて燃料タンク側システムの漏れの有無を簡便に判定し、時刻t52から時刻t53までの間における差圧ΔPに基づいてキャニスタ側システムの漏れを判定する。
また、時刻t52から時刻t53までの間における差圧ΔPに基づいて第一切替弁25の状態を判定し、時刻t53から時刻t54までの間における差圧ΔPに基づいてパージ弁14の状態を判定し、時刻t57から時刻t58までの間における差圧ΔPに基づいて密閉弁82の状態を判定する。
このように、第三実施形態による蒸発燃料処理装置は、上述した一連の作動によって、蒸発燃料処理装置が備える複数の弁の状態を判定しつつ、燃料蒸気の漏れの有無を判定することができる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態による蒸発燃料処理装置を図12〜18に基づいて説明する。第四実施形態は、差圧管に第二切替弁が設けられる点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第四実施形態による蒸発燃料処理装置4の概念図を図12に示す。蒸発燃料処理装置4は、キャニスタ81、燃料蒸気漏れ検出部94、密閉弁82、及び、ECU83などから構成される。蒸発燃料処理装置4では、燃料タンク84内で発生しキャニスタ81によって回収した蒸発燃料を吸気通路161にパージする。
燃料蒸気漏れ検出部94は、大気管21、圧力管23、第一切替弁25、ポンプ27、バイパス管29、基準オリフィス31、差圧センサ33、及び、第二切替弁333を有する。
第二切替弁333は、差圧管332に設けられている。第二切替弁333は、いわゆる三方弁であって、連通路334を有する連通管335を介して大気管21にも接続している。第二切替弁333は、ECU83と電気的に接続している。第二切替弁333は、ECU83の指令に応じて、差圧センサ33内を第一パージ通路111に連通または大気通路211に連通に切り替える。
次に、蒸発燃料処理装置4における燃料蒸気の漏れ検出及び蒸発燃料処理装置4の各部の異常検出方法について、図13〜18に基づいて説明する。図13,14には、蒸発燃料処理装置4における燃料タンク側システム及びキャニスタ側システムの漏れ検出、並びに、蒸発燃料処理装置4の構成部品の異常検出の方法のフローチャートを示す。図15,16には、蒸発燃料処理装置4のパージ弁14の異常検出方法のフローチャートを示す。図17,18には、蒸発燃料処理装置4における燃料タンク側システム及びキャニスタ側システムの漏れ検出、並びに、蒸発燃料処理装置4の構成部品の異常検出を行うときの特性図を示す。図17,18では、第二切替弁333に電力が供給され第二切替弁333を介して差圧センサ33内と連通路334とが連通するときを「ON」として示す。
最初に、S501において、差圧ΔPs6を検出する。S501では、ECU83は、図17,18の時刻0から時刻t611,t621まで間における差圧ΔPを差圧ΔPs6として記録する。このとき、第二切替弁333は、OFF状態であるため、差圧センサ33内と第一パージ通路111とが連通している。したがって、差圧センサ33は、燃料タンク84内の圧力としての圧力P2から大気圧となっている圧力検出通路231の圧力P1を差し引いた値を差圧ΔPs6として出力する。差圧ΔPs6は、燃料タンク84内のゲージ圧である。
次に、S502において、差圧ΔPs6が0ではないか否かを判定する。S502では、ECU83は、S501において検出した差圧ΔPs6が0ではないか否かを判定する。ECU83が差圧ΔPs6は0ではない、すなわち、燃料タンク84内の圧力が大気圧ではないと判定する場合、S503に進む。ECU83が差圧ΔPs6は0である、すなわち、燃料タンク84内の圧力が大気圧と同じであると判定する場合、S523に進む。
S502において差圧ΔPs6は0ではないと判定されると、S503において、ECU83は、燃料タンク側システムに漏れなしと判定する。
次に、S504において、第二切替弁333に電力を供給する。S504では、ECU83は、第二切替弁333に電力を供給する。これにより、差圧センサ33内と連通路334とが第二切替弁333を介して連通する(図17の時刻t611)。連通路334は、大気通路211を介して大気に連通しているため、差圧センサ33によって検出される差圧は、大気圧に対する圧力の大きさとなる。
次に、S505において、差圧ΔPが0となったか否かを判定する。S505では、ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて差圧ΔPが0となったか否かを判定する。第二切替弁333が正常に作動する場合、圧力P2は、図17に示す実線L61c1のように大気圧となるため、差圧ΔPは、図17に示す実線L61a1のように0となる。図17の実線L61a1のように差圧ΔPが0になったと判定されると、S506に進む。一方、第二切替弁333が固着などによって正常に作動しない場合、圧力P2は、図17に示す点線L61c2のように大気圧とならないため、差圧ΔPは、図17に示す点線L61a2のように、0とならない。図17に示す点線L61a2のように、差圧ΔPが0となっていないと判定されると、S518に進む。
S505において差圧ΔPが0となったと判定されると、S506において、ECU83は、第二切替弁333の固着はないと判定する。
一方、S505において差圧ΔPが0となっていないと判定されると、S518において、ECU83は、第二切替弁333がOFF状態、すなわち、差圧センサ33内と大気とが連通している状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S506において第二切替弁333の固着はないと判定された後、S507においてポンプ27の駆動を開始する。S507では、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始する(図17の時刻t612)。これにより、大気が大気通路211、第一切替弁25、バイパス通路291、及び、圧力検出通路231を介して吸引される。
次に、S508において、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化したか否かを判定する。ここで、「正の方向」とは、差圧ΔPの値が時間の経過とともに増加する方向を指す。S508における所定の時間とは、例えば、図17の時刻t612から時刻t613までの時間であって、差圧ΔPが比較的安定する時間を指す。S508における所定値とは、差圧ΔPの変化が認められる程度の値であって、ここでは、差圧ΔPcn61である。ポンプ27が正常に作動する場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図17に示す実線L61b3のように大気圧に比べ低い圧力となるため、差圧ΔPは、図17に示す実線L61a3のように正の方向に変化する。図17に示す実線L61a3のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値の差圧ΔPcn61以上正の方向に変化したと判定されると、S509に進む。一方、ポンプ27が固着などによって正常に作動しない場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図17に示す点線L61b4のように大気圧のままとなるため、差圧ΔPは、図17に示す点線L61a4のように時刻t612より前の値から大きく変化しない。図17に示す点線L61a4のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値の差圧ΔPcn61以上正の方向に変化しなかったと判定されると、S519に進む。
S508において差圧ΔPが所定の時間内に差圧ΔPcn61以上正の方向に変化したと判定されると、S509において、ECU83は、ポンプ27は正常であると判定する。
一方、S508において差圧ΔPが所定の時間内に差圧ΔPcn61以上正の方向に変化していないと判定されると、S519において、ECU83は、ポンプ27は、OFF状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S509においてポンプ27は正常であると判定された後、S510において、差圧ΔPが所定の規格内である否かを判定する。ここで、S509における所定の規格内とは、例えば、ポンプ27、基準オリフィス31、及び、ポンプ27と基準オリフィス31とを接続する配管の関係から想定される規格内のことを指す。S510では、ECU83は、S508における差圧ΔPが所定の規格内であるか否かを判定する。差圧ΔPが所定の規格内である場合、S511に進む。差圧ΔPが所定の規格内でない場合、S520に進む。
S510において差圧ΔPが所定の規格内であると判定されると、S511において、ECU83は、S508における差圧ΔPを「参照差圧」としての差圧ΔPrefとして記録する。
一方、S510において差圧ΔPが所定の規格内でないと判定されると、S520において、ECU83は、ポンプ27または基準オリフィス31が異常であると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S511においてS508における差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録した後、S512において、第一切替弁25に電力を供給する。S512では、ECU83は、第一切替弁25に電力を供給する(図17の時刻t613)。
次に、S513において、ECU83は、差圧ΔPが第一切替弁25への電力の供給を開始してから所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したか否かを判定する。ここで、S513における所定の時間とは、例えば、図17に示す第一切替弁25への電力の供給を開始した時刻t613から比較的短い時間間隔となる時刻t614までの時間を指す。また、S513における所定値とは、例えば、図17に示すように、時刻t613における差圧ΔPと大気圧付近の圧力との差分を指す。ただし、時刻t614における差圧ΔPが図17に示すように大気圧となることには限られない。第一切替弁25が正常に作動する場合、圧力P1は、図17に示す実線L61b5のように所定の時間内に所定値以上正の方向に変化するため、差圧ΔPは、図17に示す実線L61a5のように所定値以上負の方向に変化する。図17に示す実線L61a5のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S514に進む。
一方、第一切替弁25が正常に作動しない場合、圧力P1は、図17に示す点線L61b7のように時刻t613より前の値から大きく変化しないため、差圧ΔPは、図17に示す点線L61a7のように所定値以上負の方向に変化しない。図17の点線L61a7のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S521に進む。
S513において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S514において、ECU83は、第一切替弁25の固着はないと判定する。
一方、S513において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S521において、ECU83は、第一切替弁25は、OFF状態、すなわち、第一切替弁25を介してキャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とが連通していない状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S514において第一切替弁25の固着はないと判定されると、S515において、差圧ΔPが差圧ΔPrefより大きいか否かを判定する。S515では、ECU83は、S508における差圧ΔPの大きさを差圧ΔPrefの大きさと比較する。圧力P1が図17に示す実線L61b5のように変化すると、差圧ΔPは、図17の実線L61a5のように変化する。実線L61a5の場合、差圧ΔPは差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されるため、S516に進む。圧力P1が図17に示す点線L61b6のように変化すると、差圧ΔPは、図17の点線L61a6のように変化する。点線L61a6の場合、差圧ΔPは差圧ΔPref以下であると判定されるため、S522に進む。
S515においてS508における差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S516において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れなしと判定する。
一方、S515においてS508における差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S522において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れありと判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S516においてキャニスタ側システムに漏れなしと判定されると、S517において、パージ弁14の異常診断を行う。S517において行われるパージ弁14の異常診断は、図15のフローチャートに従って実施する。
図15に示すS551において、パージ弁14を開く。S551では、ECU83は、パージ弁14を開弁する指令を出力する(図17の時刻t615)。これにより、駆動しているポンプ27が吸気管16を介して圧力検出通路231に大気を吸引する。
次にS552において、差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となるか否かを判定する。S552では、ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて、差圧ΔPの大きさを判定する。ここで、S552における所定の時間とは、例えば、図17の時刻t615以降において差圧ΔPが比較的安定するまでの時間である。また、S552における所定値とは、例えば、図17の差圧ΔPrefを指す。パージ弁14が正常に作動する場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図17に示す実線L61b8のように、時刻t615より前の値に比べ大きい値となるため、差圧ΔPは、図17に示す実線L61a8のように負の方向に変化し、0より大きい値となる。差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となっていると判定されると、S553に進む。パージ弁14が固着などによって正常に作動しない場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図17に示す実線L61b9のように、時刻t615より前の値に比べ大きく変化しないため、差圧ΔPは、図17に示す実線L61a9のように時刻t615より前の値から大きく変化しない。差圧ΔPが所定の時間内に0より小さいまたは所定値より大きいと判定されると、S554に進む。
S552において差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となっていると判定されると、S553において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと判定する。
一方、S552において差圧ΔPが所定の時間内に0より小さいまたは所定値より大きいと判定されると、S554において、ECU83は、パージ弁14が閉状態で固着していると判定する。
S553及びS554においてパージ弁14の状態が判定されると、今回のパージ弁14の異常診断を終了する。
一方、S502において差圧ΔPs6は0であると判定されると、図14に示すS523において、第二切替弁333に電力を供給する。S523では、ECU83は、第二切替弁333に電力を供給する。これにより、差圧センサ33内と連通路334とが第二切替弁333を介して連通する(図18の時刻t621)。
次に、S524において、ポンプ27の駆動を開始する。S524では、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始する(図18の時刻t622)。
次に、S525において、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化したか否かを判定する。S525における所定の時間とは、例えば、差圧ΔPが比較的安定する時間を指す。S525における所定値とは、差圧ΔPの変化が認められる程度の値であって、ここでは、図18に示す差圧ΔPcn62である。ポンプ27が正常に作動する場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図18に示す実線L62b1のように大気圧に比べ低い圧力となるため、差圧ΔPは、図18に示す実線L62a1のように正の方向に変化する。図18に示す実線L62a1のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値の差圧ΔPcn62以上正の方向に変化したと判定されると、S526に進む。一方、ポンプ27が固着などによって正常に作動しない場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図18に示す実線L62b2のように大気圧のままとなるため、差圧ΔPは、図18に示す点線L62a2のように時刻t622より前の値から大きく変化しない。図18に示す点線L62a2のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値の差圧ΔPcn62以上正の方向に変化しなかったと判定されると、S541に進む。
S525において差圧ΔPが所定の時間内に差圧ΔPcn62以上正の方向に変化したと判定されると、S526において、ECU83は、ポンプ27は正常であると判定する。
一方、S525において差圧ΔPが所定の時間内に差圧ΔPcn62以上正の方向に変化していないと判定されると、S541において、ECU83は、ポンプ27は、OFF状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S526においてポンプ27は正常であると判定された後、S527において、差圧ΔPが規格内である否かを判定する。ここで、S527における所定の規格内とは、例えば、ポンプ27、基準オリフィス31、及び、ポンプ27と基準オリフィス31とを接続する配管の関係から想定される規格内のことを指す。S527では、ECU83は、S525における差圧ΔPが所定の規格内であるか否かを判定する。差圧ΔPが所定の規格内である場合、S528に進む。差圧ΔPが所定の規格内でない場合、S542に進む。
S527において差圧ΔPが所定の規格内であると判定されると、S528において、ECU83は、S525における差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録する。
一方、S527において差圧ΔPが所定の規格内でないと判定されると、S542において、ECU83は、ポンプ27または基準オリフィス31が異常であると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S528においてS525における差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録した後、S529において、第一切替弁25に電力を供給する。S529では、ECU83は、第一切替弁25に電力を供給する(図18の時刻t623)。
次に、S530において、ECU83は、第一切替弁25への電力の供給を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したか否かを判定する。ここで、S530における所定の時間とは、例えば、図18に示す第一切替弁25への電力の供給を開始した時刻t623から比較的短い時間間隔となる時刻t624までの時間を指す。また、S530における所定値とは、例えば、図18に示すように、時刻t623における差圧ΔPと大気圧付近の圧力との差分を指す。ただし、時刻t624における差圧ΔPが図18に示すように大気圧となることには限られない。第一切替弁25が正常に作動する場合、圧力P1は、図18に示す実線L62b3のように所定の時間内に所定値以上正の方向に変化するため、差圧ΔPは、図18に示す実線L62a3のように所定値以上負の方向に変化する。図18に示す実線L61a3のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S531に進む。
一方、第一切替弁25が正常に作動しない場合、圧力P1は、図18に示す点線L62b5のように時刻t623より前の値から大きく変化しないため、差圧ΔPは、図18に示す点線L62a5のように所定値以上負の方向に変化しない。図18の点線L62a5のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S543に進む。
S530において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S531において、ECU83は、第一切替弁25の固着はないと判定する。
一方、S530において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S543において、ECU83は、第一切替弁25は、OFF状態、すなわち、第一切替弁25を介してキャニスタ接続通路191と圧力検出通路231とが連通していない状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S531において第一切替弁25の固着はないと判定されると、S532において、差圧ΔPが差圧ΔPrefより大きいか否かを判定する。S532では、ECU83は、S530における差圧ΔPの大きさを差圧ΔPrefの大きさと比較する。圧力P1が図18に示す実線L62b3のように変化すると、差圧ΔPは、図18の実線L62a3のように変化する。実線L62a3の場合、差圧ΔPは差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されるため、S533に進む。圧力P1が図18に示す点線L62b4のように変化すると、差圧ΔPは、図18の点線L62a4のように変化する。点線L62a4の場合、差圧ΔPは差圧ΔPref以下であると判定されるため、S544に進む。
S532においてS530における差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S533において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れなしと判定する。
一方、S532においてS530における差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S544において、ECU83は、キャニスタ側システムに漏れありと判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S533においてキャニスタ側システムに漏れなしと判定されると、S534としてパージ弁14の異常診断をおこなってもよい。このときのパージ弁14の異常診断は、図15のフローチャートに従って実施する。本実施形態では省略する。
次に、S535において、密閉弁82に電力を供給する。S535では、ECU83は、密閉弁82に電力を供給する(図18の時刻t625)。
次に、S536において、ECU83は、密閉弁82への電力の供給を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したか否かを判定する。ここで、S536における所定の時間とは、例えば、図18に示す密閉弁82への電力の供給を開始した時刻t625から比較的短い時間間隔となる時刻t626までの時間を指す。また、S536における所定値とは、例えば、図18に示すように、時刻t625における差圧ΔPと大気圧付近の圧力との差分を指す。ただし、時刻t626における差圧ΔPが図18に示すように大気圧となることには限られない。密閉弁82が正常に作動する場合、圧力P1は、図18に示す実線L62b6のように所定の時間内に所定値以上正の方向に変化するため、差圧ΔPは、図18に示す実線L62a6のように所定値以上負の方向に変化する。図18の実線L62a6のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S537に進む。
一方、密閉弁82が正常に作動しない場合、圧力P1は、図18に示す点線L62b8のように時刻t625より前の値から大きく変化しないため、差圧ΔPは、図18に示す点線L62a8のように所定値以上負の方向に変化しない。図18の点線L62a8のように差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S545に進む。
S536において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S537において、ECU83は、密閉弁82の固着はないと判定する。
一方、S536において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S545において、ECU83は、密閉弁82は、OFF状態、すなわち、燃料タンク84内とキャニスタ81内とが第一パージ通路111を介して連通していない状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S537において密閉弁82の固着はないと判定されると、S538において、差圧ΔPが差圧ΔPrefより大きいか否かを判定する。S538では、ECU83は、S536における差圧ΔPの大きさを差圧ΔPrefの大きさと比較する。圧力P1が図18に示す実線L62b6のように変化すると、差圧ΔPは、図18の実線L62a6のように変化する。実線L62a6の場合、差圧ΔPは差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されるため、S539に進む。圧力P1が図18に示す点線L62b7のように変化すると、差圧ΔPは、図18の点線L62a7のように変化する。点線L62a7の場合、差圧ΔPは差圧ΔPref以下であると判定されるため、S546に進む。
S538においてS536における差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S539において、ECU83は、燃料タンク側システムに漏れなしと判定する。
一方、S538においてS536における差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S546において、ECU83は、第二切替弁333がOFF状態で固着している、または、燃料タンク側システムに漏れありと判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S539において燃料タンク側システムに漏れなしと判定されると、S540において、パージ弁14の異常診断を行う。S540において行われるパージ弁14の異常診断は、図16のフローチャートに従って実施する。
図16に示すS561において、パージ弁14を開く。S561では、ECU83は、パージ弁14を開弁する指令を出力する(図18の時刻t627)。これにより、駆動しているポンプ27が吸気管16を介して圧力検出通路231に大気を吸引する。
次にS562において、差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となるか否かを判定する。S562では、ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて、差圧ΔPの大きさを判定する。パージ弁14が正常に作動する場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図18に示す実線L62b9のように、時刻t627より前の値に比べ大きい値となるため、差圧ΔPは、図18に示す実線L62a9のように負の方向に変化し、0より大きい値となる。差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となっていると判定されると、S563に進む。パージ弁14が固着などによって正常に作動しない場合、圧力検出通路231の圧力P1は、図18に示す実線L62b0のように、時刻t627より前の値に比べ大きく変化しないため、差圧ΔPは、図18に示す実線L62a0のように時刻t627より前の値から大きく変化しない。差圧ΔPが所定の時間内に0より小さいまたは所定値より大きいと判定されると、S567に進む。
S562において差圧ΔPが所定の時間内に0以上所定値以下となっていると判定されると、S563において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと判定する。
一方、S562において差圧ΔPが所定の時間内に0より小さいまたは所定値より大きいと判定されると、S567において、ECU83は、パージ弁14が閉状態で固着していると判定する。その後、今回のパージ弁14の異常診断を終了する。
S563においてパージ弁14の固着はないと判定されると、S564において、パージ弁14を閉じる。ECU83は、パージ弁14に閉弁する指令を出力する。これにより、パージ弁14が閉じられる。
次に、S565において、現在の差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいか否かを判定する。S565では、ECU83は、現在の差圧ΔPの差圧ΔPrefとの大小を判定する。現在の差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S566に進む。現在の差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S568に進む。
S565において現在の差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S566において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと再度判定する。
一方、S565において現在の差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S568において、ECU83は、パージ弁14が開状態で固着していると判定する。
S566及びS568においてパージ弁14の状態が判定されると、今回のパージ弁14の異常診断を終了する。
第四実施形態による蒸発燃料処理装置4では、差圧管332に設けられている第二切替弁333によって、差圧センサ33内を第一パージ通路111に連通または大気通路211に連通に切り替えることが可能である。これにより、必要に応じて、第一パージ通路111に連通する燃料タンク84内の圧力、または、大気圧に基づく差圧ΔPを差圧センサ33で検出することができる。したがって、蒸発燃料処理装置4は、第一実施形態の効果(a)、(e)を奏するとともに、差圧センサ33が検出する値を大気圧基準の圧力として、圧力検出通路231及び第一パージ通路111の絶対圧力を検出することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、差圧ΔPは、圧力P2から圧力P1を引いた値であるとした。しかしながら、差圧ΔPは、圧力P1から圧力P2を引いた値であってもよい。この場合でも、蒸発燃料処理装置の蒸気漏れの検出、及び、各部の構成要素の異常診断を行うことができる。
第一実施形態では、正圧状態の燃料タンクに対してキャニスタ側システムの漏れ検出などを行うとした。しかしながら、図19に示すように、負圧状態の燃料タンクに対してもキャニスタ側システムの漏れ検出を行うことができる。また、第一実施形態による蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内及びキャニスタ内を減圧可能なポンプを備えるとした。しかしながら、図20に示すように、燃料タンク内及びキャニスタ内を加圧可能なポンプによっても、キャニスタ側システムの漏れ検出を行うことができる。
第一実施形態において、第二実施形態のS403のように、S102において検出される差圧ΔPs1に基づいて燃料タンク側システムの漏れの有無を判定してもよい。
第二実施形態では、正圧状態の燃料タンクに対して燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出などを行うとした。しかしながら、図21に示すように、負圧状態の燃料タンクに対しても燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出を行うことができる。また、第二実施形態による蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内及びキャニスタ内を減圧可能なポンプを備えるとした。しかしながら、図22に示すように、燃料タンク内及びキャニスタ内を加圧可能なポンプによっても、燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出を行うことができる。
第二実施形態では、S407において、差圧ΔPが所定の範囲内となっているか、または、所定の時間が経過しているか否かを判定するとした。このとき、密閉弁の状態を判定することが可能である。具体的には、差圧ΔPが0を含む所定の範囲内となっている場合、圧力P1と圧力P2との差が比較的小さいことが予想されるため、密閉弁が確実に開いていると考えられる。また、差圧ΔPの時間変化量が所定の範囲外となっている場合も同様に密閉弁が確実に開いていると考えられる。また、このときの密閉弁の状態の判定方法は、これに限定されない。蒸発燃料処理装置の空間容量などによって決められた減圧時間を基準に密閉弁の状態を判定してもよい。また、ポンプによる減圧を所定の時間行った後、差圧ΔPが所定値よりも大きい場合、漏れ穴における気体の流れの発生によって圧損を生じていることが予想されるため、全体システムに漏れがあると判定してもよい。
第二実施形態では、ポンプによって減圧された燃料タンクを密閉弁で締め切った後の圧力変化に基づいて全体システムの漏れの有無を判定するとした。しかしながら、全体システムの漏れの有無を判定する方法は、これに限定されない。例えば、図23に示すように、燃料タンク84内の燃料の温度を検出可能な温度センサ35を備える場合、時間に対する燃料タンク84内の燃料の温度変化と燃料タンク84内の圧力の変化に基づいて燃料蒸気の漏れを検出する内圧法を用いてもよい。
第二実施形態に、第一実施形態のパージ弁14及び密閉弁82の異常検出方法、及び、燃料タンク84への給油時の作用を適用してもよい。
第三実施形態では、正圧状態の燃料タンクに対して、キャニスタ及び燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出を行いつつ複数の弁の異常を検出可能であるとした。しかしながら、図24に示すように、負圧状態の燃料タンクに対してもキャニスタ及び燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出を行いつつ複数の弁の異常を検出可能である。
また、第三実施形態では、燃料タンク内の圧力が大気圧近傍であってもキャニスタ及び燃料タンクの燃料蒸気の漏れ検出を行いつつ複数の弁の異常を検出可能である。このときの蒸発燃料処理装置の特性図を図25に示す。
時刻t53の後の時刻t74において、密閉弁82を開けるとともにパージ弁14を閉じる。ECU83は、密閉弁82に開弁する指令を出力し、パージ弁14に閉弁する指令を出力する。これにより、燃料タンク84内は、第一パージ管11、キャニスタ81、キャニスタ接続管19、及び、第一切替弁25を介して圧力検出通路231に連通するため、ポンプ27によって減圧される(図25の時刻t74と時刻t75との間の実線L7c1)。これにより、差圧ΔPは、図25の時刻t74と時刻t75との間の点線L7a1のような時間変化を示す。
一方、密閉弁82が固着している場合、圧力P2は、図25の時刻t74と時刻t75との間の点線L7c2のように時刻t74前の状態から変化しない。これにより、差圧ΔPは、図11の時刻t52と時刻t53との間の点線L5a2のような時間変化を示す。これにより、密閉弁82の固着異常を検出することが可能である。
時刻t75において、密閉弁82を閉じる。ECU83は、密閉弁82に閉弁する指令を出力する。その後、時刻t76において、第一切替弁25及びポンプ27への電力の供給を停止する。これにより、燃料タンク84内に漏れ判定用の比較的高圧の気体が確実に封入される。
時刻t75において密閉弁82を閉じると、図25に示すように、時刻t75以降の圧力P2は、比較的緩やかに上昇する(図25の時刻t75以降の実線L7c3)。これにより、差圧ΔPは、図25の時刻t75と時刻t76との間の実線L7a3のような時間変化を示す。しかしながら、燃料タンク側システムに漏れ穴がある場合、大気が流入するため、時刻t75以降の圧力P2は、比較的急速に上昇する(図25の時刻t75以降の点線L7c4)。これにより、差圧ΔPは、図25の時刻t75と時刻t76との間の点線L7a4のような時間変化を示す。これにより、燃料タンク側システムの漏れの有無を判定することが可能である。
その後、時刻t77において、ポンプ27の駆動を開始する。これにより、圧力検出通路231は、基準オリフィス31を介して吸引される大気の圧力となる。ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて二回目の基準圧Prefを算出する。時刻t78において、ポンプ27への電力の供給を停止する。
このように、燃料タンク84内の圧力が大気圧であっても、ポンプ27による減圧によって蒸発燃料処理装置が備える複数の弁の異常を判定しつつ、蒸発燃料の漏れの有無を判定することができる。この効果は、燃料タンク内を加圧可能なポンプを備える蒸発燃料処理装置であっても同様である。
第三実施形態に、第一実施形態の燃料タンク84への給油時の作用を適用してもよい。
第一〜三実施形態では、密閉弁は、燃料タンクとキャニスタとを接続する第一パージ管に設けられるとした。しかしながら、密閉弁は、図26に示す蒸発燃料処理装置2のように、キャニスタと切替弁とを接続するキャニスタ接続管にも設けられてもよい。
第四実施形態では、燃料タンク内及びキャニスタ内を減圧可能なポンプを備えるとした。しかしながら、燃料タンク内及びキャニスタ内を加圧可能なポンプによっても、燃料蒸気の漏れ検出及び蒸発燃料処理装置の各部の異常検出を行うことができる。
第四実施形態では、密閉弁は、燃料タンクとキャニスタとを接続する第一パージ管に設けられるとした。しかしながら、密閉弁は、図27に示す蒸発燃料処理装置5のように、キャニスタと切替弁とを接続するキャニスタ接続管にも設けられてもよい。このときの燃料蒸気の漏れ検出及び蒸発燃料処理装置5の各部の異常検出方法について、図28,29に基づいて説明する。
最初に、S601において、差圧ΔPs6を検出する。
次に、S602において、差圧ΔPs6が0ではないか否かを判定する。S602では、ECU83は、S601において検出した差圧ΔPs6が0ではないか否かを判定する。ECU83が差圧ΔPs6は0ではない、すなわち、燃料タンク84内及びキャニスタ81内が正圧または負圧であると判定する場合、S603に進む。ECU83が差圧ΔPs6は0であると判定する場合、S608に進む。
S602において差圧ΔPs6は0ではないと判定されると、S603において、ECU83は、全体システムに漏れなしと判定する。
S603において全体システムに漏れなしと判定されると、S604において、パージ弁14を開く。S604では、ECU83は、パージ弁14を開弁する指令を出力する。
次に、S605において、差圧ΔPの絶対値が所定の時間内に所定値以下となるか否かを判定する。S605では、ECU83は、差圧センサ33が出力する信号に基づいて、差圧ΔPの絶対値の大きさを判定する。ここで、「所定値」とは、S602における差圧ΔPの絶対値である。パージ弁14が正常に作動する場合、差圧ΔPの絶対値は、所定値に比べ小さくなる。差圧ΔPの絶対値が所定の時間内に0以上所定値以下となっていると判定されると、S606に進む。パージ弁14が固着などによって正常に作動しない場合、差圧ΔPの絶対値は、S602における差圧ΔPの絶対値のままとなる。差圧ΔPの絶対値が所定の時間内に所定値のままであると判定されると、S607に進む。
S605において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以下となっていると判定されると、S606において、ECU83は、パージ弁14の固着はないと判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
一方、S605において差圧ΔPが所定の時間内に所定値のままである判定されると、S607において、ECU83は、パージ弁14が閉状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
一方、S602において差圧ΔPs6は0であると判定されると、図29に示すS608において、第二切替弁333に電力を供給する。
次に、S609において、ポンプ27の駆動を開始する。
次に、S610において、ECU83は、ポンプ27の駆動を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化したか否かを判定する。ポンプ27が正常に作動する場合、差圧ΔPは、正の方向に変化する。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化したと判定されると、S611に進む。一方、ポンプ27が固着などによって正常に作動しない場合、差圧ΔPは、ポンプ27が駆動を開始しても大きく変化しない。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化しなかったと判定されると、S623に進む。
S610において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化したと判定されると、S611において、ECU83は、ポンプ27は正常であると判定する。
一方、S610において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上正の方向に変化していないと判定されると、S623において、ECU83は、ポンプ27は、OFF状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S611においてポンプ27は正常であると判定された後、S612において、差圧ΔPが規格内である否かを判定する。S612では、ECU83は、S610における差圧ΔPが所定の規格内であるか否かを判定する。差圧ΔPが所定の規格内である場合、S613に進む。差圧ΔPが所定の規格内でない場合、S624に進む。
S612において差圧ΔPが所定の規格内であると判定されると、S613において、ECU83は、S612における差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録する。
一方、S612において差圧ΔPが所定の規格内でないと判定されると、S624において、ECU83は、ポンプ27または基準オリフィス31が異常であると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S613においてS612における差圧ΔPを差圧ΔPrefとして記録した後、S614において、第一切替弁25に電力を供給する。S614では、ECU83は、第一切替弁25に電力を供給する。
次に、S615において、ECU83は、第一切替弁25への電力の供給を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したか否かを判定する。ここで、S615における所定の時間とは、第一切替弁25への電力の供給を開始した直後の比較的短い時間を指す。また、S615における所定値とは、例えば、第一切替弁25への電力の供給を開始した時刻における差圧ΔPと大気圧付近の圧力との差分のような、比較的大きな値を指す。第一切替弁25が正常に作動する場合、差圧ΔPは、所定値以上負の方向に変化する。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S616に進む。一方、第一切替弁25が正常に作動しない場合、差圧ΔPは、所定値以上負の方向に変化しない。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S625に進む。
S615において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S616において、ECU83は、第一切替弁25の固着はないと判定する。
一方、S615において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S625において、ECU83は、第一切替弁25は、OFF状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S616において第一切替弁25の固着はないと判定された後、S617において密閉弁82に電力を供給する。S617では、ECU83は、密閉弁82に電力を供給する。
次に、S618において、ECU83は、密閉弁82への電力の供給を開始してから差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したか否かを判定する。密閉弁82が正常に作動する場合、燃料タンク84の燃料蒸気が圧力検出通路231に流れ込むため、圧力P1は、正の方向に変化する。このため、差圧ΔPは、負の方向に変化する。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S619に進む。一方、密閉弁82が正常に作動しない場合、差圧ΔPは、大きく変化しない。差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S626に進む。
S618において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化したと判定されると、S619において、ECU83は、密閉弁82の固着はないと判定する。
一方、S618において差圧ΔPが所定の時間内に所定値以上負の方向に変化しなかったと判定されると、S626において、ECU83は、密閉弁82は、OFF状態、すなわち、燃料タンク84内とキャニスタ81内とが第一パージ通路111を介して連通していない状態で固着していると判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S619において密閉弁82の固着はないと判定されると、S620において、差圧ΔPが差圧ΔPrefより大きいか否かを判定する。S620では、ECU83は、S618における差圧ΔPの大きさを差圧ΔPrefの大きさと比較する。S618における差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S621に進む。S618における差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S627に進む。
S620においてS618における差圧ΔPが差圧ΔPrefに比べ大きいと判定されると、S621において、ECU83は、全体システムに漏れなしと判定する。
一方、S620においてS618における差圧ΔPが差圧ΔPref以下であると判定されると、S627において、ECU83は、第二切替弁333がOFF状態で固着している、または、全体システムに漏れありと判定する。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
S621において全体システムに漏れなしと判定されると、S622において、パージ弁14の異常診断を行う。S622において行われるパージ弁14の異常診断は、第四実施形態と同様である。その後、今回の燃料蒸気の漏れ検出を終了する。
このように、密閉弁82をキャニスタ接続管19に設ける場合でも、蒸発燃料処理装置5の燃料蒸気の漏れ検出及び各部の異常検出を行うことができる。また、蒸発燃料処理装置5が備えるポンプ27が加圧可能なポンプであっても燃料蒸気の漏れ検出及び各部の異常検出を行うことができる。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲の種々の形態で実施可能である。