JP2019027311A - 4サイクルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】未燃の燃料成分の排出を抑制する。【解決手段】4サイクルエンジンは、ピストンと、吸気バルブおよび排気バルブと、吸気バルブを開弁させ、ピストンが下死点に到達する前に吸気バルブを閉弁させる吸気バルブ駆動部と、吸気バルブの開弁前に排気バルブを開弁させて排気バルブの第1の開弁状態を維持し、吸気バルブの開弁後であって閉弁前に排気バルブを閉弁させ、吸気バルブが閉弁してからピストンが下死点に到達するまでの間(期間E)の少なくとも一部期間中、排気バルブを第2の開弁状態に維持する排気バルブ駆動部と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、吸気バルブおよび排気バルブが開閉する4サイクルエンジンに関する。
4サイクルエンジンでは、排気行程で排気バルブが開弁状態となり、シリンダ内の燃焼生成物と不活性物質が排気ガスとして排気される。吸気行程では、吸気バルブが開弁状態となり、シリンダ内に吸気が導かれる。このとき、例えば、特許文献1に記載のように、排気バルブの閉弁完了前に、吸気バルブを開き始める所謂バルブオーバラップ制御が行われる場合がある。また、ピストンが下死点に到達する前に、排気バルブを再度開閉する所謂2段階リフト制御が行われる場合がある。
特許第6089639号公報
上記のように、バルブオーバラップ制御が遂行される場合、未燃の燃料成分の一部が排気バルブから排出される可能性がある。そのため、未燃の燃料成分の排出を抑制する技術の開発が希求されている。
本開示は、このような課題に鑑み、未燃の燃料成分の排出を抑制することが可能な4サイクルエンジンを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本開示の4サイクルエンジンは、ピストンと、吸気バルブおよび排気バルブと、吸気バルブを開弁させ、ピストンが下死点に到達する前に吸気バルブを閉弁させる吸気バルブ駆動部と、吸気バルブの開弁前に排気バルブを開弁させて排気バルブの第1の開弁状態を維持し、吸気バルブの開弁後であって閉弁前に排気バルブを閉弁させ、吸気バルブが閉弁してからピストンが下死点に到達するまでの間の少なくとも一部期間中、排気バルブを第2の開弁状態に維持する排気バルブ駆動部と、を備える。
排気バルブ駆動部は、ピストンが下死点に位置するとき、排気バルブを閉弁状態に維持してもよい。
排気バルブ駆動部は、ピストンが下死点に位置するとき、第2の開弁状態における排気バルブの開度を最大にしてもよい。
排気バルブ駆動部は、吸気バルブの閉弁後に、排気バルブを開弁させて第2の開弁状態としてもよい。
排気バルブ駆動部は、吸気バルブの閉弁前に、排気バルブを開弁させて第2の開弁状態としてもよい。
本開示によれば、未燃の燃料成分の排出を抑制することが可能となる。
4サイクルエンジンの概略的な構成を示す図である。 バルブ開閉タイミングを説明するための図である。 第1変形例におけるバルブ開閉タイミングを説明するための図である。 第2変形例におけるバルブ開閉タイミングを説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、4サイクルエンジン100の概略的な構成を示す図である。図1では、吸気ポート104a、排気ポート104b、および、点火装置118を同一断面上に図示する。ただし、吸気ポート104a、排気ポート104b、および、点火装置118は、同一断面上に位置せずともよい。
図1に示すように、4サイクルエンジン100は、シリンダ102、シリンダヘッド104、および、ピストン106を備える。ピストン106は、シリンダ102内に収容される。シリンダ102、シリンダヘッド104、および、ピストン106によって、燃焼室108が形成される。
シリンダヘッド104には、吸気ポート104aおよび排気ポート104bが形成される。吸気ポート104aおよび排気ポート104bは、燃焼室108に開口する。吸気バルブ110aは、吸気ポート104aのうち、燃焼室108側の開口を開閉する。排気バルブ110bは、排気ポート104bのうち、燃焼室108側の開口を開閉する。
吸気配管112aは、吸気ポート104aに接続される。吸気配管112aには、吸気が導かれる。吸気配管112aおよび吸気ポート104aを介して、燃焼室108に吸気が流入する。排気配管112bは、排気ポート104bに接続される。燃焼室108から排気ポート104bに排出された排気は、排気配管112bを介して外部に排出される。
燃料ガス配管114は、不図示の燃料タンクや都市ガスなどのパイプラインといった燃料供給源、および、燃料噴射ノズル116に接続される。燃料噴射ノズル116は、燃料バルブ116aによって開閉される。燃料噴射ノズル116の先端部は、吸気ポート104aに突出する。燃料ガス配管114は、燃料噴射ノズル116を介して吸気ポート104aと連通している。燃料ガス配管114には、燃料供給源から燃料ガスが導かれる。燃料バルブ116aによって燃料噴射ノズル116が開かれると、燃料ガス配管114の燃料ガスが吸気ポート104aに流入する。
燃料ガスは、例えば、LNG(液化天然ガス)をガス化して生成されるものとする。ただし、燃料ガスは、LNGに限らず、例えば、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油等をガス化したものを適用することもできる。
また、シリンダヘッド104には、点火装置118が配される。点火装置118の先端部は、燃焼室108内に突出する。
吸気バルブ駆動部120および排気バルブ駆動部122は、例えば、カム機構で構成される。吸気バルブ駆動部120の吸気カムシャフト120a、および、排気バルブ駆動部122の排気カムシャフト122aには、不図示のクランクシャフトの回転動力が伝達される。吸気バルブ駆動部120は、吸気カムシャフト120aの回転に伴って吸気カム120bが回転することで、吸気バルブ110aのロッド部を押圧し、吸気バルブ110aを開閉する。排気バルブ駆動部122は、排気カムシャフト122aの回転に伴って排気カム122bが回転することで、排気バルブ110bのロッド部を押圧し、排気バルブ110bを開閉する。また、吸気バルブ110aおよび排気バルブ110bの開閉タイミングを可変させる、所謂可変バルブ機構が設けられてもよい。可変バルブ機構としては、例えば、吸気カムシャフトや排気カムシャフトを、クランクシャフトに対して進角または遅角させるものであってもよい。
また、ここでは、吸気バルブ駆動部120および排気バルブ駆動部122がカム機構で構成される場合について説明した。ただし、吸気バルブ駆動部120および排気バルブ駆動部122は、例えば、電動アクチュエータで構成されてもよい。この場合、例えば、不図示のECU(Engine Control Unit)は、不図示のクランク角センサから出力された信号に基づき、後述するバルブ開閉タイミングに応じて、吸気バルブ駆動部120、排気バルブ駆動部122を駆動させる。
図2は、バルブ開閉タイミングを説明するための図である。図2中、一点鎖線A、二点鎖線Bは、排気バルブ110bのバルブリフト量を示す。図2中、破線Cは、吸気バルブ110aのバルブリフト量を示す。
図2に一点鎖線Aで示すように、燃焼・膨張行程において、排気バルブ駆動部122は、排気バルブ110bの開弁を開始する。すなわち、排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点(クランク角180度)に到達する前に、排気バルブ110bを開弁させる(開弁を開始する、開度を0より大きくする)。
排気行程において、排気バルブ110bのバルブリフト量が最大となった後、バルブリフト量が減少に転じる。排気バルブ駆動部122は、ピストン106が上死点(クランク角360度)に到達した後、吸気行程において、排気バルブ110bを閉弁させる(閉弁を完了する、開度0とする)。一点鎖線Aで示した排気バルブ110bの開閉動作を、第1の開閉動作と称する。
また、破線Cで示すように、吸気バルブ駆動部120は、排気行程において、ピストン106が上死点(クランク角360度)に到達する前に、吸気バルブ110aの開弁を開始する。吸気バルブ駆動部120は、第1の開閉動作における排気バルブ110bの閉弁前に、吸気バルブ110aを開弁させる(所謂バルブオーバラップ制御)。
その後、吸気バルブ駆動部120は、吸気行程において、ピストン106が下死点(クランク角540度)に到達する前に、吸気バルブ110aを閉弁させる。
このように、第1の開閉動作において、排気バルブ駆動部122は、吸気バルブ110aの開弁前に排気バルブ110bを開弁させ、吸気バルブ110aの開弁後であって、かつ、吸気バルブ110aの閉弁前に排気バルブ110bを閉弁させる。
また、吸気バルブ駆動部120は、図2中、破線Dで示す通常のサイクルよりも、吸気バルブ110aを早く閉じる(早閉じミラーサイクル)。ここでは、例えば、吸気バルブ110aの開弁期間は、排気バルブ110bの第1の開閉動作における開弁期間よりも短い。吸気バルブ110aを下死点より早く閉じることにより、有効圧縮比が下がり圧縮温度が下がることから、ノッキング等の異常燃焼が防止される。そして、高膨張比を得ることにより、熱効率を高くすることが可能となる。
二点鎖線Bで示すように、排気バルブ駆動部122は、吸気行程において、吸気バルブ110aの閉弁前に、排気バルブ110bを開弁させる。また、排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点(クランク角540度)に到達する前に、排気バルブ110bを開弁させる。
排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点(クランク角540度)に到達した後、排気バルブ110bを閉弁させる。以下、二点鎖線Bで示した排気バルブ110bの開閉動作を、第2の開閉動作と称する。また、第1の開閉動作中の排気バルブ110bの開弁状態を第1の開弁状態と称し、第2の開閉動作中の排気バルブ110bの開弁状態を第2の開弁状態と称する。第2の開弁状態における排気バルブ110bのバルブリフト量は、第1の開弁状態における排気バルブ110bのバルブリフト量よりも小さい。
このように、排気バルブ駆動部122は、排気バルブ110bを1サイクル中に2回開閉する所謂2段階リフト制御を遂行する。
第1の開閉動作において、排気ガスは、排気ポート104bを介して燃焼室108から排出される。また、吸気バルブ110aが開くと、燃焼室108に吸気が導かれる。このとき、吸気には燃料噴射ノズル116から噴射された燃料ガスが含まれている。吸気バルブ110aが閉じられると、圧縮行程において圧縮された吸気と燃料ガスの混合気は、点火装置118によって点火されて燃焼する。
上記のように、バルブオーバラップ制御が遂行される場合、燃焼室108に導かれた吸気の一部がそのまま排気されるおそれがある。このとき、吸気に含まれる未燃の燃料成分まで排気されてしまう可能性がある。特に、吸気バルブ110aが閉じたとき、吸気ポート104aには、燃焼室108に吸引されずに高濃度の燃料ガスが滞留している。そして、吸気ポート104aに滞留した燃料ガスは、次のサイクルのバルブオーバラップ期間に燃焼室108を素通りし、排気バルブ110bを通って高濃度の状態で排気ポート104bに滞留している。
そこで、排気バルブ駆動部122は、吸気バルブ110aが閉弁してから、ピストン106が下死点に到達するまでの間(図2中、期間E)の少なくとも一部期間中、排気バルブ110bを第2の開弁状態に維持する。その結果、仮に、吸気に含まれる未燃の燃料成分が、排気バルブ110bの第1の開閉動作において、排気ポート104bに排出されていたとしても、第2の開閉動作によって、排気ポート104bから燃焼室108に還流する。燃焼室108に還流した未燃の燃料成分は、燃焼行程において燃焼される。そのため、未燃の燃料成分の排出が抑制され、燃焼効率を向上することが可能となり、エンジンの熱効率が向上する。
また、排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点に位置するときに、第2の開閉動作における排気バルブ110bのバルブリフト量(開度)を最大にする。ピストン106が下死点に位置するとき、シリンダ内圧力が最も低い状態となる。このとき、排気バルブ110bの開度が最大となっていることで、排気ポート104bから燃焼室108へ、未燃の燃料成分の効率的な還流が可能となる。
また、排気バルブ駆動部122は、吸気バルブ110aの閉弁前に、排気バルブ110bを開弁させる。こうして、上記の第2の開閉動作が開始し、排気バルブ110bが第2の開弁状態となる。すなわち、第2の開閉動作においても、吸気バルブ110aの開弁期間と排気バルブ110bの開弁期間をオーバラップさせる。第2の開閉動作の期間を長く確保し、未燃の燃料成分の還流量を多く確保することが可能となる。
図3は、第1変形例におけるバルブ開閉タイミングを説明するための図である。図3中、一点鎖線A、二点鎖線Bは、排気バルブ110bのバルブリフト量を示す。図3中、破線Cは、吸気バルブ110aのバルブリフト量を示す。
図3に示すように、第1変形例において、排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点に到達するよりも前に、排気バルブ110bを閉弁させる。排気バルブ駆動部122は、ピストン106が下死点に位置するとき、排気バルブ110bを閉弁状態に維持する。すなわち、ピストン106による圧縮が開始される前に、排気バルブ110bが閉弁される。そのため、未燃の燃料成分が還流した後、再び、排気ポート104bへ排出されてしまう事態が回避される。
図4は、第2変形例におけるバルブ開閉タイミングを説明するための図である。図4中、一点鎖線A、二点鎖線Bは、排気バルブ110bのバルブリフト量を示す。図4中、破線Cは、吸気バルブ110aのバルブリフト量を示す。
図4に示すように、第2変形例において、排気バルブ駆動部122は、吸気バルブ110aの閉弁後に、排気バルブ110bを開弁させる。こうして、上記の第2の開閉動作が開始し、排気バルブ110bが第2の開弁状態となる。また、排気バルブ駆動部122は、上述した実施形態と同様、ピストン106が下死点に位置するときに、第2の開閉動作における排気バルブ110bのバルブリフト量(開度)を最大にする。
このように、吸気バルブ駆動部120は、第2の開閉動作の開始前に、吸気バルブ110aを閉弁する。そのため、第2の開閉動作において、排気ポート104bから燃焼室108に還流した排気ガスが、吸気ポート104aへ逆流する事態が回避される。
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、4サイクルエンジン100は、車載などの小型のエンジンであってもよいし、舶用などの中型または大型のエンジンであってもよい。特に、エンジンが大きいほど、過給機の効率が高くなることから、排気圧よりも吸気圧の方が高くなる傾向がある。そのため、上記の第2の開閉動作があっても、排気ポート104bから燃焼室108への還流が生じ難い。このとき、上記のように早閉じミラーサイクルとすることで、排気圧と吸気圧との圧力差を抑えて、還流を生じやすくさせることができる。
また、吸気バルブ110aおよび排気バルブ110bの開閉動作は、上述した実施形態および各変形例の構成を、適宜組み合わせて用いることも可能である。例えば、第2の開閉動作として、排気バルブ110bは、吸気バルブ110aの閉弁後に開弁し、ピストン106が下死点に到達する前に閉弁してもよい。また、第2の開閉動作として、排気バルブ110bは、吸気バルブ110aの閉弁後に開弁し、ピストン106が下死点に位置するとき、閉弁状態であってもよい。また、第2の開閉動作として、排気バルブ110bは、吸気バルブ110aの閉弁後に開弁し、ピストン106が下死点に位置するとき、閉弁状態であってもよい。
また、上述した実施形態および各変形例では、燃料として気体の燃料ガスが用いられる場合について説明した。ただし、燃料ガスに限らず、液体燃料が用いられてもよい。この場合、霧状に噴霧された液体燃料が気化して燃料ガスとなり、燃料ガスが排気ポート104bに排出されると、上記のように、第2の開閉動作によって、燃焼室108に還流する。
また、上述した実施形態および各変形例では、吸気ポート104aに燃料ガスが噴射される場合について説明した。吸気ポート104aに燃料ガスが噴射される場合(ポート噴射型)、第2の開閉動作による上記の効果が大きい。ただし、燃料ガスが燃焼室108に直接噴射されてもよい(直噴型)。
本開示は、吸気バルブおよび排気バルブが開閉する4サイクルエンジンに利用することができる。
100 4サイクルエンジン
106 ピストン
110a 吸気バルブ
110b 排気バルブ
120 吸気バルブ駆動部
122 排気バルブ駆動部

Claims (5)

  1. ピストンと、
    吸気バルブおよび排気バルブと、
    前記吸気バルブを開弁させ、前記ピストンが下死点に到達する前に前記吸気バルブを閉弁させる吸気バルブ駆動部と、
    前記吸気バルブの開弁前に前記排気バルブを開弁させて前記排気バルブの第1の開弁状態を維持し、前記吸気バルブの開弁後であって閉弁前に前記排気バルブを閉弁させ、前記吸気バルブが閉弁してから前記ピストンが下死点に到達するまでの間の少なくとも一部期間中、前記排気バルブを第2の開弁状態に維持する排気バルブ駆動部と、
    を備える4サイクルエンジン。
  2. 前記排気バルブ駆動部は、前記ピストンが下死点に位置するとき、前記排気バルブを閉弁状態に維持する請求項1に記載の4サイクルエンジン。
  3. 前記排気バルブ駆動部は、前記ピストンが下死点に位置するとき、前記第2の開弁状態における前記排気バルブの開度を最大にする請求項1に記載の4サイクルエンジン。
  4. 前記排気バルブ駆動部は、前記吸気バルブの閉弁後に、前記排気バルブを開弁させて前記第2の開弁状態とする請求項1から3のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。
  5. 前記排気バルブ駆動部は、前記吸気バルブの閉弁前に、前記排気バルブを開弁させて前記第2の開弁状態とする請求項1から3のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。
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