JP2019027094A - コンクリート棒状部材、およびコンクリート棒状部材の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート棒状部材10は、棒状のコンクリート体11と、コンクリート体11に埋設された鉄骨芯材12と、を備える。鉄骨芯材12は、コンクリート体11の上下端面から突出しており、コンクリート体11の少なくとも下端面では、鉄骨芯材12に鋼板22が接合されている。鋼板22は、コンクリート体11の中央部より外側に向うに従って上がっている。
【選択図】図4
Description
この発明によれば、コンクリート体の下端面から鉄骨芯材が突出しており、このコンクリート体の下端面において、コンクリート体の中央部より外側に向うに従って上がる鋼板を鉄骨芯材に接合した。よって、コンクリート棒状部材の下に後打ちでコンクリート体を形成する場合に、鋼板の勾配の効果により、コンクリート棒状部材と後打ちのコンクリート体との打継ぎ境界面に溜まる気泡を低減して、密実なコンクリート体を後打ちで形成できる。
また、コンクリート棒状部材の下に後打ちでコンクリート体を形成する場合、コンクリート棒状部材と後打ちのコンクリート体との打継ぎ境界面に溜まる気泡を低減できるので、従来のようにこの打継ぎ境界面の隙間に注入剤を注入しなくても、コンクリートの未充填部が形成されることはなく、密実な後打ちコンクリート体を形成できるから、短工期かつ低コストで、鉄骨鉄筋コンクリート造であるコンクリート棒状部材の接合構造を構築できる。
また、コンクリート棒状部材のコンクリート体の端面に設けた鋼板は、このコンクリート体の型枠材として機能する。
また、プレキャストコンクリート造のコンクリート棒状部材と現場打設した高流動コンクリートとを一体化できるから、短工期かつ低コストでコンクリート棒状部材の接合構造を構築できる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート棒状部材の接合構造1の側面図である。図2は、コンクリート棒状部材の接合構造1の接合部(柱接合部2)を拡大した側面図である。図3(a)は、図2のコンクリート棒状部材10のA−A断面図であり、図3(b)は、図2のコンクリート棒状部材10のB−B矢視図である。
コンクリート棒状部材10は、プレキャストコンクリート造であり、鉛直方向に延びる断面正方形の四角柱状(棒状)のコンクリート体11と、コンクリート体11に埋設された鉄骨芯材12および柱鉄筋13と、を備える。
柱鉄筋13は、水平断面視で鉄骨芯材12を囲んで環状に配置された12本の柱主筋30と、これら柱主筋30に巻かれて鉛直方向に所定間隔おきに設けられた複数の帯筋31と、を備える。
また、各鋼板22には、貫通孔24が設けられている。工場にて、コンクリート棒状部材10のコンクリート体11のコンクリートを打設する場合、鋼板22を型枠として用いて、この貫通孔24を空気抜き孔とする。
コンクリート体11の下端面において、鋼板が設けられた部分を領域A1とする。また、鉄骨芯材が設けられた正方形状の部分のうち領域A1を除く部分を領域A2とする。また、鉄骨芯材が設けられた正方形状の部分の外側の正方形枠状の部分を領域A3とする。
これにより、4つの鋼板22の合計表面積は、コンクリート体の下端面の表面積より小さくなっている。
鋼板22の下面である領域A1には、コンクリート体の下端面の中央部から端部に向かうに従って上がる勾配が設けられている。具体的には、この領域A1の水平面に対する角度αは、5度以上30度以下である。
この角度αについては、以下の手順で決定した。すなわち、RCスラブに柱や支持部材を介して鉛直荷重が集中的に作用した場合、このRCスラブが押抜きせん断破壊する際に、RCスラブに30度〜35度の傾斜面を有するせん断破壊面が形成されることが知られている(F.レオンハルト(日本語翻訳):鉄筋コンクリートの設計、鹿島出版会)。そこで、角度αの上限値を、既往の知見を踏まえて、せん断破壊面の下限値である30度とした。また、角度αを5度、10度とした場合については、後述の柱接合部の圧入施工試験で確認した。
コンクリート面である領域A2には、勾配が設けられていない。
コンクリート面である領域A3には、コンクリート体の下端面の中央部から端部側に向かう従って上がる勾配が設けられている。具体的には、この領域A3の水平面に対する角度βは、領域A1と同様に、5度以上30度以下である。
したがって、コンクリート体11の下端面では、図4(a)に示すように、鉄骨芯材で囲まれた内側領域A1および鉄骨芯材の外側領域A3は、断面中央より外側に向って上り勾配を有しており、中間領域A2は略水平となっている。
なお、本実施形態では、コンクリート体11の上端面から鉄骨芯材12を突出させたが、これに限らず、鉄骨芯材を突出させなくてもよい。また、本実施形態では、コンクリート体11の上端面に設けた鋼板22について、コンクリート体11の上端面の中央部から端部に向かうに従って上がる勾配を設けたが、これに限らず、図5(b)に示すように、コンクリート体11の上端面を略水平面としてもよい。または、図5に示すコンクリート体の上端面においては、鉄骨芯材に鋼板を溶接することなく、型枠材を使用して上端面を形成させてもよい。具体的には、コンクリート体の上端面を略水平面にする際は、型枠材を用いてコンクリート体のコンクリートを打設することによって鋼板を設けなくてもよい。
まず、図2に示すように、上下のコンクリート棒状部材10の鉄骨芯材12同士をボルト接合または溶接接合により接合し、この柱接合部2に柱主筋30および帯筋31を配筋する。
ここで、圧入口41の高さ位置は側型枠40Aの中間高さとし、圧力抜き孔42の高さ位置は、側型枠40C、40Dの上端とする。
高流動コンクリートは、スランプフロー(フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す指標)が55cm〜70cm、ブリーディング量(水分が分離して上澄みとなる量)が0.1cm3/cm2以下である。
また、この圧入作業は、圧力抜き孔42からコンクリートが溢れ出て、コンクリート面の高さ位置が上側のコンクリート棒状部材10のコンクリート体11の下端面よりも上になるまで行う。このようにして、上下のコンクリート棒状部材10のコンクリート体11同士の間に高流動コンクリートを充填する。
以下、鋼板の勾配とコンクリートの圧縮強度との関係を検証する実験を行った。
まず、図7(a)に示すように、先打ちコンクリート体および後打ちコンクリート体からなる3体の円柱形状の試験体1〜3(φ100mm×高さ200mm)を製作する。
具体的には、まず、図7(b)に示すように、円柱形状の先打ちコンクリート体(φ100mm×高さ100mm程度)3体製作する。次に、これら先打ちコンクリート体の上端面を水平面に対する勾配がθとなるように切断する。試験体1では勾配θを0度とし、試験体2では勾配θを5度とし、試験体3では勾配θを10度とする。その後、先打ちコンクリート体の上にコンクリートを打設して、後打ちコンクリート体を形成する。
よって、試験体1(勾配0度)に対する圧縮強度比は、試験体2(勾配5度)が1.01倍、試験体3(勾配10度)が1.01倍であり、勾配θが10度以下である試験体2および試験体3の圧縮強度は、試験体1(勾配0度)の圧縮強度と同等であった。よって、圧縮強度の試験結果から、鋼板の勾配を、0度を上回ってかつ10度以下とすることが望ましいことが確認できた。
以下の条件で柱接合部の圧入施工試験を行った。
柱接合部の大きさ:850mm×850mm×1300mm
柱主筋: 12本−D35
補強筋: D16
帯筋: D16−□−@100mm
鉄骨芯材:SH−550mm×200mm×12mm×25mm
CT−275mm×200mm×12mm×25mm
側型枠に設けた各圧力抜き孔の大きさは、幅200mm×高さ80mmとした。
圧力抜き孔を設けた側型枠には、直径20mmの空気抜き孔を1箇所に設けるとともに、圧力抜き孔を設けていない側型枠には、直径20mmの空気抜き孔を3箇所に設けた。
(1)鉄骨芯材12のうちコンクリート体11の下端面に位置する部分に、外側に向うに従って上がる勾配を有する鋼板22を設けた。よって、コンクリート棒状部材10の下に後打ちで柱接合部2のコンクリート体を形成する場合に、コンクリート棒状部材10と後打ちのコンクリート体との打継ぎ境界面に溜まる気泡を低減して、密実なコンクリート体を形成できる。また、コンクリート棒状部材10のコンクリート体11の下端面において、鉄骨芯材12に鋼板22を設けたので、この鋼板22がコンクリート体11の型枠材として機能し、短工期でコンクリート棒状部材10を構築できる。
また、コンクリート棒状部材10の下に後打ちで柱接合部2のコンクリート体を形成する場合、コンクリート棒状部材10と後打ちのコンクリート体との打継ぎ境界面に気泡が溜まらないので、従来のようにこの打継ぎ境界面の隙間に注入剤を注入しなくても、大きなコンクリートの未充填部が形成されることはなく、密実な後打ちコンクリート体を形成できるから、短工期かつ低コストでコンクリート棒状部材接合構造1を構築できる。
また、プレキャストコンクリート造のコンクリート棒状部材10と現場打設した高流動コンクリートによる柱接合部2とを一体化できるから、短工期かつ低コストでコンクリート棒状部材接合構造1を構築できる。
図9は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート棒状部材10Aのコンクリート体11の下端面およびこの下端面の縦断面の模式図である。
本実施形態では、鉄骨芯材12Aおよび鋼板22Aの形状が第1実施形態と異なる。
すなわち、鉄骨芯材12AはH形鋼であり、鉄骨芯材12Aのうちコンクリート体11の下端面に位置する部分には、水平方向に延びる2つの鋼板22Aが設けられている。
この鋼板22Aには、コンクリート体11の下端面の中央部から端部に向かうに従って上がる勾配が設けられており、この鋼板22Aの水平面に対する角度αは、5度以上10度以下である。具体的には、コンクリート体11の下端面において、H型鋼である鉄骨芯材12Aの内側で鋼板が設けられた部分を領域でA1とし、その領域A1の外側の部分を領域A3とする。領域A1と領域A3とは、同一の勾配を有している。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、コンクリート棒状部材10を、コンクリート体11に柱主筋30および帯筋31を設けた鉄骨鉄筋コンクリート構造としたが、これに限らない。例えば、コンクリート棒状部材を、コンクリート体に鉄骨芯材のみが設けられており、柱主筋や帯筋が配筋されていない鉄骨コンクリート構造としてもよいし、コンクリート体に柱主筋および帯筋に加えて緊張材を配置したプレストレスト鉄骨鉄筋コンクリート構造としてもよい。
10、10A…棒状部材 11…コンクリート体
12、12A…鉄骨芯材 13…柱鉄筋 14…コンクリート体
20…ウエブ 21…フランジ 22、22A…鋼板 23…貫通孔 24…貫通孔
30…柱主筋 31…帯筋
40A、40B、40C、40D…側型枠 41…圧入口 42…圧力抜き孔
Claims (3)
- 棒状のコンクリート体と、当該コンクリート体に埋設された鉄骨芯材と、を備えるコンクリート棒状部材であって、
前記鉄骨芯材は、前記コンクリート体の少なくとも下端面から突出しており、
前記コンクリート体の少なくとも下端面では、前記鉄骨芯材に鋼板が接合されており、
当該鋼板は、前記鉄骨芯材の軸方向に交差する方向に延びて、前記コンクリート体の中央部より外側に向うに従って上がっていることを特徴とするコンクリート棒状部材。 - 前記鋼板の表面積は、前記コンクリート体の端面の表面積より小さく、
当該鋼板には、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート棒状部材。 - 上下に配置された請求項1または2に記載のコンクリート棒状部材同士が接合されたコンクリート棒状の接合構造であって、
前記コンクリート棒状部材は、プレキャストコンクリート造であり、
前記上下のコンクリート棒状部材の鉄骨芯材同士は、溶接またはボルトにより接合されており、
前記上下のコンクリート棒状部材同士の間には、高流動コンクリートが充填されていること特徴とするコンクリート棒状部材の接合構造。
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CN116856554A (zh) * | 2023-02-16 | 2023-10-10 | 中交四公局第一工程有限公司 | 一种型钢混凝土组合结构辅助加固连接机构 |
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