JP2019026885A - 銅ナノ粒子粉体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
「炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥することを特徴とする、銅ナノ粒子粉体の製造」に関する。
これにより、微細配線描画用のプリンタブルエレクトロニクス用導電性ペースト、パワーデバイス用高耐熱接合材への適用が可能となり、銅ナノ粒子技術の実用化に貢献するものである。
<銅ナノ粒子粉体の製造方法>
本発明の銅ナノ粒子乾燥粉体の製造方法は、粒径が1〜100nmのポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥装置により乾燥させ再分散性に優れた銅ナノ粒子粉体を得ることを特徴とする。
本発明の銅ナノ粒子(B)は、後述のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合可能なものであれば特に限定されるものではなく、好ましくは銅ナノ粒子、銀コア銅シェルナノ粒子、銅コア銀シェルナノ粒子などが挙げられる。なかでも、銅ナノ粒子がより好ましい。
上記、銅ナノ粒子は一次粒子径が1〜100nmのものが好ましいが、耐酸化性、分散性の点から40〜80nmのものがより好ましい。
本発明で用いる分散剤(ポリエチレンオキシド含有有機化合物)中のポリエチレンオキシド部位は、水、アルコール系溶媒などとの親和性に優れることから、粉体化後の銅ナノ粒子の分散を可能とする。また、詳しい機構は不明であるが、ポリエチレンオキシド部位を有する分散剤は乾燥した銅ナノ粒子粉体の表面を効果的に被覆しており、他の分散剤にはない凝集抑制効果を示していると考えられる。
本発明の効果を説明する一例として、下記一般式(1)〜(3)で表されるチオエーテル型有機化合物が複合した銅ナノ粒子について詳述する。
W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−X (1)
[W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−]dY (2)
[W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−Ra−]tZ (3)
〔式(1)、(2)及び(3)中のWはC1〜C8のアルキル基であり、nは4〜100の繰り返し数を示す整数であって、XはC2〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R1−OH、−R1−NHR2、又は−R1−(COR3)m(但し、R1はC1〜C4の飽和炭化水素基であり、R2は水素原子、C2〜C4のアシル基、C2〜C4のアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC1〜C4のアルキル基又はC1〜C8のアルコキシ基を置換基として有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、R3はヒドロキシ基、C1〜C4のアルキル基又はC1〜C8のアルコキシ基であり、mは1〜3の整数である。)であり、Yは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜4価の基であって、C1〜C4の飽和炭化水素基又はC1〜C4の飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHRb−(RbはC1〜C4の飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基であり、dは2〜4の整数であり、RaはC2〜C5のアルキルカルボニルオキシ基であり、Zは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜6価の基であって、C2〜C6の飽和炭化水素基、C2〜C6飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHRc−(RcはC1〜C4の飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基、又はイソシアヌル酸−N,N’,N”−トリエチレン基であり、tは2〜6の整数である。〕
前記一般式(1)〜(3)中におけるエチレンオキシドを繰り返し単位として有する鎖状の官能基は、溶媒親和部として機能する。このポリエチレンオキシドの炭素数は、8〜200のものを用いることが好適であり、炭素数8〜100のものを用いることがより好適である。また、前記一般式(1)〜(3)中におけるエチレンオキシドを繰り返し単位として有する鎖状の官能基は炭素数が少ない程、有機成分が残りにくいため、炭素数8〜12程度のものが高導電性を示すペーストや信頼性を有する接合剤としてより好ましい。
前述のように、本発明においてチオエーテル型有機化合物は、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物であることが好ましい。これらのチオエーテル型有機化合物を製造する方法について、以下詳述する。
チオエーテル型有機化合物を簡便に製造する方法としては、例えばグリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)とチオール化合物(a2)とを反応させる方法が挙げられる。
グリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)の合成方法としては、例えば、ルイス酸存在下、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルをエピクロロヒドリンのオキシラン環に付加開環させた後、生成するクロロヒドリン体を濃厚アルカリ中で加熱再閉環する方法、過剰のアルコラートや濃厚アルカリなどの強塩基を用いて、一段階で反応させる方法が挙げられるが、より高純度のポリエーテル化合物(a1)を得る方法としては、カリウムt−ブトキシドを用いてポリエチレングリコールモノメチルエーテルをアルコキシドとし、これとエピクロロヒドリンとを縮合させた後、加熱を継続してエポキシ環を再形成するGandourらの方法(Gandour,et al.,J.Org.Chem.,1983,48,1116.)を準用することが好ましい。
本発明の効果を説明する一例として、本発明の接合用材料に含有される炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の製造方法は、チオエーテル型有機化合物の存在下で、2価の銅イオン化合を溶媒と混合する工程と、銅イオンを還元する工程とを有することを特徴とするものである。
2価の銅イオン化合物としては、一般的に入手可能な銅化合物が利用可能であり、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、塩化物、アセチルアセトナート錯体等が利用できる。0価の銅ナノ粒子との複合体を得る場合には2価の化合物から出発しても1価の化合物から製造してもよく、水分や結晶水を有していても差し支えない。具体的には、結晶水を除いて表現すれば、CuSO4、Cu(NO3)2、Cu(OAc)2、Cu(CH3CH2COO)2、Cu(HCOO)2、CuCO3、CuCl2、Cu2O、C5H7CuO2などが挙げられる。さらに、上記塩類を加熱したり、塩基性雰囲気に曝したりすることにより得られる塩基性塩、たとえばCu(OAc)2・CuO、Cu(OAc)2・2CuO、Cu2Cl(OH)3等は最も好適に用いることができる。これら塩基性塩は、反応系内で調製してもよいし、反応系外で別途調製したものを使用してもよい。また、アンモニアやアミン化合物を加えて錯体形成し、溶解度を確保してから還元に用いる一般的な方法も適用可能である。
還元反応後は、必要に応じて金属化合物残渣、還元試薬残渣、余剰のポリエチレンオキシド含有有機化合物等を除く工程が設けられる。複合体の精製には、再沈殿、遠心沈降または限外濾過が適用可能であり、得られた複合体を含む反応混合物を水によって洗浄することで、前述の不純物を洗い流すことができ、水分散体(C)を得ることができる。
水分散体の乾燥は大量生産効率、且つ、銅ナノ粒子の熱の影響を抑制できる点から、噴霧乾燥(スプレードライ)法によって行なわれる。噴霧乾燥を行なう際に、必要に応じて水分散体(C)に有機溶媒、有機高分子材料からなるバインダ等の他の成分を供給して乾燥を行なうこともできる。
噴霧乾燥装置への銅ナノ粒子水分散体の供給は、銅ナノ粒子の酸化防止を目的として窒素、または、アルゴン等の不活性な気体とともに噴霧することで行なう。噴霧乾燥装置の系内は、酸素濃度1%以下で運転することが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。流入させる不活性な気体の流量は10〜100L/minの範囲であることが好ましく、窒素の効率的利用の点から10〜30L/minの範囲であることがより好ましい。
上記の噴霧乾燥により得られたポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子粉体(D)は、導電性ペースト、及び、高耐熱接合材として使用するにあたり、含水率が1%以下であることが品質管理の点等から好ましく、粉体状態で保存を行なう場合、酸化防止の点から0.5%以下であることがより好ましい。
上記銅ナノ粒子粉体(D)を混合した際に、表面プラズモン共鳴吸収を発現することができる媒体としては、水、一般的な有機溶媒が使用可能であるが、溶媒親和性の点から、水、アルコール類、ジオール類がより好ましい。
また、上記導電性ペースト、及び、接合材として使用する場合、銅ナノ粒子粉体(D)を水に再分散させた時、動的光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下であれば好ましいが、ボイドの少ない無加圧接合材、微細配線描画用の導電性ペースト用途に使用する場合、100nm以下であることがより好ましい。
銅ナノ粒子の一次粒子径は少量の水分散体を1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水で希釈し、直ちにその一滴を電子顕微鏡観察用コロジオン膜付銅グリッドに滴下し、これをJEM−2200FS型透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて観察し、得られた写真像から粒径を計測した。
<含水率測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体の含水率はカールフィッシャー水分計(三菱化学製、CA−06)を用いて、210℃、30分間窒素中で加温した際に粉体から揮発した水分量から求めた。
<粒径分布測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体の粒径分布は動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装製、UPA−150)を用いて、1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水中に粉体を混合した後、手で1分間振り混ぜたあと、超音波洗浄装置(ヤマト科学製、BRANSON−8510)で5分間分散処理を行った分散体の体積平均粒子径から評価した。
<紫外可視吸収スペクトル測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体を1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水10mL中に粉体を約0.1mg混合した後、手で1分間振り混ぜたあと、超音波洗浄装置(ヤマト科学製、BRANSON−8510)で5分間分散処理を行った後、UV−vis吸光度スペクトル装置(日立製作所製、U−4100)を用いて、575nm付近の銅ナノ粒子由来の表面プラズモン共鳴吸収の有無から評価した。
<ポリエチレンオキシド含有有機化合物(A−1)が複合した銅ナノ粒子(B−1)の合成、及び、噴霧乾燥>
ポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子(B−1)の合成例として、特許第4784847号公報、特開2013−60637号公報又は特許第5077728号公報に記載の方法で合成することができる。
(高分子分散剤であるポリビニルピロリドン(A−2)を用いた銅ナノ粒子(B−2)の合成、及び、噴霧乾燥)
水酸化銅(Cu(OH)2)100gを濃度0.5mol/Lのアンモニア水5000mLに溶解させ、さらに0.5mol/Lの酢酸アンモニウムを添加してpHを10に調整し、銅アンミン錯体を含む溶液とした。一方で、ヒドラジン40g及びポリビニルピロリドン50gを蒸留水10Lに攪拌溶解させ、ヒドラジン水溶液を作製した。上記、銅アンミン錯体を含む溶液にヒドラジン水溶液を滴下し、よく攪拌しながら反応させ、銅微粒子(B−2)が水溶液中に分散した銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅微粒子分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm2、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度30.1%の銅ナノ粒子水分散体206gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が10%のポリビニルピロリドンで被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−2)620gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−2)の粒径は約70nm、体積平均粒子径は97.2nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−2)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例1))、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例2)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例3)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例4)とした。
(高分子分散剤であるフェノール樹脂(A−3)を用いた銅ナノ粒子(B−3)の合成、及び、噴霧乾燥)
メタノール784gにレゾール型フェノール樹脂16gを溶解したフェノール樹脂含有量2%の溶液を調整した。得られた溶液に水酸化銅100gを加え、攪拌分散した。得られた水酸化銅の分散体を攪拌しながら、50%ヒドラジン水溶液を200ml添加した。その後10分間攪拌を行い平均一次粒子径が40nmの銅ナノ粒子を得た。得られた銅ナノ粒子中には6%のフェノール樹脂を含んでいた。その後、二時間放置冷却を行ない、沈殿した銅ナノ粒子を回収し、1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った蒸留水を加え、銅ナノ粒子水分散体(C−3)598gを得た。得られた水分散体の不揮発分濃度は9.8%であり、粒径40nm、体積平均粒子径は142.1nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−3)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例5)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例6)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例7)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例8)とした。
(高分子分散剤であるゼラチン(A−4)を用いた銅ナノ粒子(B−4)の合成、及び、噴霧乾燥)
工業用酸化第二銅(N−120:エヌシーテック社製)96g、ゼラチン(牛骨由来品、和光純薬)38.4gを1.2Lの蒸留水に溶解させ混合液を得た。得られた混合液のpHを、15%アンモニア水を用いて11に調整した後、90℃まで昇温した。昇温後、攪拌しながら、蒸留水600gに3−メルカプト酢酸1%水溶液8gと80%のヒドラジン一水和物112gを混合した混合液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させ、銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅ナノ粒子水分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm2、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度28.1%の銅ナノ粒子水分散体246gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が9.8%のゼラチンで被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−4)706gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−4)の粒径は80nm、体積平均粒子径は115.3nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−4)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例9)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例10)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例11)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例12)とした。
(アスコルビン酸(A−5)が表面付着有機物となっている銅ナノ粒子(B−5)の合成、及び、噴霧乾燥)
2水和塩化銅(CuCl2・2H2O)170gを5Lの蒸留水に溶解させ0.2mol/Lの塩化銅水溶液を調整し、1.2mol/Lのクエン酸水溶液5Lを加え混合液とした。得られた混合液を1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpH11に調整した。次に得られた塩化銅水溶液に、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpH11に調整された1.2mol/Lのアスコルビン酸水溶液5Lを加え、50℃に加熱し、その後、50℃で1時間攪拌を行うことで銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅微粒子分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm2、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度26.3%の銅ナノ粒子水分散体217gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が10.2%のアスコルビン酸で被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−5)560gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−5)の粒径は70nmで、体積平均粒子径は132.9nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−5)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、乾燥室入口温度80℃、乾燥室出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例13)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例14)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例15)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例16)とした。
上記、実施例、及び、比較合成例1〜4で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体の再分散後の粒径分布、含水率、表面プラズモン共鳴吸収の有無を下記の表に示す。
評価の結果、ポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子は噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず、乾燥後の再分散において乾燥前の水分散体とほぼ同等の体積平均粒子径を示し、水再分散体から表面プラズモン共鳴吸収が確認できた(実施例3:図1)。また、含水率も噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず0.5%以下であることから十分な乾燥がなされている。
一方で、ポリエチレンオキシド含有有機物以外の分散剤と複合した銅ナノ粒子粉体は全て、含水率は0.5%以下であったものの、噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず再分散性に優れず、表面プラズモン共鳴吸収も全てのサンプルから確認できなかった(比較例3:図2)。なお、本明細書において「再分散」の方法は特に限定されない。本発明により得られる銅ナノ粒子粉体は、少なくとも手で振り混ぜる程度での条件で簡便に再分散が可能である。もちろん超音波処理など公知慣用の再分散手法を用いることができる。
Claims (4)
- 金属ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥する金属ナノ粒子粉体の製造方法であって、
前記金属ナノ粒子が、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子であることを特徴とする、媒体と混合して得られる分散体に表面プラズモン共鳴吸収が観測される銅ナノ粒子粉体の製造方法。 - 前記炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物又は下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−X (1)
[W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−]dY (2)
[W−(OCH2CH2)n−O−CH2−CH(OH)−CH2−S−Ra−]tZ (3)
〔式(1)、(2)及び(3)中のWはC1〜C8のアルキル基であり、nは4〜100の繰り返し数を示す整数であって、XはC2〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R1−OH、−R1−NHR2、又は−R1−(COR3)m(但し、R1はC1〜C4の飽和炭化水素基であり、R2は水素原子、C2〜C4のアシル基、C2〜C4のアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC1〜C4のアルキル基又はC1〜C8のアルコキシ基を置換基として有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、R3はヒドロキシ基、C1〜C4のアルキル基又はC1〜C8のアルコキシ基であり、mは1〜3の整数である。)であり、Yは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜4価の基であって、C1〜C4の飽和炭化水素基又はC1〜C4の飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHRb−(RbはC1〜C4の飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基であり、dは2〜4の整数であり、RaはC2〜C5のアルキルカルボニルオキシ基であり、Zは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜6価の基であって、C2〜C6の飽和炭化水素基、C2〜C6飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHRc−(RcはC1〜C4の飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基、又はイソシアヌル酸−N,N’,N”−トリエチレン基であり、tは2〜6の整数である。〕 - 前記銅ナノ粒子が、銅ナノ粒子、銀コア銅シェルナノ粒子又は銅コア銀シェルナノ粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
- 前記銅ナノ粒子粉体が、これを水と混合して得られる分散体中の粒子の粒径分布を動的光散乱法で測定した時、体積平均粒子径が150nm以下となる分散体を与えることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
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