JP2019026885A - 銅ナノ粒子粉体の製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明が解決しようとする課題は、噴霧乾燥を用いて効率良く銅ナノ粒子水分散体を粉体化し、溶媒に混合した際に手で振り混ぜる、短時間の超音波照射を行なうなどの極めて穏やかな条件で元のナノ粒子のサイズを反映する分散体を得る銅ナノ粒子粉体の製造方法を提供することにある。【解決手段】金属ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥する金属ナノ粒子粉体の製造方法であって、前記金属ナノ粒子が、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子であることを特徴とする、媒体と混合して得られる分散体に表面プラズモン共鳴吸収が観測される銅ナノ粒子粉体の製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、粒径が1〜100nmの銅ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥し、再分散性に優れた乾燥粉体を得ることを特徴とする製造方法を提供するものである。
金属ナノ粒子は低温でも焼結が進むため、耐熱性の低い素材に直接パターニングを行うプリンタブルエレクトロニクス用導電性ペーストとして注目されてきた。また、バルク金属よりはるかに低い温度で粒子同士が融着する性質を利用した接合材料としても期待されている。特に、コスト、マイグレーション耐性の点から上記用途に関して銅ナノ粒子が注目を集めている。
銅ナノ粒子の合成方法は多岐に渡るが、中でも粒子径制御や量産性の点から、溶液中で行なう湿式合成が行なわれることが多い。湿式合成の多くは水を溶媒とし銅化合物を還元して銅ナノ粒子を合成する。一方で、プリンタブルエレクトロニクス用導電性ペーストやパワーデバイス用接合材に銅ナノ粒子を用いる場合、塗布基材との親和性や揮発速度の点等から水を完全に除去した、有機溶媒型の銅ナノ粒子ペーストを必要とする要望がある。従って、効率的な水の除去や溶媒置換が必要である。また、前記用途ではペースト中の銅ナノ粒子の重量濃度が90%以上の製品も必要となるため、粉体化が必須である。大量生産には水の除去による銅濃度の高濃度化は大きな技術的課題である。
即ち、銅ナノ粒子水分散体を効率よく乾燥、粉体化する技術が求められている。ナノ粒子水分散体の粉体化には噴霧乾燥が生産性の上で、好適であることが知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1は粉体化後に焼成を行なうことで結晶性に優れた高純度の金属ナノ粒子粉体を得ることを目的としているため、再分散によりペースト化を行うことはできない。一般的に噴霧乾燥を用いてナノ粒子の粉体化を行った場合、粉体の凝集が発生すると報告されており、再分散の妨げになっている(非特許文献1、2)。一方で、噴霧乾燥により金属ナノ粒子水分散体の粉体化を行い、再分散させる方法が報告されている(特許文献2)。特許文献2によると、ポリビニルピロリドンを分散剤とすることで再分散性が良い粉体が得られると報告されているが、分散性の評価方法が24時間後の沈殿の有無のみであり、噴霧乾燥前後での粒径分布の比較までは至っていない。凝集が残る粒子では、プリンタブルエレクトロニクス用導電性ペーストに期待される微細配線の描画が困難となる。また、パワーデバイス用接合材料として用いる場合には凝集した粒子間の隙間がボイドとなり接合強度の低下と熱伝導率の低下を招き、接合材としての機能を発揮することができない。
上述の通り、実用面において、金属ナノ粒子水分散体を効率良く粉体化し、粉体化前後で同等の粒径分布を保持する銅ナノ粒子の製造方法は高い有用性を持つと言える。
特開2005−213626号公報 特開2005−120400号公報
粉体と工業.Vol.30、No.3(1998) W.−N.Wang et al.、J.Colloid Interface Sci.2005年、第288巻、423項
上述の通り、プリンタブルエレクトロニクス用導電性ペーストやパワーデバイス用高耐熱接合材用途において銅ナノ粒子水分散体を効率良く粉体化し、再分散させる製造技術が希求されているが、噴霧乾燥はナノ粒子の凝集を起こしやすく、溶媒に混合した際に手で振り混ぜる、短時間の超音波照射を行なうなどの極めて穏やかな条件では、元のナノ粒子の一次粒子径を反映した粒径分布が得られない、即ち、多数が凝集粒子として残るといった課題を抱えていた。金属ナノ粒子水分散体の噴霧乾燥による粉体製造方法は実用上の課題を抱えているが、優れた再分散性を乾燥粉体に付与すれば有効な方法となりうる。
本発明が解決しようとする課題は、噴霧乾燥を用いて効率良く銅ナノ粒子水分散体を粉体化し、溶媒に混合した際に手で振り混ぜる、短時間の超音波照射を行なうなどの極めて穏やかな条件で元のナノ粒子のサイズを反映する分散体を得る銅ナノ粒子粉体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、銅ナノ粒子を覆う分散剤に着目した。炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を有する有機化合物が複合した銅ナノ粒子水分散体は噴霧乾燥により粉体化した後も、優れた再分散性を示すことを見出した。該銅ナノ粒子粉体は媒体と混合すると、手で振り混ぜるといった簡便な再分散処理で、表面プラズモン共鳴吸収を発現する銅ナノ粒子分散体を得ることができ、また、乾燥前の水分散体中の粒子と同等の粒径分布を得ることができる。噴霧乾燥により製造された銅ナノ粒子粉体で、このように再分散性に優れるものはこれまで知られていなかった。
即ち本発明は、
「炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥することを特徴とする、銅ナノ粒子粉体の製造」に関する。
本発明によれば、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を含有する分散剤で銅ナノ粒子表面を覆うことで、噴霧乾燥による乾燥凝集を防止し、乾燥前と同じ分散状態に銅ナノ粒子粉体を再分散できる銅ナノ粒子粉体を容易に得ることができるという顕著な効果を奏する。
これにより、微細配線描画用のプリンタブルエレクトロニクス用導電性ペースト、パワーデバイス用高耐熱接合材への適用が可能となり、銅ナノ粒子技術の実用化に貢献するものである。
実施例3の紫外可視吸収スペクトル測定結果を表す。具体的には、ポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子粉体の水再分散体の紫外可視吸収スペクトル。 比較例3の紫外可視吸収スペクトル測定結果を表す。具体的には、ポリビニルピロリドンと複合した銅ナノ粒子粉体の水再分散体の紫外可視吸収スペクトル。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<銅ナノ粒子粉体の製造方法>
本発明の銅ナノ粒子乾燥粉体の製造方法は、粒径が1〜100nmのポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥装置により乾燥させ再分散性に優れた銅ナノ粒子粉体を得ることを特徴とする。
より具体的には、ポリエチレンオキシド含有有機化合物からなる分散剤(A)と複合した銅からなる粒径が1〜100nmのナノ粒子(B)を含む水分散体(C)を噴霧乾燥し、ポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子粉体(D)を得る工程、を少なくとも含むものである。
本発明の製造方法により再分散性に優れた銅ナノ粒子粉体を実現するためには、粉体化した後の銅ナノ粒子の含水率、再分散性、ナノ粒子の特性(表面プラズモン共鳴吸収の有無)を評価する必要がある。従って本明細書では噴霧乾燥後の銅ナノ粒子粉体をカールフィッシャー微量水分測定装置により含水率を評価した。また、純水に再分散させた状態で動的光散乱法により粒径分布を評価した(体積平均粒子径の測定)。また、分散体の紫外可視吸収スペクトル測定により表面プラズモン共鳴吸収の評価を行っている。
<銅ナノ粒子>
本発明の銅ナノ粒子(B)は、後述のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合可能なものであれば特に限定されるものではなく、好ましくは銅ナノ粒子、銀コア銅シェルナノ粒子、銅コア銀シェルナノ粒子などが挙げられる。なかでも、銅ナノ粒子がより好ましい。
上記、銅ナノ粒子は一次粒子径が1〜100nmのものが好ましいが、耐酸化性、分散性の点から40〜80nmのものがより好ましい。
<ポリエチレンオキシド含有有機化合物>
本発明で用いる分散剤(ポリエチレンオキシド含有有機化合物)中のポリエチレンオキシド部位は、水、アルコール系溶媒などとの親和性に優れることから、粉体化後の銅ナノ粒子の分散を可能とする。また、詳しい機構は不明であるが、ポリエチレンオキシド部位を有する分散剤は乾燥した銅ナノ粒子粉体の表面を効果的に被覆しており、他の分散剤にはない凝集抑制効果を示していると考えられる。
本発明の製造法に用いられる炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の例として、特許第4784847号公報、特開2013−60637号公報又は特許第5077728号公報に記載の方法で合成することができる。これらは、チオエーテル型(R−S−R’)化合物が銅粒子表面に対して適切な親和吸着効果と、加熱による迅速な脱離性を有することが特徴となっており、低温融着特性を示す金属ナノ粒子として開発されている。
これらの中でも、下記式(1)〜(3)で表されるチオエーテル型有機化合物であることが好ましい。
<チオエーテル(R−S−R’)型有機化合物>
本発明の効果を説明する一例として、下記一般式(1)〜(3)で表されるチオエーテル型有機化合物が複合した銅ナノ粒子について詳述する。
W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−X (1)
[W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−]Y (2)
[W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−R−]Z (3)
〔式(1)、(2)及び(3)中のWはC〜Cのアルキル基であり、nは4〜100の繰り返し数を示す整数であって、XはC〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R−OH、−R−NHR、又は−R−(COR(但し、RはC〜Cの飽和炭化水素基であり、Rは水素原子、C〜Cのアシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を置換基として有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、Rはヒドロキシ基、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基であり、mは1〜3の整数である。)であり、Yは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜4価の基であって、C〜Cの飽和炭化水素基又はC〜Cの飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHR−(RはC〜Cの飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基であり、dは2〜4の整数であり、RはC〜Cのアルキルカルボニルオキシ基であり、Zは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜6価の基であって、C〜Cの飽和炭化水素基、C〜C飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHR−(RはC〜Cの飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基、又はイソシアヌル酸−N,N’,N”−トリエチレン基であり、tは2〜6の整数である。〕
前記一般式(1)〜(3)中におけるエチレンオキシドを繰り返し単位として有する鎖状の官能基は、溶媒親和部として機能する。このポリエチレンオキシドの炭素数は、8〜200のものを用いることが好適であり、炭素数8〜100のものを用いることがより好適である。また、前記一般式(1)〜(3)中におけるエチレンオキシドを繰り返し単位として有する鎖状の官能基は炭素数が少ない程、有機成分が残りにくいため、炭素数8〜12程度のものが高導電性を示すペーストや信頼性を有する接合剤としてより好ましい。
一方で、前記一般式(1)〜(3)中におけるエチレンオキシドを繰り返し単位として有する鎖状の官能基は炭素数50〜100程度のものが分散安定性に優れ、銅ナノ粒子を高分散させ、再分散性を向上させる点で、より好ましい。
従って、使用場面に応じて炭素数を8〜200の範囲や、より好ましい炭素数8〜100の範囲で適宜調節することができる。
前記一般式(1)〜(3)中のWは、工業的な入手の容易さ、および分散剤として使用したときの分散安定性の点から、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基であり、特に水性媒体中での安定性の観点からは炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(1)中のXがカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基を部分構造として含む構造のものは、チオエーテル基と多座配位子を構成することが可能となるため、金属ナノ粒子表面への配位力が強くなるため好ましい。
前記一般式(2)中のYがエーテル(C−O−C)、チオエーテル(C−S−C)を部分構造として含む構造のもの、前記一般式(3)中のRがメチレンカルボキシ基(−CHCOO−)またはエチレンカルボキシ基(−CHCHCOO−)であって、Zがエチレン基、2−エチル−2−メチレンプロパン−1,3−ジイル基、2,2−ビスメチレンプロパン−1,3−ジイル基であるものが最も好適である。
<チオエーテル型有機化合物の製造方法>
前述のように、本発明においてチオエーテル型有機化合物は、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物であることが好ましい。これらのチオエーテル型有機化合物を製造する方法について、以下詳述する。
チオエーテル型有機化合物を簡便に製造する方法としては、例えばグリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)とチオール化合物(a2)とを反応させる方法が挙げられる。
前記グリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)は、下記一般式(4)で表すことができる。
Figure 2019026885
(式中、W、R、nは前記と同じである。)
グリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)の合成方法としては、例えば、ルイス酸存在下、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルをエピクロロヒドリンのオキシラン環に付加開環させた後、生成するクロロヒドリン体を濃厚アルカリ中で加熱再閉環する方法、過剰のアルコラートや濃厚アルカリなどの強塩基を用いて、一段階で反応させる方法が挙げられるが、より高純度のポリエーテル化合物(a1)を得る方法としては、カリウムt−ブトキシドを用いてポリエチレングリコールモノメチルエーテルをアルコキシドとし、これとエピクロロヒドリンとを縮合させた後、加熱を継続してエポキシ環を再形成するGandourらの方法(Gandour,et al.,J.Org.Chem.,1983,48,1116.)を準用することが好ましい。
前記グリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)の末端オキシラン環を、チオール化合物(a2)で開環させて、目的とするチオエーテル型有機化合物を得ることができる。この反応はチオール基の求核反応を利用したものであるが、この反応については様々な活性化方法が挙げられる。
例えば、ルイス酸によるエポキシドの活性化による合成が広く行なわれており、具体的には酒石酸亜鉛や、ランタニド系ルイス酸を用いることが知られている。また、ルイス塩基を用いる方法もしばしば行われている。
更に、フッ素イオンを塩基触媒として活用する方法はJames H.Clarkの総説に詳しく述べられている。Pensoらはこれをレジオセレクティビティーに優れるエポキシドの開環方法として応用しており、フッ化第四級アンモニウムを触媒とすることで穏和な条件下でチオールのエポキシドへの付加開環反応が進行することを報告している。
特に本発明で用いるチオエーテル型有機化合物が高効率で得られる点からは、フッ素イオンを塩基触媒として活用する方法が好ましい。この方法を適用することによって、グリシジル基を末端に有するポリエーテル化合物(a1)とチオール化合物(a2)の反応後、特別な精製を行わなくても、チオエーテル型有機化合物を得ることができる。
ポリエーテル化合物(a1)には様々なチオール化合物(a2)を反応させることができる。例としてアルカンチオール類、ベンゼンチオール類の他、ラジカル重合連鎖移動剤として汎用されているため入手が容易なチオグリコール、チオグリコール酸およびそのエステル類、メルカプトプロピオン酸およびそのエステル類などが挙げられる。チオリンゴ酸、チオクエン酸およびそれらのエステル類のようなメルカプトポリカルボン酸類を反応させてもよい。また、分子内に複数のチオール基を有する化合物、すなわちエタンジチオールの様なアルキレンジチオール類、トリメチロールプロパン=トリス(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトール=テトラキス(3−メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトール=ヘキサキス(3−メルカプトプロピオナート)なども同様に反応させ導入することが可能である。その結果得られる化合物は、分子内に複数のチオエーテル構造を持つので、銅系ナノ粒子に対し複数の領域によって親和性を発現しうる。
一般式(1)〜(3)で表される構造を分子中に有する高分子化合物を得るために使用するチオール化合物(Q)は、一般に連鎖移動剤として使用されるチオール化合物を使用することができる。具体的には、チオグリコール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパノール、8−メルカプトオクタノール、2,3−ジヒドロキシプロパンチオール、2−メトキシエタンチオール、2−エトキシエタンチオール、2−ヘキシルオキシエタンチオール、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エタンチオール、2−ベンジルオキシエタンチオール、2−(4−メトキシベンジルオキシ)エタンチオール、2−フェニルオキシエタンチオール、2−(4−メトキシフェニルオキシ)エタンチオール、2−(2,4−ジメトキシフェニルオキシ)エタンチオール、6−(4−ヒドロキシメチルフェニルオキシ)ヘキサンチオール、2−アセトキシエタンチオール、2−ヘプタノイルオキシエタンチオール、2−オクタノイルオキシエタンチオール、2−オクタデカノイルオキシエタンチオール、2−イソブチリルオキシエタンチオール、2−ピバロイルオキシエタンチオール、チオグリコール酸、β−メルカプトプロピオン酸、7−メルカプトオクタン酸、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトコハク酸、およびこれらカルボン酸の無機塩、アンモニウム塩および有機アミンの塩、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸エチル、β−メルカプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸ドデシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−(メトキシエチル)、β−メルカプトプロピオン酸−2−(メトキシエトキシエトキシ)、β−メルカプトプロピオン酸−2−(4−メトキシブトキシ)、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−3−メトキシブトキシ、2−メルカプトエチルホスファート、2−メルカプトエチルホスフィン酸、2−メルカプトプロピルホスファート、2−メルカプトプロピルホスフィン酸、ω−メルカプトエトキシエチルホスファート、ω−メルカプトプロピルオキシプロピルホスファート、2−メルカプトエチルジメチルホスファート、2−メルカプトエチルホスフィン酸ジメチル、2−メルカプトエチルジエチルホスファート、2−メルカプトプロピルジエチルホスファート、2−メルカプトエチルジイソプロピルホスファート、2−メルカプトエチルジイソブチルホスファート、2−メルカプトエチルサルファート、2−メルカプトエチルスルホン酸、2−メルカプトプロピルスルホン酸、2−メルカプトエチルメチルサルファート、メチル 2−メルカプトエチルスルホナート、2−メルカプトエチルエチルサルファート、エチル 2−メルカプトエチルスルホナート、メチル 2−メルカプトプロピルスルホナート、エチル 2−メルカプトプロピルスルホナート、等があげられる。中でもチオグリコール、2,3−ジヒドロキシプロパンチオール、チオグリコール酸、β―メルカプトプロピオン酸、β―メルカプトプロピオン酸エチル、β―メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルが、反応性の点から好ましく、β―メルカプトプロピオン酸メチルが最も好ましい。
<炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の合成>
本発明の効果を説明する一例として、本発明の接合用材料に含有される炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子の製造方法は、チオエーテル型有機化合物の存在下で、2価の銅イオン化合を溶媒と混合する工程と、銅イオンを還元する工程とを有することを特徴とするものである。
2価の銅イオン化合物としては、一般的に入手可能な銅化合物が利用可能であり、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、塩化物、アセチルアセトナート錯体等が利用できる。0価の銅ナノ粒子との複合体を得る場合には2価の化合物から出発しても1価の化合物から製造してもよく、水分や結晶水を有していても差し支えない。具体的には、結晶水を除いて表現すれば、CuSO、Cu(NO、Cu(OAc)、Cu(CHCHCOO)、Cu(HCOO)、CuCO、CuCl、CuO、CCuOなどが挙げられる。さらに、上記塩類を加熱したり、塩基性雰囲気に曝したりすることにより得られる塩基性塩、たとえばCu(OAc)・CuO、Cu(OAc)・2CuO、CuCl(OH)等は最も好適に用いることができる。これら塩基性塩は、反応系内で調製してもよいし、反応系外で別途調製したものを使用してもよい。また、アンモニアやアミン化合物を加えて錯体形成し、溶解度を確保してから還元に用いる一般的な方法も適用可能である。
これらの銅イオン化合物を、予めチオエーテル型有機化合物を溶解又は分散した媒体に溶解、または混合する。このとき用いることができる媒体としては、使用する有機化合物の構造にもよるが、水、エタノール、アセトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンおよびそれらの混合物が好適に用いられ、水、または、水とエタノールの混合物が特に好ましい。
チオエーテル型有機化合物の、各種媒体中における濃度としては、引き続き行なう還元反応の制御が容易になる点から、0.3〜10質量%の範囲に調整することが好ましい。
上記で調製した媒体中に、前記銅イオン化合物を、一括又は分割して添加し、混合する。溶解しにくい媒体を使用する場合には、予め少量の良溶媒に溶解させておいてから、媒体中に添加する方法であっても良い。
混合するチオエーテル型有機化合物と銅イオン化合物との使用割合としては、反応媒体中でのチオエーテル型有機化合物の保護能力に応じて適宜選択することが好ましいが、通常、銅イオン化合物1molあたりに、チオエーテル型有機化合物として1mmol〜30mmol(分子量2000のポリマーを用いる場合、2〜60g程度)の範囲で調製し、特に15〜30mmolの範囲で用いることが好ましい。
引き続き、銅イオンの還元を、各種還元剤を用いて行なう。還元剤としては、ヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミンおよびその誘導体、金属水素化物、ホスフィン酸塩類、アルデヒド類、エンジオール類、ヒドロキシケトン類など、氷冷温から80℃以下の温度で銅の還元反応を進行させることができる化合物であることが、沈殿物形成の少ない複合体を与えるため、好適である。
銅イオンの還元において、具体的にはヒドラジン水和物、非対称ジメチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン水溶液、水素化ホウ素ナトリウムなどの強力な還元剤が好適である。これらは、銅化合物を0価まで還元する能力を有するので、2価および1価の銅化合物を還元銅とし、有機化合物とナノ銅粒子との複合体を製造する場合に適している。
還元反応に適する条件は、原料として用いる銅化合物、還元剤の種類、錯化の有無、媒体、チオエーテル型有機化合物の種類によって様々である。例えば、水系で酢酸銅(II)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合には、氷冷程度の温度でも0価のナノ銅粒子が調製できる。一方、ヒドラジンを用いる場合には、室温では反応は遅く、60℃程度に加熱してはじめて円滑な還元反応が起こり、エチレングリコール/水系で酢酸銅を還元する場合には、60℃で2時間程度の反応時間を要する。このようにして還元反応が終了すると、有機化合物と銅ナノ粒子との複合体を含む反応混合物が得られる。
このように調製した銅ナノ粒子は分散剤(ポリエチレンオキシド含有有機化合物)の効果により、水分を完全に除去して乾燥体粉末とした後に、再び溶媒を添加しても乾燥前の状態と同じように高分散させることが可能である。
また、チオエーテル型有機化合物と前記媒体、および銅イオン化合物の混合液中にナノ銀を添加した混合液をあらかじめ調整し、次いで還元剤を添加して銅イオンを前記方法で還元させると、ナノ銀表面を銅が被覆した、銀コア銅シェルナノ粒子を得ることができる。また、逆にチオエーテル型有機化合物と前記媒体、および銀イオン化合物の混合液中にナノ銅を添加した混合液をあらかじめ調整し、次いで還元剤を添加して銀イオンを前記方法で還元させると、ナノ銅表面を銀が被覆した、銅コア銀シェルナノ粒子を得ることができる。
<水分散体の製造方法>
還元反応後は、必要に応じて金属化合物残渣、還元試薬残渣、余剰のポリエチレンオキシド含有有機化合物等を除く工程が設けられる。複合体の精製には、再沈殿、遠心沈降または限外濾過が適用可能であり、得られた複合体を含む反応混合物を水によって洗浄することで、前述の不純物を洗い流すことができ、水分散体(C)を得ることができる。
<水分散体の噴霧乾燥>
水分散体の乾燥は大量生産効率、且つ、銅ナノ粒子の熱の影響を抑制できる点から、噴霧乾燥(スプレードライ)法によって行なわれる。噴霧乾燥を行なう際に、必要に応じて水分散体(C)に有機溶媒、有機高分子材料からなるバインダ等の他の成分を供給して乾燥を行なうこともできる。
噴霧乾燥装置への銅ナノ粒子水分散体の供給は、銅ナノ粒子の酸化防止を目的として窒素、または、アルゴン等の不活性な気体とともに噴霧することで行なう。噴霧乾燥装置の系内は、酸素濃度1%以下で運転することが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。流入させる不活性な気体の流量は10〜100L/minの範囲であることが好ましく、窒素の効率的利用の点から10〜30L/minの範囲であることがより好ましい。
分散体に占める銅ナノ粒子の割合は、1.0〜50%の範囲であることが好ましく、製造効率の点から5〜30%の範囲であることがより好ましい。
噴霧乾燥機に供給する分散体は安全性の観点から水を主体とする水系分散体が好ましいが、酸素濃度1%以下で乾燥を行なうため、有機溶媒を主体とする分散体でもよい。
噴霧乾燥を行なうときの乾燥室入口温度は80〜200℃の範囲であればよいが、乾燥効率、銅ナノ粒子の熱融着抑制の点から100〜160℃とするのがより好ましい。
噴霧乾燥を行なうときの乾燥室出口温度は100℃以下であればよいが、乾燥効率、銅ナノ粒子の熱融着抑制の点から40〜80℃の範囲であることがより好ましい。
<ポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子粉体(D)>
上記の噴霧乾燥により得られたポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子粉体(D)は、導電性ペースト、及び、高耐熱接合材として使用するにあたり、含水率が1%以下であることが品質管理の点等から好ましく、粉体状態で保存を行なう場合、酸化防止の点から0.5%以下であることがより好ましい。
上記銅ナノ粒子粉体(D)を混合した際に、表面プラズモン共鳴吸収を発現することができる媒体としては、水、一般的な有機溶媒が使用可能であるが、溶媒親和性の点から、水、アルコール類、ジオール類がより好ましい。
また、上記導電性ペースト、及び、接合材として使用する場合、銅ナノ粒子粉体(D)を水に再分散させた時、動的光散乱法による体積平均粒子径が150nm以下であれば好ましいが、ボイドの少ない無加圧接合材、微細配線描画用の導電性ペースト用途に使用する場合、100nm以下であることがより好ましい。
<粒径測定>
銅ナノ粒子の一次粒子径は少量の水分散体を1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水で希釈し、直ちにその一滴を電子顕微鏡観察用コロジオン膜付銅グリッドに滴下し、これをJEM−2200FS型透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて観察し、得られた写真像から粒径を計測した。
<含水率測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体の含水率はカールフィッシャー水分計(三菱化学製、CA−06)を用いて、210℃、30分間窒素中で加温した際に粉体から揮発した水分量から求めた。
<粒径分布測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体の粒径分布は動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装製、UPA−150)を用いて、1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水中に粉体を混合した後、手で1分間振り混ぜたあと、超音波洗浄装置(ヤマト科学製、BRANSON−8510)で5分間分散処理を行った分散体の体積平均粒子径から評価した。
<紫外可視吸収スペクトル測定>
噴霧乾燥後に回収した銅ナノ粒子粉体を1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った純水10mL中に粉体を約0.1mg混合した後、手で1分間振り混ぜたあと、超音波洗浄装置(ヤマト科学製、BRANSON−8510)で5分間分散処理を行った後、UV−vis吸光度スペクトル装置(日立製作所製、U−4100)を用いて、575nm付近の銅ナノ粒子由来の表面プラズモン共鳴吸収の有無から評価した。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断りのない限り「%」は質量基準である。
合成例
<ポリエチレンオキシド含有有機化合物(A−1)が複合した銅ナノ粒子(B−1)の合成、及び、噴霧乾燥>
ポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子(B−1)の合成例として、特許第4784847号公報、特開2013−60637号公報又は特許第5077728号公報に記載の方法で合成することができる。
酢酸銅(II)一水和物(200.0g、1.0mol)、メチル 3−(3−(メトキシ(ポリエトキシ)エトキシ)−2−ヒドロキシプロピルスルファニル)プロピオナート〔ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(下記式で表されるチオエーテル型有機化合物(分子量1984))(30.0g)
Figure 2019026885
と、エチレングリコール(660mL)からなる混合物に、窒素を50mL/分の流量で吹き込みながら加熱し、125℃で2時間通気攪拌して脱気した。この混合物を室温に戻し、ヒドラジン水和物(100.0g)を水7mLで希釈した溶液を、シリンジポンプを用いてゆっくり滴下した。約1/4量を2時間かけてゆっくり滴下し、ここで一旦滴下を停止し、2時間攪拌して発泡が沈静化するのを確認した後、残量を更に1時間かけて滴下した。得られた褐色の溶液を60℃に昇温して、さらに2時間攪拌し、還元反応を終結させ、粒径が52nmの銅ナノ粒子分散体を得た。つづいて、この銅微粒子分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度28.3%の銅ナノ粒子水分散体202gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が9.6%のポリビニルアルコールで被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−1)596gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体(C−1)の体積平均粒子径は74.6nmであった。
この銅ナノ粒子水分散体(C−1)を、チューブラーポンプを用いて約160g/hの速度でスプレードライ乾燥機(大川原化工機株式会社製 CPL−2型)に投入し、窒素を16L/minで流入し、系内の酸素濃度を0.1%以下に維持した状態で噴霧乾燥を行なった。このとき、乾燥室入口温度80℃、乾燥室出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(実施例1)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体を(実施例2)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体を(実施例3)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体を(実施例4)とした。
<比較合成例1>
(高分子分散剤であるポリビニルピロリドン(A−2)を用いた銅ナノ粒子(B−2)の合成、及び、噴霧乾燥)
水酸化銅(Cu(OH))100gを濃度0.5mol/Lのアンモニア水5000mLに溶解させ、さらに0.5mol/Lの酢酸アンモニウムを添加してpHを10に調整し、銅アンミン錯体を含む溶液とした。一方で、ヒドラジン40g及びポリビニルピロリドン50gを蒸留水10Lに攪拌溶解させ、ヒドラジン水溶液を作製した。上記、銅アンミン錯体を含む溶液にヒドラジン水溶液を滴下し、よく攪拌しながら反応させ、銅微粒子(B−2)が水溶液中に分散した銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅微粒子分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度30.1%の銅ナノ粒子水分散体206gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が10%のポリビニルピロリドンで被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−2)620gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−2)の粒径は約70nm、体積平均粒子径は97.2nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−2)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例1))、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例2)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例3)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例4)とした。
<比較合成例2>
(高分子分散剤であるフェノール樹脂(A−3)を用いた銅ナノ粒子(B−3)の合成、及び、噴霧乾燥)
メタノール784gにレゾール型フェノール樹脂16gを溶解したフェノール樹脂含有量2%の溶液を調整した。得られた溶液に水酸化銅100gを加え、攪拌分散した。得られた水酸化銅の分散体を攪拌しながら、50%ヒドラジン水溶液を200ml添加した。その後10分間攪拌を行い平均一次粒子径が40nmの銅ナノ粒子を得た。得られた銅ナノ粒子中には6%のフェノール樹脂を含んでいた。その後、二時間放置冷却を行ない、沈殿した銅ナノ粒子を回収し、1L/minの流量の窒素を用いて15分間脱酸素処理を行った蒸留水を加え、銅ナノ粒子水分散体(C−3)598gを得た。得られた水分散体の不揮発分濃度は9.8%であり、粒径40nm、体積平均粒子径は142.1nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−3)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例5)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例6)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例7)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例8)とした。
<比較合成例3>
(高分子分散剤であるゼラチン(A−4)を用いた銅ナノ粒子(B−4)の合成、及び、噴霧乾燥)
工業用酸化第二銅(N−120:エヌシーテック社製)96g、ゼラチン(牛骨由来品、和光純薬)38.4gを1.2Lの蒸留水に溶解させ混合液を得た。得られた混合液のpHを、15%アンモニア水を用いて11に調整した後、90℃まで昇温した。昇温後、攪拌しながら、蒸留水600gに3−メルカプト酢酸1%水溶液8gと80%のヒドラジン一水和物112gを混合した混合液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させ、銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅ナノ粒子水分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度28.1%の銅ナノ粒子水分散体246gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が9.8%のゼラチンで被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−4)706gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−4)の粒径は80nm、体積平均粒子径は115.3nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−4)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、入口温度80℃、出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例9)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例10)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例11)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例12)とした。
<比較合成例4>
(アスコルビン酸(A−5)が表面付着有機物となっている銅ナノ粒子(B−5)の合成、及び、噴霧乾燥)
2水和塩化銅(CuCl・2HO)170gを5Lの蒸留水に溶解させ0.2mol/Lの塩化銅水溶液を調整し、1.2mol/Lのクエン酸水溶液5Lを加え混合液とした。得られた混合液を1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpH11に調整した。次に得られた塩化銅水溶液に、1.0mol/LのNaOH水溶液を用いてpH11に調整された1.2mol/Lのアスコルビン酸水溶液5Lを加え、50℃に加熱し、その後、50℃で1時間攪拌を行うことで銅ナノ粒子分散体を得た。
つづいて、この銅微粒子分散体をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の、1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液の電気伝導率が100μS/cm以下となるまで循環させて精製した。脱酸素を行った蒸留水の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮することで、不揮発分濃度26.3%の銅ナノ粒子水分散体217gを得た。得られた銅ナノ粒子水分散体に1L/minの流量の窒素を用いて脱酸素処理を行った蒸留水を加えて希釈を行い、不揮発分濃度が10.2%のアスコルビン酸で被覆された銅ナノ粒子水分散体(C−5)560gを得た。得られた銅ナノ粒子(C−5)の粒径は70nmで、体積平均粒子径は132.9nmであった。
銅ナノ粒子水分散体(C−5)を用いる以外は実施例と同様の手法により噴霧乾燥を行なった。このとき、乾燥室入口温度80℃、乾燥室出口温度40℃の条件下で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例13)、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例14)、入口温度160℃、出口温度80℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例15)、入口温度200℃、出口温度100℃で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体(比較例16)とした。
<評価>
上記、実施例、及び、比較合成例1〜4で噴霧乾燥した銅ナノ粒子粉体の再分散後の粒径分布、含水率、表面プラズモン共鳴吸収の有無を下記の表に示す。
評価の結果、ポリエチレンオキシド含有有機物と複合した銅ナノ粒子は噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず、乾燥後の再分散において乾燥前の水分散体とほぼ同等の体積平均粒子径を示し、水再分散体から表面プラズモン共鳴吸収が確認できた(実施例3:図1)。また、含水率も噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず0.5%以下であることから十分な乾燥がなされている。
一方で、ポリエチレンオキシド含有有機物以外の分散剤と複合した銅ナノ粒子粉体は全て、含水率は0.5%以下であったものの、噴霧乾燥時の入口、及び、出口温度に関わらず再分散性に優れず、表面プラズモン共鳴吸収も全てのサンプルから確認できなかった(比較例3:図2)。なお、本明細書において「再分散」の方法は特に限定されない。本発明により得られる銅ナノ粒子粉体は、少なくとも手で振り混ぜる程度での条件で簡便に再分散が可能である。もちろん超音波処理など公知慣用の再分散手法を用いることができる。
Figure 2019026885
本発明の銅ナノ粒子粉体の製造方法を用いることにより、水を含まないプリンタブルエレクトロニクス用導電性ペースト、並びに、パワーデバイス用高耐熱接合材用を大量、且つ、高効率で製造可能になる。

Claims (4)

  1. 金属ナノ粒子の水分散体を噴霧乾燥する金属ナノ粒子粉体の製造方法であって、
    前記金属ナノ粒子が、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が複合した銅ナノ粒子であることを特徴とする、媒体と混合して得られる分散体に表面プラズモン共鳴吸収が観測される銅ナノ粒子粉体の製造方法。
  2. 前記炭素数8〜200のポリエチレンオキシド含有有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物又は下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
    W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−X (1)
    [W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−]Y (2)
    [W−(OCHCH)−O−CH−CH(OH)−CH−S−R−]Z (3)
    〔式(1)、(2)及び(3)中のWはC〜Cのアルキル基であり、nは4〜100の繰り返し数を示す整数であって、XはC〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R−OH、−R−NHR、又は−R−(COR(但し、RはC〜Cの飽和炭化水素基であり、Rは水素原子、C〜Cのアシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を置換基として有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、Rはヒドロキシ基、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基であり、mは1〜3の整数である。)であり、Yは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜4価の基であって、C〜Cの飽和炭化水素基又はC〜Cの飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHR−(RはC〜Cの飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基であり、dは2〜4の整数であり、RはC〜Cのアルキルカルボニルオキシ基であり、Zは硫黄原子と直接結合するものが炭素原子である2〜6価の基であって、C〜Cの飽和炭化水素基、C〜C飽和炭化水素基が−O−、−S−若しくは−NHR−(RはC〜Cの飽和炭化水素基である。)で2〜3個連結した基、又はイソシアヌル酸−N,N’,N”−トリエチレン基であり、tは2〜6の整数である。〕
  3. 前記銅ナノ粒子が、銅ナノ粒子、銀コア銅シェルナノ粒子又は銅コア銀シェルナノ粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
  4. 前記銅ナノ粒子粉体が、これを水と混合して得られる分散体中の粒子の粒径分布を動的光散乱法で測定した時、体積平均粒子径が150nm以下となる分散体を与えることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の銅ナノ粒子粉体の製造方法。
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