JP2019024987A - 磁気刺激装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】手軽に使用でき、電気刺激時の疼痛がなく、体毛などによる使用部位の制限も受けない小型の磁気刺激装置を提供する。【解決手段】磁気刺激装置は、磁気発生部6と励磁電流供給部20とで構成される。磁気発生部6は、U字形コア6a、及び前記U字形コア6aの先端部分6b・6cに巻着された導体6p・6qとで構成される。導体6p・6qは通電電流が互いに反対方向に流れるように巻着されている。励磁電流供給部20は、導体6p・6qに励磁電流13を供給する。U字形コア6aは、その側面6iに対して交差する、互いに反対側に位置する前面6gと背面6h間の外寸Sが64mm以下に構成されている。磁気発生部6の磁力線発生面3mには、患部の設置位置を示す目印3nが設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、局所に対する磁気刺激、特に、嚥下障害を有する患者に対して用いられる磁気刺激装置に関し、更に詳しくは、嚥下動作を司る患者の舌骨上筋群に磁気刺激を与え、正しい嚥下訓練による治療を行うことのできる新たな磁気刺激装置に係る。
日本では年間約40万人の脳卒中が発生し、そのうち約5%の患者が嚥下を制御する神経機構にダメージを受け、口にしたものが食道ではなく気管に入る「誤嚥」という嚥下障害に苦しんでいる。また、脳卒中後遺症以外にも嚥下障害を引き起こす疾患としては、外傷性脳損傷、脳性麻痺、痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、ウィルソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、脳腫瘍、重傷筋無力症など多数が存在する。上記疾患以外でも高齢化による嚥下障害もあり、嚥下障害患者は今後、増大化することが予想される。
嚥下障害とは、嚥下に関する筋の制御ができず、食物や飲料の経口摂取が困難な状態をいう。高齢者の死亡原因の第1位を占める肺炎は、その多くが嚥下障害による誤嚥性肺炎といわれる。その他、嚥下障害は窒息などの原因にもなる。
嚥下障害は、上記のように高齢者のみならず多くの脳血管障害者、その他の患者が悩まされており、年間2万人を超える新たな嚥下障害患者が発生している。従って、この嚥下障害を改善することは高齢者や脳血管障害者の健康を良好に保つ上で非常に重要である。そこで下記のような嚥下障害治療器が提案された(特許文献1、及び非特許文献1)
嚥下障害は、上記のように高齢者のみならず多くの脳血管障害者、その他の患者が悩まされており、年間2万人を超える新たな嚥下障害患者が発生している。従って、この嚥下障害を改善することは高齢者や脳血管障害者の健康を良好に保つ上で非常に重要である。そこで下記のような嚥下障害治療器が提案された(特許文献1、及び非特許文献1)
インターネット<URL:http://www.djoglobal.com/vitalstim>
健常者の場合、食物や液体を取り込むと食物や液体が咽頭を機械的に刺激することで嚥下を誘発する。動物実験より嚥下中枢は咽頭粘膜に分布する上咽頭神経または舌咽神経咽頭枝を直接的に電気刺激するか、咽頭粘膜を電気刺激することで賦活できることが実証されている。
また、解剖学的には咽頭側壁により多くの神経分布が認められている。これをヒントに食物や液体の代わりにこの部分を電気刺激して嚥下を誘発することで、嚥下患者に対して効果的な嚥下訓練や治療を行うのが特許文献1に記載の発明である。
また、解剖学的には咽頭側壁により多くの神経分布が認められている。これをヒントに食物や液体の代わりにこの部分を電気刺激して嚥下を誘発することで、嚥下患者に対して効果的な嚥下訓練や治療を行うのが特許文献1に記載の発明である。
特許文献1に記載の発明は、鼻腔を経由して刺激電極を咽頭の粘膜に密着させ、この刺激電極に適切な値の電流を供給して当該部分に電気刺激を与え、これにより嚥下の訓練や治療を行おうとするものであるが、鼻腔を経由しての刺激電極の咽頭粘膜への密着は患者に重い負担を強いることになり、手軽に治療することができない。
一方、非特許文献1に記載の発明は、頸部表皮に刺激電極を貼り付け、刺激電極に通電して内部の咽頭粘膜を電気刺激しようとするものであるが、電気刺激時に感電による疼痛を患者に与える点や、顎鬚など体毛がある場合は刺激電極を求める部位(喉)に取り付けることができないという問題がある。
本発明は、特許文献1に比べて遥かに手軽に使用でき、非特許文献1のような電気刺激時の疼痛がなく、体毛などによる使用部位の制限も受けず、例えば、顎の舌骨上筋群のような局部的な磁気刺激を効果的に行える新たな磁気刺激装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、四肢の大きな筋肉の末梢神経を連発磁気パルスで刺激することにより、これら大きな筋肉に持続する大きな収縮を起こさせるための連続磁気パルス発生装置(特開平2015−107176)の研究を進めてきた。
この装置を嚥下障害の磁気刺激装置に応用して、例えば、患者の嚥下に関連する小さな筋である舌骨上筋群に磁気的な刺激を与え、患者に嚥下の訓練や治療を行うことのできる装置を完成させた。
この装置を嚥下障害の磁気刺激装置に応用して、例えば、患者の嚥下に関連する小さな筋である舌骨上筋群に磁気的な刺激を与え、患者に嚥下の訓練や治療を行うことのできる装置を完成させた。
請求項1に記載の発明は、
U字形コア6aと、
前記U字形コア6aの、隣接して並置された一対の先端部分6b・6cのそれぞれに通電電流が互いに反対方向に流れるように巻着された導体6p・6qと、
前記U字形コア及び導体を収納するケース3より構成された磁気発生部6と、
前記導体6p・6qに励磁電流13を供給する励磁電流供給部20とで構成されたことを特徴とする磁気刺激装置である。
U字形コア6aと、
前記U字形コア6aの、隣接して並置された一対の先端部分6b・6cのそれぞれに通電電流が互いに反対方向に流れるように巻着された導体6p・6qと、
前記U字形コア及び導体を収納するケース3より構成された磁気発生部6と、
前記導体6p・6qに励磁電流13を供給する励磁電流供給部20とで構成されたことを特徴とする磁気刺激装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気刺激装置において、
U字形コア6aがU形に見える面を側面6iとした場合に、前記U字形コア6aの両先端部分6b・6cの前記側面6iに対して交差する、互いに反対側に位置する前面6gと背面6h間の外寸Sが64mm以下に構成されたことを特徴とする磁気刺激装置である。
U字形コア6aがU形に見える面を側面6iとした場合に、前記U字形コア6aの両先端部分6b・6cの前記側面6iに対して交差する、互いに反対側に位置する前面6gと背面6h間の外寸Sが64mm以下に構成されたことを特徴とする磁気刺激装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の磁気刺激装置において、
磁気発生部6の磁力線発生面3mに患部の設置位置を示す目印3nを設けたことを特徴とする磁気刺激装置である。
磁気発生部6の磁力線発生面3mに患部の設置位置を示す目印3nを設けたことを特徴とする磁気刺激装置である。
請求項4に記載の発明(図5)は、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気刺激装置において、
U字形コア6aの側面6iに対して直角方向から前記U字形コア6aを見た時に、前記U字形コア6aの先端面6s・6tの中央が最も低く、前記先端面6s・6tの両側に向かって次第に高くなる凹半円弧面状に形成されていることを特徴とする磁気刺激装置である。
U字形コア6aの側面6iに対して直角方向から前記U字形コア6aを見た時に、前記U字形コア6aの先端面6s・6tの中央が最も低く、前記先端面6s・6tの両側に向かって次第に高くなる凹半円弧面状に形成されていることを特徴とする磁気刺激装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置において、
前記ケースには、冷却空気を前記ケース内部に送り込むための送風管3rが設けられていることを特徴とする磁気刺激装置である。
前記ケースには、冷却空気を前記ケース内部に送り込むための送風管3rが設けられていることを特徴とする磁気刺激装置である。
本発明によれば、U字形コア6aを採用し、その先端部分6b・6cへの導体6p・6qの巻き方向を反対方向にして導体6p・6qを流れる通電電流が互いに反対方向に流れるようにしたので、通電時に患部に生じた渦電流UはU字形コア6aの先端部分6b・6cの間を集中的に流れて当該部分の筋の末梢神経を磁気刺激することができた。
そして、U字形コア6aの前・背面6g・6h間の外寸Sを64mm以下としたので、例えば、成人の顎に沿わせて磁気発生部6の磁力線発生面6mをセットすることができ、舌骨上筋群30のような小さな筋の末梢神経を効果的に刺激できるようになった。
更に磁力線発生面3mに患者の顎の設置位置を示す目印3nを設けたので、例えば、嚥下治療にあっては、該目印3nに合わせて患者の顎を磁力線発生面3mに載せれば常に正しい位置に患者の顎を載せることができ、治療時にU字形コア6aから出た磁力線Gが患者の下歯槽神経40を刺激することなく舌骨上筋群30だけを刺激して疼痛を伴わない安全な嚥下訓練を実施できるようになった。
加えて、U字形コア6aの先端面6s・6tを凹面状に形成することで、嚥下治療において、磁気刺激装置を顎に沿わせることができる。
そして、U字形コア6aの前・背面6g・6h間の外寸Sを64mm以下としたので、例えば、成人の顎に沿わせて磁気発生部6の磁力線発生面6mをセットすることができ、舌骨上筋群30のような小さな筋の末梢神経を効果的に刺激できるようになった。
更に磁力線発生面3mに患者の顎の設置位置を示す目印3nを設けたので、例えば、嚥下治療にあっては、該目印3nに合わせて患者の顎を磁力線発生面3mに載せれば常に正しい位置に患者の顎を載せることができ、治療時にU字形コア6aから出た磁力線Gが患者の下歯槽神経40を刺激することなく舌骨上筋群30だけを刺激して疼痛を伴わない安全な嚥下訓練を実施できるようになった。
加えて、U字形コア6aの先端面6s・6tを凹面状に形成することで、嚥下治療において、磁気刺激装置を顎に沿わせることができる。
以下、本発明を図示実施例に従って説明するが、その前に本発明に係る磁気刺激の1つの対症例となる嚥下障害を理解するうえで必要な通常の嚥下動作に付いて説明する(図1参照)。
咽頭50の上部入口には鼻腔60と口腔70が繋がっており、咽頭50の下部出口は喉頭80と食道90に繋がっている。
呼吸時には鼻腔60から入った空気は、咽頭50を経て喉頭80に送られ、気管88を通って肺に送られる。
咽頭50の上部入口には鼻腔60と口腔70が繋がっており、咽頭50の下部出口は喉頭80と食道90に繋がっている。
呼吸時には鼻腔60から入った空気は、咽頭50を経て喉頭80に送られ、気管88を通って肺に送られる。
これに対して嚥下時には、口腔70内で咀嚼された食物や水或いは液状栄養物などの食塊は咽頭50に送られ、後述するように食道90を経由して胃に送られる。
咽頭50ではこのように空気と食塊が通過するため、呼吸と嚥下とを仕分ける筋の制御ができなくなると、気管88に食塊が誤進入して誤嚥を生じる。この点を更に詳述する。
咽頭50ではこのように空気と食塊が通過するため、呼吸と嚥下とを仕分ける筋の制御ができなくなると、気管88に食塊が誤進入して誤嚥を生じる。この点を更に詳述する。
食物を咀嚼し、その食塊を嚥下すると上記のように該食塊が咽頭50を機械的に刺激することで嚥下作用を誘発する。そして、該食塊は口腔70から喉頭蓋谷81に入り、誘発された該嚥下作用により、直下の喉頭蓋軟骨82に接続している筋83が反転して喉頭蓋84が気管88の入口を塞ぎ、同時に口腔70から咽頭50を経て食道90に至るように通路が切り替わり、これにより食塊が口腔70から食道90へスムーズに流れ落ちる。
食塊が気管88に入らないようにするために、嚥下反射により瞬時に気管88に繋がる喉頭80の入口がタイミングよく喉頭蓋84で蓋される必要がある。このような嚥下作用は、上記舌骨上筋群30や図示していない上咽頭収縮筋その他さまざまな筋が非常に短い時間でタイミングよく作動することで行われる。これは脳の延髄にある嚥下中枢によって制御される。それ故、脳卒中の後遺症、高齢化、神経疾患、口腔や咽頭の形態異常など様々な疾患により咽頭枝或いは咽頭枝から嚥下中枢に至る神経系統、嚥下中枢から嚥下を司る筋群(特に、頤舌骨筋、顎二腹筋(前腹)及び顎舌骨筋などを含む舌骨上筋群30)に至る神経系統に障害が発生した場合、嚥下障害を発生する。
そこで、本発明に係る磁気刺激装置を用い、例えば嚥下障害においては、嚥下作用を司る上記舌骨上筋群30に連続して刺激を与え、これを間欠的に収縮させることで障害の起きている神経系統やこれらが繋がっている咽頭相に刺激を与え、嚥下機能を賦活させようとするものである。
次に、本発明に係る嚥下障害治療のような局所磁気刺激用の磁気刺激装置を図示実施例に従って説明する。以下は本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に説明するものであるが、これら実施例は説明のための単なる例示であって、本発明はこれら実施例に何等制限されるものではない。
本発明の磁気刺激装置は、磁気発生部6と、磁気発生部6に励磁電流13(順方向電流11や反転電流12)を供給する励磁電流供給部20とで構成されている。
嚥下障害治療に当たっては磁気発生部6を図1に示すように顎の下に沿わせ、下歯槽神経40などを刺激することなく嚥下動作を司る舌骨上筋群30だけを刺激できるようにする。そのためには磁気発生部6を顎のような局所的患部に合わせて小型化する必要がある。
加えて、励磁電流供給部20も従来は大型であって持ち運びできなかったが、治療の利便性を考えると、磁気発生部6の小型化と並行して励磁電流供給部20の小型化も必要である。まず、磁気発生部6に付いて説明する。
嚥下障害治療に当たっては磁気発生部6を図1に示すように顎の下に沿わせ、下歯槽神経40などを刺激することなく嚥下動作を司る舌骨上筋群30だけを刺激できるようにする。そのためには磁気発生部6を顎のような局所的患部に合わせて小型化する必要がある。
加えて、励磁電流供給部20も従来は大型であって持ち運びできなかったが、治療の利便性を考えると、磁気発生部6の小型化と並行して励磁電流供給部20の小型化も必要である。まず、磁気発生部6に付いて説明する。
磁気発生部6の主要部分は、ケイ素鋼板やアモルファス箔体等の磁性体を材料としたU字形コア6aと、銅やアルミ等の非磁性金属を材料とした導体6p・6qであり、樹脂やセラミック等の非金属を材料としたケース3に収納されている。U字形コア6aは図2及び図3に示すように薄い絶縁被膜付きのU形の圧延ケイ素鋼板を多数枚積層したもの、或いはU形に曲げた圧延ケイ素鋼板を多数枚積層したものである。本実施例で使用した圧延ケイ素鋼板は、厚さが0.35mmのものである。U字形コア6aの先端部分6b・6cは平行に設けられ、その先端面6s・6tは平坦、或いはU字形コア6aがU形に見える面を側面6iとした場合に、U字形コア6aの側面6iに対して直角方向から前記U字形コア6aを見た時に、前記U字形コア6aの先端面6s・6tの中央が最も低く、前記先端面6s・6tの両側に向かって次第に高くなる凹半円弧面状に形成されている。
磁気発生部6は、嚥下障害治療用では、下歯槽神経40を刺激せず、下顎41と舌骨42との間にある舌骨上筋群30のみを刺激する必要があるため、上記のように患者の顎の長さに合わせる必要がある。本実施例では2種類のものが用意され、顎の長さの大きい人用には、U字形コア6aの先端部分6b・6cの前・背面6g・6h間の幅Sが64mm、小さい人用としては53.5mmとした。勿論、左記数値は限定されるものでなく、更に小さいものでは50mm或いは子供用では25mmのものが用意される。本実施例では最大64mmとした。U字形コア6aの大きい方が小さい方に比べて舌骨上筋群30により大きな収縮を生起させることができる。
なお、U字形コア6aの先端部分6b・6cの前面6gから背面6hの幅Sとは、図2、図3から分かるように、U字形コア6aの側面6iに交差(直交)し、互いに反対側に位置する外側の面の間の距離をいう。
なお、U字形コア6aの先端部分6b・6cの前面6gから背面6hの幅Sとは、図2、図3から分かるように、U字形コア6aの側面6iに交差(直交)し、互いに反対側に位置する外側の面の間の距離をいう。
導体6p・6qは、1本の長尺の銅板をU字形コア6aの先端部分6b・6cにコイル状にて反対方向に巻き付けたもので、その表面には絶縁被膜が形成されている。導体6p・6qの厚みは0.4〜1.5mm、幅5.0〜15.0mm、巻き数はそれぞれ5〜15巻きとし、互いに接触しないように導体冷却用間隙6kを設けて長尺の銅板をコイル状に巻回した。本実施例では先端部分6b・6cへの巻着導体6p・6qは、0.7mm×9.0mmでそれぞれ10巻とした。導体冷却用間隙6kは本実施例では0.1〜0.3mmとした。絶縁被膜はウレタン樹脂を用い、導体6p・6q表面の放熱を妨げないように薄くした。本実施例では絶縁被膜の厚みは20μmとした。なお、本実施例では、導体6p・6qは、長尺の銅板をコイル状に巻き付けたものとしたが、これに限られず導体冷却用間隙6kが設けられるようなものであれば足り、例えば、図示していないが、導体冷却用間隙を設けて銅線をコイル状に巻いたものでもよい。(なお、昇温の心配はない小型の場合には導体冷却用間隙6kをなくし、密捲きにしてもよい。)
ケース3は、U字形コア6aとコイル状の導体6p・6qとを収納する樹脂製(ここではABS製)のもので、上面が開口した本体3aと、その開口を覆う蓋部3bとで形成されており、図示しないボルトで固定され、前記上面開口が閉塞されている。
本体3aの上面開口凹部3cには、U字形コア6aの本体部分が収納されており、その先端部分6b・6cが導体6p・6qと共に上方に飛び出している。
本体3aの上面開口凹部3cには、U字形コア6aの本体部分が収納されており、その先端部分6b・6cが導体6p・6qと共に上方に飛び出している。
患者の患部に接触する蓋部3bには2個の長方形の凸部3dが平行に突設されており、上記上方に飛び出している前記先端部分6b・6cが長方形の凸部3dに一致して設けられ下面側に開口した下面開口凹部3eに嵌め込まれる。同様に該先端部分6b・6cの周囲にそれぞれ巻設された導体6p・6qも蓋部3b内に嵌め込まれて保持される。保持方法は図示しない固定部材(或いは接着)による。
該先端面6s・6tは、上記のように平坦面、又は凹半円弧面状に形成されているので、蓋部3bの下面開口凹部3eの先端面6s・6tが当接する当接面、及び凸部3dの表面も前記先端面6s・6tに合わせて平坦面、又は凹半円弧面状に形成されている。
該先端面6s・6tは、上記のように平坦面、又は凹半円弧面状に形成されているので、蓋部3bの下面開口凹部3eの先端面6s・6tが当接する当接面、及び凸部3dの表面も前記先端面6s・6tに合わせて平坦面、又は凹半円弧面状に形成されている。
なお、ケース3内にはサーモスタット3sが設置されており、内部温度が設定温度以上になると通電を停止するようになっている。また、磁気発生部6の温度上昇を防ぐため、ケース3に設けた送風管3rを通じて冷却空気をケース3内に送り込むようにしてもよい。その場合、導体6p・6qの間に設けた導体冷却用間隙6kが導体6p・6qの冷却に寄与する。ケース3に送り込まれた空気はケース3の側面その他の面に設けた孔(図示せず)から流出する。
次に、励磁電流供給部20に付いて説明する。従来の励磁電流供給部は、後述する全波整流回路を通過する分流電流により、非常に大きく重い電源トランスや高圧用素子を必要としており、小型軽量化することは困難であった。本発明に使用される励磁電流供給部20の回路(第1実施例 図8)は、放電回路部Kと充電回路部J1とで構成される。
図8の充電回路部J1は、昇圧トランス1の2次側コイル1bと、全波整流回路5と、分流電流抑制用のインダクタ9(又は、該インダクタ9に替えて用いられる分流電流抑制用の抵抗10)及び充放電用コンデンサ4とで構成されている。前記全波整流回路5はダイオードD1〜D4にて構成される。
昇圧トランス1は、その1次側コイル1aが交流電源2に接続され、2次側コイル1bが全波整流回路5の入力端子5aに接続されている。全波整流回路5は、その両出力端子5b、5bが充放電用コンデンサ4の両端子P1,P2にそれぞれ接続されている。そして、全波整流回路5のいずれかの出力端子5b,5bと充放電用コンデンサ4のいずれかの端子P1,P2或いは両端子5b,P1(5b,P2)との間に分流電流用インダクタ9又は分流電流用抵抗10の少なくともいずれか一方が接続されている。即ち、充電電流が出力される一方の出力端子5bと端子P1、又は他方の出力端子5bと端子P2との間のいずれか一方に、分流電流抑制用のインダクタ9だけを、又は分流電流抑制用の抵抗10だけを直列接続する場合、或いは、一方の出力端子5bと端子P1に該インダクタ9が設けられ、他方の出力端子5bと端子P2との間に該抵抗10をそれぞれ接続する場合、或いはその逆、及び両出力端子5bと両端子P1、P2の間に該インダクタ9同士又は該抵抗10同士がそれぞれ接続されている場合がある。
放電回路部Kは、充放電用コンデンサ4と、充放電用コンデンサ4からの放電電流(順方向電流)11を磁気発生部6の導体6p・6qに供給するスイッチング半導体素子7とを環状に直列接続して構成されている。この実施例では、スイッチング半導体素子7は、全波整流回路5の、充電電流が出力される一方の出力端子5bから導体6p・6qに向かう順方向のサイリスタ7aと該サイリスタ7aに逆並列接続された反転電流用ダイオード7bとで構成されている。
そして、図8では前記分流電流抑制用のインダクタ9は前記一方の出力端子5bとスイッチング半導体素子7の端子P1との間で直列接続されている。制御部8はスイッチング半導体素子7の導通タイミング(=連続磁気パルスの繰り返し時間間隔T:図14、図15)を制御するもので、スイッチング半導体素子7のサイリスタ7aに接続されている。
そして、図8では前記分流電流抑制用のインダクタ9は前記一方の出力端子5bとスイッチング半導体素子7の端子P1との間で直列接続されている。制御部8はスイッチング半導体素子7の導通タイミング(=連続磁気パルスの繰り返し時間間隔T:図14、図15)を制御するもので、スイッチング半導体素子7のサイリスタ7aに接続されている。
図9は分流電流抑制用のインダクタ9に替えて抵抗10を用いた例を示す。インダクタ9、抵抗10の配置位置は、前述のように全波整流回路5の一方の出力端子5b又は反対側の他方の出力端子5bのいずれの側に直列接続してもよい。
同様に本発明を用いた磁気刺激装置6の回路図の他例を「図12」に示す。該回路においては、充放電コンデンサ4と、スイッチング半導体素子7の位置が交代しているだけで、その余は図8と同じである。なお、この場合、サイリスタ7aの入力側端子P1は、全波整流回路5の充電電流が出力される側の出力端子5b側に接続されている。図12では充電回路をJ2で示す。
次に、本磁気刺激装置を使用した嚥下障害治療方法について説明する。図1に示すように磁気刺激装置の蓋部3b側を患者の顎に沿わせる。この場合、目印3nに患者の顎の先端部分を合わせる。これにより、磁気刺激装置6から発生する磁力線Gが患者の下歯槽神経40から外れ、渦電流Uが目的の舌骨上筋群30のみを主として刺激するようにセットできる。
この状態で励磁電流供給部20を作動させると、図8、12の回路では、昇圧トランス1の1次側コイル1aに商用電流が流れ、2次側コイル1bには所定の電圧に昇圧された状態で電流が流れる。2次側の電流は、全波整流回路5によって整流された後、分流電流抑制用のインダクタ9(又は図示していないが、分流電流抑制用の抵抗10)を介して充放電用コンデンサ4に充電される。サイリスタ7aに制御部8からトリガ信号を与えて充放電用コンデンサ4に充電された電荷を導体6p・6qに流す(順方向放電電流11)と、導体6pが巻かれた一方の先端部分6bの先端面6sから他方の先端部分6cの先端面6tに向けて磁力線Gが発生する。そして、一方の先端部分6bの先端面6sから出た磁力線Gの周囲に順方向の渦電流U1が発生し、他方の先端部分6cの先端面6tから出た磁力線Gの周囲に逆方向の渦電流U2が発生する(図6、図7)。
図7(顎を下から覗いた状態の図)に示すように、U字形コア6aの一方の先端部分6bの前面6gを顔側、他方の先端部分6cの背面6hを喉側にして磁気発生装置を顎に沿わせて通電すると、渦電流U1・U2は互いに反対方向に流れるから、U字形コア6aの先端部分6b・6cの間で合流して、患部の筋(この場合では舌骨上筋群30)に対してほぼ直角に横切り、2倍の強度の磁気刺激を集中して舌骨上筋群30に与える。他の部分の渦電流U1、U2はこれに比べて大幅に弱い。
図6はその状況を示す有限要素法を用いたる数値解析結果に基づく模式図で、矢印は各部の渦電流U(U1.U2)の大きさと方向を示し、患部の筋(この場合では舌骨上筋群30)に対してほぼ直角に横切る渦電流Uが最大値を示している。
なお、上記のようにU字形コア6aの先端部分6b・6cを患部の筋(ここでは舌骨上筋群30)の前後に配置し、渦電流Uが患部の筋に直角に交差して横切るように流す場合と、図示していないが、U字形コア6aの先端部分6b・6cが患部の筋(ここでは舌骨上筋群30)を跨ぐように配置し、渦電流Uが患部の筋に平行に流れるようにする場合とがあるが、渦電流Uが患部の筋に直角に交差して横切るように流れる場合の方が、平行に流れる場合より、より大きく収縮する。
なお、上記のようにU字形コア6aの先端部分6b・6cを患部の筋(ここでは舌骨上筋群30)の前後に配置し、渦電流Uが患部の筋に直角に交差して横切るように流す場合と、図示していないが、U字形コア6aの先端部分6b・6cが患部の筋(ここでは舌骨上筋群30)を跨ぐように配置し、渦電流Uが患部の筋に平行に流れるようにする場合とがあるが、渦電流Uが患部の筋に直角に交差して横切るように流れる場合の方が、平行に流れる場合より、より大きく収縮する。
上記では嚥下治療を中心に説明したが、U字形コア6aを用いた磁気発生装置は、上記のように互いに逆向きの渦電流U1、U2を一か所に合流させることができるので、局所的な磁気刺激が可能であり、四肢の筋肉に比べて小さい指の筋肉のリハビリテーションにも用いることができる。
なお、図14、図15から分かるように、励磁電流13(順方向電流11と反転電流12)の放電時間は微小時間で、連続してパルス的に流れるが、その間、患部の筋は連続して収縮している。所定時間が経過すると、放電が制御部8の指令により停止し、患部の筋は弛緩する。そして、再度、所定時間放電がなされ、当該筋が収縮する。この収縮と弛緩とを繰り返すことにより、リハビリ効果を引き出す。
なお、図14、図15から分かるように、励磁電流13(順方向電流11と反転電流12)の放電時間は微小時間で、連続してパルス的に流れるが、その間、患部の筋は連続して収縮している。所定時間が経過すると、放電が制御部8の指令により停止し、患部の筋は弛緩する。そして、再度、所定時間放電がなされ、当該筋が収縮する。この収縮と弛緩とを繰り返すことにより、リハビリ効果を引き出す。
次にこのような図8、12の回路において、回路構成を小型化できた理由に付いて説明する。
上記順方向電流11の放電時において、図8の場合、導体6p・6qを通過した順方向の放電電流11の一部は、分流して逆流用ダイオード7b及び全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に戻る。全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に戻るこの分流電流11bは、インダクタ9(又は抵抗10)の存在によって大幅に抑制され、充放電用コンデンサ4に直接戻る分流電流11aより遥かに小さいものとなり、全波整流回路5のダイオードD1〜D4を害することはないし、充放電用コンデンサ4に対する分流電流11aによる逆向きの充電を殆ど阻害しない。その結果、充放電用コンデンサ4は分流電流11aにより電圧が逆向きに充電された状態となる。
上記順方向電流11の放電時において、図8の場合、導体6p・6qを通過した順方向の放電電流11の一部は、分流して逆流用ダイオード7b及び全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に戻る。全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に戻るこの分流電流11bは、インダクタ9(又は抵抗10)の存在によって大幅に抑制され、充放電用コンデンサ4に直接戻る分流電流11aより遥かに小さいものとなり、全波整流回路5のダイオードD1〜D4を害することはないし、充放電用コンデンサ4に対する分流電流11aによる逆向きの充電を殆ど阻害しない。その結果、充放電用コンデンサ4は分流電流11aにより電圧が逆向きに充電された状態となる。
これに対して図12の場合、前記順方向の放電時において、導体6p・6qを通過した放電電流11がそのまま、充放電用コンデンサ4に戻り、電圧が逆向きに充電された状態となる。そして電圧が逆向きに充電された充放電用コンデンサ4からは逆方向の反転電流12が放電され、導体6p・6qに逆方向の磁場が形成され、前述同様、患部の筋肉に渦電流を発生させ、末梢神経を刺激する。
この反転電流12の一部は端子P2で分流し、分流した分流電流12aは反転電流用ダイオード7bを通り、分流電流12bは全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に充電される。全波整流回路5を通って再び充放電用コンデンサ4に戻る分流電流12bは、インダクタ9(又は抵抗10)の存在によって大幅に抑制され、逆流用ダイオード7bを通過して充放電用コンデンサ4に直接戻る分流電流11aより遥かに小さいものとなり、全波整流回路5のダイオードD1〜D4を害しない。即ち、図8及び図12の回路では、いわゆるバイフェーズ波形といわれる磁場波形(磁場は両極方向に一度ずつ飛び出したプラスマイナス双峰型のパルス状磁界)となって放電が終了する。
この再充電により充放電用コンデンサ4は放電前に持っていた電荷のかなりの部分を再度取り戻すことになり、充電回路部J1,J2から充放電用コンデンサ4に流し込むエネルギーはハッチングの部分だけとなり、かなり低減される(図15)。このため、後述するモノフェーズ方式の装置と比較して、装置内で使用する素子を小さくすることが可能となり、装置の大幅な小型軽量化、省電力化が見込める。
次に図8、図12の変形例に付いて簡単に説明する。図10は、図8のスイッチング半導体素子7がサイリスタ7a単体で構成されている場合で、この場合は、逆流用ダイオード7bが存在しないため、反転電流12が導体6p・6qに流れず、導体6p・6qから発生する磁場は片極方向にだけ出たパルス状の磁界(図14参照)となり、いわゆるモノフェーズ波形といわれる磁場波形となって放電が終了する。この場合、充放電用コンデンサ4は0又はマイナス電圧になり、ここからのチャージとなるため、充放電用コンデンサ4への充電回路部J1からのチャージはバイフェーズ方式の場合に比べて大きな電力が必要となる。これを図14のハッチングで示す。なお、この場合も順方向放電電流11の分流電流11bは全波整流回路5を流れることになるが、インダクタ9(又は抵抗10)により抑制されて全波整流回路5のブリッジダイオードD1〜D4は上記同様保護されることになる。
図11,図13は、図8,図12のスイッチング半導体素子7が双方向導通素子(トライアック)7cの場合で、双方向で制御部8のトリガ信号を受けて順方向放電電流11及び逆方向の反転電流12を流してバイフェーズ方式で磁気刺激することになる。それ以外は図8、図12と同じである。
また、上記回路内の素子の特性を下記「数式1」を従って設定すれば、図14、図15の充電電流波形で示される充電パルスPを短時間発生させるだけで、充放電用コンデンサ4への充電を完了させることが可能である。
即ち、図8の本充電回路部J1では、昇圧トランス1の2次側コイル1bと、抵抗10に代えて/又は抵抗10と共にインダクタ9が使用された場合には該インダクタ9を含めたインダクタンスの総和である全インダクタンスL、昇圧トランス1の2次側コイル1bと前述のようにインダクタ9が使用された場合には該インダクタ9の直流抵抗分、或いはインダクタ9に代えて使用された又はインダクタ9と併用された場合には該抵抗10を含めた直流抵抗の総和である全直流抵抗R、充放電用コンデンサ4のキャパシタンスC、との関係が「数式1」を充たすことにより本回路を共振型充電回路とした。
即ち、図8の本充電回路部J1では、昇圧トランス1の2次側コイル1bと、抵抗10に代えて/又は抵抗10と共にインダクタ9が使用された場合には該インダクタ9を含めたインダクタンスの総和である全インダクタンスL、昇圧トランス1の2次側コイル1bと前述のようにインダクタ9が使用された場合には該インダクタ9の直流抵抗分、或いはインダクタ9に代えて使用された又はインダクタ9と併用された場合には該抵抗10を含めた直流抵抗の総和である全直流抵抗R、充放電用コンデンサ4のキャパシタンスC、との関係が「数式1」を充たすことにより本回路を共振型充電回路とした。
即ち、本充電回路部J1の全インダクタンスLは、(i)2次側コイル1bのインダクタンスだけの場合と、(ii)2次側コイル1bのインダクタンス+インダクタ9のインダクタンスの場合があり、本充電回路部J1の全直流抵抗Rは、(a)2次側コイル1bの直流抵抗分だけの場合、(b)2次側コイル1bの直流抵抗分+インダクタ9の直流抵抗分の場合、(c)2次側コイル1bの直流抵抗分+抵抗10の場合、(d)2次側コイル1bの直流抵抗分+インダクタ9の直流抵抗分+抵抗10の場合がある。
また、図12の本充電回路部J2では、図8の場合に導体6p・6qが更に加わることになり、昇圧トランス1の2次側コイル1bと、導体6p・6q、抵抗10に代えて又は抵抗10と共にインダクタ9が使用された場合には該インダクタ9のインダクタンスを含めた総和である全インダクタンスL、昇圧トランス1の2次側コイル1bと導体6p・6q、前述のようにインダクタ9が使用された場合にはインダクタ9の直流抵抗分、或いはインダクタ9に代えて使用された又はインダクタ9と併用された場合には該抵抗10を含めた抵抗10の直流抵抗の総和である全直流抵抗Rとの関係が「数式1」を充たすことにより、本回路を共振型充電回路とした。
これにより従来装置のような徐々に電流が減衰していく減衰型の電流波形ではなく、図14,図15のような幅の短いパルス状の充電電流波形で充電されることになり、上記のように充放電用コンデンサ4への充電を短時間で完了させることが出来るようになった。
そして、下記「数式2」を充たすことにより、充放電用コンデンサ4に充電電流が流れ込む充電電流流入時間tと連発パルスの繰り返し時間間隔Tとを同程度とすることが出来る。換言すれば、充電電流流入時間tを連発パルスの繰り返し時間間隔Tの半分を越え、2倍未満とすることで、連発パルスの繰り返しを実現できる。この内、充電電流流入時間tを0.5Tを越え、1T以下とすることが好ましい。充電電流流入時間tを0.5Tより短くしようとすれば、充電電流量が大きくなり過ぎて装置の小型化の目的から逸れることになり、2T以上となると、充電に時間が掛り過ぎて充電電圧が不足する。
上記の点を詳述すると、この充電パルスPの積分値(=図14,図15の充電電流波形のハッチングの部分)は充放電用コンデンサ4の充電電荷量(=図14,図15の放電電流波形のハッチングの部分)に相当している。そして、回路内素子への負担を最小化するためには、充電パルスPの高さを低くするとともに充電パルスPの幅を広げることで同程度の積分値を得ることが望ましい。しかし、この幅が広がりすぎると次の放電までにこの充電パルスPによる充電が間に合わなくなってしまうため、この充電パルスPの幅、すなわち充放電用コンデンサ4への充電電流の流入時間tを連発パルスの繰り返し時間間隔Tと同程度とすることが必要である。この充電パルスPの幅(充電時間t)は、「数式2」の中辺の数式で表すことができ、この値を連発パルスの繰り返し時間間隔Tの0.5倍から2.0倍の範囲とすれば、前述のように充電電流を十分に抑えながら、次の充放電用コンデンサ4の放電タイミングまでにほぼ充電を完了することが可能となる。また、用途によって様々な導体6p・6qをとりかえながら使用するような装置の場合は、各コイルのインダクタンスの値を用いて計算した結果が「数式2」を充たしていることが望ましい。
上記インダクタ9および抵抗10は、「数式1」、「数式2」を充たす充電回路部J1,J2とするための調整用程度の素子であり、不足しているインダクタンスや抵抗を補う程度の小さな素子であり、従来装置の大容量抵抗と置換すればかなりの小型軽量化が可能となる。また、これらの素子がなくとも「数式1」、「数式2」の式を充たしている場合は素子自体が不要であり、省略することも可能である。ただし、少なくともどちらか一方の素子は再度後述するように分流電流11b、12bの抑制のための素子として必要となる。
本回路の全直流抵抗Rを0.5Ω一定とし、充放電用コンデンサ4の容量を50、100、150マイクロファラッド(μF)とし、全インダクタンスLを0.5〜4ヘンリー(H)、の範囲で変化させた場合に、充放電用コンデンサ4への充電電流の流入時間tを「数式2」によって計算した結果を図21に示す。図21の結果は、抵抗Rを0.1〜1Ωの範囲で変えてもほとんど同じであった。この図21を用いておよその素子の特性を決定することができる。例えば、連発磁気パルス間隔Tを20〜40ミリ秒として、充放電用コンデンサ4の充電時間tを設定するには、充放電用コンデンサ4の容量を100〜150μFの場合、本回路のインダクタンスが2〜4Hとなるように設計することが必要であることがわかる。
なお、本発明方式の回路を用いた場合、前述のように充放電用コンデンサ4の順方向放電電流11の分流電流11b(図8)、或いは電圧反転時に分流電流12b(図12)が全波整流回路(ブリッジ整流器)5を流れてしまう。この電源回路を流れる電流の向きを図8及び図12の曲線で示す。11は正充電時のコンデンサ4の放電時の電流の順方向の流れ(細い実線)であって、一方、12はコンデンサ電圧反転時に流れる反転電流の流れ(細い破線)を示す。前述のように、図8の場合は、順方向放電電流11の分流電流11bが全波整流回路5を流れる。図12の場合、順方向放電電流11は全波整流回路5を流れないが、逆方向の反転電流12の分流電流12bが全波整流回路5を通る。図17〜18は全波整流回路5に流入する分流電流11b、12bを測定した結果を示す。
図16はインダクタ9も抵抗10も設けない場合であって、0.15ミリ秒(磁気パルスの幅)の間に約120Aという大電流が流れている。これは分流電流11b、12bを妨げる素子が全波整流回路5と充放電用コンデンサ4の間にないためにいくらでも電流が流せる状態となっている結果として生じている。この大電流によって、全波整流回路5は短時間で焼損してしまう。
一方、図17は抵抗10として0.53Ωの抵抗を入れた場合であって、全波整流回路5に流入する分流電流11b,12bは6A程度に減少している。また、図18は図8又は図12のインダクタ9として111μHのインダクタ9を入れた場合であって、全波整流回路5に流入する分流電流11b,12bは7A程度に減少している。このように比較的小さな素子を全波整流回路5と充放電用コンデンサ4の間に挿入するだけで、分流電流11b,12bを大幅に低減することが可能である。
次に、本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。なお、この実施例は当業者の理解を容易にするためのものである。すなわち、本発明は明細書の全体に記載される技術思想によってのみ限定されるものであり、本実施例によってのみ限定されるものでないことは理解されるべきことである。
本発明による図21の計算結果に基づいて充電回路部J1、J2の全インダクタンスLが4.3H、全直流抵抗が0.5Ω、充放電用コンデンサ4の容量が100μF、導体6p・6qのインダクタンスが15μHである連発磁気パルス磁気刺激装置を作製した。回路構成は図9又は図12の構成とした。全波整流回路5の出力電圧を350〜600Vの範囲で変化させ、スイッチング半導体素子7のトリガ信号の周期を20〜100ミリ秒の間で変化させて連発磁気パルスを発生させた。「数式2」によれば、この放電回路部Kのコンデンサ4に充電電流が流入する時間は33ミリ秒(30Hz)である。実験によれば10〜30Hzの連発磁気パルスの場合は、各電圧とも、次回の放電開始前に充電電圧は充電可能な最大電圧に達し、40Hz、50Hzの場合は電源電圧の95〜90%まで充電された。
次に図8又は図12のインダクタ9のインダクタンスを0.11〜1.150mHの間で変化させて、全波整流回路5に流入する分流電流11b、12bを測定した。この結果を図19に示す。試験したインダクタンスの範囲では分流電流11b、12bは7〜3Aであって、全波整流回路5の破損防止効果を得られた。しかしながら、インダクタンスを1mH以上に増すと、40、50Hz連発パルスの充電速度がさらに遅くなった。従って、インダクタ9のインダクタンスは0.1〜1mHが適切であった。また、図8又は図12の抵抗10の抵抗値を0.15〜1.1Ωの間で変化させて、全波整流回路5に流入する分流電流11b、12bを測定した。この結果を図20に示す。0.15Ωの場合、分流電流11b,12bは18Aであって、全波整流回路5の定格電流を越えたが、パルス幅が短いので全波整流回路5は破損しなかった。0.25〜1.1Ωの範囲では分流電流11b,12bは10〜3Aであって、全波整流回路5の破損防止効果を得られた。しかしながら、抵抗を1Ω以上に増すと、ジュール発熱で抵抗の温度が上がるので、冷却用のファンが必要となった。これらの結果から、抵抗10の抵抗値は0.2〜1Ωが適切であった。
従来の励磁電流供給部は、非常に大きく重い電源トランスや高圧用素子を必要としており、小型軽量化することは困難であったが、上記のような充電電流の低減方法を採用した回路により構成することにより大幅に小型・軽量化することができた。この小型化により電源の発熱が低減できたので、磁気発生器を小型化したにも拘わらず、小さい筋肉の末梢神経の集中的刺激が可能な強度の磁界パルスを20分程度連続で発生させることが可能となった。なお、冷却機能を強化すれば、更なる治療時間の延長が可能となる。
1:昇圧トランス、1a:1次側コイル、1b:2次側コイル、2:交流電源、3:ケース、3a:本体、3b:蓋部、3c:上面開口凹部、3d:凸部、3e:下面開口凹部、3m:磁力線発生面、目印3n、3r:送風管、3s:サーモスタット、4:充放電用コンデンサ、5:全波整流回路、5a:入力端子、5b:出力端子、6:磁気発生部、6a:U字形コア、6b・6c:先端部分、6g:前面、6h:背面、6i:側面、6k:導体冷却用間隙、6p・6q:導体、6s・6t:先端面、7:スイッチング半導体素子、7a:サイリスタ、7b:逆流(反転電流)用ダイオード、7c:双方向導通素子、8:制御部、9:インダクタ、10:(分流電流用)抵抗、11:順方向(放電)電流、11a・11b:分流電流、12:反転電流、12a・12b:分流電流、13:励磁電流、20:励磁電流供給部、30:舌骨上筋群、40:下歯槽神経、41:下顎、42:舌骨、50:咽頭、60:鼻腔、70:口腔、80:喉頭、81:喉頭蓋谷、82:喉頭蓋軟骨、83:喉頭蓋軟骨に接続している筋、84:喉頭蓋、88:気管、90:食道、
D1〜D4:ブリッジダイオード、G:磁力線、J1・J2:充電回路部、K:放電回路部、L:全インダクタンス、P:充電パルス、P1・P2:端子、R:全直流抵抗、S:外寸(幅)、T:連続磁気パルスの繰り返し時間間隔、t:充電電流流入(充電)時間、U・U1・U2:渦電流。
D1〜D4:ブリッジダイオード、G:磁力線、J1・J2:充電回路部、K:放電回路部、L:全インダクタンス、P:充電パルス、P1・P2:端子、R:全直流抵抗、S:外寸(幅)、T:連続磁気パルスの繰り返し時間間隔、t:充電電流流入(充電)時間、U・U1・U2:渦電流。
Claims (5)
- U字形コアと、
前記U字形コアの、隣接して並置された一対の先端部分のそれぞれに通電電流が互いに反対方向に流れるように巻着された導体と、
前記U字形コア及び導体を収納するケースより構成された磁気発生部と、
前記導体に励磁電流を供給する励磁電流供給部とで構成されたことを特徴とする磁気刺激装置。 - U字形コアがU形に見える面を側面とした場合に、前記U字形コアの両先端部分の前記側面に対して交差する、互いに反対側に位置する前面と背面間の外寸が64mm以下に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気刺激装置。
- 磁気発生部の磁力線発生面に患部の設置位置を示す目印を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気刺激装置。
- U字形コアの側面に対して直角方向から前記U字形コアを見た時に、前記U字形コアの先端面の中央が最も低く、前記先端面の両側に向かって次第に高くなる凹半円弧面状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気刺激装置。
- 前記ケースには、冷却空気を前記ケース内部に送り込むための送風管が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置。
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