JP2006296669A - 磁気コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 身体の機能の回復を促進することを、可及的に簡単な構成で実現できる磁気コイルを提供する。
【解決手段】 磁気コイル12〜14を用いて0.1[T]以上、1.0[T]以下のパルス磁界を発生させて、身体の筋疲労等の軽減を図れるようにすることにより、従来よりも細い電線を用いて磁気コイル12〜14を形成することができるにして、磁気コイル12〜14(マット15)を撓ませることができるようにする。これにより、身体の肩や膝等の湾曲部に可及的に磁気コイル12〜14をフィットさせることができる。よって、身体の機能の回復を促進することが、可及的に簡単な構成の磁気コイル12〜14で実現することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気コイルに関し、特に、磁界を与えて身体の機能の回復を促進させるために用いて好適なものである。
従来から、身体にパルス磁界を与えて筋疲労等を軽減させるようにする治療器がある。かかる従来の磁気刺激装置では、身体の近くに置いた磁気コイルに、3000[A]以上の非常に大きなパルス電流を短時間(100[μs])流して、1[T]よりも大きな値を有するパルス磁界を身体に加えるようにする。そうすると、身体内で渦電流が発生し、この渦電流により身体の興奮性組織が刺激される。
このように、従来の磁気刺激装置では、身体の興奮性組織を刺激(痙攣)させることを目的としていたので、磁気コイルに大電流を流さなければならなかった。したがって、大電流が流れることによって発生する熱や、力学的応力に耐え得るべく、非特許文献1に記載されているように、強固で絶縁強度が高い磁気コイルを形成する必要があった。具体的に説明すると、例えば、直径2[mm]程度の銅線を用いて磁気コイルが形成されていた。
Sudhansu Chokroverty, "Magnetic Stimulation in Clinical Neurophysiology", Butterworths, p.63
しかしながら、前述したように従来の磁気コイルは、強固なものであった。したがって、磁気コイルを身体にフィットさせることが困難であり、身体の機能の回復を促進できる構成にすることが簡単ではないという問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、身体の機能の回復を促進することを、可及的に簡単な構成で実現できる磁気コイルを提供することを目的とする。
本発明の磁気コイルは、身体に磁界を与える磁気治療器に用いられる磁気コイルであって、前記身体に取り付けられる際に、前記身体の形状に合わせて撓むことを特徴とする。
本発明によれば、身体に合わせて撓むように磁気コイルを構成したので、磁気コイルを身体に可及的にフィットさせることが可及的に簡単な構成で実現でき、身体の機能の回復を可及的に適切に促進することができる。
前述したように、従来の磁気刺激装置では、身体の興奮性組織を刺激(痙攣)させることを目的としていた。これに対し、本願発明者らは、このように身体の興奮性組織を刺激(痙攣)させなくても、身体の機能(例えば身体の筋疲労)の回復を促進させることができることを今回初めて見出した。すなわち、筋肉の痙攣が認められない程、磁気コイルに流すパルス電流の大きさを小さくしても、身体の機能の回復を促進させることができることを見出した。そして、このような現象は、パルス磁界を与えて身体内に渦電流が発生するとイオンが発生し、このイオンが筋肉に作用するためであることを突き止めた。
以下では、このようにして本願発明者らが今回初めて見出したことを前提として本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の磁気コイルが用いられる磁気刺激装置(磁気治療器)の機能構成の一例を示す図である。なお、以下の説明において、電流、電圧、及び磁界の値は、波高値を示すものとする。
図1において、磁気刺激装置10は、パルス発生装置11と、磁気コイル12〜14とを有している。
パルス発生装置11は、パルス信号を生成して、磁気コイル12〜14に与えるためのものである。
なお、本実施形態のパルス発生装置11は、前記パルス信号を生成するパルス発生回路と、マイクロコンピュータと、電源スイッチと、磁界調節スイッチとを有している。
パルス発生装置11に設けられている電源スイッチがユーザによりオンされると、パルス発生装置11に電力が供給される。そうすると、マイクロコンピュータは、磁界調節スイッチで設定されている大きさのパルス信号を発生するように、前記パルス発生回路を制御する。このマイクロコンピュータの制御により、前記パルス発生回路はパルス信号を生成し、生成したパルス信号が磁気コイル12〜14に与えられ、磁気コイル12〜14からパルス磁界が発生する。
磁気コイル12〜14は、それぞれ同じものである。各磁気コイル12〜14は、例えば、直径が0.1[mm]の電線(銅線)が50回巻き回されて構成され、例えば、直径が10[cm]程度の大きさを有する。
図1に示すように、磁気コイル12〜14の巻き始め側の端子12a〜14aは、前記パルス発生回路のパルス発生端子11aに接続されている。一方、磁気コイル12〜14の巻き終わり側の端子12b〜14bは、前記パルス発生回路のパルス発生端子11bに接続されている。このように、磁気コイル12〜14は、並列に接続されている。
なお、磁気コイル12〜14は、印加される電圧により、絶縁破壊が生じないように、絶縁材料を用いて加工されるのが好ましい。例えば、テフロン(登録商標)等の絶縁材料を用いて形成されたチューブに電線を通す等して、磁気コイル12〜14を構成する。
図2は、磁気刺激装置10の外観構成の一例を示す図である。
図2において、磁気コイル12〜14は、テフロン(登録商標)製のマット15の内部の所定の位置に固着されている。すなわち、磁気コイル12〜14は、マット15の内部で一列に並ぶようにに配置されている。なお、マット15を形成する材料は、テフロン(登録商標)に限定されない。例えば、布製のマット15であってもよい。
マット15には、簡易ファスナ(所謂マジックテープ(登録商標))15a、15bが取り付けられている。使用に際しては、例えば、図3(a)に示すように、人間の足31の膝付近にマット15を巻き付けて簡易ファスナ15a、15bでマット15の両端部を留めるようにしている。このとき、磁気コイル12〜14が、人間の足31の膝付近の形状に合わせて撓むようにしている。なお、図3(b)は、図3(a)のA−A´方向から見た断面図である。また、磁気コイル12〜14は、30度から45度位まで撓むようにするのが好ましいが、患部に応じて撓めば、磁気コイル12〜14が撓む角度はこのような範囲に限定されない。
(試験結果)
本願発明者らは、本実施形態の磁気コイル12〜14の有用性を評価するために、以下のような試験を行った。
骨、関節、及び神経に既往歴がなく、普段特別な筋力トレーニングを行っていない健常成人5名を被験者とした。なお、被験者の平均年齢は23.6歳である。また、被験者の前腕部を測定対象とした。
仰臥位で腕に負担の掛からない体勢で被験者に握力計を把持してもらい、この握力計を用いて運動タスクを行ってもらった。運動タスクは、等尺性把握運動とした。また、最大随意収縮(Maximum Voluntary Contraction;MVC)の50%を運動負荷とした。このような運動負荷を30秒間維持してもらうことで、前腕部に局所的筋疲労を与えた後、180秒間休息をとってもらった。このような運動負荷と休息とを1セットとして試験を行った。
このような試験において、前記運動負荷を30秒間維持してもらった後、本実施形態の磁気刺激装置10を用いて被験者の前腕部にパルス磁界(磁気刺激)を与えながら休息をとってもらった場合と、磁気刺激を与えずに休息をとってもらった場合とで、発揮筋力と積分筋電図(筋電図の電位を時間積分した値)がどのように異なるのかを調査した。
図4は、前記運動負荷と休息とからなる試験の回数(セット数)と、被験者の発揮筋力との関係を示した図である。図4において0[T]とは、パルス磁界を与えずに休息をとってもらった場合を示している。一方、0.1[T]、0.5[T]、1.0[T]は、それぞれ、本実施形態の磁気刺激装置10を用いて被験者の前腕部に0.1[T]、0.5[T]、1.0[T]のパルス磁界を与えたことを示している。なお、図4では、各セットで前記運動負荷を被験者にかけた場合に被験者が発揮した発揮筋力の平均値を、疲労前に前記運動負荷を被験者にかけた場合に被験者が発揮した発揮筋力の平均値で規格化した値を示している。すなわち、図4では、各セットでの発揮筋力の平均値を1セット目での発揮筋力の平均値で割った値を示している。
図4に示すように、被験者にパルス磁界を与えない場合は、セット数が増すにつれて、前記運動負荷を維持することができなくなり、発揮筋力が低下していることが分かる。これに対して、被験者に1.0[T]、0.5[T]、及び0.1[T]のパルス磁界を与えると、発揮筋力の低下を抑制することができることが分かる。このように、1.0[T]以下のパルス磁界を与えた場合であっても、発揮筋力の低下を抑制することができることが分かる。
図5は、前記運動負荷と休息とからなる試験の回数(セット数)と、積分筋電図との関係を示した図である。図5において、「磁気刺激なし」とは、パルス磁界を与えずに休息をとってもらった場合を示している。一方、「磁気刺激あり」とは、本実施形態の磁気刺激装置10を用いて被験者の前腕部に0.1[T]のパルス磁界を与えたことを示している。なお、図5においても、図4と同様に、各セットで前記運動負荷を被験者にかけた場合の積分筋電図の平均値を、疲労前に前記運動負荷を被験者にかけた場合の積分検電図の平均値で規格化した値を示している。すなわち、図5では、各セットでの積分検電図の平均値を1セット目での積分検電図の平均値で割った値を示している。
図5に示すように、被験者にパルス磁界を与えない場合は、セット数が増すにつれて、積分検電図は、急激に増加する。これに対し、被験者に0.1[T]のパルス磁界を与えると、積分検電図の増加を抑制することができることが分かる。
図4及び図5から、筋肉の痙攣が認められない程に、磁気コイルに流すパルス電流の大きさを小さくしても、筋疲労の回復を促進させることができることが裏付けられた。このように筋疲労の回復が促進するのは、身体内に発生するイオンが筋肉に作用しているためであると考えられる。
以上のように本実施形態では、磁気コイル12〜14を用いて0.1[T]以上、1.0[T]以下のパルス磁界を発生させて、身体の筋疲労等の軽減を図れるようにしたので、従来よりも細い電線を用いて磁気コイル12〜14を形成することができる。これにより、磁気コイル12〜14(マット15)を比較的自由に変形させることができ、使用に際し、磁気コイル12〜14を身体の形状に合わせて撓ませることができる。したがって、身体の肩や膝等の湾曲部に可及的に磁気コイル12〜14をフィットさせることができる。よって、身体の機能の回復を促進することが、可及的に簡単な構成の磁気コイル12〜14で実現することができる。
また、本実施形態では、磁気コイル12〜14が一列に配置されるように、磁気コイル12〜14をマット15内に固着するようにして、磁気コイル12〜14をシート状にしたので、従来よりも磁気コイル12〜14を身体に取り付けやすくすることができる。これにより、磁気刺激装置10の使用範囲を従来よりも拡大させることができる。
さらに、本実施形態では、磁気コイル12〜14に100[A]のパルス電流を流すようにし、磁気コイル12〜14に流す電流を従来よりも大幅に低くするようにしたので、従来よりも使用場所や、取り扱い方法の制限を少なくすることができる。なお、磁気コイル12〜14に流すパルス電流の値は、50[A]以上、300[A]以下、好ましくは100[A]以上150[A]以下にすることができる。また、このパルス電流は、短時間(例えば100[μs])磁気コイル12〜14に与えられるものであり、磁気コイル12〜14から発せられる熱により磁気コイル12〜14が絶縁破壊を起こさないように、間隔をあけて与えられる。
なお、本実施形態では、3つの磁気コイル12〜14を用いるようにしたが、磁気コイルの数は、1つ以上であればいくつであってもよい。
また、本実施形態では、磁気コイル12〜14の大きさを、10[cm]程度にしたが、磁気コイル12〜14の大きさは、使用する箇所に合わせることができる。例えば、磁気コイル12〜14の大きさを、20[cm]程度にすることもできる。なお、本実施形態の磁気コイル12〜14の大きさは、5[cm]以上、15[cm]以下、好ましくは6[cm]以上、12[cm]以下の範囲で適宜決定することができる。
また、本実施形態では、0.1[T]以上、1.0[T]以下のパルス磁界を発生させるようにしたが、磁気コイル12〜14から発生させるパルス磁界をより小さくしてもよい。例えば、0.05[T]以上、0.1[T]以下のパルス磁界を与えるようにしても、発揮筋力の低下を抑制することができる。すなわち、本実施形態の磁気刺激装置10により発生させるパルス磁界は、0.05[T]以上、1.0[T]以下、好ましくは、0.05[T]以上、0.2[T]以下となる。このようにすれば、磁気コイル12〜14に流す電流をより一層小さくすることができる。これにより、磁気コイル12〜14に使用される電線をより一層細くすることができ、磁気コイル12〜14をより自由に撓ませることができる。したがって、身体の肩や膝等の湾曲部に磁気コイル12〜14をより一層フィットさせることが可能になる。
なお、磁気コイル12〜14に使用される電線の直径は、0.05[mm]以上、1[mm]以下、好ましくは、0.1[mm]以上、0.5[mm]以下にすることができる。
また、本実施形態では、断面が円形である電線を用いて磁気コイル12〜14を形成するようにしたが、必ずしも断面が円形である電線を用いて磁気コイルを形成する必要はない。例えば、薄板状の電線(銅線)を用いて磁気コイルを形成するようにしてもよい。
例えば、図6に示すように、幅が20[mm]、厚さが0.1[mm]の薄板状の電線(例えば銅線)61a〜61nを円形に加工し、円形に加工した複数の電線(例えば銅線)61a〜61nを、巻順の方向(図の矢印の方向)が同一方向になるように電気的に接続して磁気コイルを形成するようにすればよい。この場合、絶縁材料で形成された布状のテープを電線61a〜61nに巻き付けるなどして、形成された磁気コイルに絶縁破壊が生じるのを防止するようにするのが好ましい。
このようにすれば、前述した効果に加え、マット15の厚さを可及的に薄くしつつ、磁気コイルに流す電流を可及的に大きくすることが可能になる。これにより、磁気コイルから発生させるパルス磁界の範囲をより広範囲にすることができ、磁気刺激装置10のダイナミックレンジをより拡大させることができる。
なお、薄板状の電線61a〜61nの幅と厚さは、前述したものに限定されない。例えば、幅を7.5[mm]以上、25[mm]以下、好ましくは10[mm]以上、20[mm]以下にすることができる。また、厚さを0.02[mm]以上、0.5[mm]以下、好ましくは0.05[mm]以上、0.2[mm]以下にすることができる。
また、本実施形態では、簡易ファスナ15a、15bでマット15の両端部を留めるようにしたが、簡易ファスナ15a、15bに加え、患部に取り付けられたマット15の周囲にバンドを巻いて、マット15の位置がずれることをより一層防止することができるようにしてもよい。
本発明の実施形態を示し、磁気刺激装置の機能構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、磁気刺激装置の外観構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、磁気刺激装置の取り付け例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、運動負荷と休息とからなる試験のセット数と、被験者の発揮筋力との関係を示した図である。 本発明の実施形態を示し、前記運動負荷と休息とからなる試験のセット数と、積分筋電図との関係を示した図である。 本発明の実施形態を示し、薄板状の電線を用いて形成される磁気コイルの一例を示した図である。
符号の説明
10 磁気刺激装置
11 パルス発生装置
12〜14 磁気コイル
15 マット
31 患部(人間の足)

Claims (4)

  1. 身体に磁界を与える磁気治療器に用いられる磁気コイルであって、
    前記身体に取り付けられる際に、前記身体に合わせて撓むことを特徴とする磁気コイル。
  2. 断面の直径が0.05[mm]以上、1[mm]以下である導体を用いて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気コイル。
  3. 断面の幅が7.5[mm]以上、25[mm]以下であり、厚さが0.02[mm]以上、0.5[mm]以下である導体を用いて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気コイル。
  4. 波高値が50[A]以上、300[A]以下の電流を流す回路に接続される第1及び第2の端子を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気コイル。
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