以下、図面を参照して、実施の一形態について説明する。
図1は、実施形態に係わる電子機器、例えばテレビジョン放送受信装置(テレビジョン装置と称する場合もある)の要部を説明する概略ブロック図である。
図1が示すテレビジョン装置1は、空間波を用いる信号伝送(放送と称する場合もある)やネットワークを経由した配信により供給される番組(コンテンツと称する場合もある)のうちの視聴者(ユーザー)が選択した番組を受信して再生する。なお、番組の取得は、例えばコンテンツサーバ(番組提供元と称する場合もある)へのアクセス(参照と選択的な取得(ダウンロードと称する場合もある))等であってもよい。また、以下に説明する個々の要素や構成は、マイクロコンピュータ(処理装置、CPU(Central Processing Unit))によりソフトウェアで実現するものであってもよいし、ハードウェアで実現するものであってもよい。なお、番組は、ストリームあるいは情報と称する場合もあり、映像及び映像に付属する音声あるいは音楽、等からなる。また、映像は、動画と静止画あるいはテキスト(コード化された符号列で示される文字や記号等で表される情報)ならびにその任意の組み合わせを含む。
テレビジョン装置1は、第1受信処理部11、第2受信処理部12、信号処理部(DSP)13、制御部14、出力映像処理部15、出力音響処理部16、等を含む。第1受信処理部11および第2受信処理部12には、それぞれ、入力端子111および入力端子112が接続する。出力映像処理部15および出力音響処理部16には、それぞれ、映像を表示する映像表示部(ディスプレイ)121および再生音響(音声)を出力する音響再生部(スピーカ)122が接続する。
第1受信処理部11は、チューナ11a、PSK(Phase Shift Keying)復調器11bおよびTS(Transport Stream/トランスポートストリーム)復号器11cを含む。
チューナ11aは、制御部14による制御に基づいて、入力端子111と接続する衛星放送向けアンテナ123が同調するBS(Broadcasting Satellite)あるいはCS(Communication Satellite)からの放送波すなわちBS/CSデジタル放送を受信する。
PSK復調器11bは、制御部14による制御に基づいて、チューナ11aが選局した放送信号を復調し、所望の番組を含んだTSを抽出して、TS復号器11cに出力する。
TS復号器11cは、制御部14による制御に基づいて、多重化されているTSを復号し、所望の番組のデジタルの映像信号および音声信号をデパケットする。TS復号器11cはまた、デパケットして得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部13内の図示しないSTD(System Target Decoder)バッファへ出力する。TS復号器11cはさらに、放送信号が含むセクション情報を信号処理部13内の図示しないセクション処理部へ出力する。
第2受信処理部12は、チューナ12a、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器12bおよびTS復号器12cを含む。
チューナ12aは、制御部14による制御に基づいて、入力端子112と接続する地上デジタル放送受信用のアンテナ124が同調する地表波の放送波であって、いわゆる地上デジタル放送を受信する。
OFDM復調器12bは、制御部14による制御に基づいて、チューナ12aが選局したチャンネルの放送信号を復調し、所望の番組を含んだTSを抽出して、TS復号器12cに出力する。
TS復号器12cは、制御部14による制御に基づいて、多重化されているTSを復号し、所望の番組のデジタルの映像信号および音声信号をデパケットする。TS復号器12cはまた、デパケットして得たPESを信号処理部13内の図示しないSTDバッファへ出力する。また、TS復号器12cは、放送信号が含むセクション情報を信号処理部13内の図示しないセクション処理部へ出力する。
なお、第1の受信部処理部11が受信するBS/CSデジタル放送および第2の受信部処理部12が受信する地上デジタル放送は、CAS(Conditional Access System/限定受信)のうちの現行のB−CASにより著作権保護の対応がとられている。
信号処理部13が含む図示しないセクション処理部は、TS復号器11cまたは12cからのセクション情報の中から、任意の番組を受信(取得)するためのさまざまなデータを、起動処理時もしくは所定のタイミングで、制御部14へ出力する。データの1つは、CASによるスクランブルを解除するデスクランブルのための鍵(利用者情報)情報およびCASカード(モジュール)が保持する所定の情報(例えば受信許諾情報)を含む。データの別の1つは、電子番組ガイド(EPG(Electronic Program Guide))情報や番組ジャンル等に関する番組属性情報、字幕情報等を含むサービス情報SI(Service Information)、等を含む。SIは、TSが含む符号化された画像データや音声データのそれぞれであるES(Elementary Stream)がどのプログラムに属しているかを記した情報であるPSI(Program Specific Information))を含む。なお、上述の記載は、セクション処理部と制御部14との間のCASデスクランブル用の鍵情報等のデータやEPG情報、番組属性情報あるいは字幕情報、等を含むSIやPSIの受け渡しに関するものであり、制御部14がセクション処理部から、さまざまなデータを所定のタイミングで読み取る、と表現される場合もある。
信号処理部13は、受信中(現在放送中)の番組の視聴時には、TS復号器11cまたはTS復号器12cが出力する映像信号および音声信号に対して選択的に所定のデジタル信号処理を施し、出力映像処理部15のグラフィック処理部15aおよび出力音声処理部16の音声処理部16aに出力する。
信号処理部13は、受信中の番組を録画する場合は、TS復号器11cまたはTS復号器12cが出力する映像信号および音声信号に対して選択的に所定のデジタル信号処理を施した記録信号を、制御部14の制御に基づいて、制御部14の入出力部114を通じて接続する記憶部(例えばHDD(Hard Disk Drive))127に記億する。信号処理部13は、録画済の番組を再生する場合は、制御部14の制御に基づいて、制御部14を介して記憶部127から読み出した録画済番組のデータに所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部15aおよび音声処理部16aに出力する。
信号処理部13はまた、入力端子113a、113bまたは113cを通じてさまざまな外部装置からの外部入力信号を受けつける。外部装置としては、例えばSTB(Set Top Box(外部チューナと称する場合もある))、映像記録再生装置(レコーダと称する場合もある)、映像再生装置(プレーヤと称する場合もある)もしくはビデオカメラ装置等、任意である。特に、ビデオカメラ装置は、カメラ装置としての形態に支配されるものではなく、画像撮影が可能な携帯可能な端末装置、例えばタブレットPC(Personal Computer)装置やスマートフォン、等であってもよい。信号処理部13はまた、入力端子113a、113bまたは113cから入力するデジタル(またはアナログ)の映像信号及び音声信号をデコードし、ユーザーの要求に基づいて高画質化・高音質化処理する。なお、入力端子113a、113bまたは113cから入力する入力信号がアナログ信号である場合は、図示しないA−D(Analog to Digital)変換回路を介してA−D変換する。
制御部14は、MPU(Micro Processing Unit)もしくはCPU(Central Processing Unit)等の処理回路要素(process circuitry)を含み、テレビジョン装置1の各部の動作を制御する。制御部14はまた、ROM(Read Only Memory)14a、RAM(Randam Accesses Memory)14b、不揮発性メモリ(NVM)14c、判定部(CAS判定部)14dおよび限定受信処理部14e、等を含む。
制御部14は、例えば電源投入時(リモコン125によるユーザー操作入力時)、ROM14aが保持する起動処理用プログラムをRAM14b上で動作させ、所定のイニシャル動作(起動処理)を実行する。また、制御部14は、ROM22が保持する制御プログラムに従い動作するCPU21の制御に基づいてRAM23をワークメモリとして所定の処理を実行する。NVM24は、各種の設定情報や制御情報等を保持する。
制御部14はまた、番組録画および番組予約録画を制御する。制御部14は、番組録画予約受付時には、ディスプレイ121にEPG情報を表示するための表示信号をグラフィック処理部15aに出力する。制御部14はまた、リモートコントローラ141あるいは操作部125からの操作入力(ユーザー指示)に基づく予約内容を、所定の記憶手段(例えばNVM14c)に設定(格納)する。
制御部14は、設定された時刻が近づくと、設定された時刻に予約されている番組を録画するよう第1受信処理部11(チューナ11a、PSK復調器11b、TS復号器11c)または第2受信処理部12(チューナ12a、OFDM復調器12b、TS復号器12c)および信号処理部13を制御する。
制御部14はまた、通信I/F(Inter Face)131を介してLAN端子132と接続し、LAN端子132と接続する任意のLAN対応の機器との間で、情報の受け渡しを行う。通信I/F131は、例えばWiFi(Wireless Fidelity)規格等に準拠する近距離無線通信機器との間の無線通信を実現する。近距離無線通信規格としては、例えばブルートゥース(登録商標)規格やNFC(Near Field Communication)等も利用可能である。通信I/F131はまた、例えばタブレット端末(スマートフォンや携帯可能なPC(パーソナルコンピュータ))との間で、直接通信を行うことができる。
制御部14はさらに、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠するUSB I/F133を介してUSB端子134と接続し、USB端子134と接続するUSB規格の下で動作する各種USB機器(例えばUSB接続のHDDやメモリカード)との間で、情報の受け渡しを行う。
また、制御部14は、High-definition Digital Media Interface(ハイディフィニションデジタルメディアインタフェース(以下HDMI(登録商標)と略称する))規格に準拠するHDMI処理部135を介してHDMI端子136と接続する。これにより制御部14は、HDMI端子136と接続する任意のHDMI対応機器との間の情報(映像信号、オーディオ信号及び制御信号)の受け渡しが可能である。例えば、スピーカ122と独立に(あるいはスピーカ122と併用または切り換え可能に)、HDMI処理部135経由で音響信号(Audio)を受け取ることができる音響再生装置がHDMI端子136と接続された場合、音響再生装置が提供する音場や再生条件で音響および音声が再生できる。
制御部14はまた、CAS処理部137によりCASカード(モジュールもしくは媒体と称する場合もある)151またはCASカード(2)161との間で情報の受け渡しが可能なカードホルダ138と接続する。CASカード151またはCASカード(2)161のそれぞれは、例えば54mm×85mmの現行のB−CASカードと物理的な特性において互換性のある同一の形状のカード状である。また、カードスロット138は、物理的な特性面において現行のB−CASカードに準じているカード状の媒体との間で情報の受け渡しが可能である。制御部14は、カードホルダ138を通じて、カードホルダ138に挿入されるCASカード151またはCASカード(2)161から情報を受け取る。CAS処理部137がカードホルダ138および第2のカードホルダ138aの両者と接続可能で、第2のカードホルダ138aも接続している場合、CASカード151とCASカード(2)161とを同時に利用できる。その場合、どちらのカードホルダにもCASカード151またはCASカード(2)161が挿入可能であるが、カードホルダ138および第2のカードホルダ138aの少なくとも一方は、いずれかのCASカードにのみ対応する場合がある(カードホルダ138および第2のカードホルダ138aのそれぞれが全てのCASカードに対応しない場合がある)。なお、以降において、CASカード151が現行のCAS(B−CAS)に対応するB−CASカードで、CASモジカード(2)161が高度BSデジタル放送/高度広帯域CSデジタル放送に対する著作権保護に対応したACASカードである、として説明する。
制御部14は、判定部14dによる判定結果に基づいて、B−CASカードによる3波の受信が許可されているか、ACASカードによる高度BSデジタル放送/高度広帯域CSデジタル放送と3波の受信が許可されているか、を判定する。
制御部14はまた、起動処理時もしくは所定のタイミングで、CASデスクランブル用の鍵(利用者)情報等の各種データやEPG情報、番組属性情報、字幕情報等を含むSIやPSIを信号処理部13から取得する。制御部14はまた、信号処理部13から取得した情報のうちのEPGや字幕について、それらを表示するため画像生成処理を行い、生成したEPGや字幕に対応する画像情報を、出力映像処理部15のグラフィック処理部15aへ出力する。なお、制御部14は、CASデスクランブル用の鍵(利用者)情報を受け取ることによりCAS処理部137(カードホルダ138)からの受信許諾情報との整合性を判定する。その際、CAS処理部137の他に受信許諾情報を提供している要素(機構)または入力があるか否かを検出し、その要素または入力がある場合、そのCAS情報(受信許諾情報)についても整合性を判定する。
制御部14はさらに、MPU(CPU)のファームウェア、あるいはネットワークを通じて取得可能なアプリケーション(プログラム)として、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を有することができる。DHCPサーバ機能を有する場合は、LAN(Local Area network)対応の外部機器、例えばデジタルリビングネットワークアライアンス(Digital Living Network Alliance(DLNA(登録商標))規格に準拠する他の機器(別のテレビジョン装置、等)との間で、情報(番組/コンテンツ)の受け渡しが可能である。
グラフィック処理部15aは、信号処理部13内の図示しないAVデコーダが出力するVideo(ビデオ)とData(データ)と制御部14が生成するEPGや字幕に対応する映像信号(EPG,字幕)とを合成して映像処理部15bへ出力する。グラフィック処理部15aはまた、字幕放送における字幕や放送中の番組中の音声や会話を字幕化して表示するいわゆる生字幕を表示する場合、制御部14の制御に基づき、映像信号に字幕情報(字幕映像)を重畳する処理を行う。
映像処理部15bは、グラフィック処理部15aからのVideoとDataとEPGや字幕情報(字幕映像)に対応する映像信号とを重畳した表示映像信号をディスプレイ121もしくは出力端子115を介して接続する外部機器が表示可能なフォーマットの実表示信号に変換し、ディスプレイ121もしくは出力端子115に出力する。映像処理部15bはまた、ユーザー操作(制御入力)に対応する、例えば音量レベルの変更のための音量バー映像や、例えばメニュー選択のためのメニュー画面表示等のOSD(On Screen Display)処理部17が生成するOSD信号をグラフィック処理部15aからの表示映像信号にさらに重畳して実表示信号とする。その場合、OSD処理部17が生成するOSD信号がある場合、実表示信号は、OSD信号が一体化された信号に置き換えられる。
音声処理部16は、信号処理部13からのデジタルの音声信号をスピーカ122で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換し、スピーカ122もしくは出力端子116を介して接続される外部機器、例えば音響再生装置(例えば、多チャンネルスピーカシステム)に出力する。なお、音響再生装置が上述したHDMI端子136経由で音響信号(Audio)を受け取ることができる場合には、音響再生装置がHDMI端子136と接続されてもよい。
制御部14はまた、判定部14dによるCASカード(モジュール)の判定結果が、ACAS対応である場合、映像コーデックおよび音声(音響)コーデックを、高度BSデジタル放送/高度広帯域CSデジタル放送向けに設定する(テレビジョン装置1の受信機能を自動的に切り替える)。より詳細には、判定部14dがカードホルダ138に挿入されているCASカードがACASであると判定した場合は、限定受信処理部14eが、受信機能を自動的に切り替える。例えば、限定受信処理部14eがファームウェアとして保持しているテーブルに従い、信号処理部13から出力映像処理部15に出力する映像信号をデコードするための映像コーデックを、高度BSデジタル放送/高度広帯域CSデジタル放送向けに設定する。また、限定受信処理部14eがファームウェアとして保持しているテーブルに従い、信号処理部13から出力音声処理部16に出力する音声(音響)信号をデコードするための音声(音響)コーデックを、高度BSデジタル放送/高度広帯域CSデジタル放送向けに設定する。なお、判定部14dがカードホルダ138に挿入されているCASカードが現行のB−CASカードであると判定した場合、限定受信処理部14eが映像コーデックおよびまたは音声(音響)コーデックを、3波向けに設定する。
次に、CAS(ACASまたはB−CAS)判定処理について、詳細に説明する。
制御部14の判定部14dは、図2に一例を示すコマンドを、カードホルダ138に挿入されたCASカードに送信する。図2が示すコマンドは、現行のB−CASに準拠している。すなわち、制御部14の判定部14dにおいてCASカードからのパラメータP2の値に対する応答をチェックすることにより、CASカードが現行のB−CASカードであるか、ACASカードであるか、を判定できる。
詳細には、社団法人電波産業会、すなわちARIB(Association of Radio Industries and Businesses)が規定する標準規格のうちのSTD−B25あるいは−B61が規定する受信装置とCASモジュール(CASカード)との間のコマンドを用いる。すなわち、STD−B25または−B61にはさまざまなコマンドが規定されているが、TR−B14、−B15もしくは−B39、等の運用規定では、図2に示した全コマンドの共通ヘッダ部分のP2の値がB−CAS(現行)とACAS(高度BS/高度広帯域CS向け)もしくはACAS(3波向け)でそれぞれ異なる値を適用する規定となっている。従って、P2の値に基づいて、CASモジュールの種別を判定することができる。なお、P2の値は、B−CAS(現行)では「0x00」、ACAS(高度BS/高度広帯域CS向け)では「0x01」、ACAS(3波向け)では「0x02」を設定することが規定されている。
一般には、スロット(カードホルダ138)にCASカード(CASモジュール)が挿入されることでCASカードと最初の通信で得られるATR応答からCASカードの性能を判別し、続いて初期条件設定コマンド(INTまたはBINT)を発行(送信)するフローとなる。実施形態において、図2におけるINS値は「0x30」であり、P2の値が「0x00」あるいは[0x01]の場合はコマンド名を『INT』と呼称し、P2の値が「0x02」の場合はコマンド名を『BINT』と呼称する。
実施形態においては、受信装置(テレビジョン装置1)側からCASカード(CASモジュール)に初期条件設定コマンドを送信し、正常応答が返ったときに送信したコマンドのP2の値をもとにCASモジュールの種別を判定する。従って、受信装置は、CASカード(モジュール)としてACAS(カード)が挿入されたときには、高度BS/高度広帯域CSデジタル放送と3波の両方の受信が可能なモードとして機能する。一方で、B−CAS(カード)が挿入されたときには、受信装置は、3波のみの受信が可能なモードで機能する。
より詳細には、判定部14dは、図3に示すように、BINT(ACAS向け3波用初期条件設定コマンド)を、カードホルダ138に挿入されたCASカードに送信する[11]。CASカードからの応答(返信)が正常応答である場合、CASカードがACASである、と判定部14dが判定する[12]。
なお、図4に示すように、INT(ACAS向け高度BS/高度広帯域CS用初期条件設定コマンド)を判定部14dがカードホルダ138に挿入されたCASカードに送信してもよい[21]。CASカードからの応答(返信)が正常応答である場合、判定部14dは、CASカードがACASである、と判定できる[22]。
一方で、図5に示すように、INT(B−CAS向け初期条件設定コマンド)を判定部14dからカードホルダ138に挿入されたCASカードに送信し[31]、CASカードからの応答(返信)が正常応答であるならば、CASカードがB−CASカードである、と判定できることはもちろんである[32]。
なお、図3−図5に示した例は、いずれもCASカード(モジュール)からの応答(返信)が正常応答である例である。
しかしながら、図6が示すように、例えばCASカードがACASであると想定してBINT(ACAS向け3波用初期条件設定コマンド)をCASカードに送信し[41]、CASカードからの応答(返信)がエラーであった場合には、非ACASと判定して[42]、引き続いてB−CAS向けのINT(B−CAS向け初期条件設定コマンド)をCASカードに送信するものであってもよい[43]。この場合、CASカードからの応答(返信)が正常応答であれば、CASカードがB−CASであると判定できる[44]。
なお、CASカードがACASであると想定して最初に送信するコマンドは、INT(ACAS向け高度BS/高度広帯域CS用初期条件設定コマンド)であってもよい。
同様に、図7が示すようにCASカードがB−CASであることを想定してINT(B−CAS向け初期条件設定コマンド)をCASカードに送信し[51]、CASカードからの応答(返信)がエラーであった場合には、非B−CASと判定して[52]、引き続いてACAS向けのBINT(ACAS向け初期条件設定コマンド)をCASカードに送信するものであってもよい[53]。なお、CASカードがACASであると想定して2回めに送信するコマンドは、INT(ACAS向け高度BS/高度広帯域CS用初期条件設定コマンド)であってもよい。ここで、CASカードからの応答(返信)が正常応答であるならば、CASカードがACASである、と判定できる[54]。
以下、限定受信処理部14eは、判定部14dの判定結果に基づいて受信設定を変更する。例えば、映像コーデックおよびまたは音声(音響)コーデックを、判定した後のCASに対応するように、設定する。
なお、図3−図7を用いて説明した例は、CAS処理部137に1つのカードホルダ138が接続する場合に、CASカード(モジュール)がB−CAS(現行)であるかACAS(新CAS)であるか、を判定するものである。
以下に、CAS処理部137に、2つのカードホルダ138/138aが接続し、それぞれのカードホルダに、CASカードが挿入されている場合の判定例の一例を説明する。
カードホルダが2以上用意される場合、製造コスト等の要因から、個々のカードホルダに挿入されるべきCASカードが固定化されている場合が多い。従って、個々のカードホルダに、そのカードホルダが対応するCASカードが挿入されなければ、CASカードが有効(読み取り不可、等の不具合を生じていないCASカード)であったとしても、そのCASカードを用いることで受信が許可される放送が受信できない恐れがある。
ここで、図6あるいは図7により説明したように、CASカードの種別を想定して送信するコマンドに対するCASカードからの応答(返信)がエラーであった場合に、例えば「CASカードを挿入すべきスロット(カードホルダ)が違います。別のスロット(カードホルダ)に差し替えてください。」等のメッセージをディスプレイ121に表示することができる。これにより、ユーザー(視聴者)が、CASカードを、本来挿入すべきスロットとは異なるスロットに挿入することにより放送を受信できない、という不具合が生じることを抑止できる。
なお、表示するメッセージを、例えば「○○カード向けのスロットに××カードが挿入されています。○○カードを挿入してください。」あるいは「○○カード向けのスロットに○○カード以外のカードが挿入されています。○○カードを挿入してください。」等の、より具体的な内容とすることも可能である。例えば、同じ種別(規格)のCASカードを、複数所有し、いずれのスロットにも同じ種別(規格)のCASカードを挿入してしまった場合、等において、どのCASカードを差し替えるべきか、をユーザーに容易に知らせることができる。また、表示するメッセージとしては、例えば「○○スロットは、○○カード専用です。○○カードを用意してください。」等の、必要なカードを示唆する内容とすることも可能である。
なお、今日では、USB規格に準拠して用意されるUSB端子134を経由するさまざまな機器、例えばドングル(Dongle)と称する小型機器を介在した運用も可能である。ACAS(新CAS)が、例えばUSB端子134と接続するドングルに内蔵されたICチップ(非カード状媒体/CASモジュール)である場合は、図8あるいは図9に一例を示すが、USB端子134とドングルとの接続を検出した場合にCAS判定を実行することが好ましい。
すなわち、判定部14dは、図8に示すように、BINT(ACAS向け3波用初期条件設定コマンド)をUSB端子134と接続したドングル(CASモジュール)に送信する[61]。ドングルからの応答(返信)が正常応答である場合、CASがACAS対応である、と判定部14dが判定する[62]。
もちろん、図9が示すように、INT(ACAS向け高度BS/高度広帯域CS用初期条件設定コマンド)を、判定部14dがUSB端子134と接続したドングルに送信してもよい[71]。ドングルからの応答(返信)が正常応答である場合、判定部14dは、CASがACAS対応である、と判定できる[72]。
また、ドングルが、例えばカードリーダ状に形成され、ACASが、例えば現行のminiB−CASカードに類似するカード状に形成され、USB端子134と接続しているドングル(あるいはカードリーダ)に着脱可能に形成されてもよい。その場合、図8あるいは図9に示したUSB端子134とドングルとの接続を検出した以降、ドングルに対するACASの挿入があることを検出した場合に、CAS判定を実行すればよい。なお、ドングルは、USB端子134と接続するものに限らず、例えばCAS処理部137と接続可能であってもよい。例えば、カードホルダ138a(もしくは138)がドングルの接続が可能な機構(インタフェース)に置き換えられることにより、CAS処理部137との間でドングルによる利用者情報(鍵)の受け渡しが可能となる。
なお、CASモジュール(カード)の種別を判定する際の基準として、CASカード(モジュール)との最初の通信で得られるATR応答の値を用いてもよい。すなわち、CASモジュールの仕様において、B−CASとACASのATR応答の値がそれぞれ規定されているため、その差分を適切に判別する仕組みを適用することで、ATR応答の値を用いてCASモジュールがB−CASであるかACASであるかを識別できる。
例えば、それまで利用されていたB−CASカードからのATR応答の値とは異なるATR応答の値であった場合は、単純にカードエラーとして処理してしまわずに、別のCASカードからのATR応答の値である、と推定する。すなわち、ATR応答の値がそれまでと異なる場合には、他のCASカードのATR応答の値、例えばACASからのATR応答の値と比較する。ここで、ATR応答の値がACASからのATR応答の値と一致する場合は、ACASであることを識別できる。
なお、CASモジュールを判定することができれば、初期条件設定コマンドやATR応答の値に限らず、他のコマンドを利用してもよい。すなわち、実施形態においては、パラメータP2の値によりCASモジュールの種別を判定しているが、将来的にP2の値以外の値が運用されることになった場合、その値を判定基準に適用してもよい。例えば、パラメータP1の値、等のヘッダ情報で差分を判定できる判定基準を、判定に適用してもよい。
また、実施形態においては、54mm×85mmのB−CASカード(現行)に対応したスロット(カードホルダ)を例に説明したが、15mm×25mmの(いわゆる)miniB−CASサイズのカードに対応するスロット(カードホルダ)に適用してもよい。
なお、CASモジュールの仕様の例として、赤色の3波向けのB−CASとそれに類似するACASを例に説明したが、カードの色や、例えば商業施設向け、等のカードに紐付けられた用途は、任意である。また、CASモジュールの仕様として、現行のB−CASとACASとを例に説明したが、呼称や形状が異なるさまざまなCASモジュールにも適用できることはいうまでもない。例えば、実施形態においてはカード状の媒体(モジュール)を例に説明したが、テレビジョン装置1に対して着脱可能な形態で用意される任意の形態に適用できる。例えば、携帯可能な通信装置にて利用されるマイクロSDカード/SIMカードのようなチップ型に構成したモジュールを現行のB−CASカード状のアダプタカードに装着し、アダプタカードをテレビジョン装置1に挿入するような形態に適用できる。なお、上述したACAS判定により、非CASモジュールが用意されていることを判定(検出)した場合には、例えば「○○カード向けのスロットにCASモジュールが用意されていません。スロットにカード(CASモジュール)が挿入されていることを確認してください。」等のメッセージにより、カード状の非CASカード(例えば名刺等の異物や交通系料金システムカードもしくはクレジットカード等)が挿入されている状態についても、ユーザーに、容易に知らせることができる。
このように、実施形態を適用することで、受信可能な放送に対する受信許諾の条件が異なる限定受信機構(CAS)に受信許諾情報を提供するCASモジュールの種別(規格)に拘わりなく、用意されたCASモジュールに基づいて受信可能となる放送を受信できる。すなわち、想定しているCASモジュールの種別とは異なる種別のモジュールが用意された場合であっても放送が受信できなくなるという課題は、解消できる(用意されているCASモジュールの種別(規格)による支配は受ける)。また、複数種別のCASモジュールが提供する受信許諾の条件を1つのカードホルダやCAS機構に対応するCAS処理部との間で利用者情報(鍵)の受け渡しが可能な要素(機構)あるいはインタフェースで読み取り(判定)可能となることにより、テレビジョン装置のコストを低減できる。
一方で、複数の専用スロットを搭載する場合においても、適切にB−CASもしくはACASを判別することによって、ユーザーがCASモジュールを挿入したスロットがそのCASモジュールでは非対応であるような場合においても、ユーザーに対してより分かりやすい形で、CASモジュールの差し替えが必要である、等を通知できる。
従って、ユーザーは、現在挿入されているCASモジュールの種別を受信装置のスロット(カードホルダ)を実際に確認せずとも、受信装置のCASモジュール確認画面により、容易に知ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。