図1は、本発明が適用されるショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。また、ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6(アタッチメント125)は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9(油圧シリンダ)によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3にはキャビン10が設けられ、且つ内燃機関であるエンジン11等の動力源が搭載される。キャビン10には運転席が設けられており、運転者は運転席に着座しながらショベルを操作する。
図2は、図1に示すショベルの駆動系の構成を示すブロック図であり、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気駆動・制御系をそれぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
油圧ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、レギュレータ13、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、圧力センサ29、及びコントローラ30で構成される。
エンジン11は、油圧ショベルの駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するエンジンであって、エンジン11の出力軸がメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して圧油をコントロールバルブ17に供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14は、エンジン11の回転動力により作動油を吐出する。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するための装置であり、例えば、メインポンプ14の吐出圧、又はコントローラ30からの制御信号等に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に圧油を供給するための装置であり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
コントロールバルブ17は、油圧ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。下部走行体1用の走行用油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回油圧モータ21のうちの一又は複数のものに対しメインポンプ14から受け入れた圧油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回油圧モータ21を集合的に「油圧アクチュエータ」と称するものとする。
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、パイロットライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。本実施形態では、レバー26Aは、旋回用レバー及びアーム用レバーとして機能する。レバー26Bは、ブーム用レバー及びバケット用レバーとして機能する。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置であり、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15から受け入れた圧油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される圧油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
また、旋回機構2を駆動するための旋回油圧モータ21がコントロールバルブ17に接続される。旋回油圧モータ21は、旋回制御装置の油圧回路を介してコントロールバルブ17に接続されるが、図2には旋回駆動装置の油圧回路は示されていない。旋回駆動装置に関しては後で説明する。
圧力センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するためのセンサである。例えば、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
具体的には、コントローラ30は、姿勢検出器22、及び圧力センサ29等が出力する検出値を受信し、それら検出値に基づいて上部旋回体3又はアタッチメントの回避動作を実行する。姿勢検出器22については後述する。
次に、一実施形態に係るショベルと進入物との位置関係について、図3を参照しながら説明する。図3は、図1に示すショベルと進入物(作業者)の平面配置を示す平面図である。
姿勢検出器22(図2参照)は、ブーム角度センサ22A、アーム角度センサ22B、及びバケットシリンダストロークセンサ22Cを含んで構成されている。
上部旋回体3には、旋回角度センサ22Dが取り付けられている。旋回角度センサ22Dは、下部走行体1に対する上部旋回体3又は、アタッチメント125の、第1基準方位乃至第3基準方位から旋回角度を測定する。
例えば、下部走行体1の走行方向の前方を第1基準方位とする。下部走行体1を基準水平面上に、載置したときに、基準水平面内において、旋回中心111からアタッチメント125の先端が向く方をx軸、それに直行する方向をy軸、旋回中心111をz軸とするxyz直交座標系を定義する。
旋回中心111(z軸)を中心とする扇形によって、第1監視領域18aが確定される。第1監視領域18aは、平面視において、アタッチメント125の中心線に関して線対称である。第1監視領域18aの中心角の1/2を、「第1監視角度上限値」αdという。
旋回中心111(z軸)からアタッチメント125の先端までの距離R(以下「アタッチメント長」という)は、ブーム4、アーム5、バケット6を揺動させることにより変動する。第1監視領域18aの半径は、アタッチメント長Rと等しい。
また、旋回中心111から上部旋回体3の車幅方向の前方の角部を通過する線分を第2基準方位とする。基準水平面内において、旋回中心111から上部旋回体3の車幅方向の前方の角部を通過する線分が向く方をx'軸、それに直行する方向をy'軸とするx' y'z直交座標系を定義する。第2監視領域18bの半径をR'と定義する。
旋回中心111(z軸)を中心とする扇形によって、第2監視領域18bが確定される。第2監視領域18bは、平面視において、x'軸に関して線対称である。第2監視領域18bの中心角の1/2を、「第2監視角度上限値」αd'という。
また、旋回中心111から上部旋回体3の車幅方向の後方の角部を通過する線分を第3基準方位とする。基準水平面内において、旋回中心111から上部旋回体3の車幅方向の後方の角部を通過する線分が向く方をx''軸、それに直行する方向をy''軸とするx'' y''z直交座標系を定義する。第3監視領域18cの半径をR''と定義する。
旋回中心111(z軸)を中心とする扇形によって、第3監視領域18cが確定される。第3監視領域18cは、平面視において、x''軸に関して線対称である。第3監視領域18cの中心角の1/2を、「第3監視角度上限値」αd''という。
上記第1乃至第3監視領域18a、18b、18cは、任意に設定することができる。
上部旋回体3には、複数、例えば、後方と左右に計3個の進入物検知装置80が取り付けられている。進入物(例えば、進入者W)がショベルの監視領域に進入する際に、入り口で、進入者Wの所定の位置に発信器222が取り付けられる。作業現場から退出する際に、発信器222が作業者から取り外される。 発信器222には、例えば、全方位マーカ発光器が用いられる。進入物検知装置80には、例えば、発信器222の画像を取得するCCDカメラが用いられる。複数の進入物検知装置80で1つの発信器222を撮像することにより、発信器222の位置を算出することができる。進入物検知装置80は上部旋回体3に取り付けられているため、算出された発信器222の位置は、上部旋回体3に対する相対的な位置として検出される。なお、進入物検知装置80はCCDカメラに限定されず、レーザレーダ、ミリ波レーザ、超音波センサ、赤外線センサ等を用いてもよい。進入者Wを検知することができれば種類は問わない。
図4は、図1に示すショベルと進入物の高さ方向及び横方向の位置関係を示す概略図である。
進入物(例えば、ダンプトラックW')の荷台の最も高い位置に発信器222が取り付けられている。ブーム4がy軸に平行な揺動中心112を中心として上下に揺動する。上部旋回体3とブーム4の接続部、ブーム4とアーム5の接続部に、それぞれ、姿勢検出器22としてのブーム角度センサ22A、アーム角度センサ22Bが取り付けられている。そして、バケットシリンダ9には、姿勢検出器22としてのバケットシリンダストロークセンサ22Cが取り付けられている。ブーム角度センサ22Aは、ブーム4の長手方向と基準水平面(xy面)とのなす角度β1を測定する。アーム角度センサ22Bは、ブーム4の長手方向とアーム5の長手方向とのなす角度δ1を測定する。バケットシリンダストロークセンサ22Cは、バケットシリンダ9のストロークに基づき、アーム5の長手方向とバケット6の長手方向とのなす角度δ2を測定する。
ここで、ブーム4の長手方向とは、揺動中心112に垂直な面内(zx面内)において、揺動中心112、及びブーム4とアーム5との接続部を通過する直線の方向を意味する。アーム5の長手方向とは、zx面内において、ブーム4とアーム5との接続部、及びアーム5とバケット6との接続部を通過する直線の方向を意味する。バケット6の長手方向とは、zx面内において、アーム5とバケット6との接続部、及びバケット6の先端を通過する直線の方向を意味する。
揺動中心112は、旋回中心111(z軸)から外れた位置に配置されている。なお、旋回中心111と揺動中心112とが交差するような構造としてもよい。
次に、図5を参照しながら、本実施形態に係るショベルの油圧システムについて説明する。なお、図5は、図1に示すショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図であり、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系を、それぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
図5において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、センターバイパス管路40L、40Rのそれぞれを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
センターバイパス管路40Lは、流量制御弁151、155及び157を通る高圧油圧ラインであり、センターバイパス管路40Rは、流量制御弁152、154及び158を通る高圧油圧ラインである。
操作装置26は、ショベルを操作するために用いられる。パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して、レバー操作量に応じた制御圧を流量制御弁の左右何れかのパイロットポートに供給させる。
圧力センサ29は、操作装置26に対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
操作装置26は、操作レバーと、リモコン弁と、圧力センサ29を含んで構成されている。リモコン弁には、パイロットポンプ15から吐出された作動油が供給されている。リモコン弁からのパイロットライン27R、27Lの途中には、分岐したパイロットライン28R、28Lが設けられており、このパイロットライン28R、28Lの他端は、圧力センサ29と接続されている。
流量制御弁151は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を走行用油圧モータ1Bに供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。また、流量制御弁152は、メインポンプ14Rが吐出する作動油を走行用油圧モータ1Aに供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁154は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、かつ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁155は、メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、かつ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁157は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ21で循環させるために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
次に、旋回油圧モータ21の駆動を制御する旋回駆動装置について説明する。旋回駆動装置は旋回油圧モータ21を駆動するための油圧回路を含んでおり、旋回駆動装置の油圧回路は旋回油圧モータ21とコントロールバルブ17の間に設けられる。
油圧ライン322Aを介してコントロールバルブ17を構成する流量制御弁157から旋回油圧モータ21のAポートに高圧の作動油が供給されると、旋回油圧モータ21は所定の方向に回転する。Aポートに供給された高圧の作動油は旋回油圧モータ21を駆動して低圧の作動油となり、Bポートから吐出されて油圧ライン322Bを介して流量制御弁157に戻る。反対に、油圧ライン322Bを介して流量制御弁157から旋回油圧モータ21のBポートに高圧の作動油が供給されると、旋回油圧モータ21は逆方向に回転する。Bポートに供給された高圧の作動油は旋回油圧モータ21を駆動して低圧の作動油となり、Aポートから吐出されて油圧ライン322Aを介して流量制御弁157に戻る。
旋回油圧モータ21の回転軸は変速機(不図示)を介して旋回機構2に接続されており、旋回油圧モータ21が回転駆動されることで旋回機構2が作動し、上部旋回体3を旋回させることができる。旋回油圧モータ21が一方向に回転することで、上部旋回体3を例えば右方向に旋回させることができ、旋回油圧モータ21が逆方向に回転することで、上部旋回体3を例えば左方向に旋回させることができる。
油圧ライン322Aには、リリーフバルブ324Aの油圧供給ポートが接続される。リリーフバルブ324Aの油圧開放ポートは、油圧ライン326に接続される。油圧ライン326は、作動油タンク330に戻る低圧の作動油が流れる油圧ラインである。同様に、油圧ライン322Bには、リリーフバルブ324Bの油圧供給ポートが接続される。リリーフバルブ324Bの油圧開放ポートは、油圧ライン326に接続される。
旋回油圧モータ21の出力軸には、ブレーキプレート23aが装着されている。ブレーキプレート23aの一端に近接してブレーキディスク23bとピストン23cとスプリング23dを装備したシリンダ23eが配設されている。シリンダ23eはパイロットポンプ15から作動油が供給されるとブレーキの制動を解除し、パイロットポンプ15からの作動油の供給が停止されるとブレーキが作動する構成となっている。この作動油の供給は電磁切換弁50によって制御されている。
流量制御弁158は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、かつ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節する。
コントローラ30は、圧力センサ29等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13L、13Rに対して制御信号を出力し、メインポンプ14L、14Rの吐出量を変化させる。
スイッチS1は、メインポンプ14L、14Rの作動・停止を切り替える。スイッチS1はキャビン10内に設置される。
コントローラ30は、監視領域(第1乃至第3監視領域18a、18b、18c)内に進入物(進入者W、ダンプトラックW'等)が存在すると判断した場合、進入物とショベルとの接触を回避する制御を行う。詳細は後述する。
図6は、図5に示す油圧システムにおける操作レバーと流量制御弁との間の油圧回路図の一例である。図6を参照しながら、旋回用レバー26Aと流量制御弁157との間の油圧回路について説明する。
パイロットポンプ15が、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生する。発生したパイロット圧は、パイロットライン25を介して旋回用レバー26Aに供給される。旋回用レバー26Aは、操作者によって操作される。旋回用レバー26Aは、パイロットライン25から供給される1次側の油圧を、操作者の操作に応じて、2次側の油圧に変換する。2次側の油圧は、パイロットライン27R、27Lを介して電磁比例弁157a、157bに伝達されると共に、他のパイロットライン37R、37Lを介して流量制御弁157のRポート又はLポートに伝達される。
旋回用の操作装置は、旋回用レバー26Aと、リモコン弁257R、257Lと、を含んで構成されている。
リモコン弁257R、257Lは、旋回用レバー26Aの操作量に応じたパイロット圧を流量制御弁157に出力するための弁である。旋回用レバー26Aと流量制御弁157との間には、電磁比例弁157a、157b(切替弁)が配置されている。
具体的には、リモコン弁257Rは、パイロットライン27R、37Rを通じて、電磁比例弁157aを介して流量制御弁157のRポートに接続される。そして、リモコン弁257Lは、パイロットライン27L、37Lを通じて、電磁比例弁157bを介して流量制御弁157のLポートに接続される。リモコン弁257R、257Lは、パイロットポンプ15により供給される作動油の圧力を1次圧として受け、旋回用レバー26Aの操作量に応じた2次圧をパイロット圧として出力する。
電磁比例弁157a、157bによって、流量制御弁157に入力されるパイロット圧が切り替えられる。
具体的には、電磁比例弁157aは、4ポート3位置の弁であり、第1ポートはパイロットライン37Rを通じて流量制御弁157のRポートに接続される。第2ポートはパイロットライン27Rを通じてリモコン弁257Rに接続される。第3ポートはパイロットライン25を通じてパイロットポンプ15に接続される。第4ポートはタンクに接続される。
また、電磁比例弁157bも電磁比例弁157aと同様に、4ポート3位置の弁である。第1ポート乃至第4ポートの接続関係は、電磁比例弁157aの接続関係と基本的に同じであるため、説明は省略する。
電磁比例弁157a、157bは、パイロットポンプ15が吐出する作動油の2次圧を、コントローラ30からの信号によって切り替え、流量制御弁157を切り替える。
電磁比例弁157aが中立位置aの場合は、パイロットライン27Rは、パイロットライン37Rと連通状態となる。そのため、操作者が、旋回用レバー26Aを右旋回方向に操作すると、パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧が、電磁比例弁157aの第1ポート及び第2ポートを通じて、流量制御弁157のRポートに供給される。そして、流量制御弁157が中立位置aから右側位置bに切り替えられる。これによって、センターバイパス管路40Lが油圧ライン322Bと連通状態となり、メインポンプ14Lの吐出側のポートが旋回油圧モータ21のBポートと連通状態となる(図5参照)。そのため、メインポンプ14Lから吐出された高圧の作動油が、旋回油圧モータ21のBポートに供給され、旋回油圧モータ21は右方向に旋回して低圧の作動油となり、Aポートから排出されて油圧ライン322Aを介して流量制御弁157に戻ることになる。この場合、Bポートが吸入側ポートとなり、Aポートが吐出側ポートとなる。
操作者は、旋回用レバー26Aを中立位置に戻して上部旋回体3の旋回運動を減速或いは停止するときには、流量制御弁157を閉じて中立位置aとし、センターバイパス管路40Lと油圧ライン322Bを非連通の状態とする。すなわち、メインポンプ14Lの吐出側のポートが旋回油圧モータ21のBポートと非連通の状態とする。そして、メインポンプ14Lから旋回油圧モータ21のBポートへの高圧の作動油の供給を停止させる。流量制御弁157が閉じられると、メインポンプ14Lから流量制御弁157に作動油は供給されず、また、旋回油圧モータ21のAポートからの作動油は流量制御弁157を介してタンクへ戻ることはできない。
ここで、パイロットライン27R、27Lに電磁比例弁157a、157bが設けられていない油圧回路(すなわち、一般的な油圧回路)である場合の動作について説明する。流量制御弁157を中立位置aにして、センターバイパス管路40Lと油圧ライン322Bを非連通の状態とし、メインポンプ14Lから流量制御弁157への作動油の供給を停止すると、低圧だった吐出側のAポートの油圧が上昇する。吐出側のAポートの油圧が高くなる。その後、吐出側ポートの作動油の圧力が、リリーフバルブ324Aで予め設定されているリリーフ圧を超えると、油圧ライン326を介してタンクへ戻る。このため、リリーフバルブ324Aにより制動力が発生するが、供給側のBポートへの作動油の供給が無いため、吐出側のAポートの圧力が低下してしまう。その結果、制動力も低下し、上部旋回体3が減速されてから停止するまでの時間が長くなってしまう。
そこで、本実施形態では、電磁比例弁157a、157bを設けることにより、上部旋回体3が減速されてから停止するまでの時間を短くする。そのために、操作者によるレバー操作にかかわらず、メインポンプ14Lからの作動油の流れを自動的に切り替える。これにより、高い制動力が継続して旋回油圧モータ21にかかるため、より早期に上部旋回体3の旋回動作を停止させることができる。
上部旋回体3が右方向に旋回中において、コントローラ30が進入物を検知した場合を考える。
上部旋回体3の右方向への旋回は、操作者が旋回用レバー26Aを右旋回側に操作し、旋回用レバー26Aの操作量に応じたパイロット圧を電磁比例弁157aを通じて流量制御弁157のRポートに供給することによって行う。これによって、センターバイパス管路40Lと油圧ライン322Bが連通状態となり、メインポンプ14Lの吐出側のポートが旋回油圧モータ21のBポートと連通状態となる(図5参照)。そのため、流量制御弁157は右側位置bに切り替わり、メインポンプ14Lから吐出された高圧の作動油を旋回油圧モータ21のBポートに供給され、その作動油をAポートから排出することによって、旋回油圧モータ21の右旋回動作が行われる。このとき、電磁比例弁157a、157bは中立位置aの状態にある。
コントローラ30が進入物を検知した場合には、コントローラ30によって、電磁比例弁157aを中立位置aから右側位置bに切り替えると共に、電磁比例弁157bを中立位置aから左側位置cに切り替える。コントローラ30の内部メモリには、予め所定の信号パターンが記憶されている。コントローラ30は、所定の信号パターンに基づいて、制御信号を電磁比例弁157a、157bに出力する。これによって、パイロットライン37Rをタンクポートと連通状態とすると共に、パイロットライン25をパイロットライン37Lと連通状態とする。このように、電磁比例弁157aを中立位置aから右側位置bに切り替えることによって、パイロットライン37Rがタンクに開放され、パイロットライン37Rの圧力が低圧になる。電磁比例弁157bを中立位置aから左側位置cに切り替えることによって、パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧が、流量制御弁157のLポートに供給される。
そのため、RポートとLポートに圧力差が生じ、流量制御弁157は左側位置cに切り替わり、メインポンプ14Lの吐出側のポートと旋回油圧モータ21のAポートが連通状態となる(図5参照)。そのため、メインポンプ14Lから吐出された高圧の作動油が、旋回油圧モータ21のAポートに供給されることになる。この場合、Bポートが吐出側ポートとなり、Aポートが吸入側ポートとなる。
電磁比例弁157a、157bを設けることにより、旋回油圧モータ21に供給される作動油の流れを、操作者による旋回用レバー26Aの操作とは無関係に逆向きに切り替えることができる。すなわち、電磁比例弁157a、157bを設けることにより、操作者による旋回用レバー26Aの操作から、旋回油圧モータ21の動作を切り離すことができる。この切り替えにより、Aポートの圧力が高圧になり、Aポートに高い制動力が保持される。これによって、慣性により回転している回転方向とは反対方向に高い制動力が作用するため、コントローラ30が進入物を検知した時点であっても、上部旋回体3又は旋回機構2を回避動作させることができる。
以上のように、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、状況に応じて、操作者による旋回用レバー26Aの操作とは無関係に、メインポンプ14Lから旋回油圧モータ21に作動油が供給される。すなわち、旋回油圧モータ21には旋回方向と逆方向に高い制動力が掛かることになる。
具体的には、コントローラ30によって監視領域18a、18b、18c内に進入物が進入したと判断されると、電磁比例弁157a、157bを切り替え、メインポンプ14Lと旋回油圧モータ21の何れかのポートを連通状態にする。より詳細には、判断前に操作者のレバー操作により作動油が供給されているポートとは逆のポートに作動油が供給されるように、電磁比例弁157a、157bを切り替える。そして、パイロットライン27R(又は27L)をパイロットライン37R(又は37L)と連通状態にして、流量制御弁157のRポート又はLポートにパイロットポンプ15からの2次圧を供給する。このようにして、流量制御弁157を切り替え、メインポンプ14Lの吐出側のポートを旋回油圧モータ21の何れかのポートと連通状態とする。すなわち、メインポンプ14Lからの高圧作動油を、操作者のレバー操作により作動油が供給されているポートとは逆のポート(Aポート又はBポート)に供給する。これによって、操作者のレバー操作とは無関係に、上部旋回体3の旋回動作を制御する。
進入物検知装置80、各センサ22A〜22Dの検出信号が、コントローラ30に送信されており、コントローラ30は、上記検出信号を受けて、制御信号を電磁比例弁に出力する。詳細は後述する。
本実施形態によれば、上部旋回体3の旋回方向とは反対方向に旋回力(制動力)をかけることによって、制動距離をより短くすることができる。ショベルに進入物が接触するのを回避することができる。
また、操作者が旋回用レバー26Aを把持している場合は、機体が振動することによって、レバーの操作量が変化する場合がある。この場合には、上部旋回体3の回転が停止せずに旋回動作が継続される場合がある。
本実施形態によれば、レバーの操作量の変化にかかわらず、電磁比例弁157a、157bを切り替えることで作動油の流れを切り替えることができるため、旋回油圧モータ21に対し高い制動力を発生させることができる。
図7は、図6に示す油圧回路を搭載するショベルの制御動作を説明する図である。図7において、本実施形態に係るショベルの上部旋回体3の旋回動作を減速或いは停止させる制御が行われる場合の制動特性を実線で示す。破線は、上記制御が行われない場合の制動特性を比較例として示す。上段のグラフは、旋回油圧モータ21の制動時高圧側ポートの圧力Pの波形を示し、下段のグラフは、旋回油圧モータ21の角速度ωの波形を示す。なお、時間軸は共通とする。
まず、ショベルの上部旋回体3が右旋回しており、所定の場合に、操作者による旋回用レバー26Aの操作とは無関係に、上部旋回体3の旋回運動を減速或いは停止させる制御を行う場合について説明する。左旋回中に行う旋回動作を停止等させる制御は、右旋回中に行う旋回動作を停止等させる制御と逆の制御がなされるため、説明は省略する。
右旋回動作の際、旋回油圧モータ21の制動時高圧側の圧力は以下のように変化する。
図7に示すように、操作者のレバー操作により、時刻T0からT1の期間では、旋回油圧モータ21は、一定の角速度ω0で旋回を継続しており、上部旋回体3は定速状態にある。この期間では、操作者が旋回用レバー26Aを右旋回側に傾倒させて、流量制御弁157のRポートにパイロットポンプ15からの作動油を供給し、流量制御弁157を右側位置bに切り替える。そのため、高圧の作動油が油圧ライン322Bに供給され(図5参照)、高圧の作動油は旋回油圧モータ21のBポートに流れ低圧の作動油がAポートから吐出される。これによって、旋回油圧モータ21は、右方向に旋回する。
時刻T1において、コントローラ30が進入物を検知すると、制御信号はオン状態となり、電磁比例弁157a、157bが切り替わる。具体的には、コントローラ30からの制御信号に基づき、電磁比例弁157aを右側位置bに切り替え、電磁比例弁157bを左側位置cに切り替える。これによって、パイロットライン37Rの作動油がタンクに開放されると共に、パイロットライン37Lにパイロットポンプ15からの作動油が供給される。そのため、流量制御弁157が、右側位置bから左側位置cに切り替わり、低圧だったAポートにメインポンプ14Lからの作動油が供給されることになる(図5参照)。これによって、油圧ライン322Aの圧力(制動時高圧側の圧力)が時刻T1において急激に上昇する。多量の高圧の作動油が油圧ライン322Aに供給されるとリリーフバルブ324Aが開き、油圧ライン322A内の作動油の圧力はリリーフ圧PL(リリーフ最大圧)となる。旋回油圧モータ21のAポートに作動油が供給され続けるため、油圧ライン322A内の作動油の圧力はリリーフ圧PLに保持される。その結果、時刻T1以降は、図7の上段のグラフの実線に示すように、油圧ライン322B内の作動油の圧力はリリーフ圧PLで一定となる。作動油の流れを逆向きに切り替えて、旋回油圧モータ21のAポートへの作動油の供給を継続することによって、右旋回動作をしていた旋回油圧モータ21を制動させる制動力が発生する。作動油が旋回油圧モータ21のAポートに継続して供給されるため制動力が保持される。この制動力が、旋回油圧モータ21の回転を阻止する方向に作用するため、図7の下段のグラフの実線に示すように、時刻T1以降において、旋回油圧モータ21の角速度ωが、時間経過に伴い低下していく。
その結果、図7の実線部に示すように、旋回油圧モータ21の角速度ωは早く低下していき、時刻T2において上部旋回体3は停止する。
上部旋回体3が停止した後は、電磁比例弁157bを左側位置cから右側位置bに切り替える。パイロットライン37Lをタンクに開放して流量制御弁157を中立位置aに切り替える。
以下、上記実施例による制御を逆レバー制御と称す。
一方、電磁比例弁157a、157bが設けられていない場合は、時刻T1において、コントローラ30が進入物を検知した場合は、流量制御弁157を閉止して作動油の供給を停止することによって、旋回油圧モータ21を制動させていた。具体的には、油圧ライン322Bへの高圧の作動油の供給を停止させていた。このようにすることによって、旋回油圧モータ21のBポートの油圧が低下していく。一方、流量制御弁157が閉止されると、作動油の流れが遮断されるため、油圧ライン322B内に作動油が溜まり、Aポートの作動油の圧力は上昇していく。この圧力が所定の圧力を超えることにより、時刻T1において、Aポートの作動油の圧力はリリーフ圧PLとなる。
Aポートにおける油圧の上昇に伴い、旋回油圧モータ21に制動力を発生させることができる。ところが、旋回油圧モータ21は瞬時に減速或いは停止することはできず、上部旋回体3の慣性力により旋回油圧モータ21は回転を続けながら、図7の下段のグラフの破線に示すように、徐々に旋回油圧モータ21の角速度ωが下がっていく。この角速度ωの低下に伴い、旋回油圧モータ21のAポートから吐出される作動油の量も減少していくため、油圧ライン322A内の作動油の圧力は次第に低下していき、制動力も低下していく。
そのため、図7に示すように、旋回油圧モータ21の制動力を保持できる本実施例と比較して、上部旋回体3が停止するまでの時間、すなわち、旋回油圧モータ21の角速度ωがゼロになる時刻が時刻T3と長くなる。
図8は、図6と異なる実施例における操作レバーと流量制御弁との間の油圧回路図である。
ブームシリンダ7の駆動を制御する油圧回路について説明する。旋回用レバー26Aの操作と同様に、パイロットポンプ15により発生したパイロット圧は、パイロットライン25を介してブーム用レバー26Bに供給される。ブーム用レバー26Bは、操作者によって操作される。ブーム用レバー26Bは、パイロットライン25から供給される1次側の油圧を、操作者の操作に応じて、2次側の油圧に変換する。2次側の油圧は、パイロットライン27R、27Lを介して電磁比例弁154a、154b(切替弁)に伝達されると共に、他のパイロットライン37R、37Lを介して流量制御弁154に伝達される。
ブーム4操作用の操作装置は、ブーム用レバー26Bと、リモコン弁254R、254Lと、を含んで構成されている。
リモコン弁254Rは、ブーム用レバー26Bの上昇方向又は下降方向への操作量に応じたパイロット圧を流量制御弁154に出力するための弁である。そして、ブーム用レバー26Bと流量制御弁154との間には、電磁比例弁154a、154bが配置されている。
具体的には、リモコン弁254R、254Lは、パイロットライン27R、37Rを通じて、電磁比例弁154aを介して流量制御弁154のRポートに接続される。そして、リモコン弁254Lは、パイロットライン27L、37Lを通じて、電磁比例弁154bを介して流量制御弁154のLポートに接続される。リモコン弁254R、254Lは、パイロットポンプ15により供給される作動油の圧力を1次圧として受け、ブーム用レバー26Bの操作量に応じた2次圧をパイロット圧として出力する。
電磁比例弁154a、154bによって、流量制御弁154に入力されるパイロット圧が切り替えられる。
具体的には、電磁比例弁154aは、4ポート3位置の弁であり、第1ポートはパイロットライン37Rを通じて流量制御弁154のRポートに接続される。第2ポートはパイロットライン27Rを通じてリモコン弁254Rに接続される。第3ポートはパイロットライン25を通じてパイロットポンプ15に接続される。第4ポートはタンクに接続される。
また、電磁比例弁154bも電磁比例弁154aと同様に、4ポート3位置の弁である。第1ポート乃至第4ポートの接続関係は、電磁比例弁154aの接続関係と基本的に同じであるため、説明は省略する。
ここで、パイロットライン27R、27Lに電磁比例弁154a、154bが設けられていない一般的な油圧回路である場合、ショベルと進入物との接触を回避するために、流量制御弁157を中立位置aに切り替えていた。このようにすることによって、センターバイパス管路40Rと油圧ライン322A、322Bを非連通の状態とし、旋回油圧モータ21への作動油の供給を停止させていた。ところが、この方式では、上述のように、上部旋回体3が減速されてから停止するまでの時間が長くなってしまう。
そこで、本実施形態では、電磁比例弁154a、154bを設けることにより、上部旋回体3が減速されてから停止するまでの時間を短くする。そのために、流量制御弁154を切り替えて、メインポンプ14Rからの作動油の流れを自動的に切り替える。これにより、ブーム用レバー26Bを下降方向に操作して、アタッチメント125を地面に当接(接地)させる。より高い制動力が旋回油圧モータ21にかかるため、早期に上部旋回体3の旋回運動を停止させることができる。
具体的には、パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧を流量制御弁154のRポートに供給する(図5参照)。上部旋回体3が旋回中において、コントローラ30が、進入物が進入していることを検知した場合は、コントローラ30の制御信号に基づき、電磁比例弁154aを切り替える。より詳細には、電磁比例弁154aを中立位置aから左側位置cに切り替える。
電磁比例弁154bは、中立位置aのままであってもよい。これによって、パイロットライン25をパイロットライン37Rと連通状態とすると共に、パイロットライン27Lをパイロットライン37Rと連通状態とする。電磁比例弁154aを中立位置aから左側位置cに切り替えることによって、パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧を、流量制御弁154のRポートに供給させる。これによって、センターバイパス管路40Rと油圧ライン44Bが連通状態となり、メインポンプ14Rの吐出側のポートがブームシリンダ7のロッド側のポートと連通状態となる。操作者によって、ブーム用レバー26Bが操作されていない場合は、流量制御弁154のLポートは低圧となる。
そのため、RポートとLポートに圧力差が生じ、流量制御弁154は右側位置bに切り替わる。これによって、操作者がブーム用レバー26Bを操作していない場合であっても、ブーム4の下降動作が自動的の行われることになる。
なお、操作者によって、ブーム用レバー26Bが上昇方向に操作されている場合は、電磁比例弁154aを中立位置aから左側位置cに切り替えると共に、電磁比例弁154bを中立位置aから右側位置bに切り替える。すなわち、パイロットライン25をパイロットライン37Rと連通状態とすると共に、パイロットライン37Lをタンクポートと連通状態とする。これによって、操作者がブーム用レバー26Bを上昇方向に操作している場合であっても、ブーム4の下降動作が自動的に行われる。すなわち、電磁比例弁154a、154bを設けることにより、操作者によるブーム用レバー26Bの操作から、ブーム4の動作を切り離すことができる。
ブーム4の下降動作を行い、アタッチメント125を地面に当接(接地)させることにより、上部旋回体3に、より高い制動力を発生させることができる。進入物の位置とショベルの位置が、より近接している場合に有効である。
電磁比例弁154a、154bが設けられていることにより、メインポンプ14Rからの作動油の流れを、操作者によるブーム用レバー26Bの操作とは無関係にブーム下降方向に切り替えることができる。ブーム4の下降動作がなされアタッチメント125を接地させることにより、慣性により回転している旋回油圧モータ21の回転方向とは反対方向に高い制動力が作用する。そのため、上部旋回体3が高速で旋回しており、上部旋回体3が進入物に速い速度で接近している場合であっても、アタッチメント125との接触を確実に回避することができる。
本実施形態によれば、上部旋回体3の旋回方向とは反対方向に摩擦力を作用させることによって、制動距離を短くすることができる。ショベルに進入物が接触するのを回避することができる。
また、操作者が旋回用レバー26Aを把持している場合は、機体が振動することによって、レバーの操作量が変化する場合がある。この場合には、上部旋回体3の回転が停止せずに旋回動作が継続される場合がある。
以上のように、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、メインポンプ14Rからブームシリンダ7に作動油が供給される。そして、電磁比例弁154a、154bを切り替え、メインポンプ14Rとブームシリンダ7のロッド側のポートを連通状態にする。これによって、アタッチメント125の接地が行われ、旋回油圧モータ21には旋回方向と逆方向に高い制動力が掛かることになる。
具体的には、アタッチメント125を接地させて上部旋回体3が停止するように、電磁比例弁154a、154bを切り替える。そして、パイロットライン25をパイロットライン37Rと連通状態にして、流量制御弁154のRポートにパイロットポンプ15からの2次圧を供給する。これにより、流量制御弁154が切り替わり、ブームシリンダ7のロッド側に接続される油圧ライン44Bが、センターバイパス管路40Rと連通状態となる。すなわち、メインポンプ14Rの吐出側のポートがブームシリンダ7のロッド側のポートと連通状態となる。その結果、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、状況に応じて、操作者によるブーム用レバー26Bの操作とは無関係に、アタッチメント125が下降し接地制御が行われる。
本実施形態によれば、レバーの操作量の変化にかかわらず、電磁比例弁154a、154bを切り替えることで作動油の流れを切り替えることができるため、旋回油圧モータ21に対し高い制動力を発生させることができる。
なお、本油圧回路によれば、ブームシリンダ7のヘッド側に接続される油圧ライン44Aをセンターバイパス管路40Rと連通状態とすることにより、アタッチメント125を上昇させる制御を行うこともできる。詳細は後述する。
図9は、図8に示す油圧回路を搭載するショベルの制御動作を説明する図である。図9において、本実施形態に係るショベルのアタッチメント125を回避させる制御が行われる場合の制動特性を実線で示す。一点鎖線は、逆レバー制御が行われる場合の制動特性を比較例として示す。破線は、上記制御が行われない場合の制動特性を比較例として示す。縦軸は時間Tを示し、横軸は、旋回油圧モータ21の角速度ωを示す。
図9に示すように、操作者のレバー操作により、時刻T0からT1の期間では、旋回油圧モータ21は、一定の角速度ω0で旋回を継続しており、上部旋回体3は定速状態にある。
時刻T1において、コントローラ30が進入物を検知すると、制御信号はオン状態となる。具体的には、コントローラ30からの制御信号に基づきブーム下降側の電磁比例弁154aを左側位置cに切り替える。これによって、流量制御弁154が右側位置bに切り替わり、ブームシリンダ7のロッド側にメインポンプ14Rからの作動油が供給され、ヘッド側から作動油が作動油タンクへ排出される。そのため、ブーム4の下降動作が開始され、ブーム4を含むアタッチメント125が接地される。この接地動作により、アタッチメント125と地面との間に摩擦力が生じ、上部旋回体3の旋回を停止させる制動力となる。この制動力を発生させることによって、図9の実線に示すように、時刻T1以降において、旋回油圧モータ21の角速度ωが低下することになる。ブーム4の下降動作を行いアタッチメント125を接地させることによって、高い摩擦力が生じるため、図9の実線に示すように、旋回油圧モータ21の角速度ωはより早く低下していき、時刻T4において上部旋回体3は停止する。
操作者によって、旋回用レバー26Aを中立にしてメインポンプ14Lからの作動油の供給を遮断し制動力を発生させた場合であっても、アタッチメント125との接触を回避できない場合に、上述の「アタッチメント125の接地制御」が行われる。
本実施形態の機能が備えられていない場合、すなわち、ブーム用レバー26Bと流量制御弁154との間に、電磁比例弁154a、154bが設けられていない場合は、上部旋回体3の旋回速度によっては、制動が間に合わない場合がある。旋回油圧モータ21の角速度ωがゼロになる時刻が時刻T3と遅くなる(図9中破線参照)。高い制動力を発生させる本実施例によれば、旋回油圧モータ21の角速度ωがゼロになる時刻が時刻T4と早くなる(図9中破線参照)。
さらに、強制的に、ブーム4の下降動作を行いアタッチメント125を高速で接地させる方が、旋回油圧モータ21での作動油の流れを切り替えて旋回方向とは反対方向に制動力を発生させる図5の実施例よりも、高い制動力が発生する。そのため、図5の実施例(図9中一点鎖線参照)と比較して、旋回油圧モータ21の角速度ωがゼロになる時刻が時刻T4と早くなる(図9中破線参照)。
図10は、図9と異なる実施例におけるショベルの旋回の制御動作を説明する図である。
図9の実施例とは異なり、図8に示す油圧回路図において、パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧を流量制御弁154のLポート側に供給する。上部旋回体3が旋回中において、コントローラ30が、進入物が進入していることを検知した場合は、コントローラ30の制御信号に基づき、電磁比例弁154bを切り替える(図8参照)。より詳細には、電磁比例弁154bを中立位置aから左側位置cに切り替える。そして、パイロットライン25をパイロットライン37Lを連通状態にして、流量制御弁154のLポートにパイロットポンプ15からの2次圧を供給する。これにより、流量制御弁154が切り替わり、ブームシリンダ7のヘッド側に接続される油圧ライン44Aが、センターバイパス管路40Rと連通状態となる。すなわち、メインポンプ14Rの吐出側のポートがブームシリンダ7のヘッド側のポートと連通状態となる。
その結果、操作者のレバー操作とは無関係に、アタッチメント125が上昇する。電磁比例弁154aは、中立位置aであってもよい。電磁比例弁154bを中立位置aから左側位置cに切り替えることによって、パイロットライン25をパイロットライン37Lと連通状態とすると共に、パイロットライン27Rをパイロットライン37Rと連通状態とする。パイロットポンプ15から吐出された作動油の2次圧を、流量制御弁154のLポートに供給させる。操作者によって、ブーム用レバー26Bが操作されていない場合は、流量制御弁154のRポートは低圧となる。
そのため、RポートとLポートに圧力差が生じ、流量制御弁154は左側位置cに切り替わる。これによって、操作者がブーム用レバー26Bを操作していない場合であっても、ブーム4の上昇動作が自動的の行われることになる。
なお、操作者によって、ブーム用レバー26Bが下降方向に操作されている場合は、電磁比例弁154aを中立位置aから右側位置bに切り替えると共に、電磁比例弁154bを中立位置aから左側位置cに切り替える。すなわち、パイロットライン25がパイロットライン37Lと連通状態となると共に、パイロットライン37Rがタンクポートと連通状態となる。これによって、操作者がブーム用レバー26Bを下降方向に操作している場合であっても、ブーム4の上昇動作が自動的に行われることになる。その結果、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、状況に応じて、操作者によるブーム用レバー26Bの操作とは無関係に、アタッチメント125が上昇し回避制御が行われる。
より詳細には、ブーム4の上昇動作は、流量制御弁154を左側位置cに切り替えることによって、メインポンプ14Rからの作動油はブームシリンダ7のヘッド側に流れ、ロッド側から作動油を作動油タンクへ排出する。
コントローラ30が進入物を検知すると、制御信号はオン状態となる。具体的には、コントローラ30からの制御信号に基づき電磁比例弁154a、154bを切り替える。これによって、メインポンプ14Rの吐出し側のポートをブームシリンダ7のヘッド側と連通状態とし、ブームシリンダ7のヘッド側にメインポンプ14Rからの作動油を供給する。その結果、ロッド側からの作動油が作動油タンクへ排出され、ブーム4の上昇動作が行われる。
ブーム4の上昇動作を行うことによって、図10に示すように、ブーム4を含むアタッチメント125を上方向に回避させる。アタッチメント125を低い位置(図10中破線参照)から高い位置(図10中実線参照)まで上昇させることにより、アタッチメント125が進入物と接触するのを回避することができる。
電磁比例弁154a、154bを設けることによりブーム4の上昇動作を、コントローラ30からの制御信号によって、自動で行なうことができる。操作者によるブーム用レバー26Bの操作とは無関係にブーム4を含むアタッチメント125を上昇方向に切り替えることができる。すなわち、電磁比例弁154a、154bを設けることにより、操作者によるブーム用レバー26Bの操作から、ブーム4の動作を切り離すことができる。
そのため、操作者が旋回用レバー26Aを中立にしたり、逆レバー制御を行っても制動が間に合わない場合であっても、アタッチメント125を上昇方向に回避する制御動作を行うことにより、より確実に進入物とショベルの接触を回避することができる。
また、操作者が旋回用レバー26Aやブーム用レバー26Bを把持している場合は、機体が振動することによって、レバーの操作量が変化する場合がある。この場合には、上部旋回体3の旋回動作や、ブーム4の上昇動作又は下降動作を、操作者の意図通りに行えない場合がある。
本実施形態によれば、レバーの操作量の変化にかかわらず、電磁比例弁154a、154bを切り替えることで、自動的に、進入物からアタッチメント125を回避させることができる。
以上のように、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、メインポンプ14Rからブームシリンダ7に作動油が供給される。そして、電磁比例弁154a、154bを切り替え、メインポンプ14Rとブームシリンダ7のヘッド側のポートを連通状態にする。これによって、アタッチメント125の上昇が行われ、アタッチメント125を進入物から回避することができる。
以下の説明において、本制御動作を、アタッチメント125の回避制御と称す。
上述のように、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、アタッチメント125の接地制御、或いは、アタッチメント125の回避制御を行うように、電磁比例弁154a、154bを連通状態とする。すなわち、パイロットポンプ15の吐出側のポートと流量制御弁154の何れかのポートと連通状態にする。これによって、流量制御弁154の切り替えを行う。
図11は、図7と異なる実施例におけるショベルの旋回機構を説明する図である。
上述の実施形態とさらに異なるショベル制御機構について、図11を参照しながら説明する。
図11に示すように、本実施形態に係るショベルにおける上部旋回体3の旋回動作は、下部走行体1側に固定された内歯歯車61に、上部旋回体3側に組み込まれた旋回ピニオン62を内接噛合することにより実現している。
具体的には、旋回ピニオン62により、内歯歯車61を介してインナレース63が低速、高トルクで駆動されることで、旋回フレーム3aがアウタレース64と共に旋回中心111の周りを回動し、上部旋回体3の旋回動作が行われる。インナレース63とアウタレース64とは、上部旋回体3の旋回中心111に対し同心円をなすように配設されている。より詳細には、旋回ピニオン62は、インナレース63の内周部に形成された内歯歯車61に噛合されており、内歯歯車61は、旋回フレーム3aに固定されている。旋回ピニオン62が、インナレース63の内周部に沿って移動することにより上部旋回体3の旋回動作が行われる。
上部旋回体3の旋回動作中に、内歯歯車61にピン60を挿入することにより、インナレース63の駆動を停止させて、上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止(ロック)させる。これによって、上部旋回体3は緊急停止することになり、進入物と接触する可能性がかなり高い場合であっても、ショベルと進入物との接触を確実に回避することができる。以下の説明において、本制御動作をピンの挿入制御と称す。
図12は、図11に示す旋回機構を搭載するショベルの制御動作を説明する図である。図12において、本実施形態に係るショベルのピンの挿入制御の制動特性を実線で示す。一点鎖線は、逆レバー制御が行われる場合の制動特性を比較例として示す。二点鎖線は、アタッチメントの接地制御が行われる場合の制動特性を比較例として示す。破線は、上記制御が行われない場合の制動特性を比較例として示す。縦軸は時間Tを示し、横軸は、旋回油圧モータ21の角速度ωを示す。
時刻T0からT1の期間では、上部旋回体3は、一定の角速度ω0で旋回を継続しており、上部旋回体3は定速状態にある。
時刻T1において、コントローラ30が進入物を検知すると、制御信号はオン状態となる。具体的には、コントローラ30からの制御信号に基づき、内歯歯車61に、ピン60を挿入する。ピン60を挿入することにより、旋回ピニオン62の移動がロックされるため、インナレース63の駆動が停止し、それに伴い、上部旋回体3の旋回動作も停止する。その結果、コントローラ30によって進入物が監視領域18a、18b、18c内に進入したと判断されると、状況に応じて、操作者によるブーム用レバー26Bの操作とは無関係に、ピンの挿入制御が行われる。本実施形態によると、制御信号がオン状態となると同時に、上部旋回体3の旋回動作は停止する。
そのため、旋回用レバー26Aを中立に戻して、旋回油圧モータ21を制動させる場合(図12中破線参照)よりも、はるかに早く、上部旋回体3を停止させることができる。
また、他の実施例(逆レバー制御、アタッチメント125の接地制御、アタッチメント125の回避制御)のように、コントローラ30からの制御信号が出力されてから所定の時刻(T2、T3、T4)を要することなく、直ちに緊急停止することができる。
続いて、コントローラ30による上部旋回体3又はアタッチメント125の制御処理について、図面を参照しながら具体的に説明する。図13は、本実施形態に係るショベルの制御処理を示すフローチャートの一例である。
図13に示すように、まず、コントローラ30の判定部30aにおいて、アタッチメント125の姿勢や上部旋回体3の角速度ω、ω'、ω''に基づき、第1監視領域18a、第2監視領域18b、第3監視領域18cを決定する(ステップST1)。
コントローラ30は、進入物との接触の危険度(緊急度)に応じて、上部旋回体3又はアタッチメント125の制御動作を判定する。
具体的には、コントローラ30は、進入物検知装置80から入力された画像データを分析することにより、進入物の位置を算出する。そして、コントローラ30は、旋回角度センサ22Dから入力された旋回角の変動に基づいて角速度ω、ω'、ω''を算出する。さらに、コントローラ30は、角度センサ22A、22B、及びストロークセンサ22Cから入力された測定結果に基づいて、揺動中心112からバケット6先端までの高さ、及び、アタッチメント長R、半径R'、R''を算出する。
アタッチメント長Rが一定の場合、角速度ωが大きくなるに従って、監視角度上限値αd(図3参照)を大きく設定しておくのが好ましい。また、角速度ωが一定の場合、アタッチメント長Rが大きくなるに従って、監視角度上限値αdを大きく設定しておくのが好ましい。ショベルに作用する慣性モーメントが大きくなるからである。
なお、第2監視領域18bの半径R'は一定である。角速度ω'が大きくなるに従って、監視角度上限値αd' (図3参照)を大きく設定しておくのが好ましい。第3監視領域18cの半径R'' は一定であるため、上述と同様に、角速度ω''が大きくなるに従って、監視角度上限値αd'' (図3参照)を大きく設定しておくのが好ましい。
以上の算出結果に基づいて、監視領域18a、18b、18cの大きさが決定される。
そして、進入物検知装置80から入力された画像データを分析することにより、進入物の種類を特定する。この特定は、例えば、進入物の種類に応じて、進入物に取り付けられる発信器222の発光色を変えることによって行う。コントローラ30は、このようにして算出された監視領域18a、18b、18c及び進入物の種類、位置関係に基づき、判定部30a(図6参照)において、上部旋回体3又はアタッチメント125の制御動作を決定する。
具体的には、進入物とショベルの接触(当接)の可能性が高いか否かを判断して、上部旋回体3又はアタッチメント125の制御動作を決定する。
進入物が何れかの監視領域内に進入したかの判断を行う。この判断は、進入物検知装置80の画像データに基づき、コントローラ30の判定部30aが行う。何れかの監視領域内に進入した場合、例えば、警報ランプを点灯若しくは点滅させると共に、警報ブザーを鳴らす(ステップST2)。このとき、緊急領域別に警報の種類を変えてもよい。さらに、判定部30aは、上部旋回体3やアタッチメント125を含む駆動部に進入物が接触(当接)する危険度(緊急度)を判断する(ステップST3)。この危険度に基づき、コントローラ30は、駆動部を進入物から回避させる回避制御を判定する。
第1監視領域18a内に進入物が進入し、アタッチメント125又は上部旋回体3に当接する可能性がある場合(ステップST3のYES)、判定部30aにて、進入物と、アタッチメント125又は上部旋回体3との距離の判定が行われる。
具体的には、判定部30aが、アタッチメント125と進入物の距離及び上部旋回体3と進入物の距離の何れも、所定の距離を有するか否かの判定を行う(ステップST4)。ステップST4において、何れの距離も所定の距離を有すると判定する場合は(ステップST4のYES)、コントローラ30によって「逆レバー制御」が実行される(ステップST5)。旋回油圧モータ21を循環する作動油の流れを逆転させることによって、上部旋回体3の停止動作が行われる。
なお、ステップST4において、何れかの距離が所定の距離を有さないと判定する場合は(ステップST4のNO)、カウンタウエイト等上部旋回体3と進入物との距離が所定の距離を有するか否かの判定を行う(ステップST6)。つまり、このステップST6では、「逆レバー制御」で対応する程の距離の余裕はない場合に、上述の他の制御動作を実行することで、上部旋回体3又はアタッチメント125が進入物に接触するのを回避できるか否かの判定が行われる。
ステップST6において、距離があると判定する場合は(ステップST6のNO)、アタッチメント125を上昇させることで回避可能か否かの判定が行われる(ステップST9)。ステップST9において、上昇させることで回避可能な場合には(ステップST9のYES)、アタッチメント125の「アタッチメント125の回避制御」が行われる(ステップST10)。
一方、ステップST6において、所定の距離を有さないと判定する場合は(ステップST6のYES)、アタッチメント125を接地することで回避可能か否かの判定が行われる(ステップST7)。ステップST7において、接地で回避可能な場合には(ステップST7のYES)、「アタッチメント125の接地制御」が行われる(ステップST8)。
なお、「アタッチメント125の回避制御」でも、「アタッチメント125の接地制御」でも回避が困難であると判定する場合は(ステップST7、ST9のNO)、上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させるように、「ピンの挿入制御」を実行する(ステップST11)。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
本実施形態では、流量制御弁の切り替えを電磁比例弁によって行う場合の油圧回路として、旋回用レバー又はブーム用レバーの油圧回路を個別に例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。図14に示すように、旋回用レバー及びブーム用レバーの油圧回路を共に、電磁比例弁によって流量制御弁を切り替える構成としてもよい。
或いは、図15に示すように、ブーム用レバー及びアーム用レバーの油圧回路を、電磁比例弁によって流量制御弁を切り替える構成としてもよい。
或いは、図16に示すように、ブーム用レバー、アーム用レバー及びバケット用レバーの油圧回路を、電磁比例弁によって流量制御弁を切り替える構成としてもよい。
アーム用レバーの油圧回路は、電磁比例弁155aをコントローラ30によって左側位置cに切り替えることにより流量制御弁155のRポートに作動油を供給させる。これにより、流量制御弁155を右側位置bに切り替え、アームシリンダ8のヘッド側にメインポンプ14Lからの作動油が供給されることになり(図5参照)、アーム5の上昇動作が自動的(強制的)に行われる。アーム5の下降動作を自動的に行う場合は、電磁比例弁155bをコントローラ30によって左側位置c切り替えることにより、流量制御弁155を左側位置cに切り替える。
バケット用レバーの油圧回路は、電磁比例弁158aをコントローラ30によって左側位置cに切り替えることにより流量制御弁158のRポートに作動油を供給する。これにより、流量制御弁158を右側位置bに切り替え、バケットシリンダ9のヘッド側にメインポンプ14Rからの作動油が供給されることになり(図5参照)、バケット6の開き動作が自動的(強制的)に行われる。バケット6の閉じ動作を自動的に行う場合は、電磁比例弁158bをコントローラ30によって左側位置cに切り替えることにより、流量制御弁158を左側位置cに切り替える。
油圧回路の詳細な説明は、旋回用レバー26A及びブーム用レバー26Bの場合と基本的に同じであるため、説明は省略する。
ブーム4の制御動作に、上述のアーム5の制御動作又はバケット6の制御動作を組み合わせることにより、ショベルと進入物の位置関係に応じて、様々な回避動作を実行させることができる。
また、本実施形態において、ショベルと進入物とが接触(当接)するのを回避する回避動作として、「逆レバー制御」、「アタッチメント125の回避制御」、「アタッチメント125の接地制御」、「ピンの挿入制御」を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、メカニカルブレーキ23により、上部旋回体3を制動させてもよい(図5参照)。具体的には、上部旋回体3の旋回中は、パイロットポンプ15からシリンダ23e内に作動油を供給することによって、メカニカルブレーキ23を解除する。そして、接触の危険度(緊急度)に応じて、コントローラ30から制御信号を送信し、電磁切換弁50を切り換え、シリンダ23e内への作動油の供給を停止してメカニカルブレーキ23を作動させる。これによって、上部旋回体3を制動させる構成としてもよい。ブレーキによる制動であるため、旋回用レバー26Aを中立位置にして作動油の流れを遮断する場合に比べて、旋回が停止するまでの時間Tが短くなる。上部旋回体3が減速されてから停止するまでの時間は、「アタッチメント125の接地制御」を行った場合と同等の時間(図9中実線及び時刻T4参照)になる。
以上、説明した制御動作は、各々単独で行ってもよく、幾つかの制御動作を併用してもよい。これにより、様々な状況に応じて、上部旋回体3又はアタッチメント125が進入物と接触するのを回避することができる。
幾つかの制御動作を併用する場合は、進入物とショベルの構成物(上部旋回体3、アタッチメント125等)との相対距離、若しくは、進入物とショベルとが当接可能性が高いショベルの構成物に基づいて、アタッチメント125を制御するか、旋回油圧モータ21を制御するかを判断する。この判断は、コントローラ30の判定部30aによって行う。
また、本実施形態において、ショベルの駆動系の構成を示すブロック図は、旋回モータを油圧駆動の旋回油圧モータとして説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、図17に示すように、電動駆動の旋回電動機を用いても、本発明を実現できることは言うまでもない。機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気駆動・制御系をそれぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
図17に示すショベルは旋回機構2を電動にしたもので、旋回機構2を駆動するために旋回用電動機210が設けられている。電動作業要素としての旋回用電動機210は、インバータ20を介して蓄電系120に接続されている。旋回用電動機210の回転軸210Aには、レゾルバ220、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。旋回用電動機210と、インバータ20と、レゾルバ220と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器を含む蓄電系120が接続される。蓄電系120は、インバータ18A、20と直流母線により接続された昇降圧コンバータと、昇降圧コンバータに接続された蓄電器で構成される。蓄電器は、キャパシタを用いるが、キャパシタの代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、リチウムイオンキャパシタ、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
エンジン11にはスタータモータ11a及びスタータモータ始動用のバッテリ11bが設けられている。バッテリ11bは、一般的に自動車に使用される蓄電池であり、例えば24Vの鉛蓄電池が用いられる。ショベルを起動するときには、バッテリ11bからスタータモータ11aに電力を供給してスタータモータ11aを駆動し、この駆動力でエンジン11を強制的に回転させて始動する。
この場合も、上記旋回油圧モータ21を用いた場合と、同等の作用効果を奏することができる。
また、本実施の形態では流量制御弁へ操作信号としてパイロット圧を発生させる操作レバーを示したが、それ以外にも、コントローラからの電気信号を発生させ、流量制御弁154、155、157、158へ送信させる電気レバーを用いても良い。この場合、通常は、電気レバーの操作量が、一旦、コントローラに入力され、その後、操作量に応じた電気信号は流量制御弁へ送信され、流量制御弁を制御する。また、コントローラが進入物を検知した場合には、操作量に応じた電気信号から、予め入力された信号パターンに基づいて生成される電気信号へ、コントローラから送信させる電気信号が切り替えられる。このため、予め入力された信号パターンに基づいて、流量制御弁は制御される。
また、本実施形態では、xyz直交座標系を用いてアタッチメント125の位置を算出する場合を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、地球基準座標系を用いて、経度及び緯度で座標を定義してもよい。進入物との位置をGPSで測定する場合に有効である。