以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[ショベル管理システムの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの概要について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの一例を示す概略図である。
図1に示すように、ショベル管理システムSYSは、ショベル100と、管理装置200とを含む。
ショベル管理システムSYSに含まれるショベル100は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。同様に、ショベル管理システムSYSに含まれる管理装置200は、複数であってもよい。即ち、複数の管理装置200は、ショベル管理システムSYSに関する処理を分散して実施してよい。例えば、複数の管理装置200は、それぞれ、複数のショベル100のうちの担当する一部のショベル100との間で相互に通信を行い、その一部のショベル100を対象とする処理を実行してよい。
ショベル管理システムSYSは、例えば、管理装置200において、ショベル100から情報を収集し、ショベル100の各種状態(例えば、ショベル100に搭載される各種機器の異常の有無等)を監視する。
また、ショベル管理システムSYSは、例えば、管理装置200において、ショベル100の遠隔操作を支援してよい。
<ショベルの概要>
図1に示すように、本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、ブーム4、アーム5、及びバケット6を含むアタッチメントと、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。以下、ショベル100(上部旋回体3)の前方は、ショベル100を上部旋回体3の旋回軸に沿って真上から平面視(上面視)で見たときに、上部旋回体3に対するアタッチメントが延び出す方向に対応する。また、ショベル100(上部旋回体3)の左方及び右方は、それぞれ、キャビン10内の操縦席に着座するオペレータから見た左方及び右方に対応する。
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含む。下部走行体1は、それぞれのクローラが左側の走行油圧モータ1ML及び右側の走行油圧モータ1MR(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
上部旋回体3は、旋回機構2が旋回油圧モータ2Aで油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられる。
バケット6は、エンドアタッチメントの一例である。バケット6は、例えば、掘削作業等に用いられる。また、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、大型バケット、法面用バケット、浚渫用バケット等の他の種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、攪拌機、ブレーカ、グラップル等のバケット以外の種類のエンドアタッチメントであってもよい。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
ショベル100は、通信装置60を搭載し、所定の通信回線NWを通じて、管理装置200と相互に通信を行うことができる。これにより、ショベル100は、各種情報を管理装置200に送信(アップロード)したり、管理装置200から各種の信号(例えば、情報信号や制御信号)等を受信したりすることができる。通信回線NWには、例えば、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)が含まれる。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。また、広域ネットワークには、例えば、ショベル100の上空の通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてもよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてもよい。また、通信回線NWには、例えば、管理装置200が設置される施設等のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)が含まれてもよい。ローカルネットワークは、無線回線であってもよいし、有線回線であってもよいし、その両方を含む回線であってよい。また、通信回線NWには、例えば、WiFiやブルートゥース(登録商標)等の所定の無線通信方式に基づく近距離通信回線が含まれてもよい。
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、アクチュエータ(例えば、油圧アクチュエータ)を動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の動作要素(以下、「被駆動要素」)を駆動する。
また、ショベル100は、キャビン10のオペレータにより操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル100の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータによる操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータによる遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置(例えば、管理装置200)で行われるショベル100のアクチュエータに関するユーザ(オペレータ)からの入力によって、ショベル100が操作される態様が含まれる。この場合、ショベル100は、例えば、後述の撮像装置S6の出力に基づくショベル100の周囲の画像情報(以下、「周囲画像」)を外部装置に送信し、画像情報は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に表示されてよい。また、ショベル100のキャビン10内の出力装置50に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル100の周囲の様子を表す周囲画像や各種の情報画像等の表示内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
また、遠隔操作には、例えば、ショベル100の周囲の人(例えば、作業者)のショベル100に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル100が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル100は、ショベル100(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)や撮像装置等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル100は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」或いは「操作支援型のマシンコントロール機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてもよい。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
<管理装置の概要>
管理装置200は、例えば、ショベル100の状態の管理(監視)やショベル100の作業の管理(監視)等、ショベル100に関する管理を行う。
管理装置200は、例えば、ショベル100が作業を行う作業現場の外部の管理センタ等に設置されるクラウドサーバであってよい。また、管理装置200は、例えば、ショベル100が作業行う作業現場内、或いは、作業現場から相対的に近い場所(例えば、通信事業者の局舎や基地局等)に配置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置200は、ショベル100の作業現場内の管理事務所等に配置される定置型の端末装置或いは携帯型の端末装置(携帯端末)であってもよい。定置型の端末装置には、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末が含まれてよい。また、携帯型の端末装置には、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等が含まれてよい。
管理装置200は、例えば、通信装置220(図2、図3参照)を有し、上述の如く、通信回線NWを通じて、ショベル100と相互に通信を行う。これにより、管理装置200は、ショベル100からアップロードされる各種情報を受信したり、各種信号をショベル100に送信したりすることができる。そのため、管理装置200のユーザは、出力装置240(図2、図3参照)を通じて、ショベル100に関する各種情報を確認することができる。また、管理装置200は、例えば、ショベル100に情報信号を送信し、作業に必要な情報を提供したり、制御信号を送信し、ショベル100を制御したりすることができる。管理装置200のユーザには、例えば、ショベル100のオーナ、ショベル100の管理者、ショベル100のメーカの技術者、ショベル100のオペレータ、ショベル100の作業現場の管理者、監督者、作業者等が含まれてよい。
また、管理装置200は、ショベル100の遠隔操作を支援可能に構成されてもよい。例えば、管理装置200は、オペレータが遠隔操作を行うための入力装置(以下、便宜的に「遠隔操作装置」)、及びショベル100の周囲の画像情報(周囲画像)等を表示する遠隔操作用表示装置を有してよい。遠隔操作装置から入力される信号は、遠隔操作信号として、ショベル100に送信される。これにより、管理装置200のユーザ(オペレータ)は、遠隔操作用表示装置でショベル100の周囲の様子を確認しながら、遠隔操作装置を用いて、ショベル100の遠隔操作を行うことができる。
[ショベル管理システムの構成]
次に、図1に加えて、図2、図3を参照して、ショベル管理システムSYSの具体的な構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの構成の一例を示すブロック図である。図2では、機械的動力が伝達される経路は二重線、油圧アクチュエータを駆動する高圧の作動油が流れる経路は実線、パイロット圧が伝達される経路は破線、電気信号が伝達される経路は点線でそれぞれ示される。図3は、ショベル100の操作系に関する機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図3では、パイロット圧が伝達される経路は、破線、電気信号が伝達される経路は、実線でそれぞれ示される。
<ショベルの構成>
ショベル100は、被駆動要素の油圧駆動に関する油圧駆動系、被駆動要素の操作に関する操作系、ユーザとの情報のやり取りに関するユーザインタフェース系、外部との通信に関する通信系、及び各種制御に関する制御系等のそれぞれの構成要素を含む。
<<油圧駆動系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する油圧アクチュエータを含む。油圧アクチュエータには、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等が含まれる。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源である。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
レギュレータ13は、コントローラ30の制御下で、メインポンプ14の吐出量を制御(調節)する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載される。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることによりピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。
コントロールバルブ17は、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作の内容、或いは、コントローラ30から出力される自動運転機能に関する操作指令に応じて、油圧アクチュエータの制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載される。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、オペレータの操作、或いは、コントローラ30から出力される操作指令に応じて、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁(「方向切換弁」とも称する)17A~17Fを含む。以下、制御弁17A~17Fを包括的に、或いは、制御弁17A~17Fのうちの任意の一つを個別に「制御弁17X」と称する場合がある。
制御弁17Aは、走行油圧モータ1MLに作動油を供給し、且つ、走行油圧モータ1MLから作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Aは、走行油圧モータ1MRの操作(即ち、左側のクローラの操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31A」)から供給されるパイロット圧に応じて、走行油圧モータ1MLを駆動することができる。
制御弁17Bは、走行油圧モータ1MRに作動油を供給し、且つ、走行油圧モータ1MRから作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Bは、走行油圧モータ1MRの操作(即ち、右側のクローラの操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31B」)から供給されるパイロット圧に応じて、走行油圧モータ1MRを駆動することができる。
制御弁17Cは、旋回油圧モータ2Aに作動油を供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aから作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Cは、旋回油圧モータ2Aの操作(即ち、上部旋回体3の操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31C」)から供給されるパイロット圧に応じて、旋回油圧モータ2Aを駆動することができる。
制御弁17Dは、ブームシリンダ7に作動油を供給し、且つ、ブームシリンダ7から作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Dは、ブームシリンダ7の操作(即ち、ブーム4の操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31D」)から供給されるパイロット圧に応じて、ブームシリンダ7を駆動することができる。
制御弁17Eは、アームシリンダ8に作動油を供給し、且つ、アームシリンダ8から作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Eは、アームシリンダ8の操作(即ち、アーム5の操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31E」)から供給されるパイロット圧に応じて、アームシリンダ8を駆動することができる。
制御弁17Fは、バケットシリンダ9に作動油を供給し、且つ、バケットシリンダ9から作動油を排出させ、タンクに戻すことが可能に構成される。これにより、制御弁17Fは、バケットシリンダ9の操作(即ち、バケット6の操作)に対応する油圧制御弁31(以下、便宜的に「油圧制御弁31F」)から供給されるパイロット圧に応じて、バケットシリンダ9を駆動することができる。
図3に示すように、制御弁17Xは、2つのパイロット圧が供給されるポートP1,P2を有するスプール弁である。制御弁17Xには、軸方向に移動可能なスプールが内蔵され、スプールは、その両端部にも設けられるバネ部材から所定の中立位置で釣り合うように反対側の端部に向けて付勢されている(図6~図8参照)。
制御弁17XのポートP1に作動油が供給されると、その圧力(パイロット圧)がスプールの軸方向の一端に作用し、スプールが中立位置を基準として軸方向で他端側に移動する。これにより、制御弁17Xは、スプールの移動に伴い、油圧アクチュエータの2つの作動油の給排ポートのうちの一方に作動油を供給し他方から作動油を排出させる経路を連通させ、油圧アクチュエータを一の方向に駆動することができる。
他方、制御弁17XのポートP2に作動油が供給されると、その圧力(パイロット圧)がスプールの軸方向の他端に作用し、スプールが中立位置を基準として軸方向で一端側に移動する。これにより、制御弁17Xは、スプールの移動に伴い、油圧アクチュエータの2つの作動油の給排ポートのうちの他方に作動油を供給し一方から作動油を排出させる経路を連通させ、油圧アクチュエータを他の方向に駆動することができる。
<<操作系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、ゲートロック弁25Vと、操作装置26と、油圧制御弁31とを含む。
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧機器にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載される。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
ゲートロック弁25Vは、パイロットライン25において、パイロットポンプ15からの作動油の供給を受ける全ての各種油圧機器よりも上流に設けられる。ゲートロック弁25Vは、キャビン10の内部のゲートロックレバーの操作と連動するリミットスイッチ25s(図6~図8参照)のON/OFFによって、パイロットライン25の連通及び遮断(非連通)を切り替える。具体的には、ゲートロックレバーが起こされている、つまり、操縦席が開放されている場合、リミットスイッチ25sがOFFされ、ゲートロック弁25Vのソレノイドには、バッテリBATからの電圧が印加されず、ゲートロック弁25Vは非連通状態となる。そのため、パイロットライン25が遮断され、油圧制御弁31を含む各種油圧機器に作動油が供給されない。一方、ゲートロックレバーが下ろされた状態、つまり、操縦席が閉じられた状態では、リミットスイッチ25sがONされ、ゲートロック弁25Vのソレノイドには、バッテリBATから電圧が印加され、ゲートロック弁25Vは連通状態になる。そのため、パイロットライン25が連通し、油圧制御弁31を含む各種油圧機器に作動油が供給される。
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種被駆動要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)の操作を行うために用いられる。操作装置26は、例えば、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)、及び上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)のそれぞれを操作するレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、下部走行体1の左右のクローラ(走行油圧モータ1ML,1MR)のそれぞれを操作するペダル装置やレバー装置を含む。
図2に示すように、操作装置26は、電気式である。具体的には、操作装置26は、操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力し、操作信号は、コントローラ30に取り込まれる。そして、コントローラ30は、操作信号の内容に応じた制御指令、つまり、操作装置26に対する操作内容に応じた制御信号を油圧制御弁31に出力する。これにより、油圧制御弁31からコントロールバルブ17に操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧が入力され、コントロールバルブ17は、操作装置26の操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
油圧制御弁31は、操作装置26の操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)ごとに設けられる。即ち、油圧制御弁31は、例えば、左側のクローラ(走行油圧モータ1ML)、右側のクローラ(走行油圧モータ1MR)、上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、及びバケット6(バケットシリンダ9)ごとに設けられる。油圧制御弁31は、例えば、電磁比例弁であり、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17との間のパイロットライン25に設けられ、その流路面積(即ち、作動油が通流可能な断面積)を変更可能に構成されてよい。これにより、油圧制御弁31は、パイロットライン25を通じて供給されるパイロットポンプ15の作動油を利用して、所定のパイロット圧を二次側のパイロットライン27に出力することができる。そのため、油圧制御弁31は、パイロットライン27を通じて、コントローラ30からの制御信号に応じた所定のパイロット圧をコントロールバルブ17に作用させることができる。そのため、コントローラ30は、油圧制御弁31から電気式の操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、オペレータの操作に基づくショベル100の動作を実現することができる。
また、コントローラ30は、例えば、油圧制御弁31を制御し、自動運転機能を実現してもよい。具体的には、コントローラ30は、操作装置26の操作の有無に依らず、自動運転機能に関する操作指令に対応する制御信号を油圧制御弁31に出力する。これにより、コントローラ30は、油圧制御弁31から自動運転機能に関する操作指令に対応するパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、自動運転機能に基づくショベル100の動作を実現することができる。
また、コントローラ30は、例えば、油圧制御弁31を制御し、ショベル100の遠隔操作を実現してもよい。具体的には、コントローラ30は、後述の通信装置60によって、管理装置200から受信される遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に対応する制御信号を油圧制御弁31に出力する。これにより、コントローラ30は、油圧制御弁31から遠隔操作の内容に対応するパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、オペレータの遠隔操作に基づくショベル100の動作を実現することができる。
上述の如く、油圧制御弁31は、それぞれの油圧アクチュエータ(被駆動要素)の操作に対応する油圧制御弁31A~31Fを含む。以下、油圧制御弁31A~31Fを包括的に、或いは、油圧制御弁31A~31Fのうちの任意の一つを個別に「油圧制御弁31X」と称する場合がある。
図3に示すように、油圧制御弁31Xは、2つの油圧制御弁31X1,31X2を含む。つまり、油圧制御弁31A~31Fは、それぞれ、油圧制御弁31A1,31A2、油圧制御弁31B1,31B2、油圧制御弁31C1,31C2、油圧制御弁31D1,31D2、油圧制御弁31E1,31E2、及び油圧制御弁31F1,31F2を含む。
油圧制御弁31X1は、制御弁17XのポートP1に作動油(パイロット圧)を供給する。これにより、油圧制御弁31X1は、制御弁17Xのスプールを中立位置から軸方向で他端側に移動させ、油圧アクチュエータを一の方向に移動させることができる。
油圧制御弁31X2は、制御弁17XのポートP2に作動油(パイロット圧)を供給する。これにより、油圧制御弁31X2は、制御弁17Xのスプールを中立位置から軸方向で一端側に移動させ、油圧アクチュエータを他の方向に移動させることができる。
<<ユーザインタフェース系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル100のユーザインタフェース系は、操作装置26と、出力装置50と、入力装置52とを含む。
出力装置50は、キャビン10の内部のショベル100のユーザ(オペレータ)に向けて各種情報を出力する。
例えば、出力装置50は、キャビン10内の操縦席に着座したオペレータから視認し易い場所に設けられ、視覚的な方法で各種情報を出力する室内の照明機器や表示装置等を含む。照明機器は、例えば、警告灯等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
また、例えば、出力装置50は、聴覚的な方法で各種情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置には、例えば、ブザーやスピーカ等が含まれる。
入力装置52は、キャビン10内の操縦席に着座したオペレータに近接する範囲に設けられ、オペレータによる各種入力を受け付け、受け付けられる入力に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
例えば、入力装置52は、操作入力を受け付ける操作入力装置である。操作入力装置には、表示装置に実装されるタッチパネル、表示装置の周囲に設置されるタッチパッド、ボタンスイッチ、レバー、トグル、操作装置26(レバー装置)に設けられるノブスイッチ等が含まれる。
また、例えば、入力装置52は、オペレータの音声入力を受け付ける音声入力装置であってもよい。音声入力装置には、例えば、マイクロフォンが含まれる。
また、例えば、入力装置52は、オペレータのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置であってもよい。ジェスチャ入力装置には、例えば、キャビン10内に設置される撮像装置(室内カメラ)が含まれる。
<<通信系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル100の通信系は、通信装置60を含む。
通信装置60は、通信回線NWに接続し、ショベル100と別に設けられる装置(例えば、管理装置200)と通信を行う。ショベル100と別に設けられる装置には、ショベル100の外部にある装置の他、ショベル100のユーザによりキャビン10に持ち込まれる携帯型の端末装置が含まれてよい。通信装置60は、例えば、4G(4th Generation)や5G(5th Generation)等の規格に準拠する移動体通信モジュールを含んでよい。また、通信装置60は、例えば、衛星通信モジュールを含んでもよい。また、通信装置60は、例えば、WiFi通信モジュールやブルートゥース通信モジュール等を含んでもよい。
<<制御系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30を含む。また、本実施形態に係るショベル100の制御系は、圧力センサ42と、油温センサ44と、ブーム角度センサS1と、アーム角度センサS2と、バケット角度センサS3と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5と、撮像装置S6とを含む。
コントローラ30は、ショベル100に関する各種制御を行う。コントローラ30の機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、各種入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
例えば、コントローラ30は、油圧制御弁31を制御対象として、ショベル100の油圧アクチュエータ(被駆動要素)の操作に関する制御を行う。
具体的には、コントローラ30は、油圧制御弁31を制御対象として、操作装置26の操作に基づくショベル100の油圧アクチュエータ(被駆動要素)の操作に関する制御を行ってよい。
また、例えば、コントローラ30は、油圧制御弁31を制御対象として、ショベル100の油圧アクチュエータ(被駆動要素)の遠隔操作に関する制御を行ってよい。即ち、ショベル100の油圧アクチュエータ(被駆動要素)の操作には、ショベル100の外部からの油圧アクチュエータの遠隔操作が含まれてよい。
また、例えば、コントローラ30は、油圧制御弁31を制御対象として、ショベル100の自動運転機能に関する制御を行ってよい。即ち、ショベル100の油圧アクチュエータの操作には、自動運転機能に基づき出力される、ショベル100の油圧アクチュエータの操作指令が含まれてよい。
図2に示すように、コントローラ30は、油圧アクチュエータの操作に関する機能部として、パイロット圧指令変換部301と、パイロット圧指令生成部302と、パイロット圧指令切替部303と、電流指令変換部304と、電流制御部305と、異常判定部306とを含む。
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散して実現される態様であってもよい。
圧力センサ42は、油圧制御弁31の二次側の作動油の圧力、即ち、油圧制御弁31から出力される作動油の圧力(パイロット圧)を検出する。圧力センサ42の出力(検出信号)は、コントローラ30に取り込まれる。
圧力センサ42は、油圧制御弁31X(油圧制御弁31A~31F)のそれぞれに対応する圧力センサ42A~42Fを含む。以下、圧力センサ42A~42Fを包括的に、或いは、圧力センサ42A~42Fのうちの任意の一つを個別に「圧力センサ42X」と称する場合がある。
図3に示すように、圧力センサ42Xは、圧力センサ42X1,42X2を含む。
圧力センサ42X1は、油圧制御弁31X1の二次側の作動油の圧力を検出する。
圧力センサ42X2は、油圧制御弁31X2の二次側の作動油の圧力を検出する。
油温センサ44は、パイロットライン25を通じて油圧制御弁31に供給される作動油の温度を検出する。油温センサ44は、パイロットライン25の作動油の温度を検出する態様であってもよいし、タンクの作動油の温度を検出する態様であってもよい。油温センサ44の出力(検出信号)は、コントローラ30に取り込まれる。
ブーム角度センサS1は、所定基準(例えば、水平面やブーム4の可動角度範囲の両端の何れかの状態等)に対するブーム4の姿勢角度(以下、「ブーム角度」)に関する検出情報を取得する。ブーム角度センサS1は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、六軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)等を含んでよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7の伸縮位置を検出可能なシリンダセンサを含んでもよい。
アーム角度センサS2は、所定基準(例えば、ブーム4の両端の連結点間を結ぶ直線やアーム5の可動角度範囲の両端の何れかの状態等)に対するアーム5の姿勢角度(以下、「アーム角度」)に関する検出情報を取得する。アーム角度センサS2は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、六軸センサ、IMU等を含んでよい。また、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8の伸縮位置を検出可能なシリンダセンサを含んでもよい。
バケット角度センサS3は、所定基準(例えば、アーム5の両端の連結点間を結ぶ直線やバケット6の可動角度範囲の両端の何れかの状態等)に対するバケット6の姿勢角度(以下、「バケット角度」)に関する検出情報を取得する。バケット角度センサS3は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、六軸センサ、IMU等を含んでよい。また、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9の伸縮位置を検出可能なシリンダセンサを含んでもよい。
機体傾斜センサS4は、下部走行体1及び上部旋回体3を含む機体の傾斜状態に関する検出情報を取得する。機体傾斜センサS4は、例えば、上部旋回体3に搭載され、上部旋回体3の前後方向及び左右方向の傾斜角度(以下、「前後傾斜角度」及び「左右傾斜角度」)に関する検出情報を取得する。機体傾斜センサS4は、例えば、加速度センサ(傾斜センサ)、角速度センサ、六軸センサ、IMU等を含んでよい。
旋回状態センサS5は、上部旋回体3の旋回状態に関する検出情報を取得する。旋回状態センサS5は、例えば、所定基準(例えば、下部走行体1の前進方向と上部旋回体3の前方とが一致する状態)に対する上部旋回体3の旋回角度に関する検出情報を取得する。旋回状態センサS5は、例えば、ポテンショメータ、ロータリエンコーダ、レゾルバ等を含む。
また、機体傾斜センサS4の構成要素(例えば、六軸センサやIMU等)によって、上部旋回体3の傾斜角度だけでなく、旋回角度も含む上部旋回体3の姿勢状態に関する検出情報を取得可能な場合、旋回状態センサS5は、省略されてもよい。
また、例えば、ショベル100には、更に、自機の絶対位置を測位可能な測位装置が搭載されていてもよい。測位装置は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサである。これにより、ショベル100の姿勢状態の推定精度を向上させることができる。
例えば、コントローラ30は、センサS1~S5を用いて、ショベル100の姿勢状態を把握してよい。これにより、ショベル100の遠隔操作が行われる場合に、ショベル100の姿勢状態に関する情報を管理装置200等に送信し、外部のオペレータにショベル100の姿勢状態に関する情報提供を行うことができる。また、ショベル100が完全自動運転機能で動作する場合に、完全自動運転機能に関する制御装置(例えば、コントローラ30)は、ショベル100の姿勢状態を把握しながら、油圧アクチュエータに関する操作指令を出力することができる。また、ショベル100が完全自動運転機能で動作する場合に、ショベル100の姿勢状態に関する情報を管理装置200等に送信し、作業を外部で監視するユーザ(監視者)にショベル100の姿勢状態に関する情報提供を行うことができる。
また、センサS1~S5は、省略されてもよい。撮像装置S6により取得される撮像画像には、機体(上部旋回体3)から見た周囲の物体やアタッチメントの位置や形状等に関する画像情報が含まれ、要求される精度によっては、その画像情報からショベル100の姿勢状態を推定することも可能だからである。
撮像装置S6は、ショベル100の周囲の撮像し撮像画像を出力する。撮像装置S6から出力される撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。
撮像装置S6は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ等を含む。また、撮像装置S6は、撮像画像に基づき、所定の撮像範囲(画角)内におけるショベル100の周囲の物体の位置及び外形を表す三次元データ(例えば、点群データやサーフェスデータ)を取得してもよい。
また、撮像装置S6に代えて、或いは、加えて、例えば、LIDAR(Light Detecting and Ranging)、ミリ波レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、距離画像センサ等の距離センサがショベル100に搭載されてもよい。距離センサは、所定の検知範囲内におけるショベル100の周囲の物体の位置及び形状を表す三次元データを取得してよい。
図1に示すように、撮像装置S6は、例えば、キャビン10の上面前端に取り付けられ、エンドアタッチメント(バケット6)の作業範囲を含む上部旋回体3の前方の撮像画像を取得する。これにより、コントローラ30は、撮像装置S6の出力に基づき、ショベル100の前方の状況を認識することができる。また、コントローラ30は、撮像装置S6の出力(撮像画像)から認識されるショベル100の周囲の物体の位置や見え方の変化等に基づき、ショベル100の位置や上部旋回体3の旋回状態等を認識することができる。また、撮像装置S6の撮像範囲には、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント(バケット6)、即ち、アタッチメントが含まれる。これにより、コントローラ30は、撮像装置S6の出力に基づき、アタッチメントの姿勢状態(例えば、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つの姿勢角度)を認識することができる。そのため、ショベル100が遠隔操作される場合、コントローラ30は、撮像装置S6に基づく周囲画像や認識結果に関する情報を管理装置200等に送信し、外部のオペレータにショベル100(自機)やその周囲の状況に関する情報提供を行うことができる。また、ショベル100が完全自動運転機能で動作する場合に、完全自動運転機能に関する制御装置(例えば、コントローラ30)は、ショベル100の周囲の状況や自機の姿勢状態等を把握しながら、油圧アクチュエータに関する操作指令を出力することができる。また、ショベル100が完全自動運転機能で動作する場合に、コントローラ30は、撮像装置S6に基づく周囲画像や認識結果に関する情報を管理装置200等に送信し、作業を外部で監視するユーザ(監視者)にショベル100(自機)やその周囲の状況に関する情報提供を行うことができる。
また、撮像装置S6は、更に、上部旋回体3の左方、右方、及び後方のうちの少なくとも一つに関する撮像画像を取得可能に構成されてもよい。これにより、コントローラ30は、ショベル100の前方だけでなく、ショベル100の左方、右方、及び後方の状況を認識することができる。
パイロット圧指令変換部301は、アクチュエータに関する操作の内容を表す信号を油圧制御弁31の二次側のパイロット圧に関する指令(以下、「パイロット圧指令」)に変換する。アクチュエータに関する操作の内容を表す信号には、例えば、上述の如く、操作装置26から出力される操作信号、通信装置60により管理装置200から受信される遠隔操作信号、自動運転機能に関する操作指令等が含まれる。
図3に示すように、パイロット圧指令変換部301は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応するパイロット圧指令変換部301X(パイロット圧指令変換部301A~301F)を含む。
パイロット圧指令変換部301Xは、パイロット圧指令変換部301X1,301X2を含む。
パイロット圧指令変換部301X1,301X2は、それぞれ、アクチュエータに関する操作の内容を表す信号を油圧制御弁31X1,31X2の二次側のパイロット圧指令(以下、「正常時パイロット圧指令」)に変換し、出力する。
尚、図3では、パイロット圧指令変換部301X1,301X2に対して、操作装置26の操作信号が入力されているが、ショベル100の遠隔操作がされている場合、通信装置60から出力される遠隔操作信号が入力される。同様に、ショベル100が自動運転機能で動作している場合、パイロット圧指令変換部301X1,301X2には、自動運転機能に対応する操作指令が入力される。
パイロット圧指令生成部302は、油圧制御弁31に関する異常が発生した場合の油圧制御弁31のパイロット圧指令を生成する。
図3に示すように、パイロット圧指令生成部302は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応するパイロット圧指令生成部302X(パイロット圧指令生成部302A~302F)を含む。
パイロット圧指令生成部302Xは、パイロット圧指令生成部302X1,302X2を含む。
パイロット圧指令生成部302X1は、油圧制御弁31X2に関する異常が発生した場合の油圧制御弁31X1に関するパイロット圧指令(以下、「異常時パイロット圧指令」)を出力する。具体的には、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値(即ち、パイロット圧指令変換部301X1の出力値)から油圧制御弁31X2のパイロット圧偏差が減算された値である。油圧制御弁31X2のパイロット圧偏差は、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値(即ち、パイロット圧指令変換部301X2の出力値)から圧力センサ42X2の検出値が減算された値である。
パイロット圧指令生成部302X2は、油圧制御弁31X1に関する異常が発生した場合の油圧制御弁31X2に関するパイロット圧指令(異常時パイロット圧指令)を生成し出力する。具体的には、油圧制御弁31X2の異常時パイロット圧指令値は、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値(即ち、パイロット圧指令変換部301X2の出力値)から油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差が減算された値である。油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差は、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値(即ち、パイロット圧指令変換部301X1の出力値)から圧力センサ42X1の検出値が減算された値である。
パイロット圧指令切替部303は、異常判定部306の出力に基づき、油圧制御弁31のパイロット圧指令として、正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令のどちらを採用し、電流指令変換部304に出力するかを選択的に切り替える。
パイロット圧指令切替部303は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応するパイロット圧指令切替部303X(パイロット圧指令切替部303A~303F)を含む。
パイロット圧指令切替部303Xは、パイロット圧指令切替部303X1,303X2を含む。
パイロット圧指令切替部303X1は、異常判定部306X2の出力に基づき、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令のうちの何れか一方を選択し、後述の電流指令変換部304X1に出力する。具体的には、パイロット圧指令切替部303X1は、通常、正常時パイロット圧指令を選択する。また、パイロット圧指令切替部303X1は、異常判定部306X2から油圧制御弁31X2の異常を表す異常信号が出力されると、異常信号の出力が継続される間、異常時パイロット圧指令を選択する状態を維持する。また、パイロット圧指令切替部303X1は、異常判定部306X2から異常信号の出力が停止されると正常時パイロット圧を選択する状態に戻る。
パイロット圧指令切替部303X2は、異常判定部306X1の出力に基づき、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令のうちの何れか一方を選択し、後述の電流指令変換部304X2に出力する。具体的には、パイロット圧指令切替部303X2は、通常、正常時パイロット圧指令を選択する。また、パイロット圧指令切替部303X2は、異常判定部306X1から油圧制御弁31X1の異常を表す異常信号が出力されると、異常信号の出力が継続される間、異常時パイロット圧指令を選択する状態を維持する。また、パイロット圧指令切替部303X2は、異常判定部306X1から異常信号の出力が停止されると正常時パイロット圧を選択する状態に戻る。
電流指令変換部304は、パイロット圧指令切替部303から出力される油圧制御弁31のパイロット圧指令を、その指令値に相当する二次側のパイロット圧を実現するための油圧制御弁31の制御電流に関する指令(以下、「電流指令」)に変換する。
電流指令変換部304は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応する電流指令変換部304X(電流指令変換部304A~304F)を含む。
電流指令変換部304Xは、電流指令変換部304X1,304X2を含む。
電流指令変換部304X1は、パイロット圧指令切替部303X1から出力される油圧制御弁31X1のパイロット圧指令を電流指令に変換し出力する。パイロット圧指令切替部303X1から出力される異常時パイロット圧指令値は、負値の場合もありうる。そのため、電流指令変換部304X1は、パイロット圧指令値が正値である場合、パイロット圧指令値を電流指令値に変換し、パイロット圧指令値がゼロ或いは負値である場合、ゼロに規定される電流指令値に変換する。以下、電流指令変換部304X2の場合についても同様である。
電流指令変換部304X2は、パイロット圧指令切替部303X2から出力される油圧制御弁31X2のパイロット圧指令を電流指令に変換し出力する。
電流制御部305は、電流指令変換部304から出力される電流指令に相当する制御電流を油圧制御弁31に出力する。
電流制御部305は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応する電流制御部305X(電流制御部305A~305F)を含む。
電流制御部305Xは、電流制御部305X1,305X2を含む。
電流制御部305X1,305X2は、それぞれ、電流指令変換部304X1,304X2から出力される電流指令に相当する制御電流を油圧制御弁31X1,31X2に出力する。これにより、油圧制御弁31X1,31X2は、パイロット圧指令切替部303X1,303X2から出力されるパイロット圧指令値に相当するパイロット圧を出力することができる。
異常判定部306は、油圧制御弁31の異常に関する判定(例えば、油圧制御弁31に関する異常の発生の有無の判定)を行う。
異常判定部306は、油圧制御弁31A~31F(制御弁17A~17F)のそれぞれに対応する異常判定部306X(異常判定部306A~306F)を含む。
異常判定部306Xは、異常判定部306X1,306X2を含む。
異常判定部306X1は、油圧制御弁31X1の異常に関する判定を行う。異常判定部306X1は、例えば、油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差に基づき、油圧制御弁31X1の異常の有無を判定する。
具体的には、異常判定部306X1は、油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差の絶対値が所定の閾値以上の場合、油圧制御弁31X1の異常ありと判定し、所定の閾値未満の場合、油圧制御弁31X1の異常なしと判定してよい。油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差が所定の閾値より大きい場合、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値と油圧制御弁31X1の二次側の実際の圧力(圧力センサ42X1の検出値)とが乖離しており、異常状態に相当すると判断できるからである。
また、異常判定部306X1は、油圧制御弁31X1のパイロット圧偏差の絶対値が所定の閾値より大きい状態が所定時間(以下、「異常判定時間」)以上である場合に、油圧制御弁31X1の異常ありと判定し、それ以外の場合に、異常なしと判定してもよい。
例えば、図4は、正常時における油圧制御弁31の二次側のパイロット圧の指令値(パイロット圧指令値)と実際値(圧力センサ42の検出値)との間の関係の一例を示す図である。具体的には、図4は、油圧制御弁31のパイロット圧の指令値及び実際値の時間変化を表すグラフ410と、油圧制御弁31のパイロット圧偏差の時間変化を表すグラフ420とを含む。
グラフ410には、油圧制御弁31のパイロット圧の指令値、常温時の実際値(圧力センサ42の検出値)、及び低温時の実際値(圧力センサ42の検出値)のそれぞれの時間変化を表すグラフ411~413が含まれる。グラフ420には、グラフ411~413の時間変化に基づく常温時のパイロット圧偏差及び低温時のパイロット圧偏差の時間変化を表すグラフ421,422が含まれる。
図4に示すように、油圧制御弁31の正常時であっても、油圧制御弁31の二次側の実際のパイロット圧がパイロット圧指令値に完全に追従するまでにはある程度の時間(以下、「応答時間」)を要する。これに対して、異常判定部306X1は、異常判定時間を採用することで、応答時間を考慮して、より正確に油圧制御弁31X1の異常の有無を判定することができる。
異常判定時間は、一定であってよい。
例えば、図4に示すように、常温時と低温時とでは、応答時間に差が生じる。具体的には、作動油の温度が相対的に低くなると、応答時間も相対的に長くなる傾向にある。そのため、異常判定時間は、一定である場合、低温時の応答時間を考慮して相対的に大きい値に設定されることが望ましい。
また、異常判定時間は、可変されてもよい。
例えば、図5は、作動油の温度と異常判定時間との関係の一例を表す図である。
図5に示すように、異常判定時間は、油温センサ44により検出される作動油の温度(油温)が所定の温度(図中の点線)以下の領域では、温度が低くなるほど長くなるように設定されてよい。上述の如く、作動油の温度が相対的に低くなると、応答時間も相対的に長くなる傾向にあるからである。また、異常判定時間は、油温センサ44により検出される作動油の温度(油温)が所定の温度以上の領域では、一定に設定される。温度がある程度高くなると、油温による応答時間の変化が非常に小さくなるからである。これにより、作動油の温度に合わせて、異常判定時間を可変させることができる。そのため、油温が相対的に高い状況では、異常判定時間を相対的に短くすることができ、結果として、異常の有無を素早く判定することができる。
図3に戻り、また、異常判定部306X1は、圧力センサ42の出力に加えて、他のセンサの出力に基づき、油圧制御弁31X1の異常を判定してもよい。異常判定部306X1は、例えば、センサS1~S5の出力に基づき、被駆動要素の動作状態を把握し、把握した被駆動要素の動作状態が油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令と適合しているか否かによって、油圧制御弁31X1の異常を判定してもよい。
異常判定部306X1は、油圧制御弁31X1の異常あり(異常が発生した)と判定すると、油圧アクチュエータHAの動作モードを正常モード(第1の動作モードの一例)から異常モード(第2の動作モードの一例)に移行させる。本実施形態では、正常モードでは、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方だけを動作させて、対応する油圧アクチュエータを駆動し、異常モードでは、油圧制御弁31X1,31X2の両方を動作させて、対応する油圧アクチュエータを駆動する。異常判定部306X1は、所定の制御周期ごとに、油圧制御弁31X1の異常の有無を判定し、油圧制御弁31X1の異常ありの判定が継続する限り、異常モードを継続させる。一方、異常判定部306X1は、異常モードへの移行後、油圧制御弁31X1の異常なしの判定を行うと、油圧アクチュエータの動作モードを異常モードから正常モードに復帰させる。
異常判定部306X1は、制御弁17Xの操作に関する制御の動作モードを正常モードから異常モードに移行させると、異常信号をパイロット圧指令切替部303X2に出力する。そして、異常判定部306X1は、異常モードへの移行後、油圧制御弁31X1の異常ありの判定が継続する限り、制御周期ごとの異常信号の出力を継続する。これにより、上述の如く、パイロット圧指令切替部303X2は、油圧制御弁31X1の異常に応じて、異常時パイロット圧指令を選択する状態に移行し、油圧制御弁31X1の異常が継続する限り、異常時パイロット圧指令を選択し続けることができる。
異常判定部306X2は、油圧制御弁31X2の異常に関する判定を行う。異常判定部306X2は、例えば、油圧制御弁31X2のパイロット圧偏差に基づき、油圧制御弁31X2の異常の有無を判定する。
具体的には、異常判定部306X2は、上述の異常判定部306X1の場合と同様の方法を用いて、油圧制御弁31X2の異常の有無を判定してよい。
異常判定部306X2は、油圧制御弁31X2の異常あり(異常が発生した)と判定すると、コントローラ30による操作系(制御弁17Xの操作)に関する制御の動作モードを正常モードから異常モードに移行させる。異常判定部306X1は、所定の制御周期ごとに、油圧制御弁31X1の異常の有無を判定し、油圧制御弁31X1の異常ありの判定が継続する限り、異常モードを継続させる。一方、異常判定部306X1は、異常モードへの移行後、油圧制御弁31X1の異常なしの判定を行うと、異常モードから正常モードに復帰する。
異常判定部306X2は、制御弁17Xの操作に関する制御の動作モードを正常モードから異常モードに移行させると、異常信号をパイロット圧指令切替部303X1に出力する。そして、異常判定部306X2は、異常モードへの移行後、油圧制御弁31X2の異常ありの判定が継続する限り、制御周期ごとの異常信号の出力を継続する。これにより、上述の如く、パイロット圧指令切替部303X1は、油圧制御弁31X2の異常に応じて、異常時パイロット圧指令を選択する状態に移行し、油圧制御弁31X2の異常が継続する限り、異常時パイロット圧指令を選択し続けることができる。
また、異常判定部306Xは、異常判定部306X1,306X2の双方が異常信号を出力する状態になると、ショベル100を強制的に緊急停止させてよい。後述の如く、油圧制御弁31X1,31X2の何れか一方に開状態で停止し閉状態に戻らない異常(以下、「開異常」)が発生している状況で、他方を利用して、油圧アクチュエータの動作を制御する手法を実現することができないからである。異常判定部306Xは、例えば、バッテリBATとゲートロック弁25Vのソレノイドとの間の電力経路にリミットスイッチ25sと直列に配置されるリレー(以下、「緊急停止リレー」)を閉状態から開放させてよい。これにより、コントローラ30は、ゲートロックレバーの操作状態に依らず、ゲートロック弁25Vを遮断状態にすることができる。よって、パイロットライン25が遮断され、油圧制御弁31X1,31X2への作動油の供給が停止されるため、ショベル100(油圧アクチュエータ)を緊急停止させることができる。
<管理装置の構成>
図2に示すように、管理装置200は、制御装置210と、通信装置220と、入力装置230と、出力装置240とを含む。
制御装置210は、管理装置200に関する各種制御を行う。制御装置210の機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。制御装置210は、例えば、CPU、RAM等のメモリ装置、ROM等の不揮発性の補助記憶装置、及び各種入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。制御装置210は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
例えば、制御装置210は、通信装置220によりショベル100から受信される情報を取得し、データベースを構築したり、所定の加工を施して加工情報を生成したりする処理を行ってよい。
また、例えば、制御装置210は、ショベル100の遠隔操作に関する制御を行う。制御装置210は、遠隔操作装置で受け付けられるショベル100の遠隔操作に関する入力の信号を取り込み、通信装置220を用いて、操作入力の内容、即ち、ショベル100の遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号をショベル100に送信してよい。
通信装置220は、通信回線NWに接続し、管理装置200の外部(例えば、ショベル100)と通信を行う。
入力装置230は、管理装置200の管理者や作業者等からの入力を受け付け、入力(例えば、操作入力、音声入力、ジェスチャ入力等)の内容を表す信号を出力する。入力の内容を表す信号は、制御装置210に取り込まれる。
入力装置230には、例えば、遠隔操作装置が含まれてよい。これにより、管理装置200の作業者(オペレータ)は、遠隔操作装置を用いて、ショベル100の遠隔操作を行うことができる。
出力装置240は、管理装置200のユーザに向けて各種情報を出力する。
出力装置240は、例えば、視覚的な方法で管理装置200のユーザに各種情報を出力する照明装置や表示装置を含む。照明装置は、例えば、警告ランプ等を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を含む。また、出力装置240は、聴覚的な方法で管理装置200のユーザに各種情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、ブザーやスピーカ等を含む。
表示装置は、管理装置200に関する各種情報画像を表示する。表示装置は、例えば、遠隔操作用表示装置を含んでよく、遠隔操作用表示装置には、制御装置210の制御下で、ショベル100からアップロードされるショベル100の周囲の画像情報(周囲画像)等が表示されてよい。これにより、管理装置200のユーザ(オペレータ)は、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル100の周囲の画像情報を確認しながら、ショベル100の遠隔操作を行うことができる。
[油圧アクチュエータの操作に関する制御の詳細]
次に、図3に加えて、図6~図8を参照して、異常モードにおけるコントローラ30による油圧アクチュエータの操作に関する制御の詳細について説明する。
制御弁17Xを駆動する油圧制御弁31X1,31X2のうちの油圧制御弁31X2に開異常が発生した場合の油圧制御弁31X1の制御方法と、油圧制御弁31X1に開異常が発生した場合の油圧制御弁31X2の制御方法は、同じである。そのため、本例では、制御弁17Xを駆動する油圧制御弁31X1,31X2のうちの油圧制御弁31X2に開異常が発生した場合の油圧制御弁31X1の制御方法を中心に説明する。
図6~図8は、操作系に関する異常モードにおけるショベル100の動作の一例、他の例、及び更に他の例を示す図である。具体的には、図6~図8は、それぞれ、油圧制御弁31X2の開異常が発生している状況で、油圧アクチュエータHAが操作されていない場合、一の方向に操作されている場合、及び他の方向に操作されている場合のショベル100の動作の具体例を示す図である。油圧アクチュエータHAは、便宜的に油圧シリンダとして描画されるが、走行油圧モータ1ML、走行油圧モータ1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の何れかに相当する。
例えば、油圧制御弁31X2の弁体の固着や弁体へのコンタミの引っ掛かり等が発生し、油圧制御弁31X2に開異常(開状態での故障)が発生する場合がある。この場合、油圧制御弁31X2は、油圧制御弁31X2に対応する油圧アクチュエータHAの操作状態に依らず、その開度に応じたパイロット圧の作動油が出力し続ける。そのため、図6~図8に示すように、制御弁17XのポートP2には、油圧アクチュエータHAの操作と関係なく、ある程度のパイロット圧が供給され続け、制御弁17Xのスプールに対して、軸方向で他端から一端に移動させようとする力が作用し続ける。
これに対して、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、上述の如く、油圧アクチュエータの操作の内容に対応する油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値から、油圧制御弁31X2のパイロット圧偏差を減算した値に相当する。
例えば、油圧制御弁31X1に対応する油圧アクチュエータHAの操作がされていない状況では、油圧制御弁31X1,31X2の正常時パイロット圧指令値がゼロになる。そのため、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、圧力センサ42X2の検出値、即ち、異常ありと判定されている油圧制御弁31X2の二次側の実際のパイロット圧と同じ値になる。
そのため、図6に示すように、制御弁17XのポートP1には、開異常が発生している油圧制御弁31X2のポートP2に作用しているパイロット圧と同等のパイロット圧が油圧制御弁31X1から作用し、制御弁17Xのスプールは、中立位置に維持される。よって、油圧アクチュエータHAの操作状態(油圧アクチュエータHAが操作されていない状態)に合わせて、油圧アクチュエータHAの停止状態を実現することができる。
また、例えば、油圧制御弁31X1に対応する油圧アクチュエータHAが一の方向に操作されている状況では、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値は、操作量に応じた正値となり、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値は、ゼロになる。そのため、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値に、圧力センサ42X2の検出値、即ち、異常ありと判定されている油圧制御弁31X2の二次側の実際のパイロット圧を加算した値になる。
そのため、図7に示すように、制御弁17XのポートP1には、開異常が発生している油圧制御弁31X2のポートP2に作用しているパイロット圧よりも油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値の分だけ大きいパイロット圧が作用する。その結果、制御弁17Xは、スプールが油圧アクチュエータHAの操作状態(即ち、操作方向及び操作量)に合わせて、中立位置を基準とする他端側に向けて移動し、油圧アクチュエータHAに作動油を供給し且つ内部の作動油をタンクに排出させることができる。よって、油圧アクチュエータHAの操作状態に合わせて、油圧アクチュエータHAを一の方向(図中では、油圧シリンダの伸び方向)に操作量に応じた量だけ移動させることができる。
また、例えば、油圧制御弁31X1に対応する油圧アクチュエータHAが他の方向に操作されている状況では、油圧制御弁31X1の正常時パイロット圧指令値は、ゼロとなり、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値は、操作量に応じた正値となる。そのため、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、油圧制御弁31X2のパイロット偏差の正負を反転させた値になる。即ち、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値は、圧力センサ42X2の検出値(油圧制御弁32X2の二次側のパイロット圧の実際値)から油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧を減算した値になる。
そのため、図8に示すように、油圧制御弁31X1の異常時パイロット圧指令値がゼロより大きい場合、制御弁17XのポートP1には、開異常が発生している油圧制御弁31X2のポートP2に作用しているパイロット圧よりも油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値の分だけ小さいパイロット圧が作用する。その結果、制御弁17Xは、スプールが油圧アクチュエータHAの操作状態(即ち、操作方向及び操作量)に応じて、中立位置を基準とする一端側に向けて移動し、油圧アクチュエータHAに作動油を供給し且つ内部の作動油をタンクに排出させることができる。よって、油圧アクチュエータHAの操作状態に合わせて、油圧アクチュエータHAを他の方向(図中では、油圧シリンダの縮み方向)に操作量に応じた量だけ移動させることができる。
尚、油圧制御弁31X2の正常時パイロット圧指令値が圧力センサ42X2の検出値(油圧制御弁32X2の二次側のパイロット圧の実際値)より大きい状況では、異常時パイロット圧指令値が負の値となるため、ポートP1には、作動油が供給されない。また、開異常が発生している油圧制御弁31X2の二次側のパイロット圧を制御することができないため、この状況では、油圧アクチュエータHAの他の方向への移動速度は、実際の操作状態(操作量)に対応する速度よりも制限される。
[正常モード及び異常モードでの油圧制御弁の制御方法]
次に、図9を参照して、正常モード及び異常モードでの油圧制御弁31X(油圧制御弁31X1,31X2)の制御方法ついて説明する。
図9は、油圧制御弁31の制御電流と二次側の作動油の圧力(パイロット圧)との関係の一例を表す図である。
図9に示すように、本例では、油圧制御弁31は、パイロットポンプ15から供給される略一定のパイロット圧の作動油を用いて、ゼロ付近の不感帯を除き、印加される制御電流に対して比例するパイロット圧の作動油を二次側に出力することができる。
油圧制御弁31X1,31X2には、正常モードで使用可能な制御電流の範囲(以下、「通常使用範囲」)901と、異常モードで追加して使用可能な制御電流の範囲(以下、「追加使用範囲」)902が設定される。
通常使用範囲901は、制御電流がゼロから所定値Ic_1までの間の区間である。所定値Ic_1は、正常モードにおける制御電流の上限値に相当する。
追加使用範囲902は、制御電流が所定値Ic_1から最大値I_maxまでの間の区間である。最大値I_maxは、油圧制御弁31X1,31X2の制御電流の定格値に相当し、最大値I_maxの制御電流が印加されることで、油圧制御弁31X1,31X2は、パイロット圧の最大値P_maxを出力することができる。
制御電流が所定値Ic_1の場合に油圧制御弁31X1,31X2の二次側に出力される作動油のパイロット圧(所定値P_1)は、正常モードにおけるパイロット圧の上限値に相当する。
所定値P_1は、例えば、中立位置を基準として、制御弁17Xのスプールを軸方向にフルストロークさせることが可能なパイロット以上の値に設定される。これにより、正常モードにおいて、印加される制御電流が定格値よりも小さい所定値Ic_1以下の通常使用範囲901に制限される場合であっても、油圧制御弁31X1,31X2は、制御弁17Xの全開状態を実現させることができる。
異常モードにおいて、コントローラ30は、通常使用範囲901に加えて、追加使用範囲902を使用することで、油圧制御弁31X1,31X2から正常モードにおけるパイロット圧の上限値(所定値P_1)よりも大きいパイロット圧を出力させることができる。これにより、例えば、油圧制御弁31X1,31X2の何れか一方の制御弁が正常モードの上限値のパイロット圧の作動油を出力する状態で開異常になってしまっても、他方の油圧制御弁から制御弁17Xにそれより大きいパイロット圧を供給できる。そのため、他方の油圧制御弁から制御弁17Xに供給される作動油によって、開異常の一方の油圧制御弁に対応する方向とは反対方向に油圧アクチュエータHAを動かすことができる。
[正常モードから異常モードへの移行方法]
次に、図10~図12を参照して、油圧アクチュエータHAの動作モードを正常モードから異常モードに移行させる方法について説明する。
<移行方法の第1例>
図10は、コントローラ30の制御処理、具体的には、異常判定部306X1,306X2による異常モードへの移行に関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。異常判定部306X1は、油圧制御弁31X1に関する異常の発生を判定すると、本例のフローチャートを実行させる。同様に、異常判定部306X2は、油圧制御弁31X2に関する異常の発生を判定すると、本例のフローチャートを開始させる。以下、後述の図11,図12のフローチャートについても同様である。
図10に示すように、ステップS102にて、異常判定部306X1,306X2は、異常モードで使用するセンサ類(例えば、圧力センサ42X1,42X2)が正常であるか否かを判定する。センサ類の正常か異常かの判定は、任意の異常診断方法に基づき実施されてよく、前提となる異常診断処理は、ショベル100の運転中に、繰り返し行われてもよいし、ステップS102の処理に合わせて行われてもよい。異常判定部306X1,306X2は、センサ類が正常である場合、ステップS104に進み、正常でない(即ち、異常である)場合、ステップS112に進む。
ステップS104にて、異常判定部306X1,306X2は、対応する油圧アクチュエータHAの動作モードが正常モードであるか否かを判定する。異常判定部306X1,306X2は、油圧アクチュエータHAの動作モードが正常モードである場合、ステップS106に進み、既に異常モードである場合、ステップS116に進む。
ステップS106にて、異常判定部306X1,306X2は、対応する油圧アクチュエータHAの動作モードを異常モードに移行させる。
コントローラ30は、ステップS106の処理が完了すると、ステップS108に進む。
ステップS108にて、異常判定部306X1,306X2は、異常信号を出力する。具体的には、異常判定部306X1は、上述の如く、パイロット圧指令切替部303X2に異常信号を出力する。また、異常判定部306X2は、上述の如く、パイロット圧指令切替部303X1に異常信号を出力する。
コントローラ30は、ステップS108の処理が完了すると、ステップS110に進む。
ステップS110にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザに操作系に関する異常の発生の通知(以下、「異常発生通知」)、及び異常モードへの移行完了の通知(以下、「移行完了通知」)を行う。
例えば、油圧アクチュエータHAがキャビン10のオペレータにより操作装置26を通じて操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、出力装置50を用いて、ユーザに対する通知を行ってよい。
また、例えば、油圧アクチュエータHAが管理装置200のユーザ(オペレータ)により遠隔操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、通信装置60を通じて、異常発生通知及び移行完了通知に相当するデータを含む信号を管理装置200に送信してよい。これにより、管理装置200は、通信装置220によりショベル100から受信される当該信号に基づき、出力装置240を通じて、ショベル100の遠隔操作を行うユーザ(オペレータ)に対して異常発生通知及び移行完了通知を行うことができる。
また、例えば、油圧アクチュエータHAが自動運転機能に基づき動作している場合、異常判定部306X1,306X2は、通信装置60を通じて、異常発生通知及び移行完了通知に相当するデータを含む信号を管理装置200に送信してよい。これにより、管理装置200は、通信装置220によりショベル100から受信される当該信号に基づき、出力装置240を通じて、ショベル100の自動運転機能による作業を監視するユーザ(監視者)に異常発生通知及び移行完了通知を行うことができる。
コントローラ30は、ステップS110の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
また、ステップS112にて、異常判定部306X1,306X2は、緊急停止リレーを開放させて、パイロットライン25を遮断することで、ショベル100を強制停止させる。これにより、油圧アクチュエータHAに関する異常が発生し、且つ、異常モードを使用するセンサ類に異常があり、異常モードへの移行ができない状況で、ショベル100を強制停止させ、ショベル100の安全性を向上させることができる。
コントローラ30は、ステップS112の処理が完了すると、ステップS114に進む。
ステップS114にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザに異常発生通知を行う。ユーザに対する異常発生通知の実施方法は、ステップS110の場合と同様であってよい。
コントローラ30は、ステップS114の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
また、ステップS116にて、異常判定部306X1,306X2は、異常判定部306X1,306X2のそれぞれの異常信号の出力対象は、ステップS108の場合と同様である。
コントローラ30は、ステップS116の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
このように、本例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータHAに関する操作系の異常の発生に際して、自動的に(シームレスに)正常モードから移動モードに移行する。これにより、油圧アクチュエータHAの操作系の異常時における作業の継続やショベル100の退避動作への迅速な移行を支援することができる。
<移行方法の第2例>
図11は、コントローラ30の制御処理、具体的には、異常判定部306X1,306X2による異常モードへの移行に関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS202~S206は、図10のステップS102~S106と同じであるため、説明を省略する。
コントローラ30は、ステップS206の処理が完了すると、ステップS208に進む。
ステップS208にて、異常判定部306X1,306X2は、異常モードによって、油圧アクチュエータHAを強制的に停止させる。具体的には、異常判定部306X1は、圧力センサ42X2の検出値と同等のパイロット圧指令(以下、「強制停止パイロット圧指令」)を生成し、パイロット圧指令切替部303X2に出力する。そして、パイロット圧指令切替部303X2は、正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令よりも優先的に緊急停止パイロット圧指令を選択し、電流指令変換部304X2に出力する。これにより、異常判定部306X1は、油圧アクチュエータHAをその操作状態によらず強制的に停止させることができる。
具体的には、異常判定部306X1は、圧力センサ42X2の検出値と同等のパイロット圧指令(以下、「強制停止パイロット圧指令」)を生成し、パイロット圧指令切替部303X2に出力する。そして、パイロット圧指令切替部303X2は、正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令よりも優先的に緊急停止パイロット圧指令を選択し、電流指令変換部304X2に出力する。これにより、異常判定部306X1は、例えば、油圧制御弁31X1に開異常が発生している状況で、油圧アクチュエータHAをその操作状態によらず強制的に停止させることができる。
同様に、異常判定部306X2は、圧力センサ42X1の検出値と同等のパイロット圧指令(強制停止パイロット圧指令)を生成し、パイロット圧指令切替部303X1に出力する。そして、パイロット圧指令切替部303X1は、正常時パイロット圧指令及び異常時パイロット圧指令よりも優先的に緊急停止パイロット圧指令を選択し、電流指令変換部304X1に出力する。これにより、異常判定部306X1は、例えば、油圧制御弁31X2に開異常が発生している状況で、油圧アクチュエータHAをその操作状態によらず強制的に停止させることができる。
コントローラ30は、ステップS208の処理が完了すると、ステップS210に進む。
ステップS210にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS110の場合と同様、ユーザに異常発生通知及び移行完了通知を行う。
コントローラ30は、ステップS210の処理が完了すると、ステップS212に進む。
ステップS212にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS108の場合と同様、異常信号を出力する。
コントローラ30は、ステップS212の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS214,S216、及びステップS218の処理は、それぞれ、図10のステップS112,S114、及びステップS116と同じであるため、説明を省略する。
このように、本例では、コントローラ30は、操作系に関する異常の発生に際して、異常モードに移行し、異常モードによってショベル100を強制的に停止させる。これにより、ショベル100の安全性を確保しつつ、円滑な異常モードでの作業の継続や退避動作への移行を支援することができる。
<移行方法の第3例>
図12は、コントローラ30の制御処理、具体的には、異常判定部306X1,306X2による異常モードへの移行に関する制御処理の第3例を概略的に示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS302にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS104の場合と同様に、対応する油圧アクチュエータHAの動作モードが正常モードであるか否かを判定する。異常判定部306X1,306X2は、油圧アクチュエータHAの動作モードが正常モードである場合、ステップS304に進み、既に異常モードである場合、ステップS320に進む。
ステップS304にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS112の場合と同様、緊急停止リレーを開放させて、パイロットライン25を遮断することで、ショベル100を強制停止させる。
コントローラ30は、ステップS304の処理が完了すると、ステップS306に進む。
ステップS306にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザに異常発生通知を行う。
コントローラ30は、ステップS306の処理が完了すると、ステップS308に進む。
ステップS308にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS102の場合と同様、異常モードで使用するセンサ類(例えば、圧力センサ42X1,42X2)が正常であるか否かを判定する。異常判定部306X1,306X2は、センサ類が正常である場合、ステップS310に進み、正常でない(即ち、異常である)場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS310にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザに油圧アクチュエータHAの動作モードの正常モードから異常モードへの移行を許可する否かを確認するための通知(以下、「移行許否確認通知」)を行う。
例えば、油圧アクチュエータHAがキャビン10のオペレータにより操作装置26を通じて操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、出力装置50を用いて、ユーザに対する通知を行ってよい。具体的には、異常判定部306X1,306X2は、出力装置50(表示装置)に、ユーザに対する移行許否確認通知を行うための操作画面を表示させてよい。これにより、ユーザは、入力装置52を通じて、操作画面を操作し、異常モードへの移行を許可したり、拒否したりすることができる。
また、例えば、油圧アクチュエータHAが管理装置200のユーザ(オペレータ)により遠隔操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、通信装置60を通じて、移行拒否確認通知に相当するデータを含む信号を管理装置200に送信してよい。これにより、管理装置200は、通信装置220によりショベル100から受信される当該信号に基づき、出力装置240を通じて、ショベル100の遠隔操作を行うユーザ(オペレータ)に移行許否確認通知を行うことができる。具体的には、管理装置200は、表示装置(遠隔操作用表示装置)に、ユーザに対する移行許否確認通知を行うための操作画面を表示させてよい。これにより、ユーザ(オペレータ)は、入力装置230を通じて、操作画面を操作し、異常モードへの移行を許可したり、拒否したりすることができる。
また、例えば、油圧アクチュエータHAが自動運転機能に基づき動作している場合、異常判定部306X1,306X2は、通信装置60を通じて、移行許否確認通知に相当するデータを含む信号を管理装置200に送信してよい。これにより、管理装置200は、通信装置220によりショベル100から受信される当該信号に基づき、出力装置240を通じて、ショベル100の自動運転機能による作業を監視するユーザ(監視者)に移行許否確認通知を行うことができる。具体的には、管理装置200は、出力装置240(表示装置)に、ユーザに対する移行許否確認通知を行うための操作画面を表示させてよい。これにより、ユーザ(監視者)は、入力装置230を通じて、操作画面を操作し、異常モードへの移行を許可したり、拒否したりすることができる。
コントローラ30は、ステップS310の処理が完了すると、ステップS312に進む。
ステップS312にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザから異常モードへの移行を許可する入力が受け付けられたか否かを判定する。
例えば、油圧アクチュエータHAがキャビン10のオペレータにより操作装置26を通じて操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、入力装置52により異常モードへの移行を許可する入力が受け付けられたか否かを判定する。
また、例えば、油圧アクチュエータHAが管理装置200のユーザ(オペレータ)により遠隔操作されている場合、異常判定部306X1,306X2は、通信装置60を通じて、異常モードへの移行を許可する入力の受付を示す信号が受信されたか否かを判定する。また、油圧アクチュエータHAが自動運転機能に基づき動作している場合についても同様であってよい。
異常判定部306X1,306X2は、所定時間内にユーザから異常モードへの移行を許可する入力が受け付けられた場合、ステップS314に進み、それ以外の場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS314,S316は、図10のステップS106,S108の処理と同じであるため、説明を省略する。
コントローラ30は、ステップS316の処理が完了すると、ステップS318に進む。
ステップS318にて、異常判定部306X1,306X2は、ユーザに移行完了通知を行う。
コントローラ30は、ステップS318の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
一方、ステップS320にて、異常判定部306X1,306X2は、図10のステップS116の場合と同様、異常モードの継続を表す異常信号を出力する。
コントローラ30は、ステップS320の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
このように、本例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合、油圧アクチュエータHAを停止させ、ユーザに対して正常モードから異常モードへの移行の許否を確認する。そして、コントローラ30は、ユーザから移行の許可を表す入力が受け付けられる場合に、異常モードへの移行を実施する。これにより、正常モードから異常モードへの移行に際して、ユーザの意思を反映させることができる。
<移行方法のその他の例>
上述の第1例~第3例の処理は、適宜組み合わせられたり、一部が省略されたりしてもよい。
例えば、上述の第3例(図12)に、上述の第1例(図10)や第2例(図11)の処理方法(自動での異常モードへの移行)を組み合わせてもよい。具体的には、図12において、ステップS310,S312の処理が省略されてもよい。
また、例えば、上述の第1例(図10)や第2例(図11)に、上述の第3例(図12)の処理方法(ユーザに対する異常モードへの移行に関する確認)を組み合わせてもよい。具体的には、図10のステップS110の後や図11のステップS210の後に、異常モードへの移行を解除し正常モードに復帰させる否かをユーザに確認するための通知を行う処理、及び異常モードへの移行を解除する旨の入力が受け付けられたか否かの判定処理が追加されてもよい。そして、その処理の後に、異常モードへの移行を解除する旨の入力が受け付けられた場合に、油圧アクチュエータHAの動作モードを正常モードに復帰させる処理、及びショベル100を強制停止させる処理が追加されてもよい。
[作用]
次に、本実施形態に係るショベル100の作用について説明する。
本実施形態では、被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータHAは、二方向(例えば、油圧シリンダの伸び方向及び縮み方向や油圧モータの右回り方向及び左回り方向等)に動作可能に構成される。また、制御弁17Xは、スプールが中立位置を基準として一の方向及び反対の他の方向(例えば、図6~図8の左方向及び右方向)の何れかに移動することで、油圧アクチュエータHAに作動油を供給し、二方向の何れかの方向に油圧アクチュエータHAを駆動する。また、2つの油圧制御弁31X1,31X2は、油圧アクチュエータHAの操作状態に応じた圧力(パイロット圧)の作動油を、スプールの両端部(ポートP1,P2)のそれぞれに供給可能に構成される。そして、2つの油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から操作状態と乖離し且つ所定基準(例えば、ゼロ)を超える圧力の作動油が出力されている場合、何れか他方の油圧制御弁から作動油を出力させる。
これにより、例えば、油圧制御弁31X1,31X2の何れか一方の油圧制御弁に開異常が発生し、制御弁17Xの一方のポートに操作状態と乖離する圧力の作動油が供給される状況で、他方の油圧制御弁が他方のポートに同程度の圧力の作動油を供給できる。そのため、ショベル100は、油圧アクチュエータHAが駆動されている状態のままで、油圧制御弁31X1,31X2の何れか一方に開異常が発生した場合に、制御弁17Xのスプールを中立位置に維持し、油圧アクチュエータHAを停止させることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から操作状態と乖離し且つ所定基準を超える圧力の作動油が出力されている場合、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に相当する状態に近づけるように、他方の油圧制御弁から作動油を出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、他方の油圧制御弁から制御弁17Xに作動油を供給させ、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に相当する状態に近づけることができる。
また、本実施形態では、油圧アクチュエータHAが操作されていない状態で、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から所定基準を超える圧力の作動油が出力されている場合、油圧アクチュエータHAを停止させるように、他方の油圧制御弁から作動油を出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、他方の油圧制御弁を用いて、操作状態(油圧アクチュエータHAが操作されていない状態)に合わせて、油圧アクチュエータHAを停止させることができる。
また、本実施形態では、油圧アクチュエータHAが操作されている状態で、操作方向と反対の方向に油圧アクチュエータHAを動作させるように、油圧制御弁31X1,31X2のうちの一方の油圧制御弁から作動油が出力されている場合、一方の油圧制御弁よりも大きい圧力の作動油を他方の油圧制御弁から出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータHAの操作方向と反対の方向に対応する一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、他方の油圧制御弁を用いて、操作状態に合わせた油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
また、本実施形態では、油圧アクチュエータHAが操作されている状態で、操作方向に油圧アクチュエータHAを動作させるように、油圧制御弁31X1,31X2のうちの一方の油圧制御弁から操作量に相当する圧力よりも大きい圧力の作動油が出力されている場合、一方の油圧制御弁よりも小さい圧力の作動油を他方の油圧制御弁から出力させてよい。
これにより、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの操作方向に対応する一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、他方の油圧制御弁を用いて、操作状態に合わせた油圧アクチュエータHAの動作を実現させることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力の検出値と、油圧アクチュエータHAの操作状態を一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力に換算した換算値(正常時パイロット圧指令値)との差分(パイロット圧偏差の絶対値)を考慮した圧力の作動油を、他方の油圧制御弁から出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力の操作状態に対する乖離量に相当するパイロット圧偏差を考慮して、他方の油圧制御弁から作動油を出力させることができる。そのため、ショベル100は、具体的に、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に相当する状態に近づけることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から操作状態と乖離し且つ所定基準を超える圧力の作動油が出力されている場合、一方の油圧制御弁に対応する方向と反対方向に油圧アクチュエータが操作されているときに、油圧アクチュエータの操作状態(操作量)から換算される圧力より上記の差分(パイロット圧偏差の絶対値)だけ大きい圧力の作動油を他方の油圧制御弁から出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、開異常が発生している一方の油圧制御弁に対応する方向と反対方向に油圧アクチュエータHAが操作されている状況で、具体的に、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に相当する状態に合わせることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から操作状態と乖離し且つ所定基準を超える圧力の作動油が出力されている場合、一方の油圧制御弁に対応する方向に油圧アクチュエータが操作され、且つ、一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力の検出値と操作状態を一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力に換算した換算値より大きいときに、差分に相当する圧力を他方の油圧制御弁から出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、開異常が発生している一方の油圧制御弁に対応する方向に油圧アクチュエータHAが操作されている状況で、具体的に、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に相当する状態に合わせることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から操作状態と乖離し且つ所定基準を超える圧力の作動油が出力されている場合、操作状態に依らず、油圧アクチュエータHAを停止させるように、他方の油圧制御弁から作動油を出力させてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、一方の油圧制御弁に開異常が発生した場合に、他方の油圧制御弁を用いて、油圧アクチュエータHAを強制的に停止させることができる。
また、本実施形態では、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁から出力される作動油の圧力が操作状態と乖離する状態が、所定時間(異常判定時間)以上継続した場合、他方の油圧制御弁から作動油を出力させてよい。
これにより、ショベル100は、より確実に油圧制御弁31X1,31X2の異常状態の有無を判断した上で、他方の油圧制御弁から作動油を出力させることができる。
また、本実施形態では、2つの油圧制御弁31X1,31X2は、通常時に出力される作動油の圧力が出力可能な最大値P_maxよりも小さくなるように制限されてよい。
これにより、ショベル100は、例えば、油圧制御弁31X1,31X2のうちの何れか一方の油圧制御弁に開異常が発生している状況で、制限を解除することにより、他方の油圧制御弁から一方の油圧制御弁より大きい圧力を確実に出力させることができる。そのため、ショベル100は、開異常が発生している一方の油圧制御弁に対応する方向と反対方向に油圧アクチュエータHAが操作されている場合に、他方の油圧アクチュエータを用いて、油圧アクチュエータHAの動作をその操作状態に近づけることができる。
また、本実施形態では、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合、ユーザ(例えば、キャビン10のオペレータや管理装置200のユーザ)に異常に関する通知を行う。また、ショベル100は、操作系の正常時(即ち、異常の未発生時)に油圧アクチュエータHAに操作に応じた動作を行わせる正常モードから、正常モードの場合と異なる方法で油圧アクチュエータHAに操作に応じた動作を行わせる異常モードに移行する。
これにより、ショベル100は、キャビン10のオペレータや管理装置200のユーザに油圧アクチュエータの操作系に関する異常を通知した上で、油圧アクチュエータの動作モードを正常モードから異常モードに移行させることができる。
また、本実施形態では、コントローラ30は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合、ユーザに異常に関する通知を行い、油圧アクチュエータHAを停止させる。そして、コントローラ30は、操作系の正常時(即ち、異常の未発生時)に油圧アクチュエータHAに操作に応じた動作を行わせる正常モードから、正常モードの場合と異なる方法で油圧アクチュエータHAに操作に応じた動作を行わせる異常モードに移行する。
これにより、ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータHAが駆動されている状態のままで、操作系の装置(油圧制御弁31X)に異常が発生した場合に、油圧アクチュエータHAを停止させることができる。そして、ショベル100は、その上で、正常モードから異常モードに移行することができる。そのため、ショベル100の安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合、正常モードから異常モードに移行し、異常モードにより油圧アクチュエータHAを停止させてよい。
これにより、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合に、シームレスに異常モードに移行し、異常モードによって、油圧アクチュエータHAを停止させることができる。そのため、ショベル100は、停止後、既に移行済みの異常モードによって、操作状態に応じた動作をそのまま継続させることができる。
また、本実施形態では、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの操作系に関する異常が発生した場合、油圧アクチュエータHAを停止させ、ユーザに対して正常モードから異常モードへの移行の許否を確認してよい。そして、ショベル100は、ユーザから移行の許可を表す入力が受け付けられる場合に、異常モードへの移行を実施してよい。
これにより、ショベル100は、正常モードから異常モードへの移行に際して、ユーザの意思を反映させることができる。
[変形・変更]
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。具体的には、上述した実施形態で開示されるショベル100の操作系に関する構成や制御方法は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に搭載される油圧アクチュエータの操作系に適用されてもよい。同様に、上述した実施形態で開示されるショベル100の操作系に関する異常の発生時における正常モードから異常モードへの移行方法は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に搭載される油圧アクチュエータや電動アクチュエータの操作系に適用されてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、ショベル100の操作系に関する制御方法を説明したが、同様の方法は、油圧アクチュエータを駆動するスプール弁及びスプール弁を駆動する2つの油圧制御弁を含む操作系を有する他の作業機械に適用されてもよい。同様に、上述した実施形態及び変形例では、ショベル100の操作系に関する異常の発生時における正常モードから異常モードへの移行方法を説明したが、同様の方法は、他の作業機械に適用されてもよい。他の作業機械には、例えば、ブルドーザやホイルローダ等が含まれる。