JP2019023342A - 錆抑制用添加物、錆抑制方法及び錆抑制用塗料 - Google Patents

錆抑制用添加物、錆抑制方法及び錆抑制用塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】高い錆抑制効果を備えつつも汎用性が非常に高い、錆抑制方法及び錆抑制用塗料を提供する。【解決手段】アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る、錆抑制用添加物及びその関連技術を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、錆抑制用添加物、錆抑制方法及び錆抑制用塗料に関する。
従来より、金属が腐食して錆が発生しないようにするための取り組みが行われている。この取り組みとしては、錆が発生してほしくない金属基材の表面に所定の塗膜を予め形成しておくという手法が知られている。例えば特許文献1には、有機系コーティング組成物において、防錆性向上のために生体系カルシウム化合物(例えばヒドロキシアパタイト(以降、HAPと称する。))を含有させることが記載されている。
特開平5−117558号公報
先ほども述べたように、特許文献1で挙げられた防錆性は、錆が発生してほしくない金属基材の表面に対してHAPを含有する塗膜を予め形成しておくという手法にて実現されている。
その一方、本発明者らは、上記の手法以外において錆の発生を抑制することができないかについて着目した(錆の発生は腐食の一形態であるが、以降、腐食を抑制することの代表例として「錆の発生の抑制」を挙げる)。すなわち、錆の発生を抑制すべき側に塗膜を形成するのみならず、錆の発生の原因となる側(例えば後述の実施例で挙げる塩水のような錆の発生環境をもたらす物質)に手を加えることでも錆の発生を抑制できないかについて着目した。そしてそれを可能となるような手法、すなわち錆の発生を抑制すべき側のみならず錆の発生の原因となる側にも添加可能な添加剤を開発できないかについて着目した。
本発明は、高い錆抑制効果を備えつつも汎用性が非常に高い錆抑制用添加物、錆抑制方法及び錆抑制用塗料を提供することを課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、以下に示す添加物を錆の発生の原因となる側(例えば後述の実施例で挙げる塩水)に添加することにより、錆の発生を抑制すべき金属基材の表面には錆が極めて生じにくくなるという知見を得た。
しかもこの添加物は、錆の発生を抑制すべき金属基材の表面への塗料に添加することにより錆が生じにくくなるという高い汎用性を有するという知見を得た。
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る、錆抑制用添加物である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
前記アルミニウム及び前記亜鉛から選択される1種又は2種の粉末を、前記ヒドロキシアパタイト粉末に対して0.1〜20wt%配合して成る、錆抑制用添加物である。
本発明の第3の態様は、
アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る錆抑制用添加物を、錆抑制対象物に接触する液体又は固体へ添加する錆抑制方法であって、
前記ヒドロキシアパタイト粉末を前記液体又は前記固体に対して0.1〜10W/V%含有させる、錆抑制方法である。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、
前記アルミニウム及び前記亜鉛から選択される1種又は2種の粉末を、前記液体又は前記固体に対して0.01〜1W/V%含有させる、錆抑制方法である。
本発明の第5の態様は、第1又は第2の態様に記載の錆抑制用添加物を含む塗料であって、
前記ヒドロキシアパタイト粉末を当該塗料全体に対して0.1〜10W/V%含有して成る、錆抑制用塗料である。
本発明によれば、高い錆抑制効果を備えつつも汎用性が非常に高い、錆抑制方法及び錆抑制用塗料を提供できる。
実施例1における錆の発生の結果を示す写真である。 実施例2における錆の発生の結果を示す写真である。 実施例3における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例1における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例2における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例3における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例4における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例5における錆の発生の結果を示す写真である。 実施例4における錆の発生の結果を示す写真である。 実施例5における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例6における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例7における錆の発生の結果を示す写真である。 比較例8における錆の発生の結果を示す写真である。 実施例6(塗料)における錆の発生の結果を示す写真である。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。 比較例9(塗料)における錆の発生の結果を示す写真である。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。 比較例10(塗料)における錆の発生の結果を示す写真である。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。 比較例11(塗料)における錆の発生の結果を示す写真である。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明を行う。本明細書において「〜」は所定の数値以上かつ所定の数値以下を指す。
(錆抑制用添加物)
本実施形態の錆抑制用添加物は、アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイトCa10(PO(OH)粉末(以降、単にHAP粉末と称する。)とを配合して成るものである。
なお、本明細書における「アルミニウム」とは、Al(単体Alが95wt(重量)%以上、好ましくは99wt%以上)単体を指す。「亜鉛」についても同様であり、Zn(純度95wt%以上、好ましくは99wt%以上)単体を指す。別の言い方をすると、AlやZnが塩となっているものは含まない。
また、本明細書における「配合」とは、その名の通り、2種以上のものを混ぜ合わせることを意味するが、「合成」を意味するものではない。詳しく言うと、本明細書における「配合」とは、アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、HAP粉末とを化学的に反応させて合成するものではなく、単に粉末同士を物理的に混ぜ合わせた状態を意味する。
なお、錆抑制用添加物は、アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末を、HAP粉末に対して0.1〜20wt%配合して成るものとするのが好ましい。上記1種又は2種の粉末の添加量がHAP粉末に対して0.1wt%以上ならば十分に本発明の効果を奏し、上記1種又は2種の粉末をHAP粉末に対して20wt%を超えて添加しても錆抑制効果は変わらない。より好ましくは1〜15wt%、更に好ましくは1.25〜12.5wt%配合するのが良い。
(錆抑制用添加物の適用例)
以下、上記の錆抑制用添加物を適用する例について説明する。本発明の知見としても述べたように、適用用途としては以下のものが存在する。
1.錆の発生の原因となる側(腐食寄与物側、例:塩水、融雪剤)への添加
2.錆の発生を抑制すべき側(腐食抑制物側、例:金属基材の表面への塗膜形成用塗料)への添加
(錆の発生の原因となる側への添加)
本実施形態の特徴となるのは、被添加物であって錆の発生の原因となる側(例:塩水)に対して上記の錆抑制用添加物を添加することにより、無垢の金属基材(すなわち表面に防錆用塗膜を形成していないもの)を塩水に浸漬させたとしても錆の発生を著しく抑制することが可能である。従来技術においては錆の発生を抑制すべき側に塗膜を形成して錆の発生を抑制することは知られているが、錆の発生の原因となる側に対して手を加えるという発想自体が見受けられない。本発明の技術的思想は、この今までにない発想に基づいてなされたものである。
なお、具体的な作製手法としては、単に、錆の発生の原因となる側(例:塩水)に対して錆抑制用添加物を添加するだけでよい。場合によっては撹拌処理等を行えばよい。
つまり、錆を発生させ得る液体(塩水)に対し、アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る錆抑制用添加物を添加する。こうして塩水を錆抑制液へと変化させることが可能となる。
なお、腐食寄与物側としては塩水のような液体以外に固体も挙げられる。例えば塩化カルシウムを含有する融雪剤(凍結防止剤、凍結抑制剤とも言う。)に上記の錆抑制用添加物を添加しておき、車に雪が接触したときに錆が生じにくくするといった用途に適用しても構わない。この場合は被添加物は融雪剤ということになり、融雪剤と錆抑制用添加物とを含有するものが錆抑制物となる。なお、車やガードレールなどの鉄製品の錆は、塩化カルシウムが水に溶けて、それが鉄製品に接触することにより生じる。この錆の発生を塩化カルシウムの粉末と錆抑制用添加物粉末とを混合しておけば有効に抑制出来る。
また、HAP粉末は錆抑制物全体に対して0.1〜10W/V%含有されているのが好ましい。なお、本明細書におけるW/V%は、錆抑制物全体(例えば塩水)の体積100mlまたは100cmに対する重量(g)のことを指す。
また、HAP粉末が0.1W/V%以上ならば十分に本発明の効果を奏し、10W/V%を超えてHAP粉末を添加しても錆抑制効果は変わらない。より好ましくは1〜10W/V%配合するのが良い。
錆の発生の原因となる側は液体に限定されるものではない。錆の発生の原因となる側となる物質に対し、上記の錆抑制用添加物を添加して差し支えない。また、錆抑制方法、錆抑制物の製造方法としても本例には技術的意義がある。例えば錆抑制方法(あるいは錆抑制物の製造方法)としては、上記の錆抑制用添加物を、錆抑制対象物に接触する液体又は固体へ添加する錆抑制方法(錆抑制物の製造方法)であって、HAP粉末を上記の液体(例:塩水)及び固体(例:融雪剤)の1種又は2種(すなわち液体と固体の混在状態)に対して好ましくは0.1〜10W/V%含有させることが挙げられる。なお、ここで言う「錆抑制対象物に接触する液体又は固体へ添加する」の意味は、当該液体又は固体が錆抑制対象物に接触している状態において上記の錆抑制用添加物を当該液体又は固体へと添加することのみならず、錆抑制対象物に接触する前の当該液体又は固体に対して上記の錆抑制用添加物を添加することを含む。
(錆の発生を抑制すべき側への添加)
本実施形態の錆抑制用添加物は、錆発生抑制対象物であるところの金属基材の表面への塗膜形成用塗料(被添加物)に添加しても構わないという非常に高い汎用性を有している。
その際の金属基材としては、使用される状況に応じて任意のものを使用しても構わない。例えば該金属基材としては鋼材等が挙げられる。さらに、例えばステンレス材、アルミニウム合金材、異種材料をクラッドしたクラッド鋼材など、種々の材料に対して効果を有する。もちろん、これらは一例であって本発明の技術的思想はこれらに限定されるものではない。
また、塗料としては、公知のものを使用しても構わない。例えば、エポキシ系やフタル酸系の樹脂を含有する塗料の他、ウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料及びフッ素樹脂塗料などに対して上記の錆抑制用添加物を添加したうえで、該金属基材の主表面に対して塗膜を形成してもよい。
また、塗料に対し、上記以外の公知の成分(例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、防錆材、レべリング剤、消泡剤、つや消し剤、光安定剤、顔料、抗菌剤、殺虫剤、殺菌剤等々)を、用途に応じて適宜添加しても構わない。
なお、具体的な作製手法としては、単に、錆の発生を抑制すべき側に対して錆抑制用添加物を添加するだけでよい。場合によっては撹拌処理等を行えばよい。このようにして、上記の塗料を錆抑制用塗料へと変化させることが可能となる。
その後の手順としては、錆が発生し得る物質(例:金属基材)の主表面に対し、アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る錆抑制用添加物を含有した塗料を塗布し、塗膜を形成する。錆の抑制方法、錆抑制用塗料の製造方法としても本例には技術的意義がある。その際の具体的な塗膜形成手法は公知の手法を採用しても構わない。
なお、HAP粉末は錆抑制用塗料全体に対して0.1〜10W/V%含有されているのが好ましい。HAP粉末が0.1W/V%以上ならば十分に本発明の効果を奏し、10W/V%を超えてHAP粉末を添加しても錆抑制効果は変わらない。より好ましくは1〜10W/V%配合する。
また、HAP粉末は平均粒径(SEM径)が0.1〜30μmであることが好ましい。アルミニウム粉末は平均粒径(SEM径)が0.1〜30μmであることが好ましく、亜鉛粉末は平均粒径(SEM径)が0.1〜30μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満では用途によっては塗料の粘性が高くなり過ぎるおそれがあり好ましくない。また30μmを超えると表面積が小さくなり、十分な錆抑制効果を得られないおそれがあるので好ましくない。取扱性や塗膜の平滑性の観点からは平均粒径1〜20μmであることがより好ましい。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、錆の発生の原因となる側(塩水:5wt%NaCl)に添加する錆抑制用添加物としては、以下のものの混合物を使用した。
・HAP粉末(焼成魚骨製)
(平均粒径(SEM径)10μm、配合量は塩水100mlに対して8g、すなわち8W/V%となるように設定)
・アルミニウム粉末
(平均粒径(SEM径)20μm、配合量は塩水100mlに対して0.5g、すなわち0.5W/V%、HAP粉末に対しては0.5g/8g×100=6.25wt%となるように設定)
そして、上記の塩水に対し、上記の錆抑制用添加物を添加した。そのうえで、錆発生抑制対象物として鉄板(縦×横×幅;20mm×20mm×2mm)を該塩水に7日間浸漬させた上で引き上げた。その際の該鉄板の様子を示す写真が図1である。
また、鉄板の腐食がどの程度進んだかを定量的に把握すべく、該鉄板引き上げ後の浸漬液を0.5mL採取した後、硝酸0.5mL、水4.0mLを加え、1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で10倍希釈した。そして希釈溶液中の鉄イオン濃度をICP発光分析装置(ICP−7510;島津製作所製)で測定した。その結果、該希釈溶液中の鉄イオン濃度は0.1mg/L以下であった。
(実施例2)
アルミニウム粉末の配合量を、塩水100mlに対して1g(すなわち1W/V%、HAP粉末に対しては12.5wt%)となるように設定したことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その結果を図2に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は0.1mg/L以下であった。
(実施例3)
アルミニウム粉末の配合量を、塩水100mlに対して0.1g(すなわち0.1W/V%、HAP粉末に対しては1.25wt%)となるように設定したことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その結果を図3に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は0.3mg/Lであった。
(比較例1)
塩水に対し、実施例1の錆抑制用添加物においてHAP粉末を配合しなかったことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その観察結果を図4に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は5.7mg/Lであった。
(比較例2)
塩水に対し、実施例2の錆抑制用添加物においてHAP粉末を配合しなかったことを除けば実施例2と同様に試験を行った。その観察結果を図5に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は9.3mg/Lであった。
(比較例3)
塩水に対し、実施例3の錆抑制用添加物においてHAP粉末を配合しなかったことを除けば実施例3と同様に試験を行った。その観察結果を図6に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は5.0mg/Lであった。
(比較例4)
塩水に対し、実施例1の錆抑制用添加物においてアルミニウム粉末を配合しなかったことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その観察結果を図7に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は2.2mg/Lであった。
(比較例5)
塩水に対し、実施例1の錆抑制用添加物を配合しなかった(HAP粉末、アルミニウム粉末は共に配合無しである)ことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その観察結果を図8に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は42.8mg/Lであった。
(実施例4)
実施例1の錆抑制用添加物においてアルミニウム粉末の代わりに亜鉛粉末(平均粒径(SEM径)20μm、配合量は塩水100mlに対して1gすなわち1W/V%(HAP粉末に対しては12.5wt%)となるように設定)を用いたことを除けば実施例1と同様に試験を行った。その観察結果を図9に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は0.2mg/Lであった。
(検討その1)
図1〜3、9に示すように、実施例1〜4の場合、ほとんど錆は発生していなかった。また、鉄板引き上げ後の浸漬液を調べたところ、希釈浸漬液中の鉄イオン濃度は極めて小さく、鉄板には腐食がほとんど生じていないことが明らかとなった。
その一方、比較例1〜3、5(図4〜6、8)すなわちHAP粉末無配合だと、鉄板の主表面の大部分にて錆の発生が確認できた。なお、希釈浸漬液中の鉄イオン濃度を調べたところ、鉄板において腐食が非常に進行していたことが明らかとなった。
また、比較例4(図7)すなわちアルミニウム粉末無配合だと、局所的に大きな錆の発生が確認できた。なお、比較例4においては鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は2.2mg/Lであり、実施例1〜4に比べて腐食が進行していたことが明らかとなった。
以上の結果、本実施例の添加物を、錆の発生の原因となる側(例えば塩水)に添加することにより、錆の発生を抑制すべき金属基材(錆発生抑制対象物)の表面には錆が著しく生じにくくなることが確認できた。
先ほどの例では鉄板を塩水に7日間浸漬させた例について述べた。以下の例は、更に長い90日間浸漬させた例である。
(実施例5)
実施例5においては、実施例1の諸条件(再掲すると、HAP粉末を8W/V%、アルミニウム粉末を0.5W/V%含有させた、5wt%NaClを使用)を採用したうえで鉄板を塩水に90日間浸漬させた。その結果を図10に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は50.0mg/Lであった。
(比較例6)
比較例6においては、比較例1の諸条件(HAP粉末の配合無し)を採用したうえで鉄板を塩水に90日間浸漬させた。その結果を図11に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は466.7mg/Lであった。
(比較例7)
比較例7においては、比較例4の諸条件(アルミニウム粉末の配合無し)を採用したうえで鉄板を塩水に90日間浸漬させた。その結果を図12に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は266.7mg/Lであった。
(比較例8)
比較例8においては、比較例5の諸条件(HAP粉末、アルミニウム粉末は共に配合無し)を採用したうえで鉄板を塩水に90日間浸漬させた。その結果を図13に示す。なお、鉄板引き上げ後の塩水中の鉄イオン濃度は583.3mg/Lであった。
(検討その2)
図10に示すように、実施例5の場合、90日間という長期間塩水に鉄板を浸漬させたにもかかわらず、ほとんど錆は発生していなかった。また、鉄板引き上げ後の浸漬液を調べたところ、希釈浸漬液中の鉄イオン濃度は比較例6〜8に比べて極めて小さく、鉄板には腐食がほとんど生じていないことが明らかとなった。
その一方、比較例6〜8(図11〜13)すなわちHAP粉末、アルミニウム粉末の少なくともいずれかが欠けている場合だと、鉄板の主表面全体ないしその多くの部分にて錆の発生が確認できた。なお、希釈浸漬液中の鉄イオン濃度を調べたところ、鉄板において腐食が非常に進行していたことが明らかとなった。
なお、実施例5の塩水中の鉄イオン濃度の値50.0mg/Lは、HAP粉末無し且つアルミニウム粉末有りの比較例6の値466.7mg/L、HAP粉末有り且つアルミニウム粉末無しの比較例7の値266.7mg/Lに比べ、著しく低く抑えられている。これは、HAP粉末とアルミニウム粉末との組み合わせによって、単なる相加効果ではなく相乗効果が発現されていることを示している。
以上の結果、本実施例の添加物を、錆の発生の原因となる側(例えば塩水)に添加することにより、90日間という長期間であっても、錆の発生を抑制すべき金属基材(錆発生抑制対象物)の表面には錆が著しく生じにくくなることが確認できた。
先ほどまでの例は、
1.錆の発生の原因となる側(腐食寄与物側、例:塩水、融雪剤)への添加
についてのものである。
その一方、以降に述べる例は、
2.錆の発生を抑制すべき側(腐食抑制物側、例:金属基材の表面への塗膜形成用塗料)への添加
についてのものである。以降、特記の無い内容は、実施例1と同様である。
(実施例6)
フタル酸塗料(ブラックシャーシ)に対し、実施例1と同様の錆抑制用添加物(すなわちHAP粉末を8W/V%、アルミニウム粉末を0.5W/V%)を配合し、錆抑制用塗料を作製した。その後、実施例1と同様の鉄板の前面に該錆抑制用塗料を塗布し、乾燥させた。乾燥後、塩水噴霧装置を用いて塗布後鉄板に対して塩水の噴霧を850時間行った。その際の塗布後鉄板の様子を示す写真が図14であり、(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。
(比較例9)
フタル酸塗料(ブラックシャーシ)に対し、実施例1の錆抑制用添加物においてHAP粉末を配合しなかったことを除けば実施例6と同様に試験を行った。その観察結果を図15に示す。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。
(比較例10)
フタル酸塗料(ブラックシャーシ)に対し、実施例1の錆抑制用添加物においてアルミニウム粉末を配合しなかったことを除けば実施例6と同様に試験を行った。その観察結果を図16に示す。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。
(比較例11)
フタル酸塗料(ブラックシャーシ)に対し、実施例1の錆抑制用添加物を配合しなかった(HAP粉末、アルミニウム粉末は共に配合無しである)ことを除けば実施例6と同様に試験を行った。その観察結果を図17に示す。(a)は塗布後鉄板の平面図であり、(b)〜(e)は塗布後鉄板の四方の側面図である。
(検討その3)
実施例1の添加材を、錆の発生を抑制すべき側(金属基材の表面への塗膜形成用塗料)への添加し、錆抑制用塗料を作製し、鉄板に塗布した場合であっても、図14に示すように、850時間という長期間塩水が噴霧されたにもかかわらず、ほとんど錆は発生していなかった。
その一方、比較例9〜11(図15〜17)すなわちHAP粉末、アルミニウム粉末の少なくともいずれかが欠けている場合だと、鉄板の主表面全体ないしその多くの部分にて錆の発生が確認できた。
以上の結果、本実施例の添加物を、錆の発生を抑制すべき側(金属基材の表面への塗膜形成用塗料)に添加して作製した錆抑制用塗料を鉄板に塗布した場合であっても、錆発生抑制効果を発現させられることが確認できた。

Claims (5)

  1. アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る、錆抑制用添加物。
  2. 前記アルミニウム及び前記亜鉛から選択される1種又は2種の粉末を、前記ヒドロキシアパタイト粉末に対して0.1〜20wt%配合して成る、請求項1に記載の錆抑制用添加物。
  3. アルミニウム及び亜鉛から選択される1種又は2種の粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末とを配合して成る錆抑制用添加物を、錆抑制対象物に接触する液体又は固体へ添加する錆抑制方法であって、
    前記ヒドロキシアパタイト粉末を前記液体又は前記固体に対して0.1〜10W/V%含有させる、錆抑制方法。
  4. 前記アルミニウム及び前記亜鉛から選択される1種又は2種の粉末を、前記液体又は前記固体に対して0.01〜1W/V%含有させる、請求項3に記載の錆抑制方法。
  5. 請求項1又は2に記載の錆抑制用添加物を含む塗料であって、
    前記ヒドロキシアパタイト粉末を当該塗料全体に対して0.1〜10W/V%含有して成る、錆抑制用塗料。
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