以下に、本発明の実施の形態による撮像装置の一例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態による撮像装置の一例についてその外観を示す斜視図である。そして、図1(a)は撮像光学系(撮影レンズユニット)を取り外して正面からみた斜視図であり、図1(b)は背面からみた斜視図である。
図示の撮像装置は、例えば、一眼レフタイプのデジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)100であり、カメラ100の背面側には表示部28が配置されている。表示部28には画像および各種情報が表示される。カメラ100の上面にはファインダー外表示部43が配置されており、ファインダー外表示部43には、例えば、シャッター速度および絞り値をはじめとするカメラ100の様々な設定値が表示される。
シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部材である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部材である。端子カバー40は外部機器とカメラ100とを接続する接続ケーブルなどのコネクタ(図示せず)を保護するカバーである。メイン電子ダイヤル71は操作部70に備えられた回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71を回すことによって、シャッター速度および絞り値などの設定値の変更などを行うことができる。
電源スイッチ72はカメラ100の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は操作部70に備えられる回転操作部材であり、選択枠の移動および画像送りなどを行う際に用いられる。十字キー74は操作部70に備えられ、上、下、左、および右部分の各々を押し込み可能な4方向キーである。そして、十字キー74の押した部分に応じた操作を行うことができる。
SETボタン75は操作部70に備えられた押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。マルチコントローラー76は操作部70に備えられ、上、下、左、右、右上、右下、左上、および左下の計8方向のキー操作を行うことができる。
LVボタン80は操作部70に備えられ、メニューボタンにおいてライブビュー(LV)のONおよびOFFを切り替えるボタンである。動画撮影モードにおいては、LVボタン80は動画撮影(記録)の開始および停止の指示に用いられる。
拡大ボタン77は操作部70に備えられ、ライブビュー表示において拡大モードのON、OFF、および拡大モード中の拡大率の変更を行うための操作ボタンである。さらに、拡大ボタン77は、再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を大きくするためのボタンとして機能する。縮小ボタン78は操作部70に備えられ、拡大した再生画像の拡大率を小さくし、表示された画像を縮小させるためのボタンである。
再生ボタン79は操作部70に備えられ、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下すると、再生モードに移行し、記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。
クイックリターンミラー12は、後述するシステム制御部50の制御によって、アクチュエータ(図示せず)によってアップダウンされる。通信端子10はカメラ100が撮影レンズユニットと通信を行うための通信端子である。接眼ファインダー16は撮影レンズユニットを介してフォーカシングスクリーン13に結像した光学像を観察する際に用いられる覗き込み型のファインダーである。そして、光学像の観察によってユーザーは焦点および構図を確認することができる。
蓋202は記録媒体200が格納されるスロットを覆うための蓋である。グリップ部90は、ユーザーがカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状に成形された保持部である。
図2は、図1に示すカメラの一例についてその構成を撮影レンズユニットともに示すブロック図である。
撮影レンズユニット(以下レンズユニットと呼ぶ)150は、カメラ100に交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズユニット150にはレンズ103が備えられており、通常、レンズ103は複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示されている。通信端子6はレンズユニット150がカメラ100と通信を行うための通信端子であり、通信端子10はカメラ100がレンズユニット150と通信を行うための通信端子である。
レンズユニット150は通信端子6および10を介してシステム制御部50と通信を行う。そして、レンズシステム制御回路4は絞り駆動回路2によって絞り1を駆動制御し、さらに、AF駆動回路3によってレンズ103の位置を光軸に沿って変位させて焦点を合わせる。
カメラ100には、AEセンサー17が備えられており、AEセンサー17は、レンズユニット150を介して被写体の輝度を測光する。焦点検出部11はレンズ103のデフォーカス量を検出して、システム制御部50にデフォーカス量情報として出力する。システム制御部50は当該デフォーカス量情報に基づいてレンズユニット150を制御して、位相差AF制御を行う。
クイックリターンミラー(以下単にミラーと呼ぶ)12は、露光、ライブビュー撮影、および動画撮影の際に、システム制御部50の制御下で、アクチュエータ(図示せず)によってアップダウンされる。ミラー12は、レンズ103から入射した光学像を接眼ファインダー16側および撮像部22側に選択的に切替える。通常状態では、ミラー12は接眼ファインダー16に光学像を導く位置に配置される。一方、撮影の際又はライブビュー表示の際には、ミラー12は上方に跳ね上げられて、光学像が撮像部22に導かれる。つまり、撮影の際又はライブビュー表示の際には、ミラー12はミラーアップされてレンズユニット150の光路から待避する。
なお、ミラー12はその中央部において光の一部を透過可能なハーフミラーであり、光束の一部が焦点検出を行うための焦点検出部11に入射する。
撮影者は、ペンタプリズム14および接眼ファインダー16を介して、フォーカシングスクリーン13を観察し、レンズユニット150を介してフォーカシングスクリーン13に結像した光学像の焦点および構図の確認を行うことができる。
シャッター101は、システム制御部50の制御下で、撮像部22の露光時間を制御するフォーカルプレーンシャッターである。
撮像部22はCCD又はCMOSイメージセンサーなどの撮像素子を備えており、撮像素子によって光学像に応じた電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換器23は、撮像部22の出力であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
画像処理部24は、A/D変換器23の出力であるデジタル信号又はメモリ制御部15から送られる画像データに対して所定の画素補間処理及び縮小処理などのリサイズ処理を行うとともに色変換処理を行う。
また、画像処理部24は、撮像の結果得られた画像データを用いて所定の演算処理を行う。そして、システム制御部50は得られた演算結果に基づいて露光制御および測距制御を行う。これによって、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。さらに、画像処理部24は、撮像の結果得られた画像データを用いて所定の演算処理を行って、その演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
A/D変換器23の出力であるデジタル信号は、画像処理部24およびメモリ制御部15を介して、或いはメモリ制御部15を介してメモリ32に画像データとして書き込まれる。メモリ32には、撮像の結果得られた画像データが格納されるとともに、表示部28に表示するための表示用画像データが格納される。メモリ32は、所定枚数の静止画像、所定時間の動画像、および音声を格納するための十分な記憶容量を備えている。
メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器19は、メモリ32に格納されている画像表示用画像データをアナログ信号に変換して表示部28に送る。これによって、メモリ32に書き込まれた表示用画像データに応じた画像が表示部28に表示される。
表示部28は、例えば、LCDであり、メモリ32に蓄積された表示用画像データをD/A変換器19においてアナログ変換して表示部28に逐次転送して表示することによって、電子ビューファインダーとして機能する。これによって、スルー画像表示(ライブビュー表示)を行うことができる。
ファインダー内表示部41は、光学ファインダー内で視認可能である。そして、ファインダー内表示部41には、ファインダー内表示部駆動回路42によって現在オートフォーカスが行われている測距点を示す枠(AF枠)およびカメラ100の設定状態を表すアイコンなどが表示される。
ファインダー外表示部43には、ファインダー外表示部駆動回路44によって、シャッター速度および絞り値をはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
不揮発性メモリ56は、電気的に消去および記録可能なメモリであり、例えば、EEPROMが用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数およびプログラムなどが記憶される。なお、このプログラムとは、例えば、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムである。
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサー又は回路を有する制御部であって、カメラ100全体を制御する。システム制御部50は、前述の不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することによって、後述する各処理を行う。
システムメモリ52として、例えば、RAMが用いられる。システムメモリ52には、システム制御部50の動作用の定数、変数、および不揮発性メモリ56から読み出したプログラムなどが展開される。なお、システム制御部50はメモリ32、D/A変換器19、および表示部28などを制御することによって表示制御を行う。
システムタイマー53は各種制御に用いる時間および内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
モード切替スイッチ60、第1シャッタースイッチ62、第2シャッタースイッチ64、および操作部70は、システム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作部材である。
モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画撮影モード、および再生モードなどのいずれかに切り替える際に用いられる。静止画記録モードに含まれるモードとして、例えば、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、およびシャッター速度優先モード(Tvモード)がある。さらには、静止画記録モードに含まれるモードとして、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、およびカスタムモードなどがある。
モード切替スイッチ60を用いて、上述のモードのいずれかに直接切り替えることができる。また、モード切替スイッチ60によって撮影モードの一覧画面に一旦切り換えた後、表示された複数のモードのいずれかを選択して、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれる。
第1シャッタースイッチ62は、カメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、所謂半押し(撮影準備指示)でONとなって、第1のシャッタースイッチ信号SW1がONとなる。第1のシャッタースイッチ信号SW1に応答して、システム制御部50は、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、およびEF(フラッシュプリ発光)処理などを開始する。
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、所謂全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2がONとなる。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2に応答して、撮像部22の信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理を開始する。
操作部70に備えられた各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどによって、場面ごとに適宜機能が割り当てられて各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとして、例えば、メニューボタン、終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、および属性変更ボタンがある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定を行うためのメニュー画面が表示部28に表示される。撮影者は、表示部28に表示されたメニュー画面と上下左右の4方向ボタンおよびSETボタンを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
操作部70は、ユーザーからの操作を受け付ける入力部として用いられる。操作部70には、少なくとも次の操作部材が含まれる。例えば、操作部70は、シャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71、電源スイッチ72、およびサブ電子ダイヤル73を有している。さらに、操作部70は、十字キー74、SETボタン75、マルチコントローラー76LVボタン80、拡大ボタン77、縮小ボタン78、および再生ボタン79を有している。
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、および通電するブロックを切り替えるスイッチ回路などを備えており、電池の装着の有無、電池の種類、および電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果およびシステム制御部50の指示に基づいて、DC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部に供給する。
電源部30は、アルカリ電池又はリチウム電池等の一次電池、NiCd電池、NiMH電池、又はLi電池などの二次電池、そして、ACアダプターなどを備えている。記録媒体I/F18は、メモリカード又はハードディスクなどの記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、例えば、メモリカードであり、記録媒体200には、撮影によって得られた画像データが記録される。メモリカードは、例えば、半導体メモリによって構成される。
通信部54は、無線又は有線ケーブルによって外部機器と接続され、映像信号および音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)又はインターネットと接続可能である。通信部54は撮像部22による撮像の結果得られた画像データ(スルー画像を含む)および記録媒体200に記録された画像データを外部機器に送信する。さらに、通信部54は、外部機器から画像データおよびその他の各種情報を受信する。
姿勢検知部55は重力方向に対するカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、システム制御部50は、撮像部22による撮像の結果得られた画像がカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか又は縦に構えて撮影された画像であるかを判別する。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を画像ファイルに付加するとともに、当該姿勢に応じて画像を回転して記録する。なお、姿勢検知部55として、加速度センサー又はジャイロセンサーなどが用いられる。
操作部70には、表示部28に対する接触を検知可能なタッチパネル70aが含まれている。なお、タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば,タッチパネル70aの光透過率を表示部28における表示を妨げないようにして、タッチパネル70aを表示部28の表示面に取り付ける。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と表示部28の表示座標とを対応付ける。これによって、恰もユーザーが表示部28に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を構成することができる。
システム制御部50はタッチパネル70aに対する次のタッチ操作およびタッチ状態を検出する。
指又はペンで新たにタッチパネル70aをタッチ操作したこと。つまり、タッチ操作の開始(以下タッチダウン(Touch−Down)という)。
タッチパネル70aを指又はペンでタッチしている状態(以下タッチオン(Touch−On)という)。
タッチパネル70aを指又はペンによってタッチ状態で移動すること(以下タッチムーブ(Touch−Move)と呼ぶ)。
タッチパネル70aにタッチしていた指又はペンを離したこと。つまり、タッチ操作の終了(以下タッチアップ(Touch−Up)という)。
タッチパネル70aになにもタッチしていない状態(以下タッチオフ(Touch−Off)という)。
システム制御部50はタッチダウンを検出すると同時にタッチオンであることを検出する。タッチダウンの後,タッチアップが検出されない限り、システム制御部50はタッチオンの検出を継続する。なお、タッチムーブが検出されるのはタッチオンが検出されている状態である。
タッチオンを検出しても、タッチ位置が移動していなければ、システム制御部50はタッチムーブを検出しない。タッチアップを検出すると、システム制御部50はタッチオフとする。
これらのタッチ操作および状態およびタッチパネル70aがタッチされた位置座標は内部バスを介してシステム制御部50に送られる。そして、システム制御部50は送られた情報に基づいてタッチパネル70aでどのような操作(タッチ操作)が行なわれたかを検出する。
タッチムーブについては、システム制御部50は位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上で移動する指又はペンの移動方向を、タッチパネル70a上の垂直成分および水平成分毎に検出する。システム制御部50は所定距離以上をタッチムーブしたことを検出すると、スライド操作(ドラッグ)が行なわれたと判定する。
なお、タッチパネル70aに指をタッチした状態である程度の距離だけ素早く動かして離す操作をフリックと呼ぶ。言い替えると、フリックはタッチパネル70aを指ではじくように素早くなぞる操作である。
所定距離以上を所定速度以上でタッチムーブしたことを検出して、その後タッチアップを検出すると、システム制御部50はフリックが行なわれたと判定する(ドラッグに続いてフリックがあったものと判定する)。
複数箇所(例えば、2点)を同時にタッチ操作して、互いのタッチ位置を近づける操作をピンチインと呼び、互いのタッチ位置を遠ざける操作をピンチアウトと呼ぶ。ピンチアウトおよびピンチインを総称してピンチ操作(又は単にピンチ)と呼ぶ。
タッチパネル70aとして、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、および光センサー方式などの様々な方式のタッチパネルが用いられる。なお、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式およびタッチパネルに対する指又はペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれかの方式を用いるようにすればよい。
図3は、図2に示すカメラで行われる被写体の追尾を説明するための図である。
図3には、接眼ファインダー16からみた被写体の構図が示されており、図中上から下に向う順に示すように被写体Aが移動するものとする。
図示のように、接眼ファインダー16からは複数の追尾候補枠301を観察することができる。図示の例では、合計5×7個の追尾候補枠301が構図に対して均等に配置されている。さらに、追尾待機中においては、接眼ファインダー16において追尾開始枠302を観察することができる。そして、追尾中においは、接眼ファインダー16において追尾枠303を観察することができる。なお、これら追尾候補枠301、追尾開始枠302、および追尾枠302は、システム制御部50の制御下で、ファインダー内表示部駆動回路42によって、ファインダー内表示部41に表示される。
システム制御部50は、第1のシャッタースイッチ信号SW1がONとなると、つまり、追尾開始操作が行われると、追尾対象である被写体Aが位置する追尾候補枠301の1つを追尾開始枠302とする。ここでは、被写体Aの顔領域の中心に位置する追尾候補枠301が追尾開始枠302とされる。
システム制御部50は、追尾開始枠302に基づいて画面(つまり、構図)における被写体の位置を検出する。そして、システム制御部50は被写体の移動に応じて追尾枠303を移動させる。図3に示す例では、システム制御部50は追尾開始枠302によって被写体Aの位置を特定して、被写体Aの移動に応じて追尾枠303を移動させる。ユーザーは追尾枠303によって追尾中の被写体を確認することができる。
図4は、図2に示すカメラで行われる追尾開始枠の変更を説明するための図である。
図3で説明したように、追尾待機中においては、接眼ファインダー16において追尾候補枠301および追尾開始枠302を観察することができる。そして、追尾開始枠302は追尾待機中においてユーザー操作によって設定される。システム制御部50はタッチパネル70aにおけるタッチ操作又はマルチコントローラー(操作部材)76による上、下、左、右、右上、右下、左上、および左下の計8方向のキー操作を受け付ける。
ユーザーはタッチパネル70a又は操作部材76の操作に応じて、複数の追尾候補枠301から1つの追尾開始枠302を選択することができる.そして、システム制御部50は追尾開始枠302に係る情報をシステムメモリ52に記憶する。これによって、システム制御部50は次の追尾動作における追尾開始枠としても用いることができる。
図5は、図2に示すカメラで行われる追尾枠の変更を説明するための図である。
図3で説明したように、追尾中においては、接眼ファインダー16において追尾候補枠301および追尾枠303を観察することができる。そして、追尾開始枠303は追尾中において、つまり、追尾開始から追尾終了までの間においてユーザー操作によって設定することができる。システム制御部50はタッチパネル70aにおけるタッチ操作又はマルチコントローラー(操作部材)76によるキー操作を受け付ける。
ユーザーはタッチパネル70a又は操作部材76の操作に応じて、複数の追尾候補枠301から1つの追尾候補枠301を選択して、当該選択した追尾候補枠301を追尾枠303に変更することができる.そして、システム制御部50は追尾開始枠302に係る情報を一時的にシステムメモリ52に記憶する。つまり、システム制御部50は1回の追尾動作が終了するまで当該情報をシステムメモリ52に記憶する。システム制御部50は追尾動作が終了すると当該情報を消去して次の追尾動作では追尾枠に係る情報を用いない。
図6は、図2に示すカメラで行われる1回目の追尾動作(第1の追尾指示による追尾)から2回目の追尾動作(第2の追尾指示による追尾)までの流れを説明するための図である。
図6においては、接眼ファインダー16から観察した被写体の構図が示されており、一回目の追尾待機中において、最初、追尾開始枠302は画面の中央部に位置している。この状態で、システム制御部50は、ユーザーによるタッチパネル70aのタッチ操作(ここでは、左方向の操作)を2回受け付けて、当初の追尾開始枠302から二つ左に位置する追尾候補枠301を追尾開始枠302に変更する。この結果、追尾開始枠302は被写体Aの顔領域に位置することになる。
ユーザーがシャッターボタン61を操作して、SW1をONとすると(第1の追尾指示があると)、システム制御部50は追尾開始枠302を追尾枠303として追尾を行う(1回目の追尾中)。この際、システム制御部50は追尾開始枠302が位置する被写体Aに関する情報を取得して,当該情報に基づいて被写体Aを追尾する。
被写体が右側に移動すると、システム制御部50は被写体Aの移動に合わせて追尾枠303を移動させる。この際、画面の右側に存在する被写体Bと被写体Aとが交差すると、システム制御部50は追尾枠303を被写体Aから被写体Bに移動させようとする(乗り移り)。
このため、ユーザーは、前述のようにして追尾枠303の変更を行う。図示の例では、システム制御部50は、ユーザーによるタッチパネル70aのタッチ操作(ここでは、左方向の操作)を受け付けて、当初の追尾枠303から一つ左に位置する追尾候補枠301を追尾枠303に変更する。この結果、追尾枠303は被写体Aの顔領域に位置することになる。
このように、ユーザーが意図しない被写体Bの追尾が行われる状態になると、ユーザーはタッチパネル70a(又は操作部材76)を用いて追尾枠303の変更を行うことができる。
ユーザーがシャッターボタン61を操作して、SW2をONとすると、システム制御部50は撮像部22による撮像を行う。撮像の際には、ユーザーは接眼ファインダー16を介して構図の確認をすることができない。そして、シャッターボタン61の操作が解除されて、SW1およびSW2がOFFとなると(第1の追尾指示が終了すると)、つまり、SW1およびSW2が開放されると、システム制御部50は回目の撮影を終了する。
その後、ユーザーが再びシャッターボタン61を操作して、SW1をONとすると(第2の追尾指示)、2回目の追尾が行われる。2回目の追尾が行われる場合には、まずシステム制御部50は追尾開始枠の変更を受け付ける追尾待機中となる。図示の例では、接眼ファインダー16によって被写体CおよびDが観察されており、追尾開始枠302が被写体Cの顔領域に位置づけられている。この場合、システム制御部50は、1回目の追尾終了後の追尾開始枠、つまり、ここでは2回目の追尾における追尾開始枠を、1回目の追尾の際にユーザーが設定した追尾開始枠と同一の位置とする。
なお、1回目の追尾の際に、ユーザー操作によって追尾枠303を変更したが、追尾中の追尾枠303の変更は、2回目の追尾開始枠の位置に反映されない。また、接眼ファインダー16で観察される画面においては、追尾候補枠301、追尾開始枠302、および追尾枠303を区別可能に表示する。図示の例では、追尾開始枠302は二重線で囲まれた枠として表示され、追尾枠303は太線で囲まれた枠として表示される。これによって、ユーザーは追尾開始位置を容易に確認することができるとともに、現在の追尾位置を容易に確認することができる。
図7は、図2に示すカメラで行われる追尾動作を説明するためのフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理は、システム制御部50が不揮発メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することによって行われる。
追尾動作を開始すると、S701では、システム制御部50はシステムメモリ52に記憶した追尾開始位置に基づいて追尾開始枠の位置を決定する。
S702では、システム制御部50は、タッチパネル70aに対してタッチダウンが行われたか否かを判定する。ダッチダウンが行われた場合はS703に進み、そうでない場合はS706に進む。
S703では、システム制御部50は、タッチパネル70aにおいてタッチムーブが行われたか否かを判定する。ダッチムーブが行われた場合はS704に進み、そうでない場合はS706に進む。
S704では、システム制御部50は、タッチムーブの方向に応じて追尾開始位置、つまり、追尾開始枠302を移動する。S705では,システム制御部50は、追尾開始位置をシステムメモリ52に記憶する。
S706では,システム制御部50は,タッチパネル70aにおいてタッチアップが行われたか否かを判定する。ダッチアップが行われた場合はS707に進み、そうでない場合はS703に戻る。
S707では、システム制御部50は、SW1がONとなったか否かを判定する。SW1がONとなった場合はS708に進み、そうでない場合はS701に戻る。
S708では、システム制御部50は、追尾開始位置、つまり、追尾開始枠302が位置する被写体に係る情報(被写体情報)を取得する。S709では、システム制御部50は、S708で取得した被写体情報に基づいて追尾開始位置から被写体の追尾を開始する。
S710では、システム制御部50は、タッチパネル70aにおいてタッチダウンが行われたか否かを判定する。ダッチダウンが行われた場合はS711に進み、そうでない場合はS714に進む。
S711では、システム制御部50は追尾枠303の色を変更する(つまり、追尾枠の表示形態を変更する)。これによって、システム制御部50は追尾枠303を移動可能である旨をユーザーに報知する。
S712では、システム制御部50は、タッチパネル70aにおいてタッチムーブが行われたか否かを判定する。ダッチムーブが行われた場合はS713に進み、そうでない場合はS714に進む。
S713では、システム制御部50は、タッチムーブの方向に応じて追尾位置(つまり、追尾枠303)を移動する。
S714では、システム制御部50は、SW1がONであるか否かを判定する。SW1がONである場合はS715に進み、そうでない場合はS701に戻る。
S715では、システム制御部50は、SW2がONとなったか否かを判定する。SW2がONとなった場合はS716に進み、そうでない場合はS710に戻る。
S716では、システム制御部50は撮像部22を用いて撮像処理を行う。そして、システム制御部50は追尾動作を終了する。
このようにして、追尾開始前においてはタッチパネル70aにおけるタッチ操作によって追尾開始枠を変更することができる。さらに、追尾中においては追尾枠の変更を行うことができる。そして、追尾開始前に変更された追尾開始枠をシステムメモリに記憶して、次の撮影の際の追尾開始枠に設定することができる。
このように、本発明の第1の実施形態では、追尾開始枠の設定および変更については、その設定および変更を次の追尾に反映させる。これによって、同一のシーンを複数回にわたって撮影する際には、2回目の追尾を1回目の追尾と同一の追尾開始位置から開始することができ、デジタル一眼レフカメラの操作性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態によるカメラの一例について説明する。なお、第2の実施形態によるカメラの構成は、図1および図2に示すカメラと同様である。
図8は、本発明の第2の実施形態によるカメラを被写体に向けて構えた状態を示す図である。
撮影の際には、ユーザーは接眼ファインダー16を覗きつつ、被写体801が存在する構図を確認するとともに、被写体801を追尾するための追尾動作を確認する。前述のように、シャッターボタン61が半押しされてSW1がONとなると、追尾が行われる。一方、SW1がOFFの状態では、追尾待機中となる。
追尾動作中においては、例えば、タッチパネル70aを用いて追尾枠の変更を行うことができるが、シャッターボタン61およびタッチパネル70aの配置を考慮すると、SW1をONとしつつ、タッチパネル70aをタッチ操作することは困難である。つまり、タッチパネル70aをタッチ操作する際には、SW1が解除、つまり、OFF状態となる可能性が高く、SW1が解除されれば追尾動作終了となって、追尾待機中の状態となってしまう。
そこで、第2の実施形態においては、SW1保持中(SW1ON)にタッチパネル70aを用いて追尾枠の変更が行われている際には、誤操作などによってSW1がOFFとなってもSW1解除を無効として追尾動作を継続する。これによって、追尾動作中におけるタッチパネルの操作性を向上させることができる。
図9は、追尾枠を変更する操作(変更操作)を行った際に追尾動作終了となる事態が生じる可能性があるシーンを示す図である。
いま、一回目の追尾動作が行われている場合に、被写体の乗り移りが生じたとする。そして、ユーザーはタッチパネル70aを用いて追尾枠303の変更を行ったものとする。この際、誤ってSW1を解除してしまうと(SW1OFF)、1回目の追尾動作が終了する。
2回目の追尾に移行した際には、再度追尾を行うに当たっては、ユーザーは1回目の追尾終了の際の追尾枠303の位置で2回目の追尾を開始したい。ところが、前述のように、追尾枠の位置は次の追尾には反映されず、2回目の追尾開始枠302が1回目の追尾開始枠と同一の位置に設定される。つまり、追尾枠303の変更は受け付けられず、新たに追尾待機中となる。
このため、2回目の追尾動作において、1回目の追尾終了時点と同一の位置に追尾開始枠を移動させるため、図示の例では、ユーザーはタッチパネルによって左向きの操作を2回、下向きの操作を1回行い、追尾開始枠302を変更させる必要がある。
上述のようにして、追尾開始枠302を移動させた後、ユーザーはSW1をONとして2回目の追尾動作を開始する。この場合、既に被写体が別の位置に移動していることがあり、この場合には、ユーザーはシャッターチャンスを逃してしまうことになる。
このように、SW1をONとした状態でタッチパネルの操作を行う場合には、SW1の誤操作に起因してシャッターチャンスを逃してしまうことがある。
図10は、本発明の第2の実施形態によるカメラで行われる追尾動作を説明するための図である。
いま、一回目の追尾動作が行われている場合に、被写体の乗り移りが生じたとする。この結果、ユーザーはタッチパネル70aを用いて追尾枠303の変更を行う。この際、ユーザーは誤ってSW1を解除してしまったとする(SW1OFF)。
ここでは、システム制御部50は、タッチパネル70aを操作している際に、SW1が解除されても追尾動作を継続する。この結果、システム制御部50は追尾枠の変更を受け付ける。その後、ユーザーは誤操作に気づいて、SW1をONすれば、システム制御部550は、タッチパネルの操作が終了してもそのまま追尾動作を継続する。
図11は、本発明の第2の実施形態によるカメラで行われる追尾動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図示のフローチャートに係る処理は、システム制御部50が不揮発メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することによって行われる。また、図11に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートのステップと同一のステップについては同一の参照符号を付して説明を省略する。
S714において、SW1がONであると、システム制御部50はS715の処理を行う。一方、SW1がONでない場合にはS1117に進む。
S1117では、システム制御部50は、タッチパネル70aにおいてタッチアップが行われたか否かを判定する。ダッチアップが行われた場合はS701に戻り、そうでない場合はS712に戻る。
このようにして、追尾中において、例えば、タッチパネルの操作に起因してSW1がOFFとなっても、追尾動作が継続される。従って,シャッターボタン操作のミスを防止してタッチパネルの操作性を向上することができる。
このように、本発明の第2の実施形態では、追尾動作中において追尾指示がOFFとなったとしても、タッチパネル操作中であれば追尾動作を継続することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態によるカメラの一例について説明する。なお、第3の実施形態によるカメラの構成は、図1および図2に示すカメラと同様である。
図12は、本発明の第3の実施形態によるカメラにおける追尾動作の一例を説明するための図である。
前述のように、追尾待機中の際には、追尾開始枠302を変更することができる。追尾開始枠302を設定した後、SW1をONすると、システム制御部50は追尾動作を開始する。追尾動作中においては、システム制御部50は前述のように、被写体情報に基づいて追尾を行い、ユーザー操作に応じて追尾枠303を変更する。
図示の例では、SW1がONになると、システム制御部50は追尾動作を開始するとともに、所謂コンティニアスAFによる被写体追従を行う。なお、被写体追従については、SW1がONとなると行われるが、追尾中においてタッチパネルの操作中にSW1がOFFとされても、システム制御部50は被写体追従を行う。
このように、本発明の第3の実施形態では、追尾動作に合わせて、被写体追従を行うようにしている。
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
また、上述した実施形態においては、本発明を一眼連カメラなどの撮像装置に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、撮像部を備え、被写体を追尾する電子機器であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末、タブレット端末、スマートフォンなどに適用可能である。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。