JP2019021563A - リチウムイオン二次電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電中に、副反応生成物により、リチウムイオン二次電池の容量低下が起こる。【解決手段】負極、正極、セパレータおよび非水電解質を有するリチウムイオン二次電池において、負極が、作動平均電位が0.6V(vs Li/Li+)以上2.0V(vs Li/Li+)未満である活物質を含み、負極がアルミニウムからなる集電体表面に負極活物質層を形成し、負極活物質層が、リチウムイオンと非水電解質との副反応生成物を含み、副反応生成物の割合が、負極に含まれるリチウムイオン総量に対して0.1mol%以上20mol%未満である時に、リチウムイオン二次電池の電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持する。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池およびその製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯機器を始めとし、ハイブリッド自動車や電気自動車だけでなく、家庭用蓄電にも用いられている。
リチウムイオン二次電池を繰り返し使用すると、リチウムの析出により、非水電解質中のリチウムイオンが減少し、結果的に容量低下が起こる。
この問題を解決するために、SOC30%以下の過放電状態で放置することにより、析出したリチウムをリチウムイオンにして、非水電解質へ戻すことで容量を回復する方法が開発されている(特許文献1)。
特開2011−175935
しかし、負極活物質にカーボンを用いたリチウムイオン二次電池を過放電すると、負極集電体である銅が溶出してショートし、火災が発生する危険性ある。また、カーボンよりも高電位で作動する負極活物質を用いると安全性は向上するものの、容量低下が起こり、その要因が、負極で起こるリチウムイオンと非水電解質との副反応により生じた、副反応生成物であるということを我々は見出した。
本発明は、前記の問題を解決するためになされたものである。その目的は、作動平均電位がカーボンよりも高い負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極に含まれる副反応生成物が要因となって低下した容量を回復することが可能なリチウムイオン二次電池を提供することである。
すなわち、本発明は、
負極、正極、セパレータおよび非水電解質を有するリチウムイオン二次電池において、
負極が、アルミニウムからなる集電体、および、負極活物質層を有し、
前記負極活物質層が、作動平均電位0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満である活物質と、
リチウムイオンと非水電解質との副反応生成物を含み、
当該副反応生成物の割合が、負極のリチウムイオン総量に対して0.1mol%以上20mol%未満である時に、リチウムイオン二次電池の電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持することを特徴とする、リチウムイオン二次電池である。
本発明によれば、作動平均電位がカーボンよりも高い負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極における副反応による副反応生成物の割合が、0.1mol%以上20mol%未満の時に、リチウムイオン二次電池の電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持することで、副反応生成物を分解させ、その結果、容量および出力を回復させることが可能になる。
本発明のリチウムイオン二次電池の断面図である。
本発明の一実施形態について、以下に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池>
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、正極2と負極1と、正極2と負極1との間に挟持されたセパレータ3とが封入された封入体8を有する。このような封入体8内において、正極2、負極1、及びセパレータ3の少なくともその表面や内部には、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が存在する。
前記正極2および負極1には、少なくともその電極毎に端子7が個別に接続されており、各端子7は、少なくとも封入体8の外側に、端子延在部9を有する。即ち、リチウムイオン二次電池10の封入体8からは、各端子7の端子延在部9として、少なくとも、負極端子71、正極端子72の端子の一部が、その外部に延出している。
リチウムイオン二次電池10は、負極/セパレータ/正極からなる積層体を、捲回あるいはセパレータを介して複数積層し、その他必要な部材を取り付ける等して電極群を形成した後に、当該電極群をラミネートフィルム等の外装に封入するのが好ましい。
<正極および負極>
正極2および負極1は、集電体上に、充放電に寄与する電極反応が起こる正極または負極の活物質を含む活物質層が形成されている構成を有する。当該部材が端子と接続されたものを正極部材および負極部材と称する。
正極部材および負極部材は、電池の内部抵抗を小さくする観点から導電性の端子を接続したものが好ましい。集電体および端子を構成する部材は、同一でも異なっていてもよい。
正極部材または負極部材は、少なくとも、その正極および負極と、各電極の端子一部とが封入体に封入され、端子の一部(端子延在部)が封入体の外側に引き出された状態であり、この端子延在部が外部機器と電気接続される。
正極または負極において、活物質層と非水電解質とが接する部分の面積(以下、電極反応面積という)は、充放電に寄与する電極反応の均一性を高めて電池の信頼性を向上させコンパクトにする観点から、正極毎または負極毎の最大面積/最小面積を1以上1.3以下にすることが好ましく、より好ましくは正極毎または負極毎の電極反応面積を同一にすることである。電極反応面積の制御は、従来周知の技術を使用すればよい。例えば、スラリー塗工の塗工幅を制御することによって行うことができる。
正極毎および負極毎の単位面積当たりの電気容量は、電極反応の均一性を高めるという観点から、最大電気容量/最小電気容量が1以上1.3以下であることが好ましい。より好ましくは正極毎または負極毎にその単位面積当たりの電気容量を同一にすることである。電気容量の制御は、従来周知の技術を使用すればよく、例えば、単位面積あたりの活物質層重量で制御できる。
また、正極毎および負極毎の単位面積当たりの電気容量が同一の場合、正極の単位面積当たりの電気容量をA、負極の単位面積当たりの電気容量をBとしたときに、B/Aは、正極での電極反応と負極での電極反応とのバランスをとることで信頼性の高い電池となる観点から、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.8≦B/A≦1.3 (1)
B/Aが0.8未満の場合、負極の電気容量が正極よりも極端に小さくなり、過充電しやすくなるため、負極の電位がリチウムの析出電位になり、電池がショートする可能性がある。一方、B/Aが1.3より大きい場合、電池反応に関与しない過剰な負極活物質が副反応を起こす可能性があり、副反応に伴うガス発生の可能性がある。
また、正極電気容量を負極電気容量より一定範囲小さくすることで充放電に伴う電圧変化を正極電位変化で規制すること、即ち、正極規制にすることが可能となるため、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
1.0≦B/A≦1.3 (2)
正極規制にすることで、正極の電圧を厳密に制御できるため、リチウムイオン二次電池を長期使用した場合であっても、正極活物質の構造劣化の原因となる過充電を抑制することができる。
さらに、正極毎または負極毎の電極反応面が同一、かつ、正極毎または負極毎の単位面積当たりの電気容量が同一(A=B)の場合、負極と対向する正極活物質層の面積をC、正極と対向する負極活物質層の面積をDとしたとき、D/Cは、正極での電極反応と負極での電極反応とのバランスをとることで信頼性の高い電池となる観点から、下記式(3)を満たすことが好ましい。
0.8≦D/C≦1.2 (3)
D/Cが0.8未満の場合、負極の電気容量が正極よりも極端に小さいために過充電が起こりやすくなり、負極の電位がリチウムの析出電位となって電池がショートする可能性がある。一方、D/Cが1.2より大きい場合、正極と対向せず電池反応に関与しない負極部分が多く存在することとなるため、副反応がより起こりやすくなる。
さらに、D/Cは1.0以上であること、即ち下記式(4)を満たすことがより好ましい。
1.0≦D/C≦1.2 (4)
D/Cを1.0以上とすることで、正極規制とすることが容易となり、より安全性に優れた電池となる。
正極毎または負極毎の1cm2あたりの電気容量は、電池の容量を大きくしつつその出力密度も大きく、バランスをとる観点から、電極反応面積当たり0.5mAh以上4.0mAh以下であることが好ましく、正極は、3.0mAh以下であることがより好ましい。電気容量が小さいと、所望する容量の電池とするために、サイズが大きくなる場合があり、一方、電気容量を大きくしようとすると、出力密度は小さくなる傾向がある。各電極の単位面積あたりの電気容量は、各電極作製後リチウム金属を対極とした半電池を作製し、充放電試験を行うことで得られる。
正極及び負極は、高性能かつコンパクトな電池とするため、集電体の両面には、同極となる活物質層が形成されていることがより好ましい。
<活物質層>
活物質層を構成する材料は、少なくとも活物質を含み、導電助材やバインダーが更に含まれていてもよい。これらの材料を含む混合物を集電体上に活物質層として形成することによって、正極または負極とする。
活物質層は、製造容易の観点から、前記混合物と溶媒とを用いてスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後、溶媒を除去することにより形成することが好ましい。
スラリーの作製は、特に限定されないが、混合物に溶媒を加えて作製してもよいし、前記混合物および溶媒を同時に混合して作製してもよい。混合物と溶媒を均一に混合できることから、自転公転ミキサー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ジェットミル、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましく、作業容易の観点から、自転公転ミキサー、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましい。
溶媒としては、非水溶媒あるいは水であることが好ましい。非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
スラリーの固形分濃度は、その粘度を前記活物質層の形成に適した値とする観点から、30wt%以上80wt%以下とすることが好ましい。
集電体への活物質層形成は、スラリーをドクターブレード、ダイコータ、コンマコータ等により塗布した後に、溶剤を除去する方法、あるいはスプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法が好ましい。
溶媒を除去する方法は、オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が簡単であり、好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては空気、不活性ガス、真空状態などが挙げられる。また、溶媒を除去する温度は、活物質層の材料の分解や劣化を防止しつつ、溶媒除去に要する時間を短縮する観点から、60℃以上300℃以下で行うことが好ましく、80℃以上250℃以下で行うことがより好ましく、230℃以下で行うことがさらに好ましい。
活物質層形成後に、所望の厚み、密度まで圧延することが好ましい。圧延方法としては、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いて行うことができる。
活物質層の厚みは、圧延後に10μm以上200μm以下となるように形成することが好ましい。10μm未満では、十分な電気容量を得ることが難しく、200μmより厚い場合は、十分な出力密度を得ることが難しい場合がある。
<正極活物質層>
正極活物質層の密度は、圧延を実施することにより、2.0g/cm3以上とすることがより好ましく、2.2g/cm3以上、3.5g/cm3以下がさらに好ましく、2.5g/cm3以上、3.0g/cm3以下とすることが特に好ましい。
<負極活物質層>
負極活物質層の密度は、圧延等を実施することにより、0.8g/cm3以上とすることがより好ましく、1.0g/cm3以上、2.3g/cm3以下がさらに好ましく、1.5g/cm3以上、2.2g/cm3以下とすることが特に好ましい。
<活物質>
正極または負極の活物質は、一般に粉体として供給されている。この活物質の粉体を用いてスラリーを調製する際、導電助剤やバインダーと容易に混合できる観点から、活物質の粉体の嵩密度は、0.2g/cm3以上、2.8g/cm3以下であることが好ましく、2.5g/cm3以下であることがより好ましい。
<正極活物質>
正極活物質は、リチウム遷移金属化合物であれば特に限定されないが、コバルト酸リチウムに代表される層状岩塩型化合物、リン酸鉄リチウムに代表されるオリビン型化合物、およびスピネル型マンガン酸リチウムがより好ましい。構造安定性に優れる点から、スピネル型マンガン酸リチウムがさらに好ましい。
スピネル型マンガン酸リチウムとは、Li1+xyMn2xy4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2族から13族かつ第3周期または第4周期に属する元素)で表される化合物を指す。
Li1+xyMn2xy4のMは、マンガン溶出などが起こりにくい点、および長期保管時の安定性向上の効果が大きい点から、Al、Mg、Ti、Zn、Co、Fe、NiおよびCrのいずれかが好ましく、Al、Mg、Ti、Zn、NiおよびCrがより好ましく、Al、Mg、Ti、NiおよびZnがさらに好ましい。
Li1+xyMn2xy4においてx=0の場合は、正極活物質の電気容量が減少する傾向がある。また、x>0.2の場合は炭酸リチウムなどの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。y=0の場合は、正極活物質の安定性が低くなる傾向がある。また、y>0.6の場合はMの酸化物などの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。
前記層状岩塩型化合物とは、層状岩塩型構造を有する化合物のことを指し、特に限定されないが、LiMeO2(Meは遷移金属)で表されるリチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoy2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNixCoyMn1-y-z2、x+y+z=1)、リチウムを過剰にした例えばLiMnO3およびLi2MnO3とLixMeO2との固溶体等が挙げられるが、長期間使用による構造劣化がより少ないことからLiCoO2、LiNi0.8Co0.15Al0.052、LiNixCoyMn1-y-z2(x+y+z=1)が好ましい。
前記オリビン型化合物とは、オリビン型構造を有する化合物のことを指し、特に限定されないが、LiMePO4(Meは遷移金属)で表されるLiFePO4、LiMn1-xFexPO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiNiPO4等が挙げられるが、長期間の使用による構造劣化が少ないことからLiFePO4、LiMn1-xFexPO4がより好ましい。
正極活物質は、前記スピネル型マンガン酸リチウムと、コバルト酸リチウムのように、2種類以上の活物質を含んでいてもよく、ポリエチレングリコール等の有機物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機物、および炭素材料などで表面をコーティングされていてもよい。
<負極活物質>
負極活物質は、作動平均電位が0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満である活物質を主成分として用いることを要する。
ここで言う作動平均電位とは、負極活物質層で挿入および脱離されるリチウムイオン量が最大となるプラトー領域の平均電位を指す。このような活物質にはチタン化合物、および2,6−ナフタレンジカルボン酸のように、脱プロトン化後にリチウムと共に、所謂Intercalated Metal Organic Frameworkを形成する有機化合物が好ましい。
ここで言う主成分とは、負極活物質全重量に対して50重量%を超える成分として含むことを言う。また、主成分活物質を80重量%以上、かつ、主成分以外の負極活物質が20重量%より少なく含むことが好ましい。
負極活物質は、リチウムイオンの挿入および脱離時に、体積変化の小さいことが好ましい。作動平均電位での体積変化率が±5%以内であることがより好ましい。体積変化率は充電および放電状態の活物質の粉末X線回折データから、リートベルト解析を行うことで求められる。
前記チタン化合物としては、チタン酸化合物、チタン酸リチウム、二酸化チタンなどが好ましい。これらのチタン化合物は、1種類で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われていてもよい。
チタン酸化合物としては、H2Ti37,H2Ti49,H2Ti511,H2Ti613,H2Ti1225であることが好ましく、よりH2Ti1225が好ましい。
チタン酸リチウムとしては、スピネル構造、ラムズデライト型であることが好ましく、分子式としてLi4Ti512で表されるものが好ましい。スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入および脱離における体積変化が小さいためである。
前記二酸化チタンとしては、アナターゼ型、ブロンズ型(TiO2(B))であることが好ましく、リチウムの挿入および脱離が効率よく進むことから、ブロンズ型であることがより好ましい。また、アナターゼ型とブロンズ型の混合物を用いても良い。
特に好ましくは、チタン化合物をLi4Ti512であり、安全性および安定性に、より優れた負極を備えることが可能となる。
<導電助剤>
活物質層は、電子導電性を向上する点から、導電助剤を含有することが好ましい。
正極活物質層に含まれる導電助剤としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。
負極活物質層に含まれる導電助材としては、特に限定されないが、金属材料や炭素材料を用いることができる。
前記炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられ、これら炭素材料は1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記金属材料としては、銅またはニッケルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
活物質層に含まれる導電助材の量は、正極活物質層においては、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上10重量部以下である。負極の活物質層においては、負極活物質100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上30重量部以下、出力とエネルギー密度のバランスが良いことから、より好ましくは1重量部以上10重量部以下である。
<バインダー>
活物質層を集電体に結着させる点から、活物質層はバインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
バインダーの量は、活物質100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下とすることが好ましく、結着力とエネルギー密度とをバランスさせる観点から、2重量部以上15重量部以下がより好ましい。
バインダーは、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、又はテトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
<集電体>
集電体は、導電性を有し、かつ、各電極の芯材として用いることができるものであればよく、安価かつ簡便に入手可能であるシート又はフィルム状の集電箔を用いることが好ましい。
正極の集電体の材料としては、アルミニウムや、アルミニウムの合金、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に正極の電位で反応しない金属を被覆したもの等を用いることができるが、安価かつ簡便に入手できることから、アルミニウムが好ましい。特に、正極に用いる集電体の材料は、安定性の観点から、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることがより好ましい。
負極の集電体としては、アルミニウムを用いる。本発明のリチウムイオン二次電池は、電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持するため、銅は酸化されてしまうので使用困難である。
集電体の厚みは、特に限定されないが、経済的観点から10μm以上100μm以下であることが好ましい。
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極との間に設置され、これらの間の電子やホールの伝導を阻止しつつ、これらの間のリチウムイオンの伝導を仲介する媒体としての機能を有し、少なくとも電子やホールの伝導性を有さないものであれば、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよい。
セパレータは電気絶縁材料であることを要し、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、PET及びそれらを2種類以上複合したものからなる織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。実用性の観点から、セルロース不職布、ポリプロピレン、ポリエチレン及びPETからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびセルロース不職布である。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いるセパレータと各電極との面積比は特に限定されないが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
1.0≦F/E≦1.5 (5)
(但し、Eは正極および負極のいずれかの面積の大きい電極の面積、Fはセパレータの面積を示す)。
F/Eが1未満である場合は、正極と負極とが接触し、ショートする可能性があり、1.5より大きい場合は外装に要する体積が大きくなり、電池をコンパクトにできないためその出力密度が低下する場合がある。
セパレータの厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満の場合、正極と負極とが接触する可能性があり、100μmより厚い場合は電池の内部抵抗が高くなる可能性がある。経済性、取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
<非水電解質>
非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解質、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質などを用いることができる。また、難燃剤、安定化剤などの添加剤が微量含まれていてもよい。
非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池の作動平均電位において溶媒の分解が起こりにくいことから非プロトン性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒を含む非プロトン性溶媒であることがより好ましい。前記非プロトン性極性溶媒が環状非プロトン性溶媒および鎖状非プロトン性溶媒からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。特に好ましくは、環状非プロトン性極性溶媒および鎖状非プロトン性極性溶媒を含むことである。
環状非プロトン性極性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示される。前記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状非プロトン性極性溶媒としては、アセトニトリル、鎖状スルホン、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル及び鎖状エーテルなどが例示される。前記鎖カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、等が挙げられる。より具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1、2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プロピオン酸メチルなどを用いることができる。
溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(SO3F)2、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、LiN(SO2CF32などが挙げられる。前記非水溶媒に溶解しやすいことから、LiPF6より好ましい。
非水電解質に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。0.5mol/L未満では所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合があり、一方、2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。
封入体内の非水電解質量は、特に限定されないが、電極反応に伴うリチウムイオンの伝導を十分に担保でき、所望の電池性能を発現させる観点から、電池容量1Ahあたり0.5mL以上であることが好ましい。
非水電解質は、あらかじめ正極および負極、セパレータに含ませてもよいし、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを捲回、あるいは積層した後に添加してもよい。
<リチウムイオン二次電池の容量低下と負極に含まれる副反応生成物>
作動平均電位が0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満である負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の容量低下の要因は、負極におけるリチウムイオンと非水電解質との副反応により生じた、副反応生成物である。負極では電解液の還元、正極では電解液の酸化が起こる。負極活物質であるチタン化合物の活性は正極活物質より高いため、負極のほうが正極より副反応が進行しやすく、リチウムイオン二次電池を繰り返し充放電することで、負極での副反応が正極より進行し、副反応生成物が負極での充放電を阻害し、充放電に寄与できるリチウムイオンが減少してしまうため、容量が低下すると考える。また、出力低下の要因は、負極での電解液の還元反応により、負極活物質層にリチウムイオンと電解液との副反応生成物が堆積し被膜が形成されることにより、リチウムイオンの移動が阻害されるためと考える。
ここで言う、副反応生成物の割合は、負極に含まれるリチウムイオン総量に対する、リチウムイオンと非水電解質との副反応生成物の量である。リチウムイオン総量とは、リチウムイオン二次電池の充放電中に移動可能なリチウムイオン量を示しており、0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満の範囲で挿入および脱離可能なリチウムイオン量を意味する。仮に、前記範囲外でリチウムの挿入および脱離が可能であったとしても、そのリチウムイオン量はリチウムイオン総量に含めない。このリチウムイオン総量は、負極にリチウムを対極とした半電池を、0.2Cで0.6Vから2.0Vまで充放電した時の4サイクル目の放電容量で示すことができる。
副反応生成物の割合は、公称容量に対して86%〜98%の容量になった放電状態のリチウムイオン二次電池の負極から求めることができる。ここでの放電状態とは、リチウムイオン二次電池を作動平均電位の下限まで定格出力で負極から正極へ電流を流した後の状態を示す。
実際の副反応生成物量は、以下のように求めることができる。積層型の場合は負極1枚を、捲回型の場合は1cm2以上の負極活物質層を含む負極を取り出す。この取り出した負極を1mAhあたり1mL以上に相当するジエチルカーボネートに5分間浸漬し、それを3回繰り返した後、80℃12時間真空乾燥させる。乾燥後の負極から負極活物質層を削りだし、負極活物質重量を測定した後、定量元素分析を行う。この定量元素分析によって得られた負極活物質層のリチウムイオン量と、取り出した面積分に相当するリチウムイオン二次電池使用前の負極のイオン量との差から、前記副反応生成物の量を算出することができる。取り出した面積分に相当する使用前の負極リチウムイオン量は、定量元素分析で同様に算出でき、それらの値から割合を求めることができる。
<副反応生成物の割合と容量回復>
容量および/または出力低下が見られ、副反応生成物の割合が0.1mol%以上20mol%未満になった際に、本回復方法を施すことで、容量および出力を回復することができる。効果的に容量が回復でき、出力も回復できる点から、副反応生成物の割合が1mol%以上10mol%未満になった際に、本回復方法を施すこと好ましい。
容量および出力を回復するためには、所定時間リチウムイオン二次電池の電位を−1.0V以上1.0V以下に保持する。短時間での効果を発揮できることから、−1.0V以上0V以下に保持することがより好ましい。一方、1.0Vより高い電圧で保持すると、負極で酸化反応が起こらない可能性があり、−1.0V未満の低電位で保持すると、負極の酸化反応が過度に進行し、内部抵抗増大の可能性がある。
電位を保持する時間は、15分以上48時間未満であることが好ましい。さらに好ましくは、1時間以上6時間以下である。
以上から、負極で酸化反応が起こる電位まで降下させ所定時間保持することで、負極で酸化反応を進行させて容量回復することができ、さらに、上記被膜を分解することでリチウムイオンの移動が滞ることなく進行できるため、出力回復できると考える。
<負極活物質層の添加剤>
負極活物質層は添加剤を含むことが好ましい。添加剤を含むことで、酸化反応を促進させ、より短時間で本発明の効果を得ることができる。
添加剤は、本発明のリチウムイオン二次電池において、−1.0V以上1.0V以下で酸化されず、かつ非水電解液に溶解しない物質であればよい。
添加剤の酸化電位は、2.0V(vsLi/Li+)以上4.5V(vsLi/Li+)未満であることが好ましく、2.2V(vsLi/Li+)以上、4.0V(vsLi/Li+)未満であることがより好ましい。
添加剤の酸化電位はサイクリックボルタンメトリー測定を実施することで求められる。具体的には、添加剤を非水電解質に溶解させ、正方向に電圧を印加して掃引し、流れた電流値が最大となったときの電位を酸化電位とする。
添加剤の種類は、特に限定されないが、例えば[RuCl2(C66)]2、[IrRuCl2(terpy)2(dpp)](PF63等が挙げられる。なお、(terpy)、(dpp)はそれぞれ2,2’;6’2’−terpyridine、2,3−bis(2−pyridyl)pyrazineを指す。
添加剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば負極活物質層の調製時に、負極スラリーに添加する方法が挙げられる。
<組電池>
本発明のリチウムイオン二次電池を直列および/または並列に複数個接続してなる組電池に適用することが可能である。容量および出力が低下した組電池を回収し、個々のリチウムイオン二次電池を解体することなく効果が得られるため、作業がより簡便となる。組電池に適用する場合は、直列数に応じた電圧まで組電池を放電する。即ち、直列接続しているリチウム二次電池の個数がX個(Xは1以上の整数)とすると、組電池の電圧を−1.0XV以上1.0XV以下とすることが好ましく、より短時間で効果を達成できることから−1.0XV以上0V以下とすることがより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(スピネル型マンガン酸リチウムの製造)
Li1.1Al0.1Mn1.84の粉末を、文献(Electrochemical and Solid−State Letters、9(12)、A557(2006))に記載されている方法で製造した。
(スピネル型ニッケルマンガン酸リチウムの製造)
LiNi0.5Mn1.54の粉末を、文献(Journal of Powe r Sources, Vol.81−82, pp.90−94(1999 )に記載されている方法で作製した。
(正極の作製)
上記のスピネル型マンガン酸リチウム、またはスピネル型ニッケルマンガン酸リチウムを、正極活物質を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を5重量部、およびバインダー(固形分濃度8wt%、NMP溶液)を5重量部混合してこれらの材料の混合物のスラリーを調製した。
次に、このスラリーをアルミニウム箔(15μm)に塗工した電極シートを170℃で真空乾燥した後に、4cm×6cmの大きさに打ち抜くことで集電体に活物質層が形成された正極部材の一部として表1に記載の正極a1(スピネル型マンガン酸リチウム)、およびa2(スピネル型ニッケルマンガン酸リチウム)を得た。
なお、塗工は、アルミニウム箔の片面途工と、両面途工の、2とおりの正極を作製した。
(正極a1およびa2の電気容量測定)
上記正極a2およびa2の電気容量を、以下の方法で測定した。
各正極を動作極、金属リチウムを対極とする半電池を作製し、充放電試験を実施することにより測定した。以下に記載する電圧値は、全てリチウムを基準とする値である。
まず、片面塗工とした各正極を16mmΦに打ち抜き動作極とし、リチウム金属を16mmΦに打ち抜き対極として、動作極(片面塗工の塗工面が内側)/セパレータ(セルロース不織布)/対極(リチウム金属)の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=3:7(容積比率)、溶質としてLiPF6=1mol/Lを使用)を0.15mL入れ、半電池を作製した。
この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、25℃、0.4mAで、定電流充電および定電流放電することを5回繰り返し、5回目の放電容量を正極の電気容量とした。
定電流充電における終止電圧は、正極1および2について、それぞれ4.25V、および4.9Vとし、定電流放電における終止電圧は3.0V、および4.0Vとした。その結果、正極a1およびa2の単位面積当たりの電気容量はいずれも1.6〜1.7mAh/cm2の範囲内であった。
(負極b1の作製)
負極活物質として、チタン酸リチウムであるLi4Ti512の粉末を用いて、以下の方法で、負極b1を作製した。
Li4Ti512の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、142、1431(1995))に記載されている方法で製造した。
次に、この粉末を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を5重量部、およびバインダー(固形分濃度5wt%、NMP溶液)を固形分が5重量部となるようにした量混合してスラリーを調製した。
次に、このスラリーをアルミニウム箔(15μm)に片面塗工及び両面塗工した後に170℃で真空乾燥し、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで負極b1を得た。
(負極b2の作製)
負極活物質として、ブロンズ型二酸化チタンであるTiO2(B)の粉末を用いて、以下の方法で、負極b2を作製した。
まず、TiO2(B)の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、159、A49−A54(2012))に記載されている方法で製造した。
次に、この粉末100重量部を用いて、負極b1と同様の方法で、スラリーを調製し、片面および両面塗工して真空乾燥後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで負極b2を得た。
(負極b3の作製)
負極活物質として、チタン酸化合物であるH2Ti1225の粉末を用いて、以下の方法で、負極b3を作製した。
まず、H2Ti1225の粉末を、文献(Journal of Electrochemical Society、158、A546−A549(2011))に記載されている方法で製造した。
次に、この粉末100重量部を用いて、負極b1と同様の方法で、スラリーを調製し、片面および両面塗工して真空乾燥後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで負極b3を得た。
(負極b4の作製)
Li4Ti512に[RuCl2(C66)]2を添加した以外は負極b1と同じである。
Li4Ti512の粉末を99.5重量部、[RuCl2(C66)]2を0.5重両部、導電助材(アセチレンブラック)を5重量部、およびバインダー(固形分濃度5wt%、NMP溶液)を固形分が5重量部となるようにした量混合してスラリーを調製し、さらに、片面および両面塗工し真空乾燥後、得られた電極シートを4.3cm×6.3cmの大きさに打ち抜くことで負極b4を得た。
(負極b5の作製)
Li4Ti512の重量部が異なる以外は負極b4と同じである。
Li4Ti512の粉末を97重量部、[RuCl2(C66)]2を3重量部添加した以外は負極b4と同様の処方で負極b5を得た。
(負極b6の作製)
Li4Ti512の重量部が異なる以外は負極b4と同じである。
Li4Ti512の粉末を95重量部、[RuCl2(C66)]2を5重量部添加した以外は負極b4と同様の処方で負極b6を得た。
(負極b1〜b6の電気容量測定)
上記で作製した負極b1〜b6の電気容量を、正極a1と同様の方法で測定した。
但し、定電流充電における終止電圧は2.0Vとし、定電流放電における終止電圧は1.0Vとした。その結果、負極b1〜b6の単位面積当たりの電気容量は、いずれも1.8mAh/cm2であった。
(リチウムイオン二次電池の作製)
以下に記載の方法で、実施例1〜10と、比較例1〜5の電池を作製した。
正極を13枚、負極を14枚用い、それぞれセルロース不織布(25μm、30cm2)を介して正極と負極が交互になるように重ね合わせた後、正極をまとめて正極端子1個に振動溶着させ端子を付けた。同様に、負極も行った。
次に、この端子を備える電極を、端子が部分的に外側に延在するようにして、袋状のアルミラミネートシートに入れ、さらに、非水電解液(非水溶媒エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=3:7(体積比)、溶質1mol/LのLiPF6を5.5mL)を入れ、その袋内を減圧しながら袋の開口部を封止し、更に12時間養生することによってリチウムイオン二次電池を得た。
(充放電試験)
作製したリチウムイオン二次電池を、60℃環境下で充放電を、表1に記載の終止電圧まで、下記の充放電条件1で1200回繰り返した。なお、表1に記載の終止電圧は、リチウム基準ではなく、リチウムイオン二次電池の電圧である。
充放電条件
充電条件1:表1に記載の上限電圧に達するまでは0.5Cの定電流で充電し、電流が0.02Cとなるまで上限電圧を保持し、電流が0.02Cとなった時点で充電を終了した。
放電条件1:表1に記載の下限電圧に達するまで1.0Cの定電流で放電し、達した時点で放電を終了した。
上記充放電条件に記載のCとは、リチウムイオン二次電池の全容量を1時間で充電または放電するために必要な電流値を1Cと定義し、例えば0.02Cとはその電流値の0.02倍を指す。
(負極のリチウムイオン総量に対する負極の副反応生成物の割合)
充放電試験実施後のリチウムイオン二次電池を、露点−30℃以下の環境で解体し、上から7枚目の負極を取り出した。この負極をジメチルカーボネート100mLに5分間浸漬した後、未使用のジメチルカーボネートに2回浸漬した後、25℃で真空乾燥させた。乾燥させた負極から、負極活物質層を0.01g削り出し、負極活物質層を硝酸、硫酸、塩酸、およびフッ酸を加えて、マイクロウェーブ分解装置(マイルストーンゼネラル製 ETHOS ONE)で加圧酸分解を行った。分解液を50mLに定容したのち、10倍希釈して、ICP−AES(ICP発光分光分析法)分析を実施(島津製作所製 ICPS−8100)することで、負極に含まれるリチウムイオン総量に対する負極の副反応生成物の割合を算出した。
(容量および出力回復方法)
充放電試験実施後のリチウムイオン二次電池を、表1記載の保持電圧まで0.2Cの定電流で放電して保持電圧に達した後、表1記載の定電位で一定時間保持した。
(容量回復率)
容量回復率を以下のように定義し、算出した。
容量回復率(%)=(容量および出力回復方法実施後の放電容量−充放電試験実施後の放電容量)/(充放電試験実施後の放電容量)×100
なお、容量および出力回復方法実施後の放電容量は、容量および出力回復方法実施後、25℃環境下で、充電条件1で充電し放電条件1で放電したときの放電容量である。
(出力測定)
出力試験は、電池環境温度25℃で、下記充電条件2、下記放電条件2、下記充電条件2、下記放電条件3の順番に実施した。放電条件2の放電容量に対する放電条件3の放電容量の割合を出力とする。
なお、以下に記載する電圧はリチウム基準ではなく、リチウムイオン二次電池の電位である。
充放電条件
充電条件2:表1に記載の上限電圧に達するまで0.2Cの定電流で充電し、その後0.02Cに達するまで、その上限電圧を保持し、達した時点で充電を終了した。
放電条件2:表1に記載の下限電圧まで0.2Cの定電流で放電し、下限電圧に達成した時点で放電を終了した。
放電条件3:表1に記載の下限電圧までは2.0Cの定電流で放電し、下限電圧となった時点で放電を終了した。
(出力回復率)
出力回復率を以下のように定義し、算出した。なお、出力は上記出力測定により求めた。
出力回復率(%)=(容量および出力回復方法実施後の出力−充放電試験実施後の出力)/(充放電試験実施後の出力)×100
(リチウムイオン二次電池の評価基準)
容量および出力回復方法を実施後、容量および出力が回復した場合を合格とした。
実施例1〜10、比較例1〜5の結果を表1に記載する。
実施例1〜10のリチウムイオン二次電池は全て合格、比較例1〜5のリチウムイオン二次電池は全て不合格となった。
実施例1〜5、比較例1〜3を比較すると、保持時間および保持電圧が所定範囲内の場合に効果を発揮することを確認した。
実施例6〜8から、スピネル型ニッケルマンガン酸リチウム、TiO2(B)、H2Ti1225においても同様の効果が得られることを確認しできた。
比較例4は効果が得られなかった。これは、負極上の副反応生成物が多すぎたためと考える。
実施例9〜10から負極活物質に添加剤を加えることで、より効果が得られることが確認できた。しかし、比較例5は添加剤を使用しているにも関わらず、効果が得られなかった。これは、添加剤の量が多すぎたために、添加剤による副反応が起こり、実施例9〜10と比較し異質の被膜が形成され、悪影響を及ぼしたためと考える。
1 負極
2 正極
3 セパレータ
7 端子
8 封入体
9 端子延在部
10 リチウムイオン二次電池
71 負極端子
72 正極端子

Claims (5)

  1. 負極、正極、セパレータおよび非水電解質を有するリチウムイオン二次電池において、
    負極が、アルミニウムからなる集電体および負極活物質層を有し、
    負極活物質層が、作動平均電位0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満である活物質と、
    リチウムイオンと非水電解質との副反応生成物を含み、
    副反応生成物の割合が、負極のリチウムイオン総量に対して0.1mol%以上20mol%未満である時に、リチウムイオン二次電池の電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持することを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載の活物質が、Li4Ti512、H2Ti1225、及びTiO2で表されるチタン化合物からなる群から少なくとも選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記負極活物質層が添加剤を含み、
    添加剤の酸化電位が2.0V(vs Li/Li+)以上4.5V(vs Li/Li+)以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池を複数個接続してなる組電池。
  5. 負極、正極、セパレータおよび非水電解質を有するリチウムイオン二次電池において、
    負極が、アルミニウムからなる集電体の表面に負極活物質層を形成し、
    負極活物質層が、作動平均電位0.6V(vsLi/Li+)以上2.0V(vsLi/Li+)未満である活物質からなり、
    負極活物質層が、リチウムイオンと非水電解質との副反応生成物を含み、
    副反応生成物の割合が、負極のリチウムイオン総量に対して0.1mol%以上20mol%未満である時に、リチウムイオン二次電池の電圧を−1.0V以上1.0V以下に所定時間保持することを特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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