以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、空調制御システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、建物10には、屋内空間の空調を行う空調機11が設けられている。空調機11は、屋内空間の冷房及び暖房を行う冷暖房機能を有しており、ユーザにより設定された設定温度に基づいて屋内空間の冷暖房を行う。なお、空調機11は、居室等、所定の屋内空間を対象として空調を行うもの(いわゆるルームエアコン)でもよいし、複数の屋内空間を対象として空調を行うもの(いわゆる全館空調式の空調機)でもよい。
建物10には、空調制御手段としてのホームサーバ20が設けられている。ホームサーバ20は、空調機11の運転制御を行うものであり、CPU等からなるマイクロコンピュータを有して構成されている。ホームサーバ20は、空調機11に制御信号を出力することで当該空調機11の運転制御を行う。具体的には、ホームサーバ20は、予め設定された設定温度に基づいて空調機11の冷房運転又は暖房運転を制御し、より具体的には、屋内空間の温度が上記設定温度となるように空調機11の冷暖房運転を制御する。
ホームサーバ20は、空調機11を、通常運転状態と、通常運転状態よりも電力消費の少ない省エネ状態とに切り替えることが可能となっている。これにより、本空調制御システムでは、ユーザ(居住者)が建物10に在宅している在宅時には空調機11を通常運転させることで快適な空調を行う一方、ユーザが建物10から外出する外出時には空調機11を省エネ状態にすることで省エネルギ化を図ることが可能となっている。
ホームサーバ20は、空調機11の通常運転時には、ユーザにより設定されたユーザ設定温度に基づき、空調機11の冷暖房運転を制御する。なお、ユーザ設定温度は図示しないリモコン等の操作部の操作に基づき設定される。
空調機11の省エネ状態には、空調機11の運転を停止させる運転停止状態と、空調機11を通常運転時よりも少ない電力消費で運転させる省エネ運転状態とがある。この場合、運転停止状態が省エネ効果の大きい省エネ状態で、省エネ運転状態が省エネ効果の低い省エネ状態である。ホームサーバ20は、空調機11の省エネ運転時には、予め設定された省エネ設定温度に基づき、空調機11の冷暖房運転を制御する。ここで、省エネ設定温度は、冷房運転時においてはユーザ設定温度よりも高い温度に設定され、暖房運転時においてはユーザ設定温度よりも低い温度に設定される。また、本実施形態では、ユーザによりユーザ設定温度が設定されると、その設定されたユーザ設定温度に基づき省エネ設定温度が設定されるようになっている。但し、省エネ設定温度はユーザによる入力操作に基づき設定されるようにしてもよい。
屋外には建物10に隣接して車両25(自動車)を駐車する駐車スペース26が設けられている。車両25はユーザが外出する際に用いられるもので、この車両25にはカーナビゲーション装置30(以下、略してカーナビ装置30という)が搭載されている。カーナビ装置30は、ユーザにより目的地が設定されると、その目的地までの経路案内を行う案内装置である。カーナビ装置30は、操作部31と、GPS受信部32と、通信部33と、制御部34とを備えている。
操作部31は、目的地の設定操作等を行うためのもので、タッチパネルを含んで構成されている。GPS受信部32は、GPS衛生からGPS信号を受信することで、カーナビ装置30の位置情報ひいては車両25の位置情報を検出するものである。通信部33は、建物10に設けられたホームサーバ20等、車両25外部との間で無線通信を行うものである。また、通信部33は、VICS(登録商標)情報センタから送信される渋滞情報を受信する。
制御部34は、操作部31の操作により設定された目的地と、GPS受信部32により検出された車両25の位置情報とに基づき、目的地に至る経路(ルート)を探索するとともに、その探索した経路にしたがって目的地までの案内を行う。目的地までの案内は、カーナビ装置30のディスプレイに目的地までの経路を表示したり音声により行き先を知らせたりする等して行う。
制御部34は、設定された目的地に車両25(ひいてはユーザ)が到着する到着予想時刻を算出する。この算出は、設定された目的地(目的地情報)と、その目的地に至る経路として探索された経路情報(ルート情報)と、通信部33により受信された渋滞情報とに基づき行われる。
制御部34は、設定された目的地が建物10以外の場所である場合には、その目的地(目的地情報)と上記算出した到着予想時刻(到着予想時刻情報)とをそれぞれ通信部33より建物10側のホームサーバ20に送信する。また、制御部34は、設定された目的地が建物10である場合には、算出した当該建物10への到着予想時刻(到着予想時刻情報)をホームサーバ20へ送信する。
なお、カーナビ装置30には、操作部31に「自宅に帰る」ボタンが設けられ、ユーザにより当該ボタンが押されると、制御部34により目的地として建物10(自宅)が設定され、当該建物10への到着予想時刻の算出と、算出した到着予想時刻とのホームサーバ20への送信とが行われるようになっている。
建物10側のホームサーバ20は、通信部33との間で無線通信可能な通信部21を有している。ホームサーバ20は、この通信部21を通じて制御部34(通信部33)から送信される目的地情報や到着予想時刻情報を受信する。そして、ホームサーバ20は、受信した目的地情報や到着予想時刻情報に基づき、空調機11の冷暖房制御を行う。
また、制御部34は、GPS受信部32により検出される車両25の位置情報を逐次通信部33よりホームサーバ20に送信する。ホームサーバ20は、制御部34から送信される車両25の位置情報に基づき、車両25(ひいてはユーザ)がカーナビ装置30の案内にしたがい、設定された目的地に到着したか否かを判定する。車両25が目的地に到着した場合には、車両25の位置情報に基づき、ユーザがその目的地に滞在する滞在時間を計測する(計測手段に相当)。この場合、車両25の位置情報に基づき、車両25が目的地に位置する(静止している)時間を計測し、その計測した時間をユーザの滞在時間とする。
ホームサーバ20は、ユーザの目的地での滞在時間を記憶する記憶部22(記憶手段に相当)を有している。ホームサーバ20は、ユーザの目的地での滞在時間を計測すると、その計測した滞在時間を当該目的地と対応付けて滞在時間情報として記憶部22に記憶する。これにより、記憶部22には、ユーザの向かう目的地ごとにユーザの滞在時間情報が逐次記憶(蓄積)される。
次に、ホームサーバ20により実行される空調制御処理について図2に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図2に示すように、まずステップS11では、空調機11が通常運転中(通常運転状態)であるか否かを判定する。空調機11が通常運転中である場合には、ステップS12に進む。
ユーザが車両25に載って建物10から目的地へと出発(外出)する際には、ユーザによりカーナビ装置30に(外出先の)目的地が設定される。ユーザによる目的地の設定は、例えば車両25が建物10(駐車スペース26)から出発する直前に行われる。ユーザによりカーナビ装置30に目的地の設定がされると、上述したように、カーナビ装置30(制御部34)により、設定された目的地(外出先)への到着予想時刻が算出される。そして、カーナビ装置30により、目的地情報と算出された到着予想時刻情報とが建物10側のホームサーバ20へ送信される。そこでステップS12では、カーナビ装置30から目的地情報及び到着予想時刻情報を受信したか否かを判定する。目的地情報及び到着予想時刻情報を受信していない場合には本処理を終了し、受信した場合にはステップS13に進む。
ステップS13では、移動時間算出処理を行う。この処理では、カーナビ装置30から受信した到着予想時刻情報に基づき、建物10と目的地との間の往復移動に要する予想移動時間T1を算出する(移動時間算出手段に相当)。具体的には、受信した到着予想時刻情報に基づき、建物10から目的地への移動に要する時間(行きの移動時間)を算出し、その算出した行きの移動時間を2倍することで予想移動時間T1(往復の移動時間)を算出する。
続くステップS14では、滞在時間判定処理を行う。この処理では、カーナビ装置30から受信した目的地情報に基づき、その目的地でユーザが滞在する予想滞在時間T2を判定する(滞在時間判定手段に相当)。この場合、記憶部22に記憶されている当該目的地の滞在時間情報に基づき、当該目的地でのユーザの予想滞在時間T2を判定する。具体的には、記憶部22に記憶されている当該目的地の滞在時間情報をすべて読み出し、それら読み出した滞在時間の平均値を算出する。そして、その算出した平均値を当該目的地でのユーザの予想滞在時間T2として判定する。なお、滞在時間の判定方法は必ずしもこの方法に限らず、例えば記憶部22から読み出した滞在時間の中で最も短い滞在時間を予想滞在時間T2として判定してもよい。
続くステップS15では、外出時間算出処理を行う。この処理では、ステップS13で算出したユーザの予想移動時間T1と、ステップS14で判定したユーザの目的地での予想滞在時間T2とに基づき、ユーザが建物10から目的地へ行き再び建物10に帰宅するまでに要する時間、つまりはユーザの予想外出時間Tを算出する。具体的には、この場合、予想移動時間T1と予想滞在時間T2とを足し合わせることで予想外出時間Tを算出する(T=T1+T2)。
続くステップS16〜S18では、上記算出したユーザの予想外出時間Tに基づいて、空調機11を省エネ状態(詳しくは運転停止状態又は省エネ運転状態)とする省エネ制御処理を実施する。この省エネ制御処理では、まずステップS16において、ユーザの予想外出時間Tが所定時間Taよりも長いか否かを判定する。ここで、所定時間Taは、例えば1時間半に設定されている。ユーザの予想外出時間Tが所定時間Taよりも長い場合(T>Ta)にはステップS17に進み、空調機11に運転停止信号を出力する。これにより、空調機11の運転(通常運転)が停止され、空調機11が運転停止状態(省エネ効果の高い省エネ状態)となる。この場合、外出するユーザが建物10に帰宅するまでに比較的多くの時間があるため、ユーザの外出直後から空調機11の運転を停止させ、省エネルギ化の促進を図ることとしている。その後、本処理を終了する。
一方、ユーザの予想外出時間Tが所定時間Ta以下である場合(T≦Ta)には、ステップS18に進み、空調機11に省エネ運転信号を出力する。これにより、空調機11の省エネ運転が実施(開始)され、空調機11が省エネ運転状態(省エネ効果の低い省エネ状態)となる。予想外出時間Tが所定時間Ta以下である場合には、ユーザが比較的早く(具体的には1時間半以内に)建物10に帰宅するため、空調機11の運転を停止させると、ユーザが帰宅するまでに空調機11の運転(通常運転)を再開させ屋内空間を快適な温度にすることが難しくなると考えられる。そこで、この場合には、空調機11の運転を停止させず、空調機11を省エネ運転させることとしている。その後、本処理を終了する。
ちなみに、空調機11の省エネ運転は、上述したように、省エネ設定温度に基づき行われる。省エネ設定温度は、ユーザにより設定されるユーザ設定温度(通常運転時の設定温度)に基づき設定され、具体的には、冷房運転時にはユーザ設定温度よりも所定温度高い温度に、暖房運転時にはユーザ設定温度よりも所定温度低い温度に設定される。また、省エネ設定温度をユーザの予想外出時間Tに基づき設定するようにしてもよい。この場合、ユーザの予想外出時間Tが短いほど省エネ設定温度をユーザ設定温度に近くなるよう設定することが考えられる。
先のステップS11において、空調機11が通常運転中でない場合、つまりユーザが外出して空調機11が省エネ状態(詳しくは運転停止状態又は省エネ運転状態)となっている場合にはステップS21に進む。
ステップS21では、後述するステップS23において空調機11の通常運転の開始時刻が既に算出済みであるか否かを判定する。通常運転の開始時刻が既に算出済みである場合にはステップS24に進み、通常運転の開始時刻がまだ算出されていない場合にはステップS22に進む。
ここで、外出中のユーザが目的地に到着し、その後目的地から建物10へと帰宅する際には、ユーザによりカーナビ装置30に目的地として建物10(自宅)が設定される。この場合、上述したように、カーナビ装置30により、設定された目的地(つまり建物10)に到着する到着予想時刻が算出され、その算出された到着予想時刻情報が建物10側のホームサーバ20へ送信される。そこでステップS22では、カーナビ装置30から到着予想時刻情報を受信したか否かを判定する。カーナビ装置30から到着予想時刻情報を受信していない場合には本処理を終了し、受信した場合にはステップS23に進む。
ステップS23では、カーナビ装置30から受信した到着予想時刻情報に基づき、空調機11の通常運転を開始させる開始時刻を算出する。この場合、ユーザの到着予想時刻(換言すると帰宅予想時刻)までに屋内空間の温度がユーザ設定温度に調整されるよう通常運転の開始時刻を算出する。なお、通常運転の開始時刻を、ユーザの帰宅予想時刻に加え、現在の屋内空間の温度に基づき算出してもよい。
ステップS24では、今現在が上記ステップS23で算出した通常運転の開始時刻であるか否かを判定する。つまり、ここでは、通常運転の開始時刻になったか否かを判定する。通常運転の開始時刻になっていない場合には本処理を終了する。通常運転の開始時刻になった場合にはステップS25に進み、空調機11に通常運転信号を出力する。これにより、空調機11の通常運転が実施(開始)され、空調機11が通常運転状態となる。その後、本処理を終了する。
次に、ユーザが車両25を用いて外出する際に実施される空調機11の制御の態様について説明する。なお、ここでは、夏場にユーザが外出する場合を想定しており、そのため空調機11が冷房運転される場合を想定している。また、ここでは、ユーザが外出する際のパターンとして、(a)長距離・長時間の外出、(b)短距離・短時間の外出、(c)短距離・長時間の外出、の各パターンを想定している。図3〜図5は、各外出パターン(a)〜(c)における空調機11の設定温度の変化を示すグラフであり、図3が外出パターン(a)の場合、図4が外出パターン(b)の場合、図5が外出パターン(c)の場合を示している。また、図3〜図5では、空調機11の設定温度に加え、外出中のユーザの位置を建物10からの距離(離間距離)で示している。
まず、ユーザの外出パターン(a)の場合における空調機11の制御態様について図3を参照しながら説明する。なお、図3では、本実施形態の空調制御との比較例として、ユーザの位置情報に基づき省エネ制御が行われる従来の空調制御の態様を併せて示している。図3に示すように、外出パターン(a)では、ユーザが建物10から180km離れたところにある遠くの目的地(以下、目的地Maという)へ外出する場合を想定している。このパターンでは、ユーザが11:00に車両25に載って建物10から出発し、14:00に目的地Maに到着している。そして、ユーザは目的地Maにおいて2時間滞在し、それから16:00に目的地Maを出発して19:00に建物10(自宅)に到着(帰宅)している。
このような外出パターン(a)の場合における空調制御の態様について、まず比較例では、ユーザが目的地Maへ向け出発する出発時刻である11:00までは空調機11が通常運転(冷房運転)されている。この際、空調機11の設定温度はユーザ設定温度(具体的には27℃)に設定されている(この点は、本実施形態の空調制御も同様)。そして、ユーザが出発した11:00以降は空調機11が省エネ運転に移行し、空調機11の設定温度がユーザ設定温度よりも高い温度に設定されている。具体的には、空調機11の設定温度は、ユーザが建物10から遠ざかるにつれ徐々に高くなるように設定されている。そして、ユーザが建物10から140kmくらい離れた位置に到達すると、空調機11の運転が停止している。このような省エネ制御では、ユーザが建物10を出発した(外出した)直後においては、空調機11の設定温度が低く設定されるため(換言するとユーザ設定温度とほとんど変わらない温度に設定されるため)、ユーザの出発直後において大きな省エネ効果を得ることが困難となっている。
空調機11の運転停止状態は13:15から17:15までに亘って続いている。なお、図3では、13:15〜17:15まで空調機11の設定温度が一定温度(33℃)で示されているが、この一定温度の範囲では実際には空調機11が運転停止状態とされている(なお、この点は、本実施形態の空調制御も同様)。17:15に空調機11の省エネ運転が再開される。17:15というのは、16:00に建物10に向けて目的地Maを出発したユーザが建物10から140kmほど離れた位置に到達する時刻であり、その到達に基づいて省エネ運転が再開される。この省エネ運転に際しては、空調機11の設定温度が、ユーザが建物10に近づくにつれて徐々に低くなっている。そして、ユーザが建物10に到着すると(建物10からの距離が0になると)、空調機11の通常運転が再開される。かかる省エネ制御では、ユーザが建物10へ帰宅する帰宅時において省エネ運転の時間が長くなって、それにより空調機11の運転停止時間が短くなる。そのため、ユーザの建物10帰宅時において大きな省エネ効果を得ることが困難となっている。
続いて、本実施形態の空調制御の態様について説明すると、本実施形態の制御では、ユーザの出発時刻である11:00に空調機11が通常運転状態から運転停止状態とされている。ここで、上述したように、ユーザが建物10を出発するに際しては、ユーザによりカーナビ装置30に目的地Ma(外出先)が設定される。すると、カーナビ装置30により、その設定された目的地Maへの到達予想時刻が算出され、その算出された到達予想時刻が目的地情報とともに建物10側のホームサーバ20へ送信される。ホームサーバ20では、送信された目的地情報及び到達予想時刻情報に基づき、ユーザの予想外出時間T(=予想移動時間T1+予想滞在時間T2)が算出される(ステップS13〜S15)。この際、目的地Maが建物10から遠距離にあるため、ユーザの予想移動時間T1は長い時間として算出される。したがって、この場合、ユーザの予想外出時間TはT>Taとなり、その結果、空調機11が運転停止状態とされる(ステップS17)。
この場合、上述した比較例の場合と異なり、ユーザの出発直後から空調機11を運転停止状態とすることができる。つまり、この場合、ユーザの出発直後から省エネ効果の高い省エネ制御を実施することができるため、省エネ性の向上を図ることができる。
ユーザが建物10へ向けて目的地Maを出発する際には、上述したように、ユーザによりカーナビ装置30に目的地として建物10(自宅)が設定される。すると、カーナビ装置30により、建物10への到達予想時刻が算出され、その算出された到達予想時刻がカーナビ装置30より建物10側のホームサーバ20へ送信される。ホームサーバ20では、送信された到達予想時刻情報に基づき、空調機11の通常運転の開始時刻が算出される(ステップS23)。そして、ここでは、ユーザの建物10への到達予想時刻(帰宅予想時刻)が19:00として算出され、それに基づき通常運転の開始時刻が18:30として算出されている。
この場合、ユーザが帰宅する時刻に屋内空間の温度が快適な温度(ユーザ設定温度と同温度)となるよう空調機11の通常運転を開始させることができるため、省エネ性の向上を図りながら、快適性の確保を図ることができる。また、比較例の場合と比べて、空調機11の運転停止状態から短時間で屋内空間の温度を快適な温度に戻すことができるため、空調機11の運転停止時間をその分長く確保することができる。そのため、この点でも、省エネ性向上を図ることができる。
続いて、ユーザの外出パターン(b)の場合(短距離・短時間の外出の場合)における空調機11の制御態様について図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、外出パターン(b)では、ユーザが建物10から30km程度離れたところにある比較的近くの目的地(以下、目的地Mbという)へ外出する場合を想定している。この目的地Mbは、例えばユーザの知人宅である。ここでは、建物10に訪れた知人をユーザが車両25で知人宅(目的地Mb)まで送り届けることを想定している。この外出パターンでは、ユーザが11:00に建物10を出発した後、11:30に目的地Mbへ到着している。そして、目的地Mbに到着後、すぐに目的地Mbを出発し12:00に建物10に到着(帰宅)している。なお、ユーザは過去にも知人宅(目的地Mb)へ知人を送り届けたことがあり、その際の知人宅での滞在時間が記憶部22には記憶されている。具体的には、記憶部22には、目的地Mbの滞在時間情報として、滞在時間が2〜3分であるとの情報が記憶されている。
かかる外出パターン(b)においても、上記外出パターン(a)の場合と同様に、ユーザの建物10出発時におけるカーナビ装置30への目的地Mb設定に基づき、目的地Mbへの到着予想時刻が算出され、その算出された到達予想時刻が目的地情報とともに建物10側のホームサーバ20へ送信される。そして、ホームサーバ20では、送信された目的地情報及び到達予想時刻情報に基づき、ユーザの予想外出時間T(=予想移動時間T1+予想滞在時間T2)が算出される(ステップS13〜S15)。
外出パターン(b)では、目的地Mbが建物10から比較的近距離にあるため、この場合ユーザの予想移動時間T1は短い時間として算出される(ステップS13)。また、目的地Mbでのユーザの予想滞在時間T2は、記憶部22に記憶されている当該目的地Mbの滞在時間情報(具体的には2〜3分)を参照して判定されるため、この場合、予想滞在時間T2も短い時間(2〜3分)で算出される(ステップS14)。したがって、この場合、ユーザの予想外出時間TはT≦Taとなり(ステップS16)、その結果、ユーザの出発直後から空調機11の省エネ運転が実施される(ステップS18)。具体的には、空調機11の設定温度が省エネ設定温度(30℃)に設定され、その省エネ設定温度に基づき空調機11の省エネ運転が実施される。
ユーザの外出時間Tが短い本外出パターン(b)の場合、ユーザの建物10出発直後から空調機11を運転停止状態とすると、ユーザが建物10に帰宅するまでに空調機11の通常運転を再開させ屋内空間を快適な温度(ユーザ設定温度と同じ温度)に戻すのが困難になるおそれがある。その点、上記のように、空調機11を省エネ運転状態とすることで、ユーザの帰宅時(12:00)までに屋内空間の温度を快適な温度に戻すことが可能となり、つまりは屋内空間の温度を快適な温度に戻せる範囲で省エネを図ることが可能となる。
続いて、ユーザの外出パターン(c)の場合(短距離・長時間の外出の場合)における空調機11の制御態様について図5を参照しながら説明する。
図5に示すように、外出パターン(c)では、ユーザが建物10から40km程度離れたところにある比較的近くの目的地(以下、目的地Mcという)へ外出する場合を想定している。この目的地Mcは、例えば友人宅である。ここでは、ユーザが車両25で友人宅(目的地Mc)を訪れて、その友人宅で半日ほど滞在することを想定している。本外出パターンでは、ユーザが11:00に建物10を出発した後、12:00に友人宅(目的地Mc)に到着し、それから18:00まで友人宅に滞在している。そして、18:00に目的地Mcを出発し、19:00に建物10に到着(帰宅)している。なお、ユーザは過去にも友人宅(目的地Mc)を訪れたことがあり、その際の友人宅での滞在時間が記憶部22には記憶されている。具体的には、記憶部22には、目的地Mcの滞在時間情報として、滞在時間が5〜6時間であるとの情報が記憶されている。
かかる外出パターン(c)においても、上記外出パターン(a)の場合と同様に、ユーザの建物10出発時におけるカーナビ装置30への目的地Mc設定に基づき、目的地Mcへの到着予想時刻が算出され、その算出された到達予想時刻が目的地情報とともに建物10側のホームサーバ20へ送信される。そして、ホームサーバ20では、送信された目的地情報及び到達予想時刻情報に基づき、ユーザの予想外出時間T(=予想移動時間T1+予想滞在時間T2)が算出される(ステップS13〜S15)。
外出パターン(c)では、目的地Mcが建物10から比較的近距離にあるため、この場合、ユーザの予想移動時間T1は短い時間として算出される(ステップS13)。また、目的地Mcでのユーザの予想滞在時間T2は、記憶部22に記憶されている当該目的地Mcの滞在時間情報(具体的には5〜6時間)を参照して判定されるため、この場合、予想滞在時間T2は比較的長い時間(5〜6時間)として算出される(ステップS14)。したがって、この場合、ユーザの予想外出時間TはT>Taとなり(ステップS16)、その結果、ユーザの出発直後から空調機11の運転が停止状態とされる(ステップS17)。
目的地Mcが建物10の近くにあっても、その目的地Mcでの滞在時間が長い上記外出パターン(c)の場合、ユーザが目的地Mcへ行って建物10に戻るまでに多くの時間を要することになる。その点、本実施形態の空調制御では、かかる場合に、ユーザの出発直後から空調機11の運転が停止されるため、つまりは省エネ効果の高い省エネ制御が行われるため、省エネ性の向上を図ることができる。
なお、図5には、比較例の制御態様が併せて示されている。外出パターン(c)では、目的地Mcが建物10から比較的近距離にあるため、比較例の制御(ユーザの位置情報に基づく省エネ制御)では、目的地Mcにユーザが滞在している間中、省エネ効果の低い省エネ制御が実施されることになる。(図5の例では、ユーザ設定温度(27℃)よりも若干高い設定温度(29℃)で省エネ運転が行われている)。したがって、外出パターン(c)の場合、比較例の省エネ制御では、特に省エネ効果を得ることができず、その結果、省エネ性の点で本実施形態の空調制御との差が顕著になって現れる。
なお、上述した各外出パターン(a)〜(c)における空調機11の制御態様はいずれも、夏場に空調機11を冷房運転した場合を想定したものであるが、冬場に空調機11を暖房運転する場合にも、これと同様の制御態様(温度の高低は冷房運転の場合と逆になるが)で制御が行われる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ユーザが建物10から目的地へ出発するに際し、ユーザによりカーナビ装置30に目的地として建物10以外の場所(外出先)が設定されると、カーナビ装置30がその目的地へ到着する到着予想時刻を算出し、その算出した到着予想時刻情報を目的地情報とともに建物10側のホームサーバ20へ送信するようにした。そして、ホームサーバ20が、送信された到着予想時刻情報に基づき、空調機11の省エネ制御を行うようにした。これにより、例えば目的地への到着予想時刻が遅い場合、つまりユーザが目的地に行って建物10に帰宅するまでに多くの時間がかかると考えられる場合には(具体的には、ユーザの予想外出時間TがT>Taとなる場合には)、ユーザの出発直後から空調機11の運転を停止させることで(つまりは省エネ効果の高い省エネ制御を行うことで)、省エネ性の向上を図ることができる。
また、目的地への到着予想時刻が比較的早い場合、つまりユーザが目的地に行って建物10に帰宅するまでにそれほど多くの時間がかからない場合(例えば上述した外出パターン(b)の場合)には(具体的には、ユーザの予想外出時間TがT≦Taとなる場合には)、ユーザの出発直後から空調機11を省エネ運転させることで(つまり省エネ効果の低い省エネ制御を行うことで)、ユーザが建物10に帰宅するまでに空調機11の通常運転を再開させ屋内空間を快適な温度に戻すことを可能としている。この場合、快適性の確保を図りながら、省エネルギ化を図ることができる。
具体的には、ホームサーバ20において、カーナビ装置30から送信される到着予想時刻情報に基づきユーザの予想移動時間T1を算出し、また、カーナビ装置30から送信される目的地情報に基づき当該目的地でのユーザの予想滞在時間T2を判定するようにした。そして、これら予想移動時間T1と予想滞在時間T2とに基づき、ユーザの予想外出時間Tを算出し、その算出した予想外出時間Tに基づき、空調機11の省エネ制御を実施するようにした。この場合、ユーザが目的地で滞在する滞在時間を加味して省エネ制御が実施される。これにより、例えば目的地が建物10の近くにあっても目的地での滞在時間が長くなる場合(例えば上述した外出パターン(c)の場合)には、ユーザが目的地へ行って建物10に帰宅するまでに多くの時間がかかるため、この場合、ユーザの出発直後から空調機11の運転を停止させ省エネ性の向上を図ることができる。
ユーザの目的地での予想滞在時間T2を判定するに際しては、記憶部22に記憶されている当該目的地の滞在時間情報を参照して判定するようにした。この場合、ユーザが過去に同じ目的地で滞在した際の滞在時間を基に予想滞在時間T2が判定されるため、比較的精度の高い判定を行うことが可能となる。
ユーザが(外出先の)目的地から建物10に帰宅する際に、ユーザによりカーナビ装置30に目的地として建物10(自宅)が設定されると、カーナビ装置30が建物10に到着する予想到着時刻を算出し、その算出した予想到着時刻をホームサーバ20へ送信するようにした。そして、ホームサーバ20が、送信された予想到着時刻情報に基づき、空調機11の通常運転を実施するようにした。これにより、ユーザが建物10に戻る時刻に屋内空間が快適な温度となるよう、空調機11の通常運転を開始させることができるため、より確実に快適性の確保を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、カーナビ装置30に目的地として建物10以外の場所が設定された場合に、その目的地に到着する到着予想時刻を算出し、その算出した到着予想時刻に基づいて空調機11の省エネ制御を実施するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、カーナビ装置30に目的地として建物10以外の場所が設定された場合に、カーナビ装置30により目的地までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて空調機11の省エネ制御を実施するようにしてもよい。この場合にも、例えば目的地までの距離が大きい場合には、ユーザが目的地へ行って建物10に戻るまでに多くの時間があるため、ユーザの出発直後から空調機11の運転を停止させることで(省エネ効果の高い省エネ制御を実施することで)、省エネ性の向上を図ることができる。
(2)上記実施形態では、目的地でのユーザの滞在時間を判定する際、記憶部22に記憶されている当該目的地の滞在時間情報を参照して判定したが、これを変更してもよい。例えば、予め所定の目的地(例えばよく行く目的地など)については、その目的地での滞在時間を設定(記憶)しておき、カーナビ装置30に対して所定の目的地が設定された場合には、その目的地の滞在時間を読み出して、それを当該目的地での予想滞在時間として判定するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、車両25(ユーザ)がカーナビ装置30に設定された目的地に到着した場合に、当該目的地でのユーザの滞在時間を計測するようにしたが、目的地での滞在時間の計測を例えば次のように行ってもよい。すなわち、カーナビ装置30から送信される車両25の位置情報に基づき、車両25が所定時間以上動いていないことを判定した場合に、車両25が目的地に到着したとみなし当該目的地での滞在時間の計測を行うようにする。この場合、カーナビ装置30に目的地を設定しないでも、車両25(ユーザ)が目的地に到着した場合には当該目的地での滞在時間が計測されるため、滞在時間情報の蓄積を好適に行うことが可能となる。また、目的地がユーザのよく行く場所等である場合には、ユーザが目的地へ行くにあたりわざわざカーナビ装置30に目的地設定をしないことが考えられるため、その点を鑑みても、上記の構成は好ましい構成といえる。
(4)上記実施形態では、ユーザが建物10と目的地との間の往復移動に要する予想移動時間T1と、ユーザが当該目的地で滞在する予想滞在時間T2とに基づき、ユーザの予想外出時間Tを算出したが、例えばユーザの予想移動時間T1のみに基づいて予想外出時間Tを算出してもよい。この場合、予想移動時間T1をそのまま予想外出時間Tとして算出することが考えられる(T=T1)。
(5)上記実施形態では、ユーザの建物10への帰宅時に、カーナビ装置30により算出された建物10への到着予想時刻に基づき、空調機11の通常運転を実施するようにしたが、例えばユーザの目的地(外出先)への出発時に、カーナビ装置30への目的地設定に基づき算出されるユーザの予想外出時間T(ステップS15)に基づき、空調機11の通常運転を実施してもよい。具体的には、上記算出される予想外出時間Tに基づき、ユーザが建物10に到着する到着予想時刻を算出し、その到着予想時刻に基づき空調機11の通常運転を実施するようにする。この場合にも、ユーザが建物10に帰宅するまでに屋内空間の温度が快適な温度となるよう空調機11の通常運転を実施させることができる。
但し、ユーザの帰宅時刻というのは、目的地でのユーザの滞在状況や、道路状況等によって都度変わってくるものであるため、その点を鑑みると、ユーザの建物10への帰宅時にカーナビ装置30により算出される到着予想時刻に基づき空調機11の通常運転を実施するのが望ましい。
(6)上記実施形態では、ユーザによりカーナビ装置30に目的地として建物10(自宅)が設定された場合に、カーナビ装置30が建物10への到着予想時刻(帰宅予想時刻)を算出するようにしたが、ユーザが建物10への帰宅時にカーナビ装置30に目的地設定を行わない場合も想定され、その場合、到着予想時刻の算出が行われないことになってしまう。
そこで、その点に対する対策として、例えばカーナビ装置30(制御部34)がGPS受信部32により検出される車両25の位置情報に基づき、車両25が建物10へ向けて移動しているか否かを判定し、車両25が建物10に向けて移動している場合に、車両25(ユーザ)が帰宅途中であるとみなし、建物10への到着予想時刻を算出するようにしてもよい。具体的には、車両25が建物10に向けて所定時間以上移動していることを判定した場合に、帰宅途中とみなして建物10への到着予想時刻を算出することが考えられる。このようにすれば、ユーザが外出先の目的地から建物10へ帰宅するに際し、カーナビ装置30に目的地設定を行わなかった場合でも、建物10への到着予想時刻が算出されるため、その到着予想時刻に基づき空調機11の通常運転を実施させることができる。
(7)例えば、ユーザがカーナビ装置30に目的地として建物10を設定した場合に、カーナビ装置30が建物10への到着予想時刻(帰宅予想時刻)を定期的に(所定時間ごとに)算出し、その算出の都度到着予想時刻をホームサーバ20へ送信するようにしてもよい。そして、ホームサーバ20が、到着予想時刻情報を受信する度に、受信した到着予想時刻情報に基づき、空調機11の通常運転の開始時刻を算出するようにしてもよい。この場合、最新の到着予想時刻情報に基づき、通常運転の開始時刻が算出されるため、より確実に快適性の確保を図ることができる。
(8)上記実施形態では、カーナビ装置30からホームサーバ20に目的地情報及び到着予想時刻情報を送信し、それら送信された各情報に基づき、ホームサーバ20が空調機11の省エネ制御を実施するようにした(具体的には、ステップS13〜S18の各処理を行うようにした)が、これを変更して、カーナビ装置30が、目的地情報及び到着予想時刻情報に基づき空調機11の省エネ制御を実施するようにしてもよい(各ステップS13〜S18の処理を行うようにしてもよい)。この場合、ステップS17,S18の省エネ制御に際しては、カーナビ装置30からホームサーバ20へ運転停止信号又は省エネ運転信号を送信するようにすればよい。
(9)上記実施形態では、車両25に搭載されたカーナビ装置30(案内装置に相当)を用いて空調機11の制御を行う場合について説明したが、カーナビ装置30以外の案内装置を用いて空調機11の制御を行ってもよい。例えば、ユーザにより携帯されるスマートフォン等の携帯端末には、目的地を入力するとその目的地までの経路案内を行う案内機能が設けられている場合がある。そこで、こうした案内機能付き(ナビアプリ付き)の携帯端末(案内装置に相当)を用いて空調機11の制御を行うようにしてもよい。かかる携帯端末にも目的地に到着する到着予想時刻を算出する機能が設けられているため、上記実施形態と同様の空調制御を実施することが可能となる。
また、携帯端末による経路案内では、電車等の公共交通機関を利用することを想定した経路案内が行われる場合がある。そこで、この場合に、公共交通機関の運行状況情報(例えば遅れ)を外部機関から受信し、その運行状況情報に基づき目的地への到着予想時刻を算出するようにしてもよい。