JP2019015561A - 炭素電極の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検体の測定前にできるだけ簡便に、かつ、物理的な破損を伴うことなく、炭素含有電極からの鉛の除去を行う。【解決手段】分析対象金属種である鉛を含むと想定される検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行うのに先立ち、前記測定容器中に洗浄用電解質溶液を導入し、前記一対の電極への電流印加を行う洗浄工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、ストリッピングによる電極上への濃縮とプラズマ発光とによる重金属の定量方法において、当該重金属が鉛であり、当該電極の少なくとも一方が炭素を含有する電極である場合の当該炭素含有電極の洗浄方法に関する。
下記特許文献1に示すように、ストリッピングによる電極上への検体中の重金属イオンの濃縮に引き続き、大電流を印加して当該重金属イオンからプラズマ発光を発生させてその発光量によって検体中の重金属イオンを定量する方法が開示されている。
特開2016−130734号公報
上記検体中の重金属イオンとして、鉛の定量を行う際、一対の電極の少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極、例えばカーボン電極である場合、定量が正確に行われないことがあった。これは、使用するカーボン電極に鉛が含まれていることに起因するものと考えられる。すなわち、検体中の測定対象である鉛が、カーボン電極に含まれる鉛の存在によって、正確な定量が妨げられるものと考えられる。したがって、検体を定量する前に、あらかじめ含有されている鉛をカーボン電極から洗浄により除去することが望ましい。
しかしながら、カーボン電極は物理的に脆い性質を有しているため、酸やアルカリといった化学物質による洗浄はできるだけ避けたいところである。また、物理的な力が作用する形での洗浄も望ましくない。
本発明は、検体の測定前にできるだけ簡便に、かつ、物理的な破損を伴うことなく、炭素含有電極からの鉛の除去を行うことを可能とすることを課題とする。
本発明の炭素含有電極の洗浄方法は、分析対象金属種である鉛を含むと想定される検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行うのに先立ち、前記測定容器中に洗浄用電解質溶液を導入し、前記一対の電極への電流印加を行う洗浄工程を含むことを特徴とする。
電気分解を利用した鉛の定量分析をするに際して、炭素含有電極に含有される鉛をあらかじめ洗浄して除去することで、検体中の鉛の定量を妨げずに、正確に定量することが可能となる。
本発明で用いられる測定容器の実施形態における要部の模式透視斜視図(A)及び(A)のI−I方向から見た模式断面図(B)である。 図1の測定容器を使用した洗浄工程の概要を示す模式断面図である。 図1の測定容器を使用したプラズマ分光分析における濃縮工程(A)及び検出工程(B)の概要を示す模式断面図である。 検出工程で得られる発光スペクトルの模式図である。 鉛の発光スペクトルを示す。
本発明の炭素含有電極の洗浄方法の態様は、前述のように、分析対象金属種である鉛を含むと想定される検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行う電気分解装置において、前記定量分析に先立ち、前記測定容器中に洗浄用電解質溶液を導入し、前記一対の電極への電流印加を行う洗浄工程を含むことを特徴とする。
本発明の方法が適用される定量分析は、例えば、所謂プラズマ分光分析方法であって、測定容器内に導入された液体の検体中に、一対の電極が設置され、これらの電極に所定の電流を印加(ストリッピング)して、まず、一方の電極の近傍に分析対象金属種としての鉛を濃縮(濃縮工程)させたのち、例えば、このストリッピングの際より大きな電流を印加することで、濃縮した分析対象金属種からのプラズマ発光を生じさせてこれを検出(検出工程)し、このプラズマ発光の発光量で分析対象金属種の定量を行うものである。
ここでいう検体とは、液体であるが、固体を、例えば、液体の媒体に懸濁、分散又は溶解した希釈液であってもよい。前記液体である検体としては、例えば、前記検体の原液をそのまま使用してもよいし、濃度が高すぎるような場合には、前記原液を、例えば、液体の媒体に懸濁、分散又は溶解した希釈液として使用してもよい。前記液体の媒体は、前記検体を懸濁、分散又は溶解可能なものであれば、特に制限されず、例えば、水、緩衝液等が挙げられる。前記検体は、例えば、生体由来の検体(試料)、環境由来の検体(試料)、金属、化学物質、医薬品等が挙げられる。前記生体由来の検体は、特に制限されず、例えば、尿、血液、毛髪、唾液、汗、爪等が挙げられる。前記血液検体は、例えば、赤血球、全血、血清、血漿等が挙げられる。前記生体は、例えば、ヒト、非ヒト動物、植物等が挙げられ、前記非ヒト動物は、例えば、ヒト以外の哺乳類、両生爬虫類、魚介類、昆虫類等が挙げられる。前記環境由来の検体は、特に制限されず、例えば、食品、水、土壌、大気、空気等が挙げられる。前記食品は、例えば、生鮮食品又は加工食品等が挙げられる。前記水は、例えば、飲料水、地下水、河川水、海水、生活排水等が挙げられる。
前記液体は、例えば、pHを調整したものでもよい。このような場合のpHは、被検物質の検出に資するものであれば特に制限されない。前記液体のpHは、例えば、アルカリ性試薬、酸性試薬等のpH調整試薬で調整できる。
前記アルカリ性試薬は、例えば、アルカリ又はその水溶液等が挙げられる。前記アルカリは、特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。前記アルカリの水溶液は、例えば、アルカリを水又は緩衝液で希釈したものが挙げられる。前記アルカリの水溶液において、前記アルカリの濃度は、特に制限されず、例えば、0.01〜5mol/Lである。
前記酸性試薬は、例えば、酸又はその水溶液等が挙げられる。前記酸は、特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、ホウ酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、硝酸等が挙げられる。前記酸の水溶液は、例えば、酸を水又は緩衝液で希釈したものが挙げられる。前記酸の水溶液において、前記酸の濃度は、特に制限されず、例えば、0.01〜5mol/Lである。
分析対象金属種は、本件発明では鉛(Pb)であって、液体としての検体中で電荷を有する状態、例えばイオンの状態で存在し得るものである。
また、前記液体は、例えば、前記検体中の分析対象金属種を分離するための試薬を含んでもよい。前記試薬は、例えば、キレート剤、マスキング剤等が挙げられる。前記キレート剤は、例えば、ジチゾン、チオプロニン、メソ−2,3−ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(DMPS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、αリポ酸等が挙げられる。本件分析方法において、「マスキング」は、SH基の反応性を不活性にすることを意味し、例えば、SH基の化学修飾により行うことができる。前記マスキング剤は、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、マレイミドプロピオン酸、ヨードアセトアミド、ヨード酢酸等が挙げられる。
濃縮工程とは、前記検体を測定容器に導入するとともに、該測定容器中に設置された一対の電極への電流印加により、一方の電極の近傍に前記検体中の鉛を濃縮する工程である。
一対の電極とは、電気分解における陽極と陰極との組み合わせをいう。前記電極は、固体電極であり、具体例として、棒電極等が挙げられる。前記電極の材料は、少なくとも一方が炭素を材質として含有する炭素含有電極であれば特に制限されず、固形導電材料であればよく、他方の電極は適宜決定できる。なお、ここでいう「少なくとも一方」の電極としての炭素含有電極は、前記検体中の鉛が濃縮される方の「一方の電極」を構成するものであっても、あるいはそうでなくても、いずれでもよい。前記炭素含有電極としては、所謂カーボン電極が挙げられる。前記他方の電極の材料は、例えば、非金属でもよいし、金属でもよいし、これらの混合物でもよい。また、前記他方の電極もまた炭素含有電極であってもよい。前記他方の電極の材料が非金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、例えば、1種類の非金属を含んでもよいし、2種類以上の非金属を含んでもよい。前記非金属は、例えば、炭素等が挙げられる。前記他方の電極の材料が金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、例えば、1種類の金属を含んでもよいし、2種類以上の金属を含んでもよい。前記金属は、例えば、金、白金、銅、亜鉛、スズ、ニッケル、パラジウム、チタン、モリブデン、クロム、鉄等が挙げられる。前記他方の電極の材料が2種類以上の金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、合金でもよい。前記合金は、例えば、真鍮、鋼、インコネル(登録商標)、ニクロム、ステンレス等が挙げられる。
前記電極の大きさは、前記測定容器内に少なくともその一部が収容されるものであれば、特に制限されない。なお、前記測定容器を、例えば量産可能なカートリッジ化しようとする場合、前記測定容器の大きさを極力小型化することが望ましい。その場合は、その測定容器の大きさに応じて、前記電極も小型化されることになる。また、この一対の電極のうち一方又は両方は、前記測定容器内にあらかじめユニットとして備え付けられるものであってもよいし、あるいは、測定の際に前記測定容器内に適宜挿入されるものであってもよい。
前記分析対象金属種としての鉛が濃縮される方の電極は、この濃縮工程においては、陰極である。
前記濃縮工程は、前述のように、検体の存在下、前記一対の電極への電流印加により、前記一方の電極の近傍に前記検体中の鉛を濃縮する工程である。前記一対の電極は、前記検体に接触している。前記濃縮工程において、前記一方の電極の近傍は、特に制限されず、例えば、後述する検出工程において、プラズマが発生する範囲、例えば前記一方の電極の表面が挙げられる。
前記濃縮工程においては、例えば、前記検体中の鉛の一部を前記一方の電極の近傍に濃縮することとしてもよいし、鉛の全部を前記一方の電極の近傍に濃縮することとしてもよい。
前記濃縮工程では、後述する検出工程において、鉛の検出に使用する方の電極、すなわちプラズマが発生する電極(以下、「プラズマ発生電極」ともいう。)が前記一方の電極となって、この電極に鉛が濃縮するように、前記一対の電極の電荷条件を設定することが好ましい。前記電荷条件は、鉛は金属イオンとして正の電荷を有するので、前記一方の電極(すなわち、前記プラズマ発生電極)が前記濃縮工程では陰極となるように電流方向を設定すればよい。
鉛の濃縮は、例えば、電圧によって調節できる。このため、当業者であれば、前記濃縮が生ずる電圧(以下、「濃縮電圧」ともいう。)を適宜設定できる。前記濃縮電圧は、例えば、1mV以上、望ましくは400mV以上であり、その上限は、特に制限されない。前記濃縮電圧は、例えば、一定でもよいし、変動することとしてもよい。また、前記濃縮電圧は、例えば、プラズマが発生しない電圧でもよい。
前記濃縮電圧を印加する時間は、特に制限されず、前記濃縮電圧に応じて、適宜設定できる。前記濃縮電圧を印加する時間は、例えば、0.2〜40分、望ましくは5〜20分である。前記一対の電極への電圧印加は、例えば、連続的に印加してもよいし、非連続的に印加してもよい。前記非連続的な印加は、例えば、パルス印加が挙げられる。前記濃縮電圧の印加が非連続的な場合、前記濃縮電圧を印加する時間は、例えば、前記濃縮電圧を印加している時間の合計の時間でもよいし、前記濃縮電圧を印加している時間と前記濃縮電圧を印加していない時間との合計の時間でもよい。
前記一対の電極への電圧の印加を行う手段としての電圧印加手段は、特に制限されず、例えば、前記一対の電極間に所定の電圧を印加できればよく、公知の手段として電圧器等が使用できる。前記濃縮工程において、前記一対の電極間に印加する電流は、例えば、0.01〜200mA、望ましくは10〜60mA、より望ましくは10〜40mAに設定できる。
前記検出工程は、前述のように、前記一対の電極への前記濃縮工程の際よりも、例えば、大きな電流を印加することによりプラズマを発生させ、前記プラズマにより生じた鉛の発光を検出する。
ここで、前記検出工程における電流の方向は、前記濃縮工程の際の電流の方向と同じであってもよい。しかしながら、前記電圧印加手段は、電圧を印加する際の電流の方向を切り替え可能に形成され、前記プラズマを発生させる際の電流の方向は、鉛の濃縮の際の電流の方向とは反対であることが望ましい。
具体的には、前記濃縮工程において、鉛が正の電荷を有するので、前記検出工程では前記プラズマ発生電極としての前記一方の電極が陽極となるように前記電圧印加手段からの電流方向を設定すればよい。
前記検出工程は、前記濃縮工程と連続的に行ってもよいし、非連続的に行ってもよい。前者の場合、前記検出工程は、前記濃縮工程の終了と同時に前記検出工程を行う。後者の場合、前記検出工程は、前記濃縮工程の終了後から所定時間内に検出工程を行う。前記所定時間は、例えば、前記濃縮工程後、0.001〜1,000秒、望ましくは1〜10秒である。
前記検出工程において、「プラズマを発生させる」とは、プラズマを実質的に発生させることであり、具体的には、プラズマ発光の検出において、実質的に検出可能な発光を示すプラズマの発生を意味する。具体例として、プラズマ発光の検出器により、プラズマ発光が検出可能であるといえる。
実質的なプラズマの発生は、例えば、電圧によって調節できる。このため、当業者であれば、実質的に検出可能な発光を示すプラズマを発生させるための電圧(以下、「プラズマ発生電圧」ともいう。)は、適宜設定できる。前記プラズマ発生電圧は、例えば、10V以上、望ましくは100V以上であり、その上限は、特に制限されない。前記プラズマが発生する電圧は、例えば、前記濃縮が起こる電圧に対して、相対的に高い電圧である。このため、前記プラズマ発生電圧は、前記濃縮電圧に対して、高い電圧であることが好ましい。前記プラズマ発生電圧は、例えば、一定でもよいし、変動してもよい。
前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、特に制限されず、前記プラズマ発生電圧に応じて、適宜設定できる。前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、例えば、0.001〜0.02秒、望ましくは0.001〜0.01秒である。前記一対の電極への前記プラズマ発生電圧は、例えば、連続的に印加してもよいし、非連続的に印加してもよい。前記非連続的な印加としては、例えば、パルス印加が挙げられる。前記プラズマ発生電圧の印加が非連続的な場合、前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、例えば、1回の前記プラズマ発生電圧を印加している時間でもよいし、前記プラズマ発生電圧を印加している時間の合計の時間でもよいし、前記プラズマ発生電圧を印加している時間と前記プラズマ発生電圧を印加していない時間との合計の時間でもよい。
前記検出工程において、前記発生したプラズマ発光は、例えば、連続的に検出してもよいし、非連続的に検出してもよい。前記発光の検出は、例えば、発光の有無の検出、発光の強度の検出、特定の波長の検出、スペクトルの検出等が挙げられる。前記特定の波長の検出は、例えば、前記分析対象物が、プラズマ発光時に発する特有の波長の検出が挙げられる。前記発光の検出方法は、特に制限されず、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、分光器等の公知の光学測定機器が利用できる。
前記検出工程における前記一対の電極への前記プラズマ発生電圧の印加は、前記濃縮工程で用いられた電圧印加手段により、より高電圧で、望ましくはその電流方向を反対にして行うことができる。前記検出工程において、前記電極間の電流は、前記プラズマ発生電圧が前記濃縮電圧より相対的に高いため、前記濃縮工程より相対的に大きなものとなり、例えば、0.01〜100,000mA、望ましくは50〜2,000mAに設定することができる。
ここで、前記炭素含有電極、例えばカーボン電極は鉛を含んでいることが多いため、電気分解を利用して検体中の鉛を検出しようと試みる際には、その電極中の鉛が検体中に溶出するなどして、実際の鉛の量よりも多く定量されてしまう可能性がある。そのため、上記した定量分析に先立ち、前記炭素含有電極を洗浄して鉛を除去しておく必要がある。
具体的には、前記一対の電極が設置されている前記測定容器中に、洗浄用電解質溶液を導入し、前記一対の電極へ、前記濃縮工程で行うのと同様に、電流印加(ストリッピング)を行うことで前記洗浄工程が実施される。
この際、前記測定容器中で前記一対の電極間で通電を可能とするために、電解質の水溶液が前記洗浄用電解質溶液として前記測定容器中に導入される。ここでいう電解質としては、水に溶解して電離するものであれば特に限定されない。例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アンモニウム、水酸化マンガン、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、炭酸カリウム、塩化カリウムが挙げられるが、上記のうちでより好ましいのは水酸化物である。
この洗浄工程における前記電流印加は、通電及び断電を所定時間繰り返してから前記洗浄用電解質溶液を捨てることを1セットとし、これを1セット以上5セット以下行うことが望ましい。
また、前記電流印加の1セットとして、電圧は1mV以上、電流は10〜40mAを2秒通電及び2秒断電を0.2〜40分間にわたり繰り返すことが望ましい。
本件発明の実施形態で用いられる測定容器の一例について、図面を参照し説明する。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
図1において、(A)は、本実施形態で用いられる測定容器10の模式透視斜視図であり、(B)は、(A)において、I−I方向からみた模式断面図である。図1(A)及び(B)に示すように、本実施形態で用いられる測定容器10は、内部に一対の電極(プラズマ発生電極20及びプラズマ不発生電極30)を含む。測定容器10は、側面の一部が平面状に削ぎ落とされたような略円筒形状を呈し、その平面部分に円形の透光部11を含む。測定容器10の外部には、プラズマ発生電極20及びプラズマ不発生電極30への電流印加により発生した発光を、透光部11を通して鉛の発光を受光可能に配置された受光部40が配置されている。また、プラズマ発生電極20は、液体である検体60の液面61に対して平行に配置され、その先端は、透光部11と当接するように配置されている。円筒形状のプラズマ不発生電極30は、その側面の一部を測定容器10の側面の、前記透光部11と対向する側に、鉛直方向と直角に交わるように配置され、測定容器10の内部にその一部が露出している。すなわち、プラズマ不発生電極30の長手方向とプラズマ発生電極20の長手方向とは互いにねじれの位置にある。プラズマ発生電極20は、絶縁体22により被覆されている。鉛を含むと想定される検体60は、測定容器10の筒内に、プラズマ発生電極20及びプラズマ不発生電極30と接するように導入される。
本実施形態において、プラズマ発生電極20は、その表面の大部分が絶縁体22により被覆されている。そして、絶縁体22に被覆されていない部分が、接液部分21となっている。一方、プラズマ不発生電極30は、炭素含有電極としてのカーボン電極である。
本実施形態において、プラズマ発生電極20と透光部11とは接しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、プラズマ発生電極20が透光部11から離れて配置されてもよい。プラズマ発生電極20と透光部11との距離は、特に制限されず、例えば、0〜0.5cmである。
透光部11の材料は、特に制限されず、例えば、プラズマ発生電極20及びプラズマ不発生電極30への電流印加により発生した発光を透過する材料であればよく、前記発光の波長に応じて、適宜設定できる。透光部11の材料は、例えば、石英ガラス、アクリル樹脂(PMMA)、ホウケイ酸ガラス、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、メチルペンテンポリマー(TPX(登録商標))等が挙げられる。透光部11の大きさは、特に制限されず、プラズマ発生電極20及びプラズマ不発生電極30への電流印加により発生した発光を透光可能な大きさであればよい。
本実施形態において、測定容器10は、側面の一部を長手方向に沿って平面状に削いだ形の有底円筒状であるが、測定容器10の形状はこれに限定されず、任意の形状としてよい。測定容器10の材料は、特に制限されず、例えば、アクリル樹脂(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。測定容器10が有底筒状である場合、測定容器10の直径は、例えば、0.3〜1cmであり、その高さは、例えば、0.9〜5cmである。この測定容器10には0.3〜0.8cmの検体60が導入される。
受光部40は、特に制限されず、例えば、CCD、分光器等の公知の光学測定機器が挙げられる。受光部40は、例えば、前記光学測定機器に前記発光を伝送する伝送手段でもよい。前記伝送手段としては、例えば、光ファイバー等の伝送路が挙げられる。
測定容器10の製造方法は、特に制限されず、例えば、射出成型等により、成型体を製造してもよいし、プレート等の基材に凹部を形成することで製造してもよい。その他、測定容器10等の製造方法は、特に制限されず、例えば、リソグラフィ、切削加工等が挙げられる。
水溶液としての検体60中に存在している鉛イオンを定量分析する場合について概要を説明する。
まず、測定容器10に検体を導入する前に、前記洗浄工程として、図2に示すように、測定容器10内に洗浄用電解質溶液70を導入した状態で、電圧印加手段50によって、プラズマ発生電極20が陰極となり、プラズマ不発生電極30が陽極となるように電圧が印加される。すると、プラズマ不発生電極30を構成する炭素含有電極に鉛が含まれていると、この鉛が洗浄用電解質溶液70に鉛イオンとして溶出させた後、電圧の印加を停止し、測定容器10からこの洗浄用電解質溶液70を廃棄する。この手順を数回繰り返す。
上記洗浄工程の終了後、今度は測定容器10内に検体60を導入した状態で、前記濃縮工程として、図3(A)に示すように、電圧印加手段50によって、プラズマ発生電極20が陰極となり、プラズマ不発生電極30が陽極となるように電圧が印加される。すると、検体60中に存在している鉛イオンが陰極であるプラズマ発生電極20の接液部分21に引き寄せられる。このとき、前記洗浄工程によって、プラズマ不発生電極30から溶出する鉛は極力低減することとなっている。
次に、前記検出工程として、図3(B)に示すように、電圧印加手段50によって、今度はプラズマ発生電極20が陽極となり、プラズマ不発生電極30が陰極となるように電圧が印加される。すると、先の濃縮工程によってプラズマ発生電極20の接液部分21の周辺に引き寄せられていた鉛イオンからプラズマ発光が発生し、これが透光部11を通過して受光部40により受光され検出されることになる。ここで検出される光は、検体60中に含まれている鉛に起因するものであって、炭素含有電極としてのプラズマ不発生電極30に含有されていた鉛の影響は前記洗浄工程によって極力排除されることとなっている。
ここで、この検出工程にて得られた発光スペクトルが図4の通りであったとする。なお、図中、Wは分析波長、Pは波長Wにおけるピーク発光量、Bはピーク発光量Pに対応するベース発光量とする。
この場合、鉛の分析発光量Eを、例えば下式のように定義することができる。
E=(P−B)/B=P/B−1
(1)測定容器及び電極
前記測定容器10として、有底筒状の透明PMMA製セル(高さ28mm×直径(最大径部分)φ7mm)を準備した。前記測定容器10の側面の前記平面部分の下端付近には、前記透光部11としての石英ガラス(直径4.5mm、厚さ0.3mm)を配置した。前記測定容器10内に、前記プラズマ発生電極20及び前記プラズマ不発生電極30を配置した。前記プラズマ発生電極20は、前記液面61に対して平行に配置した。そして、前記プラズマ発生電極20の先端が、前記透光部11に当接するように配置した。前記プラズマ発生電極20として、直径0.1mmのニクロム線を使用した。一方、前記プラズマ不発生電極30としては、直径4.0mmの炭素棒を使用した。前記プラズマ不発生電極30は、その側面の一部を測定容器10の側面の、前記透光部11と対向する側に、鉛直方向と直角に交わるように配置され、測定容器10の内部にその一部が露出している。すなわち、前記プラズマ不発生電極30の長手方向と前記プラズマ発生電極20の長手方向とは互いにねじれの位置にある。また、前記透光部11を介して、前記プラズマ発生電極20の先端と対面するように、受光部40としての光ファイバーを配置した。前記光ファイバーは、直径400μm単芯のものを使用した。また、前記光ファイバーは、凹面グレーティング方式の分光器(図示せず)に接続した。
(2)洗浄工程
前記測定容器10に、前記洗浄用電解質溶液70として2mol/Lに調整した水酸化リチウム水溶液900μLを導入した。これを測定装置にセットし、以下のストリッピング条件で電流印加を行った。
印加電圧:5V
印加電流:20mA
電流ON/OFF周期:2秒ON、2秒OFF
電流ON/OFFDuty:50%
印加時間:10分
上記電流印加終了後、測定容器10から洗浄用電解質溶液70を廃棄した。
なお、実施例1では上記手順を1回のみ行い、実施例2では上記手順を3回繰り返し、比較例では上記手順は行わなかった。
上記手順を規定回数行った後、蒸留水900μLでの洗浄を2回行った。
(3)プラズマ分光分析
上記実施例及び比較例の電極を用いた鉛のプラズマ分光分析による発光量の測定は、以下の通りに行った。
まず、2mol/Lに調整した水酸化リチウム水溶液20体積部にエタノールを1体積部の割合で添加して混和したものを測定液とし、この測定液420μLを測定容器10に導入した。
そして、濃縮工程として、プラズマ発生電極20が陰極となり、プラズマ不発生電極30が陽極となるように、下記の濃縮条件で電流を印加し、プラズマ発生電極20の近傍に鉛イオンを濃縮した。なお、下記印加電流は定電流であり、印加される電圧は測定液の抵抗に応じて変動することとなっている。
(濃縮条件)
印加電流: 20mA
パルス周期:4秒
Duty(パルス比):50%
印加時間:600秒
上記濃縮工程直後に、検出工程として、今度は前記プラズマ発生電極20が陽極となり、前記プラズマ不発生電極30が陰極となるように、下記の検出条件で電圧を印加し、発生したプラズマ発光の各波長における発光強度(カウント値)を測定した。なお、下記印加電圧は定電圧であり、印加される電流は測定液の抵抗に応じて変動することとなっているが、前記濃縮条件における印加電流よりは大きな値となる。
(検出条件)
印加電圧:500V
パルス周期:50μ秒
Duty:50%
印加時間:2.5m秒
なお、波長368nmにおける鉛の特異的ピーク(図5参照)におけるカウント値についてバックグラウンドのカウント値で除した値をPb分析発光量とした。
上記測定結果は下記表1の通りであった。
なお、上記表1中の「測定回数」とは、同じ電極で、前記測定液を取り替えて測定した回数をいう。
前記測定液には鉛は含まれていないため、本来であれば、プラズマ分光分析によっては鉛のピークは観察されないはずである。しかし、上記表1に示すように、比較例では12回の測定の平均が0.45もの値のPb分析発光量が観察された。これは、カーボン電極であるプラズマ不発生電極30から溶出した鉛イオンによるものであることは明らかである。
そして、前記洗浄工程を1回行った実施例1では、6回の測定の平均が0.14と、Pb発光量が比較例の約3分の1に減少した。これは、洗浄工程によって、カーボン電極であるプラズマ不発生電極30に含まれている鉛が除去されたことを示している。
なお、前記洗浄工程を3回行った実施例2では、12回の測定の平均が0.11と、Pb分析発光量が比較例の約4分の1にまで減少した。しかし、実施例1との差は小さく、3回の洗浄工程であらかじめ除去可能な鉛はほぼ除去され尽くしているものと推測された。
よって、洗浄工程を繰り返す回数は、その後にプラズマ分光分析を行うという時間的制約や、また、かえって炭素含有電極を洗浄工程により痛める可能性もあるため、多くても5回程度が上限であり、3回で鉛は十分除去され尽くされるものと推測される。
本件発明は、検体中の鉛のプラズマ分光分析において炭素含有電極を使用する場合に利用可能である。
10 測定容器
11 透光部
20 プラズマ発生電極
21 接液部分
22 絶縁体
30 プラズマ不発生電極
40 受光部
50 電圧印加手段
60 検体
61 液面
70 洗浄用電解質溶液

Claims (3)

  1. 分析対象金属種である鉛を含むと想定される検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行うのに先立ち、前記測定容器中に洗浄用電解質溶液を導入し、前記一対の電極への電流印加を行う洗浄工程を含むことを特徴とする炭素含有電極の洗浄方法。
  2. 前記洗浄工程における前記電流印加は、通電及び断電を所定時間繰り返してから前記洗浄用電解質溶液を捨てることを1セットとし、これを1セット以上5セット以下行うことを特徴とする請求項1記載の炭素含有電極の洗浄方法。
  3. 前記電流印加の1セットとして、電圧は1mV以上、電流は10〜40mAを2秒通電及び2秒断電を0.2〜40分間にわたり繰り返すことを特徴とする請求項2記載の炭素含有電極の洗浄方法。
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