JP6909702B2 - 測定容器及び測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ストリッピングによる電極上への濃縮とプラズマ発光とによる重金属の定量方法において、当該重金属が鉛であり、当該電極の少なくとも一方が炭素を含有する炭素含有電極である場合の当該炭素含有電極の処理方法及びそのような炭素含有電極が設置された測定容器に関する。
下記特許文献1に示すように、ストリッピングによる電極上への検体中の重金属イオンの濃縮に引き続き、大電流を印加して当該重金属イオンからプラズマ発光を発生させてその発光量によって検体中の重金属イオンを定量する方法が開示されている。
特開2016−130734号公報
上記検体中の重金属イオンとして、鉛の定量を行う際、一対の電極の少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極、例えばカーボン電極である場合、定量が正確に行われないことがあった。これは、使用するカーボン電極に鉛が含まれていることに起因するものと考えられる。すなわち、検体中の測定対象である鉛が、カーボン電極に含まれる鉛の存在によって、正確な定量が妨げられるものと考えられる。したがって、検体を定量する前に、あらかじめ含有されている鉛をカーボン電極から洗浄により除去することが望ましい。
しかしながら、カーボン電極は物理的に脆い性質を有しているため、酸やアルカリといった化学物質による洗浄はできるだけ避けたいところである。また、物理的な力が作用する形での洗浄も望ましくない。したがって、洗浄という手段を講ずることなくカーボン電極に含まれている鉛がプラズマ発光に影響を与えないようにすることができるような処理を施すことが望ましい。
本発明は、検体の測定前にできるだけ簡便に、かつ、物理的な破損を伴うことなく、炭素含有電極に含まれている鉛がプラズマ発光に影響を与えることを防ぐための処理を施すことを可能とすることを課題とする。
本発明の炭素含有電極の処理方法は、分析対象金属種である鉛を含む検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行うのに先立ち、前記炭素を材質として含有する電極である炭素含有電極に対し、疎水性含浸剤への浸漬処理を施すことを特徴とする。
なお、前記疎水性含浸剤は、親油性含浸剤、特にパラフィンであることが望ましい。また、前記浸漬処理の際、加温することが望ましい。
本発明の測定容器は、分析対象金属種である鉛を含む検体を測定するために用いられ、かつ、一対の電極が内部に設置されるものであって、前記一対の電極のうち少なくとも一方は、炭素を材質として含有する電極である炭素含有電極であって、前記炭素含有電極は、疎水性含浸剤への浸漬処理が施されていることを特徴とする。
なお、前記疎水性含浸剤は、親油性含浸剤、特にパラフィンであることが望ましい。
本発明の測定方法は、前記測定容器に分析対象金属種である鉛を含む検体を導入する工程と、前記一対の電極に、前記炭素含有電極が陰極となるように電圧を印加して前記検体中の鉛を他方の電極の周囲において濃縮させる濃縮工程と、前記一対の電極に、前記炭素含有電極が陽極となるように電圧を印加して前記他方の電極の周囲に濃縮した鉛からプラズマ発光を発生させて該プラズマ発光を検出する検出工程と、を含んでなる。
電気分解を利用した鉛の定量分析をするに際して、炭素含有電極に対し疎水性含浸剤への浸漬処理を施して炭素素材の細孔に疎水性含浸剤を含浸させることで、炭素含有電極に含有される鉛が検体中の鉛の定量を妨げることなく、正確に定量することが可能となる。
本発明で用いられる測定容器の実施形態における要部の模式透視斜視図(A)及び(A)のI−I方向から見た模式断面図(B)である。 図1の測定容器を使用したプラズマ分光分析における濃縮工程(A)及び検出工程(B)の概要を示す模式断面図である。 検出工程で得られる発光スペクトルの模式図である。 鉛の発光スペクトルを示す。
本発明の炭素含有電極の処理方法の態様は、前述のように、分析対象金属種である鉛を含む検体を、測定容器中に設置される少なくとも一方が炭素を材質として含有する電極である一対の電極への電流印加を通じて当該鉛の定量分析を行う電気分解装置において、前記定量分析に先立ち、前記炭素を材質として含有する電極である炭素含有電極に対し、疎水性含浸剤への浸漬処理を施すことを特徴とする。
本発明の方法が適用される定量分析は、例えば、所謂プラズマ分光分析方法であって、測定容器内に導入された液体の検体中に、一対の電極が設置され、これらの電極に所定の電流を印加(ストリッピング)して、まず、一方の電極の近傍に分析対象金属種としての鉛を濃縮(濃縮工程)させたのち、例えば、このストリッピングの際より大きな電流を印加することで、濃縮した分析対象金属種からのプラズマ発光を生じさせてこれを検出(検出工程)し、このプラズマ発光の発光量で分析対象金属種の定量を行うものである。
ここでいう検体とは、液体であるが、固体を、例えば、液体の媒体に懸濁、分散又は溶解した希釈液であってもよい。前記液体である検体としては、例えば、前記検体の原液をそのまま使用してもよいし、濃度が高すぎるような場合には、前記原液を、例えば、液体の媒体に懸濁、分散又は溶解した希釈液として使用してもよい。前記液体の媒体は、前記検体を懸濁、分散又は溶解可能なものであれば、特に制限されず、例えば、水、緩衝液等が挙げられる。前記検体は、例えば、生体由来の検体(試料)、環境由来の検体(試料)、金属、化学物質、医薬品等が挙げられる。前記生体由来の検体は、特に制限されず、例えば、尿、血液、毛髪、唾液、汗、爪等が挙げられる。前記血液検体は、例えば、赤血球、全血、血清、血漿等が挙げられる。前記生体は、例えば、ヒト、非ヒト動物、植物等が挙げられ、前記非ヒト動物は、例えば、ヒト以外の哺乳類、両生爬虫類、魚介類、昆虫類等が挙げられる。前記環境由来の検体は、特に制限されず、例えば、食品、水、土壌、大気、空気等が挙げられる。前記食品は、例えば、生鮮食品又は加工食品等が挙げられる。前記水は、例えば、飲料水、地下水、河川水、海水、生活排水等が挙げられる。
前記液体は、例えば、pHを調整したものでもよい。このような場合のpHは、被検物質の検出に資するものであれば特に制限されない。前記液体のpHは、例えば、アルカリ性試薬、酸性試薬等のpH調整試薬で調整できる。
前記アルカリ性試薬は、例えば、アルカリ又はその水溶液等が挙げられる。前記アルカリは、特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。前記アルカリの水溶液は、例えば、アルカリを水又は緩衝液で希釈したものが挙げられる。前記アルカリの水溶液において、前記アルカリの濃度は、特に制限されず、例えば、0.01〜5mol/Lである。
前記酸性試薬は、例えば、酸又はその水溶液等が挙げられる。前記酸は、特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、ホウ酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、硝酸等が挙げられる。前記酸の水溶液は、例えば、酸を水又は緩衝液で希釈したものが挙げられる。前記酸の水溶液において、前記酸の濃度は、特に制限されず、例えば、0.01〜5mol/Lである。
分析対象金属種は、本件発明では鉛(Pb)であって、液体としての検体中で電荷を有する状態、例えばイオンの状態で存在し得るものである。
また、前記液体は、例えば、前記検体中の分析対象金属種を分離するための試薬を含んでもよい。前記試薬は、例えば、キレート剤、マスキング剤等が挙げられる。前記キレート剤は、例えば、ジチゾン、チオプロニン、メソ−2,3−ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(DMPS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、αリポ酸等が挙げられる。本件分析方法において、「マスキング」は、SH基の反応性を不活性にすることを意味し、例えば、SH基の化学修飾により行うことができる。前記マスキング剤は、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、マレイミドプロピオン酸、ヨードアセトアミド、ヨード酢酸等が挙げられる。
濃縮工程とは、前記検体を測定容器に導入するとともに、該測定容器中に設置された一対の電極への電流印加により、一方の電極の近傍に前記検体中の鉛を濃縮する工程である。
一対の電極とは、電気分解における陽極と陰極との組み合わせをいう。前記電極は、固体電極であり、具体例として、棒電極等が挙げられる。前記電極の材料は、少なくとも一方が炭素を材質として含有する炭素含有電極であれば特に制限されず、他方の電極は適宜決定できる。なお、ここでいう「少なくとも一方」の電極としての炭素含有電極は、前記検体中の鉛が濃縮される方の「一方の電極」を構成するものであっても、あるいはそうでなくても、いずれでもよい。前記炭素含有電極としては、所謂カーボン電極が挙げられる。前記他方の電極の材料は、例えば、非金属でもよいし、金属でもよいし、これらの混合物でもよい。また、前記他方の電極もまた炭素含有電極であってもよい。前記他方の電極の材料が非金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、例えば、1種類の非金属を含んでもよいし、2種類以上の非金属を含んでもよい。前記非金属は、例えば、炭素等が挙げられる。前記他方の電極の材料が金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、例えば、1種類の金属を含んでもよいし、2種類以上の金属を含んでもよい。前記金属は、例えば、金、白金、銅、亜鉛、スズ、ニッケル、パラジウム、チタン、モリブデン、クロム、鉄等が挙げられる。前記他方の電極の材料が2種類以上の金属を含む場合、前記他方の電極の材料は、合金でもよい。前記合金は、例えば、真鍮、鋼、インコネル(登録商標)、ニクロム、ステンレス等が挙げられる。
前記電極の大きさは、前記測定容器内に少なくともその一部が収容されるものであれば、特に制限されない。なお、前記測定容器を、例えば量産可能なカートリッジ化しようとする場合、前記測定容器の大きさを極力小型化することが望ましい。その場合は、その測定容器の大きさに応じて、前記電極も小型化されることになる。また、この一対の電極のうち一方又は両方は、前記測定容器内にあらかじめユニットとして備え付けられるものであってもよいし、あるいは、測定の際に前記測定容器内に適宜挿入されるものであってもよい。
前記分析対象金属種としての鉛が濃縮される方の電極は、この濃縮工程においては、陰極である。
前記濃縮工程は、前述のように、検体の存在下、前記一対の電極への電流印加により、前記一方の電極の近傍に前記検体中の鉛を濃縮する工程である。前記一対の電極は、前記検体に接触している。前記濃縮工程において、前記一方の電極の近傍は、特に制限されず、例えば、後述する検出工程において、プラズマが発生する範囲、例えば前記一方の電極の表面が挙げられる。
前記濃縮工程においては、例えば、前記検体中の鉛の一部を前記一方の電極の近傍に濃縮することとしてもよいし、鉛の全部を前記一方の電極の近傍に濃縮することとしてもよい。
前記濃縮工程では、後述する検出工程において、鉛の検出に使用する方の電極、すなわちプラズマが発生する電極(以下、「プラズマ発生電極」ともいう。)が前記一方の電極となって、この電極に鉛が濃縮するように、前記一対の電極の電荷条件を設定することが好ましい。前記電荷条件は、鉛は金属イオンとして正の電荷を有するので、前記一方の電極(すなわち、前記プラズマ発生電極)が前記濃縮工程では陰極となるように電流方向を設定すればよい。
鉛の濃縮は、例えば、電圧によって調節できる。このため、当業者であれば、前記濃縮が生ずる電圧(以下、「濃縮電圧」ともいう。)を適宜設定できる。前記濃縮電圧は、例えば、1mV以上、望ましくは400mV以上であり、その上限は、特に制限されない。前記濃縮電圧は、例えば、一定でもよいし、変動することとしてもよい。また、前記濃縮電圧は、例えば、プラズマが発生しない電圧でもよい。
前記濃縮電圧を印加する時間は、特に制限されず、前記濃縮電圧に応じて、適宜設定できる。前記濃縮電圧を印加する時間は、例えば、0.2〜40分、望ましくは5〜20分である。前記一対の電極への電圧印加は、例えば、連続的に印加してもよいし、非連続的に印加してもよい。前記非連続的な印加は、例えば、パルス印加が挙げられる。前記濃縮電圧の印加が非連続的な場合、前記濃縮電圧を印加する時間は、例えば、前記濃縮電圧を印加している時間の合計の時間でもよいし、前記濃縮電圧を印加している時間と前記濃縮電圧を印加していない時間との合計の時間でもよい。
前記一対の電極への電圧の印加を行う手段としての電圧印加手段は、特に制限されず、例えば、前記一対の電極間に所定の電圧を印加できればよく、公知の手段として電圧器等が使用できる。前記濃縮工程において、前記一対の電極間に印加する電流は、例えば、0.01〜200mA、望ましくは10〜60mA、より望ましくは10〜40mAに設定できる。
前記検出工程は、前述のように、前記一対の電極への前記濃縮工程の際よりも、例えば、大きな電流を印加することによりプラズマを発生させ、前記プラズマにより生じた鉛の発光を検出する。
ここで、前記検出工程における電流の方向は、前記濃縮工程の際の電流の方向と同じであってもよい。しかしながら、前記電圧印加手段は、電圧を印加する際の電流の方向を切り替え可能に形成され、前記プラズマを発生させる際の電流の方向は、鉛の濃縮の際の電流の方向とは反対であることが望ましい。
具体的には、前記濃縮工程において、鉛が正の電荷を有するので、前記検出工程では前記プラズマ発生電極としての前記一方の電極が陽極となるように前記電圧印加手段からの電流方向を設定すればよい。
前記検出工程は、前記濃縮工程と連続的に行ってもよいし、非連続的に行ってもよい。前者の場合、前記検出工程は、前記濃縮工程の終了と同時に前記検出工程を行う。後者の場合、前記検出工程は、前記濃縮工程の終了後から所定時間内に検出工程を行う。前記所定時間は、例えば、前記濃縮工程後、0.001〜1,000秒、望ましくは1〜10秒である。
前記検出工程において、「プラズマを発生させる」とは、プラズマを実質的に発生させることであり、具体的には、プラズマ発光の検出において、実質的に検出可能な発光を示すプラズマの発生を意味する。具体例として、プラズマ発光の検出器により、プラズマ発光が検出可能であるといえる。
実質的なプラズマの発生は、例えば、電圧によって調節できる。このため、当業者であれば、実質的に検出可能な発光を示すプラズマを発生させるための電圧(以下、「プラズマ発生電圧」ともいう。)は、適宜設定できる。前記プラズマ発生電圧は、例えば、10V以上、望ましくは100V以上であり、その上限は、特に制限されない。前記プラズマが発生する電圧は、例えば、前記濃縮が起こる電圧に対して、相対的に高い電圧である。このため、前記プラズマ発生電圧は、前記濃縮電圧に対して、高い電圧であることが好ましい。前記プラズマ発生電圧は、例えば、一定でもよいし、変動してもよい。
前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、特に制限されず、前記プラズマ発生電圧に応じて、適宜設定できる。前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、例えば、0.001〜0.02秒、望ましくは0.001〜0.01秒である。前記一対の電極への前記プラズマ発生電圧は、例えば、連続的に印加してもよいし、非連続的に印加してもよい。前記非連続的な印加としては、例えば、パルス印加が挙げられる。前記プラズマ発生電圧の印加が非連続的な場合、前記プラズマ発生電圧を印加する時間は、例えば、1回の前記プラズマ発生電圧を印加している時間でもよいし、前記プラズマ発生電圧を印加している時間の合計の時間でもよいし、前記プラズマ発生電圧を印加している時間と前記プラズマ発生電圧を印加していない時間との合計の時間でもよい。
前記検出工程において、前記発生したプラズマ発光は、例えば、連続的に検出してもよいし、非連続的に検出してもよい。前記発光の検出は、例えば、発光の有無の検出、発光の強度の検出、特定の波長の検出、スペクトルの検出等が挙げられる。前記特定の波長の検出は、例えば、前記分析対象物が、プラズマ発光時に発する特有の波長の検出が挙げられる。前記発光の検出方法は、特に制限されず、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、分光器等の公知の光学測定機器が利用できる。
前記検出工程における前記一対の電極への前記プラズマ発生電圧の印加は、前記濃縮工程で用いられた電圧印加手段により、より高電圧で、望ましくはその電流方向を反対にして行うことができる。前記検出工程において、前記電極間の電流は、前記プラズマ発生電圧が前記濃縮電圧より相対的に高いため、前記濃縮工程より相対的に大きなものとなり、例えば、0.01〜100,000mA、望ましくは50〜2,000mAに設定することができる。
ここで、前記炭素含有電極、例えばカーボン電極は鉛を含んでいることが多いため、電気分解を利用して検体中の鉛を検出しようと試みる際には、その電極中の鉛が検体中に溶出するなどして、実際の鉛の量よりも多く定量されてしまう可能性がある。そのため、上記した定量分析に先立ち、前記炭素含有電極に対し、疎水性含浸剤への浸漬処理を施しておく必要がある。
例えば、液状の疎水性含浸剤に炭素含有電極を所定の時間浸漬し、その後、表面の疎水性含浸剤を拭き取ることをもって前記浸漬処理とすることができる。炭素含有電極には材質の炭素に起因した細孔が無数に存在するが、この浸漬処理によって、この細孔中に疎水性含浸剤を浸透させて表面をコーティングしておくことで、前記濃縮工程や検出工程において検体がこの細孔に侵入することを極力防止し、それにより炭素含有電極に含まれる鉛が検体中に溶出することを防止することができる。
ここで、前記疎水性含浸剤とは、化学的な性質が疎水性である物質をいう。すなわち、分子構造中に親水基を含まないような物質をいう。例えば、パラフィン、ワックス、油脂のような親油性含浸剤や、疎水性の無機高分子化合物として液体ガラス、液体セラミック等が、前記疎水性含浸剤の例として挙げられる。
前記親油性含浸剤の例として挙げられるパラフィンは、C2n+2で表される脂肪族飽和炭化水素であるが、炭素数5以上の常温で液体のもの、炭素数15以上で常温で固体状のもの、又は液体混合物となった流動パラフィン若しくはパラフィン油が用いられる。
ワックスは、脂肪酸と一価又は二価の高級アルコールのエステルを主成分とするものであって、常温で固体あるいは液体のものが用いられる。例えば、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、モンタン酸エステル、セバシン酸エステル等の脂肪酸エステル、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス等の天然ワックスなどが挙げられる。
油脂は、脂肪酸のグリセリンエステルを主成分とするものであり、通常常温で固体状のものが用いられる。例えば、大豆油、あまに油、ひまし油、やし油、桐油、サフラワー油等の植物性油脂、魚油等の動物性油脂といった天然由来の油脂、脂肪酸のグリセリンエステルを主成分とする人造の油脂などがあげられる。
これらのパラフィン、ワックス及び油脂は、単独又は組み合わせて使用することができる。
また、常温では固体である親油性物質であっても、融点以上に加温して液体とすることで親油性含浸剤として、上記浸漬処理に用いることが可能であり、プラズマ発光時の溶出の観点から融点がより高いものが好ましい。なお、この浸漬処理中、親油性含浸剤を加温したり、また、この浸漬処理を真空雰囲気中で行うことも、細孔への浸潤を促進するために有効である。
前記疎水性含浸剤への浸漬処理が施された前記炭素含有電極は、前記測定容器に設置される。すなわち、本発明の測定容器の態様は、前述のように、分析対象金属種である鉛を含む検体を測定するために用いられ、かつ、一対の電極が内部に設置されるものであって、前記一対の電極のうち少なくとも一方は、炭素を材質として含有する電極である炭素含有電極であって、前記炭素含有電極は、疎水性含浸剤への浸漬処理が施されていることを特徴とする。
本件発明の実施形態で用いられる測定容器の一例について、図面を参照し説明する。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
図1において、(A)は、本実施形態で用いられる測定容器10の模式透視斜視図であり、(B)は、(A)において、I−I方向からみた模式断面図である。図1(A)及び(B)に示すように、本実施形態で用いられる測定容器10は、内部に一対の電極(プラズマ発生電極20及び炭素含有電極30)を含む。測定容器10は、側面の一部が平面状に削ぎ落とされたような略円筒形状を呈し、その平面部分に円形の透光部11を含む。測定容器10の外部には、プラズマ発生電極20及び炭素含有電極30への電流印加により発生した発光を、透光部11を通して鉛の発光を受光可能に配置された受光部40が配置されている。また、プラズマ発生電極20は、液体である検体60の液面61に対して平行に配置され、その先端は、透光部11と当接するように配置されている。円筒形状の炭素含有電極30は、その側面の一部を測定容器10の側面の、前記透光部11と対向する側に、鉛直方向と直角に交わるように配置され、測定容器10の内部にその一部が露出している。すなわち、炭素含有電極30の長手方向とプラズマ発生電極20の長手方向とは互いにねじれの位置にある。プラズマ発生電極20は、絶縁体22により被覆されている。鉛を含む検体60は、測定容器10の筒内に、プラズマ発生電極20及び炭素含有電極30と接するように導入される。
本実施形態において、プラズマ発生電極20は、その表面の大部分が絶縁体22により被覆されている。そして、絶縁体22に被覆されていない部分が、接液部分21となっている。一方、炭素含有電極30は、後述する、疎水性含浸剤による浸漬処理が施されたカーボン電極である。
本実施形態において、プラズマ発生電極20と透光部11とは接しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、プラズマ発生電極20が透光部11から離れて配置されてもよい。プラズマ発生電極20と透光部11との距離は、特に制限されず、例えば、0〜0.5cmである。
透光部11の材料は、特に制限されず、例えば、プラズマ発生電極20及び炭素含有電極30への電流印加により発生した発光を透過する材料であればよく、前記発光の波長に応じて、適宜設定できる。透光部11の材料は、例えば、石英ガラス、アクリル樹脂(PMMA)、ホウケイ酸ガラス、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、メチルペンテンポリマー(TPX(登録商標))等が挙げられる。透光部11の大きさは、特に制限されず、プラズマ発生電極20及び炭素含有電極30への電流印加により発生した発光を透光可能な大きさであればよい。
本実施形態において、測定容器10は、側面の一部を長手方向に沿って平面状に削いだ形の有底円筒状であるが、測定容器10の形状はこれに限定されず、任意の形状としてよい。測定容器10の材料は、特に制限されず、例えば、アクリル樹脂(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。測定容器10が有底筒状である場合、測定容器10の直径は、例えば、0.3〜1cmであり、その高さは、例えば、0.9〜5cmである。この測定容器10には0.3〜0.8cmの検体60が導入される。
受光部40は、特に制限されず、例えば、CCD、分光器等の公知の光学測定機器が挙げられる。受光部40は、例えば、前記光学測定機器に前記発光を伝送する伝送手段でもよい。前記伝送手段としては、例えば、光ファイバー等の伝送路が挙げられる。
測定容器10の製造方法は、特に制限されず、例えば、射出成型等により、成型体を製造してもよいし、プレート等の基材に凹部を形成することで製造してもよい。その他、測定容器10等の製造方法は、特に制限されず、例えば、リソグラフィ、切削加工等が挙げられる。
水溶液としての検体60中に存在している鉛イオンを定量分析する場合について概要を説明する。
炭素含有電極30は、測定容器10に装着される前に、疎水性含浸剤による浸漬処理が施される。疎水性含浸剤としては、例えば、親油性含浸剤として、70℃で温浴し溶解させたパラフィンを用いることができる。パラフィンの性状やグレードについては特に限定はないが、不純物をなるべく含まない、炭素原子数が20以上のアルカンであることが望ましい。なお、常温で液体性状を有する、所謂流動パラフィンについては特に溶解のための加温の必要はないが、浸漬処理の際に浸漬効果を高める目的で加温することが望ましい。このパラフィンを収容した容器中に炭素含有電極30を所定時間浸漬し、その後、炭素含有電極30を疎水性含浸剤から引き上げ、表面に付着した疎水性含浸剤を拭き取って除去し、乾燥させたものを測定容器10に装着する。
そして、この炭素含有電極30が装着された測定容器10内に検体60を導入した状態で、前記濃縮工程として、図2(A)に示すように、電圧印加手段50によって、プラズマ発生電極20が陰極となり、炭素含有電極30が陽極となるように電圧が印加される。すると、検体60中に存在している鉛イオンが陰極であるプラズマ発生電極20の接液部分21の周囲に引き寄せられ、当該プラズマ発生電極20の周囲において鉛イオンが濃縮される。このとき、前記浸漬処理によって、炭素含有電極30から溶出する鉛は極力低減することとなっている。
次に、前記検出工程として、図2(B)に示すように、電圧印加手段50によって、今度はプラズマ発生電極20が陽極となり、炭素含有電極30が陰極となるように電圧が印加される。すると、先の濃縮工程によってプラズマ発生電極20の接液部分21の周辺に引き寄せられていた鉛イオンからプラズマ発光が発生し、これが透光部11を通過して受光部40により受光され検出されることになる。ここで検出される光は、検体60中に含まれている鉛に起因するものであって、炭素含有電極としての炭素含有電極30に含有されていた鉛の影響は前記浸漬処理によって極力排除されることとなっている。
ここで、この検出工程にて得られた発光スペクトルが図3の通りであったとする。なお、図中、Wは分析波長、Pは波長Wにおけるピーク発光量、Bはピーク発光量Pに対応するベース発光量とする。
この場合、鉛の分析発光量Eを、例えば下式のように定義することができる。
E=(P−B)/B=P/B−1
(1)測定容器及び電極
前記測定容器10として、有底筒状の透明PMMA製セル(高さ28mm×直径(最大径部分)φ7mm)を準備した。前記測定容器10の側面の前記平面部分の下端付近には、前記透光部11としての石英ガラス(直径4.5mm、厚さ0.3mm)を配置した。前記測定容器10内に、前記プラズマ発生電極20及び前記炭素含有電極30を配置した。前記プラズマ発生電極20は、前記液面61に対して平行に配置した。そして、前記プラズマ発生電極20の先端が、前記透光部11に当接するように配置した。前記プラズマ発生電極20として、直径0.1mmのニクロム線を使用した。一方、前記炭素含有電極30としては、直径4.0mm、長さ15mmの炭素棒を、後述する通りの疎水性含浸剤(親油性含浸剤)への浸漬処理を施した後に使用した。前記炭素含有電極30は、その側面の一部を測定容器10の側面の、前記透光部11と対向する側に、鉛直方向と直角に交わるように配置され、測定容器10の内部にその一部が露出している。すなわち、前記炭素含有電極30の長手方向と前記プラズマ発生電極20の長手方向とは互いにねじれの位置にある。また、前記透光部11を介して、前記プラズマ発生電極20の先端と対面するように、受光部40としての光ファイバーを配置した。前記光ファイバーは、直径400μm単芯のものを使用した。また、前記光ファイバーは、凹面グレーティング方式の分光器(図示せず)に接続した。
(2)浸漬処理
(2−1)実施例1
ビーカーに、前記炭素棒を必要数だけ入れ、そこに、70℃で温浴し溶解させたパラフィン(ナカライテスク社製、26021−85、ロット番号:V0A4859)を、該炭素棒が十分浸る程度に注いだ。このビーカーをヒートチャンバー中へ移し、100℃で3時間、真空雰囲気下に置いた。その後、ビーカーをヒートチャンバーから取り出し、炭素棒をパラフィンから取り出して、表面を紙製ウエスにて清拭して余分なパラフィンを除去した。この状態で乾燥させたものを実施例1に係る炭素含有電極30として12本用意し、これらをそれぞれ電極#13〜24として、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−2)実施例2
ビーカーに、前記炭素棒を必要数だけ入れ、そこに、70℃で温浴し溶解させた前記パラフィンを、該炭素棒が十分浸る程度に注いだ。数秒後、炭素棒をパラフィンから取り出して、表面を紙製ウエスにて清拭して余分なパラフィンを除去した。この状態で乾燥させたものを実施例2に係る炭素含有電極30としてこれを電極#25とし、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−3)実施例3
ビーカーに、前記炭素棒を必要数だけ入れ、そこに、70℃で温浴し溶解させた前記パラフィンを、該炭素棒が十分浸る程度に注いだ。このビーカーをヒートチャンバー中へ移し、65℃で約16時間、真空雰囲気下に置いた。その後、ビーカーをヒートチャンバーから取り出し、炭素棒をパラフィンから取り出して、表面を紙製ウエスにて清拭して余分なパラフィンを除去した。この状態で乾燥させたものを実施例3に係る炭素含有電極30としてこれを電極#26とし、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−4)実施例4
ビーカーに、前記炭素棒を必要数だけ入れ、そこに、70℃で温浴し溶解させた前記パラフィンを、該炭素棒が十分浸る程度に注いだ。このビーカーをウォーターバス中へ移し、80℃で2時間温浴した。その後、ビーカーをウォーターバスから取り出し、炭素棒をパラフィンから取り出して、表面を紙製ウエスにて清拭して余分なパラフィンを除去した。この状態で乾燥させたものを実施例4に係る炭素含有電極30としてこれを電極#27とし、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−5)実施例5
前記実施例4の温浴時間を3時間としたものを、実施例5に係る炭素含有電極30としてこれを電極#28として、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−6)実施例6
ビーカーに、前記炭素棒を必要数だけ入れ、そこに、70℃で温浴し溶解させた前記パラフィンを、該炭素棒が十分浸る程度に注いだ。このビーカーをマッフル炉中へ移し、150℃で10時間加熱した。その後、ビーカーをマッフル炉から取り出し、炭素棒をパラフィンから取り出して、表面を紙製ウエスにて清拭して余分なパラフィンを除去した。この状態で乾燥させたものを実施例6に係る炭素含有電極30として3本用意し、これらをそれぞれ電極#29〜31として、測定容器10に装着した(後掲表1参照)。
(2−7)比較例
比較例として、前記のいずれの浸漬処理をも施していない炭素棒をそのまま、前記各実施例の炭素含有電極30と同様に一方の電極として測定容器10に装着したものも12本用意し、これらをそれぞれ電極#1〜12とした(後掲表1参照)。
(3)プラズマ分光分析
上記実施例及び比較例の電極を用いた鉛のプラズマ分光分析による発光量の測定は、以下の通りに行った。
各実施例で用いた測定液の組成は次の通りとした。まず、マイクロチューブに4.4Mの水酸化リチウム水溶液450μLを分注した。これに、0.1M EDTA水溶液50μL及びエタノール50μLを添加し、ボルテックスミキサーにて攪拌したものを溶液1とした。一方、別のマイクロチューブに蒸留水510μLを分注し、これに前記溶液1を510μL添加して、ボルテックスミキサーにて攪拌した。これにさらに1.55ppmの酢酸タリウム水溶液を51μL添加し、ボルテックスミキサーにて5分間攪拌したものを、測定液として用いた。この測定液における水酸化リチウムの最終濃度は1.7Mとなった。
一方、比較例で用いた測定液の組成は次の通りとした。まず、マイクロチューブに41.96mgの水素化リチウム粉末を添加した後、蒸留水495μLを添加、ボルテックスミキサーにて5分間攪拌し溶解させた。これに7.76ppmの酢酸タリウム水溶液5μL及び0.5M EDTA水溶液5μLを添加して、ボルテックスミキサーにて5分間攪拌した。これにさらにエタノール25μLを添加してボルテックスミキサーにて5分間攪拌したものを、測定液として用いた。この測定液における水酸化リチウムの最終濃度は1.89Mとなった。
上記実施例及び比較例で用いた測定液は、前記図2に示す検体60と同様に、いずれも525μLを測定容器10に入れて、以下の濃縮工程に供した。
そして、濃縮工程として、プラズマ発生電極20が陰極となり、炭素含有電極30が陽極となるように、下記の濃縮条件で電流を印加し、プラズマ発生電極20の近傍に鉛イオンを濃縮した。なお、下記印加電流は定電流であり、印加される電圧は測定液の抵抗に応じて変動することとなっている。
(濃縮条件)
印加電流: 20mA
パルス周期:4秒
Duty(パルス比):50%
印加時間:600秒
上記濃縮工程直後に、検出工程として、今度は前記プラズマ発生電極20が陽極となり、前記炭素含有電極30が陰極となるように、下記の検出条件で電圧を印加し、発生したプラズマ発光の各波長における発光強度(カウント値)を測定した。なお、下記印加電圧は定電圧であり、印加される電流は測定液の抵抗に応じて変動することとなっているが、前記濃縮条件における印加電流よりは大きな値となる。
(検出条件)
印加電圧:500V
パルス周期:50μ秒
Duty:50%
印加時間:2.5m秒
なお、波長368nmにおける鉛の特異的ピーク(図4参照)におけるカウント値についてバックグラウンドのカウント値で除した値をPb分析発光量とした。
上記測定結果は下記表1の通りであった。
Figure 0006909702
なお、実施例1(電極#13〜24)については、2台の別の測定機器にて測定した結果をそれぞれ実施例1−1(電極#13〜18)及び実施例1−2(電極#19〜24)として示している。
前記測定液には鉛は含まれていないため、本来であれば、プラズマ分光分析によっては鉛のピークは観察されないはずである。しかし、上記表1に示すように、比較例の電極#1〜12による12回の測定において、平均が0.44もの値のPb分析発光量が観察された。これは、カーボン電極である炭素含有電極30から溶出した鉛イオンによるものであることは明らかである。
そして、前記浸漬工程を行った実施例1〜6におけるPb分析発光量は、電極#13〜31の全ての測定結果を平均すると0.09と、Pb発光量が比較例の約5分の1に減少した。これは、疎水性含浸剤への浸漬処理によって、カーボン電極である炭素含有電極30に含まれている鉛の溶出が阻止されたことを示している。
なお、各実施例間では、Pb分析発光量の平均値が最も高い実施例1−1(電極#13〜18)が0.12で、同平均値が最も低い実施例2(電極#25)、実施例3(電極#26)及び実施例5(電極#28)では0.07であったことから、各実施例間には大きな差異はなかったものと思われる。すなわち、疎水性含浸剤による炭素含有電極の浸漬処理については、加温の方法及び温度、処理時間並びに真空雰囲気下に置くか否かを問わず、処理を行いさえすれば、炭素含有電極が含有する鉛による測定結果への影響は最小限に抑えられることも判明した。このことは、ほんの数秒間の浸漬処理を行ったに過ぎない実施例2(電極#25)のPb分析発光量が0.07と最も低く、優秀な結果であったことからも示される。
本件発明は、検体中の鉛のプラズマ分光分析において炭素含有電極を使用する場合に利用可能である。
10 測定容器
11 透光部
20 プラズマ発生電極
21 接液部分
22 絶縁体
30 炭素含有電極
40 受光部
50 電圧印加手段
60 検体
61 液面

Claims (5)

  1. 分析対象金属種である鉛を含む検体が導入され、かつ、一対の電極が内部に設置される測定容器であって、
    前記一対の電極のうち少なくとも一方は、炭素を材質として含有する電極である炭素含有電極であって、
    前記炭素含有電極は、鉛を含むとともに、疎水性含浸剤を含浸させた鉛溶出防止処理が施されていることを特徴とする測定容器。
  2. 前記疎水性含浸剤は、親油性含浸剤であることを特徴とする請求項記載の測定容器。
  3. 前記親油性含浸剤はパラフィンであることを特徴とする請求項記載の測定容器。
  4. 前記疎水性含浸剤は、疎水性の無機高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の測定容器。
  5. 請求項からまでのいずれかに記載の測定容器に分析対象金属種である鉛を含む検体を導入する工程と、
    前記一対の電極に、前記炭素含有電極が陰極となるように電圧を印加して前記検体中の鉛を他方の電極の周囲において濃縮させる濃縮工程と、
    前記一対の電極に、前記炭素含有電極が陽極となるように電圧を印加して前記他方の電極の周囲に濃縮した鉛からプラズマ発光を発生させて該プラズマ発光を検出する検出工程と、
    を含んでなることを特徴とする測定方法。
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