以下、添付図面を参照して、実施形態に係る運転診断サーバ、運転診断システムおよび運転診断方法を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、図1を用いて実施形態に係る運転診断方法の概要について説明する。図1は、運転診断方法の概要を示す図である。なお、かかる運転診断方法は、図1に示す運転診断サーバ1および車載装置50を含む運転診断システム100によって実行される。また、図1では、1つの車載装置50を示しているが、運転診断システム100には、複数の車載装置50が含まれることにしてもよい。
運転診断サーバ1と、車載装置50とは、例えば、図2にて後述するネットワークを介して相互にデータ通信を行うことができる。運転診断サーバ1は、車載装置50から車両Cの運転者による運転操作に関する操作情報を受信し、かかる操作情報に基づいて運転者の運転スキルを診断する。
また、運転診断サーバ1は、操作情報に加え、運転者の運転中の挙動に関する運転者情報、車両Cの周辺の物体に関する物体情報等を受信し、運転者情報や物体情報に基づいて運転者の運転スキルを診断することもできる。なお、運転者情報は、例えば運転者の視線情報や姿勢情報等である。以下、操作情報、視線情報および物体情報を含む情報を車両情報という。
車載装置50は、例えば、DCM(Date Communication Module)などの車載通信モジュールである。運転診断システム100では、所定期間(例えば、1ヵ月)において通信可能な通信容量の上限値が車載装置50ごとに設定される。
ここで、従来技術においては、使用した通信容量にかかわらず、一定の診断項目で運転スキルの診断を行っていた。換言すると、従来技術においては、通信容量の上限値を考慮していなかった。
このため、従来技術においては、運転スキルの診断に用いるデータ通信の通信容量が上限値を超えるおそれがある。上限値を超えると、通信速度が著しく低下するなど、運転診断サーバと車載装置とは、正常にデータ通信を行えない。したがって、従来技術では、通信容量が上限値を超えた場合に、車載装置から操作情報を受信することができず、運転スキルを適切に診断できない場合があった。
そこで、実施形態に係る運転診断方法では、通信容量の上限値を超えないように運転スキルの診断を行うこととした。具体的には、図1に示すように、まず、運転診断方法では、車載装置50ごとに規定された通信容量を超えないように、車載装置50ごとに運転スキルの診断項目を設定する(ステップS1)。
例えば、運転診断方法では、通信容量の上限値と、使用した通信容量との差分である空き容量に基づいて診断項目を設定したり、1ヵ月間の診断項目の実施回数を予め設定したりすることができる。
続いて、運転診断方法では、設定した診断項目に対応する車両情報を車載装置50から受信する(ステップS2)。運転診断方法では、例えば、車載装置50が設定された診断項目に対応するシチュエーションを判定し、かかるシチュエーションに応じた車両情報を運転診断サーバ1へ送信する。
すなわち、運転診断方法では、運転診断サーバ1は、実施を許可した診断項目に対応する車両情報を車載装置50から受信することができる。そして、運転診断方法では、受信した車両情報に基づいて車両Cの運転者の運転スキルを診断する(ステップS3)。
このように、実施形態に係る運転診断方法では、使用可能な通信容量に応じて運転スキルの診断項目を設定することで、使用する通信容量を通信容量の上限値に収めることができる。
つまり、実施形態に係る運転診断方法では、通信容量に基づいて診断項目を設定することで、使用可能な通信容量に応じて運転スキルを適切に診断することができる。
次に、図2を用いて実施形態に係る運転診断システム100の構成について説明する。図2は、運転診断システム100のブロック図である。上述したように、運転診断システム100は、運転診断サーバ1と、車載装置50とを備える。
また、図2は、ナビゲーション装置6、レーダ装置7、カメラ8、表示装置60、ブレーキセンサSc1、アクセル開度センサSc2、舵角センサSc3、視線検知センサSc4などを併せて示す。
表示装置60は、例えば、タッチパネルディスプレイである。表示装置60は、車載装置50から取得した情報に基づき、例えば運転スキルの診断結果を表示する。なお、図2では、表示装置60は、ナビゲーション装置6とは別々の装置として示されているが、表示装置60がナビゲーション装置6に設けられていてもよい。また、表示装置60がナビゲーション装置6に設けられている場合は、ナビゲーション装置6が車載装置50から情報を取得して、運転スキルの診断結果等を表示する。
なお、実施形態に係る運転診断システム100では、ユーザのスマートフォンやパソコンなどの端末装置からネットワークNにアクセスすることで、かかる端末装置から診断結果を確認することもできる。
また、ブレーキセンサSc1、アクセル開度センサSc2、舵角センサSc3、視線検知センサSc4は、それぞれCAN(Controller Area Network)通信により、検出したセンサ値を車載装置50へ出力する。車載装置50は、かかるセンサ値に基づいて車両Cの運転者による運転操作を示す操作情報やかかる操作情報を含む車両情報を生成する。
レーダ装置7は、例えば、車両Cの周囲に設けられ、車両Cの周囲に存在する障害物等の位置を検出し、車載装置50へ出力する。カメラ8は、車両Cの周囲を撮像した撮像画像情報を車載装置50へ出力する。なお、以下では、レーダ装置7およびカメラ8から入力される情報を総称して物体情報と記載する。
運転診断サーバ1は、制御部2と、記憶部3と、通信部10とを備える。通信部10は、車載装置50とネットワークNを介してデータ通信を行う通信インターフェースである。
制御部2は、カウント部21と、受信部22と、診断部23と、設定部24と、送信部25とを備える。制御部2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2のカウント部21、受信部22、診断部23、設定部24および送信部25として機能する。
また、制御部2のカウント部21、受信部22、診断部23、設定部24および送信部25の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
また、記憶部3は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、通信容量情報31、優先度情報32および診断履歴情報33や各種プログラムの情報を記憶することができる。なお、運転診断サーバ1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
制御部2のカウント部21は、通信部10と車載装置50とのデータ通信の通信容量の累積値をカウントする。また、カウント部21は、カウントした通信容量の累積値を記憶部3に通信容量情報31として記憶させる。
ここで、図3を用いて通信容量情報31について説明する。図3は、通信容量情報31の具体例を示す図である。上述したように、実施形態に係る運転診断システム100では、1カ月間に運転診断サーバ1と通信可能な通信容量の上限値が車載装置50ごとに規定される。
かかる通信容量の上限値は、例えば、車載装置50の購入時にユーザと、ディーラとの間で契約により決定される。このため、以下では、通信容量の上限値を契約通信容量ということとする。
図3に示すように、実施形態に係る運転診断システム100では、契約通信容量のうち、さらに運転スキル診断に使用可能な通信容量の上限値を設定することにしている。
すなわち、運転診断システム100では、契約通信容量の全てを運転スキル診断に使用するのではなく、規定された通信容量を使用して運転スキル診断を行う。
また、図3に示す「その他」は、音楽や動画のファイルデータの受信や、インターネット上で検索等、ユーザが自由に使用することができる通信容量である。
このように、運転診断システム100では、運転スキル診断で使用する通信容量を予め規定しておくことで、ユーザが自由に使用可能な通信容量を確保することができる。
そして、カウント部21は、通信部10から入力または出力されるデータの通信容量をデータ毎にカウントし、かかる通信容量を通信容量情報31の該当する項目に加算することで、各項目の累積値をカウントすることができる。
具体的には、カウント部21は、例えば、運転診断に関するデータであれば、運転スキル診断分に通信容量を加算し、運転スキル診断以外のデータであれば、その他に通信容量を加算する。
なお、実施形態に係る運転診断システム100では、例えば、運転スキルに関するデータに識別子を付与してデータ通信を行う。これにより、カウント部21は、かかる識別子に基づいて運転スキルに関するデータか否かを判定することができる。
また、図3に示す例では、運転スキル診断と、その他のデータ通信が同一の通信回線を用いる場合について例示しているが、これに限定されるものではなく、運転スキル診断用に専用の通信回線を設けることにしてもよい。
図2の説明に戻り、受信部22について説明する。受信部22は、車載装置50から送信されるデータを通信部10を介して受信する。受信部22によって受信されるデータは、診断部23へ出力される。
診断部23は、受信部22が受信する情報のうち、車両情報に基づいて車両Cの運転者の運転スキルを診断する。また、診断部23は、診断結果を記憶部3の診断履歴情報33として車両Cまたは運転者ごとに記憶させる。なお、診断部23は、複数の診断項目を診断することができるが、この点の詳細については、図4を用いて後述する。
設定部24は、車載装置50ごとに規定された通信容量の上限を超えないように診断部23の診断項目を設定する。例えば、設定部24は、通信容量情報31および優先度情報32に基づいて診断項目を設定することができる。
ここで、図4を用いて優先度情報32について説明しておく。図4は、優先度情報32の具体例を示す図である。優先度情報32は、診断項目と、使用容量が対応付けられた情報である。なお、使用容量とは、運転スキル診断に割り当てられた通信容量の上限値に対して使用した通信容量の割合を示す。
図4に示すように、優先度情報32には、使用容量に応じて実施する診断項目が定義される。例えば、運転診断サーバ1は、全体の通信容量のうち使用した容量(使用容量)が50%未満の場合は、4種類の診断項目を実施する。
また、運転診断サーバ1は、使用容量が50%以上70%未満の場合は3種類の診断項目を実施し、使用容量が70%以上90%未満の場合は2種類の診断項目を実施し、使用容量が90%以上の場合は1種類の診断項目を実施する。このように、運転診断サーバ1は、使用容量に応じて診断項目を変更する。具体的には、運転診断サーバ1は、使用容量の増加に応じて、診断項目の数を少なくする。
次に、各診断項目について説明する。図4に示す「緊急回避スキル診断」は、例えば、運転者の急減速や急舵角における運転スキルを診断するものである。
例えば、診断部23は、「緊急回避スキル診断」を診断する場合、運転者の視線情報に基づいて急減速、急舵角(急ブレーキ、急操舵)が運転者の不注意(例えば、よそ見)によるものか否かを判定する。
そして、診断部23は、急ブレーキ、急操舵が運転者の不注意によるものでなく、急ブレーキ、急操舵により車両Cの衝突を回避できた場合に、「緊急回避スキル診断」に対するスキルが高いと診断する。
一方、診断部23は、視線情報に基づき、急ブレーキ、急操舵が運転者の不注意に起因すると判定した場合、急ブレーキ、急操舵により車両Cの衝突を回避できた場合であっても「緊急回避スキル診断」に対するスキルが低いと診断する。
すなわち、診断部23は、運転者の不注意による急ブレーキ、急操舵について、「緊急回避スキル診断」に対するスキルを低いと診断することができる。
また、診断部23は、急ブレーキ、急舵角の原因が特定できなかった場合に、そのときの緊急回避スキル診断をキャンセルできる。すなわち、緊急回避に関する運転者のスキルを変更せずに、診断前の状態を維持することができる。なお、診断部23は、急減速、急舵角の原因が特定できないときでも急減速、急操舵の頻度が一定期間内に所定回数以上の場合は、運転スキルが低いと診断することとしてもよい。すなわち、急減速、急操舵の頻度が高い場合は、運転者の運転スキルが低いと診断することができる。
「優先スキル診断」は、例えば、運転者の基本的な運転スキルを診断するものである。具体的には、他車両や歩行者などが周囲にいない状況において、道幅が十分にある道路を車両Cが走行する際の運転者の加減速やハンドル操作に対して運転スキルを診断するものである。
診断部23は、例えば、加減速時に緩やかに車速が推移した場合や、カーブ走行時に舵角が緩やかに推移していた場合、「優先スキル診断」に対するスキルが高いと診断することができる。
「標準スキル診断」は、車両Cの運転に最低限必要なスキルであり、例えば、加減速やカーブ時のハンドル操作の運転スキルを診断する。なお、かかる標準スキル診断は、例えば、車両Cの周囲の状況によらず所定周期で実施される。
「その他のスキル診断」は、上記以外の運転スキルを診断するものであり、例えば、危険予測行動などの運転スキルを診断する。なお、診断項目ごとに必要となる車両情報が異なり、かかる車両情報ごとに使用する通信容量は、予め求めることができる。
ここで、図中左側に行くほど運転スキル診断の優先度が高い。すなわち、実施形態に係る運転診断システム100では、「緊急回避スキル診断」について緊急時に事故に直結する可能性が高いため、使用容量の多少にかかわらず必ず実施するよう設定されている。
これに対して、「緊急スキル診断」に比べて優先度が低い「優先スキル診断」、「標準スキル診断」および「その他のスキル診断」については、それぞれの優先度に応じて使用容量が少ない場合は実施し、使用容量が多いときは実施しないよう設定される。
設定部24は、例えば、図3に示した運転スキル診断分の使用容量に基づいて診断部23で診断する診断項目を設定することができる。このように、設定部24は、使用容量が多くなるほど、優先度の高い診断のみ実施されるよう設定する。換言すると、設定部24は、通信容量が少ない場合は、優先度の高い診断を実施するよう設定するとともに、優先度の低い診断も実施するよう設定する。
つまり、実施形態に係る運転診断システム100では、使用容量に関係なく、優先度の高い診断項目を確実に診断することが可能となる。また、設定部24は、通信容量に応じて運転診断サーバ1が実施する診断項目が決定されることから、例えば、通信容量の増加により実施される診断項目は少なくなる。そして、通信部10は、このように診断項目が変化したタイミングで、実施される診断項目を示す項目情報を車載装置50へ送信する。
これにより、車載装置50は、受信した項目情報に基づき、設定部24により実施が許可された診断項目に対応する車両情報を運転診断サーバ1へ送信することとなる。言い換えると、実施が許可されていない診断項目に対応する車両情報は運転診断サーバ1へ送信しない。なお、車載装置50側で通信容量をカウントし、通信容量に応じた各スキル診断の実施の可否を判定するようにしてもよい。換言すると、カウント部21および設定部24を車載装置50の構成に含めることとしてもよい。なお、項目情報に対する車載装置50側の処理については、図8A〜8Fを用いて後述する。
ところで、設定部24は、車両Cが走行する位置情報に基づいて診断項目を設定することもできる。ここで、図5を用いて設定部24が位置情報に基づいて診断項目を設定する場合について説明する。図5は、位置情報に基づく診断項目の設定例を示す図である。
図5に示すように、例えば、設定部24は、車両Cの現在地が運転者の自宅周辺である場合、診断回数を制限する。例えば、設定部24は、車両Cの現在地が運転者の自宅周辺である場合に、「緊急回避スキル診断」のみが実施されるように診断項目を設定する。換言すると、設定部24は、自宅周辺では、「優先スキル診断」、「標準スキル診断」および「その他のスキル診断」を控えるようにすることができる。
これは、運転者は、運転者の自宅周辺を頻繁に運転するため、自宅周辺において優先スキル診断や標準スキル診断などの運転スキルの診断を多く行うことになるためである。
すなわち、設定部24は、自宅周辺における各診断項目のサンプル数が十分にあるため「緊急回避スキル診断」以外の診断項目について診断回数を制限する。これにより、自宅周辺における運転スキル診断に使用する通信容量を削減することができる。また、かかる削減した分の通信容量を自宅周辺以外の場所での運転スキル診断に使用することができるため、様々なシチュエーションにおける運転スキルを診断することが可能となる。
なお、設定部24は、自宅周辺において敢えて重点的に運転スキル診断を行うように診断回数を設定することにしてもよい。これにより、同一地点における診断結果のサンプル数を増やすことができ、運転者の運転スキルの推移をより正確に把握することが可能となる。
また、ここでは、設定部24が、運転者の自宅周辺において診断項目を制限する場合について説明したが、自宅周辺に限られない。すなわち、設定部24は、例えば、地図上に診断結果を運転者ごとに対応付けて記憶しておき、かかる診断結果が所定数に達した道路については、特定の診断を実施しないように診断回数に制限を設けるようにしてもよい。
また、設定部24は、車両Cの位置情報に基づき、車両Cが交差点や高速道路等を走行する場合に、交差点や高速道路等に応じて診断項目を設定することもできる。
また、設定部24は、運転者ごとの診断結果の推移に基づいて診断項目を設定することもできる。そこで、図6を用いて診断結果の推移に基づいて診断項目を設定する場合について説明する。図6は、診断結果の推移の一例を示す図である。
なお、図6の縦軸は、診断部23による診断結果であるスコアを示し、横軸は、月日を示す。なお、かかるスコアは、高いほど運転スキルが高いことを示す。
設定部24は、例えば、図6に実線で示すように、スコアの推移が閾値Thを超えた場合に、診断項目の診断の実施回数を制限し、破線で示すように、閾値Thを下回った場合に、かかる制限を解除することができる。
つまり、設定部24は、運転者の運転スキルが熟練し、安定して高いスコアを出せるようになった場合に、例えば、上記の「緊急回避スキル診断」以外の診断項目について実施回数を減らすことができる。これにより、運転スキル診断に使用する通信容量を削減することができる。
また、設定部24は、図6の破線で示すように、スコアが閾値Thよりも低下した場合に、実施回数を元に戻すことで、運転者の運転スキルをより細かく診断することができる。なお、かかる場合に、例えば、ユーザの許可により運転スキル診断分の通信容量を増やすこともできる。
図2の説明に戻って送信部25について説明する。送信部25は、設定部24によって設定された項目情報をカウント部21等を介して車載装置50へ送信する。
これにより、車載装置50では、かかる診断項目に対応する車両情報を運転診断サーバ1へ送信することとなる。また、送信部25は、運転スキルの診断結果を車載装置50へ送信する。
かかる診断結果は、例えば、車載装置50を介して表示装置60に表示される。ここで、図7を用いて診断結果の具体例について説明する。図7は、ユーザへ通知する診断結果の一例を示す図である。
図7に示すように、実施形態に係る運転診断システム100では、例えば、各診断項目のスコアや、運転スキルを改善するためのアドバイスをユーザへ通知することができる。
つまり、実施形態に係る運転診断システム100では、運転スキルの診断結果をユーザへフィードバックすることで、ユーザの運転スキルの向上を促進することができる。
図2の説明に戻り、車載装置50について説明する。車載装置50は、通信部51と、取得部52と、生成部53とを備える。通信部51は、運転診断サーバ1とネットワークNを介してデータ通信を行う通信インターフェースである。
取得部52は、運転診断サーバ1から送信されるデータを取得する。かかるデータは、例えば、設定部24によって設定された項目情報や、図7に示した運転スキルの診断結果などを含む。取得部52は、取得したデータのうち、項目情報を生成部53へ出力し、診断結果を表示装置60へ出力する。
生成部53は、上記の項目情報に基づいて運転診断サーバ1により実施が許可された診断項目に対するシチュエーションを検出し、当該診断項目に対応する車両情報を生成する。また、生成部53は、生成した車両情報を通信部51等を介して運転診断サーバ1へ送信する。
ここで、生成部53による処理の詳細について図8A〜図8Fを用いて説明する。図8A〜図8Fは、生成部53による処理の具体例を示す図である。まず、図8Aおよび図8Bを用いて使用容量が50%未満である場合について説明する。なお、図4に示したように、運転診断システム100では、使用容量が50%未満である場合、全ての診断項目について診断が行われる。
例えば、生成部53は、各センサSc、レーダ装置7およびカメラ8から入力されるアクセル開度情報、ブレーキ操作情報、ステアリング操作情報を含む操作情報、視線情報および物体情報に基づいて運転診断サーバ1により実施が許可された診断項目に対応するシチュエーションを検出する。
生成部53は、例えばカメラ8の撮影画像情報から車両C周囲に歩行者や先行車が検出されておらず、車両Cの位置情報および地図情報等から車両Cが道幅の広い道路を走行する場合に、「優先スキル診断」に対応するシチュエーションとして検出する。
同図に示す例では、生成部53が、時刻t1において優先スキル診断に対応するシチュエーションを検出したものとする。生成部53は、時刻t1から所定時間経過後(時刻t1a)までの車両情報を運転診断サーバ1へ送信する。例えば、「優先スキル診断」の車両情報は、「アクセル開度情報」、「ブレーキ操作情報」および「ステアリング操作情報」である。
なお、生成部53は、車両Cが走行する道路の道幅を示す地図情報をナビゲーション装置6から取得することができるが、車両C外部のサーバから取得することにしてもよい。また、生成部53は、運転診断サーバ1へ時刻t1〜t1aの車両情報を送信するのは、時刻t1aであってもよいし、時刻t1a以降のいずれかのタイミングで送信することにしてもよい。
また、運転診断サーバ1は、「標準スキル診断」を所定周期で行う。このため、生成部53は、「標準スキル診断」の実施が許可される場合、車両Cの周囲状況によらず、標準スキル診断に対応する車両情報を所定タイミング(時間T1)ごとに運転診断サーバ1へ送信する。
「標準スキル診断」の車両情報は、例えば、「アクセル開度情報」、「ブレーキ操作情報」および「ステアリング操作情報」である。なお、運転診断サーバ1または生成部53は、時間T1を使用容量や位置情報等によって動的に変化させることも可能である。すなわち、使用容量が圧迫した場合、時間T1を通常よりも長く設定することもできる。
また、例えば、「標準スキル診断」が他のスキル診断と時間的に重なった場合、優先度の高いスキル診断に対応する車両情報を送信することにしてもよい。また、車載装置50は、車両情報が共通する情報を含む場合、かかる情報を共通化して送信することもできる。
例えば、「標準スキル診断」と、「緊急回避診断」とは、「視線情報」、「物体情報」のみが異なる。このため、運転診断サーバ1は、「緊急回避診断」に対応する車両情報に基づいて「標準スキル診断」を診断することもできる。
つまり、運転診断システム100では、各診断項目で車両情報が共通する情報を含む場合、取得した車両情報に基づいて複数の診断を行うようにしてもよい。
また、生成部53は、車両Cの急減速および急旋回の少なくとも一方の状態を検出した場合に、「緊急回避スキル診断」に対応するシチュエーションとして検出することができる。
かかる場合に、生成部53は、「アクセル開度情報」、「ブレーキ操作情報」、「ステアリング操作情報」、「視線情報」および「物体情報」を含む車両情報を運転診断サーバ1へ送信する。かかる物体情報は、例えば、レーダ装置7やカメラ8から入力される情報であり、車両C周囲の他車両や歩行者の位置・速度・角度の情報等である。
また、生成部53は、「その他のスキル診断」のシチュエーションを検出する。具体的には、生成部53は、運転者が横断歩道手前で車両Cの速度を低下させる運転操作(徐行させる操作)を実施したか否かに基づいて運転診断サーバ1へ車両情報を送信する。「その他のスキル診断」の車両情報は、例えば、「アクセル開度情報」、「ブレーキ操作情報」、「ステアリング操作情報」、「視線情報」および「物体情報」である。
すなわち、車載装置50は、運転診断サーバ1が「その他のスキル診断」に用いる車両情報を運転者の危険予測(例えば、歩行者の飛び出し予測)に基づく情報として運転診断サーバ1へ送信する。また、車載装置50は歩行者の飛び出しが多い地点(例えば、通学路など)の位置情報を予め取得しておき、当該地点を車両Cが走行する場合に運転診断サーバ1に「その他のスキル診断」に対応する車両情報を送信してもよい。また、車載装置50は、例えば、物標情報に基づき、他車両による割込み等を検出した場合に、「その他のスキル診断」に対応する車両情報を送信してもよい。
このように、「その他のスキル診断」は、運転者が危険な事態を予測して行った運転操作に関して実施される診断(危険が発生する前の運転者の操作に関する診断)であるのに対し、「緊急回避スキル診断」は、歩行者の飛び出しが起こった際に運転者が行った運転操作に関して実施される診断(危険が発生した後の運転者の操作に関する診断)となる。
なお、各診断項目において運転診断サーバ1へ送信される車両情報の組み合わせは、一例であり上記以外の組み合わせの車両情報が運転診断サーバ1へ送信され、診断を行うようにしてもよい。
ここで、上記したように、使用容量が50%未満である場合、全ての診断項目について診断が行われる。このため、使用容量が50%未満である場合、車載装置50は、全ての診断項目に対応するシチュエーションの検出毎に、車両情報を生成し、運転診断サーバ1へ送信する。
したがって、かかる場合に、図8Bに示すように、全ての診断項目に対応する車両情報が送信されることとなる。これにより、運転診断サーバ1では、車両情報の受信毎に、運転スキル診断を行うことが可能となる。
一方、使用容量が50%〜70%未満である場合、「その他のスキル診断」について実施が制限される(図4参照)。このため、図8Cに示すように、車載装置50は、「その他のスキル診断」に対応するシチュエーションを検出した場合であっても、車両情報を運転診断サーバ1へ送信しない。
これにより、使用容量が50%〜70%未満である場合、図8Dに示すように、「その他のスキル診断」分の通信量を削減することができる。また、使用容量が70%〜90%未満である場合、図8Eに示すように、「その他のスキル診断」に加え、さらに「標準スキル診断」の実施が制限される。
このため、使用容量が70%〜90%未満である場合、図8Fに示すように、車載装置50は、「その他のスキル診断」、「標準スキル診断」に対応するシチュエーションを検出した場合であっても、車両情報を運転診断サーバ1へ送信しない。
これにより、「その他のスキル診断」、「標準スキル診断」分の通信量を削減することができる。そして、使用容量が90%を超えた場合、さらに「優先スキル診断」の実施が制限される。すなわち、使用容量が90%を超えた場合、「緊急回避スキル診断」に対応するシチュエーションを検出した場合のみ、車両情報が運転診断サーバ1へ送信されることとなる。
このように、運転診断システム100では、使用容量に応じて車載装置50ごとに診断可能な診断項目を制限する。これにより、使用容量が多くなるにつれて優先度の高い診断項目に対応する車両情報のみを運転診断サーバ1へ送信することができる。
換言すると、運転診断システム100では、使用容量に応じて車両情報の送信を制限する。これにより、運転診断に使用する通信量を運転診断分の上限値内に収めることができる。すなわち、運転診断システム100では、使用可能な通信容量に応じて運転スキルを適切に診断することができる。
次に、図9Aを用いて実施形態に係る運転診断サーバ1が実行する処理手順について説明する。図9Aは、運転診断サーバ1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図9Aに示すように、運転診断サーバ1の設定部24は、通信容量の空き容量に基づいて診断項目を設定し(ステップS101)、送信部25は、診断項目を示す項目情報を送信する(ステップS102)。
続いて、受信部22は、診断項目に対応する操作情報を受信し(ステップS103)、診断部23は、操作情報に基づいて運転スキルを診断する(ステップS104)。そして、送信部25は、診断結果を送信し(ステップS105)、処理を終了する。
次に、図9Bを用いて車載装置50が実行する処理手順について説明する。図9Bは、車載装置50が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチがオンである期間に、車載装置50によって繰り返し実行される。
同図に示すように、まず、車載装置50の通信部51は、運転診断サーバ1から項目情報を受信する(ステップS201)。続いて、生成部53は、項目情報により実施が許可された診断項目に対応するシチュエーションを検出したか否かを判定する(ステップS202)。
かかる判定において、かかる診断項目に対応するシチュエーションを検出した場合(ステップS202,Yes)、生成部53は、診断項目に対応する車両情報を生成する(ステップS203)。そして、通信部51は、かかる車両情報を送信し(ステップS204)、処理を終了する。一方、診断項目に対応するシチュエーションを検出しなかった場合(ステップS202,No)、ステップS201以降の処理を繰り返す。
上述したように、実施形態に係る運転診断サーバ1は、診断部23と、設定部24と、受信部22とを備える。診断部23は、車両Cの運転者による運転操作に関する操作情報に基づいて運転者の運転スキルを診断する。設定部24は、予め規定された通信容量の上限値を超えないように診断部23で診断する診断項目を設定する。受信部22は、設定部24によって設定された診断項目に対応する操作情報を車両Cに搭載された車載装置50から受信する。したがって、実施形態に係る運転診断サーバ1によれば、使用可能な通信容量に応じて運転スキルを適切に診断することができる。
ところで、上述してきた実施形態では、設定部24が、通信容量の空き容量に基づいて診断項目を設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、設定部24は、例えば、各診断項目の診断回数を1か月間ごとに設定することもできる。そこで、図10〜12を用いてかかる点の詳細について説明する。
まず、図10を用いて変形例に係る設定部24による処理の概要について説明する。図10は、変形例に係る設定部24による処理を説明する図である。
図10に示すように、設定部24は、運転スキル診断分に割り当てられた全通信容量のうち、「設定分の通信容量」と、「確保分の通信容量」とを設定する。
そして、設定部24は、かかる設定分の通信容量に対して各診断項目の診断回数を割り当てる。このとき、設定部24は、例えば、各診断項目のスコアに基づいて診断回数を設定することができる。
具体的には、設定部24は、例えば、優先スキル診断のスコアが低く、標準スキル診断のスコアが高い場合、優先スキル診断の診断回数を標準スキル診断の診断回数よりも多く設定できる。
すなわち、設定部24は、設定分の通信容量に対して各診断項目の診断回数をユーザの運転スキルにあわせて設定することができる。換言すると、設定部24は、ユーザの運転スキルにあわせて最適な診断項目を設定することができる。
また、設定部24は、ユーザごとの車両Cの使用頻度に応じて診断回数を設定することもできる。具体的には、設定部24は、車両Cを使用する頻度の少ないユーザに対するワントリップあたりの診断回数を車両Cを頻繁に使用するユーザに比べて多く設定することができる。
つまり、設定部24は、1ヵ月間における診断回数をユーザの使用頻度に応じて適切に設定することができる。これにより、車両Cを使用する頻度の少ないユーザであっても運転スキル診断の上限として割り当てられる通信容量を余すことなく利用できる。
ここで、確保分の通信容量は、緊急回避スキル診断に割り当てられる通信容量である。すなわち、設定部24は、緊急回避スキル診断については敢えて診断回数を設定しない。これは、緊急回避スキル診断に対応する急ブレーキ、急操舵などを行うシチュエーションがいつ発生するか予測できないためである。
つまり、設定部24は、通信容量の一部を確保して診断項目を設定することで、緊急回避スキル診断を確実に行うことが可能となる。
なお、設定部24は、かかる確保分の通信容量を、ユーザごとの診断結果に応じて設定することができる。例えば、設定部24は、運転スキルの診断の結果、運転操作が荒いユーザの場合は、運転操作が穏やかなユーザに比べて確保分の通信容量を多く設定する。
また、設定部24は、各診断項目の診断結果であるスコアが低下した場合、上記の診断回数を解除することもできる。ここで、図11を用いてかかる点の詳細について説明する。図11は、上限回数の解除の一例を示す図である。
図11の縦軸は、スコアを示し、横軸に時刻を示す。設定部24は、図11の時刻t4から時刻t5に示すように、所定値Vを超えてスコアが低下した場合に、設定した診断回数を解除する。
これは、スコアが低下した場合、運転者の運転が荒くなったことを意味し、事故に遭遇する確率が上昇するためである。すなわち、設定部24は、かかる場合に診断回数を解除し、運転スキルの診断回数を多く設定する。
このように、設定部24は、スコアが低下した場合に、運転スキル診断のサンプリング回数を増やすことで、運転スキルが低下した原因を究明することが可能となる。
なお、かかる場合に、運転スキル診断に割り当てられた通信容量を超えるときは、例えば、図3に示したその他の通信容量を使用することもできる。また、設定部24は、図4に示した優先度に基づく診断項目の設定方法と、図10に示した診断項目ごとの診断回数の設定方法とを所定期間で変更し、ユーザが利用する全体の通信容量が、通信容量の上限の範囲内となるよう調整してもよい。
また、設定部24は、運転スキル診断に割り当てられた通信容量のうち、一部を優先度に基づく診断項目を設定する分の通信容量とし、残りを診断項目ごとの診断回数を設定する分の通信容量として診断項目を設定することにしてもよい。
また、設定部24は、ユーザが使用した通信容量に応じて運転スキル診断に使用する通信容量の上限値を設定することもできる。ここで、図12を用いて通信容量の上限値の設定方法について説明する。図12は、通信容量の上限値の設定例を示す図である。
図12は、月ごとに使用した通信容量の内訳を示す。設定部24は、例えば、過去の月(1、2月)にユーザが使用した通信容量に基づいて次月(3月)にユーザが使用する通信容量を推定する。
同図に示す例では、過去の月における運転スキル診断分およびその他の通信容量が契約通信容量よりも少ない。すなわち、過去の月では、契約通信容量を使い切っていないことを示す。
このため、設定部24は、例えば、過去の月にユーザが使用した通信容量から次月においてユーザが使用する通信容量を推定する。そして、設定部24は、契約通信容量から推定したかかる通信容量を差し引いた分の通信容量を運転スキル診断分の通信容量に割り当てることができる。
つまり、設定部24は、契約通信容量を使い切るように、運転スキル診断分に通信容量を割り当てることができる。また、設定部24は、設定した運転スキル診断分の通信容量が許容されている上限に近い場合に全体の通信容量を見直すこともできる。例えば、設定部24は、運転スキル診断分に割り当てられる通信容量を増やしたり、ユーザに契約通信容量自体の増加を提案したりすることもできる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な様態は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲および、その均等物によって定義される統括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変化が可能である。