JP2019014188A - 積層体、それを用いたプリント配線板、フレキシブルプリント配線板及び成形品 - Google Patents

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憲正 深澤
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Kenichi Hirabayashi
憲一 平林
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Abstract

【課題】金属めっき層の均一性に優れる積層体、それを用いたプリント配線板、フレキシブルプリント配線板及び成形品を提供する。【解決手段】支持体(A)の上に、銀ナノ粒子層(B)及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体であって、前記金属めっき層(C)を積層する前の前記銀ナノ粒子層(B)の表面を光電子分光装置で測定した際に、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20以上45以下であることを特徴とする積層体を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、成形品等に用いることのできる積層体に関するものである。
近年、電子機器の高性能化、小型化及び薄型化にともなって、それに使用される電子回路や集積回路の高密度化、小型化及び薄型化が強く求められている。
上記の電子回路等に用いることのできる導電性パターンとしては、例えば、支持体の表面に、導電性物質を含有する塗剤を塗布し焼成することによって導電層を支持体表面に形成し、次いで、前記導電層の表面をめっき処理することによって、前記導電層の表面に金属層が設けられた導電性パターンが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、導電性パターンに含まれる有機成分などが阻害物質となって、めっきの析出速度が遅くなったり、全面に均一にめっきが析出せずに不均一な金属めっき層が形成されたりする問題があった。
このように、導電性パターンとして用いることのできる積層体としては、導電層全面が均一であるものが求められており、均一な導電層(金属層)を有する積層体は未だ見出されていなかった。
特開昭60−246695号公報 特開2005−286158号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属めっき層の均一性に優れる積層体、それを用いたプリント配線板、フレキシブルプリント配線板及び成形品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、支持体の上に、銀ナノ粒子層と、金属めっき層とを順次積層した積層体であって、前記金属めっき層を積層する前の前記銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定した際に、特定の励起エネルギーでの規格化光電子収率(1/2乗)の値を一定の範囲にすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、支持体(A)の上に、銀ナノ粒子層(B)及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体であって、前記金属めっき層(C)を積層する前の前記銀ナノ粒子層(B)の表面を光電子分光装置で測定した際に、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20以上45以下であることを特徴とする積層体、それを用いたプリント配線板及びフレキシブルプリント配線板、成形品を提供するものである。
本発明の積層体は、支持体の上に形成した金属めっき層の均一性に優れるものであり、金属層の均一性が求められる電子部材等に好適に用いることができる。
また、本発明の積層体は、金属層をパターニングすることにより、例えば、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、タッチパネル向け導電性フィルム、タッチパネル用メタルメッシュ、有機太陽電池、有機EL素子、有機トランジスタ、非接触ICカード等のRFID、電磁波シールド、LED照明基材、デジタルサイネージなどの電子部材として好適に用いることができる。特に、FCCL等のフレキシブルプリント配線板用途に最適である。また、光通信等の配線を接続するコネクター、ランプリフレクター、電装部材、電気モーター周辺部材、電池部材、自動車用装飾部品、携帯電話、パソコン、鏡、容器、家電、スイッチ類、水栓部品、シャワーヘッド等の成形品に好適に用いることができる。
本発明の積層体は、支持体(A)の上に、銀ナノ粒子層(B)及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体であって、前記金属めっき層(C)を積層する前の前記銀ナノ粒子層(B)の表面を光電子分光装置で測定した際に、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20以上45以下であるものである。
前記支持体(A)としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(以下、「ABS」と略記する。)樹脂、ABSとポリカーボネートとのポリマーアロイ、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、エポキシ樹脂、セルロースナノファイバー、シリコン、セラミックス、ガラス等からなる支持体、それらからなる多孔質の支持体、鋼板、銅等の金属からなる支持体、それらの表面をシリコンカーバイド、ダイヤモンドライクカーボン、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス等を蒸着処理した支持体などが挙げられる。
また、本発明の積層体をプリント配線板等に用いる場合は、前記支持体(A)として、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エポキシ樹脂、ガラス、セルロースナノファイバーなどからなる支持体を用いることが好ましい。
さらに、本発明の積層体をフレキシブルプリント配線板等に用いる場合は、前記支持体(A)として、折り曲げ可能な柔軟性を有するフィルム状又はシート状の支持体が好ましい。
前記支持体(A)の形状がフィルム状又はシート状の場合、その厚さは、通常、1μm以上5,000μm以下が好ましく、1μm以上300μm以下がより好ましく、1μm以上200μm以下がさらに好ましい。
また、前記支持体(A)と後述するプライマー層(X)や銀ナノ粒子層(B)との密着性をより向上できることから、必要に応じて、前記支持体(A)の表面に、平滑性を失わない程度の微細な凹凸を形成したり、その表面に付着した汚れを洗浄したり、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基の導入のために表面処理したりしてもよい。具体的には、コロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液又は有機溶剤等を用いる湿式処理等の方法が挙げられる。また、オゾンナノバブル処理の方法が挙げられる。
本発明では、さらに密着性を向上するために、前記支持体(A)に表面に、必要に応じてプライマー層(X)を形成してもよい。
前記プライマー層(X)に用いるプライマー樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン−ビニル複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールをブロック化剤として用いたブロックポリイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの樹脂は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記プライマー層(X)の種類により、後述する規格化光電子収率(1/2乗)の値を制御することができる。
前記プライマー層(X)に用いるプライマー樹脂の中でも、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂とエポキシ樹脂とを併用したもの、エポキシ基及び水酸基を有するエポキシ樹脂、エポキシ基及び水酸基を有するアクリル樹脂は、後述する金属めっき層(C)の均一性をより向上できることから好ましい。
また、前記プライマー層(X)に用いるプライマー樹脂として、エポキシ基及び水酸基を有するエポキシ樹脂、又はエポキシ基及び水酸基を有するアクリル樹脂を用いる場合、架橋剤として多価カルボン酸を併用することが好ましい。前記多価カルボン酸は、無水物のものも用いることができる。前記多価カルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリト酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸及びこれらの無水物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸無水物、エチルコハク酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族多価カルボン酸及びこれらの無水物などが挙げられる。これらの多価カルボン酸の中でも、密着性がより向上できることから、トリメリット酸無水物が好ましい。これらの多価カルボン酸は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記プライマー樹脂には、前記支持体(A)の表面へ塗工する際に、塗工しやすい粘度とするため溶媒を配合して、プライマー組成物として用いることが好ましい。前記溶媒としては、各種有機溶剤、水性媒体が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
前記の水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。
前記有機溶剤の使用量は、後述する前記支持体(A)へ塗工する際に用いる塗工方法、前記プライマー層(X)の所望とする膜厚により、適宜調整することが好ましい。
また、前記プライマー組成物には、必要に応じて、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤、酸化防止剤、等の公知の添加剤を適宜添加して使用してもよい。
前記プライマー層(X)は、前記支持体(A)の表面の一部又は全部に前記プライマー組成物を塗工し、前記プライマー組成物中に含まれる有機溶剤を除去することによって形成することができる。
前記プライマー組成物を前記支持体(A)の表面に塗工する方法としては、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式、キャピラリー方式等の方法が挙げられる。
前記プライマー組成物を前記支持体(A)の表面に塗工した後、その塗工層に含まれる有機溶剤を除去する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、有機溶剤を揮発させる方法が一般的である。
前記プライマー層(X)の形成時の乾燥温度としては、用いるプライマー樹脂の種類にもよるが、通常は、80℃以上が好ましく、さらに120℃以上が好ましく、さらに200℃がさらに好ましい。また、乾燥温度の上限としては、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。一方、乾燥時間としては、乾燥温度にもよるが、通常は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。また、乾燥時間の上限としては、24時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、1時間以下がさらに好ましい。さらに、乾燥温度を200℃以上に設定した場合の乾燥時間の範囲は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。また乾燥時間の上限としては、1時間以下が好ましい。
前記プライマー層(X)の膜厚は、本発明の積層体を用いる用途によって異なるが、前記支持体(A)と前記銀ナノ粒子層(B)との密着性をより向上する範囲が好ましく、前記プライマー層の膜厚は、10nm以上30μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましく、50nm以上500nm以下がさらに好ましい。
前記プライマー層(X)の表面は、前記金属ナノ粒子層(B)との密着性をより向上できることから、必要に応じて、コロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法、紫外線処理法等の乾式処理法、水や酸性又はアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理してもよい。またオゾンナノバブル処理を行っても良い。
本発明の積層体の製造方法としては、まず、支持体(A)の上に、必要に応じてプライマー層(X)を形成し、その後、ナノサイズの銀ナノ粒子(b)を含有する流動体を塗工し、流動体中に含まれる有機溶剤等を乾燥により除去することによって、銀ナノ粒子層(B)を形成した後、電解めっきもしく無電解めっき、又はその両方により前記金属めっき層(C)を形成する方法が挙げられる。
前記銀ナノ粒子層(B)の形成に用いる前記銀ナノ粒子(b)の形状は、粒子状又繊維状のものが好ましい。また、前記銀ナノ粒子(b)の大きさはナノサイズのものを用いるが、具体的には、前記銀ナノ粒子(b)の形状が粒子状の場合は、微細な導電性パターンを形成でき、抵抗値をより低減できることから、平均粒子径が1nm以上100nm以下好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましい。なお、前記「平均粒子径」は、前記導電性物質を分散良溶媒にて希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製「ナノトラックUPA−150」を用いることができる。
一方、前記銀ナノ粒子(b)の形状が繊維状の場合も、微細な導電性パターンを形成でき、抵抗値をより低減できることから、繊維の直径が5nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。また、繊維の長さは、0.1μm以上100μm以下が好ましく、0.1μm以上30μm以下がより好ましい。
前記流動体中の前記金属ナノ粒子(b)の含有率は、1質量%以上90質量%以下が好ましく、1質量%以上60質量%以下がより好ましく、さらに1質量%以上〜10質量%以下がより好ましい。
前記流動体に配合される成分としては、前記銀ナノ粒子(b)を溶媒中に分散させるための分散剤や溶媒、また必要に応じて、後述する界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。これらの前記流動体に配合される成分の種類や量によっても後述する規格化光電子収率(1/2乗)の値を制御することができる。
前記銀ナノ粒子(b)を溶媒中に分散させるため、低分子量又は高分子量の分散剤を用いることが好ましい。前記分散剤としては、例えば、ドデカンチオール、1−オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン;ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;コール酸、グリシルジン酸、アビンチン酸等のカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物などが挙げられる。これらの中でも、前記銀ナノ粒子層(B)と前記金属めっき層(C)との密着性を向上できることから、高分子分散剤が好ましく、この高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン、前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、前記ウレタン樹脂や前記アクリル樹脂にリン酸基を含有する化合物等が挙げられる。
前記銀ナノ粒子(b)を分散させるために必要な前記分散剤の使用量は、前記銀ナノ粒子(b)100質量部に対し、0.01質量部以上50質量部以下が好ましく、0.01質量部以上10質量部以下がより好ましい。
前記流動体に用いる溶媒としては、水性媒体や有機溶剤を用いることができる。前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。また、前記有機溶剤としては、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
前記アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
また、前記流動体には、前記銀ナノ粒子(b)、溶媒の他に、必要に応じてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール等を用いることができる。
前記界面活性剤としては、一般的な界面活性剤を用いることができ、例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
前記レベリング剤としては、一般的なレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
前記粘度調整剤としては、一般的な増粘剤を用いることができ、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体や合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトールなどが挙げられる。
前記成膜助剤としては、一般的な成膜助剤を用いることができ、例えば、アニオン系界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩など)、疎水性ノニオン系界面活性剤(ソルビタンモノオレエートなど)、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
前記消泡剤としては、一般的な消泡剤を用いることができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
前記防腐剤としては、一般的な防腐剤を用いることができ、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ヨード系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
前記流動体の粘度(25℃でB型粘度計を用いて測定した値)は、0.1〜500,000mPa・sの範囲が好ましく、0.2〜10,000mPa・sの範囲がより好ましい。また、前記流動体を、後述するインクジェット印刷法、凸版反転印刷等の方法によって塗工(印刷)する場合には、その粘度は5〜20mPa・sの範囲が好ましい。
前記支持体(A)もしくは前記プライマー層(X)の上に前記流動体を塗工や印刷する方法としては、例えば、インクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、パッド印刷、フレキソ印刷法等が挙げられる。
これらの塗工方法の中でも、電子回路等の高密度化を実現する際に求められる0.01〜100μm程度の細線状でパターン化された前記銀ナノ粒子層(B)を形成する場合には、インクジェット印刷法、反転印刷法を用いることが好ましい。
前記インクジェット印刷法としては、一般にインクジェットプリンターといわれるものを用いることができる。具体的には、コニカミノルタEB100、XY100(コニカミノルタIJ株式会社製)、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−3000、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−2831(富士フィルム株式会社製)等が挙げられる。
また、反転印刷法としては、凸版反転印刷法、凹版反転印刷法が知られており、例えば、各種ブランケットの表面に前記流動体を塗工し、非画線部が突出した版と接触させ、前記非画線部に対応する流動体を前記版の表面に選択的に転写させることによって、前記ブランケット等の表面に前記パターンを形成し、次いで、前記パターンを、前記支持体(A)の上(表面)に転写させる方法が挙げられる。
また、立体成形品へのパターンの印刷については、パッド印刷法が知られている。これは、凹版の上にインクを載せ、スキージで書き取ることでインクを均質に凹部に充填し、インクを載せた版上に、シリコンゴムやウレタンゴム製のパッドを押し当て、パターンをパッド上に転写し、立体成形品へ転写させる方法である。
前記プライマー層(X)の形成時の乾燥温度としては、用いるプライマー樹脂の種類にもよるが、通常は、80℃以上が好ましく、さらに120℃以上が好ましく、さらに200℃がさらに好ましい。また、乾燥温度の上限としては、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。一方、乾燥時間としては、乾燥温度にもよるが、通常は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。また、乾燥時間の上限としては、24時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、1時間以下がさらに好ましい。さらに、乾燥温度を200℃以上に設定した場合の乾燥時間の範囲は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。また乾燥時間の上限としては、1時間以下が好ましい。
前記銀ナノ粒子層(B)の単位面積当たりの質量は、1mg/m以上30,000mg/m以下が好ましく、1mg/m以上5,000mg/m以下が好ましい。前記銀ナノ粒子層(B)の厚さは、前記金属めっき層(C)の形成する際のめっき処理工程における処理時間、電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
前記銀ナノ粒子層(B)表面の前記規格化光電子収率(1/2乗)の値は、光電子分光装置で測定することができる。励起エネルギーとしては、紫外線(例えば、波長310〜177nm)を用いることができる。また、前記光電子分光装置としては、例えば、理研計器株式会社製「AC−3」を用いることができる。
前記銀ナノ粒子層(B)は、支持体(A)又は前記プライマー層(X)上に形成されたものである。ここで、前記銀ナノ粒子層(B)上の金属めっき層(C)の均一性をより向上するため、後述する金属めっき層(C)を積層する前の前記銀ナノ粒子層(B)の表面を光電子分光装置で測定した際、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値は20以上45以下であるが、35以上45以下が好ましい。
前記規格化光電子収率(1/2乗)の値は、励起エネルギー(紫外線)照射時の前記銀ナノ粒子層(B)表面からの電子の放出のし易さの指標となるため、前記銀ナノ粒子層(B)表面の銀ナノ粒子の密度と相関する。例えば、銀ナノ粒子の密度が高いと前記規格化光電子収率(1/2乗)の値は高くなる。本発明は、前記銀ナノ粒子層(B)表面の規格化光電子収率(1/2乗)の値を20以上45以下とすることで、最適な銀ナノ粒子の密度とし、銀ナノ粒子層(B)上の金属めっき層(C)を均一にすることができる。
本発明の積層体を構成する金属めっき層(C)は、例えば、前記積層体をプリント配線板等に用いる場合に、長期間にわたり断線等を生じることなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成することを目的として設けられる層である。
また、前記金属めっき層(C)を構成する金属としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、金、銀、白金等が挙げられる。これらの中でも、電気抵抗が低く、腐食に強いプリント配線板に用いることができる積層体が得られることから銅が好ましい。
前記金属めっき層(C)は、前記金属ナノ粒子層(B)の上に形成される層であるが、その形成方法としては、めっき処理によって形成する方法が好ましい。このめっき処理としては、簡便に前記金属めっき層(C)を形成できる電解めっき法、無電解めっき法等の湿式めっき法が挙げられる。また、これらのめっき法を2つ以上組み合わせてもよい。例えば、無電解めっきを施した後、電解めっきを施して、前記金属めっき層(C)を形成してもよい。
上記の無電解めっき法は、例えば、前記銀ナノ粒子層(B)を構成する銀ナノ粒子に、無電解めっき液を接触させることで、無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属皮膜からなる無電解めっき層(皮膜)を形成する方法である。
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、金、銀等の金属と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含有するものが挙げられる。
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール等が挙げられる。
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸化合物;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸化合物;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸化合物などの有機酸、又はこれらの有機酸の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物等の錯化剤を含有するものを用いることができる。
前記無電解めっき液は、20℃以上98℃以下の範囲で用いることが好ましい。
前記電解めっき法は、例えば、前記銀ナノ粒子層(B)を構成する金属、又は、前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に、電解めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電解めっき液中に含まれる銅等の金属を、カソードに設置した前記銀ナノ粒子層(B)を構成する導電性物質又は前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に析出させ、電解めっき層(金属皮膜)を形成する方法である。
前記電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属の硫化物と、硫酸と、水性媒体とを含有するもの等が挙げられる。具体的には、硫酸銅と硫酸と水性媒体とを含有するものが挙げられる。
前記電解めっき液は、20℃以上98℃以下の範囲で用いることが好ましい。
前記金属めっき層(C)の形成方法としては、前記金属めっき層(C)の膜厚を、薄膜から厚膜まで所望とする膜厚に制御しやすいことから、無電解めっきを施した後、電解めっきを施す方法が好ましい。
前記金属めっき層(C)の膜厚は、1〜50μmの範囲が好ましい。前記金属めっき層(C)の膜厚は、前記金属めっき層(C)の形成する際のめっき処理工程における処理時間、電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
上記の方法により得られた本発明の積層体は、導電性パターンとして使用することが可能である。本発明の積層体を導電性パターンに使用する場合、形成しようとする所望のパターン形状に対応した位置に、前記銀ナノ粒子層(B)を形成するため、銀ナノ粒子を含有する流動体を塗布して焼成することによって、所望のパターンを有する導電性パターンを製造することができる。
また、前記導電性パターンは、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等のフォトリソ−エッチング法、または銀ナノ粒子層(B)の印刷パターン上にめっきする方法によって製造することができる。
前記サブトラクティブ法は、予め製造した本発明の積層体を構成する前記めっき層(C)の上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、前記レジストの除去された部分の前記めっき層(C)及び銀ナノ粒子層(B)を薬液で溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。前記薬液としては、塩化銅、塩化鉄等を含有する薬液を使用することができる。
前記セミアディティブ法は、前記支持体(A)の上に前記銀ナノ粒子層(B)を形成し、必要に応じて表面処理を行った後、その表面に、所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電解めっき法、無電解めっき法によって金属めっき層(C)を形成した後、前記めっきレジスト層とそれに接触した前記銀ナノ粒子層(B)とを薬液等に溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。
また、前記銀ナノ粒子層(B)の印刷パターン上にめっきする方法は、前記支持体(A)に、インクジェット法、反転印刷法等で前記銀ナノ粒子層(B)のパターンを印刷し、必要に応じてプラズマ放電処理等により表面処理を行った後、得られた前記銀ナノ粒子層(B)の表面に、電解めっき法、無電解めっき法によって前記金属めっき層(C)を形成することによって、所望のパターンを形成する方法である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<規格化光電子収率(1/2乗)の測定方法>
銀ナノ粒子層(B)表面の前記規格化光電子収率(1/2乗)の測定条件は次の通りである。光電子分光装置(理研計器株式会社製「AC−3」)を用い、測定条件としては、エネルギー走査範囲4.0〜7.0eV(波長310〜177nmの紫外線励起)とし、設定光量10nm、計測時間10秒、陽極電圧2,990V、ステップ0.1eVで測定を行った。測定した規格化光電子収率(単位光量当たりの光電子収率の1/2乗)のうち、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値を読み取った。
(調製例1:プライマー組成物(1)の調製)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗及び重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に、酢酸エチル200質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温した反応容器内に、攪拌下、メタクリル酸グリシジル12質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル10質量部、スチレン63質量部、メタクリル酸ブチル5質量部、メタクリル酸メチル10質量部を含有するビニル単量体混合物と、アゾイソブチロニトリル1質量部及び酢酸エチル20質量部を含有する重合開始剤溶液を、各々別の滴下漏斗から反応容器内温度を90±1℃に保ちながら240分間かけて滴下し重合した。滴下終了後、同温度にて120分間攪拌した後、前記反応容器内の温度を30℃に冷却した。次いで、酢酸エチルを添加し固形分を2質量%に調整した。その後、固形分2質量%に調整した樹脂を100質量秤取って、無水トリメリット酸をメチルエチルケトンで希釈した不揮発分2質量%の溶液10質量部を添加し、均一に混合してプライマー組成物(1)を得た。
(調製例2:プライマー組成物(2)の調製)
温度計、冷却管、分留管、攪拌器を取り付けたフラスコに、フェノール750質量部、メラミン75質量部、41.5質量%ホルマリン346質量部、及びトリエチルアミン1.5質量部を加え、発熱に注意しながら100℃まで昇温した。還流下100℃にて2時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次いで、減圧下で未反応のフェノールを除去し、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂を得た。その後、アミノトリアジンノボラック樹脂70質量部、及びエポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850−S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂)30質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈し、均一に混合して、プライマー組成物(2)を得た。
(調製例3:プライマー組成物(3)の調製)
温度計、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、1,6−ヘキサンジオール685質量部、ネオペンチルグリコール604質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、水酸基価55.9、酸価0.2のポリエステルポリオールを得た。
上記のポリエステルポリオール1000質量部を減圧下100℃で脱水し、80℃まで冷却した後、メチルエチルケトン883質量部を加え十分撹拌、溶解し、2,2−ジメチロールプロピオン酸80質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート244質量部を加えて70℃で8時間反応させた。
前記反応終了後、40℃まで冷却し、トリエチルアミン60質量部加えて中和した後、水4700質量部と混合し透明な反応生成物を得た。
前記反応生成物から、40〜60℃の減圧下でメチルエチルケトンを除去し、次いで、水を混合することで、不揮発分2質量%とし、重量平均分子量50,000のプライマー組成物(3)を得た。
(調製例4:プライマー組成物(4)の調製)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された反応容器中で、2,2−ジメチロールプロピオン酸6.3質量部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのヌレート体71.1質量部とを、メチルエチルケトン中で反応させることによってイソシアネート化合物を調製した後、前記反応容器にブロック剤としてフェノール17.8質量部を供給し反応させることによって、ブロックポリイソシアネートの溶剤溶液を調製した。その後、メチルエチルケトンを添加して固形分2質量%のプライマー組成物(4)を得た。
[流動体(1)の調製]
特許第4573138号公報記載の実施例1にしたがって、銀ナノ粒子とカチオン性基(アミノ基)を有する有機化合物の複合体である灰緑色の金属光沢があるフレーク状の塊からなるカチオン性銀ナノ粒子を得た。その後、この銀ナノ粒子の粉末を、エチレングリコール45質量部と、イオン交換水55質量部との混合溶媒に分散させて、カチオン性銀ナノ粒子が5質量%の流動体(1)を調製した。
(実施例1)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、調製例1で得られたプライマー組成物(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、その乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて250℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
上記で形成したプライマー層の表面に、上記で得られた流動体(1)を、バーコーターを用いて塗工した。次いで、100℃で5分間乾燥することによって、前記金属ナノ粒子層(C)に相当する銀層(膜厚20nm)を形成した。この銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定したところ、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)は36であった。
上記で形成した銀層を、無電解銅めっき液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製「CIRCUPOSIT4500」)中に50℃で20分間浸漬し、無電解銅めっきを行った。無電解銅めっき時に、めっき開始から5分後、10分後、15分後、20分後のめっきの状態を、後述する金属めっき層の均一性の評価方法に従って、無電解銅めっきの均一性を評価した。
以上の方法によって、支持体(A)、プライマー層(X)、金属ナノ粒子層(B)、及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体(1)を得た。
(実施例2)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、調製例2で得られたプライマー組成物(2)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、その乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて250℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
上記で形成したプライマー層の表面に、上記で得られた流動体(1)を、バーコーターを用いて塗工した。次いで、120℃で5分間乾燥することによって、前記金属ナノ粒子層(C)に相当する銀層(膜厚20nm)を形成した。この銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定したところ、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)は21であった。
めっき工程については、実施例1と同様に、無電解銅めっきを行うことで、支持体(A)、プライマー層(X)、金属ナノ粒子層(B)、及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体(2)を得た。
(実施例3)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、上記で得られた流動体(1)を、バーコーターを用いて塗工した。次いで、90℃で5分間乾燥することによって、前記金属ナノ粒子層(C)に相当する銀層(膜厚20nm)を形成した。この銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定したところ、励起エネルギーが5.5eV時規格化光電子収率(1/2乗)は43であった。
めっき工程については、実施例1と同様に、無電解銅めっきを行うことで、支持体(A)、金属ナノ粒子層(B)、及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体(3)を得た。
(比較例1)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、調製例3で得られたプライマー組成物(3)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、その乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
上記で形成したプライマー層の表面に、上記で得られた流動体(1)を、バーコーターを用いて塗工した。次いで、140℃で5分間乾燥することによって、前記金属ナノ粒子層(B)に相当する銀層(膜厚20nm)を形成した。この銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定したところ、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)は18であった。
めっき工程については、実施例1と同様に、無電解銅めっきを行うことで、支持体(A)、プライマー層(X)、金属ナノ粒子層(B)、及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体(R1)を得た。
(比較例2)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、調製例4で得られたプライマー組成物(4)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、その乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて100℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
上記で形成したプライマー層の表面に、上記で得られた流動体(1)を、バーコーターを用いて塗工した。次いで、230℃で5分間乾燥することによって、前記金属ナノ粒子層(C)に相当する銀層(膜厚20nm)を形成した。この銀ナノ粒子層の表面を光電子分光装置で測定したところ、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)は1であった。
めっき工程については、実施例1と同様に、無電解銅めっきを行うことで、支持体(A)、プライマー層(X)、金属ナノ粒子層(B)、及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体(R2)を得た。
上記の実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた積層体(1)〜(3)及び(R1)〜(R2)について、下記の測定及び評価を行った。
[金属めっき層の均一性評価]
上記の実施例1〜3、比較例1〜2で得られた積層体(1)〜(3)及び(R1)〜(R2)の無電解めっきにより形成した金属(銅)めっき層の均一性を、下記の基準にしたがって評価した。
A:金属めっき層(銅)が形成された面積が、銀ナノ粒子層の面積の100%である。
B:金属めっき層(銅)が形成された面積が、銀ナノ粒子層の面積の75%以上100%未満である。
C:金属めっき層(銅)が形成された面積が、銀ナノ粒子層の面積の50%以上75%未満である。
D:金属めっき層(銅)が形成された面積が、銀ナノ粒子層の面積の25%以上50%未満である。
E:金属めっき層(銅)が形成された面積が、銀ナノ粒子層の面積の25%未満である。
実施例1〜3及び比較例1〜2の銀ナノ粒子層表面の前記規格化光電子収率(1/2乗)及び金属めっき層の均一性の評価結果を表1に示す。
Figure 2019014188
本発明の積層体である実施例1〜3で得られた積層体(1)〜(3)は、励起エネルギーが5.5eV時の銀ナノ粒子層の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20以上45以下であるため、無電解めっきによる金属めっき層の均一性(銀ナノ粒子を含有する流動体を塗工した面積に対する無電解銅めっきが析出した割合)が高いことが確認できた。
一方、比較例1〜2で得られた積層体(R1)〜(R2)は、励起エネルギーが5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20未満の例であるが、無電解めっきによる金属めっき層の均一性(銀ナノ粒子を含有する流動体を塗工した面積に対する無電解銅めっきが析出した割合)が低いことが確認できた。

Claims (5)

  1. 支持体(A)の上に、銀ナノ粒子層(B)及び金属めっき層(C)が順次積層された積層体であって、前記金属めっき層(C)を積層する前の前記銀ナノ粒子層(B)の表面を光電子分光装置で測定した際に、励起エネルギー5.5eV時の規格化光電子収率(1/2乗)の値が20以上45以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記支持体(A)と前記銀ナノ粒子層(B)とが、プライマー層(X)を介して積層されたものである請求項1記載の積層体。
  3. 請求項1又は2項記載の積層体を用いたことを特徴とするプリント配線板。
  4. 請求項1又は2記載の積層体であって、前記支持体(A)がフィルムであることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
  5. 請求項1又は2記載の積層体を用いたことを特徴とする成形品。
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