(実施例1) 図1ないし図18に、本発明に係る肌状態センサと美容器具の実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。両図において美容器具は、縦長のグリップ兼用の本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けられた前後一対の肌ヘッド2・102とを備えており、前側の肌ヘッド2には、肌状態センサ88を構成する発光素子(発光部)138と受光素子(受光部)139などが収容されている。本体ケース1は、前後に分割形成された前ケース1aと後ケース1bとで中空ケース状に構成されている。本体ケース1の上半部が、一対の肌ヘッド2・102を支持するヘッド支持部100を構成し、本体ケース1の下半部がグリップ部101を構成する。
本体ケース1の内部には、前ケース1aの前壁に正対する縦長の制御基板7と、制御基板7に電気的に接続された電池8とが収容されている。制御基板7の前面下部には、電源投入用の電源スイッチ103と、駆動モードを切り替えるためのモード選択スイッチ104と、駆動強度を切り替えるためのレベル切替スイッチ105とが実装されている。本体ケース1のグリップ部101の前面には、3個のスイッチボタン106〜108を備えるスイッチパネル6が設けられており、ユーザーは各スイッチボタン106〜108を内方へ押し込むことにより、対応するスイッチ103〜105を操作できる。また、制御基板7の前面上部には、駆動モードを発光表示するモード表示部109と、駆動強度を発光表示するレベル表示部110とが実装されている。両表示部109・110はそれぞれ複数個のLEDで構成されており、これらLEDに正対する透光窓が前ケース1aおよびスイッチパネル6に設けられている。ユーザーは、これらの透光窓を介して両表示部109・110を視認することができる。
後側の肌ヘッド102は、その後面のみが後ケース1bから露出する状態で、本体ケース1のヘッド支持部100に収容されている。肌ヘッド102の内方にはペルチェ素子113とヒートシンク114が収容されており、ペルチェ素子113の吸熱面には肌ヘッド102が接合され、発熱面にはヒートシンク114が接合されている。ペルチェ素子113は制御基板7に不図示のリード線を介して接続されている。制御基板7からペルチェ素子113へ駆動電流を供給すると、その吸熱面を介して肌ヘッド102が冷却されるとともに、ペルチェ素子113の発熱面の熱がヒートシンク114を介して放熱される。後側の肌ヘッド102は、ユーザーの肌面を冷却するための「冷却モード」において使用される。
本実施例に係る美容器具は、上述の「冷却モード」の他に、「イオン導出モード」「イオン導入モード」および「肌異常検知モード」を備えており、これら3つの駆動モードにおいては前側の肌ヘッド2が使用される。ユーザーが電源スイッチ103を押して電源を投入した直後は「イオン導出モード」が選択されており、当該モードの選択中であることがモード表示部109で表示されている。この状態からモード選択スイッチ104を押すごとに、「イオン導入モード」「肌異常検知モード」「冷却モード」の順に駆動モードが切り替わり、同時にモード表示部109の表示が切り替わる。「冷却モード」においてモード選択スイッチ104を押すと、再び「イオン導出モード」に戻る。図3において前側の肌ヘッド2は、丸筒状のプラスチック成形品からなるヘッドケース16と、ヘッドケース16の前端に装着される肌刺激体3と、ヘッドケース16の外周面に配置されるヘッド表示部(放光体)117と、ヘッドケース16内に収容されるバイブレータ118などで構成される。またヘッドケース16には、肌状態センサ88を構成する発光素子138と受光素子139などが収容されている。後述するように「肌異常検知モード」は、肌状態センサ88を駆動しながらイオン導入を行う駆動モードである。
図3に示すように、前ケース1aの上部前面には、ヘッドケース16を装着するための円形の装着座14が設けられており、ヘッドケース16の後端には、装着座14に嵌込まれる連結筒壁18が形成されている。ヘッドケース16および前ケース1aと、バイブレータ118を支持するバイブレータホルダ120とは、前ケース1aの内面から連結筒壁18にねじ込んだ2個のビス22で一体化されている。この装着状態において、装着座14に連続する外周囲壁と連結筒壁18との間の隙間が、Oリング23で封止されている。
ヘッドケース16の前端には、肌刺激体3を装着するための装着筒壁122が形成されている。肌刺激体3は、チタン板材を素材とする丸キャップ状のプレス成形品からなり、装着筒壁122に前方から被せられてヘッドケース16に一体化されている。装着筒壁122の外周面と、これに正対する肌刺激体3の周壁とは、前方へ僅かに先窄まり状に形成されている。装着筒壁122の外周面にはOリング123が配置されており、このOリング123が装着筒壁122と肌刺激体3に挟持されて弾性変形することにより、両者122・3の間の隙間が封止されている。ヘッドケース16は、装着筒壁122の後側に周回状に膨出されたキャップ装着部17を備える。肌刺激体3の後端には保持リング124が外嵌装着されて、キャップ装着部17の前壁により受け止められている。保持リング124をキャップ装着部17に接着することにより、肌刺激体3はヘッドケース16に固定されている。図2において符号64は、シート状のコットンパッド(シート体・障害物)Pを保持するリング状の保持キャップであり、保持キャップ64は先のキャップ装着部17に圧嵌合されて、肌刺激体3の外面に装着したコットンパッドPを固定保持する。なおコットンパッドPに代えて、液体を吸収可能な他のシート体、例えばスポンジなどの多孔質体や紙を素材とするシート体を用いることができ、これらを吸液性シート体Pを総称することができる。
キャップ装着部17と連結筒壁18の間におけるヘッドケース16の外周面に、ヘッド表示部117が配置されている。図4においてヘッド表示部117は、ヘッドケース16の外周面に沿って巻回された無端リング状の導光リング126と、ヘッドケース16の壁面に埋設されて導光リング126に臨む上下一対のLED127とで構成される。導光リング126は、光拡散性に優れたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等からなり、LED127から入射した光が導光リング126の中で反射を繰り返すことで、導光リング126の全体が略均一に発光する。導光リング126の外径は、キャップ装着部17の外径よりも十分に小さく設定されている。従って、肌刺激体3の前面の刺激面3aにユーザーが正対した状態において、導光リング126自体はキャップ装着部17で遮られてユーザーの目に映ることはなく、導光リング126が発する光だけがユーザーの目に映ることになる。つまりキャップ装着部17は、ユーザーの目に眩しい光が照射されるのを解消するための遮光壁128を兼ねている。
ヘッドケース16の後半部には、偏心モータからなるバイブレータ118と、バイブレータ118を支持するバイブレータホルダ120とが収容されている。バイブレータホルダ120は、バイブレータ118を協同して抱持する前後一対の分割ホルダ130・131で構成されている。前側の分割ホルダ130の後面には3個のボス132が設けられており、後側の分割ホルダ131に挿通したビス133を各ボス132にねじ込むことにより、前後の分割ホルダ130・131が一体化されている。図3に示すように後側の分割ホルダ131は、左右一対のフランジ状のベース部134を一体に備えており、両ベース部134が、先に説明したヘッドケース16の連結筒壁18と共に、装着座14の座壁にビス22で締結固定されている。なお、バイブレータホルダ120は、一対の分割ホルダ130・131に分割されていない一体成形品とすることもできる。
肌刺激体3とバイブレータホルダ120の間に、肌状態センサ88を構成する複数の部材が配置されている。図5において肌状態センサ88は、基板137の前面に実装された発光素子138および受光素子139と、発光素子138から受光素子139へのV字状の光路を形成する前後一対の光路形成体140・141と、前側に位置する第1の光路形成体140の前面中央に配置されたレンズ142などで構成される。肌刺激体3の刺激面3aの中央には、レンズ142を露出させるための円形の窓開口35が形成されており、窓開口35から露出するレンズ142の前面が、ユーザーの肌面の被測定部に正対する測定部143を構成する。肌状態センサ88の駆動状態においては、発光素子138から測定部143の中央へ向かって検査光が照射され、測定部143に当接する肌面の被測定部で反射して、受光素子139へ至る。レンズ142は、透光性に優れたポリカーボネートを素材として形成されている。
後側に位置する第2の光路形成体141は、基板137に正対する略円板状のベース板145と、ベース板145の前面中央に突設された略円錐状の錐状部146とを一体に備えるプラスチック成形品からなる。ベース板145の左右には、発光素子138と受光素子139を収容するための収容穴(収容部)147・148がそれぞれ形成されている。両素子138・139が収容穴147・148の壁面に接触するのを避けるために、収容穴147・148は収容する素子138・139よりも僅かに大きく形成されている。錐状部146の円錐面は、第1の光路形成体140と接合される接合面149を構成しており、この接合面149には、母線と平行な左右一対の光路溝150と、上下一対の係合凹部151とが凹み形成されている(図6参照)。
図4において第1の光路形成体140は、第2の光路形成体141のベース板145より一回り大きい略円板状のベース板153と、ベース板153の後面中央に突設された柱状部154と、ベース板153の後面の周辺部に突設されたばね軸155および3個のボス156とを一体に備えるプラスチック成形品からなり、ベース板153と柱状部154の中央部を貫通するように、錐状部146を収容するすり鉢状の錐状孔157が形成されている。錐状孔157の壁面は、錐状部146の接合面149と接合される接合面158を構成しており、この接合面158には、錐状部146の光路溝150に正対する左右一対の光路溝159が凹み形成されており、また、錐状部146の係合凹部151に係合する上下一対の係合凸部160が突設されている(図6参照)。ばね軸155は、肌刺激体3への通電用のコイルばね161に挿通されて、同ばね161を支持する。
第2の光路形成体141の錐状部146を略円錐状に形成し、第1の光路形成体140の錐状孔157をすり鉢状に形成すると、錐状孔157に対する錐状部146の収まりが良く、しかも一対の光路形成体140・141が互いに位置ずれし難い。錐状部146と錐状孔157の接合面149・158どうしを接合した状態では、両接合面149・158に形成した光路溝150・159どうしが正対して、検査光が通過する中空状の光路が形成される。また、係合凸部160が係合凹部151に係合することにより、錐状部146の中心軸まわりの前後の光路形成体140・141の相対回転が規制される。さらに、柱状部154の後端面が、第2の光路形成体141のベース板145の前面で受け止められる。前側の分割ホルダ130に挿通したビス162を、各ボス156にねじ込むことにより、前側の分割ホルダ130と第1の光路形成体140が一体化されており、これら両者130・140が基板137と第2の光路形成体141を前後から挟持している。なお光路溝150・159は、両接合面149・158のうち一方のみに形成されていてもよい。
図5において第1の光路形成体140のベース板153の前面中央には、レンズ142を収容するレンズ穴163が凹み形成されており、このレンズ穴163を取り囲むように、ヒーター164を支持するヒーター支持部165が段落ち状に形成されている。ヒーター164は偏平なフィルムヒーターからなり、その後面がヒーター支持部165に支持されている。ヒーター164の前面は、絶縁性の両面テープ166を介して肌刺激体3の内面に接着されている。肌刺激体3とヒーター164は両面テープ166で電気的に遮断されている。ヒーター支持部165の一部には、ヒーター164の表面温度を測定する温度センサ(サーミスタ)167と、異常時にヒーター164への電流供給を遮断するためのヒューズ168とが埋設されている(図4参照)。
図5に拡大して示すように、レンズ142の後面と、これに正対するレンズ穴163の底面には、前窄まりテーパー状のガイド面171・172がそれぞれ周回状に形成されている。レンズ142と第1の光路形成体140を前後に密着させて、両ガイド面171・172を接合することにより、レンズ142を光路形成体140に対して上下左右に位置決めできる。レンズ142の周縁部の前面は、弾性を有する両面テープ173を介して肌刺激体3の内面に接着されている。両面テープ173は、レンズ142によって肌刺激体3の内面に押し付けられて、レンズ142と肌刺激体3の間の隙間を水密状に封止している。つまり両面テープ173は、肌刺激体3に対するレンズ142の固定手段と、水密のためのシール体とを兼ねるものである。なお、両面テープ173でレンズ142を肌刺激体3の内面に接着固定するだけでも、肌刺激体3に対するレンズ142の位置ずれを十分に防止し、しかも両者3・142の間の水密性を十分に確保できるが、本実施例では、位置ずれの防止性と水密性をさらに高めるため、ビス22でヘッドケース16に締結固定される後側の分割ホルダ131が、前側の分割ホルダ130および一対の光路形成体140・141を介して、レンズ142を肌刺激体3の内面に押し付けて、両者3・142をより確りと密着させる構造を採っている。
前ケース1aに対する肌ヘッド2の組み付け手順の一例を、図7を用いて説明する。まず、一対の光路形成体140・141と基板137とコイルばね161を組み合わせ、前側の分割ホルダ130にビス162を挿通し、第1の光路形成体140のボス156にねじ込んで、前側の分割ホルダ130を第1の光路形成体140に固定することにより、両者130・140の間に第2の光路形成体141と基板137が前後から挟持された第1組立体を得る。次いで、前側の分割ホルダ130に後方からバイブレータ118を組み付け、後側の分割ホルダ131にビス133を挿通し、前側の分割ホルダ130の各ボス132にねじ込み、前後の分割ホルダ130・131を一体化することにより、第1組立体にバイブレータ118と後側の分割ホルダ131を加えた第2組立体を得る。
得られた第2組立体を、前ケース1aの装着座14で囲まれる開口に後方から挿入するとともに、導光リング126とLED127とOリング23を予め装着したヘッドケース16を、装着座14に連続する外周囲壁の内側へ前方から挿入する。この状態で、装着座14と後側の分割ホルダ131のベース部134とに後方からビス22を挿通し、ヘッドケース16の連結筒壁18にねじ込むことにより、第2組立体とヘッドケース16を前ケース1aに固定する。次いで、ヘッドケース16の前面から露出する第1の光路形成体140の前面に、温度センサ167、ヒューズ168、ヒーター164およびレンズ142を組み付け、ヒーター164とレンズ142の前面に両面テープ166・173を貼り付ける。最後に、Oリング123を予め配置したヘッドケース16の装着筒壁122に肌刺激体3を装着し、これを保持リング124で固定する。以上の組み付け手順は一例に過ぎず、これ以外にも種々の組み付け手順が考えられるが、いずれにしても肌刺激体3と後側の分割ホルダ131の間で、前側から順に両面テープ166・173、ヒーター164とレンズ142、第1の光路形成体140、第2の光路形成体141、基板137、および前側の分割ホルダ130が挟持される。なお、レンズ142と第1の光路形成体140は一体成形品で構成してもよい。
肌刺激体3は、通電用のコイルばね161と、不図示のリード線を介して、制御基板7に実装された電流源175(図8参照)に接続されている。また、本体ケース1のグリップ部101の後面にはグリップ電極10が固定されており(図2参照)、グリップ電極10も不図示のリード線を介して電流源175に接続されている。電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10への電流供給は、制御基板7に実装された本体制御部(制御部)115により制御される。「イオン導出モード」においては、肌刺激体3にプラス極性のパルス電流が供給され、グリップ電極10にはマイナス極性のパルス電流が供給される。「イオン導入モード」と「肌異常検知モード」においては、肌刺激体3にマイナス極性のパルス電流が供給され、グリップ電極10にはプラス極性のパルス電流が供給される。本実施例においては、電流源175とバイブレータ118とヒーター164が、肌刺激体3に物理的な美容刺激、すなわち電流刺激と振動刺激と温熱刺激を付与する肌刺激源116を構成する。
「イオン導出モード」と「イオン導入モード」では、肌刺激体3の刺激面3aを直接肌面に押し当ててケアを行うことができ、また、コットンパッドPを肌刺激体3の外面に保持キャップ64で装着し、このコットンパッドPを肌面に押し当ててケアを行うこともできる。コットンパッドPを使用する場合は、美容用液をコットンパッドPに含浸させてもよく、また、美容用液を直接塗付した肌面にコットンパッドPを押し当ててもよい。一方、コットンパッドPの装着状態では、肌面と測定部143の間にコットンパッドPが介在するので、肌状態センサ88による肌状態の測定が行えない。そのため、コットンパッドPを装着した状態で「肌異常検知モード」に切り替え操作された場合や、「肌異常検知モード」の選択中にコットンパッドPが装着された場合は、通常の「イオン導入モード」へ自動的に移行する制御が行われるが、その詳細については後述する。
「イオン導出モード」「イオン導入モード」および「肌異常検知モード」においては、ユーザーがレベル切替スイッチ105を押すごとに、電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10に供給されるパルス電流の強度が、「弱」「中」「強」の3段階で切り替わる。具体的には、「イオン導出モード」と「イオン導入モード」においては、「弱」のときに6V、「中」のときに8V、「強」のときに10Vの電圧が、電流源175にそれぞれ印加される。「肌異常検知モード」においては、ユーザーがレベル切替スイッチ105で設定した駆動強度と、肌状態センサ88の検知結果に基づいて決定されるケアレベルとに基づいて、本体制御部115が電流源175に印加する電圧を自動的に制御する。本実施例では、駆動強度が「弱」でケアレベルが「1」のときの印加電圧を6V、駆動強度が「中」でケアレベルが「1」のときの印加電圧を8V、駆動強度が「強」でケアレベルが「1」のときの印加電圧を10Vにそれぞれ設定し、各駆動強度において、ケアレベルが1つ大きくなるごとに印加電圧が1V上昇するように設定した。ケアレベルの最大値は「5」であり、このときの印加電圧は、駆動強度が「弱」のとき10V、駆動強度が「中」のとき12V、駆動強度が「強」のとき14Vである。
なお、上記の各電圧値は一例に過ぎず、上記以外の値を採用することはもちろん可能である。これ以降に挙げる電圧値等についても同様である。レベル切替スイッチ105で設定される駆動強度を3段階とすることや、肌状態センサ88の検知結果に基づくケアレベルの最大値を「5」とすることも一例に過ぎず、これとは異なる段階数や最大値を採用してもよい。また本実施例では、電流源175に印加する電圧を大小に変化させて、電流源175から供給されるパルス電流のピーク値を大小に変化させることにより、パルス電流の強度を変更するが、この方法に代えて、またはこの方法と併用して、パルス電流のデューティー比を大小に変化させる方法を採用してもよい。
図8および図9に示すように本体制御部115は、各スイッチ103〜105や温度センサ167などからの入力信号と、肌状態センサ88を制御するセンサ制御部174からの入力信号に基づいて、電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10に供給するパルス電流、ヒーター164とバイブレータ118に供給する駆動電流、および、各表示部109・110・117における表示内容などを制御する。本体制御部115には、美容器具の駆動時間を計測可能なメインタイマー176が設けられている。センサ制御部174は、本体制御部115と同様に制御基板7に実装されており、後述する出力電圧V(電気的出力値)や基準電圧V0(電気的基準値:所定の基準光量に対応する電気的出力値)を記憶する記憶部177と、基準電圧V0の設定に用いるサブタイマー180とを備える。
肌状態センサ88の発光素子138は発光ダイオードからなり、レギュレータ178を介してセンサ制御部174に接続されており、また発光素子138には抵抗(例えば100Ω)が直列接続されている。発光素子138から照射される検査光は紫色の可視光であり、そのピーク波長は約400nmである。発光素子138と対になる受光素子139はフォトダイオードからなり、オペアンプ179を介してセンサ制御部174に接続されている。詳しくは、受光素子139がオペアンプ179の反転入力端子(−)に接続され、オペアンプ179の出力端子がセンサ制御部174に接続されている。
センサ制御部174からレギュレータ178を介して発光素子138に電圧を印加すると、同素子138が発光して、ユーザーの肌面へ向かって検査光が照射される。検査光はユーザーの肌面で反射し、受光素子139へ至る。このときの反射光量は、ユーザーの肌の色、すなわちメラニンの量によって変化する。具体的には、肌が黒くメラニンが多いユーザーの場合は、検査光が肌面で比較的多く吸収されるので、反射光量は少なくなる。逆に、肌が白くメラニンが少ないユーザーの場合は、検査光の吸収量が比較的少ないので、反射光量は多くなる。また、同じユーザーが使用する場合でも、メラニンを原因とするシミなどの異常部分では、シミなどが無い正常部分と比べて、検査光が多く吸収されて反射光量は少なくなる。本実施例に係る肌状態センサ88は、この反射光量の差異に基づいて、シミなどの肌異常を検知するものである。紫色(380〜430nm)の可視光は、それよりも波長が長い他色の可視光に比べてメラニンに吸収されやすく、そのため正常部分と異常部分に照射したときの反射光量の差異が大きいことから、肌異常の検知力に優れる。
ユーザーの肌面で反射して受光素子139へ至った検査光が多いほど、大きな電流が受光素子139を流れて、オペアンプ179からセンサ制御部174へ高い電圧が出力される。この出力電圧Vは、受光素子139を流れる電流Iと、負帰還回路に配置した抵抗R(例えば50MΩ)との積で求めることができる。センサ制御部174は、オペアンプ179からの出力電圧Vと、記憶部177に記憶された基準電圧V0とを比較することにより、肌面の被測定部(検査光の反射面)における肌異常の有無を判定する。基準電圧V0は、ユーザーの肌の色に応じて変化する変数であり、正常部分の肌色が白いほど高い電圧に設定され、肌色が黒いほど低い電圧に設定される。基準電圧V0の設定方法については後述する。なお本実施例では、電流Iが大きいほど出力電圧Vが高くなるように増幅回路を構成したが、逆に、電流Iが大きいほど出力電圧Vが低くなるように増幅回路を構成してもよい。
図10のフローチャートに示すように、「肌異常検知モード」において出力電圧Vが初めて検知されると(ステップS1でYES)、センサ制御部174はまず出力電圧Vを所定の最大電圧VM(上限電気的基準値:所定の上限基準光量に対応する電気的出力値)(例えば2.8V)と比較する(ステップS2)。このステップS2は、肌刺激体3の外面にコットンパッドPが装着されているか否かをチェックするものである。一般的なコットンパッドPは白色であるため、コットンパッドPに向かって検査光を照射すれば、肌面に検査光を照射する場合に比べて反射光量は多くなる。この仕組みを利用して、コットンパッドPの装着の有無を判定することができる。出力電圧Vが最大電圧VMを上回る(ステップS2でYES)場合は、肌刺激体3の外面にコットンパッドPが装着されていると判断して「肌異常検知モード」を終了し(ステップS3)、通常の「イオン導入モード」へ移行する。
センサ制御部174は、出力電圧Vが最大電圧VM以下であれば(ステップS2でNO)、測定部143に正対しているのはコットンパッドPではなくユーザーの肌面であると判断して、この出力電圧Vを1番目の電圧V(1)として記憶部177に記憶する(ステップS4)。そして、1番目の電圧V(1)に係数Fを掛けた値を基準電圧V0の初期値に設定する(ステップS5)。本実施例では係数Fを「1.1(110%)」に設定した。係数Fの趣旨については後述する。またセンサ制御部174は、出力電圧Vの記憶回数Kとして「1」を入力する(ステップS6)。
次いでセンサ制御部174は、サブタイマー180による計時を開始する(ステップS7)。計時開始から所定時間T1(例えば0.3秒)が経過すると(ステップS8でYES)、センサ制御部174はそのときの出力電圧Vが、不等式(V0−V<G)を満足するか否かを判定する(ステップS9)。すなわち、基準電圧V0と出力電圧Vの差が所定値G(例えば0.3V)より小さいか否かを判定する。出力電圧Vが上記不等式を満足する場合(ステップS9でYES)はステップS10以降へ進み、当該電圧Vを記憶部177に記憶して基準電圧V0を更新する。まずステップS10では、現在の記憶回数Kに1を加算して、そのときの出力電圧VをK番目の電圧V(K)として記憶部177に記憶する。次に基準電圧V0を算出して更新するが、記憶回数Kがサンプリング数Nを超える前と超えた後では、その算出方法が異なる。サンプリング数Nとは、基準電圧V0の算出に用いる出力電圧Vの最大個数のことであり、本実施例ではサンプリング数Nを「10」に設定した。
記憶回数Kがサンプリング数Nを超える前(ステップS11でNO)はステップS12へ進み、1番目からK番目までのK個の電圧の平均値に係数Fを掛けた値を基準電圧V0とする。一方、記憶回数Kがサンプリング数Nを超えた後(ステップS11でYES)はステップS13へ進み、記憶部177に記憶されている最新のN個の電圧の平均値に係数Fを掛けた値を基準電圧V0とする。例えばK=30のときは、V(21)からV(30)までの10個の電圧の平均値に係数Fを掛けたものが基準電圧V0となる。ステップS12またはステップS13で基準電圧V0を更新した後はステップS7へ戻り、サブタイマー180をリセットして再び計時を開始する。また、先のステップS9の不等式を満足しない場合、すなわち基準電圧V0と出力電圧Vの差が0.3V以上である場合は(ステップS9でNO)、出力電圧Vの記憶と基準電圧V0の更新を行うことなくステップS7へ戻り、サブタイマー180をリセットして再び計時を開始する。なお、基準電圧V0の算出に用いるのは最新のN個の電圧値だけであるため、記憶回数Kがサンプリング数Nを超えてからのステップS10では、最新の出力電圧VをK番目の電圧V(K)として記憶する際に、(K−N)番目の電圧V(K−N)を記憶部177から排することが好ましい。例えば電圧V(50)を記憶する際は、電圧V(40)を記憶部177から排することが好ましい。
出力電圧Vの記憶と基準電圧V0の更新については、図11に示す先入れ先出しのデータ構造(キュー)を用いて説明することができる。このキューの容量は、上述のサンプリング数Nと同じ10個である。図11の上段は、キューに既に10個の電圧値が収容されている状態で(電圧値の平均は1.30V、基準電圧V0は1.43V)、新たに1.0Vの出力電圧Vが出力された例を示している。このときの基準電圧V0と出力電圧Vの差は、上述の所定値G(0.3V)以上であるから、当該電圧Vはキューに入ることなく弾かれる。図11の中段は、上段の状態から所定時間T1すなわち0.3秒が経過した状態を示している。ここでは1.1Vの出力電圧Vが出力されているが、ここでも基準電圧V0(1.43V)との差は所定値G(0.3V)以上であるから、上段の場合と同様に出力電圧Vはキューに入ることなく弾かれる。図11の下段は、中段の状態から所定時間T1が経過した状態を示しており、ここでは1.2Vの出力電圧Vが出力されている。このときの基準電圧V0(1.43V)と出力電圧Vの差は所定値G(0.3V)未満であるから、当該電圧Vはキューの最後尾に入り、代わりに先頭の電圧値(1.4V)がキューから押し出される。1.4Vに代わって1.2Vの電圧値がキューに入ったことで、10個の電圧値の平均は1.28Vとなり、基準電圧V0は約1.41Vに更新される。
図12に示す別の例では、キューに対して比較的高い1.5Vの電圧値が次々に収容されている。上段に示す状態では、10個の電圧値の平均は1.26V、基準電圧V0は約1.39Vであるが、この状態から所定時間T1が経過した中段の状態では、1.2Vに代えて1.5Vの電圧値が収容されて、基準電圧V0が約1.42Vに上昇している。このときの基準電圧V0と、キューの先頭から2〜4番目に位置する1.1Vの電圧値との差は、上述の所定値G(0.3V)以上になっているが、そのことを理由にキュー内の電圧値が弾かれることは無く、あくまで先頭の電圧値から順番にキューから押し出される。中段の状態から所定時間T1が経過した下段の状態では、1.5Vの電圧値がキューの最後尾に入り、代わりに先頭の1.2Vの電圧値がキューから押し出されている。そして、1.1Vの電圧値を含む10個の電圧値の平均値(1.32V)が算出されて、基準電圧V0が約1.45Vに更新されている。
基準電圧V0との差が所定値G以上の出力電圧Vを記憶しない(キューに収容しない)のは、極端に低い出力電圧Vが基準電圧V0の算出に用いられるのを避けるためである。測定部143がシミなどの異常部分に正対すると、正常部分に比べて出力電圧Vは低くなり、測定部143がシミよりも黒いほくろなどに正対すると、出力電圧Vはさらに低くなる。極端に低い出力電圧Vが基準電圧V0の算出に用いられると、基準電圧V0も低くなり、異常部分における出力電圧Vと基準電圧V0の差が小さくなるため、比較的薄いシミなどを見落としてしまう(誤って正常と判定してしまう)おそれがある。本実施例のように、基準電圧V0との差が所定値G未満の出力電圧Vだけを記憶する(キューに収容する)と、濃いシミやほくろなどにおける出力電圧Vを平均値から排除して、基準電圧V0を正常部分における出力電圧Vに近付けることができるので、比較的薄いシミなどの見落としを少なくして、肌状態センサ88の検出能力を向上させることができる。
基準電圧V0は、美容器具の駆動開始から一定時間が経過した時点で固定することもできるが、本実施例のように更新し続ける方が好ましい。美容器具の主な適用対象である顔肌は凹凸が多く、日光が当たりやすく日焼けしやすい部分とそうでない部分とが存在しており、肌の色すなわちメラニンの分布は顔肌全体で一様ではない。日光が当たりやすい部分における出力電圧Vに基づいて基準電圧V0を設定すると、日光が当たりにくい部分で肌状態を正確に判定できないおそれがあり、逆もまた然りである。本実施例に係る美容器具によれば、例えば額のケアを開始すると、額における出力電圧Vから基準電圧V0が設定されるので、額の肌状態を正確に判定することができる。額から例えば頬へ美容器具を移動させても、その約3秒後(所定時間T1とサンプリング数Nの積)には基準電圧V0が、頬における出力電圧Vのみに基づく値に更新されるから、今度は頬の肌状態を正確に判定することができる。
なお、本実施例に係る美容器具は、肌刺激体3の刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知機能を備えている(詳細は後述する)。「肌異常検知モード」による美容器具の駆動中に、肌検知状態がオンからオフに切り換わると、センサ制御部174は発光素子138からの検査光の照射を停止させる。これにより受光素子139が反射光を受光しなくなり、出力電圧Vが0になる。図10のフローチャートにおいては、ステップS8でサブタイマー180を監視しながら、ステップS14で肌検知状態を監視し、これがオフになった場合(ステップS14でNO)はステップS1へ戻り、再び出力電圧Vが検知されるのを待つ。最大電圧VM以下の出力電圧Vが再び検知されると(ステップS1でYES、ステップS2でNO)、センサ制御部174はステップS4〜S5で基準電圧V0を再設定する。
肌検知状態が一旦オフになると基準電圧V0を再設定するのは、ユーザーが肌刺激体3を肌面から離したときは、肌刺激体3を顔の別の部位に移動させたり、肌面に化粧水を継ぎ足すことが想定されるからである。顔肌全体で出力電圧Vが一様ではないことは先に説明したが、同じ部位であっても肌面に塗布する化粧水の色や量によって出力電圧Vは変化する。本実施例によれば、肌刺激体3の移動や化粧水の継ぎ足しを境に、肌刺激体3に正対する肌面の状態が変化しても、変化後の肌状態に基づいて新たな基準電圧V0を設定して、当該肌状態を正確に判定することができる。なお、肌検知状態がオフになると直ちに基準電圧V0を再設定するのに代えて、肌検知状態のオフ状態が一定時間(例えば0.8秒間)にわたって継続した場合に、基準電圧V0を再設定するように構成してもよい。
出力電圧Vは極めて短い周期(例えば10ミリ秒)でセンサ制御部174へ出力されるが、センサ制御部174は出力電圧Vを全て記憶部177に記憶するのではなく、当該周期よりも十分に長い所定時間T1(例えば0.3秒)ごとに出力電圧V(基準電圧V0との差が所定値G以上のものを除く)を記憶し、記憶した出力電圧Vの平均値から基準電圧V0を算出する。これは、出力電圧Vを記憶する周期があまりに短いと、肌のごく一部分における出力電圧Vだけで記憶部177が埋まってしまうからである。このとき、当該一部分が正常部分であれば全く問題は無いが、当該一部分が異常部分であったときは、異常部分における出力電圧Vのみに基づいて基準電圧V0が設定されてしまい、その後の肌状態の判定を正確に行えなくなる。このような事態を避けるため、本実施例では所定時間T1ごとに出力電圧Vを記憶することにした。本実施例において所定時間T1を0.3秒としたのは、ユーザーが通常の方法で美容器具を使用した場合、測定部143が同じ個所に0.3秒以上留まることは稀であること、および、出力電圧Vにスパイクノイズが発生しても、その状態が0.3秒以上続くことは稀であることによる。なお、後に図13を用いて詳しく説明するが、基準電圧V0と出力電圧Vに基づく肌状態の判定は、出力電圧Vが出力される周期すなわち10ミリ秒ごとに行う。基準電圧V0の更新よりも短い周期で肌状態を判定すると、顔肌のシミなどをきめ細かく精密に検知することができる。
複数個の電圧の平均値に係数F(F=1.1)を掛けた値を基準電圧V0にすると、係数Fを用いない場合に比べて、基準電圧V0を少しだけ高く設定することができる。電圧の平均値をそのまま基準電圧に設定すると、異常部分の低い出力電圧が多く記憶された場合に、基準電圧が低くなってしまう。この場合には、異常部分の出力電圧と基準電圧の差が小さくなるため、比較的薄いシミなどを見落としてしまう(誤って正常と判定してしまう)おそれがある。そこで本実施例では、電圧の平均値に係数Fを掛けることで基準電圧V0を上方修正して、出力電圧Vとの差を広げるようにした。
なお、上記のように電圧の平均値に係数Fを掛けるのに代えて、当該平均値に一定の補正値(補正値>0)を加えて基準電圧V0としてもよい。また本実施例では、受光素子139の受光量が多くなるほど出力電圧Vが高くなるように回路を構成したため、1より大きい係数Fを掛けて基準電圧V0を上方修正したが、本実施例とは逆に、受光素子139の受光量が多くなるほど出力電圧Vが低くなるように回路を構成する場合は、基準電圧V0を下方修正することが好ましい。つまり、電圧の平均値に1未満の係数Fを掛けるか、あるいは当該平均値から一定の補正値を減算することが好ましい。
上記の基準電圧V0の制御と並行して、センサ制御部174は基準電圧V0と出力電圧Vに基づき肌状態を判定し、肌状態に合わせて各肌刺激源116(電流源175・ヒーター164・バイブレータ118)のケアレベルを設定し、これを本体制御部115へ送信する。この制御を図13のフローチャートに示す。この制御は基準電圧V0の設定とともに開始されて、まず各肌刺激源116のケアレベルが「1」に設定される(ステップS21)。ここでケアレベル「1」とは、肌面の正常部分に付与する電流刺激等を発生させるケアレベルのことである。次にセンサ制御部174は、オペアンプ179から出力電圧Vが出力されるのを待つ(ステップS22)。出力電圧Vが出力される周期は、上記のように例えば10ミリ秒であり、基準電圧V0を更新する周期(所定時間T1=0.3秒)よりも十分に短い。出力電圧Vが出力されると(ステップS22でYES)、次のステップS23へ進む。
ステップS23では、出力電圧Vを所定の最小電圧Vm(下限電気的基準値:所定の下限基準光量に対応する電気的出力値)と比較する。このステップS23は、肌刺激体3がケアする必要のないほくろに正対しているか否かをチェックするものである。最小電圧Vmは、発光素子138からほくろへ向けて検査光を照射した場合に、オペアンプ179から出力される電圧値に基づいて設定された定数であり、予め記憶部177に記憶されている。本実施例では最小電圧Vmを0.8Vに設定した。センサ制御部174は、出力電圧Vが最小電圧Vmを下回る(ステップS23でYES)場合は、肌刺激体3がほくろに正対していると判定して、ほくろに無駄な刺激を与えないように、各肌刺激源116のケアレベルを「0」以上「1」以下に設定し(ステップS24)、各肌刺激源116の出力を停止もしくは減衰させる。ケアレベル「0」とは、肌刺激源116の出力が停止して、肌刺激源116から刺激が全く発生しないケアレベルのことである。ここでの電流源175とヒーター164とバイブレータ118のケアレベルは、「0」以上「1」以下の間で個別に設定してもよい。
一方、出力電圧Vが最小電圧Vm以上である(ステップS23でNO)場合は、肌刺激体3に正対する部分がほくろではないと判定してステップS25へ進み、当該部分が正常部分とシミなどの異常部分のどちらであるかを判定する。具体的には、出力電圧Vが基準電圧V0の90%以上(ステップS25でYES)であれば正常と判定して、各肌刺激源116のケアレベルを「1」に設定する(ステップS26)。逆に、出力電圧Vが基準電圧V0の90%未満(ステップS25でNO)であれば異常と判定して、ステップS27へ進む。
ステップS27以降では肌異常の度合いを判定し、その度合いに応じて各肌刺激源116のケアレベルを設定する。具体的には、出力電圧Vが基準電圧V0の80%以上(ステップS27でYES)であれば、肌異常の度合いが軽度であると判定して、ケアレベルを「1」より一段階上の「2」に設定する(ステップS28)。出力電圧Vが基準電圧V0の80%未満(ステップS27でNO)かつ70%以上(ステップS29でYES)であれば、肌異常の度合いが軽〜中度であると判定して、ケアレベルを「2」より一段階上の「3」に設定する(ステップS30)。出力電圧Vが基準電圧V0の70%未満(ステップS29でNO)かつ60%以上(ステップS31でYES)であれば、肌異常の度合いが中〜重度であると判定して、ケアレベルを「3」より一段階上の「4」に設定する(ステップS32)。そして、出力電圧Vが基準電圧V0の60%未満(ステップS31でNO)であれば、肌異常の度合いが重度であると判定して、ケアレベルを「4」より一段階上の「5」に設定する(ステップS33)。上記各ステップS24・S26・S28・S30・S32・S33においてケアレベルを設定した後はステップS22へ戻り、再び出力電圧Vが出力されるのを待つ。
ステップS25〜S33をまとめると、基準電圧V0と出力電圧Vが不等式(0.9V0≦V)を満足するときのケアレベルは「1」であり、不等式(0.8V0≦V<0.9V0)を満足するときのケアレベルは「2」である。同様に、不等式(0.7V0≦V<0.8V0)を満足するときのケアレベルは「3」であり、不等式(0.6V0≦V<0.7V0)を満足するときのケアレベルは「4」であり、不等式(0.6V0<V)を満足するときのケアレベルは「5」である。
上述のようにステップS23は、ほくろを検知した(ステップS23でYES)場合に各肌刺激源116の出力を停止もしくは減衰させるものである。本発明において肌刺激源116の出力(ケアレベル)の減衰とは、停止状態を除く最低出力に低下させることだけでなく、最低出力に保持することも含む概念である。つまりステップS23が、肌刺激源116のケアレベルを「1」に設定するものである場合、その直前のケアレベルが「2」以上であれば、ステップS23でケアレベルは「1」に低下するのに対し、その直前のケアレベルが既に「1」であれば、ステップS23でケアレベルは「1」のまま保持されるが、本発明ではこれらを含めて減衰と言う。
図14のグラフは、輝度がそれぞれ異なる発光素子138ごとに、肌状態と出力電圧Vの関係を示したものである。横軸は肌状態すなわち肌色の濃淡に対応しており、左側ほど肌色が薄く、右側ほど肌色が濃いことを示している。縦軸は出力電圧Vの高さに対応している。グラフ内の5個の系列A〜Eは、発光素子138の輝度が高い順に上から並んでおり、輝度が高い上側の系列ほど、受光素子139の受光量が多くなることから、出力電圧Vは高くなっている。
各系列A〜Eは、肌色が濃くなる右側ほど出力電圧Vが低くなる点で一致するが、グラフ内の傾きは大きく異なり、輝度が高い上側の系列ほど傾きが大きくなっている。シミのない正常部分(測定点p1)における出力電圧Vすなわち最高電圧Vp1と、特に濃いシミからなる異常部分(測定点p2)における出力電圧Vすなわち最低電圧Vp2との差(Vp1−Vp2)は、最も輝度が高い系列Aで1.73V、最も輝度が低い系列Eで0.27Vと大きな開きがある(表1参照)。
一方、最高電圧Vp1に対する最低電圧Vp2の比率(Vp2/Vp1)を見ると、全ての系列A〜Eで40%台となっており、発光素子138の輝度ごとの隔たりは非常に小さい(図15参照)。そこで本実施例では、図13のフローチャートで説明したように、基準電圧V0に対する出力電圧Vの比率に基づいて肌状態を判定するようにした。これにより、美容器具ごとに発光素子138の輝度にばらつきがあったとしても、その影響を抑えて肌状態を正確に判定することができる。あるいは、発光素子138の輝度が異なる美容器具ごとに、肌状態の判定用の比率を個別に設定する手間を解消することができる。
上記のように肌状態を判定する際は、基準電圧V0に対する出力電圧Vの比率を用いることが好ましい。ただし、発光素子138の輝度のばらつきの最小限化が可能な状況においては、基準電圧V0と出力電圧Vの差に基づいて肌状態を判定してもよい。この場合は、基準電圧V0と出力電圧Vの差が小さければ正常で、当該差が大きくなるほど異常の度合いが高いと判定する。具体的には例えば、基準電圧V0と出力電圧Vの差が定数C(C>0)以下、すなわち不等式(V0−V≦C)を満足するときは、肌が正常であると判定してケアレベルを「1」に設定する。また、基準電圧V0と出力電圧Vが不等式(C<V0−V≦2C)を満足すれば、肌異常の度合いが軽度であると判定してケアレベルを「2」に設定する。同様に、不等式(2C<V0−V≦3C)を満足すれば、肌異常の度合いが軽〜中度であると判定してケアレベルを「3」に設定し、不等式(3C<V0−V≦4C)を満足すれば、肌異常の度合いが中〜重度であると判定してケアレベルを「4」に設定し、不等式(4C<V0−V)を満足すれば、肌異常の度合いが重度であると判定してケアレベルを「5」に設定する。
ユーザーがグリップ部101を手で握ってグリップ電極10に触れるとともに、顔などの肌面に肌刺激体3を当接させると、肌刺激体3とグリップ電極10を繋ぐ美容器具の内部回路とユーザーの人体とからなる電気的閉ループが形成される。本体制御部115は、この閉ループの形成の有無に基づいて、刺激面3aが肌面に当接しているか否かを判定する。つまり、本実施例に係る肌刺激体3は、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部として機能している。
電気的閉ループを検知する状態においてのみ、本体制御部115は電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10に肌刺激用のパルス電流を供給し、またバイブレータ118に駆動電流を供給し、さらにヘッド表示部117に電力を供給して同表示部117を発光させる。センサ制御部174も、電気的閉ループを検知する状態においてのみ、発光素子138に電力を供給して検査光を照射する。電気的閉ループが形成されていない状態、すなわち、刺激面3aが肌面から離れている状態で、肌刺激用のパルス電流およびバイブレータ118の駆動電流の供給と、ヘッド表示部117の発光表示と、発光素子138からの検査光の照射とを停止すると、美容器具の消費電力を抑制することができる。
なお肌検知部は、肌刺激体3とは別体の光学センサなどで構成することもできる。肌刺激体3の刺激面3aに光学センサを配置する場合は、刺激面3aが肌面に接触することにより、光学センサが室内光を受光できなくなる。これを機に光学センサから肌検知信号が送信され、この信号を受信した本体制御部115とセンサ制御部174が、肌面に刺激面3aが接触したと判断して、電流源175からのパルス電流の供給や、発光素子138からの検査光の照射などを開始する。また肌検知部は、静電容量型のセンサで構成することもできる。
次に、本実施例に係る美容器具を「肌異常検知モード」で使用する場合について説明する。上述のように「肌異常検知モード」は、肌状態センサ88を駆動しながらイオン導入を行う駆動モードであり、本体制御部115は肌状態センサ88で測定されるユーザーの肌状態に従って、肌刺激体3とグリップ電極10へ肌刺激用のパルス電流を供給し、さらにヒーター164とバイブレータ118を駆動して、肌面に電流刺激と温熱刺激と振動刺激を付与する。肌状態センサ88でシミなどの異常部分を検知した場合には、異常部分において電流刺激等を自動的に増強させて、異常部分を強力かつ集中的にケアする。すなわち、肌面の正常部分においては、肌刺激源116(電流源175・ヒーター164・バイブレータ118)のケアレベルを「1」に設定し、異常部分においては異常の度合いに応じて「2」〜「5」に設定する。またほくろ部分においては、各肌刺激源116のケアレベルを「0」〜「1」に設定する。
図16のタイミングチャートにおいて、ユーザーが電源スイッチ103をオン操作し、モード選択スイッチ104を操作して「肌異常検知モード」を選択すると(時点t0)、本体制御部115はモード表示部109の表示を切り換えて、メインタイマー176による計時を開始するとともに、肌刺激体3とグリップ電極10へ肌検知用の微弱なパルス電流の供給を開始するよう電流源175を制御する。同時に本体制御部115は、センサ制御部174を介して発光素子138を一瞬(例えば0.2秒間)だけ点灯させる。なお発光素子138は、一時的に点灯した後は消灯し、電気的閉ループが形成される肌検知状態になった時点(後述の時点t1)で再び点灯する。
「肌異常検知モード」の選択時に発光素子138を一時的に点灯させると、モード表示部109の表示の切り換わりと相俟って、駆動モードが「肌異常検知モード」に切り換わったことをユーザーにより明確に認識させることができる。ユーザーは、肌検知状態すなわち肌刺激体3が肌面に当接している状態では、発光素子138が点灯していることを確認できない。「肌異常検知モード」の選択時に発光素子138を一時的に点灯させることには、ユーザーに発光素子138の動作確認を行わせる意味もある。つまりユーザーは、発光素子138が正常状態であり故障していないことや、点灯状態における発光色などの発光の様子を、発光素子138の一時的な点灯を通じて知ることができる。
なお、本実施例に係る美容器具においては、電源を切る度に駆動モードが「イオン導出モード」にリセットされるため、電源投入後にモード選択スイッチ104で「肌異常検知モード」を選択した時点が、図16のタイミングチャートにおける時点t0になっているが、電源を切っても駆動モードが記憶される美容器具においては、「肌異常検知モード」を選択した状態で電源を切っていれば、次に電源を投入したときに最初から「肌異常検知モード」が選ばれることから、電源スイッチ103をオン操作した時点が図16における時点t0になる。また、駆動モードとして「肌異常検知モード」のみを備える美容器具においても、電源スイッチ103をオン操作した時点が図16における時点t0になる。
時点t0の約5秒後に、本体制御部115はヒーター164への通電を開始して、肌刺激体3を予熱する。このときのヒーター164のケアレベルは「1」である。本体制御部115は、温度センサ167からの入力信号に基づいて、肌刺激体3の刺激面3aの表面温度を約40℃に保持するように、ヒーター164をオンオフ制御する。
ユーザーがグリップ部101を握って肌刺激体3を肌面に当接させると、先に説明した電気的閉ループが形成される。この閉ループを検知したセンサ制御部174は、発光素子138から肌面への検査光の照射を開始する(時点t1)。検査光はユーザーの肌面で反射して受光素子139に至り、当該素子139の受光量に基づいて1.2Vの出力電圧Vがセンサ制御部174へ出力されている。この出力電圧Vに基づいて、センサ制御部174は基準電圧V0を1.32V(1.2V×係数F(F=1.1))に設定し、同時にサブタイマー180による計時を開始する。
基準電圧V0の設定とともに、センサ制御部174は各肌刺激源116(電流源175・バイブレータ118・ヒーター164)のケアレベルを初期値である「1」に設定する(図13のステップS21)。この設定に従い本体制御部115は、電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10への肌刺激用のパルス電流の供給と、バイブレータ118への駆動電流の供給とを開始し、またヒーター164の駆動状態を維持する。ヘッド表示部117は、各肌刺激源116のケアレベルが「1」であることを、例えば青色の光で表示する。
ケアレベルが「1」のとき、肌刺激体3に供給される肌刺激用のパルス電流は微弱であるため、当該電流が供給されていることをユーザーは容易に認識できない。そこで本実施例では、ケアレベル「1」のパルス電流を供給するとき、同時にバイブレータ118とヒーター164を駆動させ、またヘッド表示部117を発光させている。バイブレータ118とヒーター164とヘッド表示部117に通電していることは、ケアレベルに関係無くユーザーにとって認識が容易であるから、これらに通電していることの認識を通じて、ユーザーはケアレベル「1」のパルス電流が供給されていることを認識することができる。つまり、バイブレータ118とヒーター164とヘッド表示部117は、肌刺激体3に肌刺激用のパルス電流が供給されていることを表示する通電表示体として機能する。
時点t1から時点t2までは、出力電圧Vが1.2V、すなわち基準電圧V0(1.32V)の約91%で安定しており、各肌刺激源116のケアレベルは「1」に維持されている。なお、図16のタイミングチャートでは、説明の便宜上、出力電圧Vが一定時間(時点t1から時点t2など)にわたって同一の値をとるものとしたが、実際には出力電圧Vが同一の値をとり続けることはなく、常に小刻みに変動する。また、1.2Vという出力電圧Vの値は一例に過ぎず、肌の色が異なる別のユーザーが美容器具を使えば、出力電圧Vの値も変化する。下記の電圧値についても同様である。
時点t2では、出力電圧Vが1.1V、すなわち基準電圧V0(1.32V)の約83%に低下している。このときセンサ制御部174は、肌刺激体3が比較的軽度のシミに正対したと判定して、各肌刺激源116のケアレベルを「2」に上昇させている。次の時点t3では出力電圧Vが1.2Vに戻り、ケアレベルも「1」に戻っている。時点t2から時点t3にかけて基準電圧V0は緩やかに低下している。時点t3から時点t4にかけての出力電圧Vは、時点t1〜t2と同一の1.2Vであり、この間に基準電圧V0は1.32Vまで緩やかに上昇している。
時点t4では、出力電圧Vが1.0V、すなわち基準電圧V0(1.32V)の約76%に低下している。このときセンサ制御部174は、肌刺激体3が軽〜中度のシミに正対したと判定して、各肌刺激源116のケアレベルを「3」に上昇させている。ここでの出力電圧V(1.0V)は、基準電圧V0(1.32V)を先の所定値(0.3V)以上下回っているため、新たな基準電圧V0の算出には用いられない。つまり、出力電圧Vが1.0Vである時点t4から時点t5にかけて、基準電圧V0は1.32Vのままである。
時点t6では、出力電圧Vが1.2Vから1.4Vに上昇している。このような出力電圧Vの上昇が見られるのは、ユーザーが肌刺激体3を比較的肌色の濃い部位から薄い部位に移動させた場合などである。この出力電圧Vの上昇に伴い、基準電圧V0は緩やかな上昇を始め、やがて1.54V(1.4V×係数F)まで上昇している。出力電圧Vが1.4Vである時点t6から時点t7にかけて、ケアレベルは「1」のままである。
時点t7では、出力電圧Vが1.0V、すなわち基準電圧V0(1.54V)の約65%に低下している。このときセンサ制御部174は、肌刺激体3が中〜重度のシミに正対したと判定して、各肌刺激源116のケアレベルを「4」に上昇させている。時点t7における出力電圧Vは、先の時点t4と同一であるが、基準電圧V0が時点t4よりも高いため、設定されるケアレベルも高くなっている。次の時点t8では、出力電圧Vがさらに低下して、0.9Vすなわち基準電圧V0(1.54V)の約58%になっている。センサ制御部174は、肌刺激体3が重度のシミに正対したと判定して、各肌刺激源116のケアレベルを「5」に上昇させている。
ヘッド表示部117は、ケアレベルが「2」〜「5」に上昇したことを、それぞれ異なる色の光で表示する。例えば、ケアレベル「2」では緑色、ケアレベル「3」では黄色、ケアレベル「4」では橙色、ケアレベル「5」では赤色の光を表示することができる。ケアレベル「1」を示す青色以外の光をヘッド表示部117に表示させると、肌状態センサ88が肌異常を検知したことをユーザーに報知できる。つまり、本実施例に係るヘッド表示部117は、肌状態センサ88が肌異常を検知したことをユーザーに報知する報知体89を構成する。またユーザーは、バイブレータ118のケアレベルの上昇、すなわち、バイブレータ118に起因する振動と音が強まることによっても、肌状態センサ88が肌異常を検知したと認識することができる。さらにユーザーは、ヒーター164のケアレベルの上昇、すなわち、刺激面3aの表面温度が上昇することによっても、肌状態センサ88が肌異常を検知したと認識することができる。つまりバイブレータ118とヒーター164は、肌刺激源116を構成するだけでなく、ヘッド表示部117と共に報知体89を構成する。
バイブレータ118とヒーター164とヘッド表示部117が、肌刺激用のパルス電流の通電表示体として機能することは、先に説明したとおりである。つまり、バイブレータ118とヒーター164はそれぞれ、肌刺激源116と報知体89と通電表示体の3つの役割を備えており、またヘッド表示部117は、報知体89と通電表示体の2つの役割を備えている。なお、本実施例とは逆に、ケアレベル「1」のパルス電流の供給時にバイブレータ118とヒーター164とヘッド表示部117を停止し、ケアレベル「2」以上のパルス電流の供給時にバイブレータ118等を駆動する形態を採る場合は、バイブレータ118等を通電表示体としては利用できないが、肌刺激源116や報知体89としての役割は残る。
なお本実施例では、ケアレベルの変化に伴いヘッド表示部117の色が変化するものとしたが、これに代えてヘッド表示部117を単色とし、その照度をケアレベルの上昇に伴い段階的に高くしてもよい。この場合のヘッド表示部117の色は、青、赤、緑などから任意に選択できる。また、ヘッド表示部117のような放光手段に代えて、またはこれと併用して、ブザーや合成音声などの発音手段を採用することができる。この場合は、ケアレベルの変化に伴い発音手段の音色を変化させたり、ケアレベルの上昇に伴い発音手段の音量を段階的に上げることにより、聴覚を介してケアレベルが変化したことをユーザーに知らせることができる。
時点t9では、受光側の出力電圧Vが最小電圧Vm(0.8V)を下回る0.75Vまで低下している。この場合のセンサ制御部174は、肌状態センサ88がほくろに正対していると判定して、電流源175とバイブレータ118のケアレベルを「0」以上「1」以下に設定し、またヒーター164のケアレベルを「1」に設定する。さらに、センサ制御部174からほくろの判定を受けた本体制御部115が、ヘッド表示部117を任意の色で点滅させる。ユーザーは、ヘッド表示部117が点滅表示に切り換わったことや、バイブレータ118の振動と音が弱まったことに基づき、肌状態センサ88がほくろに正対していると認識することができる。なお、ほくろ判定時のヘッド表示部117は、数秒ごとに色が変化する変色表示や、消灯状態とすることもできる。また本実施例では、ほくろ判定時にも各肌刺激源116(電流源175・バイブレータ118・ヒーター164)を駆動させたが、これに代えて、ほくろ判定時に肌刺激源116のうち少なくとも1つのケアレベルを「0」に設定し、当該肌刺激源116から肌面に付与する刺激を停止させてもよい。
時点t10では、ユーザーが肌面から肌刺激体3を離したことで電気的閉ループが消滅している。この閉ループを検知できなくなったセンサ制御部174は、発光素子138からの検査光の照射を停止する。また本体制御部115は、電流源175から肌刺激体3とグリップ電極10へ供給するパルス電流を、肌刺激用のものから肌検知用の微弱なものに切り換える。加えて本体制御部115は、バイブレータ118のケアレベルを「0」に設定するとともに、ヒーター164のケアレベルを「1」に設定して予熱状態とし、さらにヘッド表示部117を消灯する。
次の時点t11では、電気的閉ループが再検知されたことにより、発光素子138からの検査光の照射が再開されている。センサ制御部174は、このときの出力電圧V(ここでは1.1V)に基づいて、基準電圧V0を1.21V(1.1V×係数F)に再設定し、同時にサブタイマー180をリセットして計時を再開し、さらに各肌刺激源116(電流源175・バイブレータ118・ヒーター164)のケアレベルを初期値である「1」に設定する。肌検知状態がオフとなる時点t10〜時点t11の前後で出力電圧Vが低下したのは、ユーザーが肌刺激体3を顔肌から一旦離して、比較的肌色の薄い部位から濃い部位に移動させたからである。あるいは、ユーザーが肌刺激体3を顔肌から一旦離して、それまでケアを施していた部位に化粧水を継ぎ足してから、当該部位に肌刺激体3を戻したからである。
肌検知状態が一旦オフになった場合に基準電圧V0を再設定すると、肌刺激体3の移動や化粧水の継ぎ足しを境に、肌刺激体3に正対する肌面の状態が変化しても、変化後の肌状態に基づいて新たな基準電圧V0を設定して、当該肌状態を正確に判定することができる。これについて例を挙げて説明すると、例えば時点t11からその後の時点t12にかけて、出力電圧Vが1.1Vである時間が最も長く、しかも1.1Vが最大値であることから、出力電圧Vが1.1Vのときに肌刺激体3は肌面の正常部分に正対しているとみなすことができる。従って、出力電圧Vが1.1Vのときのケアレベルは「1」に設定するのが正しい。本実施例では、時点t11に基準電圧V0を1.21Vに再設定し、当該電圧V0に基づき肌状態を判定するので、出力電圧Vが1.1Vのときの基準電圧V0に対する比率は約91%となり、図13のフローチャートのS25でYESとなり、ケアレベルは正しく「1」に設定される。一方、再設定する以前の基準電圧V0すなわち1.54Vを基準にすると、出力電圧Vが1.1Vのときの基準電圧V0に対する比率は約71%となり、ケアレベルは「3」に設定されて、肌面に対して必要以上の強い刺激が付与されてしまう。
メインタイマー176による計時を開始してから3分が経過すると(時点t13)、本体制御部115は各肌刺激源116をオフ状態とし、またヘッド表示部117への電力供給を遮断し、さらにセンサ制御部174を介して肌状態センサ88を停止させる。つまり、美容器具の電源が切れた状態になる。なお、計時開始から3分が経過する前に、電源スイッチ103がユーザーにより操作された場合は、本体制御部115はその時点で3分経過時と同様に美容器具を停止させて、美容器具の電源を切る。
図17に示すように、受光素子139の受光量に基づく出力電圧Vに関しては、最小電圧Vm(0.8V)と最大電圧VM(2.8V)を境界とする3つの判定領域を想定することができる。出力電圧Vが最小電圧Vm未満の「ほくろ判定領域」に含まれるときは、センサ制御部174は肌刺激体3がほくろに正対していると判定する。出力電圧Vが最大電圧VMを超える「シート体判定領域」に含まれるときは、センサ制御部174は肌刺激体3の外面にコットンパッドPが装着されていると判定する。なお「シート体判定領域」の上限値の3.0Vとは、発光素子138から照射された検査光が100%反射した場合にオペアンプ179から出力される電圧値にほぼ等しい。また、出力電圧Vが最小電圧Vm以上かつ最大電圧VM以下の「肌状態判定領域」に含まれるときは、センサ制御部174は出力電圧Vを基準電圧V0と比較して、肌状態が正常か異常かを判定する。基準電圧V0が最小電圧Vmを下回ることや最大電圧VMを上回ることは無い。
一方、図18のタイミングチャートは、肌刺激体3の外面に白色のコットンパッドPを装着した状態で「肌異常検知モード」が選択された場合を示している。時点t0から時点t1の直前までは、先に説明した図16と同様であるが、検査光の照射が開始された時点t1においては、コットンパッドPが装着されているために、受光側の出力電圧Vが最大電圧VMを上回る3.0Vになっている。次の時点t20では、高い出力電圧Vを受けたセンサ制御部174が、コットンパッドPの装着状態であると判断し、検査光の照射を停止して「肌異常検知モード」を終了させている。このときは図10のフローチャートのステップS2でYESとなり、当該フローチャートによる制御を終了して(ステップS3)通常の「イオン導入モード」へ移行するため、ステップS5で基準電圧V0が設定されることはなく、またステップS7でサブタイマー180の計時が開始されることもない。なお、時点t1と時点t20の時間間隔は極めて短いが、図18では図示の都合上、この間隔を実際よりも長めにとっている。
「イオン導入モード」への移行の際には、ヘッド表示部117が赤色の点滅表示に切り換わる。これに基づきユーザーは、コットンパッドPが装着されているために肌状態センサ88が機能していないことを認識することができる。なお、赤色の点滅表示に代えて、例えばヘッド表示部117を肌状態センサ88の駆動時とは異なる色で点灯あるいは点滅させてもよく、一定時間ごとに色が変化する変色表示としてもよい。また、ヘッド表示部117の表示態様の変更に代えて、あるいは、表示態様の変更と併せて、ブザーなどの音声手段の作動状態を変更する制御を行ってもよい。この音声制御は、音声手段を停止状態から作動状態に切り換えるものでもよく、音声手段の音量や音色を変更するものでもよい。肌状態センサ88の機能の停止をユーザーに言葉で知らせる合成音声を用いることもできる。
時点t20以降、各肌刺激源116(電流源175・ヒーター164・バイブレータ118)の出力は、「肌異常検知モード」におけるケアレベル「1」相当の一定値に維持される。時点t21から時点t22にかけては、肌検知状態がオフになっており、各肌刺激源116が図16の時点t10〜t11と同様に制御されている。また時点t23には、メインタイマー176による計時を開始してから3分が経過して、図16の時点t13と同様の制御が行われている。
(実施例2) 図19は、本発明に係る美容器具の実施例2を示しており、上下一対の光路形成体140・141を備える点が先の実施例1と相違する。両光路形成体140・141は複数個のビス181で締結固定されており、互いに密着する第2の光路形成体141の下面と、第1の光路形成体140の上面とが、それぞれ接合面149・158を構成している。第2の光路形成体141の接合面149には、左右一対の光路溝150と、その間に位置する係合凹部151とが凹み形成されている。第1の光路形成体140の接合面158には、第2の光路形成体141の光路溝150に正対する左右一対の光路溝159が凹み形成されており、また、第2の光路形成体141の係合凹部151に係合する係合凸部160が突設されている。係合凹部151と係合凸部160を係合させて、両光路形成体140・141が接合面149・158に沿って互いにずれ動くことを規制することにより、ビス181による両光路形成体140・141の締結固定を容易に行える。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
(実施例3) 図20および図21は、本発明に係る美容器具の実施例3を示しており、主にレンズ142の構造が先の実施例1と相違する。本実施例のレンズ142の内面(後面)には、実施例1のガイド面171に代えて、入光面185を含む凹部184が形成されている。入光面185は発光素子138に正対しており、発光素子138から測定部143の中央へ向かって照射される検査光と入光面185のなす角度θは、直角に近い98.5°に設定されている。このように、検査光に対して直角もしくはそれに近い角度θをなす入光面185をレンズ142に形成すると、入光面185における検査光の反射量を最小限化して、レンズ142の光透過率を高めることができる。
本実施例においても、第1の光路形成体140と第2の光路形成体141を接合することにより、それぞれに設けた光路溝159・150どうしが正対して、検査光が通過する中空状の導光路187が形成されている。導光路187は、発光素子138からレンズ142に至る第1導光路188と、レンズ142から受光素子139に至る第2導光路189とでV字状に形成されている。各導光路188・189の一端は発光素子138または受光素子139に向かって開口し、各導光路188・189の他端はレンズ142の凹部184へ向かって開口している。
本実施例では、レンズ142と第1の光路形成体140の当接面において、凹部184の周縁が第1導光路188および第2導光路189の開口縁に外接している。これによれば、検査光にとっての障害物を無くして、検査光の利用効率を高めることができ、さらにレンズ142の強度を高めることができる。本実施例とは逆に、レンズ142における凹部184の周囲が各導光路188・189へ向かって張り出している場合には、この張り出し部分によって検査光の一部が遮られるおそれがある。また、凹部184の周縁が各導光路188・189の開口縁から離れるほど凹部184を大きくする場合には、レンズ142の強度が不足するおそれがある。
レンズ142の周縁部の前面と肌刺激体3の内面との間には、実施例1の両面テープ173に代えてOリング191が装着されている。Oリング191は、肌刺激体3とレンズ142に挟まれて弾性変形しており、これら両者3・142の間の隙間を水密状に封止している。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。なお本実施例では、レンズ142の前端を肌刺激体3の窓開口35から僅かに突出させることにより、肌刺激体3の窓開口35の周縁部が肌面に接触し難くして、金属製の当該周縁部が肌面を刺激することを抑制しているが、この点は実施例1と同様である。
以上のように、本発明の各実施例に係る美容器具は、検査光の発光素子138や反射光の受光素子139などで構成される肌状態センサ88を備える。当該センサ88においては、受光量に応じて受光素子139から出力される出力電圧Vを所定時間T1ごとに記憶部177に記憶し、記憶している複数個の出力電圧Vの平均値に基づいて、肌状態の判定に用いる基準電圧V0を設定した。受光素子139が出力する出力電圧Vは、美容器具を使用するユーザーの肌面における反射光量、すなわち肌の色に応じた値になるため、出力電圧Vに基づいて基準電圧V0を設定すると、当該電圧V0をユーザーの肌の色に合わせた適正値とすることができる。この基準電圧V0を肌状態の判定に用いることにより、ユーザーの肌の色にかかわらず、シミなどの肌異常を正確に検知することができる。
また、この種の肌状態センサ88においては、受光素子139の出力電圧Vが一時的に大きく変動するノイズが発生することがある。このノイズの原因としては、人の肌に時折見られる局所的に色白の部分や、肌状態センサ88の測定部143を肌面に沿って動かす際の肌面からの一時的な浮き離れなどを挙げることができる。局所的に色白の部分に測定部143が正対すると、その周囲の正常部分に正対する場合に比べて検査光の反射光量が多くなり、出力電圧Vが大きく上昇する。また、測定部143が肌面から浮き離れると、受光素子139が室内灯などの強い光を受け取ってしまい、出力電圧Vが大きく上昇する。単一の出力電圧に基づいて基準電圧を設定する場合には、その設定の際に上記のノイズの影響を大きく受けてしまう。これに対して本実施例のように、出力電圧Vを所定時間T1ごとに記憶し、記憶している複数個の出力電圧Vの平均値に基づいて基準電圧V0を設定すると、1つの出力電圧Vがノイズの影響を受けてしまった場合でも、ノイズの影響を受けていない他の出力電圧Vとの平均値に基づいて基準電圧V0を設定するから、ノイズの影響を大幅に小さくすることができる。これにより、基準電圧V0をより適正化して、肌状態を正確に判定することができる。
肌面に当接して電流刺激等を付与する肌刺激体3の刺激面3a内に、肌状態センサ88のレンズ142の前面で構成される測定部143を配置すると、刺激面3aを肌面に当接させたときに、同時に測定部143が肌面に正対するので、肌面の状態を肌状態センサ88で確認しながら、肌刺激体3による肌面のケアを行うことができる。従って、肌健康センサと美容器具を個別に使用する従来の美容方法に比べて、肌異常の検知とケアの所要時間を大幅に短縮できる。しかも、肌面の異常部分の位置をリアルタイムで精密に特定し、特定した異常部分を的確かつ集中的にケアすることができる。また、肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、肌刺激源116の出力を自動的に増強するとともに、ヘッド表示部117を含む報知体89を作動させると、肌状態センサ88の検知結果を即座に肌刺激源116の出力に反映させて、ユーザーに出力の切り換え操作の手間を与えることなく、異常部分を強力かつ集中的にケアするとともに、肌刺激体3と正対している部分に肌異常があることをユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
上記の実施例では、受光部139の受光量を電圧値に変換してセンサ制御部174へ出力したが、この電気的出力値は電流値や電力値であってもよい。発光部138から照射する検査光としては、紫色の可視光以外に、例えばUVA領域(315〜380nm)またはUVB領域(280〜315nm)の紫外線を用いることができる。検査光として紫外線を用いると、紫色の可視光を用いる場合と同等、もしくはそれ以上の高い精度で、シミなどの肌異常を検知することができる。検査光の出力はごく弱いもので十分であるため、紫外線からなる検査光を使用しても肌面がダメージを受けることは無いが、構造的な要因で検査光の出力を増強することが必要があった場合には、検査光を断続的に照射することが効果的である。
肌刺激体3の窓開口35にレンズ142を配置すると、窓開口35から肌ヘッド2の内部に液体や塵埃などが侵入することを防止でき、また、窓開口35から侵入した異物で発光素子138や受光素子139などが傷付くことを防止できる。さらに、レンズ142で検査光の透過光量を調整することもできる。ただし、レンズ142が無くても、発光素子138の検査光の照射と、受光素子139による反射光の受容は可能であることから、必要があればレンズ142を省略してもよい。レンズ142を省略する場合は、窓開口35の内側の空間が測定部143を構成する。発光素子138と受光素子139は肌ヘッド2に配置する必要は無く、本体ケース1の内部に配置してもよい。この場合には、両素子138・139とレンズ142の間の光路を光ファイバーなどで形成するとよい。
報知体89としての放光体117は、上記実施例のような無端リング状に限らず、断続するリング状に形成してもよく、あるいはU字状や半円状などに形成してもよい。本発明における環状とは、U字状や半円状なども含む概念である。また放光体117は、肌ヘッド2以外に本体ケース1に設けることができる。この場合の放光体117は、美容器具の使用時にユーザーの手で覆われるグリップ部101よりも、手で覆われないヘッド支持部100に設けることが好ましい。ヘッド支持部100とグリップ部101の両方に跨るものであってもよい。また報知体89は、放光体117とバイブレータ118とヒーター164以外に、例えば音を発するブザーで構成してもよい。さらに報知体89は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネルで構成することもでき、この場合の表示パネルには「シミ検出中」「ほくろ検出中」「シート体装着中」等の文字を表示させることができる。肌刺激体3は、金属以外に導電性樹脂や導電性ゴムで形成することができる。肌刺激体3にパルス電流を供給しない美容器具とする場合には、肌刺激体3を絶縁性樹脂や絶縁性ゴムで形成してもよい。
上記の各実施例に係る肌状態センサは、以下の形態で実施することができる。
肌面の被測定部ヘ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受光する受光部139とを有し、
受光部139から受光量に応じて出力される電気的出力値を所定の電気的基準値と比較することにより、被測定部の肌状態を判定する肌状態センサであって、
受光部139の電気的出力値を所定時間ごとに記憶し、
記憶している複数個の電気的出力値の平均値に基づいて電気的基準値を設定することを特徴とする肌状態センサ。
本発明では、検査光の発光部138と反射光の受光部139とを備える肌状態センサにおいて、受光量に応じて受光部139から出力される電気的出力値を所定時間ごとに記憶し、記憶している複数個の電気的出力値の平均値に基づいて、肌状態の判定に用いる電気的基準値を設定した。受光部139が出力する電気的出力値は、肌状態センサを使用するユーザーの肌面における反射光量、すなわち肌の色に応じた値になるため、当該出力値に基づいて電気的基準値を設定すると、当該基準値をユーザーの肌の色に合わせた適正値とすることができる。この電気的基準値を肌状態の判定に用いることにより、ユーザーの肌の色にかかわらず、シミなどの肌異常を正確に検知することができる。
また、この種の肌状態センサにおいては、受光部139の電気的出力値が一時的に大きく変動するノイズが発生することがある。このノイズの原因としては、人の肌に時折見られる局所的に色白の部分や、センサを肌面に沿って動かす際の肌面からの一時的な浮き離れなどを挙げることができる。局所的に色白の部分にセンサが正対すると、その周囲の正常部分に正対する場合に比べて検査光の反射光量が多くなり、受光部139の電気的出力値が大きく変動する。また、センサが肌面から浮き離れると、受光部139が室内灯などの強い光を受け取ってしまい、受光部139の電気的出力値が大きく変動する。単一の電気的出力値に基づいて電気的基準値を設定する場合には、その設定の際に上記のノイズの影響を大きく受けてしまう。これに対して本発明のように、受光部139の電気的出力値を所定時間ごとに記憶し、記憶している複数個の電気的出力値の平均値に基づいて電気的基準値を設定すると、1つの電気的出力値がノイズの影響を受けてしまった場合でも、ノイズの影響を受けていない他の電気的出力値との平均値に基づいて電気的基準値を設定するから、ノイズの影響を大幅に小さくすることができる。これにより、電気的基準値をより適正化して、肌状態を正確に判定することができる。
記憶している電気的出力値の個数が所定のサンプリング数に達すると、所定時間が経過するごとに、最古の電気的出力値に代えて現時点の電気的出力値を記憶し、新たに記憶した電気的出力値を含む、記憶している電気的出力値の平均値の再計算を行って、電気的基準値を更新する肌状態センサ。
肌状態センサの主な適用対象である顔肌は凹凸が多く、日光が当たりやすく日焼けしやすい部分とそうでない部分とが存在しており、肌の色すなわちメラニンの分布は顔肌全体で一様ではない。日光が当たりやすい部分における電気的出力値に基づいて電気的基準値を設定すると、日光が当たりにくい部分で肌状態を正確に判定できないおそれがあり、逆もまた然りである。そこで本発明では、記憶している電気的出力値の個数が所定のサンプリング数に達すると、所定時間が経過するごとに、最古の電気的出力値に代えて現時点の電気的出力値を記憶し、その平均値を再計算して電気的基準値を更新するようにした。電気的基準値を更新し続ける本発明の肌状態センサによれば、顔の第1の部位から第2の部位にかけて肌状態を測定する場合に、第1の部位においては第1の部位の電気的出力値に基づき電気的基準値を設定して、第1の部位の肌状態を正確に判定することができ、第1の部位から移動した第2の部位においても、今度は第2の部位の電気的出力値に基づき電気的基準値を更新して、第2の部位の肌状態を正確に判定することができる。つまり、例えばあご部分、頬部分、額部分などの顔の部位ごとに、肌状態を正確に判定することができる。
加えて本発明では、記憶している電気的出力値の個数がサンプリング数に達すると、最古の電気的出力値に代えて新たに電気的出力値を記憶するようにした。このように最古の電気的出力値を排すると、肌状態センサを別の部位へ移動させた場合に、移動前の電気的出力値が平均値に算入され続ける不都合を解消して、移動後の電気的基準値を、移動後の電気的出力値のみに基づく適正値へ速やかに更新することができる。また、比較的肌が黒いユーザーは、肌の正常部分とシミなどの異常部分の色(メラニンの量)の差が小さく、肌が白いユーザーに比べて異常部分を発見し難い傾向がある。しかし、電気的基準値を更新し続ける本発明の肌状態センサによれば、異常部分の周囲の正常部分の電気的出力値に基づき電気的基準値が設定されて、当該基準値と異常部分の電気的出力値との間に明確な差が生じるから、比較的肌が黒いユーザーにおいても異常部分を高い精度で発見することができる。
電気的基準値が、電気的出力値の平均値に所定の割合の補正値を加えたものである肌状態センサ。
肌状態センサに記憶されるのは、肌の正常部分における電気的出力値だけでなく、異常部分における電気的出力値も同様に記憶される。特に後者の割合が多くなった場合に、電気的出力値の平均値をそのまま電気的基準値に設定すると、肌状態を正確に判定できないおそれがある。そこで本発明では、電気的出力値の平均値に所定の割合の補正値を加えて電気的基準値に設定した。これによれば、異常部分の電気的出力値が多く記憶された場合でも、その平均値を補正することにより電気的基準値を適正化して、肌状態を正確に判定することができる。
所定時間ごとに出力される受光部139の電気的出力値のうち、電気的基準値との差が所定値未満であるものだけを記憶する肌状態センサ。
肌状態センサが正対する肌の異常部分の色が濃いほど、検査光の反射量すなわち受光部139の受光量は少なくなり、当該センサが異常部分よりも黒いほくろなどに正対すると、受光量はさらに少なくなる。極端に受光量が少ないときの電気的出力値を電気的基準値の算出に用いると、電気的基準値が異常部分の電気的出力値に近い値になってしまい、比較的薄いシミなどの異常部分を見落としてしまう(誤って正常と判定してしまう)おそれがある。そこで本発明では、所定時間ごとに出力される受光部139の電気的出力値のうち、電気的基準値との差が所定値未満であるものだけを記憶するようにした。これによれば、濃いシミやほくろなどにおける電気的出力値を平均値から排除して、電気的基準値を正常部分における電気的出力値に近付けることができるので、比較的薄いシミなどの見落としを少なくして、肌状態センサの検出能力を向上させることができる。
電気的基準値に対する電気的出力値の比率に基づいて肌状態を判定する肌状態センサ。
本発明者等の知見によれば、肌状態センサが備える発光部138の輝度が高いほど、肌色の濃淡による反射光量の差が大きくなり、これに基づく電気的出力値の差も大きくなるが、肌色が薄い部分と濃い部分における電気的出力値の比率は、発光部138の輝度に関係無くほぼ一定である。そこで本発明では、電気的基準値に対する電気的出力値の比率に基づいて肌状態を判定するようにした。これにより、センサごとに発光部138の輝度にばらつきがあったとしても、その影響を抑えて肌状態を正確に判定することができる。あるいは、発光部138の輝度が異なるセンサごとに、肌状態の判定用の比率を個別に設定する手間を解消することができる。
肌面との接触の有無を検知する肌検知部を備えており、
肌検知部による肌検知状態が一時的にオフになると、再びオンになった後の電気的出力値のみに基づいて電気的基準値を再設定する肌状態センサ。
肌検知部による肌検知状態が一時的にオフになったとき、つまりユーザーが肌状態センサを肌面から一時的に離したときは、センサを顔の別の部位に移動させたり、肌面に化粧水を継ぎ足すことが想定される。顔肌全体の肌の色(メラニンの分布)は一様ではなく、部位ごとに電気的出力値が異なる場合があることは先に説明したが、同じ部位であっても肌面に塗布する化粧水の色や量によって電気的出力値は変化する。そこで本発明では、肌検知状態が一時的にオフになったときは、これが再びオンになった後の電気的出力値のみに基づいて、電気的基準値を再設定するようにした。これによれば、肌状態センサの移動や化粧水の継ぎ足しを境に、センサに正対する肌面の状態が変化しても、変化後の肌状態に基づいて新たな電気的基準値を設定して、当該肌状態を正確に判定することができる。
また、上記の各実施例に係る美容器具は、以下の形態で実施することができる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、上記のいずれかひとつに記載の肌状態センサ88とを備える美容器具。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、上記の肌状態センサ88とを備える本発明の美容器具によれば、ユーザーの肌の色にかかわらず、シミなどの肌異常を肌状態センサ88で正確に検知することができ、しかも、検知した異常部分をすぐに肌刺激体3でケアすることができる。
肌状態センサ88は、肌面の被測定部に正対する測定部143を含み、
刺激面3aと正対する正面視において、測定部143が刺激面3aの外郭線の内側に配置されている美容器具。
肌状態センサ88の測定部143を刺激面3aの外郭線の内側に配置すると、刺激面3aを肌面に当接させたときに、同時に測定部143が肌面に正対するので、肌面の状態を肌状態センサ88で確認しながら、肌刺激体3による肌面のケアを行うことができる。従って、肌異常の検知からケアまでを短時間で行うことができ、しかも、肌面の異常部分の位置をリアルタイムで精密に特定し、特定した異常部分を的確かつ集中的にケアすることができる。また、刺激面3aの外郭線内に測定部143を配置すると、肌異常の検知とケアを同じ姿勢で行えるので、美容器具の姿勢変更や持ち替えの手間を省くことができる。本発明とは逆に、美容器具の異なる位置に肌刺激体と肌状態センサを配置した場合には、肌異常の検知からケアへ移行する際に、美容器具の姿勢変更や持ち替えの手間が生じる。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、肌刺激源116の出力を増強させる美容器具。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、肌刺激源116の出力を増強させる美容器具によれば、肌状態センサ88の検知結果を即座に肌刺激の強度に反映させて、検知した異常部分を強力かつ集中的にケアすることができる。また、肌異常の検知時に肌刺激が自動的に増強されるので、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。
音と光と振動のうち少なくともひとつを発生する報知体89を備えており、
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、報知体89を作動させる美容器具。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、報知体89を作動させる美容器具によれば、肌面の異常部分を音などで即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
肌刺激体3の刺激面3aの中央部に測定部143が配置されている美容器具。
肌刺激体3の刺激面3aの中央部に測定部143を配置すると、刺激面3aの周縁部に測定部143を設ける場合に比べて、ユーザーが肌面の異常部分を正確に特定できる。刺激面3aの中央部に当接する部分に肌異常があることを特定したユーザーは、美容器具をその位置に留めることにより、異常部分とその周囲を満遍なくケアすることができる。
肌刺激体3が導電体で形成されて、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部を構成しており、
肌検知部の検知信号に基づいて、肌状態センサ88の駆動状態が制御される美容器具。
肌刺激体3が導電体で形成されて、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部を構成していると、肌検知部を肌刺激体3とは別体とする場合に比べて、刺激面3aが肌面に当接したことを容易かつ正確に検知することができる。肌検知部の検知信号に基づいて肌状態センサ88の駆動状態を制御すると、刺激面3aが肌面から離れた状態で無駄に肌状態センサ88が駆動しないようにして、美容器具の消費電力を抑制することができる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌刺激源116を制御する制御部115と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88は、肌面の被測定部に正対する測定部143を含み、
刺激面3aと正対する正面視において、測定部143が刺激面3aの外郭線の内側に配置されていることを特徴とする美容器具。
上記の本発明に係る美容器具は、肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、肌状態センサ88の測定部143が刺激面3aの外郭線の内側に配置されている。この美容器具によれば、刺激面3aを肌面に当接させたときに、同時に測定部143が肌面に正対するので、肌面の状態を肌状態センサ88で確認しながら、肌刺激体3による肌面のケアを行うことができる。従って、肌健康センサと美容器具を個別に使用する従来の美容方法に比べて、肌異常の検知とケアの所要時間を大幅に短縮できる。しかも、肌面の異常部分の位置をリアルタイムで精密に特定し、特定した異常部分を的確かつ集中的にケアすることができる。また、刺激面3aの外郭線内に測定部143を配置すると、肌異常の検知とケアを同じ姿勢で行えるので、美容器具の姿勢変更や持ち替えの手間を省くことができる。本発明とは逆に、美容器具の異なる位置に肌刺激体と肌状態センサを配置した場合には、肌異常の検知からケアへ移行する際に、美容器具の姿勢変更や持ち替えの手間が生じる。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、制御部115が肌刺激源116の出力を増強させる美容器具。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、制御部115が肌刺激源116の出力を増強させる美容器具によれば、肌状態センサ88の検知結果を即座に肌刺激の強度に反映させて、検知した異常部分を強力かつ集中的にケアすることができる。また、肌異常の検知時に肌刺激が自動的に増強されるので、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。
音と光と振動のうち少なくともひとつを発生する報知体89を備えており、
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、制御部115が報知体89を作動させる美容器具。
肌状態センサ88が肌面の異常を検知した場合に、制御部115が報知体89を作動させる美容器具によれば、肌面の異常部分を音などで即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
肌刺激体3の刺激面3aの中央部に測定部143が配置されている美容器具。
肌刺激体3の刺激面3aの中央部に測定部143を配置すると、刺激面3aの周縁部に測定部143を設ける場合に比べて、ユーザーが肌面の異常部分を正確に特定できる。刺激面3aの中央部に当接する部分に肌異常があることを特定したユーザーは、美容器具をその位置に留めることにより、異常部分とその周囲を満遍なくケアすることができる。
肌刺激体3が導電体で形成されて、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部を構成しており、
肌検知部の検知信号に基づいて、制御部115が肌状態センサ88の駆動状態を制御する美容器具。
肌刺激体3が導電体で形成されて、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部を構成していると、肌検知部を肌刺激体3とは別体とする場合に比べて、刺激面3aが肌面に当接したことを容易かつ正確に検知することができる。肌検知部の検知信号に基づいて制御部115が肌状態センサ88の駆動状態を制御すると、刺激面3aが肌面から離れた状態で無駄に肌状態センサ88が駆動しないようにして、美容器具の消費電力を抑制することができる。
肌刺激体3を含む肌ヘッド2と、本体ケース1とを備えており、
本体ケース1が、肌ヘッド2を支持するヘッド支持部100と、グリップとして利用可能なグリップ部101とを備えており、
報知体89を構成する放光体117の少なくとも一部が、ヘッド支持部100または肌ヘッド2に設けられている美容器具。
ユーザーが本体ケース1のグリップ部101を握った状態において、ヘッド支持部100と肌ヘッド2はグリップ部101よりもユーザーの視界に入りやすく、しかもグリップ部101のようにユーザーの手で隠れることもない。従って、報知体89を構成する放光体117の少なくとも一部を、ヘッド支持部100または肌ヘッド2に設けると、ユーザーが放光体117を容易に視認できるので、肌状態センサ88が肌面の異常を検知したことをユーザーへ確実に報知することができる。
放光体117が断続ないし連続する環状に形成されている美容器具。
放光体117を断続ないし連続する環状に形成すると、点状の放光体117を局部的に配置する場合に比べて、より広い領域を照らす状態で美容器具の外観やシルエットを浮かび上がらせることができる。従って、美容器具のデザイン性を向上させて、その商品価値を高めることができる。
肌刺激体3とヘッド支持部100の間における肌ヘッド2の外周面に放光体117が配置されており、
肌刺激体3の刺激面3aと放光体117との間に遮光壁128が形成されており、
刺激面3aと正対する正面視において、放光体117の放光面が遮光壁128の外郭線の内側に位置するとともに、当該外郭線の外方まで放光体117が光を放射する美容器具。
放光体117が遮光壁128の外郭線の内側に位置して、当該外郭線の外方まで光を放射する美容器具によれば、ユーザーが肌刺激体3の刺激面3aを正面視したときに、放光体117の放光面を遮光壁128で遮ってユーザーの目から隠し、放光体117が放射する光だけをユーザーの目に映すことができる。従って、ユーザーの目に眩しい光が照射されるのを解消するとともに、ぼんやりとした柔らかい光で肌刺激体3を囲む幻想的な雰囲気を醸し出して、美容器具のデザイン性をさらに高めることができる。
報知体89がバイブレータ118を含んで構成されている美容器具。
報知体89がバイブレータ118を含んで構成されていると、肌状態センサ88が肌面の異常を検知したことを、バイブレータ118の振動で触覚を介してユーザーに報知できる。従って、目の不自由なユーザーや目を瞑った状態のユーザーに対しても、肌異常の存在を確実に報知できる。
肌状態センサ88が、測定部143に正対する肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139とを含み、
制御部115は、受光部139の受光量が所定の基準光量以上である場合に、被測定部が正常状態であると判定する一方、当該受光量が基準光量を下回る場合に、被測定部が異常状態であると判定して、肌刺激源116の出力を増強させる制御と、報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
発光部138から肌面の被測定部へ検査光を照射し、そのときの反射光量すなわち受光部139の受光量が、所定の基準光量以上であれば、被測定部は正常状態であると判定し、逆に受光量が基準光量を下回れば、被測定部は異常状態であると判定する。この判定方法によれば、光量というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。肌面の異常部分で肌刺激源116の出力を増強させると、当該部分を強力かつ集中的にケアするとともに、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。また、肌面の異常部分で報知体89を作動させると、当該部分を即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
肌状態センサ88が、測定部143に正対する肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受けて、受光量に応じた電気的出力値を出力する受光部139とを含み、
制御部115は、受光部139の電気的出力値と所定の電気的基準値とを比較することにより、被測定部の状態を判定し、異常状態であると判定した場合には、肌刺激源116の出力を増強させる制御と、報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
発光部138から肌面へ検査光を照射し、そのときの反射光を受けた受光部139が、受光量に応じた電流や電圧などの電気的出力値を出力する。そして、受光部139の電気的出力値を所定の電気的基準値と比較することにより、肌面の状態を判定する。この判定方法によれば、電気的出力値というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。肌面の異常部分で肌刺激源116の出力を増強させると、当該部分を強力かつ集中的にケアするとともに、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。また、肌面の異常部分で報知体89を作動させると、当該部分を即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
制御部115は、電気的基準値を記憶する記憶部177を含み、
受光部139の電気的出力値に対応する受光量が、記憶部177に記憶されている電気的基準値が示す基準光量よりも多い場合に、当該電気的出力値を新たな電気的基準値として記憶部177に記憶させる美容器具。
ユーザーの肌面で反射する検査光の光量は、肌が白いほど多くなり、肌が黒いほど少なくなる。そのため、平均的な肌の色における反射光量を基準光量に設定すると、平均よりも色白のユーザーが美容器具を使用した場合に、シミなどの異常部分においても反射光量が基準光量を上回り、当該異常部分が誤って正常と判定されるおそれがある。逆に、平均よりも色黒のユーザーが美容器具を使用した場合には、正常部分においても反射光量が基準光量を下回り、当該正常部分が誤って異常と判定されるおそれがある。そこで本発明では、受光部139の電気的出力値に対応する受光量が、記憶部177に記憶されている電気的基準値が示す基準光量よりも多い場合に、当該出力値を新たな電気的基準値として記憶部177に記憶させるようにした。これによれば、ユーザーが肌面に沿って美容器具を動かして、測定部143がより色白の部分に正対するごとに、電気的基準値が更新されるから、そのユーザーの最も色白の部分を基に電気的基準値を設定することができる。このように、本発明によれば、ユーザーの肌の色に合わせた適正な電気的基準値を設定して、肌の色にかかわらずシミなどの肌異常を正確に検知できる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88が、肌面の被測定部に正対する測定部143と、被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139とを含み、
受光部139の受光量に関して、所定の基準光量と、基準光量よりも多い所定の上限基準光量とが設定されており、
受光部139の受光量が基準光量以上でかつ上限基準光量以下である場合に、被測定部が正常状態であると判定し、当該受光量が基準光量を下回る場合に、被測定部が異常状態であると判定し、当該受光量が上限基準光量を上回る場合に、測定部143に肌を検知するうえで障害となる障害物がある(例えば白色系のシート体Pで覆われている)と判定することを特徴とする美容器具。
発光部138から肌面の被測定部へ検査光を照射し、そのときの反射光量すなわち受光部139の受光量が、所定の基準光量以上でかつ上限基準光量以下であれば、被測定部は正常状態であると判定し、逆に受光量が基準光量を下回れば、被測定部は異常状態であると判定する。この判定方法によれば、光量というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。また、受光部139の受光量が上限基準光量を上回る場合に、測定部143に肌を検知するうえで障害となる障害物がある(例えば白色系のシート体Pで覆われている)と判定すると、シート体Pなどの障害物を色白の肌面と誤認し、この誤認に基づき肌刺激源116の出力が制御されて、肌面を適切にケアできないという不都合を避けることができる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88が、肌面の被測定部に正対する測定部143と、被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受けて、受光量に応じた電気的出力値を出力する受光部139とを含み、
受光部139の電気的出力値に関して、所定の電気的基準値と、電気的基準値よりも大きい所定の上限電気的基準値とが設定されており、
受光部139の電気的出力値が電気的基準値以上でかつ上限電気的基準値以下である場合に、被測定部が正常状態であると判定し、当該電気的出力値が電気的基準値を下回る場合に、被測定部が異常状態であると判定し、当該電気的出力値が上限電気的基準値を上回る場合に、測定部143に肌を検知するうえで障害となる障害物がある(例えば白色系のシート体Pで覆われている)と判定することを特徴とする美容器具。
発光部138から肌面の被測定部へ検査光を照射し、そのときの反射光を受けた受光部139が、受光量に応じた電流や電圧などの電気的出力値を出力する。そして、受光部139の電気的出力値が所定の電気的基準値以上でかつ上限電気的基準値以下であれば、被測定部は正常状態であると判定し、逆に電気的出力値が電気的基準値を下回れば、被測定部は異常状態であると判定する。この判定方法によれば、電気的出力値というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。また、受光部139の電気的出力値が上限電気的基準値を上回る場合に、測定部143に肌を検知するうえで障害となる障害物がある(例えば白色系のシート体Pで覆われている)と判定すると、シート体Pなどの障害物を色白の肌面と誤認し、この誤認に基づき肌刺激源116の出力が制御されて、肌面を適切にケアできないという不都合を避けることができる。
肌面の被測定部が異常状態であると判定した場合に、肌刺激源116の出力を増強させる制御と、肌面の異常状態を報知する報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
肌面の異常部分で肌刺激源116の出力を増強させると、当該部分を強力かつ集中的にケアするとともに、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。また、肌面の異常部分で報知体89を作動させると、当該部分を即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
測定部143に肌を検知するうえで障害となる障害物がある(例えば白色系のシート体Pで覆われている)と判定した場合に、肌状態センサ88の駆動を停止させる制御と、報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
測定部143がシート体Pなどの障害物で覆われた状態では、肌状態センサ88による肌状態の測定を行うことはできないので、この場合に肌状態センサ88の駆動を停止させると、肌状態センサ88を無駄に駆動し続けて消費電力が嵩むことを確実に防止できる。またこの場合に報知体89を作動させると、測定部143がシート体Pなどの障害物で覆われて肌状態センサ88が機能していないことをユーザーへ報知して、シート体Pなどの障害物を取り外すなどの適切な措置をユーザーに促すことができる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88が、肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139とを含み、
受光部139の受光量に関して、所定の基準光量と、基準光量よりも少ない所定の下限基準光量とが設定されており、
受光部139の受光量が基準光量以上である場合に、被測定部が正常状態であると判定し、当該受光量が基準光量を下回りかつ下限基準光量以上である場合に、被測定部が異常状態であると判定し、当該受光量が下限基準光量を下回る場合に、被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定することを特徴とする美容器具。
発光部138から肌面の被測定部へ検査光を照射し、そのときの反射光量すなわち受光部139の受光量が、所定の基準光量以上であれば、被測定部は正常状態であると判定し、逆に受光量が基準光量を下回りかつ下限基準光量以上であれば、被測定部は異常状態であると判定する。この判定方法によれば、光量というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。また、受光部139の受光量が下限基準光量を下回る場合に、被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定すると、ケアする必要のないほくろを的確に検知して、当該部分を無駄にケアしてしまうことを防止できる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88が、肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受けて、受光量に応じた電気的出力値を出力する受光部139とを含み、
受光部139の電気的出力値に関して、所定の電気的基準値と、電気的基準値よりも小さい所定の下限電気的基準値とが設定されており、
受光部139の電気的出力値が電気的基準値以上である場合に、被測定部が正常状態であると判定し、当該電気的出力値が電気的基準値を下回りかつ下限電気的基準値以上である場合に、被測定部が異常状態であると判定し、当該電気的出力値が下限電気的基準値を下回る場合に、被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定することを特徴とする美容器具。
発光部138から肌面の被測定部へ検査光を照射し、そのときの反射光を受けた受光部139が、受光量に応じた電流や電圧などの電気的出力値を出力する。そして、受光部139の電気的出力値が所定の電気的基準値以上であれば、被測定部は正常状態であると判定し、逆に電気的出力値が電気的基準値を下回りかつ下限電気的基準値以上であれば、被測定部は異常状態であると判定する。この判定方法によれば、電気的出力値というシンプルかつ定量的な基準で肌状態を判定できるので、肌状態センサ88の構成を簡素化するとともに、肌状態を常に正確に判定することができる。また、受光部139の電気的出力値が下限電気的基準値を下回る場合に、被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定すると、ケアする必要のないほくろを的確に検知して、ほくろを無駄にケアしてしまうことを防止できる。
肌面の被測定部が異常状態であると判定した場合に、肌刺激源116の出力を増強させる制御と、肌面の異常状態を報知する報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
肌面の異常部分で肌刺激源116の出力を増強させると、当該部分を強力かつ集中的にケアするとともに、ユーザーが肌刺激源116の出力を切り換え操作する手間を省くことができる。また、肌面の異常部分で報知体89を作動させると、当該部分を即座にユーザーへ報知して、当該部分の集中的なケアを促すことができる。
受光部139の受光量が下限基準光量を下回るか、あるいは、受光部139の電気的出力値が下限電気的基準値を下回り、肌面の被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定した場合に、肌刺激源116の出力を減衰もしくは停止させる制御と、報知体89を作動させる制御のうち、少なくとも1つを行う美容器具。
肌面の被測定部が異常状態ではなくほくろであると判定した場合に、肌刺激源116の出力を減衰もしくは停止させると、無駄にほくろをケアしてしまうのをより確実に防止できる。またこの場合に報知体89を作動させると、被測定部がほくろであることをユーザーへ即座に報知して、ほくろに無駄な刺激を与えないように注意を促すことができる。
肌刺激体3が肌面に美容刺激を付与している状態において、放光体117および/またはバイブレータ118が作動しており、
肌状態センサ88が肌異常を検知した場合に、制御部115が放光体117および/またはバイブレータ118の作動状態を変化させる美容器具。
肌刺激体3が肌面に美容刺激を付与している状態において、放光体117および/またはバイブレータ118を作動させると、肌刺激体3から肌刺激が出力されていることをユーザーがより確実に認識できる。また、肌異常の検知時に放光体117および/またはバイブレータ118の作動状態を変化させる構成によれば、肌刺激体3から肌刺激が出力されていることを示す表示体としてだけでなく、肌異常を検知したことを報知する報知体89としても、放光体117および/またはバイブレータ118を利用できるので、上記表示体と報知体89を別に設ける場合に比べて、美容器具を構成する部品点数を減らして、その分だけコストを削減することができる。
肌異常の検知時に、放光体117の照度を大きくする制御、および/または、バイブレータ118の振動レベルを大きくする制御を行う美容器具。
肌異常の検知時に、放光体117の照度を大きくする制御、および/または、バイブレータ118の振動レベルを大きくする制御を行うと、肌異常を検知したことをユーザーに直感的に認識させることができる。
発光部138から照射される検査光が、紫色の波長領域にピークを持つ可視光である美容器具。
発光部138から照射される検査光は、肌面の正常部分と異常部分で反射率が大きく異なる電磁波、すなわち、シミなどの原因となるメラニンに吸収されやすい電磁波であることが好ましい。このような電磁波としては紫色の可視光を挙げることができる。紫色の波長領域にピークを持つ可視光を検査光として用いると、これよりも波長の長い可視光を用いる場合に比べて、シミなどの肌異常を高い精度で検知できる。また、検査光が可視光であると、肌面にダメージを与えることがなく、しかも、発光部138から検査光が照射されていることをユーザーが明確に認識することができる。
発光部138から照射される検査光が、UVA領域またはUVB領域の紫外線である美容器具。
UVA領域またはUVB領域の紫外線を検査光として用いると、紫色の波長領域にピークを持つ可視光を用いる場合と同等、もしくはそれ以上の高い精度で、シミなどの肌異常を検知することができる。
発光部138が検査光を断続的に照射する美容器具。
紫外線からなる検査光を断続的に照射すると、これを連続的に照射する場合に比べて、肌面が受けるダメージを小さくすることができる。一般に検査光の出力はごく弱いもので十分であるため、紫外線からなる検査光を使用しても肌面がダメージを受けることは無いが、構造的な要因で検査光の出力を増強することが必要になった場合には、検査光を断続的に照射することが効果的である。
肌刺激源116が電流源175を含んで構成されており、
導電体で形成した肌刺激体3に、電流源175から肌刺激用の電流が供給される美容器具。
電流源175から肌刺激体3に肌刺激用の電流を供給すると、肌状態センサ88で検知した異常部分を含む肌面に対して、美容用液を肌面に浸透させるイオン導入などの効果的な美容処理を行うことができる。
本体ケース1のグリップ部101にグリップ電極10が設けられており、
グリップ電極10が手の表面に当接し、さらに肌刺激体3の刺激面3aが肌面に当接することにより、制御部115で検知可能な閉ループが、美容器具と人体にわたって形成されるようになっており、
制御部115は、前記閉ループを検知する状態において、肌刺激体3へ肌刺激用の電流を供給するように電流源175を制御する美容器具。
グリップ電極10が手の表面に当接し、さらに肌刺激体3の刺激面3aが肌面に当接することにより、制御部115で検知可能な閉ループが、美容器具と人体にわたって形成されるようにすると、刺激面3aが肌面に当接したことを検知する肌検知部として肌刺激体3を機能させることができる。これによれば、肌刺激体3とは別の個所に肌検知部を設ける場合に比べて、刺激面3aが肌面に当接したことを容易かつ正確に検知することができる。制御部115が閉ループを検知する状態において、肌刺激体3へ肌刺激用の電流を供給すると、閉ループが形成されていない状態、すなわち、刺激面3aが肌面から離れている状態では、肌刺激電流の供給を停止して、美容器具の消費電力を抑制することができる。
肌状態センサ88が、測定部143に正対する肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139と、第1および第2の光路形成体140・141とを含み、
第1の光路形成体140と第2の光路形成体141が接合面149・158を介して接合されており、
一対の光路形成体140・141の接合面149・158に沿って、検査光の光路を区画する光路溝150・159が凹み形成されている美容器具。
一対の光路形成体140・141の接合面149・158に沿って、検査光の光路を区画する光路溝150・159を凹み形成すると、美容器具の組立時に光路形成体140・141どうしを接合するだけで、検査光の光路を容易かつ正確に形成することができる。
第1の光路形成体140が肌刺激体3の刺激面3aの内面に正対し、
第2の光路形成体141が発光部138および受光部139の収容部147・148を備える美容器具。
第2の光路形成体141が発光部138と受光部139の収容部147・148を備えていると、これとは別に発光部138等のホルダーを用意する場合に比べて、肌状態センサ88を構成する部品点数を減らして、その分だけコストを削減することができる。
肌刺激源116が、肌刺激体3を加熱するヒーター164を含んで構成されており、
第1の光路形成体140における肌刺激体3との対向面に、ヒーター164を支持するヒーター支持部165が形成されている美容器具。
肌刺激体3をヒーター164で加熱すると、肌状態センサ88で検知した異常部分を含む肌面に対して、温熱刺激を付与する効果的な美容処理を行うことができる。ヒーター164を支持するヒーター支持部165を第1の光路形成体140に形成すると、これとは別にヒーター164のホルダーを用意する場合に比べて、肌状態センサ88を構成する部品点数を減らして、その分だけコストを削減することができる。
肌刺激源116が電流源175と、肌刺激体3を加熱するヒーター164とを含んで構成されている美容器具。
肌刺激源116が電流源175とヒーター164を含んで構成されていると、肌状態センサ88で検知した異常部分を含む肌面に対して、電流刺激に加えて温熱刺激を付与することができる。従って、肌面に複数の刺激を付与して、より効果的な美容処理を行うことができる。
肌刺激源116が、肌刺激体3を振動させるバイブレータ118を含んで構成されており、
バイブレータ118は、バイブレータホルダ120に支持されて、肌刺激体3の内方に収容されており、
肌状態センサ88が肌刺激体3とバイブレータホルダ120により挟持固定されている美容器具。
肌刺激体3をバイブレータ118で振動させると、肌状態センサ88で検知した異常部分を含む肌面に対して、振動刺激を付与する効果的な美容処理を行うことができる。肌刺激体3とバイブレータホルダ120で肌状態センサ88を挟持固定すると、肌状態センサ88の姿勢を安定させて、肌状態センサ88による検知の信頼性を向上させることができる。
肌状態センサ88が、測定部143に正対する肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139とを含み、
発光部138と受光部139を支持する基板137が、肌状態センサ88と共に肌刺激体3とバイブレータホルダ120により挟持固定されている美容器具。
発光部138と受光部139を支持する基板137を、肌状態センサ88と共に肌刺激体3とバイブレータホルダ120で挟持固定すると、肌状態センサ88の固定手段とは別の手段で基板137を固定する場合に比べて、美容器具の組み付け手順を簡素化して、その分だけコストを削減することができる。
肌面に当接して刺激を付与する刺激面3aを含む肌刺激体3と、肌刺激体3に物理的な美容刺激を付与する肌刺激源116と、肌面の異常を光学的に検知する肌状態センサ88とを備えており、
肌状態センサ88が、肌面の被測定部に正対する測定部143を有するレンズ142と、肌面の被測定部へ向かって検査光を照射する発光部138と、被測定部で反射した検査光を受ける受光部139とを含み、
発光部138と対向するレンズ142の内面に、検査光と直交する入光面185が形成されている美容器具。
発光部138と対向するレンズ142の内面に、検査光と直交する入光面185を形成すると、入光面185における検査光の反射量を最小限化して、レンズ142の光透過率を高めることができる。これにより、肌面の被測定部に対して常に十分な光量の検査光を照射して、受光部139へ十分な量の反射光を供給することができ、従って、肌状態を常に正確に判定することができる。また、レンズ142の光透過率が高ければ、これが低い場合に比べて、同量の検査光を肌面の被測定部へ照射する場合に、発光部138の光出力が小さくて済むので、発光部138のコストや消費電力を抑えることができる。
発光部138および受光部139とレンズ142との間に、検査光が通過する中空状の導光路187を備える光路形成体140・141が配置されており、
導光路187は、発光部138からレンズ142に至る第1導光路188と、レンズ142から受光部139に至る第2導光路189とでV字状に形成されており、
レンズ142の内面に、入光面185を含む凹部184が形成されており、
レンズ142と光路形成体140・141の当接面において、凹部184の周縁が第1導光路188および第2導光路189の開口縁に外接している美容器具。
レンズ142と光路形成体140・141の当接面において、レンズ142の内面の凹部184の周縁を、光路形成体140・141の第1導光路188および第2導光路189の開口縁に外接させると、検査光にとっての障害物を無くして、検査光の利用効率を高めることができ、さらにレンズ142の強度を高めることができる。本発明とは逆に、レンズ142における凹部184の周囲が各導光路188・189へ向かって張り出している場合には、この張り出し部分によって検査光の一部が遮られるおそれがある。また、凹部184の周縁が両導光路188・189の開口縁から離れるほど凹部184を大きくする場合には、レンズ142の強度が不足するおそれがある。