JP2019012206A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れる静電荷電現像用トナーの提供。【解決手段】複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂と、ワックスとを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記複合樹脂(A)が、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の直鎖ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントと、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位と、を含み、且つ、45℃以上のガラス転移温度を有する、静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナー等に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用トナーの開発が求められている。
特許文献1では、コアシェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル(B)を含む結着樹脂とワックスとをコア部分に含有し、ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂をシェル部分に含有し、複合樹脂(A)が、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメント(a1)と、スチレン系化合物由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(a2)とを含有する複合樹脂であり、結晶性ポリエステル(B)が、炭素数8以上16以下のα,ω-脂肪族ジオールを80モル%以上含有するアルコール成分と炭素数8以上16以下の脂肪族飽和ジカルボン酸を80モル%以上含有する多価カルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルであり、ポリエステル樹脂(C)が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂である、静電荷像現像用トナーが記載されている。当該トナーは、優れた低温定着性と耐熱保存性とを両立し、帯電性にも優れると記載されている。
特許文献2には、ワックスと、樹脂粒子(A)の水系分散液とを混合して、ワックス粒子の水系分散液を得る工程(1)、工程(1)で得られたワックス粒子の水系分散液、樹脂粒子(B)の水系分散液、及び樹脂粒子(C)の水系分散液を混合し、凝集させて、凝集粒子を得る工程(2)、及び、工程(2)で得られた凝集粒子を融着させて融着粒子を得る工程(3)を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、樹脂粒子(A)を構成する樹脂が、ポリエステルからなるセグメント(a1)を含むポリエステル系樹脂を含有し、樹脂粒子(B)を構成する樹脂が、結晶性ポリエステル(b)を含有し、樹脂粒子(C)を構成する樹脂が、ポリエステルからなるセグメント(c1)とスチレン系化合物由来の構成単位を有するビニル系樹脂セグメント(c2)とを含む複合樹脂(c)を含有する、静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、低温定着性に優れ、且つ、経時的な低温定着性の低下を抑制できるトナーを得られる。
特許文献3には、重縮合系樹脂(A)と他の樹脂(B)を複合化した樹脂(α)からなるトナーバインダーにおいて、該複合化した樹脂(α)中の(A)の含有量(WA重量%)と、(α)の測定周波数100kHzにおける誘電正接(tanδ)が式(1):Log(tanδ)≦a×(100-WA)+b (1) (式中、a, bは定数であり、a=-0.0068、b=-2.07)の関係であることを特徴とするトナーバインダーが記載されている。当該トナーバインダーによれば、低温定着性、耐高温オフセット性のいずれにも優れ、かつ、帯電量が適正で環境安定性に優れた乾式トナーを与えると記載されている。
特開2016-114934号公報 特開2016-173405号公報 特開2000-29247号公報
特許文献1〜3の技術によれば、複合樹脂(A)のガラス転移温度が低いために高温高湿下での耐久性に改善の余地があった。さらには、トナー中に結晶性ポリエステル樹脂が含まれることで低温定着性が向上するが、当該結晶性ポリエステル樹脂とワックスとの親和性が高く、ワックスの分散径が小さくなるため、ワックスがブリードアウトしにくくなり、耐高温オフセット性に改善が求められていた。つまり、特許文献1〜3の技術によれば、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の観点から更なる改善を求められていた。
本発明は、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れる静電荷電現像用トナーに関する。
本発明は、複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂と、ワックスとを含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記複合樹脂(A)が、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の直鎖ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントと、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位と、を含み、且つ、45℃以上のガラス転移温度を有する、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明によれば、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の全てに優れる静電荷電現像用トナーを提供することができる。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂と、ワックスとを含有する。
複合樹脂(A)が、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の直鎖ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントと、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位と、を含み、且つ、45℃以上のガラス転移温度を有する。
以上の構成を有することで、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れる静電荷電現像用トナーが得られる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明のトナーは、低温定着性を向上させるためには結晶性ポリエステル樹脂の添加が有効である。
複合樹脂(A)は、カルボン酸成分として特定の脂肪族ジカルボン酸を含み、且つ、特定のガラス転移温度を有することで、疎水性が高く結晶性ポリエステル樹脂との親和性が高い。これにより、複合樹脂(A)は、結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂中で微分散させることが可能となり、低温定着性が向上する。
加えて、複合樹脂(A)は、カルボン酸成分として特定の脂肪族ジカルボン酸を含み、且つ、特定のガラス転移温度を有することで、ワックスとの親和性も高くワックスの分散性が向上するため、耐久性も向上する。
更に、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂を併用する際はその親和性の高さから定着時にワックスのブリードアウトを阻害するが、本発明の複合樹脂(A)を使用することでワックスと結晶性ポリエステル樹脂の相互作用を抑制でき、定着時のワックスのブリードアウトを促進するために耐高温オフセット性が向上すると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4未満、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.2以下の樹脂である。非晶質樹脂とは、結晶性指数が1.4以上、又は0.6未満、好ましくは1.5以上、又は0.5以下、より好ましくは1.6以上、又は0.5以下の樹脂である。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性指数は、実施例に記載の樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度の測定方法により得られた値から算出することができる。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その例示の化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
明細書中、「結着樹脂」とは、複合樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)を含むトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
<複合樹脂(A)>
複合樹脂(A)は、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れるトナーを得る観点から、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントと、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位とを含む。
複合樹脂(A)は、好ましくは非晶質複合樹脂である。
〔ポリエステル樹脂セグメント〕
ポリエステル樹脂セグメントは、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れるトナーを得る観点から、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物である。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):

(式中、R1O及びOR2はオキシアルキレン基であり、R1及びR2はそれぞれ独立にエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のポリオキシプロピレン付加物、ビスフェノールAのポリオキシエチレン付加物が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
芳香族ジオールの他、アルコール成分として、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールを含んでいてもよい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸成分として、主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むことで、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れるトナーが得られる。
脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは直鎖脂肪族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、好ましくは10以上14以下である。
主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、セバシン酸、ドデカン二酸、又はテトラデカン二酸が好ましく、耐久性をより向上させる観点から、セバシン酸、ドデカン二酸がより好ましい。
主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸の量は、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の観点から、カルボン酸成分中、2モル%以上であり、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、30モル%以下、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
主鎖の炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸以外のカルボン酸成分としては、例えば、他のジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
他のジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、炭素数9以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、炭素数15以上の直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、又はテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下、更に好ましくは85モル%以下である。
炭素数7以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、炭素数15以上の直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、例えばトリメリット酸が挙げられる。これらの中でもトリメリット酸又はその無水物が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔ビニル系樹脂セグメント〕
ビニル系樹脂セグメントは、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れるトナーを得る観点から、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であり、好ましくは、スチレン系化合物及び炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーを含有する原料モノマーの付加重合物である。
スチレン系化合物としては、例えば、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホン酸基又はその塩等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン類が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物の量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの炭化水素基の炭素数は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基が挙げられる。これらの中でも、アルキル基、又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。なお、脂肪族炭化水素基は、分岐又は直鎖のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルである。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの場合、炭化水素基はエステルのアルコール側残基である。
(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル(以下、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルともいう)、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル(以下、(メタ)アクリル酸(イソ)ラウリルともいう)、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましい。
ここで、「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、アクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルを示す。また、アルキル部位について「(イソ)」とは、ノルマルアルキル又はイソアルキルを意味する。
炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
他の原料モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の共役ジエン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル類;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類が挙げられる。
ビニル系樹脂セグメント中の原料モノマー中、スチレン系化合物と炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの合計量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは100質量%である。
〔両反応性モノマー由来の構成単位〕
複合樹脂(A)は、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントを連結するため、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位を有する。
「両反応性モノマー由来の構造単位」とは、両反応性モノマーの官能基、ビニル部位が反応した単位を意味する。
両反応性モノマーとしては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニル系モノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基又はカルボキシ基を有するビニル系モノマーが好ましく、カルボキシ基を有するビニル系モノマーがより好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、アクリル酸、又はメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、複合樹脂(A)のポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは5モル部以上、更に好ましくは8モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは25モル部以下、更に好ましくは20モル部以下である。
ポリエステル樹脂セグメントの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、複合樹脂(A)中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
ビニル系樹脂セグメントの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、複合樹脂(A)中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、複合樹脂(A)中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
複合樹脂(A)中のポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントと、両反応性モノマー由来の構成単位の合計量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
上記量は、ポリエステル樹脂セグメント、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー、重合開始剤の量の比率を基準に算出し、ポリエステル樹脂セグメント等における重縮合による脱水量は考慮しない。なお、重合開始剤を用いた場合、重合開始剤の質量は、ビニル系樹脂セグメントに含めて計算する。
〔複合樹脂(A)の物性〕
複合樹脂(A)の酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは8mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは23mgKOH/g以下、更に好ましくは17mgKOH/g以下である。
複合樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
複合樹脂(A)の軟化点は、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは125℃以下である。
複合樹脂(A)のガラス転移温度は、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れたトナーを得る観点から、45℃以上であり、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは48℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは52℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。
複合樹脂(A)の酸価、水酸基価、軟化点、及びガラス転移温度は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、複合樹脂(A)を2種以上組み合わせて使用する場合は、それらのうちいずれか樹脂の酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移温度の値が前述の範囲内であることが好ましい。
〔複合樹脂(A)の製造方法〕
複合樹脂(A)の製造方法は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合をすること、及びビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合することとを含み、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法が挙げられる。
(i)アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合の後に、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合する方法
(ii)ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合の後に、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーによる重縮合する方法
(iii)アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合と付加重合樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合とを並行して行う方法
上記(i)〜(iii)の方法の重縮合及び付加重合は、いずれも、同一容器内で行うことが好ましい。
複合樹脂は、上記(i)又は(ii)の方法により製造することが、重縮合反応の反応温度の自由度が高い点から好ましく、上記(i)がより好ましい。
反応性の観点から、エステル化触媒、エステル化助触媒等の触媒を用いてもよく、更に重合開始剤及び重合禁止剤を用いてもよい。
重縮合においては、必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下;更に必要に応じて4-tert-ブチルカテコール等のラジカル重合禁止剤をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
重縮合の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。
なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
重縮合及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応を更に進める観点から、カルボン酸成分は、一部を重縮合に供し、次いで付加重合を行った後に再度反応温度を上昇させ、残部を反応系に添加することが好ましい。
付加重合においては、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーを付加重合する。
付加重合の温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下である。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
付加重合の重合開始剤としては、例えば、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等の公知の重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤の使用量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
複合樹脂(A)の含有量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、トナーの結着樹脂中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
複合樹脂(A)は、トナー粒子中、ワックス分散剤として用いることができる。つまり、非晶質ポリエステル系樹脂(B)中に、ワックスを微分散させることができる。複合樹脂(A)のワックス分散のための使用は、原料としてワックスを含むトナー粒子中に配合することで行われる。
<非晶質ポリエステル系樹脂(B)>
トナーは、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは、結着樹脂として、非晶質ポリエステル系樹脂(B)(以下、「ポリエステル系樹脂(B)」ともいう)を含む。
非晶質ポリエステル系樹脂(B)としては、例えば、ポリエステル樹脂、変性されたポリエステル系樹脂が挙げられる。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂のウレタン変性物、ポリエステル樹脂のエポキシ変性物、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを含む複合樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂又はそのウレタン変性物が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮合物である。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは上述の式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
なお、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールの例は、上述の複合樹脂(A)における例示と同様である。
カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、又はテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
カルボン酸成分は、好ましくは3価以上の多価カルボン酸を含み、好ましくはトリメリット酸又はその無水物を含む。
3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸の例は、上述の複合樹脂(A)における例示と同様である。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の比は、上述の複合樹脂(A)における例示と同様である。
以上の中でも、ポリエステル系樹脂(B)は、好ましくは芳香族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物又はそのウレタン変性物を含み、好ましくは芳香族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物を含む。
ポリエステル系樹脂(B)中、芳香族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物又はそのウレタン変性物の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは100質量%である。
〔非晶質ポリエステル系樹脂(B)の物性〕
ポリエステル系樹脂(B)の酸価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の水酸基価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の軟化点は、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の酸価、水酸基価、軟化点、及びガラス転移温度は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、ポリエステル系樹脂(B)を2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移温度の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。重縮合の条件は、例えば、上述の複合樹脂(A)における重縮合で示した条件を適用することができる。
複合樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との質量比率[(A)/(B)]は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、更に好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の含有量は、トナーの結着樹脂中、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
<結晶性ポリエステル樹脂(C)>
トナーは、低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性に優れるトナーを得る観点から、結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する。
結晶性ポリエステル樹脂(C)は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分としては、α,ω-脂肪族ジオールが好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,10-デカンジオールが好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、そして100モル%以下であり、より更に好ましくは100モル%である。
アルコール成分は、α,ω-脂肪族ジオールとは異なる他のアルコール成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、例えば、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のα,ω-脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸、ドデカン二酸、又はテトラデカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、より更に好ましくは100モル%である。
カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、等の芳香族ジカルボン酸;3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔結晶性ポリエステル樹脂(C)の物性〕
結晶性ポリエステル樹脂(C)の軟化点は、耐久性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の融点は、耐久性をより向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の酸価は、耐久性及び低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の水酸基価は、耐久性及び低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、更に好ましくは3mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の軟化点、融点、酸価、及び水酸基価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することがでる。それらの値は、後述の実施例に記載の方法により求められる。なお、結晶性樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、融点、酸価、及び水酸基価の値がそれぞれ前記範囲内であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(C)は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。重縮合の条件は、例えば、上述の複合樹脂(A)における重縮合で示した条件を適用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂(C)と、複合樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計との質量比率[(C)/((A)+(B))]は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは2/98以上、更に好ましくは5/95以上、更に好ましくは8/92以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは30/70以下、更に好ましくは20/80以下、更に好ましくは15/85以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)と、複合樹脂(A)との質量比率[(C)/(A)]は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/90以上、更に好ましくは25/75以上であり、そして、好ましくは70/30以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは30/70以下である。
トナーの結着樹脂において、複合樹脂(A)、非晶質ポリエステル系樹脂(B)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、好ましくは100質量%である。
<ワックス>
ワックスとしては、例えば、炭化水素ワックス、エステルワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミドワックスが挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物又は石油系炭化水素ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等のポリオレフィンワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、モンタンワックス等の鉱物又は石油系エステルワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系エステルワックス;ミツロウ等の動物系エステルワックスが挙げられる。
脂肪酸アミドワックスとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、トナーの低温定着性、グロス、及び耐キャリア汚染性をより向上させる観点から、脂肪酸アミドワックス、又はエステルワックスが好ましく、エステルワックスがより好ましい。
ワックスの融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
なお、ワックスを2種以上組み合わせて使用する場合は、それぞれのワックスの融点が、前述の範囲内であることが好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
<荷電制御剤>
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN-105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、ベンジル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
<着色剤>
トナーは、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
トナーは、その他、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含んでいてもよい。
[トナーの製造方法]
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
粉砕トナーである場合、トナーの製造方法は、例えば
工程1:複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル系樹脂(C)、及びワックスを含むトナー原料を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混合物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
工程1では、トナー原料中に、非晶質ポリエステル系樹脂(B)、荷電制御剤及び着色剤等のその他添加剤を含んでいてもよい。これらのトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
溶融混練の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、好ましくは150℃以下である。
工程1の溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。結晶を溶融混合する観点から、高温条件に設定することのできる二軸押出機が好ましい。
工程1で得られた溶融混合物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
工程2の粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混合物を硬化させて得られた樹脂混練物を、1mm以上5mm以下に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、又は衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
分級に用いられる分級機としては、例えば、ロータ式分級機、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
トナーは、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理されていることが好ましい。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子、及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子が挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いる場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
[測定]
〔樹脂の酸価、水酸基価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の軟化点、吸熱の最高ピーク温度、ガラス転移温度〕
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)吸熱の最高ピークの温度
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間保持させ、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次の通り測定する。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」〔花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:上記の分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
[樹脂の製造]
製造例A1〜A10(複合樹脂A-1〜A-10)
表1に示す原料ポリエステルモノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10Lの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った。その後、エステル化触媒を添加し、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、複合樹脂A-1〜A-10を得た。
製造例B1(樹脂B-1)
表2に示すトリメリット酸無水物以外の原料ポリエステルモノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10Lの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃で7時間重縮合させた。200℃にてトリメリット酸無水物を添加した後、210℃に昇温し、重縮合反応を行い、軟化点が表に示す軟化点に達するまで反応させて、樹脂(樹脂B-1)を得た。
製造例C1, C2(樹脂C-1、C-2)
表3に示すポリエステル樹脂の原料モノマー(P)を、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、エステル化触媒を添加し、8.0kPaにて表3に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂C-1, C-2を得た。
[トナーの製造]
実施例1〜10及び比較例1〜5,参考例1
表4に示す比率で、結着樹脂、着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット株式会社製)1質量部、ワックス2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は90℃であり、混練物の温度は140℃、混練物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を140℃から50℃まで1.5時間で冷却し、50℃で、冷却ローラーで圧延冷却した後、45℃で4時間静置後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)5.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径:16nm)1.5質量部及び「SI-Y」(疎水性シリカ、日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径:40nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、トナーを得た。
[評価]
〔低温定着性及び耐高温オフセット性〕
複写機「AR-505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z 1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。なお、印刷に用いた紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ株式会社製、75g/m2)を使用した。
テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を超える定着ローラーの温度を低定着温度とした。低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。最低定着温度は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
また、上記で得られた定着画像を目視で判断し、高温オフセットが見られた定着ロールの最低温度を高温オフセット温度とした。高温オフセット温度が高いほど、耐高温オフセット性に優れる。高温オフセット温度は、160℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。
〔耐久性〕
レーザプリンタ「ページプレスト N-4」(カシオ計算機株式会社製、定着:接触定着方式、現像:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、温度40℃、相対湿度85%の条件下にて黒化率5.5%の斜めストライプのパターンにて、耐刷を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を、現像ロールにトナーが融着・固着したことによりスジが発生した枚数として、以下の評価基準に従って、耐久性を評価した。結果を表4に示す。スジの発生した枚数が多いほど、トナーの耐久性に優れる。その枚数は、3,000枚以上が好ましく、4,000枚以上がより好ましく、5,000枚以上が更に好ましい。
以上、実施例及び比較例から、本発明によれば、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐久性に優れるトナーが得られることがわかる。

Claims (8)

  1. 複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂と、ワックスとを含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記複合樹脂(A)が、芳香族ジオールを含むアルコール成分と主鎖の炭素数8以上14以下の直鎖ジカルボン酸を2モル%以上30モル%以下含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントと、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位と、を含み、且つ、45℃以上のガラス転移温度を有する、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記複合樹脂(A)の酸価が、17mgKOH/g以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂(C)と前記複合樹脂(A)との質量比率[(C)/(A)]が、10/90以上70/30以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記複合樹脂(A)の含有量が、前記結着樹脂の合計量に対し、1質量%以上60質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂(C)の含有量が、前記結着樹脂の合計量に対し、1質量%以上30質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記非晶質ポリエステル系樹脂(B)を更に含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記非晶質ポリエステル系樹脂(B)が、芳香族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物又はそのウレタン変性物を含む、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記複合樹脂(A)と前記非晶質ポリエステル系樹脂(B)との質量比率[(A)/(B)]が、2/98以上20/80以下である、請求項6又は7に記載の静電荷像現像用トナー。
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