JP2019011823A - 動力伝達機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】一例として、プレッシャプレートの移動量に対する質量体の移動可能量と、質量体を移動可能にするための荷重と、が調整可能な動力伝達機構を得る。【解決手段】実施形態に係る動力伝達機構は、一例として、フライホイールに取り付けられたクラッチカバーと、クラッチディスクと、クラッチハブと、クラッチディスクとクラッチハブとの間のスプリングと、クラッチディスクをフライホイールに押し付ける第1の位置と、クラッチディスクから離間する第2の位置と、に移動可能なプレッシャプレートと、ダイヤフラムスプリングと、質量体と、加圧部材と、を備える。加圧部材は、クラッチカバーに支持される支点部と、質量体をクラッチハブに押し付ける作用点部と、第1の位置から第2の位置に移動するプレッシャプレートに押される力点部と、を有し、力点部がプレッシャプレートに押されることで作用点部が質量体から離間する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、動力伝達機構に関する。
従来、エンジンのクランクシャフトとトランスミッションのインプットシャフトとの間に設けられるダンパ装置を備えた動力伝達機構が知られる。動力伝達機構は、例えば、フライホイールを介してクランクシャフトに接続されるクラッチカバーと、インプットシャフトに接続されるクラッチハブと、当該クラッチハブに対して回転可能なクラッチディスクと、クラッチハブ及びクラッチディスクの間に配置されるコイルスプリングと、クラッチディスクをフライホイールに押し付けるプレッシャプレートとを有する。このような動力伝達機構は、エンジンから入力される回転変動をコイルスプリングによって減衰させる。
さらに、インプットシャフトに付加慣性モーメントを付与するための質量体と、当該質量体とインプットシャフトとの接続及び切り離しを行う補助クラッチと、を有する動力伝達機構が知られている(特許文献1)。質量体は、例えば、プレッシャプレートに相対回転可能に支持される。質量体は、クラッチを係合及び解除させるプレッシャプレートに連動し、補助クラッチが係合してインプットシャフトと一緒に回転可能な位置と、補助クラッチが係合解除してインプットシャフトから切り離される位置と、に移動する。
実公平2−32890号公報
しかしながら、従来の構成では、質量体の移動量は、プレッシャプレートの移動量に等しい。このため、動力伝達機構の設計の自由度が低下してしまい、例えば、プレッシャプレートの移動量に対する質量体の移動量や、質量体を移動させるための荷重を調整することが難しい。
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、プレッシャプレートの移動量に対する質量体の移動可能量と、質量体を移動可能にするための荷重と、が調整可能な動力伝達機構を提供する。
本発明の実施形態に係る動力伝達機構は、一例として、フライホイールに取り付けられ、回転中心まわりに回転可能なクラッチカバーと、前記クラッチカバーに対して前記回転中心まわりに回転可能且つ軸方向に移動可能なクラッチディスクと、前記クラッチディスクに対して前記回転中心まわりに回転可能なクラッチハブと、周方向に前記クラッチディスクと前記クラッチハブとの間に位置し、前記クラッチディスクと前記クラッチハブとが相対的に回転することにより圧縮されるスプリングと、前記クラッチディスクを前記フライホイールに押し付ける第1の位置と、前記クラッチディスクから離間する第2の位置と、に移動可能なプレッシャプレートと、前記プレッシャプレートを前記第1の位置へ付勢するダイヤフラムスプリングと、前記クラッチハブに対して前記回転中心まわりに回転可能且つ前記軸方向に移動可能な質量体と、前記クラッチカバーに支持される支点部と、前記質量体を前記クラッチハブに回転を伝達可能に押し付ける作用点部と、前記第1の位置から前記第2の位置に移動する前記プレッシャプレートに押される力点部と、を有し、前記力点部が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する前記プレッシャプレートに押されることで前記作用点部が前記質量体から離間する、加圧部材と、を備える。よって、一例としては、支点部、作用点部、及び力点部の位置を調整することにより、プレッシャプレートの移動量に対する質量体の移動可能量と、質量体を移動可能にするための荷重と、が調整可能となる。
上記動力伝達機構では、一例として、前記支点部と前記作用点部との間の距離が、前記支点部と前記力点部との間の距離よりも長い。よって、一例としては、プレッシャプレートが力点部を押す量に比べ、作用点部が質量体から離間する量を大きくすることができる。従って、質量体が加圧部材及びクラッチハブから確実に離間でき、質量体とクラッチハブとの接続を確実に遮断できる。
上記動力伝達機構では、一例として、前記支点部と前記作用点部との間の距離が、前記支点部と前記力点部との間の距離よりも短い。よって、一例としては、作用点部を質量体から離間させるためにプレッシャプレートが力点部に作用させる荷重をより小さくすることができる。従って、ドライバーがより軽い力で質量体とクラッチハブとの接続を遮断できる。
上記動力伝達機構では、一例として、前記質量体は、前記クラッチハブに押し付けられる第1の部材と、前記加圧部材の前記作用点部に接触する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在するとともに前記第1の部材と前記第2の部材とを前記回転中心まわりに相対的に回転可能に支持する軸受と、を有する。よって、一例としては、加圧部材が支持されるクラッチカバーと、第1の部材が押し付けられるクラッチハブと、が回転中心まわりに相対的に回転した場合に、加圧部材と質量体との間に摩擦が生じることが抑制される。従って、摩擦による加圧部材の損傷が抑制される。
上記動力伝達機構は、一例として、前記質量体と前記クラッチハブとの間に介在し、前記質量体と前記クラッチハブとを前記回転中心まわりに相対的に回転可能且つ軸方向に相対的に移動可能に支持する、樹脂ブッシュをさらに備える。よって、一例としては、質量体がクラッチハブに対して滑らかに周方向に回転するとともに軸方向に移動することが可能となる。
図1は、第1の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構の一例を示す断面図である。 図2は、第1の実施形態の係合状態の動力伝達機構の一例の一部を拡大して示す断面図である。 図3は、第1の実施形態の解除状態の動力伝達機構の一例を示す断面図である。 図4は、第1の実施形態の解除状態の動力伝達機構の一例の一部を拡大して示す断面図である。 図5は、第2の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構の一例を示す断面図である。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。動力伝達機構1は、例えば、四輪自動車のような車両に設けられる。図1に示すように、動力伝達機構1は、クランクシャフト2と、インプットシャフト3と、フライホイール4と、ダンパ装置5とを有する。
クランクシャフト2は、エンジンの出力軸である。なお、クランクシャフト2はこの例に限らず、例えば、間接的にエンジンに接続されても良いし、モータのような他の駆動源の出力軸であっても良い。
インプットシャフト3は、トランスミッションの入力軸である。なお、インプットシャフト3はこの例に限らず、例えば、間接的にトランスミッションに接続されても良いし、モータのような他の駆動源に接続されても良い。インプットシャフト3は、クランクシャフト2と同軸上に配置される。
クランクシャフト2とインプットシャフト3とはそれぞれ、図1に示す中心軸Axに沿って延び、中心軸Axまわりに回転可能である。中心軸Axは、回転中心の一例である。以下、中心軸Axに直交する方向を径方向、中心軸Axに沿う方向を軸方向、中心軸Axまわりに回転する方向を周方向又は回転方向とそれぞれ称する。クランクシャフト2とインプットシャフト3とは、互いに相対的に回転可能である。
フライホイール4は、クランクシャフト2に接続される。フライホイール4は、大よそ径方向に広がる略円盤状に形成され、中心軸Axまわりにクランクシャフト2と一体的に回転可能である。フライホイール4は、軸方向に向く第1の摩擦面4aを有する。
ダンパ装置5は、クラッチカバー11と、クラッチディスク12と、クラッチハブ13と、ダンパスプリング14と、プレッシャプレート15と、ダイヤフラムスプリング16と、二つのピボットリング17と、クラッチレリーズ装置18と、質量体21と、樹脂ブッシュ22と、加圧部材23と、を有する。
クラッチディスク12は、例えば、ドライブプレートとも称され得る。クラッチハブ13は、例えば、ドリブンプレートとも称され得る。ダンパスプリング14は、スプリングの一例である。
クラッチカバー11は、カバー部材31と、支持部材32と、第1の連結部材33とを有する。カバー部材31は、筒部31aと、壁部31bとを有する。筒部31aは、略円筒状に形成される。筒部31aは、例えば、ボルトにより、第1の摩擦面4aよりも径方向外側でフライホイール4に取り付けられる。これにより、クラッチカバー11は、中心軸Axまわりにフライホイール4と一体的に回転可能である。壁部31bは、筒部31aから径方向内側に突出し、径方向に広がる略円環状に形成される。フライホイール4の第1の摩擦面4aは、壁部31bに向く。
図2は、第1の実施形態の係合状態の動力伝達機構1の一例の一部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、支持部材32は、壁部31bと第1の摩擦面4aとの間に位置し、径方向に広がる略円環状に形成される。支持部材32は、第1の摩擦面4aに向かって突出する突起32aを有する。突起32aは、例えば、周方向に延びる略円環状に形成される。なお、複数の突起32aが、略円環状に配置されても良い。
図1に示すように、第1の連結部材33は、例えばカシメにより、支持部材32とカバー部材31の壁部31bとに取り付けられる。第1の連結部材33は、支持部材32と、壁部31bとを、互いに軸方向に離間した位置に支持する。
クラッチディスク12は、大よそ径方向に広がる略円盤状に形成され、フライホイール4及びクラッチカバー11に対して中心軸Axまわりに回転可能である。クラッチディスク12は、軸方向において、フライホイール4と、カバー部材31の壁部31bとの間に位置する。
クラッチディスク12は、中心軸Axに近い方から順に、二つのブッシュ41と、二つのディスクプレート42と、第2の連結部材43と、支持プレート44と、二つのクラッチフェーシング45とを有する。支持プレート44は、例えば、クッションスプリングとも称され得る。クラッチフェーシング45は、例えば、摩擦材とも称され得る。
二つのブッシュ41は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成され、軸方向に間隔を介して並べられる。ブッシュ41は、径方向外側に突出するとともに周方向に間隔を介して並べられた複数の係止部41aを有する。
二つのディスクプレート42はそれぞれ、大よそ径方向に広がる略円環状に形成される。二つのディスクプレート42は、軸方向に間隔を介して配置される。それぞれのディスクプレート42に、スプライン部42aと、複数の開口42bとが設けられる。スプライン部42aは、ディスクプレート42の内周部から径方向に延びるとともに、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。複数の開口42bは、周方向に略等間隔に設けられ、ディスクプレート42の内部を露出させる。
ディスクプレート42の径方向内側に、ブッシュ41が嵌まる。ブッシュ41の係止部41aが、ディスクプレート42のスプライン部42aに嵌められる。これにより、ディスクプレート42とブッシュ41とが中心軸Axまわりに一体的に回転可能となる。
第2の連結部材43は、例えばカシメにより二つのディスクプレート42に取り付けられ、二つのディスクプレート42を互いに軸方向に離間した位置に支持する。第2の連結部材43により、二つのディスクプレート42は、一体的に中心軸Axまわりに回転可能となる。
支持プレート44は、ディスクプレート42より大きい略円環状に形成される。支持プレート44の内周部分は、例えばネジや第2の連結部材43によって、一方のディスクプレート42に取り付けられる。支持プレート44は、ディスクプレート42から、径方向外側に張り出す。なお、支持プレート44は他の部分に取り付けられても良い。
クラッチフェーシング45は、例えば、間隔を介してディスクプレート42を囲む円環状に形成される。二つのクラッチフェーシング45は、支持プレート44の外周部分において、軸方向における支持プレート44の両側に取り付けられる。クラッチフェーシング45は、支持プレート44に設けられた板バネ状の部分により、軸方向に僅かに移動可能である。クラッチフェーシング45に、クラッチフェーシング45の内周部から外周部に亘って、略径方向に延びる複数の溝が設けられる。
クラッチハブ13は、クラッチディスク12に対して中心軸Axまわりに回転可能である。クラッチハブ13は、内側ハブ51と、外側ハブ52と、プリダンパスプリング53と、フランジ部材54と、摩擦部材55と、クッションスプリング56とを有する。
内側ハブ51は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。インプットシャフト3が、内側ハブ51の径方向内側に挿入される。クラッチハブ13とインプットシャフト3とは、互いに軸方向に移動可能且つ回転を伝達可能に嵌り合う。また、内側ハブ51は、ブッシュ41の径方向内側に嵌められる。内側ハブ51と、ブッシュ41は、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
内側ハブ51は、径方向外側に突出するとともに周方向に間隔を介して並べられた複数の係止部51aを有する。係止部51aは、軸方向において、クラッチディスク12の二つのブッシュ41の間に配置される。
外側ハブ52は、軸方向において、二つのディスクプレート42の間に配置される。外側ハブ52は、中間部52aと、複数のアーム52bとを有する。中間部52aは、径方向に広がる円環状に形成される。中間部52aに、スプライン部52cが設けられる。スプライン部52cは、中間部52aの内周部から径方向に延びるとともに、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。
内側ハブ51は、外側ハブ52の径方向内側に嵌められる。外側ハブ52のスプライン部52cに、内側ハブ51の係止部51aが嵌められる。周方向において、外側ハブ52のスプライン部52cの端部と、内側ハブ51の係止部51aの端部との間に間隔が設けられる。これにより、内側ハブ51と外側ハブ52とは、所定の角度に亘って中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
プリダンパスプリング53が、周方向における、外側ハブ52のスプライン部52cの端部と、内側ハブ51の係止部51aの端部との間の隙間に配置される。プリダンパスプリング53は、コイル状の圧縮バネである。プリダンパスプリング53は、内側ハブ51と外側ハブ52とが中心軸Axまわりに相対的に回転することにより、外側ハブ52と内側ハブ51とによって弾性的に圧縮される。プリダンパスプリング53は、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
外側ハブ52の複数のアーム52bは、中間部52aから径方向に延びる。複数のアーム52bは、周方向に一定間隔で配置される。例えば、クラッチディスク12及びクラッチハブ13に外力が作用しない場合、周方向において、開口42bが隣り合うアーム52bの間に位置する。
ダンパスプリング14は、コイル状の圧縮バネ(コイルスプリング)である。ダンパスプリング14は、ディスクプレート42の開口42bの内部に位置するとともに、周方向において外側ハブ52の隣り合う二つのアーム52bの間に位置する。ダンパスプリング14は、周方向において、開口42bを規定するクラッチディスク12の縁と、クラッチハブ13のアーム52bとの間に位置し、クラッチディスク12とクラッチハブ13とに支持される。
ダンパ装置5にトルクが作用すると、クラッチディスク12とクラッチハブ13とが中心軸Axまわりに相対的に回転する。これにより、クラッチディスク12とクラッチハブ13との間の捩れ角が生じ、ダンパスプリング14がクラッチディスク12及びクラッチハブ13によって弾性的に圧縮される。ダンパスプリング14は、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
フランジ部材54は、径方向に広がる略円環状に形成され、軸方向において、クラッチディスク12とカバー部材31の壁部31bとの間に位置する。フランジ部材54の径方向内側に、内側ハブ51が挿入される。フランジ部材54は、例えばボルトにより、内側ハブ51に固定される。このため、フランジ部材54と内側ハブ51とは、中心軸Axまわりに一体的に回転可能となる。
摩擦部材55は、径方向に広がる略円環状に形成され、軸方向において、フランジ部材54とカバー部材31の壁部31bとの間に位置する。摩擦部材55は、フランジ部材54の支持部54aに支持される。
支持部54aは、軸方向に延び、摩擦部材55を軸方向に移動可能に支持する。さらに、支持部54aは、摩擦部材55がフランジ部材54から所定の距離よりも離間することを制限する。
図2に示すように、摩擦部材55は、軸方向において壁部31bに向く第2の摩擦面55aを有する。第2の摩擦面55aに、第2の摩擦面55aの内周部から外周部に亘って、略径方向に延びる複数の溝が設けられる。
図1に示すように、クッションスプリング56は、例えば皿バネであり、フランジ部材54と摩擦部材55との間に設けられる。クッションスプリング56は、摩擦部材55を、フランジ部材54から軸方向に沿って離間する方向に付勢する。
クラッチディスク12、クラッチハブ13、及びダンパスプリング14は、上述のように組み立てられることで、インプットシャフト3、フライホイール4、及びクラッチカバー11に対し、軸方向に一体的に移動可能である。なお、インプットシャフト3と、フライホイール4及びクラッチカバー11とが、軸方向に相対的に移動可能であっても良い。
図2に示すように、プレッシャプレート15は、軸方向において、フライホイール4の第1の摩擦面4aと、クラッチカバー11との間に位置する。プレッシャプレート15は、フライホイール4、クラッチカバー11、及びクラッチディスク12に対して、軸方向に移動可能である。プレッシャプレート15は、摩擦プレート61と、押圧プレート62と、複数のボルト63と、フック64とを有する。
摩擦プレート61は、径方向に広がる略円環状に形成される。摩擦プレート61は、第3の摩擦面61aと、取付面61bと、突出部61cとを有する。第3の摩擦面61aは、フライホイール4の第1の摩擦面4aに向く。取付面61bは、第3の摩擦面61aの反対側に位置し、クラッチカバー11の壁部31bに向く。突出部61cは、取付面61bから、クラッチカバー11の壁部31bに向かって突出する略円筒状に形成される。
クラッチディスク12の支持プレート44及びクラッチフェーシング45は、フライホイール4とプレッシャプレート15との間に位置する。フライホイール4の第1の摩擦面4aと、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45とは向かい合う。プレッシャプレート15の第3の摩擦面61aと、他方のクラッチフェーシング45とは向かい合う。
押圧プレート62は、軸方向において取付面61bとクラッチカバー11の壁部31bとの間に位置するとともに、突出部61cの径方向内側に位置する。押圧プレート62は、取付部62aと、押圧部62bとを有する。取付部62aは、径方向に広がる略円環状に形成される。押圧部62bは、取付部62aの内周部から軸方向に沿ってクラッチカバー11の壁部31bに向かって突出する略円筒状に形成される。なお、押圧プレート62の形状はこの例に限られない。
ボルト63は、押圧プレート62の取付部62aを、摩擦プレート61の取付面61bに取り付ける。なお、プレッシャプレート15はこの例に限らず、例えば、摩擦プレート61と押圧プレート62とが一体に形成されても良い。
フック64は、弾性変形可能であり、例えば、突出部61cに取り付けられる。フック64は、この例に限られない。フック64の先端部は、突出部61cの先端部と、隙間を介して軸方向に向かい合う。
図3は、第1の実施形態の解除状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。図4は、第1の実施形態の解除状態の動力伝達機構1の一例の一部を拡大して示す断面図である。プレッシャプレート15は、図1及び図2に示す係合位置P1と、図3及び図4に示す解除位置P2とに、軸方向に沿って移動可能である。係合位置P1は、第1の位置の一例である。解除位置P2は、第2の位置の一例である。
図2に示すように、係合位置P1において、プレッシャプレート15は、クラッチディスク12をフライホイール4に回転を伝達可能に押し付ける。このとき、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45は、フライホイール4の第1の摩擦面4aに接触する。さらに、他方のクラッチフェーシング45は、プレッシャプレート15の第3の摩擦面61aに接触する。
エンジンがクランクシャフト2を介してフライホイール4を回転させると、クラッチフェーシング45と、第1の摩擦面4a及び第3の摩擦面61aとの間の摩擦力により、クラッチディスク12が回転させられる。すなわち、エンジンが生じさせる回転が、フライホイール4を介してクラッチディスク12に伝達される。このため、フライホイール4とクラッチディスク12とが一体的に回転する。クラッチディスク12の回転は、ダンパスプリング14及びクラッチハブ13を介して、インプットシャフト3に伝達される。
図4に示すように、解除位置P2において、プレッシャプレート15は、クラッチディスク12から離間する。このとき、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45は、フライホイール4の第1の摩擦面4aから離間する。さらに、他方のクラッチフェーシング45は、プレッシャプレート15の第3の摩擦面61aから離間する。これにより、クラッチディスク12は、フライホイール4、クラッチカバー11、及びプレッシャプレート15に対して中心軸Axまわりに回転可能となる。なお、解除位置P2に位置するプレッシャプレート15が、一時的にクラッチディスク12に接触しても良い。
動力伝達機構1には、以上述べたクラッチディスク12及びプレッシャプレート15を有するクラッチC1が設けられる。クラッチC1は、プレッシャプレート15が係合位置P1に配置されることにより係合し、クラッチディスク12とフライホイール4とを互いに回転を伝達可能に接続する。クラッチC1は、プレッシャプレート15が解除位置P2に配置されることにより係合解除し、クラッチディスク12とフライホイール4とを切り離す。
ダイヤフラムスプリング16は、大よそ径方向に広がる略円環状に形成される。ダイヤフラムスプリング16は、ピボットリング17を介して、クラッチカバー11に揺動可能に支持される。
ダイヤフラムスプリング16は、クラッチカバー11のカバー部材31の壁部31bと、支持部材32との間に位置する。一方のピボットリング17は、ダイヤフラムスプリング16と壁部31bとの間に位置する。他方のピボットリング17は、ダイヤフラムスプリング16と支持部材32との間に位置する。すなわち、クラッチカバー11は、ピボットリング17を介して、ダイヤフラムスプリング16を挟持する。ダイヤフラムスプリング16は、弾性変形することで、ピボットリング17を支点として揺動可能である。
ダイヤフラムスプリング16は、内レバー部71と、外レバー部72とを有する。内レバー部71は、ピボットリング17よりも径方向内側に位置する。外レバー部72は、ピボットリング17よりも径方向外側に位置する。内レバー部71及び外レバー部72は、ピボットリング17を支点として一体的に揺動する。
外レバー部72は、プレッシャプレート15の突出部61cに接触する。さらに、プレッシャプレート15のフック64が、外レバー部72に引っかかる。外レバー部72は、突出部61cとフック64との間に位置する。フック64と突出部61cとは、外レバー部72を保持する。これにより、プレッシャプレート15は、ダイヤフラムスプリング16を介してクラッチカバー11に支持される。
ダイヤフラムスプリング16は、揺動することで、図1に示す加圧状態S1と、図3に示す解放状態S2とに変化可能である。図2に示すように、加圧状態S1において、外レバー部72は、プレッシャプレート15の突出部61cを、クラッチディスク12及びフライホイール4に向かって押す。押されたプレッシャプレート15は、クラッチディスク12をフライホイール4に押し付ける。すなわち、加圧状態S1のダイヤフラムスプリング16は、プレッシャプレート15を係合位置P1へ付勢する。ダイヤフラムスプリング16は、外力が作用しない自然状態において、加圧状態S1にある。
図4に示すように、解放状態S2において、外レバー部72は、フック64を引っ張ることで、プレッシャプレート15をクラッチディスク12から離間させる。すなわち、解放状態S2のダイヤフラムスプリング16は、プレッシャプレート15を解除位置P2へ付勢する。
図3に示すように、クラッチレリーズ装置18は、例えば、ドライバーの操作に応じて、油圧又は電磁力によりダイヤフラムスプリング16の内レバー部71を押すことで、加圧状態S1にあるダイヤフラムスプリング16を解放状態S2に変化させる。すなわち、クラッチレリーズ装置18は、ダイヤフラムスプリング16を押すことで、プレッシャプレート15を係合位置P1から解除位置P2に移動させる。
図2に示すように、質量体21は、軸方向において、クラッチハブ13の摩擦部材55と、ダイヤフラムスプリング16との間に位置する。さらに、質量体21は、押圧プレート62の押圧部62bよりも径方向内側に位置する。質量体21は、ディスク75と、リング76と、軸受77とを有する。ディスク75は、第1の部材の一例である。リング76は、第2の部材の一例である。
ディスク75は、径方向に広がる略円環状に形成される。ディスク75は、第4の摩擦面75aを有する。第4の摩擦面75aと、摩擦部材55の第2の摩擦面55aとは、互いに向かい合う。
リング76は、周方向に延びる略円環状に形成される。リング76の内径は、ディスク75の外径よりも大きい。リング76は、間隔を介してディスク75を囲む。リング76は、ダイヤフラムスプリング16に向く接触面76aを有する。
軸受77は、例えば、玉軸受である。なお、軸受77は、ころ軸受のような他の軸受であっても良い。軸受77は、ディスク75とリング76との間に介在するとともに、ディスク75とリング76とを中心軸Axまわりに相対的に回転可能に支持する。
図1に示すように、樹脂ブッシュ22は、例えば、摩擦係数が低い合成樹脂によって作られ、周方向に延びる略円環状に形成される。樹脂ブッシュ22は、質量体21のディスク75の径方向内側に嵌め込まれる。
質量体21に嵌め込まれた樹脂ブッシュ22の径方向内側に、クラッチハブ13の内側ハブ51が挿入される。このため、樹脂ブッシュ22は、質量体21とクラッチハブ13との間に介在する。樹脂ブッシュ22は、質量体21の中心を中心軸Axに一致させるよう、質量体21を位置決めする。
樹脂ブッシュ22は、質量体21とクラッチハブ13とを中心軸Axまわりに相対的に回転可能且つ軸方向に相対的に移動可能に支持する。このため、質量体21及び樹脂ブッシュ22は、クラッチハブ13に対して一体的に、中心軸Axまわりに回転可能且つ軸方向に移動可能である。
質量体21は、図1に示す係合位置P3と、図3に示す解除位置P4とに、軸方向に沿って移動可能である。図2に示すように、係合位置P3において、質量体21の第4の摩擦面75aが、クラッチハブ13の第2の摩擦面55aに回転を伝達可能に接触する。
エンジンの回転がフライホイール4、クラッチディスク12、及びダンパスプリング14を介してクラッチハブ13に伝達されると、第4の摩擦面75aと第2の摩擦面55aとの間の摩擦力により、質量体21が回転させられる。このため、クラッチハブ13、質量体21、及びインプットシャフト3が一体的に回転する。質量体21は、インプットシャフト3に慣性モーメントを付与する。
図4に示すように、解除位置P4において、質量体21は、クラッチハブ13の第2の摩擦面55aから離間する。これにより、質量体21は、樹脂ブッシュ22と一体的に、クラッチハブ13及びインプットシャフト3に対して中心軸Axまわりに回転可能となる。すなわち、インプットシャフト3から質量体21の慣性モーメントが除去される。
動力伝達機構1には、以上述べたフランジ部材54、摩擦部材55、クッションスプリング56、及びディスク75を有する補助クラッチC2が設けられる。補助クラッチC2は、質量体21が係合位置P3に配置されることにより係合し、質量体21とクラッチハブ13とを互いに回転を伝達可能に接続する。補助クラッチC2は、質量体21が解除位置P4に配置されることにより係合解除し、質量体21とクラッチハブ13とを切り離す。
加圧部材23は、大よそ径方向に広がる円環状の皿バネである。なお、加圧部材23はこの例に限らず、例えば、板バネであっても良いし、揺動可能な剛性部材と当該剛性部材を付勢するコイルバネとにより構成されても良い。
加圧部材23は、軸方向において、クラッチカバー11の支持部材32と、質量体21との間に位置する。加圧部材23は、支点部81と、作用点部82と、力点部83とを有する。
本実施形態において、支点部81は、加圧部材23の外周部である。支点部81は、クラッチカバー11の支持部材32に支持されるとともに、略円環状の突起32aの径方向内側に配置される。突起32aは、加圧部材23の中心を中心軸Axに一致させるよう、加圧部材23を位置決めする。
本実施形態において、作用点部82は、加圧部材23の内周部である。作用点部82は、軸方向において、支点部81よりも質量体21に近い。作用点部82は、質量体21のリング76と、軸方向に並べられる。リング76の接触面76aは、作用点部82に向く。
本実施形態において、力点部83は、径方向における支点部81と作用点部82との間に設けられる。また、力点部83は、プレッシャプレート15の突出部61cよりも径方向内側に位置する。力点部83は、押圧プレート62の押圧部62bの先端に面する加圧部材23の一部である。支点部81と作用点部82との間の距離は、支点部81と力点部83との間の距離よりも長い。
加圧部材23は、弾性変形することで、支点部81を支点として揺動可能である。加圧部材23は、揺動することで、図1に示す加圧状態S3と、図3に示す解放状態S4とに変化可能である。
図2に示すように、加圧状態S3において、作用点部82は、リング76の接触面76aに接触し、軸方向に沿って質量体21をクラッチハブ13に向かって押す。作用点部82は、質量体21を押すことで、質量体21のディスク75をクラッチハブ13の第2の摩擦面55aに回転を伝達可能に押し付ける。すなわち、加圧状態S3の加圧部材23は、質量体21を係合位置P3へ付勢する。加圧部材23は、外力が作用しない自然状態において、加圧状態S3にある。
図4に示すように、解放状態S4において、作用点部82は、質量体21から離間する。これにより、質量体21は、係合位置P3から解除位置P4に移動可能となる。すなわち、解放状態S4における作用点部82は、質量体21が解除位置P4に移動可能な位置に配置される。なお、作用点部82は、解除位置P4に位置する質量体21に接触しても良い。
以上説明された動力伝達機構1では、クラッチC1と補助クラッチC2とが連動して係合及び解除される。以下、クラッチC1及び補助クラッチC2の係合及び解除について、具体的に例示する。
図1に示すように、ドライバーがクラッチレリーズ装置18を操作していない場合、クラッチレリーズ装置18が内レバー部71を押さず、ダイヤフラムスプリング16が加圧状態S1となる。加圧状態S1のダイヤフラムスプリング16に押されたプレッシャプレート15は、係合位置P1に配置され、クラッチディスク12をフライホイール4に回転を伝達可能に押し付ける。これにより、クラッチC1が係合し、クラッチディスク12とフライホイール4とが一体的に回転可能となる。
図2に示すように、プレッシャプレート15が係合位置P1に位置するとき、押圧プレート62の押圧部62bは、加圧部材23の力点部83から僅かに離間する。これにより、加圧部材23が加圧状態S3となる。なお、係合位置P1に位置する押圧プレート62が力点部83に接触しても良い。
加圧状態S3の加圧部材23の作用点部82は、リング76に接触し、質量体21を押す。加圧部材23は、質量体21を係合位置P3に付勢し、質量体21のディスク75をクラッチハブ13の第2の摩擦面55aに回転を伝達可能に押し付ける。これにより、補助クラッチC2が係合し、質量体21のディスク75とクラッチハブ13とが一体的に回転可能となる。
クラッチディスク12は、フライホイール4及びクラッチカバー11と一体的に回転可能であるとともに、クラッチカバー11の支持部材32に支持される加圧部材23とも一体的に回転可能である。このため、加圧部材23に接触するリング76は、クラッチディスク12と一体的に回転可能となる。
クラッチディスク12とクラッチハブ13とは、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。このため、クラッチハブ13と一体回転するディスク75と、クラッチディスク12と一体回転するリング76との間にトルクが発生することがある。ディスク75とリング76との間に軸受77が介在するため、ディスク75とリング76とは、中心軸Axまわりに相対的に回転する。
クラッチC1及び補助クラッチC2が係合するとき、ダイヤフラムスプリング16がプレッシャプレート15を押し、加圧部材23が質量体21を押す。ダイヤフラムスプリング16及び加圧部材23はそれぞれ、独立してクラッチカバー11に支持される。このため、ダイヤフラムスプリング16がプレッシャプレート15に作用させる荷重と、加圧部材23が質量体21に作用させる荷重とは、互いに独立している。
図3に示すように、ドライバーがクラッチレリーズ装置18を操作すると、クラッチレリーズ装置18が内レバー部71を押す。内レバー部71が押されることで、ダイヤフラムスプリング16は弾性変形し、加圧状態S1から解放状態S2に変化する。解放状態S2のダイヤフラムスプリング16に引っ張られたプレッシャプレート15は、係合位置P1から解除位置P2に移動する。
図4に示すように、プレッシャプレート15が解除位置P2に移動すると、プレッシャプレート15がクラッチディスク12のクラッチフェーシング45から離間する。これにより、クラッチディスク12がフライホイール4から離間可能となる。例えば、クラッチフェーシング45の溝を流れる空気がクラッチディスク12を軸方向に押し、クラッチディスク12がフライホイール4から離間する。これにより、クラッチC1が係合解除し、クラッチディスク12とフライホイール4とを切り離す。
プレッシャプレート15が係合位置P1から解除位置P2に移動するとき、押圧プレート62の押圧部62bが加圧部材23の力点部83を押す。力点部83が押されることで、加圧部材23は弾性変形し、加圧状態S3から解放状態S4に変化する。すなわち、係合位置P1から解除位置P2に移動するプレッシャプレート15に押されることで、作用点部82が質量体21のリング76から離間する。これにより、質量体21がクラッチハブ13から離間可能となる。例えば、第2の摩擦面55aの溝を流れる空気が質量体21を軸方向に押し、質量体21が係合位置P3から解除位置P4に移動してクラッチハブ13から離間する。これにより、補助クラッチC2が係合解除し、質量体21とクラッチハブ13とを切り離す。
上述のように、支点部81と作用点部82との間の距離は、支点部81と力点部83との間の距離よりも長い。このため、軸方向において、解除位置P4に位置する質量体21と第2の摩擦面55aとの間の距離L1と、解除位置P4に位置する質量体21と作用点部82との間の距離L2と、の合計は、係合位置P1から解除位置P2に移動したプレッシャプレート15の移動量L3よりも長くなる。言い換えると、プレッシャプレート15の移動量L3に対する質量体21の移動可能量が大きくなる。
図2に示すように、ドライバーがクラッチレリーズ装置18の操作を解除すると、ダイヤフラムスプリング16が加圧状態S1に戻り、プレッシャプレート15を係合位置P1に移動させる。これに伴い、押圧プレート62が加圧部材23から離間し、加圧部材23が加圧状態S3に戻る。加圧状態S3に戻った加圧部材23は、質量体21を係合位置P3に移動させる。これにより、クラッチC1及び補助クラッチC2が再度係合する。
以上説明された第1の実施形態に係る動力伝達機構1において、加圧部材23は、クラッチカバー11に支持される支点部81と、質量体21をクラッチハブ13に押し付ける作用点部82と、係合位置P1から解除位置P2に移動するプレッシャプレート15に押される力点部83と、を有し、力点部83が係合位置P1から解除位置P2に移動するプレッシャプレート15に押されることで、作用点部82が質量体21から離間する。支点部81、作用点部82、及び力点部83の位置を調整することにより、図4のプレッシャプレート15の移動量L3に対する作用点部82の移動量(質量体21の移動可能量L1+L2)と、質量体21を移動可能にするための荷重と、が調整可能となる。例えば、プレッシャプレート15が加圧部材23を押す量に対する作用点部82の移動量を大きくすることで、質量体21がクラッチハブ13からより確実に離間でき、質量体21とクラッチハブ13との接続を確実に遮断できる。また、作用点部82を移動させるためにプレッシャプレート15が加圧部材23に作用させる荷重を小さくすることで、ドライバーがより軽い力で質量体21とクラッチハブ13との接続を遮断できる。このように、本実施形態の動力伝達機構1によれば、質量体21とクラッチハブ13とを係合及び解除させる機構の設計の自由度が向上する。また、ダイヤフラムスプリング16から独立した加圧部材23が質量体21を押すため、ダイヤフラムスプリング16がプレッシャプレート15を押す力の低減を抑制でき、フライホイール4がクラッチディスク12に対して滑る、いわゆる引き摺りが生じることが抑制される。
支点部81と作用点部82との間の距離が、支点部81と力点部83との間の距離よりも長い。これにより、てこの原理で、プレッシャプレート15が力点部83を押す量に比べ、作用点部82が質量体21から離間する量を大きくすることができる。従って、質量体21が加圧部材23及びクラッチハブ13から確実に離間でき、質量体21とクラッチハブ13との接続を確実に遮断できる。
作用点部82は、軸受77を介してディスク75に相対的に回転可能に支持されたリング76に接触する。これにより、加圧部材23が支持されるクラッチカバー11と、ディスク75が押し付けられるクラッチハブ13と、が中心軸Axまわりに相対的に回転した場合に、加圧部材23と質量体21との間に摩擦が生じることが抑制される。従って、摩擦による加圧部材23の損傷が抑制される。
樹脂ブッシュ22が、質量体21とクラッチハブ13とを中心軸Axまわりに相対的に回転可能且つ軸方向に相対的に移動可能に支持する。これにより、質量体21がクラッチハブ13に対して滑らかに周方向に回転するとともに軸方向に移動することが可能となる。
加圧部材23は皿バネである。これにより、加圧部材23の弾性力により質量体21をクラッチハブ13に押し付けることができるとともに、加圧部材23が周方向において略均一に質量体21を押すことができる。これにより、動力伝達機構1のコストの増加が抑制されるとともに、質量体21が中心軸Axに対して傾くことが抑制される。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の(複数の)実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図5は、第2の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。図5に示すように、第2の実施形態において、力点部83は、加圧部材23の内周部である。力点部83は、軸方向において、支点部81よりも質量体21に近い。力点部83は、質量体21から離間する。
第2の実施形態において、作用点部82は、径方向における支点部81と力点部83との間に設けられる。支点部81と作用点部82との間の距離は、支点部81と力点部83との間の距離よりも短い。
作用点部82は、軸方向において、支点部81よりも質量体21に近く、且つ力点部83よりも質量体21に近い。作用点部82は、第1の実施形態と同じく、リング76の接触面76aに接触する。
加圧部材23に、複数の孔91が設けられる。孔91は、径方向において、支持部材32の内周部と、質量体21の外周部との間に設けられる。複数の孔91は、周方向に略等間隔に設けられる。
第2の実施形態において、プレッシャプレート15の押圧プレート62は、取付部62aと、複数の挿通部62cと、複数の延部62dと、複数の引張部62eとを有する。取付部62aは、第1の実施形態と同じく、ボルト63によって摩擦プレート61の取付面61bに取り付けられる。
挿通部62cは、取付部62aから略軸方向に延びる。複数の挿通部62cは、周方向に略等間隔に配置され、加圧部材23の複数の孔91を通される。挿通部62cは、孔91を規定する加圧部材23の縁から離間する。
延部62dは、軸方向において加圧部材23とダイヤフラムスプリング16との間に位置する。延部62dは、挿通部62cから、径方向内側に延びる。別の表現によれば、延部62dは、力点部83に向かって延びる。
引張部62eは、延部62dに接続される。引張部62eの先端部は、軸方向において、質量体21と力点部83との間に位置する。引張部62eの先端部は、力点部83の近傍に位置する。
第2の実施形態の動力伝達機構1では、プレッシャプレート15が係合位置P1から解除位置P2に移動するとき、押圧プレート62の引張部62eが加圧部材23の力点部83を押す(引っ張る)。力点部83が押されることで、加圧部材23は弾性変形し、図5に実線で示す加圧状態S3から二点鎖線で示す解放状態S4に変化する。すなわち、係合位置P1から解除位置P2に移動するプレッシャプレート15に押されることで、作用点部82が質量体21のリング76から離間する。これにより、質量体21が係合位置P3から解除位置P4に移動してクラッチハブ13から離間する。
上述のように、支点部81と作用点部82との間の距離は、支点部81と力点部83との間の距離よりも短い。このため、作用点部82を移動させるためにプレッシャプレート15が加圧部材23に作用させる荷重は、加圧状態S3の加圧部材23が質量体21に作用させる荷重よりも小さくなる。
以上説明された第2の実施形態の動力伝達機構1において、支点部81と作用点部82との間の距離が、支点部81と力点部83との間の距離よりも短い。これにより、作用点部82を質量体21から離間させるためにプレッシャプレート15が力点部83に作用させる荷重をより小さくすることができる。従って、ドライバーがより軽い力で質量体21とクラッチハブ13との接続を遮断できる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
1…動力伝達機構、4…フライホイール、11…クラッチカバー、12…クラッチディスク、13…クラッチハブ、14…ダンパスプリング、15…プレッシャプレート、16…ダイヤフラムスプリング、21…質量体、22…樹脂ブッシュ、23…加圧部材、75…ディスク、76…リング、77…軸受、81…支点部、82…作用点部、83…力点部、Ax…中心軸、P1…係合位置、P2…解除位置。

Claims (5)

  1. フライホイールに取り付けられ、回転中心まわりに回転可能なクラッチカバーと、
    前記クラッチカバーに対して前記回転中心まわりに回転可能且つ軸方向に移動可能なクラッチディスクと、
    前記クラッチディスクに対して前記回転中心まわりに回転可能なクラッチハブと、
    周方向に前記クラッチディスクと前記クラッチハブとの間に位置し、前記クラッチディスクと前記クラッチハブとが相対的に回転することにより圧縮されるスプリングと、
    前記クラッチディスクを前記フライホイールに押し付ける第1の位置と、前記クラッチディスクから離間する第2の位置と、に移動可能なプレッシャプレートと、
    前記プレッシャプレートを前記第1の位置へ付勢するダイヤフラムスプリングと、
    前記クラッチハブに対して前記回転中心まわりに回転可能且つ前記軸方向に移動可能な質量体と、
    前記クラッチカバーに支持される支点部と、前記質量体を前記クラッチハブに回転を伝達可能に押し付ける作用点部と、前記第1の位置から前記第2の位置に移動する前記プレッシャプレートに押される力点部と、を有し、前記力点部が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する前記プレッシャプレートに押されることで前記作用点部が前記質量体から離間する、加圧部材と、
    を具備する動力伝達機構。
  2. 前記支点部と前記作用点部との間の距離が、前記支点部と前記力点部との間の距離よりも長い、請求項1の動力伝達機構。
  3. 前記支点部と前記作用点部との間の距離が、前記支点部と前記力点部との間の距離よりも短い、請求項1の動力伝達機構。
  4. 前記質量体は、前記クラッチハブに押し付けられる第1の部材と、前記加圧部材の前記作用点部に接触する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在するとともに前記第1の部材と前記第2の部材とを前記回転中心まわりに相対的に回転可能に支持する軸受と、を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの動力伝達機構。
  5. 前記質量体と前記クラッチハブとの間に介在し、前記質量体と前記クラッチハブとを前記回転中心まわりに相対的に回転可能且つ前記軸方向に相対的に移動可能に支持する、樹脂ブッシュ、をさらに具備する請求項1乃至請求項4のいずれか一つの動力伝達機構。
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