以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る樹脂成形装置10について図面を参照して説明する。図1および図2は、それぞれ樹脂成形装置10の初期状態および成形後状態の概略構成図(一部断面図)である。樹脂成形装置10は、長尺のロール状のリリースフィルムF(ロールフィルム)を用いる圧縮成形タイプであり、ワークW(例えば部品が搭載された基板)に対して樹脂Rを用いて樹脂成形(モールド成形)を行う。
樹脂成形装置10は、対をなす上型21および下型22(一方および他方の金型)を有する成形金型20を備える。成形金型20は、公知のプレス機構によって型開閉可能であり、上型21と下型22とが接離動する。また、成形金型20は、上型21がキャビティC(キャビティ凹部)を備え、型開きの状態ではキャビティCが開放され、型閉じの状態ではキャビティCが閉塞される。また、成形金型20は、公知の内蔵ヒータによって加熱され、キャビティCに供給、又は充填がされた樹脂Rに熱を加えることで樹脂成形を行う。また、成形金型20は、上型21の金型面21aにリリースフィルムFが供給され、下型22の金型面22aにワークWが供給される。
上型21は、キャビティ駒23と、クランパ24と、ベース25とを備え、これら金型ブロックが組み付けられて構成される。クランパ24には厚み方向に貫通孔が形成されている。この貫通孔にキャビティ駒23が挿入された状態で、キャビティ駒23がベース25に固定して支持される。これにより、上型21では、キャビティCがキャビティ駒23の下面およびクランパ24の内周面で囲まれた領域として構成される。また、成形金型20は、クランパ24とベース25との間に設けられる弾性部材26(例えばバネ)を備える。この弾性部材26を介してクランパ24はベース25に組み付けられ、型開閉方向に進退動可能に構成される。
また、成形金型20は、クランパ24の内周面とキャビティ駒23の外周面との間に設けられるシール部材27(例えばOリング)を備える。また、成形金型20は、成形金型20の外部と内部(キャビティCを含む)とを通じるようにクランパ24に設けられるエア路28、29を備える。エア路28、29の金型外部側には、図示しない吸引装置(例えば真空ポンプ)が接続される。これにより、上型21の金型面21aをリリースフィルムFで覆う際には、エア路28(内周側)、エア路29(外周側)を介してリリースフィルムFを吸着することができる。
また、成形金型20は、下型22の金型面22aに設けられるシール部材30(例えばOリング)を備える。また、成形金型20は、成形金型20の外部と内部とを通じるように下型22に設けられるエア路31を備える。エア路31の金型外部側には、図示しない吸引装置(例えば真空ポンプ)が接続される。これにより、型閉じの状態では、上型21と下型22との間でシール部材30が潰されて密閉された金型内部をエア路31からエア吸引することで減圧(真空)状態とすることができる。
また、成形金型20は、成形金型20の外部と金型面22aとを通じるように下型22に設けられるエア路32を備える。エア路32の金型外部側には、図示しない吸引装置(例えば真空ポンプ)が接続される。これにより、下型22の金型面22aにワークWをセット(供給)する際には、エア路32を介してワークWを吸着することができる。
また、樹脂成形装置10は、成形金型20の両側に位置するように設けられ、ロール状のリリースフィルムFを金型内部へ搬送(供給)するフィルムローダハンド40(フィルム搬送装置)を備える。フィルムローダハンド40は、樹脂成形装置10が備える制御部41によって制御される。制御部41は、CPUと、ROM、RAMなどのメモリとを備え、メモリに記録された制御プログラムに基づいてCPUによって制御動作を実行し、フィルムローダハンド40を含む樹脂成形装置10全体を制御する。
本実施形態では、リリースフィルムFは、樹脂成形後に成形金型20から容易に剥離するものであって、耐熱性、柔軟性、伸展性を有するフィルム材から構成されるものが用いられる。リリースフィルムFとしては、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジンなどが好適に用いられる。
また、フィルムローダハンド40は、巻出部50と、巻取部60とを備え、巻出部50から巻取部60へリリースフィルムFを搬送する。この際、巻出部50と巻取部60との間に配置される成形金型20にリリースフィルムFが供給される。すなわち、図1及び図2に示すように、巻出部50から送り出された未使用のリリースフィルムFが型開きした成形金型20に供給され、成形金型20を経て使用済みのリリースフィルムFが巻取部60で巻き取られる。なお、図1に示す巻取部60では、リリースフィルムFが巻き取られていない状態(使用前の状態)を示している。図2に示す巻取部60では、成形時に形成された凹凸などの皺のある状態で巻き取られたリリースフィルムFを示している。
巻出部50は、リリースフィルムFが巻き出される巻出軸51と、リリースフィルムFの送出し量(移送量)を測るメジャーロール52と、リリースフィルムFをガイドするガイドローラ53とを備える。また、巻取部60は、リリースフィルムFが巻き取られる巻取軸61と、リリースフィルムFを送るロール62と、リリースフィルムFをガイドするガイドローラ63とを備えて構成される。フィルムローダハンド40では、リリースフィルムFの搬送上流から下流の順に、巻出軸51、メジャーロール52、ガイドローラ53、ガイドローラ63、ロール62、巻取軸61が設けられ、巻出軸51と巻取軸61との間でリリースフィルムFが掛け渡される。図1に示す初期状態では、未使用のリリースフィルムFが巻出軸51に取り付けられ、巻取軸61にリリースフィルムFの先端が取り付けられている。
また、フィルムローダハンド40は、巻出軸51に設けられ、巻出軸51を回転させる巻出サーボモータ54と、メジャーロール52に設けられるエンコーダ55とを備える。巻出サーボモータ54と制御部41との間では、データの送受信が行われる。また、エンコーダ55は、巻出軸51からメジャーロール52を介して送り出されるリリースフィルムFの送出し量(回転数)を測定するのに用いられる。エンコーダ55から制御部41へデータの送信が行われる。これにより、フィルムローダハンド40では、制御部41の制御下で、リリースフィルムFの搬送状態を制御することができる。なお、エンコーダ55は、巻出サーボモータ54と同様のサーボモータを用いて、これに内蔵されるエンコーダを用いてもよい。
また、フィルムローダハンド40は、巻取軸61に設けられて巻取軸61を回転させる巻取サーボモータ64を備える。巻取サーボモータ64と制御部41との間では、データの送受信が行われる。また、フィルムローダハンド40では、巻取サーボモータ64によって巻取軸61のトルクが制御される。なお、制御部41によってリリースフィルムFの搬送状態を制御するが、リリースフィルムFにテンションを掛ける際には、巻取軸61を停止(固定)させた状態で巻出軸51を逆回転させる。
リリースフィルムFの送出し量は、メジャーロール52の径とメジャーロール52の回転数から求められる。そして、フィルムローダハンド40では、エンコーダ55において測定された送出し量を基に巻出サーボモータ54(制御部41)によって巻出軸51のトルクが制御される。例えば、巻出軸51に同じ力(電流値)を加えて回転させたとしても、リリースフィルムFの径によってリリースフィルムFにテンションをかけるトルクが異なるため、巻出サーボモータ54(制御部41)によって制御される。
所定の動作時点における巻出軸51におけるリリースフィルムFの径は、例えば、未使用のリリースフィルムFの外径と、送り出されたリリースフィルムFの総量と、リリースフィルムFの厚みとに基づいて算出可能である。具体的には、初期状態における未使用のリリースフィルムFの外径から、既に送り出された分のリリースフィルムFの厚みを差し引いて求めることができる。ここで、既に送り出された分のリリースフィルムFの厚みは、送り出されたリリースフィルムFの総量(距離)と、リリースフィルムFの厚みから求められる。なお、本実施形態において例示する各々の値の算出等は、必ずしも直接的に算出等をする必要は無い。このため、例えば制御における過程における計算式として組み込まれたり、その思想を個別の制御の過程で実質的に利用していればよい。
また、リリースフィルムFを含む巻出軸51の径の算出方法としては、所定量のリリースフィルムFを送り出した際におけるリリースフィルムFを含めた巻出軸51の回転量と、メジャーロール52の回転量との比率により算出することも可能である。この場合、この回転量の比率の逆数と、メジャーロール52の外径(固定値)との積として、リリースフィルムFを含めた巻出軸51の外径が算出される。これらに例示される手法を含めた任意の手法により求められた巻出軸51(リリースフィルムFを含む)の外径の大きさを参照してトルクが制御される。
また、フィルムローダハンド40は、リリースフィルムFを案内するガイドローラ53、63と、これらが取り付けられると共に制御部41によって動作が制御される進退機構56、66(例えばシリンダ)とを備える。ガイドローラ53は、フィルム搬送上流側(巻出側)の上型21の近傍に設けられ、リリースフィルムFが掛け回される。他方、ガイドローラ63は、フィルム搬送下流側(巻取側)の上型21の近傍に設けられ、リリースフィルムFが掛け回される。ガイドローラ53、63は、進退機構56、66によって上型21の金型面21aと直交する方向(同図の上下方向)に進退動可能に構成されている。
これにより、進退機構56、66は、フィルム供給工程ではガイドローラ53、63を下降させて、リリースフィルムFを金型面21aから離間する位置に移動させることができる。他方、進退機構56、66は、モールド工程ではガイドローラ53、63を上昇させて、リリースフィルムFを金型面21aに近接する位置に移動させることができる。すなわち、進退機構56、66を連動して動作させることにより、ガイドローラ53、63によってガイドされるリリースフィルムFの上下位置制御が行われる。このようにして樹脂成形装置10ではフィルムローダハンド40におけるリリースフィルムFの保持位置を制御している。
次に、本実施形態に係る樹脂成形装置10を用いた樹脂成形方法(動作方法)について、図面を参照して説明する。図3は、樹脂成形装置10の概略フロー図であり、図4は、モールド工程の概略フロー図である。図5〜図8は、樹脂成形工程の説明図である。
樹脂成形装置10では、成形処理としてワークWの部品をモールド成形するモールド工程が行われる(ステップS100)。これに先立ち、図1に示したように、ガイドローラ53、63を下降させて、これらに案内されるリリースフィルムFを金型面21aから離間する位置に移動させておく。そして、巻出サーボモータ54および巻取サーボモータ64を用いて、巻出軸51と巻取軸61との間で掛け渡されているリリースフィルムFの未使用部分を型開きした成形金型20の内部に搬送、供給しておく。
モールド工程では、図1に示すように、成形金型20が型開きした状態において、下型22の金型面22aにワークWをセットする(ステップS110)。ワークWは、エア路32からの吸引により金型面22aに吸着保持される。予めワークW上に樹脂R(例えば、液状樹脂、顆粒樹脂など)をセットしておけば、ワークWと共に樹脂Rも成形金型20の内部にセット(供給)される。
続いて、図5に示すように、リリースフィルムFを上型21の金型面21aに吸着する(ステップS120)。ここでは、ガイドローラ53、63を上昇させて、リリースフィルムFを金型面21aに近接する位置に移動させておく。このとき、リリースフィルムFは、エア路28、29からの吸引によりキャビティCの内面を含む金型面21aに沿って吸着保持される。すなわち、キャビティCの内面を含む金型面21aはリリースフィルムFによって覆われる。
続いて、成形金型20の型閉じを行う(ステップS130)。ここでは、上型21と下型22とを近づけていき、下型22の金型面22aにあるシール部材30を上型21の金型面21aに当接(シールタッチ)させる。これに先立ちエア路31から吸引しておくことで、成形金型20の内部が密閉されると同時に減圧が開始される。更に、上型21と下型22とを近づけていくことで、上型21と下型22とでワークWがクランプされる。これにより、キャビティCの開口部がワークWで閉鎖され、キャビティC内にワークWの部品および樹脂Rが収容される。
続いて、図6に示すように、モールド成形を行う(ステップS140)。ここでは、更に、上型21と下型22とを近づけて弾性部材26を押し縮めていき、リリースフィルムFを金型面21aに吸着させた状態で、キャビティC内の樹脂Rを充填、圧縮させた後、所定時間加熱して樹脂Rを硬化させる。これにより、ワークWの部品が樹脂R(樹脂成形部)でモールド成形される。
続いて、図7に示すように、ワークW(成形品)を離型する際に、リリースフィルムFの吸着の解除を行い(ステップS150)、型開きを行う(ステップS160)。ここでは、エア路28、29からの吸引を停止してリリースフィルムFの吸着を解除し、上型21と下型22とを遠ざけていく。このような吸着状態の制御により、リリースフィルムFの剥離の円滑化を図り、リリースフィルムFの負担を低減し、破損を防止することができる。また、ガイドローラ53、63を上昇させたままにしておくことで、リリースフィルムFを金型面21aに近接させた状態とすることができる。
続いて、図8に示すように、更に、上型21と下型22とを遠ざけることで、ワークWからのリリースフィルムFの剥離が完了する。樹脂成形の際にキャビティCの内面を含む金型面21aをリリースフィルムFで覆っておくことで、金型面21aへの樹脂Rの接触を防止してキャビティCから離型を促進することができる。また、ガイドローラ53、63を上昇させたままにしているため、ワークWから剥離したリリースフィルムFを金型面21aに近接させた状態とすることができる。その後、エア路32からの吸引を停止してワークWの吸着を解除し、図示しないワーク搬送装置(アンローダ)によってワークWが金型外部へ搬出される。
このようにモールド工程(ステップS100)が終了した後、制御部41によってリリースフィルムFが再使用できるか否かの判断がなされる(ステップS200)。リリースフィルムFの再利用の判断基準は、任意に設定できるが、例えば、リリースフィルムFの再利用が所定回数に達したか否かで行うことができる。具体的には、リリースフィルムFが一回のモールド工程に使用されただけであれば、再使用できるものと判断して、二回目のモールド工程が行われる。また、リリースフィルムFの再利用の判断方法として、リリースフィルムFの表面状態を撮像し、画像処理をしたうえで凹凸の形状(皺の量や深さ)などを算出したり、変位計(例えばレーザ変位計)で測定したりして、その値に基づいて再使用の適否を判断することもできる。また、モールド工程の使用回数に応じてリリースフィルムFの伸びが増大するときには、リリースフィルムFの伸び量に応じて、再使用の適否を判断することもできる。この場合、リリースフィルムFの伸びを矯正するために付加したテンションの大きさや巻取り量などに応じて、再使用の適否を判断することもできる。
リリースフィルムFの再使用が可能な場合は、そのままリリースフィルムFで金型面21aを覆い、型閉じして樹脂成形を行った後、型開きして成形品を離型させる上述の動作を繰り返す。この場合、離型後のリリースフィルムFにはキャビティCなどの凹凸に吸着することで生じる皺が残った状態となる。そこで、本実施形態では、リリースフィルムFの繰り返し使用の間において、ガイドローラ53、63を金型面21aにリリースフィルムFが接するように上昇させたままにしておく。これにより、金型面21aとリリースフィルムFとが接していることで、相対的にこれらをズレ難くすることができる。
この場合、例えば複数回のモールド成形において金型面21aとリリースフィルムFとのズレが生じたときには、キャビティCの形状に応じた凹凸が形成されたリリースフィルムFが、金型面21aにおいてキャビティCからズレた位置に配置されることになり不具合を招くおそれがある。具体的には、平坦でないリリースフィルムFをクランプすることで適切にクランプをすることができず、樹脂Rの漏れが生じるおそれがある。また、樹脂Rで成形された成形部分においてリリースフィルムFの凹凸が転写されて成形不良となることも考えられる。
図7では、型開きした場合であっても、ガイドローラ53、63を上昇させたままにし、金型面21aの端にリリースフィルムFが接している状態を示す。仮に、ガイドローラ53、63を下降させて金型面21aからリリースフィルムF全体を離間させてしまうと、次のモールド工程でリリースフィルムFを再利用する際にズレが起きてしまう。このため、リリースフィルムFを複数回使用する間は、ガイドローラ53、63を上昇させた状態を保持することで、リリースフィルムFのズレを防止することができる。
また、リリースフィルムFの複数回使用の間において、ワークW(成形品)を離型した後リリースフィルムFを吸着する前において、巻取サーボモータ64によって巻取軸61を固定(停止)する。また、巻出サーボモータ54によって巻出軸51を所定トルクにて制御し、リリースフィルムFに所定のテンションを付与する。ここで、所定のテンションの付与においては、リリースフィルムFを含む巻出軸51の外径を用いたトルク制御を行うことで、トルク制御を正確に行うことができる。
例えば、仮に巻取軸61における使用済みのリリースフィルムFの外径を用いたトルク制御を行おうとしたときには、使用済みのリリースフィルムFは成形時に形成された皺のある状態で巻き取られている。このため、使用済みのリリースフィルムFを巻き取った巻取軸61の外形を正確に算出することは困難であり、また、巻取軸61に付加した力を適切に伝達することが困難となるからである。これに対し、巻出軸51における未使用のリリースフィルムFの径の大きさは送出し量とリリースフィルムFの厚みで正確に把握することができ、さらに、巻出軸51に付加した力をリリースフィルムFに適切に伝達することができる。このため、トルク制御を正確に行うことができ、リリースフィルムFに所定のテンションを適切に付加することができる。したがって、例えばテンションが過大になったり過小となることで、位置がズレてしまうようなことはなく、リリースフィルムFの移動によるズレを確実に防止することができる。なお、リリースフィルムFの位置ズレが問題になりにくいときにはリリースフィルムFにテンションを付加する際に、巻取サーボモータ64によって巻取軸61のトルクを制御してもよい。また、巻出軸51と巻取軸61の両方でトルクを制御してもよい。
他方、ステップS200での判断において、モールド工程が繰り返されて、リリースフィルムFが所定回数使用されたのであれば、再使用不適であると判断される。この場合、フィルム供給工程(ステップS300、S400、S500)によって型開きした後で未使用部分のリリースフィルムFが供給された後に、モールド工程が再開される。
未使用部分のリリースフィルムFを供給するには、まず、リリースフィルムFを送り位置に移動する(ステップS300)。具体的には、型開きした状態において、進退機構56、66によって、ガイドローラ53、63を下降させて、これらに案内されるリリースフィルムFを金型面21aから離間する送り位置に移動させる。
次いで、リリースフィルムFを送出し(ステップS400)、リリースフィルムFを吸着位置に移動する(ステップS500)。具体的には、巻取サーボモータ64によって巻取軸61を回転させてリリースフィルムFを巻取軸61に巻き取ると共に、巻出サーボモータ54によって巻出軸51を回転させてリリースフィルムFを送り出す。このとき、エンコーダ55によって送出し量が測定されるので、キャビティCに対向する吸着位置にまで未使用部分のリリースフィルムFを移動させることができる。未使用部分のリリースフィルムFが供給された後は、モールド工程が再開される。
このように、リリースフィルムFを複数回使用することでモールド工程におけるリリースフィルムFの使用量が減るため、ワークW(成形品)の製造ランニングコストを削減することができる。また、リリースフィルムFを複数回使用している間は、ガイドローラ53、63を下降させずにリリースフィルムFを金型面21aに接触させた位置で保持するため、リリースフィルムFのズレを防止することができる。しかしながら、ガイドローラ53、63を下降させずに、リリースフィルムFを吸着したまま型開きして成形品を離型させようとすると、リリースフィルムFに負担がかかってしまう。そこで、離型時にはリリースフィルムFの吸着を解除することで、リリースフィルムFの剥離の円滑化を図り、負担を軽減してリリースフィルムFが破損してしまうのを防止することができる。更に、成形品を離型した後リリースフィルムFを吸着する前において、巻取軸61を固定とし、巻出軸51を所定トルクにて制御することで、リリースフィルムFのズレを確実に防止することができる。
また、本発明におけるリリースフィルムFを複数回使用する効果は、金型の盤面が大きくなればなるほど効果が高くなる。本実施形態では、ワークWとしていわゆる基板を適用する場合について説明したが、一般的な基板より盤面が大きい8インチや12インチといった大判のウェハやキャリアなどの円形ワークを用いるWLP(Wafer Level Package)や、1辺の長さが300mmを超えるような大判のパネルをワークとして用いるLPM(Large Panel Molding)などに適用することで、リリースフィルムFの使用量の削減効果は大きく、製造ランニングコストの削減効果が高くなる。
以上、本実施形態では、図1などに示したように、キャビティCが上型21に設けられた樹脂成形装置10の場合について説明した。これに限らず、図9に示すように、構成を上下逆にして下型22にキャビティCを設け、これにリリースフィルムFを供給(吸着保持)する場合の樹脂成形装置10Aにも適用することができる。前述した樹脂成形装置10に対して同図に示す樹脂成形装置10Aでは、型開きした状態で上型21にワークWが吸着して保持され、下型22のキャビティC内に樹脂Rが供給されて樹脂成形される。樹脂成形装置10Aでは、その他の成形処理工程(図3、図4など)が同様に行われるため、樹脂成形装置10と同様の作用効果を有する。
また、上述の実施形態では、図1などに示したように、圧縮成形タイプの樹脂成形装置10の場合について説明した。これに限らず、図10に示すように、ポット70、プランジャ71、カル72およびランナゲート73を備えるトランスファ成形タイプの樹脂成形装置10Bにも本発明を適用することができる。樹脂成形装置10Bでは、型開きした状態でポット70内に樹脂Rが供給され、下型22の金型面22a(セット部)にワークWが吸着して保持される。また、樹脂成形装置10Bでは、型開きした状態でキャビティC、カル72およびランナゲート73を含む上型21の金型面21aを覆うようにリリースフィルムFが供給され吸着保持される。そして、樹脂成形装置10Bでは、型閉じした状態でポット70内のプランジャ71によって樹脂Rが押圧され、カル72、ランナゲート73を介してキャビティCへ供給されて樹脂成形される。樹脂成形装置10Bでは、その他の成形処理工程(図3、図4など)が同様に行われるため、樹脂成形装置10と同様の作用効果を有する。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るフィルム搬送装置80を備える樹脂成形装置10Cを用いた樹脂成形方法(動作方法)について、図面を参照して説明する。図11〜図31は、樹脂成形工程の説明図である。前記実施形態1ではリリースフィルムFとしてロールフィルムを直接用いた場合について説明したが、本実施形態では長尺のフィルムを巻き付けたロールフィルムから例えば、円形状、矩形状などに切り出して準備した枚葉フィルムを樹脂成形に複数回用いる場合について説明する。
図11に示すように、フィルム搬送装置80は、ステージ81と、一対のリング82(保持具)と、ロール状のリリースフィルムFと、引き出し装置(図示せず)と、を備える。ここでは、ステージ81上に一方のリング82がセットされ、その上方を通過するように引き出し装置によってリリースフィルムFが引き出される。引き出されたリリースフィルムFを他方のリング82によって押さえ付けるようにして、一方および他方のリング82で挟み込む(図12)。このリング82としては、例えば、切断されることで準備される枚葉リリースフィルムFの外周において重ね合わせることで、リリースフィルムFを挟み込んで保持可能なように、枚葉リリースフィルムFの外周領域を囲うような円環状または矩形環状等の環状に構成される。
具体的には、図12に示すリリースフィルムFが引き出された側面方向と直交する正面方向から視た図である図13に示すように、リリースフィルムFの引き出し方向と平行な辺(リリースフィルムFの帯の縁側の辺)において、上下のリング82同士が連結して固定可能に構成されているのが好ましい。換言すれば、リング82はリリースフィルムFの幅よりも大きく構成されて、リリースフィルムFを挟み込まない位置においてリング82同士を連結可能に構成される構成とするのが好ましい。このため、リリースフィルムFに対するリング82の大きさは、リリースフィルムFの引き出し方向においては、枚葉リリースフィルムFよりも小さく、この方向に直交する方向においては、枚葉リリースフィルムFよりも大きくすることができる。このような構成によれば、リング82はリリースフィルムFを挟み込んで保持した状態で切断することができる。
続いて、図12に示すように、フィルム搬送装置80が備える切断具83によって、リング82の外側でリリースフィルムFを切断する。リリースフィルムFの切断の際には、リング82をステージ81に吸着保持することもできる。切断されたリリースフィルムFは枚葉となる(枚葉フィルム)。リング82は、リリースフィルムFにテンションが付与されるようにリリースフィルムFの外周部を保持する。なお、リリースフィルムFの外周部を保持する保持具としては、リング82を用いることに限らない。例えば、リリースフィルムFの外周部を部分的に挟んで保持する複数個のクリップを用いることもできる。一例として、矩形のリリースフィルムFを用いる場合には、その四辺のそれぞれを上下から挟み込むクリップ状の保持具を四辺に、1個ずつ若しくは複数個ずつそれぞれ設けることができる。
続いて、図13に示すように、リング82を介してリリースフィルムFを保持するため、フィルム搬送装置80が備える搬送治具84をステージ81の上方まで移動させる。続いて、図14に示すように、下降させた搬送治具84でリング82(リリースフィルムF)を保持する(図14)。搬送治具84は、リング82の内側にあるリリースフィルムFを押さえ付ける押さえ部85を備えて中央部が貫通した枠状に構成される。また、搬送治具84は、リング82を保持し、押さえ部85の押さえ方向(図中、下方向)とは反対方向(上方向)へリング82を移動させる可動保持部86を備える。例えば、可動保持部86は、リング82を挟んで保持する爪部86a(チャック部)がラチェット機構によって移動するよう構成されている。このラチェット機構は、一定角度の範囲内においては、一方向のみに回転可能に構成されることで、任意の高さで保持可能な機構である。
続いて、図15に示すように、リング82で保持されているリリースフィルムFにテンションを付与する。例えば、可動保持部86は、フィルム搬送装置80が備えるシリンダ90(第1可動部)によって可動される。このシリンダ90は、ステージ81の周囲に昇降可能に設けられている。このシリンダ90によってリング82を保持する爪部86aが押し上げられることで、リング82が保持するリリースフィルムFの外周部が上方向に押し上げられる。このときリリースフィルムFの中央部は搬送治具84の押さえ部85によって押さえ付けられたままの状態で、リリースフィルムFの外周部が引っ張られるので、リリースフィルムFにテンションが付与される。また、可動保持部86が備えるラチェット機構によれば、押さえ部85によってリリースフィルムFが押さえ付けても、爪部86aの移動を上方向(一方向)のみとなるように制限し、リリースフィルムFにテンションを付与することができる。
続いて、図16に示すように、テンションが付与されたリリースフィルムF上に樹脂R(例えば、液状樹脂、顆粒樹脂など)を供給する。搬送治具84の中央部が貫通しているので、ここからリリースフィルムF上に樹脂Rを供給することができる。この際、リリースフィルムFにはテンションが付与されているので、樹脂Rの重みでリリースフィルムFが撓んで樹脂RがリリースフィルムFの中心に寄ってしまうのを防止することができる。
続いて、図17に示すように、樹脂成形装置10Cが備える成形金型20の内部にリリースフィルムFを搬入する。具体的には、型開きした成形金型20(上型21と下型22とが離れている)の内部に、搬送治具84によってリリースフィルムFにテンションが付与された状態でリング82と共にリリースフィルムFを搬入する。樹脂成形装置10Cの成形金型20は、図9と同様に下型22にキャビティCが設けられている。後述するが、キャビティCの内面を含む下型22の金型面22aがリリースフィルムFで覆われる。また、ワークWは、エア路32を介して上型21の金型面21aに吸着保持される。
ところで、樹脂成形装置10Cは、図18に示すように、成形金型20の周囲に設けられ、搬送治具84の可動保持部86を可動させるシリンダ91(第2可動部)を備えている。シリンダ91は、成形金型20の下型22の周囲に昇降可能に設けられており、シリンダ90と同様にリング82を保持する爪部86aを押し上げることができる。このような樹脂成形装置10Cにより、下型22の金型面22a(クランパ24の上面)にリリースフィルムFをセットする。具体的には、シリンダ91によって、搬送治具84の可動保持部86を可動させてリリースフィルムFにテンションを付加する。この場合、適切なテンションを付加しないと、リリースフィルムFが下型22のヒータによって加熱されることで伸びが生じて弛んでしまい、樹脂Rの偏りが生じてしまう。これに対して、シリンダ91の動作によりリリースフィルムFにテンションを適切に付加することで、このような問題が発生するのを防止できる。次いで、搬送治具84の押さえ部85によってリリースフィルムFを金型面22aに押し付ける。
続いて、図19(上型21は不図示)に示すように、エア路28、29を介してキャビティCの内面を含む金型面22aを覆うようにリリースフィルムFを吸着する。このとき、リリースフィルムFは金型面22aに倣って吸い付けられ、金型面22aにおいてキャビティCの内面に沿ってリリースフィルムFがセットされることとなる。また、リリースフィルムF上には樹脂Rがセットされているので、そのままキャビティC内に樹脂Rがセットされることとなる。
ところで、樹脂成形装置10Cの下型22は、下型22の金型面22a(クランパ24の上面)に設けられ、保持具であるリング82を設置するためのポケット92(窪み部)を備える。この保持具であるリング82を設置するための構造としては、下型22上に必ずしも設ける必要は無く、成形金型20の外周に専用の部材を設けることもできる。
また、下型22は、リング82を係止する機構を備える。例えば、成形金型20の外部と内部とを通じるようにクランパ24に設けられるエア路93としてリング82を係止する機構を備える。エア路93の金型外部側には、図示しない吸引装置(例えば真空ポンプ)が接続される。このため、リリースフィルムFを吸着する際には、リリースフィルムFの外周部を保持するリング82がポケット92に収納され、エア路93を介して吸引されるので吸着(保持)される。このとき、搬送治具84の可動保持部86の保持を解除することにより、リング82は解放される。このように、リリースフィルムFを保持したリング82を成形金型20に残すように搬入することで、リリースフィルムFを正確な位置にセットすることができる。後述するように、樹脂成形後にステージ81でテンションを付与し直して再度成形金型20にリリースフィルムFをセットすることになるが、このように位置を合わせることができるのでズレを防止してリリースフィルムFを樹脂成形に複数回用いることができる。
なお、保持具であるリング82を成形金型20に係止するための機構としては、上述した吸着機構のみならずその他の機構を採用することもできる。例えば、揺動する爪状部材のような係合構造やキー溝係合構造といったその他の係止機構を用いることもできる。
続いて、図20に示すように、搬送治具84を退避させる。このとき、リング82が搬送治具84の可動保持部86から解放されているので、リリースフィルムFは下型22の金型面22aに吸着保持されたまままである。
続いて、図21に示すように、上型21と下型22とを近づけ成形金型20を型閉じする。ところで、樹脂成形装置10Cの上型21は、金型面21aに設けられる逃げ部94(窪み部)を備える。型閉じの際に上型21では逃げ部94によってリング82が収納される。
続いて、図22に示すように、モールド成形を行う。ここでは、更に、上型21と下型22とを近づけて弾性部材26を押し縮めていき、キャビティC内の樹脂Rを圧縮した後、所定時間加熱して樹脂Rを硬化させる。これにより、ワークWが樹脂Rでモールド成形される。
続いて、図23に示すように、上型21と下型22とを遠ざけて成形金型20を型開きしてキャビティCからワークW(成形品)を離型させる。このとき、リング82の吸着を維持したまま、リリースフィルムFの吸着の解除を行う。この場合、図1に示すようなフィルムローダハンド40(具体的には、巻出軸51や巻取軸61)を設けなくても、リリースフィルムFを成形品から円滑に引き剥がすことができる。具体的には、ワークWが保持される上型21とは反対側の下型22においてリリースフィルムFの外周で保持しているため、フィルムローダハンド40と同様に下型22の外周でリリースフィルムFを引っ張ることができ、図7に示すようにリリースフィルムFを成形品から引き剥がすことができる。このように、簡易な構成でありながら、リリースフィルムFが成形品に貼り付いた状態で離型がされてしまうことを防止し、リリースフィルムFの剥離の円滑化を図ることができる。
続いて、図24に示すように、更に、上型21と下型22とを遠ざけることで、ワークWからのリリースフィルムFの剥離が完了する。キャビティCの内面を含む金型面22aをリリースフィルムFで覆っていることで金型面22aへの樹脂Rの接触を防止してキャビティCから離型を促進することができる。しかしながら、ワークWから剥離されたリリースフィルムFは伸ばされて皺のある状態となる。
続いて、図25に示すように、型開きした成形金型20の内部に搬送治具84を搬入する。続いて、図26(上型21は不図示)に示すように、下降させた搬送治具84でリング82(リリースフィルムF)を保持する。続いて、図27(上型21は不図示)に示すように、搬送治具84によって型開きした成形金型20からリング82と共に使用されたリリースフィルムFを取り出す。本実施形態では、樹脂成形する際にリリースフィルムFを保持するリング82を成形金型20に残しているので、樹脂成形後に搬送治具84によってリング82を保持して取り出すことができる。例えば、リリースフィルムFを保持するリング82を用いない構成を想定した場合には、加熱され変形したリリースフィルムFにおいて当初保持していた位置で保持しなおすのは困難である。しかしながら、リング82でリリースフィルムFを保持しているため、リリースフィルムFの変形によらず確実に同じ位置を保持して搬送することができる。
続いて、成形金型20から搬出された搬送治具84を、図28に示すように、ステージ81の上方に搬入する。続いて、図29に示すように、搬送治具84をステージ81側へ下降させて、リング82と共に使用されたリリースフィルムFをステージ81にセットする。
続いて、図30に示すように、使用されたリリースフィルムFにテンションを付与し直す。具体的には、図15を参照して説明したリリースフィルムFにテンションを付加するよりも強くリリースフィルムFを引っ張る。すなわち、シリンダ90によってリング82を保持する爪部86aをより高い位置まで押し上げ、リング82が保持するリリースフィルムFの外周部をより高い位置まで押し上げる。これにより、凹凸を有する成形金型20内で加熱加圧されることで伸びが生じたリリースフィルムFに対してより強く引き伸ばすことで、例えば図15に示すような状態と同様なテンションをリリースフィルムFに付与することができる。
続いて、図31に示すように、テンションが付与し直されたリリースフィルムF上に樹脂R(例えば、液状樹脂、顆粒樹脂など)を供給する。この際に、既に1回以上のモールド成形に使用されたリリースフィルムFであっても適切にテンションが付与されているので、樹脂Rが供給された際の弛みを防止し、樹脂RがリリースフィルムFの中心に寄ってしまうのを防止することができる。その後、使用されたリリースフィルムFを用いて、図17〜図31を参照して説明した工程を順に所定回数となるまで繰り返す。この工程において、図17から図18に亘って示すフィルムセットの工程において、リング82(保持具)で保持したリリースフィルムFを用いているため、リリースフィルムFのズレを防止して、リリースフィルムFの同じ部分で複数回モールド成形することができる。これによれば、上述したような成形不具合の発生を防止することができる。
続いて、上述の工程を順に所定回数となるまで繰り返した後、使用後のリリースフィルムFを廃棄し、図11以降に示すリリースフィルムFを準備する工程を含めて工程を繰り返すことにより、リリースフィルムFを複数回のモールド成形に使用することができる。以上説明したとおり、枚葉のリリースフィルムFを用いる本実施形態においても複数回のモールド成形に使用することができ、ワークW(成形品)の製造ランニングコストを削減することができる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記実施形態では、リリースフィルムを複数回用いる場合について説明した。これに限らず、1回の樹脂成形動作ごとに皺のない未使用部分のリリースフィルムを供給する場合にも適用することができる。
なお、一対のリング82のような保持具を用いずに、枚葉のリリースフィルムFを用いて複数回のモールド成形可能な樹脂成形装置としてもよい。この場合、例えばリリースフィルムFと樹脂Rとを成形金型20に供給してワークWをモールド成形する樹脂成形装置が、成形金型20の形状に応じた枚葉のリリースフィルムFを準備するフィルム準備部と、準備した枚葉のリリースフィルムFを成形金型20に供給するフィルム供給部と、成形金型20を備えると共に供給された枚葉のリリースフィルムFを用いて複数回のモールド成形するプレス部とを備える構成とすることもできる。
この場合、枚葉のリリースフィルムFを準備する装置(フィルム準備部)としては、図12に示すように、長尺のリリースフィルムFが巻きつけられたロールフィルムから引き出し、切断具83によって切り出す構成とすることができる。なお、枚葉のリリースフィルムFは、当該形状の枚葉のリリースフィルムFを複数積み重ねて供給できる場合のように、切り出す必要がない場合などにおいては、必ずしも切り出して準備する必要はない。
また、このように準備した枚葉のリリースフィルムFを成形金型20に供給するフィルム供給部としては、図13に示すような搬送治具84で枚葉のリリースフィルムFの外周を保持する。リリースフィルムFの外周を保持する構成としては、リリースフィルムFの外周をその外側から挟み込むような構成としてもよいし、リリースフィルムFの上面を吸着するような構成としてもよい。このような構成の搬送冶具84をインローダで保持し搬送可能な構成とすることができる。この場合、フィルム準備部で準備された枚葉のリリースフィルムFを、成形金型20を備えるプレス部に、搬送治具84やインローダで構成されたフィルム供給部で搬送し供給する。
この枚葉のリリースフィルムFには、樹脂Rを搭載して枚葉のリリースフィルムFをプレス部の成形金型20に搬入してもよい。また、樹脂Rを搭載せずに枚葉のリリースフィルムFのみをプレス部の成形金型20に搬入してもよい。この場合には、1枚の枚葉のリリースフィルムFを用いて複数回行われるモールド成形のたびに、樹脂Rを成形金型20に搬入する必要がある。
一方、プレス部では、例えば図17に示すような成形金型20を備え、上型21及び下型22が設けられる一対のプラテンを開閉することで、モールド成形が行われる。この場合、上述したような樹脂Rの搬入手法のいずれかを適用するかに応じ、1枚の枚葉のリリースフィルムFが上型21及び下型22のいずれかにセットされた後に樹脂Rを順次供給してもよいし、プレス部の外部で枚葉のリリースフィルムF上に樹脂Rを搭載し、モールド成形ごとに搬入してもよい。そのうえで、樹脂RとワークWが供給され成形金型20を型閉じすることでモールド成形が行われる。
このような構成によれば、一対のリング82のような保持具を用いずに、枚葉のリリースフィルムFを用いて複数回のモールド成形を行うことができる。これにより、例えば、上述した実施形態において保持具を用いたことによる効果を奏することはできないものの、保持具の管理が不要になり構成を簡素化することができる。また、リリースフィルムFの皺が成形上問題ないような場合には簡易な構成で効率的な成形が可能である。