図1〜図14を参照して、監視映像表示システム、監視映像表示装置、監視情報管理サーバ、および、監視映像表示方法の一実施形態について説明する。
[監視映像表示システムの構成]
図1を参照して、監視映像表示システムの全体構成について説明する。
図1が示すように、監視映像表示システムは、監視情報管理サーバ10と、複数の撮影端末20と、複数の受信機30と、複数の発信機40と、1以上の登録端末50と、1以上の監視端末60とを含む。
監視情報管理サーバ10と、撮影端末20、受信機30、登録端末50、および、監視端末60はネットワークに接続され、監視情報管理サーバ10は、これらの装置の各々とネットワークを通じて相互にデータの送信および受信を行う。各装置の通信に用いられるネットワークは、独立した複数のネットワークを含んでいてもよいし、共通した1つのネットワークであってもよい。これらのネットワークは、インターネット等の汎用通信回線であってもよいし、各装置の通信のための専用通信回線であってもよい。
撮影端末20は、動画の撮影機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10にデータを送信する機能とを有する。撮影端末20は、ネットワークカメラに具体化される。
撮影端末20は、撮影端末20の識別情報である撮影端末IDを記憶している。撮影端末IDは、撮影端末20ごとに固有の情報であり、複数の撮影端末20の各々に対して1つずつ割り当てられて撮影端末20に予め記憶されている。
撮影端末20は、撮影によって生成された動画データを、撮影端末20が記憶している撮影端末IDとともに、逐次、すなわち、リアルタイムで監視情報管理サーバ10に送信する。
受信機30は、近距離での無線通信によって、発信機40からデータを受信する機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10にデータを送信する機能とを有する。上記無線通信の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)が用いられ、特に、BLE(Bluetooth Low Energy)が用いられることが好ましい。
具体的には、受信機30は、発信機40の識別情報である発信機IDを発信機40から受信する。受信機30を基準とする範囲のなかで、発信機40の発する電波が受信機30に届く範囲が、受信機30の受信範囲である。受信機30は、その受信機30の受信範囲内に位置する発信機40から、発信機40が所定の間隔で発信する発信機IDを受信する。
また、受信機30は、受信機30の識別情報である受信機IDを記憶している。受信機IDは、受信機30ごとに固有の情報であり、複数の受信機30の各々に対して1つずつ割り当てられて受信機30に予め記憶されている。
受信機30は、発信機40から発信機IDを受信すると、発信機IDを、受信機30が記憶している受信機IDとともに、監視情報管理サーバ10に送信する。
撮影端末20と受信機30とは、監視が行われる領域である監視領域に設置される。監視領域は、例えば、工場、工事現場、医療現場等において作業者が各種の作業を行う領域であり、こうした作業者である監視対象の行動の監視が望まれる領域である。
監視領域は、区画された複数の部屋を含んでいてもよいし、区切りのない連続した1つの空間であってもよいし、互いに離間した複数の空間を含んでいてもよい。また、監視領域は屋内であってもよいし、屋外であってもよい。
複数の受信機30は、各受信機30の受信範囲が、監視領域内の互いに異なる領域となり、これらの受信機30の受信範囲を合わせた範囲が監視領域の全域に広がるように、設置されている。なお、各受信機30の受信範囲の一部は、他の受信機30の受信範囲の一部と重なっていてもよい。
撮影端末20によって撮影される範囲が撮影範囲であり、複数の撮影端末20は、各撮影端末20の撮影範囲が、監視領域内の互いに異なる領域となり、これらの撮影端末20の撮影範囲を合わせた範囲が監視領域の全域に広がるように、設置されている。なお、各撮影端末20の撮影範囲の一部は、他の撮影端末20の撮影範囲の一部と重なっていてもよい。
撮影端末20ごとの撮影範囲の各々は、1以上の受信機30の受信範囲と重なる。例えば、図1に示す例では、区画された2つの領域である領域RAと領域RBとから監視領域が構成され、領域RAには撮影端末IDがC01である撮影端末20が設置され、領域RBには撮影端末IDがC02である撮影端末20が設置されている。すなわち、C01の撮影端末20によって領域RAが撮影され、C02の撮影端末20によって領域RBが撮影される。
そして、領域RAには、受信機IDがBR01である受信機30が設置され、領域RBには、受信機IDがBR02である受信機30と、受信機IDがBR03である受信機30とが設置されている。BR01の受信機30の受信範囲は、領域RAの全体とほぼ重なり、すなわち、C01の撮影端末20の撮影範囲の全体とほぼ重なる。BR02の受信機30の受信範囲は、領域RBを二等分した領域の一方とほぼ重なり、すなわち、C02の撮影端末20の撮影範囲を二等分した領域の一方とほぼ重なる。BR03の受信機30の受信範囲は、領域RBを二等分した領域の他方とほぼ重なり、すなわち、C02の撮影端末20の撮影範囲を二等分した領域の他方とほぼ重なる。
このように、撮影範囲と受信範囲との重なりによって、撮影端末20と受信機30とが対応付けられる。領域RAのように、1つの撮影端末20と1つの受信機30とが対応付けられてもよいし、領域RBのように、1つの撮影端末20と複数の受信機30とが対応付けられてもよい。またあるいは、複数の撮影端末20と1つの受信機30とが対応付けられてもよい。換言すれば、1つの撮影端末20は、1つの受信機30の受信範囲を撮影してもよいし、複数の受信機30の受信範囲を撮影してもよい。また、1つの受信機30の受信範囲が、複数の撮影端末20によって撮影されてもよい。
なお、受信機30は、撮影端末20と一体に設置されていてもよいし、撮影端末20から離れた位置に設置されていてもよい。
発信機40は、受信機30に対応した無線通信によるデータの送信機能を有する。具体的には、複数の発信機40の各々は、発信機40自体の存在を発信機40の周囲に通知するための信号として発信機IDを所定の間隔で発信する。発信機IDは、発信機40ごとに固有の情報であり、複数の発信機40の各々に対して1つずつ割り当てられて発信機40に予め記憶されている。
発信機40は、監視対象、すなわち、監視領域で作業を行う作業者に携帯される。発信機40は、複数の監視対象の各々に対して1つずつ割り当てられる。
登録端末50は、監視対象と発信機40との対応付けに用いられる端末であり、発信機40に対応した無線通信によるデータの受信機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10にデータを送信する機能とを有する。例えば、登録端末50は、パーソナルコンピュータやタブレット端末やスマートフォンに具体化される。
監視端末60は、撮影端末20が監視領域内を撮影した映像である監視映像の確認に用いられる端末であり、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10との間でデータを送受信する機能、および、監視情報管理サーバ10から受信したデータに基づいて画像を表示する機能とを有する。監視端末60は、監視映像表示装置の一例であり、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末やスマートフォンに具体化される。
監視情報管理サーバ10は、撮影端末20および受信機30から受信した情報を蓄積し、監視端末60からの要求に応じて生成した表示データを監視端末60に送信するサーバである。表示データは、監視映像を含む画像である統合画像を監視端末60に表示させるためのデータである。
[各装置の詳細構成]
図2を参照して、監視情報管理サーバ10、登録端末50、および、監視端末60の詳細構成について説明する。
監視情報管理サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備えている。
通信部11は、ネットワークを通じて、監視情報管理サーバ10と上述の各装置との接続処理を実行し、監視情報管理サーバ10と各装置との間でデータの送信および受信を行う。通信部11は、撮影端末20および受信機30から情報を受信する受信部、および、表示データを監視端末60に送信する送信部として機能する。
記憶部12は、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部13が実行する処理に必要なプログラムやデータを記憶している。こうしたデータの一部として、記憶部12は、受信機管理データ12a、発信機管理データ12b、監視映像データ12c、および、検知データ12dを記憶している。
受信機管理データ12aは、受信機IDと撮影端末IDとが対応付けられたデータであって、受信範囲と撮影範囲とが重なる受信機30と撮影端末20との対応付けを管理するためのデータである。
発信機管理データ12bは、発信機IDと、監視対象に関する情報である対象情報とが対応付けられたデータであり、発信機40と、発信機40を保持する監視対象との対応付けを管理するためのデータである。
監視映像データ12cは、撮影端末20にて撮影された監視映像を示す動画データを、監視映像を撮影した撮影端末20の撮影端末IDと対応付けて管理するデータである。上記動画データは、監視映像の撮影された時刻を示す時刻情報を含む。
検知データ12dは、受信機IDと発信機IDと受信期間とが対応付けられたデータであって、受信機30ごとに、当該受信機30が受信した発信機IDを、その発信機IDの受信が継続されていた期間とともに示すデータである。
制御部13は、CPUや、RAM等の揮発性メモリを含む構成を有し、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに基づいて、通信部11による通信の制御、記憶部12における情報の読み出しや書き込み、各種の演算処理等、監視情報管理サーバ10が備える各部の制御を行う。こうした制御部13は、管理データ登録部13a、動画データ登録部13b、検知データ生成部13c、および、表示データ生成部13dを備えている。
管理データ登録部13aは、監視情報管理サーバ10に入力された受信機IDと撮影端末IDとを対応付けて、受信機管理データ12aとして記憶部12に記憶させる。受信機IDと撮影端末IDとの入力は、監視情報管理サーバ10とネットワークを介して接続された任意のコンピュータ端末を通じて行われればよい。
また、管理データ登録部13aは、登録端末50から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDと対象情報とを対応付けて、発信機管理データ12bとして記憶部12に記憶させる。
受信機管理データ12aは、撮影端末20による監視領域の撮影が開始される前に構築され、発信機管理データ12bは、監視対象が監視領域に入る前に構築される。
動画データ登録部13bは、撮影端末20から監視情報管理サーバ10が受信した動画データを撮影端末IDと対応付けて、監視映像データ12cとして記憶部12に記憶させる。なお、動画データ登録部13bは、監視映像データ12cに、動画データおよび撮影端末IDに加えて、撮影端末20や監視映像についての付属情報を含めて記憶部12に記憶させてもよい。
検知データ生成部13cは、受信機30から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDおよび受信機ID、すなわち、受信機30が受信した発信機IDおよび当該受信機30の受信機IDと、時刻情報とを用いて、検知データ12dを生成し、記憶部12に記憶させる。
監視映像データ12cと検知データ12dとは、撮影端末20による監視領域の撮影中に逐次構築される。
表示データ生成部13dは、監視端末60から監視情報管理サーバ10が受信した表示条件に基づき、記憶部12に記憶されている各データを用いて、表示データを生成する。
表示条件には、監視映像の視聴のモードの指定と、監視映像の抽出の条件とが含まれる。視聴のモードは、アーカイブモードおよびライブモードのいずれかである。アーカイブモードは、撮影端末20が過去に撮影して監視情報管理サーバ10に記憶されている監視映像を監視端末60に表示させるモードであり、監視端末60の利用者である監視者が、撮影端末20が過去に撮影した監視映像を見るモードである。ライブモードは、撮影端末20が撮影している監視映像を逐次、監視端末60に表示させるモードであり、すなわち、監視者が、撮影端末20が撮影している監視映像をリアルタイムで見るモードである。
監視映像の抽出の条件には、監視領域内の領域を指定する情報として、受信機管理データ12aに含まれる項目が含まれ、監視対象を指定する情報として、発信機管理データ12bに含まれる項目が含まれる。また、アーカイブモードが指定される場合、監視映像の抽出の条件には、監視映像が撮影された時刻を指定する時刻指定情報も含まれる。
なお、制御部13において、管理データ登録部13a、動画データ登録部13b、検知データ生成部13c、および、表示データ生成部13dの各々は、複数のCPUや、RAM等からなるメモリ等の各種のハードウェアと、これらを機能させるソフトウェアとによって各別に具体化されてもよく、あるいは、共通する1つのハードウェアに複数の機能を与えるソフトウェアによって具体化されてもよい。こうしたソフトウェアは、監視情報管理プログラムとして、記憶部12に記憶される。
登録端末50は、通信を制御する通信部51、利用者の操作を受け付ける操作部52、画像を表示する表示部53、および、プログラムやデータを記憶する記憶部54、これらの各部の制御や演算処理を記憶部54に記憶されたプログラムやデータに基づいて行う制御部55を備えている。記憶部54は、不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部55は、CPUおよびRAM等の揮発性メモリを含む構成を有する。
通信部51は、ネットワークを通じて、登録端末50と監視情報管理サーバ10とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能と、発信機40に対応した近距離での無線通信を利用して、登録端末50と発信機40とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能とを有している。
通信部51は、上記無線通信によって、発信機40から発信機IDを受信する。また、操作部52に対する操作を通じて、登録端末50には対象情報が入力され、制御部55は、発信機IDと対象情報とを、通信部51から監視情報管理サーバ10に送信させる。
監視端末60は、通信を制御する通信部61、利用者の操作を受け付ける操作部62、画像を表示する表示部63、プログラムやデータを記憶する記憶部64、および、これらの各部の制御や演算処理を記憶部64に記憶されたプログラムやデータに基づいて行う制御部65を備えている。記憶部64は、不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部65は、CPUおよびRAM等の揮発性メモリを含む構成を有する。
通信部61は、ネットワークを通じて、監視端末60と監視情報管理サーバ10とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能を有する。
操作部62に対する操作を通じて、監視端末60には表示条件が入力され、制御部65は、表示条件を、通信部61から監視情報管理サーバ10に送信させる。そして、通信部61は、監視情報管理サーバ10から、表示条件に応じた表示データを受信する受信部として機能し、制御部65は、表示データを用いて表示部63に画像を表示させる。
なお、登録端末50の制御部55、および、監視端末60の制御部65の各々の機能は複数のCPUや、RAM等からなるメモリ等の各種のハードウェアと、これらを機能させるソフトウェアとによって各別に具体化されてもよく、あるいは、共通する1つのハードウェアに複数の機能を与えるソフトウェアによって具体化されてもよい。こうしたソフトウェアは、各端末にインストールされたアプリケーションソフトウェアであってもよいし、監視情報管理サーバ10からウェブアプリケーションとして提供されたアプリケーションソフトウェアであってもよい。
また、登録端末50の担う機能と監視端末60の担う機能とが、1つのコンピュータ端末によって実現されてもよい。すなわち、登録端末50と監視端末60とは同一の端末であってもよい。
[各データの構成]
図3〜図5を参照して、監視情報管理サーバ10に記憶される受信機管理データ12a、発信機管理データ12b、および、検知データ12dのデータ構成について説明する。
図3が示すように、受信機管理データ12aは、受信機IDと撮影端末IDとを含み、受信機IDと撮影端末IDとは互いに対応付けられている。
受信機管理データ12aにおける受信機IDと撮影端末IDとの対応付けは、受信機30と撮影端末20との配置に基づいて設定される。すなわち、上述のように、受信機30の受信範囲と撮影端末20の撮影範囲とが重なる受信機30と撮影端末20とが、互いに対応付けられた受信機30および撮影端末20であり、受信機30と撮影端末20との対応付けに従って、受信機IDと撮影端末IDとが対応付けられている。
例えば、図3に示す受信機管理データ12aでの受信機IDと撮影端末IDとの対応付けは、図1に示した受信機30と撮影端末20との配置に従っている。すなわち、受信機IDがBR01の受信機30と撮影端末IDがC01の撮影端末20とは、領域RAに設置され、BR01の受信機30の受信範囲は、C01の撮影端末20の撮影範囲の全体とほぼ重なっており、受信機管理データ12aでは、BR01の受信機IDとC01の撮影端末IDとが対応付けられている。また、受信機IDがBR02の受信機30と撮影端末IDがC02の撮影端末20とは、領域RBに設置され、BR02の受信機30の受信範囲は、C02の撮影端末20の撮影範囲を二等分した領域の一方とほぼ重なっており、受信機管理データ12aでは、BR02の受信機IDとC02の撮影端末IDとが対応付けられている。さらに、受信機IDがBR03の受信機30もまた、領域RBに設置され、BR03の受信機30の受信範囲は、C02の撮影端末20の撮影範囲を二等分した領域の他方とほぼ重なっており、受信機管理データ12aでは、BR03の受信機IDとC02の撮影端末IDとが対応付けられている。
受信機30と撮影端末20との配置に応じて、受信機管理データ12aでは、1つの受信機IDに1つの撮影端末IDのみが対応付けられていてもよいし、1つの受信機IDに複数の撮影端末IDが対応付けられていてもよい。また、1つの撮影端末IDに1つの受信機IDのみが対応付けられていてもよいし、1つの撮影端末IDに複数の受信機IDが対応付けられていてもよい。
また、受信機管理データ12aは受信機30の管理や撮影端末20の管理に用いられる他の情報を含んでいてもよい。例えば、図3に示す例では、受信機管理データ12aは、受信機IDごとに、当該受信機IDを有する受信機30の位置情報を含む。位置情報は、監視領域を複数の領域に区分したうちの1つを示してもよいし、緯度および経度で表わされる位置を示してもよい。図3では、受信機30の位置情報は、監視領域を構成する領域RAと領域RBとのうちで受信機30の位置する領域を示している。なお、受信機30の位置情報に代えて、あるいは、受信機30の位置情報に加えて、受信機管理データ12aは、撮影端末20の位置情報を含んでいてもよい。
図4が示すように、発信機管理データ12bは、発信機IDと対象情報とを含み、発信機IDと対象情報とは互いに対応付けられている。対象情報には、監視対象を識別可能な情報である対象識別情報が含まれる。対象識別情報は、例えば、監視対象である作業員ごとに割り当てられた識別情報である対象IDや、監視対象の氏名、ニックネーム等である。対象情報は、対象識別情報に加えて、監視対象の属性を示す情報をさらに含んでいてもよい。監視対象の属性を示す情報は、例えば、監視対象の属するグループや、監視対象の役職や役割等を含む。
発信機管理データ12bにて、発信機IDと対応付けられている対象情報は、その発信機IDを有する発信機40が割り当てられて、当該発信機40を保持している監視対象についての情報である。例えば、図4に示す例では、BC01の発信機IDが、対象情報における対象識別情報として、P01の対象IDおよび「秋葉一郎」という監視対象の氏名と対応付けられている。これは、BC01という発信機IDを有する発信機40を保持する監視対象に割り当てられた対象IDがP01であり、当該監視対象の氏名が「秋葉一郎」であることを示す。
対象識別情報は、発信機IDごとに異なる。一方、監視対象の属性を示す情報は、複数の発信機IDに対して共通に設定されていてもよい。
図5が示すように、検知データ12dは、受信機IDと発信機IDと受信期間とを含み、受信期間は、受信開始時刻と受信終了時刻とによって規定される。検知データ12dにおける、受信機ID、発信機ID、および、受信期間の組み合わせは、その受信機IDを有する受信機30が、受信期間の間、すなわち、受信開始時刻から受信終了時刻までの間、その発信機IDを受信し続けていたことを示す。換言すれば、受信期間の間、その受信機IDを有する受信機30の受信範囲に、その発信機IDを有する発信機40が存在していたことを示す。
例えば、図5に示す例では、BR01の受信機IDに対し、BC01の発信機IDと「9:00:00」の受信開始時刻と、「9:30:00」の受信終了時刻とが記録されている。これは、9:00から9:30まで、BR01の受信機30がBC01の発信機IDを受信していたこと、すなわち、BC01の発信機40がBR01の受信機30の受信範囲に存在していたことを示す。また、BR01の受信機IDについて、BC01の発信機IDは、「10:30:00」の受信開始時刻および「11:00:00」の受信終了時刻も記録されている。これは、10:30から11:00まで、BR01の受信機30がBC01の発信機IDを受信していたことを示す。すなわち、先に説明したデータと併せて、BC01の発信機40は、9:00にBR01の受信機30の受信範囲に入り、9:30に当該受信範囲から出て、10:30に再び当該受信範囲に入り、11:00に当該受信範囲から出たことを示す。
1つの受信機30が、同一の時刻に複数の発信機IDを受信している場合には、1つの受信機IDに対し、同一の時刻に複数の発信機IDが記録される。
[監視映像表示システムの動作]
図6〜図9を参照して、監視映像表示システムの動作、すなわち、監視映像表示方法の手順について説明する。監視映像表示システムの動作には、発信機管理データ12bの登録の処理と、監視映像データ12cおよび検知データ12dの生成の処理と、統合画像の表示の処理とが含まれる。
まず、発信機管理データ12bの登録の処理について、図6を参照して説明する。発信機管理データ12bの登録の処理は、換言すれば、監視対象の登録の処理であり、例えば、工場等において作業者が作業を開始する前に、登録端末50と監視情報管理サーバ10との協働により行われる。図6に示す処理は、監視対象となる作業者ごとに行われる。図6に示す各処理は、例えば、所定の操作に基づき監視対象の登録のための画面が登録端末50に表示され、この画面の指示に従った操作を作業者や登録の管理者が行うことにより、実施される。
図6が示すように、登録端末50の操作を通じて、登録端末50に対象情報が入力される(ステップS10)。すなわち、監視対象となる作業者の氏名等が登録端末50に入力される。なお、登録端末50に入力される対象情報は、発信機管理データ12bにて発信機IDに対応付けられる対象情報の一部であってもよく、例えば、対象IDは登録端末50に入力されず、発信機管理データ12bの登録時に監視情報管理サーバ10の管理データ登録部13aによって割り当てられればよい。
続いて、監視対象となる作業者に割り当てられる発信機40が登録端末50に近づけられることに基づいて、近距離での無線通信を通じて、登録端末50は、この発信機40の発信機IDを取得する(ステップS11)。
なお、対象情報の入力と発信機IDの取得との順序は上記順序に限定されず、登録端末50が発信機IDを取得した後に、登録端末50に対象情報が入力されてもよい。
対象情報と発信機IDとを取得すると、登録端末50は、ネットワークを通じて、対象情報と発信機IDとを監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS12)。対象情報と発信機IDとを受信すると、監視情報管理サーバ10の管理データ登録部13aは、対象情報と発信機IDとを対応付けて、発信機管理データ12bとして記憶部12に記憶させる。このとき、管理データ登録部13aは対象情報と発信機IDとの組ごとに、対象IDを割り当て、対象IDを対象情報に含めて、発信機管理データ12bを生成する。
これにより、監視対象の登録、すなわち、発信機管理データ12bの登録が完了する。登録に用いられた発信機40は、監視対象である作業者、すなわち、登録端末50に入力された対象情報に対応する監視対象に渡され、監視対象に携帯される。
なお、受信機管理データ12aは、受信機30と撮影端末20との配置に応じて、受信機IDと撮影端末IDとが、監視情報管理サーバ10に任意のコンピュータ端末から入力されることに基づき生成される。
次に、監視映像データ12cおよび検知データ12dの生成の処理について、図7および図8を参照して説明する。
図7が示すように、撮影端末20は、監視領域の撮影を開始すると(ステップS20)、撮影によって生成された動画データを、撮影端末20の撮影端末IDとともに、ネットワークを通じて、監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS21)。
動画データおよび撮影端末IDを受信すると、監視情報管理サーバ10の動画データ登録部13bは、動画データを撮影端末IDと対応付けて、監視映像データ12cとして記憶部12に記憶させる(ステップS22)。
上記ステップS21およびステップS22の処理は、撮影端末20ごとに行われる。また、撮影端末20から監視情報管理サーバ10への動画データの送信は逐次行われ、監視情報管理サーバ10の記憶部12には、監視映像データ12cとして動画データが逐次蓄積されていく。
受信機30は、受信範囲内に位置する発信機40から発信機IDを受信すると(ステップS23)、発信機IDを、受信機30の受信機IDとともに、監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS24)。受信機30から監視情報管理サーバ10への発信機IDの送信は、例えば、所定の間隔で、その時点において受信機30が受信しているすべての発信機IDを監視情報管理サーバ10へ送信することにより行われる。
発信機IDおよび受信機IDを受信すると、監視情報管理サーバ10の検知データ生成部13cは、発信機ID、受信機ID、時刻情報、および、発信機IDの受信履歴を用いて、検知データ12dを生成し、記憶部12に記憶させる(ステップS25)。上記ステップS23およびステップS24の処理は、受信機30ごとに行われる。
図8を参照して、検知データ12dの生成の処理について詳細に説明する。図8に示すフローは、監視情報管理サーバ10が受信機30から発信機IDを受信する度に、受信機30ごとの発信機IDの受信について、発信機管理データ12bとして登録されている発信機IDの各々を対象として検知データ生成部13cが行う処理である。
図8が示すように、まず、ステップS30の処理として、対象の発信機IDが、今回、対象の受信機30に検知されたか否か、すなわち、対象の発信機IDが、今回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDのなかに含まれているか否かが判定される。対象の発信機IDが検知されたと判定された場合、ステップS31の処理に進む。
ステップS31の処理では、対象の発信機IDが、前回、対象の受信機30に検知されていないか、すなわち、対象の発信機IDが、前回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDのなかに含まれていないかが判定される。
ステップS31の処理において、前回、対象の発信機IDが検知されていないと判定された場合、ステップS32の処理に進む。ステップS32の処理では、検知データ12dにおける対象の受信機30の受信機IDに対し、対象の発信機IDと受信開始時刻とが記録される。受信開始時刻としては、今回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が発信機IDを受信した時刻が用いられる。こうした時刻は監視情報管理サーバ10が備える時刻の計測部から取得されればよい。
ステップS31の処理において、前回、対象の発信機IDが検知されていると判定された場合、以降の処理は行われずに、処理が終了する。すなわち、検知データ12dにおける時刻の記録は行われない。
一方、ステップS30の処理において、今回、対象の発信機IDが検知されていないと判定された場合、ステップS33の処理に進む。ステップS33の処理では、対象の発信機IDが、前回、対象の受信機30に検知されているか、すなわち、対象の発信機IDが、前回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDのなかに含まれているかが判定される。
ステップS33の処理において、前回、対象の発信機IDが検知されていると判定された場合、ステップS34の処理に進む。ステップS34の処理では、検知データ12dにおける対象の受信機30の受信機IDに対し、対象の発信機IDについて受信終了時刻が記録される。対象の発信機IDは、前回以前において対象の受信機30にて検知されていた発信機IDであるため、受信開始時刻は既に記録されている。上記受信終了時刻は、既に記録されている受信開始時刻に対する受信終了時刻として記録される。記録される受信終了時刻としては、今回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が発信機IDを受信した時刻が用いられる。なお、受信終了時刻としては、前回、対象の受信機30から監視情報管理サーバ10が発信機IDを受信した時刻が用いられてもよい。
ステップS33の処理において、前回、対象の発信機IDが検知されていないと判定された場合、以降の処理は行われずに、処理が終了する。すなわち、検知データ12dにおける時刻の記録は行われない。
このように、検知データ12dへの情報の記録が繰り返されることにより、検知データ12dが逐次生成されていく。
なお、検知データ12dとして、受信機30ごとに、当該受信機30が受信した発信機IDを、その発信機IDの受信が継続されていた期間とともに示すデータを生成可能であれば、検知データ12dの生成の処理の流れは、図8に示したフローとは異なってもよい。また、受信開始時刻や受信終了時刻として用いる時刻は、発信機IDの受信時に受信機30にて記録された時刻であってもよく、こうした時刻は、受信機30から監視情報管理サーバ10に通知されればよい。
次に、統合画像の表示の処理について、図9を参照して説明する。統合画像の表示の処理は、監視端末60と監視情報管理サーバ10との協働により行われる。
図9が示すように、監視端末60の操作を通じて、監視端末60に表示条件が入力される(ステップS40)。例えば、監視端末60がネットワークを通じて監視情報管理サーバ10に接続することにより監視端末60に表示される画面に、表示条件を選択するための領域が含まれ、こうした画面での表示条件の選択を通じて、監視端末60に表示条件が入力される。
表示条件には、監視映像の視聴のモードとして、アーカイブモードおよびライブモードのいずれかの指定が含まれる。また、表示条件には、監視映像の抽出の条件、すなわち、監視端末60に、いずれの撮影端末20にて撮影された監視映像を表示させるかを決定するための条件が含まれる。
監視映像の抽出の条件には、監視領域内の領域を指定する情報、および、監視対象を指定する情報の少なくとも一方が含まれる。監視領域内の領域の指定は、監視者が、監視領域内のいずれの場所に位置する監視対象を確認したいかに応じて決められ、監視対象の指定は、監視者が、いずれの監視対象の位置する場所を確認したいかに応じて決められる。監視領域内の領域の指定と監視対象の指定との双方を行うことによって、確認したい場所と確認したい対象とを掛け合わせた指定が可能である。
本実施形態では、監視領域内の領域の指定として、受信機管理データ12aに含まれる項目のうちの受信機IDが選択され、監視対象の指定として発信機管理データ12bに含まれる項目のうちの対象IDが選択される場合について説明する。
また、アーカイブモードが指定される場合、監視映像の抽出の条件には、抽出対象の監視映像が撮影された時刻を指定する時刻指定情報も含まれる。時刻指定情報は、例えば、開始時刻と終了時刻とを指定することにより、期間を指定する情報である。
監視端末60に入力された表示条件は、監視端末60から監視情報管理サーバ10に送信される(ステップS41)。表示条件を受信すると、監視情報管理サーバ10の表示データ生成部13dは、表示条件に基づき、記憶部12に記憶されている各データを用いて、表示データを生成する(ステップS42)。
監視情報管理サーバ10は、生成した表示データを監視端末60に送信し(ステップS43)、監視端末60は、受信した表示データを用いて、表示部に統合画像を表示する(ステップS44)。これにより、監視者は、監視領域における監視対象の様子を確認することができる。
[表示データの生成および統合画像の表示]
図10〜図14を参照して、表示データ生成部13dによる表示条件に応じた表示データの生成の処理の詳細と、こうした表示データを用いて監視端末60に表示される画像である統合画像について説明する。
以下の説明では、図10のように発信機IDが検知された場合を例として、統合画像の構成を説明する。図10は、図1に示したように撮影端末20と受信機30とが配置された監視領域において、2人の監視対象が作業を行った際の発信機IDの検知の記録を示す。また、図10は、図3に例示した受信機管理データ12aと図4に例示した発信機管理データ12bとが構築されている状態で、図5に例示した検知データ12dが生成された状況に従った発信機IDの検知の記録である。
図10においては、9:00〜11:00の期間において、BC01,BC02の発信機IDが、BR01,BR02,BR03の受信機IDを有する受信機30の各々に検知された期間を受信機30ごとに矢印で示す。太線の矢印は、BC01が各受信機30に検知された期間を示し、すなわち、対象IDがP01である「秋葉一郎」という監視対象が各受信機30の受信範囲に位置した期間を示す。細線の矢印は、BC02が各受信機30に検知された期間を示し、すなわち、対象IDがP02である「小石川太郎」という監視対象が各受信機30の受信範囲に位置した期間を示す。また、図10においては、各受信機30に対応付けられている撮影端末20を、撮影端末IDによって示す。
表示データ生成部13dは、表示条件としてアーカイブモードが指定されているとき、監視映像データ12cとして記憶部12に記憶されている動画データを用いて、表示データを生成する。
ここで、表示条件として受信機IDが指定されているとき、表示データ生成部13dは、統合画像に含める監視映像の抽出処理、すなわち、表示データの生成に用いる動画データの抽出処理として、以下の処理を行う。表示データ生成部13dは、指定された受信機IDと受信機管理データ12aにて対応付けられている撮影端末IDを特定する。そして、表示データ生成部13dは、特定した撮影端末IDと監視映像データ12cにて対応付けられている動画データのうち、時刻指定情報にて指定される期間に撮影された動画データを抽出する。
さらに、表示データ生成部13dは、統合画像に含める対象識別情報の抽出処理、すなわち、表示データの生成に用いる対象識別情報の抽出処理として、以下の処理を行う。表示データ生成部13dは、監視映像の抽出処理によって抽出された動画データに対応する撮影端末IDと受信機管理データ12aにて対応付けられている受信機IDを特定する。この受信機IDは、少なくとも表示条件として指定された受信機IDを含み、1つの撮影端末20に複数の受信機30が対応付けられている場合には、表示条件として指定された受信機ID以外の受信機IDをさらに含む。表示データ生成部13dは、検知データ12dを参照して、特定した受信機IDの受信機30が、時刻指定情報にて指定される期間に受信している発信機40の発信機ID、および、その受信期間を特定する。そして、表示データ生成部13dは、特定された発信機IDと発信機管理データ12bにて対応付けられている対象情報を特定し、特定した対象情報に含まれる少なくとも1つの対象識別情報を、統合画像に含める対象識別情報として抽出する。例えば、表示データ生成部13dは、特定した対象情報のうちの対象IDと監視対象の氏名とを統合画像に含める対象識別情報として抽出する。
表示データ生成部13dは、抽出した監視映像と同一の画面に、抽出した対象識別情報を、監視映像の期間のうちの、対象識別情報に対応する発信機IDの受信期間と一致する期間に表示させるように、統合画像の表示のための表示データを生成する。
こうした表示データは、例えば、複数のレイヤーの合成によって、抽出された監視映像と重ねて対象識別情報を表示させるデータであってもよいし、抽出された監視映像と対象識別情報とを、1つの画面内における互いに異なる領域に表示させるデータであってもよい。
例えば、図10のように発信機IDが検知された場合において、表示条件として、アーカイブモードが指定され、時刻指定情報にて9:00〜11:00の期間が指定され、BR01の受信機IDが指定されたとする。この期間、BR01の受信機30の受信範囲かつC01の撮影端末20の撮影範囲である領域RAには、9:00〜9:15の期間に、P01の監視対象が存在し、9:15〜9:30の期間に、P01およびP02の監視対象が存在し、9:30〜9:45の期間に、P02の監視対象が存在していた。さらに、領域RAには、10:30〜11:00の期間に、P01の監視対象が存在していた。
表示データ生成部13dが上述のように表示データを生成することにより、監視端末60には、BR01の受信機IDに対応付けられた撮影端末IDであるC01の撮影端末20によって、9:00〜11:00の期間に撮影された監視映像と、BR01の受信機30に検知された発信機IDに対応付けられた対象識別情報とが1つの画面内で統合された統合画像が表示される。
すなわち、図11(a)〜(c)に示すように、監視端末60には、9:00〜11:00の期間に領域RAを撮影した監視映像Iaである動画が表示される。さらに、図11(a)が示すように、動画のうちの9:00〜9:15の部分においては、BR01の受信機30に検知された発信機IDであるBC01に対応付けられた対象識別情報Ib、すなわち、P01の対象IDと「秋葉一郎」という監視対象の氏名が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。これらの監視映像Iaと対象識別情報Ibとから統合画像Irが構成される。
図11(b)が示すように、動画のうちの9:15〜9:30の部分においては、BR01の受信機30に検知された発信機IDであるBC01およびBC02の各々に対応付けられた対象識別情報Ib、すなわち、P01と「秋葉一郎」、および、P02と「小石川太郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。
図11(c)が示すように、動画のうちの9:30〜9:45の部分においては、BR01の受信機30に検知された発信機IDであるBC02に対応付けられた対象識別情報Ib、すなわち、P02および「小石川太郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。
図11(d)は、表示条件として、アーカイブモードにて9:00〜11:00の期間とBR01の受信機IDとが指定されたとき、監視端末60に表示される統合画像Irに含まれる監視映像Iaおよび対象識別情報Ibについて、監視映像Iaに対応する撮影端末IDと対象識別情報Ibに対応する対象IDとを時間軸に沿って示す。同一時刻にて対象IDを示す矢印が重なる部分では、2つの監視対象についての対象識別情報Ibが統合画像Irに含まれる。
このように、表示条件としての受信機IDの指定によって、監視領域内の特定の領域を指定して、その領域を撮影した監視映像Iaを対象識別情報Ibとともに監視端末60に表示させることができるため、監視者は、確認したい場所を容易に確認することができる。
なお、統合画像Irには、図11(a)〜(c)に示したように、監視映像Iaの撮影時刻を示す情報が含まれることが好ましい。また、表示データ生成部13dは、対象識別情報Ibの文字色を、監視映像Iaの色調に応じて変更してもよい。
一方、表示条件として対象IDが指定されているとき、表示データ生成部13dは、統合画像に含める監視映像の抽出処理として、以下の処理を行う。表示データ生成部13dは、指定された対象IDと発信機管理データ12bにて対応付けられている発信機IDを特定する。さらに、表示データ生成部13dは、検知データ12dを参照し、特定した発信機IDを、時刻指定情報にて指定される期間に受信している受信機30の受信機ID、および、その受信期間を特定する。そして、表示データ生成部13dは、特定した受信機IDと受信機管理データ12aにて対応付けられている撮影端末IDを特定し、特定した撮影端末IDと監視映像データ12cにて対応付けられている動画データのうち、上記受信期間に撮影された動画データを抽出する。時刻指定情報にて指定される期間に、該当する発信機IDが複数の受信機30によって順に受信されている場合には、各受信機30の受信期間ごとに、受信機IDに対応付けられた撮影端末IDに対応する動画データが抽出され、これらの動画データの映像が繋ぎ合わされた映像が表示されるように、表示データは構成される。
さらに、表示データ生成部13dは、統合画像に含める対象識別情報の抽出処理として、上述の表示条件として受信機IDが指定された場合と同様の処理を、抽出された動画データごとに行う。すなわち、表示データ生成部13dは、抽出された動画データに対応する撮影端末IDと受信機管理データ12aにて対応付けられている受信機IDを特定する。表示データ生成部13dは、検知データ12dを参照して、特定した受信機IDの受信機30が、抽出された動画データの期間に受信している発信機40の発信機ID、および、その受信期間を特定する。この発信機IDには、少なくとも表示条件として指定された対象IDに対応付けられた発信機IDが含まれる。そして、表示データ生成部13dは、特定された発信機IDと発信機管理データ12bにて対応付けられている対象情報を特定し、特定した対象情報に含まれる少なくとも1つの対象識別情報を、統合画像に含める対象識別情報として抽出する。
表示データ生成部13dは、抽出した監視映像と同一の画面に、抽出した対象識別情報を、監視映像の期間のうちの、対象識別情報に対応する発信機IDの受信期間と一致する期間に表示させるように、統合画像の表示のための表示データを生成する。
例えば、図10のように発信機IDが検知された場合において、表示条件として、アーカイブモードが指定され、時刻指定情報にて9:00〜11:00の期間が指定され、P01の対象IDが指定されたとする。この期間、P01の監視対象は、9:00〜9:30の期間に、BR01の受信機30の受信範囲かつC01の撮影端末20の撮影範囲である領域RAに存在し、9:40〜9:52の期間に、領域RBのうちのBR02の受信機30の受信範囲かつC02の撮影端末20の撮影範囲である領域に存在していた。さらに、P01の監視対象は、10:00〜10:15の期間に、領域RBのうちのBR03の受信機30の受信範囲かつC02の撮影端末20の撮影範囲である領域に存在し、10:30〜11:00の期間に領域RAに存在していた。
表示データ生成部13dが上述のように表示データを生成することにより、監視端末60には、P01の対象IDに対応するBC01の発信機IDが各受信機30に検知されている期間に応じて、C01およびC02の撮影端末20によって撮影された監視映像が切り換えられつつ表示される。そして、監視端末60には、監視映像ごとに、撮影端末20に対応付けられている受信機30に検知された発信機IDに対応する対象識別情報が、監視映像と同一の画面内に表示される。これにより、監視映像と対象識別情報とが統合された統合画像が、監視端末60に表示される。
すなわち、図12(a)に示すように、監視端末60には、まず、9:00〜9:30の期間にC01の撮影端末20が領域RAを撮影した監視映像Iaが表示される。さらに、監視映像Iaのうちの9:00〜9:15の部分においては、C01の撮影端末20に対応付けられているBR01の受信機30に検知された発信機ID、すなわち、BC01の発信機IDに対応付けられた対象識別情報Ibとして、P01および「秋葉一郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。また、動画のうちの9:15〜9:30の部分においては、上記BR01の受信機30に検知された発信機IDであるBC01およびBC02の各々に対応付けられた対象識別情報Ib、すなわち、P01と「秋葉一郎」、および、P02と「小石川太郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。
図12(b)が示すように、続いて、監視端末60には、9:40〜9:52の期間にC02の撮影端末20が領域RBを撮影した監視映像Iaが表示される。さらに、監視映像Iaのうちの9:40〜9:45の部分においては、C02の撮影端末20に対応付けられているBR02およびBR03の受信機30に検知された発信機ID、すなわち、BC01の発信機IDに対応付けられた対象識別情報Ibとして、P01および「秋葉一郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。また、監視映像Iaのうちの9:45〜9:52の部分においては、上記BR02およびBR03の受信機30に検知された発信機IDであるBC01およびBC02の各々に対応付けられた対象識別情報Ib、すなわち、P01と「秋葉一郎」、および、P02と「小石川太郎」が、監視映像Iaと同一の画面に表示される。
図12(c)は、表示条件として、アーカイブモードにて9:00〜11:00の期間とP01の対象IDとが指定されたとき、監視端末60に表示される統合画像Irに含まれる監視映像Iaと対象識別情報Ibについて、監視映像Iaに対応する撮影端末IDと対象識別情報Ibに対応する対象IDとを時間軸に沿って示す。
このように、表示条件としての対象IDの指定によって、複数の監視対象のなかから特定の対象を指定して、その対象を撮影した監視映像Iaを対象識別情報Ibとともに監視端末60に表示させることができるため、監視者は、確認したい対象を容易に確認することができる。
また、表示条件として受信機IDと対象IDとが指定されている場合には、表示データ生成部13dは、上記受信機IDが指定されている場合に抽出される動画データと、上記対象IDが指定されている場合に抽出される動画データとのうちで重なる部分のデータを、表示データの生成に用いる動画データとして抽出する。この動画データは、すなわち、指定された受信機IDに対応する受信機30で、指定された対象IDに対応する発信機IDを受信していた期間における、当該受信機30と対応付けられた撮影端末20によって撮影された動画データである。
さらに、表示データ生成部13dは、統合画像に含める対象識別情報の抽出処理として、上述の表示条件として対象IDが指定された場合と同様の処理を行う。
表示データ生成部13dは、抽出した監視映像と同一の画面に、抽出した対象識別情報を、監視映像の期間のうちの、対象識別情報に対応する発信機IDの受信期間と一致する期間に表示させるように、統合画像の表示のための表示データを生成する。
例えば、図10のように発信機IDが検知された場合において、表示条件として、アーカイブモードが指定され、時刻指定情報にて9:00〜11:00の期間が指定され、BR01の受信機IDとP01の対象IDとが指定されたとする。
図13は、この場合に、監視端末60に表示される統合画像Irに含まれる監視映像Iaと対象識別情報Ibについて、監視映像Iaに対応する撮影端末IDと対象識別情報Ibに対応する対象IDとを時間軸に沿って示す。
表示データ生成部13dが上述のように表示データを生成することにより、監視端末60には、BR01の受信機IDと対応付けられるC01の撮影端末20によって撮影された監視映像のうち、BR01の受信機30によってP01の対象IDに対応付けられる発信機IDが検知されている期間の監視映像が表示される。そして、監視端末60には、BR01の受信機30に検知された発信機IDに対応付けられる対象識別情報が、監視映像と同一の画面内に表示される。これにより、監視映像と対象識別情報とが統合された統合画像が、監視端末60に表示される。
このように、表示条件として受信機IDおよび対象IDを指定することによって、特定の領域および特定の対象を指定して、その領域および対象を撮影した監視映像を対象識別情報とともに監視端末60に表示させることができるため、監視者は、確認したい場所および対象を容易に確認することができる。
また、表示データ生成部13dは、ライブモードが指定されているとき、撮影端末20から逐次受信している動画データを用いて、表示データを生成する。
そして、表示データ生成部13dは、アーカイブモードの場合と同様に、表示条件として指定されている受信機IDや対象IDに応じて、監視映像の抽出処理と対象識別情報の抽出処理とを行い、抽出されたデータを用いて、統合画像の表示データを生成する。監視映像の抽出処理では、表示データ生成部13dは、複数の撮影端末20から逐次受信している動画データから、表示データの生成に用いる動画データを抽出する。また、監視映像の抽出処理と対象識別情報の抽出処理において、アーカイブモードでは、表示データ生成部13dは、時刻指定情報にて指定される期間等の特定の期間に検知されている発信機IDに基づいて対象情報や受信機IDを特定した。これに代えて、ライブモードでは、表示データ生成部13dは、受信開始時刻が記録され、かつ、この受信開始時刻に対する受信終了時刻が未だ記録されていない発信機IDを、現在検知中の発信機IDとして特定し、この発信機IDに基づいて対象情報や受信機IDを特定する。
ライブモードにおいても、表示データ生成部13dは、抽出した監視映像と同一の画面に、抽出した対象識別情報を表示させるように、統合画像の表示のための表示データを生成する。その結果、監視端末60には、監視映像と、監視映像に含まれる監視対象の対象識別情報とが統合された統合画像が表示される。
なお、図14が示すように、アーカイブモードとライブモードとのいずれにおいても、統合画像Irには、複数の監視映像Iaと、監視映像Iaごとの対象識別情報Ibとが含まれてもよい。例えば、表示条件として複数の受信機IDや複数の対象IDが指定された場合であって、監視映像の抽出処理として、同一の時間帯について複数の動画データが抽出されるとき、表示データ生成部13dは、抽出された動画データの各々を対象として対象識別情報の抽出処理を行う。そして、表示データ生成部13dは、抽出された複数の監視映像を1つの画面内に含め、かつ、監視映像ごとに抽出した対象識別情報を表示させるように、統合画像の表示データを生成する。これにより、複数の監視映像Iaと、監視映像Iaごとの対象識別情報Ibとが含まれる統合画像Irが監視端末60に表示される。
また、撮影端末20と受信機30との配置によって、1つの受信機30に複数の撮影端末20が対応付けられているとき、すなわち、受信機管理データ12aにおいて、1つの受信機IDに複数の撮影端末IDが対応付けられている場合には、表示条件として1つの受信機IDが指定される場合にも、監視映像の抽出処理において、受信機IDに対応付けられる複数の撮影端末IDの各々に対応する複数の動画データが抽出される。
こうした場合にも、表示データ生成部13dは、抽出された動画データの各々を対象として対象識別情報の抽出処理を行う。そして、表示データ生成部13dは、抽出された複数の監視映像を1つの画面内に含め、かつ、監視映像ごとに抽出した対象識別情報を表示させるように、統合画像の表示データを生成する。これによっても、複数の監視映像と、監視映像ごとの対象識別情報とが含まれる統合画像が監視端末60に表示される。1つの受信機30に複数の撮影端末20が対応付けられているとき、統合画像には、同一の監視対象を互いに異なる角度から撮影した複数の監視映像が含まれることになる。
なお、図11および図12においては、統合画像Irとして、監視映像Iaに対象識別情報Ibが重ねて表示される例を示したが、図13が示すように、監視映像Iaとは異なる領域であって、監視映像Iaと同一の画面内の領域に、対象識別情報Ibが表示されてもよい。また、監視映像Iaと対象識別情報Ibとを含む1つの画面内には、すなわち、統合画像Irには、表示条件を選択するための領域等、監視映像Iaおよび対象識別情報Ib以外の情報を表示する領域が含まれてもよい。
以上のように、本実施形態の構成によれば、監視映像と、監視映像に含まれる監視対象についての対象識別情報とが、監視端末60における1つの画面内に同時に表示される。したがって、監視者は、監視映像に含まれる人物が、対象識別情報の示す人物であることを把握できる。それゆえ、監視者が、監視映像の示す領域に誰がいるのかや、特定の監視対象がどの場所にいるのかを判断する際、すなわち、監視映像に特定の監視対象が含まれるか否かを識別する際に、その識別に要する負荷を軽減することができる。
特に、工場や工事現場、医療現場等の作業現場においては、作業者の服装やヘルメット等の装着品が、互いに異なる作業者の間で似通っていることも多い。こうした作業現場を撮影した映像のみを頼りにして、映像に含まれる人物を見分けることは、監視者にとって負担が大きいため、本実施形態の監視映像表示システムの利用によって、監視者の負担を大きく減じることができる。また、例えば、顔認識の技術を利用して、監視対象の人物を識別することも可能ではあるが、顔認識により監視対象を識別するためには、監視対象の撮影の方向等、監視映像の撮影に求められる条件の制約が大きい。また、監視対象が帽子やマスク等のように作業上必要な共通の装着品を身に着けている場合には、識別の精度が低下せざるを得ない。これに対し、本実施形態によれば、撮影の条件や監視対象の装着品等による制約を受けることなく、監視映像と対象識別情報とを、1つの画面内に同時に表示させることが可能であるため、有用性が高い。
一方で、受信機30による発信機40の検知に基づく情報の表示とともに、監視対象を映像で確認可能であることによって、監視対象への成り済まし等が行われることが抑制可能であり、監視対象の確認についての確実性が高められる。また、監視映像に特定の監視対象が含まれるか否かを識別した上で、その監視対象の動作を目視で確認することもできる。
また、上述の説明では、発信機40を保持する監視対象が人物である場合を例示したが、発信機40を物品に取り付けることによって物品を監視対象とし、監視映像と対象識別情報とによって物品の所在等を確認することもできる。すなわち、発信機40を保持可能であれば、監視対象の種類は限定されない。監視対象が物品である場合、統合画像に含まれる対象識別情報は、対象IDや物品の名称等、監視対象を識別可能な情報であればよい。本実施形態では、監視対象に保持される発信機40と撮影端末20に対応付けられる受信機30との間における近距離での無線通信による情報の授受を利用して、統合画面の表示が実現されるため、赤外線センサーを利用して対象を検出する場合と異なり、人物のみならず物品を監視対象とすることができる。
特に、近距離での無線通信としてBLEが利用されることにより、受信機30は、当該受信機30を中心として、最大で半径が20m〜30m程度の範囲にて、発信機40の電波を受信することが可能であり、この範囲内において所望の範囲に受信範囲を設定可能である。例えば、近距離での無線通信のシステムの他の例として、HF帯やUHF帯を利用したパッシブ型のRFIDのシステムが挙げられるが、こうしたシステムにおいて、受信機が発信機としてのRFIDタグを検知可能な範囲、すなわち、受信機とRFIDタグとの間の通信距離は、HF帯で最大約1m程度であり、UHF帯で最大約10m程度である。また、赤外線センサーが温度変化を検出可能な範囲は、赤外線センサーと対象物との間の距離が数m程度である範囲に限られる。これらと比較して、BLEが利用されることにより、受信機30の受信範囲の設定についての自由度が高まり、受信範囲を広く確保することが可能であるため、監視領域が大きい場合であっても、システムに要する受信機30の数を低減することができる。
また、RFIDのシステムにおいて、受信機がRFIDタグを検知するためには、受信機とRFIDタグとが向かい合っている必要があるため、検知のための受信機とRFIDタグとの向きついての制約が大きい。これに対し、BLEが利用される構成であれば、検知のための受信機30と発信機40との向きによる制約が小さくなるため、受信機30の配置位置の設定に要する負荷が大きくなることや、検知のために監視対象の作業者の作業効率が低下することが抑えられる。さらに、近年、BLEに対応したスマートフォンやタブレット端末等の端末が増加しているため、登録端末50として用いることの可能な端末についての選択の自由度も高められる。したがって、BLEの利用によって、監視映像表示システムの汎用性が高められる。
[他の形態]
上述の統合画像に含まれる対象識別情報、すなわち、監視映像を撮影した撮影端末20に対応付けられている受信機30が、その監視映像の撮影時において受信している発信機IDに対応付けられている対象識別情報を、第1対象識別情報とする。こうした場合において、監視映像および第1対象識別情報に加えて、上記受信機30が、その監視映像の撮影時において受信していない発信機IDに対応付けられている対象識別情報である第2対象識別情報が、1つの画面内に表示され、かつ、第1対象識別情報と第2対象識別情報とが、別々の分類として識別可能に表示されていてもよい。
例えば、図15(a)において、手前側に位置するドットを付された物品に発信機40が取り付けられており、この発信機40の発信機IDと、対象情報における対象識別情報としてG01の対象IDおよび物品の名称である「部品A」が、発信機管理データ12bにて対応付けられているとする。
このとき、例えば、表示条件としてライブモードにてBR01の受信機30が指定された場合、図15(a)が示すように、監視端末60には、C01の撮影端末20が領域RAを撮影した監視映像Iaが表示される。さらに、BR01の受信機30に検知された発信機IDに対応付けられている対象識別情報Ibとして、P01および「秋葉一郎」と、G01および「部品A」とが、監視映像Iaと同一の画面に表示される。これらの対象識別情報は、いずれも、第1対象識別情報である。
その後、「部品A」の物品が動かされて、BR01の受信機30の受信範囲の外に移動したとする。この場合、図15(b)が示すように、監視端末60には、C01の撮影端末20が領域RAを撮影した監視映像Iaとともに、BR01の受信機30に検知された発信機IDに対応付けられた第1対象識別情報Ib1として、P01および「秋葉一郎」が表示される。さらに、BR01の受信機30に検知されていない発信機IDに対応付けられた第2対象識別情報Ib2として、G01および「部品A」が表示される。そして、第1対象識別情報Ib1であるP01および「秋葉一郎」と、第2対象識別情報Ib2であるG01および「部品A」とは、例えば、文字色の違いや、背景色の違い、あるいは、表示される領域の違い等によって識別可能に分類されて表示される。
こうした統合画像Irの表示のための表示データの生成に際しては、表示データ生成部13dは、第1対象識別情報の抽出処理として、上述の対象識別情報の処理と同様の処理を行う。また、表示データ生成部13dは、第2対象識別情報の抽出処理として、以下の処理を行う。すなわち、表示データ生成部13dは、監視映像の抽出処理にて抽出された動画データに対応する撮影端末IDと受信機管理データ12aにて対応付けられている受信機IDを特定する。表示データ生成部13dは、検知データ12dを参照して、特定した受信機IDの受信機30が、抽出された動画データの撮影時に受信していない発信機40の発信機IDを特定する。そして、表示データ生成部13dは、特定された発信機IDと発信機管理データ12bにて対応付けられている対象情報を特定し、特定した対象情報に含まれる少なくとも1つの対象識別情報を、統合画像に含める第2対象識別情報として抽出する。
そして、表示データ生成部13dは、抽出した監視映像と同一の画面に、抽出した第1対象識別情報と第2対象識別情報とを表示させるように、統合画像の表示のための表示データを生成する。その結果、監視端末60には、監視映像と、監視映像に含まれる監視対象の対象識別情報である第1対象識別情報と、監視映像に含まれない監視対象の対象識別情報である第2対象識別情報とが統合された統合画像であって、第1対象識別情報と第2対象識別情報とが分類されて示される画像が表示される。
ここで、受信機30ごとに、すなわち、受信機IDごとに、受信されていない場合に第2対象識別情報として対象識別情報を表示する対象の発信機IDが設定されていてもよい。例えば、上述の例において、G01および「部品A」の対象識別情報は、この対象識別情報に対応付けられている発信機IDが、BR01の受信機30に受信されていない場合にのみ、BR01の受信機30に対応付けられた撮影端末20の監視映像とともに、統合画像に含められてもよい。こうした構成によれば、例えば、上述の「部品A」である物品が、BR01の受信機30の受信範囲の外、具体的には領域RAの外へ出た場合に、領域RAを撮影した監視映像Iaとともに、G01および「部品A」の対象識別情報が表示される。
また、受信機30に代えて撮影端末20ごとに、すなわち、撮影端末IDごとに、その撮影端末20と対応付けられた受信機30によって受信されていない場合に第2対象識別情報を表示する対象の発信機IDが設定されていてもよい。さらに、各発信機IDに対し、特定の期間内において、いずれかもしくは特定の受信機30に受信されていないときに第2対象識別情報を表示するように、こうした期間が設定されていてもよい。また、発信機IDが、いずれかもしくは特定の受信機30に受信されている状態から、当該受信機30に受信されていない状態に推移したときに、所定の時間だけ、当該発信機IDに対応付けられた対象識別情報が第2対象識別情報として表示されてもよい。さらに、発信機IDが、いずれかもしくは特定の受信機30に受信されている状態から、当該受信機30に受信されていない状態に推移したときに、その通知が、メール等の利用により、監視情報管理サーバ10から監視端末60に送られてもよい。
こうした構成によれば、監視映像と、監視映像に含まれる監視対象についての対象識別情報と、監視映像に含まれない監視対象についての対象識別情報とが、監視端末60における1つの画面内に同時に表示される。したがって、監視者は、監視映像に含まれない監視対象をより容易に把握することが可能であり、監視映像に特定の監視対象が含まれるか否かの識別に要する負荷をより軽減することができる。また、受信機30ごとや撮影端末20ごとに、第2対象識別情報を表示させる発信機IDが設定されている構成では、特定の監視対象が予め設定された領域に位置しない場合に、その領域を撮影した撮影映像とともに、その監視対象を示す対象識別情報が監視端末60に表示される。したがって、監視者は、監視対象があるべき位置に存在しないことを容易に把握することができる。
なお、上述の説明においては、第2対象識別情報を表示させる監視対象が物品である場合を例示したが、第2対象識別情報を表示させる監視対象は人物であってもよい。こうした構成によれば、監視者は、監視対象である人物が監視領域に居るか居ないかをより容易に把握することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)監視映像と、当該監視映像を撮影した撮影端末20に対応付けられている受信機30が、当該監視映像の撮影時に受信した発信機IDに対応付けられる対象識別情報とが、監視端末60において、1つの画面内に表示される。すなわち、監視映像と、監視映像に含まれる監視対象についての対象識別情報とが、1つの画面内に表示される。したがって、監視者が、監視映像に特定の監視対象が含まれるか否かを識別する際に、その識別に要する負荷を軽減することができる。
(2)監視端末60は、表示条件の入力を受け付け、表示条件に応じた監視映像を、統合画像を構成する監視映像として表示する。そして、表示条件は、監視領域内の領域を指定する情報、すなわち、監視領域のなかで、統合画像を構成する監視映像に含まれる領域を指定する情報、および、監視対象を指定する情報、すなわち、複数の監視対象のなかから、統合画像を構成する監視映像に含まれる監視対象を指定する情報の少なくとも一方を含む。こうした構成によれば、監視領域内の領域や複数の監視対象のなかの対象を指定して、監視映像を表示させることができるため、監視者は、確認したい場所や対象をより容易に確認することができる。したがって、監視者の利便性が高められる。
(3)表示条件には、時刻を指定する時刻指定情報が含まれ、監視端末60は、撮影端末20が過去に撮影した監視映像のなかで、時刻指定情報によって指定される時刻に撮影された監視映像を、統合画像を構成する監視映像として表示する。こうした構成によれば、過去の監視映像について、監視領域内の領域や複数の監視対象のなかの対象を指定して、監視映像を表示させることができるため、監視者は、過去の監視領域や監視対象について、確認したい場所や対象を的確に確認することが可能である。したがって、監視者の利便性が高められ、過去の監視映像が、過去の監視領域における監視対象の記録として有効に利用できる。
(4)統合画像が、第1対象識別情報と第2対象識別情報とを含み、第1対象識別情報と第2対象識別情報とが、別々の分類として識別可能に表示される。こうした構成によれば、監視映像に含まれる監視対象についての対象識別情報と、監視映像に含まれない監視対象についての対象識別情報とが、分類されて監視映像とともに表示される。したがって、監視者による監視映像に特定の監視対象が含まれるか否かの識別に要する負荷をさらに軽減することができる。
(5)1つの撮影端末20に、複数の受信機30が対応付けられており、統合画像は、これら複数の受信機30の各々が、監視映像の撮影時に受信した発信機IDに対応付けられる対象識別情報を含む。上記構成によれば、撮影端末20の撮影範囲を広く設定することも可能であり、監視領域の大きさや構造に応じた撮影端末20と受信機30との配置の自由度が高められる。
(6)統合画像は、共通する1つの受信機30に対応付けられた複数の撮影端末20の各々が撮影した監視映像と、当該監視映像の撮影時に上記受信機30が受信した発信機IDに対応付けられる対象識別情報とを含む。上記構成によれば、1つの監視対象を異なる角度から撮影した監視映像を1つの画面内に表示させることができる。したがって、監視者は、監視対象のより詳細な様子を確認することができる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・表示条件に含まれる、監視領域内の領域を指定する情報は、受信機管理データ12aに含まれる項目であればよく、受信機IDに代えて、撮影端末IDが指定されてもよい。こうした監視領域内の領域を指定は、例えば、監視端末60に、監視領域を示す地図が表示され、監視者が、操作部を通じて、この地図のなかから監視映像として確認したい領域を選択することによって、指定されてもよい。
また、表示条件に含まれる、監視対象を指定する情報は、発信機管理データ12bに含まれる項目であればよく、対象IDに代えて、発信機IDが指定されてもよい。さらに、監視対象を指定する情報は、例えば、特定の受信機30に検知された後に、他の特定の受信機30に検知された発信機IDというように、監視対象の移動の経路の指定によって、監視対象を指定する情報であってもよい。
また、表示条件に含まれる時刻指定情報は、期間に限らず、統合画像を構成する監視映像の撮影時刻を指定する情報であればよく、例えば、統合画像を構成する監視映像の撮影の開始時刻のみを指定する情報であってもよい。この場合、この開始時刻以降に撮影された監視映像が、統合画像として監視端末60に表示される。なお、時刻指定情報は、日付とともに時刻を指定する情報であればよい。
・監視端末60に表示される統合画像は、監視映像および対象識別情報に加えて、この対象識別情報とともに発信機IDに対応付けられている監視対象の属性を示す情報や、この対象識別情報に対応する発信機IDを受信している受信機30についての情報や、監視映像を撮影した撮影端末20についての情報を含んでもよい。すなわち、監視情報管理サーバ10の表示データ生成部13dは、これらの情報を1つの画面内に表示させるように、表示データを生成してもよい。
・監視情報管理サーバ10は、監視映像を利用したパターン認識処理を行ってもよい。例えば、監視情報管理サーバ10は、監視映像に含まれる人物の外形を認識することにより、監視映像に含まれる人物の人数を検出し、検出結果を統合画像に含めて監視端末60に表示させてもよい。こうした構成によれば、監視者は、パターン認識により検出された人物の人数と、対象識別情報が表示されている監視対象の数との比較によって、監視映像に、登録されている監視対象以外の人物が含まれているか否かを容易に識別することが可能であり、監視領域内における不審者の有無の判断も可能である。また、監視情報管理サーバ10は、パターン認識により検出された人物の人数と、対象識別情報が表示されている監視対象の数とを比較して、その数に違いがあるときに、警告を統合画像に含めて監視端末60に表示させたり、監視端末60に通知を行ったりしてもよい。
また例えば、監視情報管理サーバ10は、発信機管理データ12bとして、発信機IDに対応付けられた監視対象の顔のデータを保持し、このデータに基づいて監視映像に含まれる人物の顔認識を行って、その認識結果を統合画像に含めて監視端末60に表示させてもよい。こうしたパターン認識処理には、公知のパターン認識技術が用いられればよい。
・受信機30と発信機40との間における情報の授受に用いられる無線通信は、BLEに限らず、近距離での無線通信であればよく、例えば、RFIDのシステムにて用いられる、HF帯やUHF帯を利用した非接触通信であってもよい。