JP2019006979A - コークスの製造方法及びコークスの製造に用いる石炭の事前処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥しようとする石炭水分が11%を超えるような場合に、石炭を乾燥機に投入する前に簡易的に水分を10%以下に低下させた後に乾燥する手段を提供する。【解決手段】粉砕した石炭を乾燥した後にコークス炉に装入して乾留するコークスを製造する際、粉砕した石炭に粒径6mm超の吸水剤を混合して調湿した後、吸水剤を石炭から分離除去し、調湿した石炭を乾燥機で乾燥する。【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄原料として用いるコークスの製造に関するもので、特に、コークスを製造する際の装入炭の事前処理方法及び装入炭の事前処理設備に関する。
製鉄原料として用いるコークスの製造では、石炭資源の有効利用を目的として、装入炭水分を5〜6質量%程度に調湿した後にコークス炉に装入することが行われている。
石炭は、野外の石炭ヤードに山積みされているため、降雨によっては石炭中の水分が過剰に高くなるような場合がある。特に雨が多い時期には、水分が11質量%超、場合によっては15質量%にもなることがある。
製鉄分野においては、石炭乾燥機を用いた設備による調湿が普及しており、一般的な石炭乾燥機では、平均的な石炭水分(日本では年平均で10−11質量%程度)を水分5−6質量%程度まで低下させるように設計されている。しかし、11質量%を超えるような高水分の石炭をヤードから搬送して乾燥機に投入すると、乾燥機内や付属の搬送設備での石炭の付着や目詰まり等を誘発し、投入量が多すぎる場合など、乾燥機の運転停止につながることが懸念される。
このため、石炭が高水分の場合にも、乾燥設備で石炭の付着等を発生させないで操業できることが求められている。
石炭の調湿手段として、石炭乾燥機による方法以外に、鉄粉などの磁性体を含有する高吸水性樹脂を石炭に混合し、石炭と高吸水性樹脂(吸水剤)を接触させて、石炭中の水分を高吸水性樹脂に吸水させ、その後磁石を用いて高吸水性樹脂を石炭から回収する方法が、特許文献1〜3などで知られている。
しかしながら、この方法では、感温吸脱水性樹脂や磁性体等を混合することで吸水剤のコストが向上する課題があり、より簡便な方法が求められている。
特開平4−66125号公報 特開平5−179148号公報 特開平6−55070号公報
乾燥機による石炭の乾燥では、上記のように、石炭が過剰に水分を含有するときの対応が求められている。そこで、本発明は、乾燥しようとする石炭の水分量が、例えば11質量%を超えるような過剰の場合に、石炭を乾燥機に投入する前に簡易的に水分を11質量%以下に低下させ、設備への石炭の付着を防止できる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、含水量が過剰の石炭の乾燥に当たり、吸水剤の混合による事前の水分除去と乾燥機を用いた水分除去を組み合わせたプロセスを考案した。
その際に、粒径6mm超の吸水剤を用いることにより、吸水剤に磁性体を含有させなくても、石炭と吸水剤のふるい分けができることを見出した。
また、吸水剤による水分除去の際の目標の水分量について検討したところ、水分を含んだ石炭の付着力が、乾燥機内や周辺設備等での石炭の付着の発生に関係していることを見出し、石炭の付着力に基づいて目標の水分量を決定することにより、設備への付着の発生なく調湿設備を効率的に稼働できることを見出した。
本発明は、そのような知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)粉砕した石炭を乾燥した後にコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、粉砕した石炭に粒径6mm超の吸水剤を混合して調湿した後、吸水剤を石炭から分離除去し、調湿した石炭を乾燥機で乾燥することを特徴とするコークスの製造方法。
(2)粉砕した石炭の水分量を測定し、水分量が11質量%を超えている場合に、前記吸水剤を石炭に混合して、水分量が11質量%以下になるように調湿することを特徴とする上記(1)に記載のコークスの製造方法。
(3)事前に水分量11質量%で設備への付着が生じない石炭を用いて水分量11質量%での付着力を測定して、その値を基準値として設定し、他の石炭を調湿する際、下記の[a]または[b]のようにすることを特徴とする上記(1)に記載のコークスの製造方法。
[a]水分量11質量%での付着力が前記基準値以下の石炭については、水分量が11質量%を超える場合に、吸水剤を石炭に添加して水分量が11質量%以下になるように調湿する。
[b]水分量11質量%での付着力が前記基準値を超える石炭については、含有させる水分量を変更して付着力を測定して水分量と付着力の関係を求め、この関係より付着力が前記基準値以下となる目標水分量を求め、その石炭の水分量が前記目標水分量を超える場合に、吸水剤を石炭に添加して水分量が前記目標水分量以下になるように調湿する。
(4)コークス製造用の原料炭を貯留する原料炭ホッパーと、原料炭ホッパーから切り出された原料炭を粉砕する粉砕機と、粉砕機で得られた粉砕炭を貯留する粉砕炭ホッパーと、粉砕炭ホッパーから切り出された粉砕炭を乾燥する石炭乾燥機を備え、さらに、前記粉砕後の粉砕炭に吸水剤を添加する添加装置と、粉砕炭ホッパーから切り出された吸水剤が混合された粉砕炭から吸水剤を分離除去する吸水剤除去装置を備えることを特徴とするコークス製造用装入炭の事前処理設備。
本発明によれば、乾留する石炭の水分が11質量%を超えるような過剰の場合に、コストの上昇を抑えてコークスを製造することができる。
石炭を乾燥してコークス炉に装入するまでの処理のフロー及び処理設備を説明するための図である。 二種類の配合炭について含有する水分量と付着力の関係を示す図である。
本発明では、高吸水性樹脂を用いた吸水剤による事前水分除去と乾燥機を用いた水分除去を組み合わせたプロセスによって、石炭を乾留に適した水分量に調湿する。その際に、高吸水性樹脂体に磁性体を含有させないで、吸水剤と石炭を分離する手段についてまず検討した。
吸水剤の大きさについて、従来技術では、粉粒体と吸水剤が充分に接触できる大きさが必要で、粒径0.5〜5mmが好ましく、大きすぎると粉粒体と吸水剤との接触効率が低下するので好ましくないとされていた(例えば、特許文献1の段落0017参照)。
しかし、本発明者は、粒径の大きな吸水剤を使うことで、石炭との接触効率は低下するが、鉄粉を混入させなくても、石炭粒子とのサイズ差で吸水剤を分離することができることを見出した。また、吸水剤が大きくなって接触効率が低くなっても、石炭中の水分量を、設備への付着を防止できる水分量(例えば、11質量%以下)に下げる場合には、問題なく調湿できることを見出した。
なお、以下では、水分量についての%は、質量%を意味するものとする。
すなわち、一般的に、コークス炉に装入される石炭は平均粒度2mm程度に粉砕されるので、従来用いられていた吸水剤の大きさでは、粉砕後の石炭の大きさと同程度となり、大きさの違いを利用してふるいなどで分離することはできない。これに対し、添加する吸水剤の粒径を6mm超とすると、ふるい目6mmのふるいにより、粉砕された石炭と吸水剤を容易に分離できる。
また、水分量が11%超と多い場合であれば、粒径6mm超の吸水剤を用いても、11%以下の水分量に低下できることが判った。なお、吸水剤の粒径は、ふるい目でふるい分けする観点から、最大径を意味している。
次に、乾燥機で乾燥する前に粒径6mm超の吸水剤により調湿する際の水分量の目安について検討したところ、石炭の水分量を11%以下にすれば、多くの石炭調湿設備で、石炭の設備への付着が生じることなく石炭を5〜6%に調湿できる。しかし、石炭配合によっては設備への付着が発生する場合があり、吸水剤による事前の調湿が必要となる水分量を、配合炭ごとに定める必要があることが判った。
そこで、さらに検討した結果、配合炭の種類によって設備への付着の発生する水分量に差があることは、同じ水分量でも石炭によって付着性に差があるためと考えられることから、水分を含む石炭の付着性を水分量との関係で定量的に評価し、付着性の高い石炭については、水分量が11%以下であっても吸水剤を用いることを着想した。
本発明は、以上のような検討過程を経てなされたもので、以下、コークスの製造における、本発明の基本的な石炭の乾燥処理のフロー及び設備について図1を参照して説明する。
石炭ヤードに山積みされた石炭は原料炭ホッパー1に搬送される。原料炭ホッパー1に貯蔵された石炭は、必要な量切り出され、粉砕機2で所定の粒度に粉砕された粉砕炭とされる。この時、粉砕炭の水分が過剰である場合には、添加装置3により粉砕炭に吸水剤を添加した後に粉砕炭ホッパー4に搬送される。この際、混合機により粉砕炭と吸水剤を混合して粉砕炭ホッパー4に搬送することもできる。
粉砕炭中の水分は、この粉砕炭ホッパー4で貯蔵される間に一部が吸水剤に移行する。粉砕炭ホッパー4から排出された粉砕炭と吸水剤は、吸水剤除去装置5により互いに分離され、粉砕炭から吸水剤は除去され、除去された吸水剤は回収される。
吸水剤を除去して水分を11%以下の所定の水分量とした石炭は、既存の石炭調湿設備の乾燥機6に搬送して乾燥し、その後コークス炉7に装入してコークスを製造する。
吸水剤除去装置5により回収された吸水剤は水分除去装置8により脱水され、吸水剤添加装置3に戻される。
吸水剤除去装置は、6mmあるいはそれ以上の目開きのふるい、あるいはスクリーンが使用できる。吸水剤は水を吸うことで6mmよりも大きくなり、このふるい、あるいはスクリーンにより確実に粉砕炭から除去できる。
回収された吸水剤は、水分除去装置において、製鉄所内で活用されていない低温排熱を活用して水分を除去し、リサイクルして使うことが可能である。
添加する吸水剤の粒径は粒径6mm超とする。この大きさでも、例えば水分11%超の粉砕炭の水分を11%以下に低下させるには十分である。
吸水剤としては、一般的に知られている高吸水性樹脂を用いた吸水剤が使用できる。特許文献1〜3などの鉄粉が混合された吸水剤では、吸水剤の強度が低下する傾向があり、繰り返して使用するうちに崩れて鉄粉が脱落するために、吸水剤の回収率が低下してしまう問題があったが、本発明で用いる吸収剤は鉄粉を含有せず、材料の選択によって強度を高くすることができるので、繰り返し使用により回収率が低下するような問題はない。
吸水剤の添加は、粉砕機の出口で粉砕後の粉砕炭の水分を水分計で測定し、基本的には、石炭の水分量が設備への付着を生じない水分量の上限値(例えば、11%)を超えた時に行う。
また、吸水剤の添加量は、吸水剤除去装置の出口での粉砕炭の水分が、例えば11%以下で定めた目標値になるように、その水分の測定値に応じて調整することができる。ちなみに、吸水剤の添加量は、臨界水分量を超えた粉砕炭の乾燥炭ベースの質量に対して、外数で0.05〜1.00%の範囲で調整されることが例示できる。
本発明者の検討では、石炭の水分量を11%以下にすれば多くの石炭の銘柄で設備への付着を生じることなく石炭を5〜6%に調湿ができた。しかし、石炭配合によっては水分量が11%以下であっても設備への付着が発生することがあった。
この原因について、本発明者は、前述のように、石炭の銘柄により水分を含んだ時の付着性に差があることが原因ではないかと考え、付着性を定量的に評価することによって基準となる水分量を設定することとした。
付着性は、例えば文献[日本粉体工業会編:粉流体計測ハンドブック(日刊工業新聞社)(1981)]や、「早川宗八郎編:粉体物性測定法(朝倉書店)(1973)」などに記載されている粉体付着力測定方法で測定した付着力で評価できる。この方法では、石炭粉体試料を所定の水分に調整し、容器(セル)に充填して所定高さまで圧密充填後、垂直方向に引っ張り荷重をかけ、破断時の荷重を断面積で除した値を、石炭試料が有する付着力とする。
図2に、二種類の配合炭AとBについて水分と付着力の関係を上記の方法で求めた例を示す。ここでは、44μm以下に粉砕した石炭試料を6〜14%の水分に調整して、セル(断面積10cm、上部セル高さ3cm、下部セル高さ1cm)に充填率40〜50%で充填し、上記のように引っ張り荷重をかけて破断時の付着力(gf/cm2)を求めた。
図2より、石炭銘柄により水分と付着力の間の関係が異なっていることがわかる。
この配合炭A、Bを水分15%の高水分の状態にし、事前に吸湿性樹脂で水分11%に調湿した後、流動層式乾燥機を有する既存の石炭調湿設備X、Yで調湿する試験を行った。
石炭調湿設備Xにおいては、配合炭Aでは設備への付着が生じることなく操業できたが、配合炭Bでは、設備への付着が発生した。
図2より、水分11%の付着力は、配合炭Aで1kPaであったが、配合炭Bでは、1.1kPaであった。そこで、配合炭Bの水分を付着力1kPaである10%にして、石炭調湿設備Xに装入したところ、問題なく操業することができた。
一方、石炭調湿設備Yでは、配合炭A、Bともに、吸水性樹脂で水分11%以下とすると問題なく操業できた。
これは、石炭調湿設備により搬送工程が大きく異なることによるものと考えられる。例えば、ベルトコンベアの長さ、コンベア乗継回数、乗り継ぎ部にあるシュートの構造(材質、角度、付着防止対策の有無)は、石炭調湿設備ごとに異なっている。石炭調湿設備Yは、石炭調湿設備Xと比較して、コンベアの乗継回数が少なく、また、シュートにも付着しにくい材質を使うなどの付着防止対策がとられていた。このため、プラントXより高い付着力でも石炭の設備への付着が生じなかったと考えられる。
以上の結果に基づき、特定の石炭調湿設備において、事前に水分11%で設備への付着が生じない石炭の水分11%での付着力を測定して、その値を「基準値」として設定し、他の石炭を調湿する際、次の(a)、(b)のようにする。
(a)水分量が11%で付着力が「基準値」以下の石炭(配合炭)については、水分量が11%を超える場合に、吸水剤をその石炭に添加して水分量が11%以下になるように調湿して、乾燥機に装入する。
(b)水分量が11%で付着力が「基準値」を超える石炭については、含有させる水分を変更して付着力を測定して水分量と付着力の関係を求め、この関係より付着力が「基準値」以下となる「目標水分量」を求め、その石炭の水分量が「目標水分量」を超える場合に、吸水剤をその石炭に添加して水分量が「目標水分量」以下になるように調湿して、乾燥機に装入る。
ここで付着力の「基準値」は、一般的には前述の1kPaでよいが、前述のように設備への付着の発生のしやすさが異なる石炭調湿設備も存在するので、対象とする石炭調湿設備において設備への付着をおこさない上限の付着力を求めればよい。
以上のように、石炭の配合や調湿設備ごとに吸水剤による事前調湿を行う基準となる水分量を決めるようにすれば、必要な時だけ吸水剤による脱水設備を稼働させることができ、さらに効率的に付着トラベルを防止できる。
3mmふるい下質量が70質量%になるように粉砕した粉砕炭であって、含水量を種々に調整した粉砕炭に、種々の粒径の高吸水性樹脂よりなる吸水剤を、粉砕炭の乾燥炭ベースの質量に対して、外数で0.5質量%で混合して、3時間放置する調湿処理を実施した後、ふるい目6mmのふるい(吸水剤除去装置)により吸水剤を粉砕炭から除去した。
調湿処理後の粉砕炭の残留水分量を測定するとともに、吸水剤の回収率を求めた。
なお、ここで用いた粉砕炭は、水分量11質量%で設備への付着が生じない石炭を用いた。
表1に、吸水剤の粒径、調湿処理前後の粉砕炭の水分量、処理による水分低下代、吸水剤の回収率を示す。
粒径7〜10mmの球状の吸水剤を用いることで、処理前の含水量が11〜15%の粉砕炭の水分を、11質量%以下に低減することができた。
また、吸水剤は、石炭との混合時に小さく破壊されることもなく、6mmのふるいを用いることで、98質量%以上の吸水剤を回収することができた。
Figure 2019006979

Claims (4)

  1. 粉砕した石炭を乾燥した後にコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
    粉砕した石炭に粒径6mm超の吸水剤を添加して調湿した後、吸水剤を石炭から分離除去し、調湿した石炭を乾燥機で乾燥することを特徴とするコークスの製造方法。
  2. 粉砕した石炭の水分量を測定し、水分量が11質量%を超えている場合に、前記吸水剤を石炭に添加して、水分量が11質量%以下になるように調湿することを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 事前に、水分量11質量%で設備への付着が生じない石炭を用いて水分量11質量%での付着力を測定して、その値を基準値として設定し、他の石炭を調湿する際、下記の(a)または(b)のようにすることを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
    (a)水分量11質量%での付着力が前記基準値以下の石炭については、水分量が11質量%を超える場合に、吸水剤を石炭に添加して水分量が11質量%以下になるように調湿する。
    (b)水分量11質量%での付着力が前記基準値を超える石炭については、含有させる水分量を変更して付着力を測定して水分量と付着力の関係を求め、この関係より付着力が前記基準値以下となる目標水分量を求め、その石炭の水分量が前記目標水分量を超える場合に、吸水剤を石炭に添加して水分量が前記目標水分量以下になるように調湿する。
  4. コークス製造用の原料炭を貯留する原料炭ホッパーと、原料炭ホッパーから切り出された原料炭を粉砕する粉砕機と、粉砕機で得られた石炭を貯留する粉砕炭ホッパーと、粉砕炭ホッパーから切り出された石炭を乾燥する石炭乾燥機を備え、
    さらに、前記粉砕後の石炭に吸水剤を添加する添加装置と、粉砕炭ホッパーから切り出され、吸水剤が混合された石炭から吸水剤を分離除去する吸水剤除去装置を備えることを特徴とするコークス製造用装入炭の事前処理設備。
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