JP2019006732A - Mycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法 - Google Patents

Mycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法 Download PDF

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文雄 深井
Fumio Fukai
文雄 深井
学 笹田
Manabu Sasada
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Abstract

【課題】ペプチドを用いた新規なMycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法の提供。【解決手段】以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを有効成分として含む、Mycタンパク質阻害剤。(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。【選択図】なし

Description

本発明は、Mycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法に関する。
Mycタンパク質は、細胞外からのシグナルに応じて核内に移行し、転写因子として細胞の分裂・増殖を促す機能をもつ。また、神経芽腫等の一部の疾患においてMycタンパク質の発現が亢進することが知られている。従って、Mycタンパク質を阻害する作用を有する物質を見出すことは、Mycタンパク質の発現の亢進を伴う疾患の治療薬及び治療方法の発展に寄与すると考えられる。
一方、生体由来のペプチドの抗腫瘍作用の利用が検討されている。たとえば、フィブロネクチン由来のアミノ酸配列からなるペプチドがPDGF依存性の腫瘍細胞の増殖又は分散の抑制に有用であるとの報告がなされている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2015/194643号
上記のように、ペプチドを抗腫瘍剤等の医薬品として利用する試みは種々なされているが、Mycタンパク質を阻害する作用をペプチドに見出した事例はこれまで報告されていない。
本発明者らは上記状況に鑑み、ペプチドを用いた新規なMycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下のとおりである。
<1>以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを有効成分として含む、Mycタンパク質阻害剤。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
<3>前記細胞は神経芽腫、肺がん、神経膠腫、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝がん、食道がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、髄芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病及び急性前骨髄性白血病からなる群より選択される少なくとも1種の細胞である、<2>に記載のMycタンパク質阻害剤。
<4><1>〜<3>のいずれか1項に記載のMycタンパク質阻害剤を、Mycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させることを含む、Mycタンパク質阻害方法。
<5>以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを有効成分として含む、抗神経芽腫剤。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつN−Mycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつN−Mycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
<6>以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを患者に投与することを含む、Mycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
本発明によれば、ペプチドを用いた新規なペプチドを用いた新規なMycタンパク質阻害剤、Mycタンパク質阻害方法、抗神経芽腫剤及びMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法が提供される。
特定ペプチドのMycタンパク質阻害作用の評価結果を示す図である。 特定ペプチドによる神経芽腫の成長抑制効果の評価結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。これらの説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。アミノ酸配列の記載は左側がN末端側であり、アミノ酸残基は当該技術分野で周知の一文字表記(例えば、グリシン残基を「G」)または三文字表記(例えば、グリシン残基を「Gly」)で表記する場合がある。
<Mycタンパク質阻害剤>
本発明のMycタンパク質阻害剤は、以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチド(以下、特定ペプチドともいう)を有効成分として含む。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質の分解を誘導する作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
上記(a)であるペプチドのアミノ酸配列は、細胞外マトリックスタンパク質分子の一つであるフィブロネクチンを構成するフィブロネクチンIII型ドメインに由来するもの(FNIII14)である。
特定ペプチドが(b):アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるペプチドである場合、欠失、置換若しくは付加されるアミノ酸残基の数は特定ペプチドがMycタンパク質の分解を誘導する作用を有する範囲であれば特に制限されない。例えば、1個〜4個であることが好ましく、1個〜3個であることがより好ましく、1個又は2個であることがより好ましい。合成の効率、取扱性、安定性等の観点からは、(b)のペプチドのアミノ酸残基の総数は30以下であることが好ましく、28以下であることがより好ましく、25以下であることがより好ましい。
Mycタンパク質阻害剤によるMycタンパク質の阻害は、種々の態様で観察されうる。例えば、Mycタンパク質阻害剤を用いる前後におけるMycタンパク質の過剰発現の抑制、減少、消失等にとして観察されうる。Mycタンパク質の阻害は、例えば、生成したMycタンパク質の分解により達成されるものであってもよく、Mycタンパク質の生成自体の抑制によるものであってもよい。
Mycタンパク質阻害剤による阻害の対象となるMycタンパク質は、細胞中に存在していることが好ましく、Mycタンパク質の発現が亢進している細胞中に存在していることが好ましい。細胞中でMycタンパク質の発現が亢進しているか否かは、公知の方法により確認することができる。
Mycタンパク質は、種々の腫瘍においてその発現の亢進が認められる。従って、Mycタンパク質の発現の亢進を伴う腫瘍を形成する細胞にMycタンパク質阻害剤を接触させることで、腫瘍の成長抑制、縮小、消失等に加えて、腫瘍の浸潤や転移の抑制等の効果が期待できる。
Mycタンパク質としては、N−Mycタンパク質、L−Mycタンパク質及びc−Mycタンパク質が知られている。Mycタンパク質阻害剤の対象となるMycタンパク質は、これらのいずれであってもよい。
N−Mycタンパク質の発現の亢進を伴う腫瘍として具体的には、神経芽腫、肺がん、神経膠腫、乳がん、膵がん、髄芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽腫、急性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病等が挙げられる。
L−Mycタンパク質の発現の亢進を伴う腫瘍として具体的には、肺がんを始めとする少数の腫瘍が挙げられる。
c−Mycタンパク質の発現の亢進を伴う腫瘍として具体的には、肺がん、神経膠腫、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝がん、食道がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、髄芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病等の多くの悪性腫瘍が挙げられる。
Mycタンパク質阻害剤に含まれる特定ペプチドは、用途に応じて種々の改変を施してもよい。例えば、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマー、硫酸基、水溶性アミノ酸などを特定ペプチドの末端に連結して水溶性を向上させたり、多量体化したりしてもよい。また、特定ペプチドを構成するアミノ酸残基のそれぞれは本発明の効果が達成される限りL体又はD体のいずれであってもよい。体内での特定ペプチドの分解を抑制する観点からは、アミノ酸配列の少なくとも1部(例えば、第2位のGlu)をD体とすることが好ましい。特定ペプチドの作製方法は特に制限されず、遺伝子工学的方法又は有機合成化学的方法のいずれであってもよい。
Mycタンパク質阻害剤は、使用態様に応じて特定ペプチド以外の成分を含んでいてもよい。特定ペプチド以外の成分としては、薬剤の調製に一般に用いられる媒質及び製剤用添加物を挙げることができる。媒質及び製剤用添加物の種類は、特に制限されない。媒質としては、固体媒質(例えば、ゼラチン、乳糖)及び液体媒質(例えば、アルコール、水、生理食塩水)が挙げられる。製剤用添加物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤などが挙げられる。
Mycタンパク質阻害剤の形態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ、乳剤、リモナーデ剤等の経口投与に適した形態、注射用アンプル剤、注射用凍結乾燥粉末剤、経肺投与用乾燥粉末剤などが挙げられる。
<Mycタンパク質阻害方法>
本発明のMycタンパク質阻害方法は、以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチド(特定ペプチド)をMycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させることを含む。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
特定ペプチドの詳細及び好ましい態様は、上述したMycタンパク質阻害剤に有効成分として含まれる特定ペプチドの詳細及び好ましい態様と同様である。
特定ペプチドをMycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させる方法は特に制限されず、経口投与、静脈内投与、留置等の外科的処置等を挙げることができる。細胞に接触させる特定ペプチドの量は特に制限されず、細胞の状態、特定ペプチドとともに使用する他の成分の種類、量等に応じて選択できる。
Mycタンパク質阻害方法は、Mycタンパク質阻害剤をMycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させることに加え、他の工程を有していてもよい。例えば、Mycタンパク質阻害剤以外の薬剤をMycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させる工程を有していてもよい。
<抗神経芽腫剤>
本発明の抗神経芽腫剤は、以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチド(以下、特定ペプチドともいう)を有効成分として含む。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつN−Mycタンパク質の分解を誘導する作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつN−Mycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
特定ペプチドの詳細及び好ましい態様は、上述したMycタンパク質阻害剤に有効成分として含まれる特定ペプチドの詳細及び好ましい態様と同様である。
神経芽腫は交感神経系の未分化な細胞に生じる固形腫瘍であり、小児がんの一種である。神経芽腫の進行期には、N−Mycタンパク質の発現が亢進することが知られている。本発明の抗神経芽腫剤は、N−Mycタンパク質阻害作用を有する特定ペプチドを有効成分として含み、これを神経芽腫の患者に投与することで、N−Mycタンパク質の発現の亢進を伴う腫瘍の成長が抑制される。また、本疾患発症の原因の一つであるN−Mycタンパク質による神経細胞分化の停滞や阻害を解除して、神経芽腫細胞を正常な形質へと誘導することが可能となる。このため、神経芽腫の治療に有効である。
抗神経芽腫剤を神経芽腫の患者に投与する方法は特に制限されず、患者の神経芽腫の細胞に接触させる方法であれば特に制限されない。例えば、経口投与、静脈内投与、留置等の外科的処置等を挙げることができる。抗神経芽腫剤の投与量は特に制限されず、腫瘍の状態、特定ペプチドとともに使用する他の成分の種類や量等に応じて選択できる。
抗神経芽腫剤に含まれる特定ペプチドは、用途に応じて種々の改変を施してもよい。例えば、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマー、硫酸基、水溶性アミノ酸などを特定ペプチドの末端に連結して水溶性を向上させたり、多量体化したりしてもよい。また、特定ペプチドを構成するアミノ酸残基のそれぞれは本発明の効果が達成される限りL体又はD体のいずれであってもよい。体内での特定ペプチドの分解を抑制する観点からは、アミノ酸配列の少なくとも1部(例えば、第2位のGlu)をD体とすることが好ましい。特定ペプチドの作製方法は特に制限されず、遺伝子工学的方法又は有機合成化学的方法のいずれであってもよい。
抗神経芽腫剤は、使用態様に応じて特定ペプチド以外の成分を含んでいてもよい。特定ペプチド以外の成分としては、薬剤の調製に一般に用いられる媒質及び製剤用添加物を挙げることができる。媒質及び製剤用添加物の種類は、特に制限されない。媒質としては、固体媒質(例えば、ゼラチン、乳糖)及び液体媒質(例えば、アルコール、水、生理食塩水)が挙げられる。製剤用添加物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤などが挙げられる。
抗神経芽腫剤の形態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ、乳剤、リモナーデ剤等の経口投与に適した形態、注射用アンプル剤、注射用凍結乾燥粉末剤、経肺投与用乾燥粉末剤などが挙げられる。
<Mycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法>
本発明のMycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法は、以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを患者に投与することを含む。
(a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
(c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
本明細書において疾患の「治療」には、当該疾患に起因する症状を消失又は軽減させることのほか、症状の進行の度合いを抑制することも含まれる。特定ペプチドを患者に投与する方法は特に制限されず、経口投与、静脈内投与、外科的処置等を挙げることができる。患者に投与する特定ペプチドの量は特に制限されず、腫瘍の状態、特定ペプチドとともに使用する他の成分の種類や量等に応じて選択できる。本発明の治療方法は、特定ペプチドを有効成分とする薬剤の単独使用であっても、ATRA(オールトランスレチノイン酸)等のその他の薬剤との併用であってもよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1 Mycタンパク質阻害効果の評価>
特定ペプチドによるMycタンパク質の阻害効果を以下の試験によって評価した。
N−Mycタンパク質は、ウエスタンブロット法により以下の手順に従って検出した。ヒト神経芽腫細胞株 IMR−32 (1x10 cells)をLaemmli buffer(125 mM Tris−HCl(pH6.8),2mM PMSF,5 microg/mL aprotinin, 30 mM NaF, 200 microM o−vanadate,5 mM NEM,1 mM EDTA)で溶かし、100℃で煮沸後に超音波破砕したものを試料とした。BCA Protein assay kit によりタンパク質量を定量し、5% 2−MEを加えて還元した。一定量のタンパク質をSDS−PAGE により分離した後、泳動タンパク質をPVDF膜に転写し、2% スキムミルクで室温1時間ブロッキングした後、500倍希釈した一次抗体(マウス抗N−Myc抗体(NCMII100),Calbio Chem社)と37℃で1時間反応させた。膜をバッファーで3回洗った後、0.2%のスキムミルクを含むバッファーで15,000倍希釈した二次抗体(POD標識ヤギ抗マウスIgG抗体)と室温で1時間反応させた。最後にImmobilon Western Chemiluminesncent HRP substrate と反応させ、Las 3000 mini を用いてバンドを検出した。結果を図1に示す。
図1に示す結果から、特定ペプチド(FNIII14)の存在下ではN−Mycタンパク質の分解が促進されることがわかった。また、特定ペプチドのN−Mycタンパク質阻害作用は、特定ペプチド単独でもATRAと併用した場合でも認められた。
<実施例2 神経芽腫治療効果の評価>
特定ペプチドによる神経芽腫の治療効果を以下の試験によって評価した。
5週齢雄性Balb/c Slc−nu/nuマウスにイソフルランによる吸入麻酔をかけ、5%FBSを含むMEMで懸濁した神経芽細胞腫(IMR−32細胞、2.0×10 cells/50μL/head)を、マトリゲルが2μg/mLとなるように調製した5%FBSを含むMEM(50μL)と混合し、マウスの左背側部へ皮下移植した。細胞の皮下移植後、マウスの左背側部に形成された腫瘍が短径5mm以上のサイズになった時点から治療効果の評価を行った。
治療効果の評価は、FNIII14群(5匹)、ATRA群(4匹)、ATRA+FNIII14群(4匹)、Control 群(5匹)に対して実施した。具体的には、ATRAはSoybean oilで200μg/100μLとなるように調製したものを、FNIII14(第2位のgluがD体)は生理食塩水で500μg/100μLとなるように調製したものを用いた。Control群を含めて全ての投与群において、生理食塩水とSoybean oilの濃度が等しくなるように調整して投与を行った。
治療期間中、ATRA群は、7日間連続で腹腔内投与(200μg/head)を行った。FNIII14群は、1日目に腹腔内投与(500μg/head)を行い、2日目は尾静脈内投与(100μg/head)を行い、それ以降は毎日交互に腹腔内投与と尾静脈内投与を計7日間行った。
治療開始から4週目までの腫瘍の短径と長径をノギスを用いて測定し、腫瘍体積=π(a×b)/12(a:短径、b:長径)の計算式を用いて腫瘍体積を算出し、治療開始時点の各個体の腫瘍体積を1としたときの腫瘍成長率を図2に示す。
図2において、縦軸は各群の平均腫瘍成長率(%)を示し、横軸は治療開始からの経過時間(週)を表す。
図2に示す結果から、特定ペプチド(FNIII14)を投与することで神経芽腫の成長が抑制されることがわかった。また、特定ペプチドの成長抑制効果は、特定ペプチド単独でもATRAと併用した場合でも認められた。

Claims (6)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを有効成分として含む、Mycタンパク質阻害剤。
    (a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
    (c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
  2. 細胞中のMycタンパク質を阻害するための、請求項1に記載のMycタンパク質阻害剤。
  3. 前記細胞は神経芽腫、肺がん、神経膠腫、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝がん、食道がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、髄芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、網膜芽腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病及び急性前骨髄性白血病からなる群より選択される少なくとも1種の細胞である、請求項2に記載のMycタンパク質阻害剤。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のMycタンパク質阻害剤を、Mycタンパク質の発現が亢進している細胞に接触させることを含む、Mycタンパク質阻害方法。
  5. 以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを有効成分として含む、抗神経芽腫剤。
    (a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつN−Mycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
    (c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつN−Mycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
  6. 以下の(a)〜(c)のいずれかであるペプチドを患者に投与することを含む、Mycタンパク質の過剰発現を伴う疾患の治療方法。
    (a)Thr−Glu−Ala−Thr−Ile−Thr−Gly−Leu−Glu−Pro−Gly−Thr−Glu−Tyr−Thr−Ile−Tyr−Val−Ile−Ala−Leu(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
    (c)アミノ酸配列(a)との相同性が90%以上であり、かつMycタンパク質阻害作用を有するペプチド。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001008698A1 (fr) * 1999-07-30 2001-02-08 Hisamitsu Pharmaceutical Co., Inc. Agents de potentialisation de compositions chimiotherapiques, anticancereuses et procede de potentialisation de ces substances
JP2006327980A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Tokyo Univ Of Science 抗白血病活性増強剤
WO2015194643A1 (ja) * 2014-06-18 2015-12-23 学校法人東京理科大学 Pdgf依存性細胞増殖抑制剤、pdgf依存性細胞増殖の抑制方法、細胞分散抑制剤、細胞分散の抑制方法、テモゾロミド活性増強剤及び抗腫瘍剤

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