JP2014523437A - 癌の予防および治療における効力のある薬剤としての新規亜鉛フィンガー様ペプチド組成物 - Google Patents

癌の予防および治療における効力のある薬剤としての新規亜鉛フィンガー様ペプチド組成物 Download PDF

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Abstract

癌治療用の亜鉛フィンガー様ペプチド、該亜鉛フィンガー様ペプチドを含む薬剤組成物、および癌治療用の方法が、開示される。本発明において、癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチドには、少なくとも7個のアミノ酸が含まれ、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2011年7月12日に出願された中華民国特許出願第100124615号(Taiwan Patent Application Serial Number 100124615)の利益を主張するものであって、その主題は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
本発明は、癌治療用の亜鉛フィンガー様ペプチド、該亜鉛フィンガー様ペプチドを含む薬剤組成物、および癌治療の方法、に関する。
食品または食品添加物、および環境汚染は、近年発癌の原因または触媒として論争を生じている。偶然ではなく、同じ出来事が先進国および世界中で同様に生じており、癌の発症率が極めて高くなっていることに警告を発している。全米癌協会が公表したデータによれば、癌が全住民の健康にとって最も著しい脅威であることが証明されている。
癌治療の一般的な方法には、手術、放射線療法、化学療法、および免疫療法が含まれている。近年、いくつかの治療薬の開発により、新たな抗癌機序による癌治療がおこなわれており、これらの治療薬を用いて癌を治療することにより、患者の生存率を増大できることが証明されている。一般に、これらの治療薬は、細胞周期の進行、血管形成、ファルネシル転移酵素、およびチロシンキナーゼを阻害することにより、癌を治療できる。
いくつかの薬剤が癌に治療効果を示すことは知られているが、これらの薬剤には限界がある。例えば、「ゲフィチニブ」は非小細胞肺癌を抑制する薬剤であるが、ほとんどの場合治療することはできない。その上、乳癌および大腸癌の進行を停止させる効果がない。また、抗癌剤の治療効果は、腫瘍細胞の部位、患者の遺伝的変異、および抗癌剤の副作用にも依存している。さらに、癌細胞は悪性となって、その原発部位から標的の内臓へとリンパ系または血流を介して播種し、転移癌を構築する。
癌発症のリスクが一般に年齢と共に増大するため、癌の出現頻度は、多くの人が高齢まで生きるほど、かつ多数の生活様式が変わるほど、上昇する。したがって、癌を治療しかつ防止する新たな薬剤が長年必要とされてきたが、まだ実現していない。
本発明の目的は、癌治療に使用可能な、亜鉛フィンガー様ペプチド、該亜鉛フィンガー様ペプチドを含む薬剤組成物、および癌治療の方法を提供することである。
本発明の別の目的は、亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド、該亜鉛フィンガー様ペプチドを含む薬剤組成物、および癌治療の方法を提供することであり、該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、癌治療用の亜鉛フィンガー様ペプチドを発現できる。
前記の目的達成のため、癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有している。
また、癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、前記亜鉛フィンガー様ペプチド発現用のDNA配列を含んでいる。
前記の目的達成のため、癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1(RRSSSCK)で表される配列に対して50〜100%の類似性を有している。
また、癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、前記亜鉛フィンガー様ペプチド発現用のDNA配列を含んでおり、該DNA配列は、SEQ ID NO:3(agaaggtcgt cttcttgtaa a)で表される配列に対して70〜100%の同一性を有している。
本発明は、亜鉛フィンガー様ペプチドを提供し、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、亜鉛フィンガーモチーフに類似する小分子ペプチドである。該ペプチドのアミノ酸長は特に限定されてはおらず、該ペプチドは、4〜200個のアミノ酸で構成され得る。好ましくは、該ペプチドは、4〜100個のアミノ酸を含む。より好ましくは、5〜70個のアミノ酸を含む。最も好ましくは、該ペプチドは、6〜45個のアミノ酸を含む。特に好ましくは、該ペプチドは、7〜15個のアミノ酸を含む。癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して50〜100%の類似性を有することができる。好ましくは、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して70〜100%の類似性を有する。より好ましくは、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有する。また、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して50〜100%の同一性を有することができる。好ましくは、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して70〜100%の同一性を有する。より好ましくは、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の同一性を有する。最も好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドの配列はSEQ ID NO:1である。
本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2(MSSRRSSSCKYCEQDFRAHTQKNAATPFLAN)で表される配列に対して50〜100%の類似性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2で表される配列に対して70〜100%の類似性を有する。より好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2で表される配列に対して80〜100%の類似性を有する。また、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2で表される配列に対して50〜100%の同一性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2で表される配列に対して70〜100%の同一性を有する。最も好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:2で表される配列に対して80〜100%の同一性を有する。
SEQ ID NO:3および4に示されるDNA配列は、SEQ ID NO:1および2に示されるアミノ酸配列にそれぞれコードされる。SEQ ID NO:4に示されるDNA配列は、atgagcagca gaaggtcgtc ttcttgtaaa tattgtgaac aggacttccg agcacacaca cagaagaatg cggccacacc cttcctagcc aacのようにリストされている。本発明において、SEQ ID NO:3または4に示されるDNA配列を有するcDNAは、該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドを得るために、ベクターに挿入されることができ、該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、SEQ ID NO:1または2に示されるアミノ酸配列を有するペプチドをin vitroまたはin vivoで発現することができる。
前記の亜鉛フィンガー様ペプチドの配列は、異なる種のいずれかの亜鉛フィンガー様ペプチドに由来することができる。好ましくは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、ヒトまたはマウスに由来する。また、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、ペプチド合成、あるいはヒトまたはマウスからの亜鉛フィンガー様ペプチドのcDNAの発現を介して、入手可能である。本発明の一つの態様において、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、ペプチド合成を介して得られる。
本発明の発現プラスミドは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドの発現が可能ないずれかのプラスミドであることができる。好ましくは、本発明において用いられる該発現プラスミドは、pCR3.1(Invitrogen社から入手可能)またはpEGFPC1(Clontech社から入手可能)である。本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドの宿主は、該ベクターに挿入される該cDNAを発現できる限り、特に限定されない。該宿主の例には、バクテリア、哺乳類の細胞または腫瘍細胞が含まれる。好ましくは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、該亜鉛フィンガー様ペプチドを発現する哺乳類の細胞内または腫瘍細胞内にトランスフェクトされる。
また、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 (MSSRRSSSCKYCEQD)で表される配列に対して50〜100%の相似性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 で表される配列に対して70〜100%の相似性を有する。より好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 で表される配列に対して80〜100%の相似性を有する。また、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 で表される配列に対して50〜100%の同一性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 で表される配列に対して70〜100%の同一性を有する。より好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:8 で表される配列に対して80〜100%の同一性を有する。最も好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドの配列はSEQ ID NO:8 である。
さらに、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 (FRAHTQKNAATPFLAN)で表される配列に対して50〜100%の相似性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 で表される配列に対して70〜100%の相似性を有する。より好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 で表される配列に対して80〜100%の相似性を有する。また、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 で表される配列に対して50〜100%の同一性を有することができる。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 で表される配列に対して70〜100%の同一性を有する。より好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、SEQ ID NO:9 で表される配列に対して80〜100%の同一性を有する。最も好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドの配列はSEQ ID NO:9 である。
本発明において、「類似性」という用語は、二つの配列間での類似したアミノ酸残基の割合を意味し、アミノ酸の化学的類似性によって定義される。例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンは、飽和炭化水素基を有する類似したアミノ酸残基であり、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジンは、芳香族基を有する類似したアミノ酸残基であり、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、およびグルタミンは、カルボキシル基およびアミド基を有する類似したアミノ酸残基であり、リシンおよびアルギニンは、アミノ基を有する類似したアミノ酸残基であり、セリンおよびトレオニンは、アルコール基を有する類似したアミノ酸残基であり、ならびにメチオニンおよびシステインは、チオ基を有する類似したアミノ酸残基である。また、「同一性」という用語は、二つの配列間での同一なアミノ酸残基の割合を意味する。
本発明の少なくとも7個のアミノ酸を含む該亜鉛フィンガー様ペプチドにおいて、その配列は、類似した化学的特性を有する少なくとも2個の重複したアミノ酸残基を含むことができる。例えば、その配列は、アスパラギン酸、グルタミン、セリン、トレオニン、またはシステイン等の少なくとも2個の重複した親水性のアミノ酸残基;トレオニン、セリン、またはチロシン等の少なくとも2個の重複したアルコール基を有するアミノ酸残基;あるいはシステイン等の少なくとも2個の重複したチオ基を有するアミノ酸残基を含むことができる。本発明において、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、C2H2モチーフを有する亜鉛フィンガー様ペプチドを形成する2個のシステインおよび1個のヒスチジンを少なくとも含む。
また、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドを発現するために、該DNA配列に結合するベクターをさらに含むことができる。該ベクターの種類は、番号(number)によって特に限定されず、当分野で一般に使用されるいかなるベクターでもよい。例えば、該ベクターは、挿入されたcDNA発現のために、ヒト細胞系列等の哺乳類細胞内にトランスフェクトするのに一般に用いられる、pEGFPまたはpECFPから由来することができる。
さらに、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドまたは該発現プラスミドは、リポソーム内に封入されることができる。好ましくは、該発現プラスミドは、該亜鉛フィンガー様ペプチドを発現するために、リポソームと共に宿主内にコトランスフェクトされる。
本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチド(zinc finger-like peptide)は、亜鉛フィンガーモチーフ(zinc-finger motif)への類似構造を有する。また、本発明の該ペプチドは、類似した化学的特性を有するいくつかの重複するアミノ酸残基または特異的結合を有するペプチドモチーフを形成するいくつかの重複する同一なアミノ酸残基を選択的に含むことができる。さらに、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、何らの触媒剤を加えることなく自己重合することができる。本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、アポトーシスに関係するたんぱく質に結合することもできる。したがって、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、腫瘍細胞の生育を阻害することができ、癌の治療または予防に使用することができる。
本発明は、さらに癌治療用の薬剤組成物を提供し、該薬剤組成物には、有効量の前記亜鉛フィンガー様ペプチドまたは亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド;および薬理学的に許容される担体が含まれる。
また、本発明は、癌を治療する方法をも提供し、該癌を治療する方法には、前記の亜鉛フィンガー様ペプチド、前記の亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド、または前記の薬剤組成物をそれらを必要とする対象者に投与することが含まれる。
本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、子宮内膜癌、食道癌、白血病、肝癌、リンパ腫、腎臓癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、基底細胞癌および扁平上皮癌および黒色腫を含む皮膚癌、小腸癌、胃癌、胸腺癌、ならびに甲状腺癌等の、様々な癌に適用可能であるが、本発明の適用可能性の範囲はそれらに限定されない。好ましくは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、乳癌、大腸癌、食道癌、白血病、肝癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、または甲状腺癌の治療に使用される。より好ましくは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、乳癌、大腸癌、肺癌、白血病、前立腺癌、または皮膚癌の治療に使用される。最も好ましくは、本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、脳腫瘍、乳癌、前立腺癌、または皮膚癌の治療に使用される。
本発明の該亜鉛フィンガー様ペプチドは、腫瘍細胞の増殖、成長、浸潤、および転移(metastasis)を阻害できる。
本発明の癌治療用の該亜鉛フィンガー様ペプチドおよび該薬剤組成物は、非経口、吸入、局所的、直腸的、経鼻的、舌下、または膣内送達、またはインプラントされた容器の経路で投与できる。本明細書において、用語の「非経口送達」には、皮下、皮内、静脈内、関節内、動脈内、経粘膜、胸膜内、くも膜下腔内、局所的、および頭蓋内の注入が含まれる。
本発明の該薬剤組成物によれば、用語の「薬理学的に許容される担体」は、該担体が活性成分と親和性(compatible)であって(かつ好ましくは、活性成分を安定化することができ)、かつ治療対象者に無害でなければならないことを、意味する。該担体は、活性成分、補助剤、分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤からなる群から少なくとも一つ選択することができる。該担体の例は、微結晶セルロース、マンニトール、グルコース、脱脂粉乳、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、スターチ、またはそれらの組合せであることができる。
また、本発明において用いられる用語の「治療する」は、癌の症状または傾向を治療する、治癒する、緩和する、軽減する、変化させる、改善する、寛解をもたらす、好転させる、防止する、または影響を与えるための、該亜鉛フィンガー様ペプチドまたは該亜鉛フィンガー様ペプチドを含む該薬剤組成物の、癌を患う症状または傾向を有する対象者への適用または投与を意味する。さらに、本明細書で用いられる「有効量」は、治療効果を対象者に与えるのに要求される該亜鉛フィンガー様ペプチド等の各有効成分の量を意味する。該有効量は、投与経路、賦形剤の使用、および他の活性成分の共同使用により、変化し得る。
本発明の他の目的、利点、および新規な特性は、添付の図面と共に下記の詳細な説明からより明らかとなるはずである。
は、本発明の実施例1による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例1による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例2による、マウスの腫瘍容積を表す曲線を示す。 は、本発明の実施例3による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例3による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例4による、マウスの腫瘍容積を表す曲線を示す。 は、本発明の実施例5による、マウスの腫瘍容積を表す曲線を示す。 は、本発明の実施例6による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例6による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例7による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例7による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例8による、マウスの腫瘍容積を表す曲線を示す。 は、本発明の実施例9による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例9による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例10による、試験群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例10による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例11による、対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例11による、試験群1のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。 は、本発明の実施例11による、試験群2のマウスの腫瘍容積を表す曲線である。
下記の実施例で用いられる該亜鉛フィンガー様ペプチドの該DNA配列および該アミノ酸配列は、下表1にリストされる。

表 1.
下記の実施例において、in vivo実験を実施するため、8週齢のヌードマウスを宿主として使用した。該ヌードマウスは、室温および好適な湿度に置き、実験実施の前に2週間連続で滅菌水および標準的な飼料を与えた。その後、該ヌードマウスに亜鉛フィンガー様ペプチドおよび腫瘍細胞を注入した。実験の詳細な方法は、以下に詳述する。
まず、手作業で合成された亜鉛フィンガー様ペプチド(Genemed Synthesis社、サンアントニオ市、テキサス州、米国)を脱気した精製水中に再懸濁して1〜5mMの亜鉛フィンガー様ペプチド溶液(100μL)を得た。ここで、該亜鉛フィンガー様ペプチド懸濁用の溶液は、特に限定されない。好ましくは、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、該亜鉛フィンガー様ペプチドの自己重合および腫瘍細胞の成長阻害の能力喪失を防止するため、脱気した精製水中に再懸濁される。
実験群
ここで、SEQ ID NO:2で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
特に、ヌードマウスには、ペプチド(2mM、100μLリン酸緩衝生理食塩水すなわちPBS)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて基底細胞癌(BCC)細胞(2百万個/100μL PBS)を右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図1Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、対照群においては実験群の該亜鉛フィンガー様ペプチドをPBS緩衝液(100μL)で置き換えたことを除いては、実験群のものと同一であった。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図1Bに示す。
図1Aおよび図1Bに示されるように、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、ヌードマウス上の皮膚癌細胞の成長を、マウスに亜鉛フィンガー様ペプチドが事前投与された場合に(実験群)、阻害した。しかし、亜鉛フィンガー様ペプチドを注入されないマウス(対照群)の腫瘍容積は、実験群のものよりはるかに大きくなった。この結果は、該亜鉛フィンガー様ペプチドが皮膚基底細胞癌の治療および予防に有効であることを、示している。
実験群1
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスには、ペプチド(2mM、100μLPBS)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いてBCC細胞(2百万個/100μL PBS)を右脇腹および左脇腹の双方に播種した。2か月後、ペプチドのブースト注射を週1回3週連続で実施した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。
実験群2
本実験群の方法は、実験群1のSEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドを本実験群においてはSEQ ID NO:5で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドで置き換えた以外は、実験群1のものと同一であった。
対照群
本対照群の方法は、実験群1の亜鉛フィンガー様ペプチドを本実験群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群1のものと同一であった。
本実施例の結果を、本実施例の実験群1、実験群2、および対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線を示す、図2に示す。図2に示されるように、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチド(実験群1)は、癌細胞の成長を防止しかつ阻害することができ、皮膚癌治療に効果を有している。しかし、SEQ ID NO:1の5番目のアミノ酸、セリンがグリシンで置き換えられると(すなわち、SEQ ID NO:5で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチド)、亜鉛フィンガー様ペプチドの治療効果は低下する。ただし、実験群2において用いられた亜鉛フィンガー様ペプチドは、それでも対照群において用いられた水より良好な治療効果を有している。
実験群
ここでは、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドがヌードマウスに注入される。
この実験群の一員として、ヌードマウスに、ペプチド(2mM、100μL滅菌水)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて悪性黒色腫B16F10細胞(2百万個/100μL PBS)を右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。本実験群のマウスの腫瘍容積を表す結果を図3Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、本対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線である、図3Bに示す。
図3Aおよび図3Bに示されるように、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、ヌードマウス上の皮膚黒色腫の成長を、マウスに亜鉛フィンガー様ペプチドが事前投与された場合に(実験群)、阻害できる。しかし、亜鉛フィンガー様ペプチドを注入されないマウス(対照群)の腫瘍容積は、実験群のものよりはるかに大きくなった。この結果は、該亜鉛フィンガー様ペプチドが悪性黒色腫の治療および予防に非常に有効であることを、示している。
ヌードマウスに、ペプチド(2mM、100μL)を週1回2週連続で尾静脈から静注し、続いて悪性黒色腫B16F10細胞(2百万個/100μL PBS)を右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。
実験群1
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
実験群2
本実験群においては、5番目のアミノ酸、セリンがリン酸化されている、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
実験群3
本実験群においては、SEQ ID NO:6で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
実験群4
本実験群においては、4番目のアミノ酸、セリンがリン酸化されている、EQ ID NO:6で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
対照群
対照群においては、水(100μL)をヌードマウスに注入した。
本実施例の結果は、本実施例の実験群1〜4および対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線を示す、図4に示す。図4に示されるように、実験群3のヌードマウスは、31日目に死亡し、実験群2および実験群4のヌードマウスは35日目に死亡した。これらの結果は、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチド(実験群1)が腫瘍細胞の成長を有効に阻害できることを示す。また、該皮膚癌が115日後に完全に治療され、したがって、SEQ ID NO:1で示される配列を有する該亜鉛フィンガー様ペプチドは皮膚癌治療の効果を有する。さらに、実験群2〜4の結果によれば、該亜鉛フィンガー様ペプチドの皮膚癌治療における活性は、亜鉛フィンガー様ペプチドのセリンのリン酸化またはシステインの欠失によって低下した。
亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド形成のため、亜鉛フィンガー様ペプチドのcDNAをベクターpCR3.1/CMV内に挿入し、該亜鉛フィンガー様ペプチドをEGFPのc−末端に結合した。
実験群1
本実験群においては、亜鉛フィンガー様ペプチド発現のため、亜鉛フィンガー様ペプチド発現のためのDNA配列(SEQ ID NO:4)を含む亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド(100μL)を週1回2週連続で尾静脈からヌードマウスに注入した。その後、BCC細胞(2百万個/100μL 媒体)を右脇腹および左脇腹の双方からヌードマウスに播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。
実験群2
本実験群の方法は、SEQ ID NO:4で示されるDNA配列がSEQ ID NO:7で示されるDNA配列で置き換えられたことを除いて、実験群1のものと同一であった。
対照群
本対照群の方法は、該亜鉛フィンガー様ペプチド発現のためのDNA配列(SEQ ID NO:4)を含む亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドがEGFPのみを含むベクターで置き換えられたことを除いて、実験群1のものと同一であった。
本実施例の結果は、本実施例の実験群1〜2および対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線を示す、図5に示す。図5に示されるように、SEQ ID NO:4で示されるDNA配列を含む亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド(実験群1)をヌードマウスに注入した時、腫瘍細胞の成長は阻害できその容積は低減できる。したがって、該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドは、皮膚癌を治療する能力を示す。SEQ ID NO:7で示されるDNA配列を含む亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミド(実験群2)は、腫瘍細胞の成長を効果的に終結させられないが、腫瘍細胞の成長をわずかに阻害することができる。これらの結果は、亜鉛フィンガー様ペプチド中のセリンが癌治療において重要な役割を果たすことを示す。
実験群
本実験群において、SEQ ID NO:8および9で示されるDNA配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスにペプチド(2mM、100μL)を週1回4週連続で尾静脈から静注し、続いて乳腺癌MDA−MB−231細胞(2百万個/100μL 媒体)を40日目および85日目に右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図6Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図6Bに示す。
図6Aに示されるように、ヌードマウスにペプチドを注入し続いて乳腫瘍細胞(実験群)を播種すると、腫瘍細胞の成長および増殖は、右脇腹および左脇腹の双方で認められなかった。しかし、図6Bに示されるように、対照群のヌードマウスの腫瘍容積は、161日目には右脇腹および左脇腹の双方で1000倍に増大した。これらの結果は、該亜鉛フィンガー様ペプチドが乳腺癌の治療および予防に効果を示すことを、示している。
また、1.5年後に該亜鉛フィンガー様ペプチドを注入されたヌードマウスに何らの副作用もなかった。したがって、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、副作用をほぼ示さず、乳腫瘍細胞の成長を防止する能力を有している。
実験群
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスにペプチド(3mM、100μL)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて乳癌MDA−MB−468細胞(2百万個/100μL 媒体)を右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図7Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図7Bに示す。
図7Aに示されるように、ヌードマウスにペプチドを注入し続いて乳腫瘍細胞(実験群)を播種すると、腫瘍細胞の成長および増殖は、右脇腹および左脇腹の双方で認められなかった。しかし、図7Bに示されるように、対照群のヌードマウスの腫瘍容積は、91日目には右脇腹および左脇腹の双方で200〜500倍に増大した。これらの結果は、該亜鉛フィンガー様ペプチドが乳癌の治療および予防に効果を示すことを、示している。
実験群
本実験群においては、SEQ ID NO:2で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに皮下注入した。
ヌードマウスに1日目に乳癌MDA−MB−435s細胞(2百万個/100μL PBS)を尾静脈から右脇腹および左脇腹の双方に注入し、続いてペプチド(2mM、100μL)を70日目から週1回4週連続で注入した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においてはPBS緩衝液(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。
本実施例の結果は、本実施例の実験群1−2および対照群のマウスの腫瘍容積を表す曲線を示す、図8に示す。実験群の腫瘍容積は、89日目から著しく増大し、100日目には最大腫瘍容積(1000mm)が認められた。その後、腫瘍容積は、113日目に50%に低減した。しかし、対照群の腫瘍容積は、80日目から著しく増大し、105日目には4000倍(4000mm)に増大した。実験群の腫瘍容積が増大したが、実験群で用いられた該亜鉛フィンガー様ペプチドは、対照群に比べ75%の腫瘍細胞の成長を停止させることができる。したがって、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、乳癌の治療に使用できる。
実験群
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスにペプチド(2mM、100μL)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて悪性前立腺癌DU145細胞(2百万個/100μL 媒体)を3か月後に右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図9Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図9Bに示す。
図9Aに示されるように、ヌードマウスにペプチドを注入し続いて前立腺癌細胞(実験群)を播種すると、腫瘍細胞の成長および増殖は、右脇腹および左脇腹の双方で認められなかった。また、ペプチド治療後で腫瘍細胞へのチャレンジに先立つ3か月間の休薬期間があり、該亜鉛フィンガー様ペプチドが癌に対して長期間の保護を提供できたことを示唆している。
しかし、図9Aおよび図9Bに示されるように、対照群においてペプチドの注入なしに注入された腫瘍細胞は、右脇腹および左脇腹の双方で増殖し、対照群の腫瘍容積は、実験群の腫瘍容積よりはるかに大であった。
実験群
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスにペプチド(2mM、100μL)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて前立腺上皮細胞PZ−HPV−7(2百万個/100μL 媒体)を20日目および90日目に右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図10Aに示す。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図10Bに示す。
図10Aに示されるように、ヌードマウスにペプチドを注入し続いて前立腺腫瘍細胞(実験群)を播種すると、腫瘍細胞の成長および増殖は、右脇腹および左脇腹の双方で認められなかった。しかし、図10Bに示されるように、対照群においてペプチドの注入なしに注入された腫瘍細胞は、右脇腹および左脇腹の双方で増殖した。
したがって、該亜鉛フィンガー様ペプチドは、前立腺癌の治療、腫瘍細胞の成長の停止、および癌予防の目的達成に、使用できる。
対照群
本対照群の方法は、実験群の亜鉛フィンガー様ペプチドを本対照群においては水(100μL)で置き換えた以外は、実験群のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図11Aに示す。
実験群1
本実験群においては、SEQ ID NO:1で示される配列を有する亜鉛フィンガー様ペプチドをヌードマウスに注入した。
ヌードマウスにペプチド(2mM、100μL)を週1回3週連続で尾静脈から静注し、続いて悪性神経膠腫U87−MG細胞(2百万個/100μL 媒体)を1か月後に右脇腹および左脇腹の双方に播種した。腫瘍容積(mm)を実験期間中毎日観察した。結果を、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図11Bに示す。
実験群2
本実験群の方法は、亜鉛フィンガー様ペプチドの濃度が4mMである以外は、実験群1のものと同一であった。結果は、マウスの腫瘍容積を表す曲線である、図11Cに示す。
図11Aないし図11Cに示されるように、ヌードマウスにペプチドを注入し続いて脳腫瘍細胞(実験群1および2)を播種すると、腫瘍細胞の成長および増殖は、対照群において認められたよりは遅かった。また、腫瘍細胞成長の抑制は、該亜鉛フィンガー様ペプチドの濃度が増大すると著しかった。
前記の結果は、該亜鉛フィンガー様ペプチドまたは該亜鉛フィンガー様ペプチド発現プラスミドが、腫瘍細胞の成長および増殖を阻害することができ、したがって、癌治療および防止の能力を有することを、示している。
本発明をその好ましい実施形態に関して述べたが、以下に請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱すくことなく、本発明に多くの他の可能な修正および変更を行うことができることは、明らかである。

Claims (19)

  1. 少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有する、癌治療用の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  2. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列が、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の同一性を有する、請求項1に記載の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  3. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列がSEQ ID NO:1である、請求項1に記載の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  4. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:1である、請求項1に記載の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  5. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列が、SEQ ID NO:2で表される配列に対して80〜100%の類似性を有する、請求項1に記載の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  6. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:2である、請求項1に記載の亜鉛フィンガー様ペプチド。
  7. 亜鉛フィンガー様ペプチドの有効量を含み、前記亜鉛フィンガー様ペプチドが少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有し;ならびに薬学的に許容される担体を含む、癌治療用の薬剤組成物。
  8. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列が、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の同一性を有する、請求項7に記載の薬剤組成物。
  9. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列がSEQ ID NO:1である、請求項7に記載の薬剤組成物。
  10. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:1である、請求項7に記載の薬剤組成物。
  11. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列が、SEQ ID NO:2で表される配列に対して80〜100%の類似性を有する、請求項7に記載の薬剤組成物。
  12. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:2である、請求項7に記載の薬剤組成物。
  13. 前記薬学的に許容される担体が、活性化剤、賦形剤、補助剤、分散剤、湿潤剤、および懸濁剤からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項7に記載の薬剤組成物。
  14. 亜鉛フィンガー様ペプチドをそれを必要とする対象者に投与することを含み、前記亜鉛フィンガー様ペプチドが少なくとも7個のアミノ酸を含み、該少なくとも7個のアミノ酸の配列は、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の類似性を有する、癌治療用の方法。
  15. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列が、SEQ ID NO:1で表される配列に対して85〜100%の同一性を有する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記少なくとも7個のアミノ酸の配列がSEQ ID NO:1である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:1である、請求項14に記載の方法。
  18. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列が、SEQ ID NO:2で表される配列に対して80〜100%の類似性を有する、請求項14に記載の方法。
  19. 前記亜鉛フィンガー様ペプチドの配列がSEQ ID NO:2である、請求項14に記載の方法。
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