以下、図面を参照しながら、実施形態に係る画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置及び画像処理プログラムについて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態では、MRI装置100と、画像保管装置200と、画像処理装置300とが、ネットワーク400を介して通信可能に接続されている。
MRI装置100は、磁気共鳴現象を利用して被検体の画像データを収集する。具体的には、MRI装置100は、操作者によって設定された撮像条件に基づいて各種撮像シーケンスを実行することで、被検体から磁気共鳴データを収集する。そして、MRI装置100は、収集した磁気共鳴データに対してフーリエ変換処理等の画像処理を施すことで、二次元又は三次元の画像データ(MR画像)を生成する。
画像保管装置200は、MRI装置100によって収集された画像データを保管する。具体的には、画像保管装置200は、ネットワーク400を介して、MRI装置100から画像データを取得し、取得した画像データを装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。例えば、画像保管装置200は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
画像処理装置300は、MRI装置100によって収集された画像データを処理する。具体的には、画像処理装置300は、ネットワーク400を介して、MRI装置100又は画像保管装置200から画像データを取得し、装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。また、画像処理装置300は、取得した画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理を行う前又は画像処理を行った後の画像データをディスプレイ等に表示する。例えば、画像処理装置300は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
具体的には、画像処理装置300は、ネットワーク(Network:NW)インタフェース310と、記憶回路320と、入力インタフェース330と、ディスプレイ340と、処理回路350とを備える。
NWインタフェース310は、ネットワーク400を介して接続された他の装置と画像処理装置300との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、NWインタフェース310は、処理回路350に接続され、処理回路350から出力される画像データを所定の通信プロトコルに準拠した形式に変換し、MRI装置100又は画像保管装置200に送信する。また、NWインタフェース310は、MRI装置100又は画像保管装置200から受信した画像データを処理回路350に出力する。例えば、NWインタフェース310は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路320は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路320は、処理回路350に接続され、処理回路350から送られる命令に応じて、入力された画像データを記憶し、又は、記憶している画像データを処理回路350に出力する。例えば、記憶回路320は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
入力インタフェース330は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース330は、処理回路350に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。例えば、入力インタフェース330は、関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、及び音声入力インタフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース330は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース330の例に含まれる。
ディスプレイ340は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ340は、処理回路350に接続され、処理回路350から出力される画像データに基づいて、各種の形式で画像を表示する。例えば、ディスプレイ340は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
処理回路350は、入力インタフェース330を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、画像処理装置300が備える各構成要素を制御する。具体的には、処理回路350は、NWインタフェース310から出力される画像データを記憶回路320に記憶させる。また、処理回路350は、記憶回路320から読み出した画像データをディスプレイ340に表示する。例えば、処理回路350は、プロセッサによって実現される。
このような構成のもと、本実施形態に係る画像処理装置300は、MRI装置100によって撮像されたMR画像と任意のパラメータ値とを用いて、撮像後に、計算的に任意の画像種類の計算画像を生成する機能を有する。ここで、画像種類とは、例えば、T1強調(T1 Weighted:T1W)画像や、T2強調(T2 Weighted:T2W)画像、FLAIR(Fluid Attenuation Inversion Recovery)画像等である。
例えば、画像処理装置300は、Synthetic MRIによって計算画像(Synthetic MRI画像)を生成する機能を有する。具体的には、画像処理装置300は、TI(Inversion Time)やTE(Echo Time)、FA(Flip Angle)等を変えながら撮像されたMR画像を用いて、MR画像の信号値の理論式を用いたシミュレーションやカーブフィッティングによって、T1値やT2値、PD(Proton Density)値等の組織定量値を導出する。そして、画像処理装置300は、導出された組織定量値に基づいて、任意のTI、TE及びTR(Repetition Time)のパラメータ値による任意の画像種類の計算画像を生成する。例えば、画像処理装置300は、複数のTIの画像からT1緩和曲線を取得し、曲線からT1値およびPD値を導出する。また、例えば、画像処理装置300は、複数のTEの画像からT2値を導出し、これらの定量値をもとに任意の画像種類の計算画像を生成する。
Synthetic MRIでは、T1値、T2値、及びプロトン密度を定量することによって、任意の画像種類の計算画像を生成することができる。また、Synthetic MRIでは、異なる画像種類の計算画像を得る場合でも、再度撮像をする必要がない。また、Synthetic MRIでは、いったん計算画像を生成した後でも自由にTR、TE、TI等のパラメータ値を調整することが可能であり、調整過程でも、その条件でのコントラストの計算画像をリアルタイムで生成することができる。
そして、本実施形態に係る画像処理装置300は、診断に適した計算画像を得ることができるように構成されている。
ここで、一般的に、このような計算画像を利用する目的は、従来は撮像によって得られていたMR画像と同じコントラストの画像を計算的に得ることによって、MR画像を用いた検査に要する時間を短縮することである。この目的のため、しばしば、撮像と同じパラメータ値で計算画像が生成されることがあるが、撮像と同じパラメータ値であっても、生成された計算画像のコントラストが、撮像によって得られるMR画像と同じにならない場合がある。この場合には、所望のコントラストの計算画像を得るために、計算画像のコントラストを逐一確認しながらパラメータ値を調整することになり、この調整のために、検査時間が短縮されないこともあり得る。
このようなことから、本実施形態に係る画像処理装置300は、従来は撮像によって得られていたMR画像と同じコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することで、検査時間を短縮することができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、記憶回路320が、画像種類ごとに、脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストについて、当該画像種類に対応する既知のコントラスト比を示す情報を記憶する。なお、本実施形態における記憶回路320は、記憶部の一例である。
ここで、脳の複数の領域(区画、Parcelとも呼ばれる)とは、例えば、脳の領域を解剖学的な構造や機能等によって区分けした領域である。
図2は、第1の実施形態に係る脳の複数の領域の一例を示す図である。例えば、図2に示すように、脳の領域は、複数のレベルで段階的に区分けされて定義され、レベルが下がるほど、区分けの単位が細かくなるように定義される。例えば、図2に示す例では、各レベルをレベル−n(n=0,1,2,3,4,5,・・・)と表しており、nが大きくなるほど、下位のレベルとなる。なお、図2では、レベル−3〜5のみを例示している。
例えば、レベル−0は、脳全体の領域を示す。また、例えば、レベル−3における「辺縁系」及びレベル−4における「辺縁系」は、領域の名称は同じであるが、それぞれの大きさが異なっている。例えば、レベル−3における「辺縁系」は、一般的に「辺縁系」と呼ばれる単位である。そして、レベル−4では、レベル−3における「辺縁系」が「帯状回」、「扁桃体」、「海馬」及びそれ以外の領域に分けられており、ここでいう「それ以外の領域」が、「辺縁系」と定義されている。
また、図2に示す例では、レベル−4における「辺縁系」が、レベル−5で「海馬傍回」及び「嗅内野」に分けられ、レベル−4における「帯状回」が、レベル−5で「帯状回後部」等(図示省略)に分けられ、レベル−4における「扁桃体」及び「海馬」が、それぞれ、レベル−5で一つ又は複数の領域(図示省略)に分けられている。
このように、例えば、脳の領域がレベルごとに異なる単位で区分けされている場合には、各レベルにおける個々の領域の単位が、本願でいう脳の複数の領域における一つの領域となり得る。例えば、レベル−3の「辺縁系」も、レベル−4の「辺縁系」も、レベル−4の「海馬」も、レベル−5の「海馬傍回」も、それぞれ一つの領域となり得る。
例えば、本願でいう脳の複数の領域は、いずれか一つのレベル(例えば、最も下位のレベル)における領域の単位で定義される。または、本願でいう脳の複数の領域は、例えば、レベル−5における「海馬傍回」及び「嗅内野」と、レベル−4における「帯状回」、「扁桃体」及び「海馬」とを組み合わせるというように、異なるレベルにおける領域の単位を組み合わせて定義されてもよい。
このような脳の複数の領域に基づいて、記憶回路320は、画像種類ごとに、脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストについて、当該画像種類に対応する既知のコントラスト比を示す情報を記憶する。
図3は、第1の実施形態に係る記憶回路320によって記憶されるコントラスト比テーブルの一例を示す図である。例えば、図3に示すように、記憶回路320は、画像種類ごとに、画像種類と、脳の複数の領域それぞれに対応する既知のコントラスト比とを対応付けたコントラスト比テーブルを記憶する。
例えば、図3に示す「T1W」、「T2W」及び「FLAIR」は、それぞれ画像種類を示しており、「T1W」がT1W画像を示し、「T2W」がT2W画像を示し、「FLAIR」がFLAIR画像を示している。また、図3に示す「GM」、「WM」及び「CSF」は、それぞれ脳の領域を示しており、「GM」が灰白質(Grey Matter)の領域を示し、「WM」が白質(White Matter)の領域を示し、「CSF」が脳脊髄液(CerebroSpinal Fluid)の領域を示している。
例えば、図3に示す例では、T1W画像に対応する既知のコントラスト比が、灰白質:白質:脳脊髄液=1:1.05:0.1であることを示している。また、図3に示す例では、T2W画像に対応する既知のコントラスト比が、灰白質:白質:脳脊髄液=2.52:1:3であることを示している。また、図3に示す例では、FLAIR画像に対応する既知のコントラスト比が、灰白質:白質:脳脊髄液=2.1:1:0.1であることを示している。
さらに、本実施形態では、記憶回路320は、画像種類ごとに、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する際の条件となるパラメータ値の範囲を定義した情報を記憶する。
図4は、第1の実施形態に係る記憶回路320によって記憶されるパラメータ範囲テーブルの一例を示す図である。例えば、図4に示すように、記憶回路320は、画像種類ごとに、画像種類と、撮像法と、計算画像の生成に用いられる複数のパラメータそれぞれのパラメータ値の範囲とを対応付けたパラメータ範囲テーブルを記憶する。
例えば、図4に示す「T1W」、「T2W」及び「FLAIR」は、それぞれ画像種類を示しており、「T1W」がT1W画像を示し、「T2W」がT2W画像を示し、「FLAIR」がFLAIR画像を示している。また、図4に示す「SE」及び「IR」は、それぞれ撮像法を示しており、「SE」がスピンエコー(Spin Echo:SE)法を示し、「IR」が反転回復(Inversion Recovery:IR)法を示している。また、図4に示す「TR」、「TE」及び「TI」は、それぞれ計算画像の生成に用いられる複数のパラメータを示しており、それぞれ、「TR」がTRを示し、「TE」がTEを示し、「TI」がTIを示している。
例えば、図4に示す例では、T1W画像及びSE法に対応するTRの範囲が100−1000であり、TEの範囲が1−50であることを示している。また、例えば、図4に示す例では、T2W画像及びSE法に対応するTRの範囲が3000−10000であり、TEの範囲が80−120であることを示している。また、例えば、図4に示す例では、FLAIR画像及びIR法に対応するTRの範囲が3000−10000であり、TEの範囲が80−120であり、TIの範囲が2300−3500であることを示している。
ここで、例えば、パラメータ範囲テーブルに設定される各パラメータ値の範囲には、画像種類ごとに、従来の撮像によって同じ画像種類のMR画像が撮像される際に用いられている一般的なパラメータ値の範囲が設定される。これにより、医療分野で一般的に用いられているパラメータ値の範囲で、計算画像を生成するためのパラメータ値を設定することができるようになり、医療分野における常識に沿った計算画像を生成できるようになる。
また、本実施形態では、処理回路350が、取得機能351と、分割機能352と、設定機能353と、生成機能354とを有する。なお、本実施形態における分割機能352は、分割部の一例である。また、本実施形態における設定機能353は、設定部の一例である。また、本実施形態における生成機能354は、生成部の一例である。なお、本明細書における分割部、設定部、及び生成部は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。
取得機能351は、被検体の脳に関する入力画像をMRI装置100又は画像保管装置200から取得する。
具体的には、取得機能351は、MRI装置100によってTIやTE、FA等のように画像のコントラストに影響を与えるパラメータ値を変えながら撮像された複数のMR画像と、当該MR画像を用いて導出されたT1マップ画像、T2マップ画像、PD画像等の複数の定量画像とを、入力画像として取得する。例えば、取得機能351は、MRI装置100によってMP2RAGE(Magnetization Prepared 2 Rapid Gradient Echo)シーケンスを用いて撮像されたT1W画像と、当該T1W画像から導出されたT1マップ画像とを取得する。または、例えば、取得機能351は、TIやTE、FA等を変えながら、それらの変化を一つの画像中に保存することが可能なシーケンスによって得られた一つのMR画像を入力画像として取得してもよい。
分割機能352は、脳に関する入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する。
具体的には、分割機能352は、取得機能351によって取得されたMR画像を入力画像として用いて、当該入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する。例えば、分割機能352は、MRI装置100によってMP2RAGEシーケンスを用いて撮像されたT1W画像を入力画像として用いて、当該入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する。
ここで、例えば、分割機能352は、入力画像における脳の領域を解剖学的な構造や機能等に基づいて区分けすることによって、図2に例示したように、複数の領域に分割(Parcellationとも呼ばれる)する。
設定機能353は、生成される脳に関する計算画像における、分割機能352によって分割された脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストの関係が所定の関係となるように、脳に関する計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
具体的には、設定機能353は、Synthetic MRIによって生成される脳に関する計算画像における、複数の領域に含まれる領域間のコントラストの関係が所定の関係となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
ここで、本実施形態では、設定機能353は、分割機能352によって分割された脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、操作者によって指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
具体的には、設定機能353は、入力インタフェース330を介して、操作者から画像種類の指定を受け付ける。例えば、設定機能353は、予め決められた複数の画像種類について、各画像種類を示すボタンをディスプレイ340に表示し、いずれか一つのボタンを選択する操作を操作者から受け付けることで、画像種類の指定を受け付ける。
その後、設定機能353は、記憶回路320に記憶されたコントラスト比テーブルを参照して、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比を取得する。そして、設定機能353は、分割機能352によって分割された複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、取得したコントラスト比となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
このとき、設定機能353は、記憶回路320に記憶されたパラメータ範囲テーブルを参照して、指定された画像種類に対応するパラメータ値の範囲を取得する。そして、設定機能353は、取得したパラメータ値の範囲内で、複数の領域に含まれる領域間のコントラスト比と、コントラスト比テーブルから取得したコントラスト比とが最も近くなるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
例えば、計算画像の生成に用いられるTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値をTE、TR及びTIとした場合に、これらのパラメータ値の組み合わせは、以下のように集合θで表される。
θ={TR,TE,TI}
また、パラメータ範囲テーブルに設定されたTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値の範囲は、以下のように表される。
TRmin<TR<TRmax,TEmin<TE<TEmax,TImin<TI<TImax
そして、例えば、コントラスト比テーブルに設定されている脳の領域の個数をNとした場合に、集合θのパラメータ値から導出される計算画像における領域間のコントラスト比は、以下のように、領域ごとのコントラスト比からなるベクトルCθで表される。
Cθ=(c1θ,c2θ,c3θ,・・・cNθ)
また、コントラスト比テーブルに設定されている領域間のコントラスト比は、以下のように、領域ごとのコントラスト比からなるベクトルCDBで表される。
CDB=(c1DB,c2DB,c3DB,・・・cNDB)
この場合に、設定機能353は、以下に示すように、ベクトル間の距離を表す関数D(・)を用いて、ベクトルCθとベクトルCDBとの間の距離D(Cθ−CDB)が最小となるTE、TR及びTIの組み合わせθoptimizedを探索する。
θoptimized=argminθD(Cθ−CDB)
具体的には、設定機能353は、パラメータ範囲テーブルから取得したパラメータ値の範囲内でTE、TR及びTIそれぞれを個別に順次変化させながら、順次、ベクトルCθ及びベクトルCDBを導出し、さらに、当該ベクトルCθとベクトルCDBとの間の距離D(Cθ−CDB)を導出する。そして、設定機能353は、距離D(Cθ−CDB)が最小となったときのTE、TR及びTIの組み合わせをθoptimizedとして特定する。
なお、例えば、設定機能353は、各パラメータ値を変化させる際に、必ずしも、パラメータ範囲テーブルから取得したパラメータ値の範囲内の全ての値に変化させなくてもよい。例えば、設定機能353は、通常、MR画像が撮像される際に用いられているパラメータ値を初期値とし、当該初期値から次第に離れるようにパラメータ値を順次変化させながら、ベクトルCθとベクトルCDBとの間の距離D(Cθ−CDB)を導出する。そして、設定機能353は、距離D(Cθ−CDB)が所定の閾値より小さい値となった時点で処理を終了し、その時点でのTE、TR及びTIの組み合わせをθoptimizedとして特定する。
その後、設定機能353は、特定したθoptimizedにおけるTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値を、計算画像の生成に用いられるパラメータ値として設定する。これにより、脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値が自動的に設定される。
生成機能354は、取得機能351によって取得された入力画像と、設定機能353によって設定されたパラメータ値とを用いて、計算画像を生成する。
具体的には、生成機能354は、取得機能351によって取得された定量画像と、設定機能353によって設定されたパラメータ値とを用いて、Synthetic MRIによって計算画像を生成する。例えば、生成機能354は、MRI装置100によってMP2RAGEシーケンスを用いて撮像されたT1W画像から導出されたT1マップ画像と、設定機能353によって設定されたパラメータ値とを用いて、計算画像を生成する。または、例えば、生成機能354は、取得機能351によって取得された、TIやTE、FA等の変化を保持した一つのMR画像と、設定機能353によって設定されたパラメータ値とを用いて、計算画像を生成してもよい。
そして、生成機能354は、生成した計算画像をディスプレイ340に表示する。
図5及び6は、第1の実施形態に係る画像処理装置300によって生成される計算画像の具体例を示す図である。図5及び6では、一例として、FLAIR画像の計算画像が生成される場合の例を示している。
ここで、図5の(a)は、コントラスト比テーブルに設定されたFLAIR画像に対応する既知のコントラスト比の一例を示している。また、図5の(b)は、所望のFLAIR画像を示している。また、図5の(c)は、本実施形態に係るパラメータ値の自動設定が行われる前の状態で生成された計算画像の一例を示している。また、図5の(d)は、本実施形態に係るパラメータ値の自動設定が行われた後に生成された計算画像の一例を示している。
例えば、図5の(a)に示すように、コントラスト比テーブルにおいて、FLAIR画像に対応する既知のコントラスト比が、灰白質:白質:脳脊髄液=2.1:1:0と設定されていたとする。そして、図5の(b)に示す所望のFLAIR画像は、灰白質の領域(GM)、白質の領域(WM)、及び脳脊髄液の領域(CSF)の間で、図5(a)に示すコントラスト比が得られたFLAIR画像である。このFLAIR画像は、例えば、読影に適したFLAIR画像や、同じ被検体で過去に撮像されたFLAIR画像等である。
ここで、例えば、図5の(c)に示すように、本実施形態に係るパラメータ値の自動設定が行われる前の状態で計算画像が生成された場合には、所望のFLAIR画像と同じパラメータ値が用いられたとしても、データ収集時に生じるT1値、T2値及びPD値の誤差等によって、必ずしも、所望のFLAIR画像と同じコントラストの計算画像が得られるとは限らない。
これに対し、例えば、図5の(d)に示すように、本実施形態に係るパラメータ値の自動設定が行われた後に計算画像が生成された場合には、灰白質の領域(GM)、白質の領域(WM)、及び脳脊髄液の領域(CSF)について、所望のFLAIR画像と同じコントラストが実現される。
このとき、例えば、図5の(d)に示すように、異常部位の領域(T2 lesion:多発性硬化症等で見られる、T2値が異常な部位)については、設定されたTR、TE及びTIのパラメータ値に基づいて導出されたT1値、T2値及びPD値が反映された周囲との間で、コントラストに差が生じることになる。これにより、計算画像において、通常のFLAIR画像の読影と同様に異常部位を検出できるようになる。
また、図6の(a)は、図5の(a)と同様に、コントラスト比テーブルに設定されたFLAIR画像に対応する既知のコントラスト比の一例を示している。ここで、図6の(b)は、TR=8000とした場合の、TIと、灰白質の領域(GM)、白質の領域(WM)、脳脊髄液の領域(CSF)、及び、異常部位の領域(T2 lesion)それぞれにおける信号値との関係を示している。また、図6の(c)は、TR=8000、TI=2900とした場合の、TEと、各領域における信号値との関係を示している。また、図6の(d)は、TR=8000、TI=2580とした場合の、TEと、各領域における信号値との関係を示している。
例えば、図6の(b)〜(d)に示すように、各領域における信号値は、測定されたT1値、T2値及びPD値によっても変化するため、測定ごとに多少のばらつきが必然的に生じる。すなわち、固定されたパラメータ値では、所望のコントラストが得られない。
ここで、例えば、図6の(a)に示すように、コントラスト比テーブルにおいて、FLAIR画像に対応する既知のコントラスト比が、灰白質:白質:脳脊髄液=2.1:1:0と設定されていたとする。そして、この場合に、例えば、図6の(b)に示すように、本実施形態に係るパラメータ値の自動設定において、TR=8000としてTIを変化させた結果、パラメータ値の自動設定が行われる前はTI=2900であった状態が、パラメータ値の自動設定が行われた後はTI=2580になったとする。
このとき、例えば、図6の(c)に示すように、TR=8000、TI=2900としてTEを変化させた場合には、脳脊髄液の領域(CSF)における信号値が残存するため、異常部位の領域(T2 lesion)における信号値と、灰白質の領域(GM)及び白質の領域(WM)の信号値との差が小さくなる(例えば、TE=80のときの信号値を参照)。
これに対し、例えば、図6の(d)に示すように、TR=8000、TI=2580としてTEを変化させた場合には、脳脊髄液の領域(CSF)における信号値が0になるため、異常部位の領域(T2 lesion)における信号値と、灰白質の領域(GM)及び白質の領域(WM)の信号値との差が大きくなる(例えば、TE=80のときの信号値を参照)。
このように、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比に基づいて、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を自動設定することによって、本質的に得たかった画像(本例ではFLAIR画像)と同じ計算画像が得られる。このとき、例えば、図6の(c)及び(d)に示すように、異常部位の領域(T2 lesion)については、設定されたTR、TE及びTIのパラメータ値に基づいて導出されたT1値、T2値及びPD値が反映された周囲との間で、コントラストに差が生じることになる。これにより、計算画像において、通常のFLAIR画像の読影と同様に異常部位を検出できるようになる。
このように、本実施形態では、計算画像において、灰白質の領域(GM)、白質の領域(WM)、及び脳脊髄液の領域(CSF)のコントラスト比を所望のFLAIR画像と同じにすることによって、計算画像における異常部位とその周囲との間のコントラスト比を向上させることができる。これは、通常のゲイン調整とは異なる。
以上、処理回路350が有する各機能について説明した。例えば、本実施形態では、取得機能351、分割機能352、設定機能353、及び生成機能354によって行なわれる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路320に記憶されている。処理回路350は、記憶回路320からプログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図1の処理回路350内に示された各機能を有することとなる。
なお、図1では、取得機能351、分割機能352、設定機能353、及び生成機能354によって行われる処理機能が単一の処理回路350によって実現される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路350を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路350が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、上述した第1の実施形態では、単一の記憶回路320が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路350は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
図7は、第1の実施形態に係る画像処理装置300によって行われる計算画像の生成に関する処理の処理手順を示すフローチャートである。例えば、図7に示すように、本実施形態に係る画像処理装置300では、まず、取得機能351が、被検体の脳に関する入力画像をMRI装置100又は画像保管装置200から取得する(ステップS101)。
その後、分割機能352が、脳に関する入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する(ステップS102)。
また、設定機能353が、入力インタフェース330を介して、操作者から画像種類の指定を受け付ける(ステップS103)。その後、設定機能353は、記憶回路320に記憶されたコントラスト比テーブルを参照して、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比を取得する(ステップS104)。
そして、設定機能353は、分割機能352によって分割された複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、取得したコントラスト比となるように、計算画像生成用のパラメータ値を設定する(ステップS105)。
その後、生成機能354が、設定機能353によって設定されたパラメータ値を用いて、計算画像を生成し(ステップS106)、生成した計算画像をディスプレイ340に表示する(ステップS107)。
ここで、ステップS101は、例えば、処理回路350が取得機能351に対応する所定のプログラムを記憶回路320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS102は、例えば、処理回路350が分割機能352に対応する所定のプログラムを記憶回路320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS103〜S105は、例えば、処理回路350が設定機能353に対応する所定のプログラムを記憶回路320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS106及びS107は、例えば、処理回路350が生成機能354に対応する所定のプログラムを記憶回路320から呼び出して実行することにより実現される。
なお、図7において、分割機能352が脳の領域を複数の領域に分割する処理(ステップS102)と、設定機能353が操作者から画像種類の指定を受け付け、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比をコントラスト比テーブルから取得する処理(ステップS103及びS104)とは、実行順序が逆になってもよいし、並行して実行されてもよい。
上述したように、第1の実施形態によれば、定量画像と、所望の画像種類と、領域間のコントラスト比とに基づいて、従来は撮像によって得られていたMR画像と同じコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することができる。これにより、パラメータの調整の必要がなくなり、検査時間を短縮することができる。また、計算画像のパラメータを自動的に設定することによって、ワークフローを改善することができる。
また、第1の実施形態によれば、領域間のコントラスト比が特定のコントラスト比になるように最適化された計算画像が生成されるため、過去と現在それぞれの計算画像における特定の領域の輝度値が同じになる。この一方で、それ以外の領域については、変化がなかった場合は輝度値が同じになるが、変化があった場合には輝度値が異なるようになるため、フォローアップ観察を容易に行うことができるようになる。
図8は、第1の実施形態による効果の一例を示す図である。ここで、図8の(a)は、本実施形態に係る画像処理装置300によって生成された過去の計算画像の一例を示しており、図8の(b)は、本実施形態に係る画像処理装置300によって生成された現在の計算画像の一例を示している。
上述したように、第1の実施形態では、コントラスト比テーブルに設定されているコントラスト比に合わせて計算画像が生成される。そのため、例えば、図8の(a)及び(b)に示す各計算画像における灰白質の領域(GM)、白質の領域(WM)、及び脳脊髄液の領域(CSF)のように、性状に変化がなければ、各領域における輝度値は同じである。この一方で、例えば、図8の(a)及び(b)に示すように、過去と現在で性状が変わっている異常領域Aがあった場合には、過去の計算画像と現在の計算画像との間で、異常領域Aのコントラストが異なるようになる。
このように、第1の実施形態によれば、診断に適した計算画像を得ることができる。
なお、上述した第1の実施形態では、設定機能353が、記憶回路320に記憶されたコントラスト比テーブルを参照して、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比を取得する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、設定機能353は、過去に撮像されたMR画像又は過去に生成された計算画像を参照して、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比を取得してもよい。
なお、この場合に、過去に撮像された画像における異常部位の領域のコントラスト比を用いてパラメータ値が導出されると、生成される計算画像における殆どの領域の輝度値が過去の画像と違ってしまうことになる。そのため、設定機能353は、異常部位の領域のコントラスト比はパラメータ値の導出に用いないようにする。
例えば、設定機能353は、過去に撮像された画像に含まれる複数の異なる領域の組み合わせごとに、各領域間のコントラスト比に基づいてパラメータ値を導出する。そして、設定機能353は、導出された複数のパラメータ値の中で、値が大きく異なっているものは外れ値とみなし、値が同じとなっているものを最適なパラメータ値として採用する。
例えば、過去の画像における灰白質の領域(GM)と白質の領域(WM)との間のコントラスト比が1:3であり、それにより導出されたパラメータ値が、TE=a、TR=b、TI=cであったとする。また、過去の画像における灰白質の領域(GM)と脳脊髄液の領域(CSF)との間のコントラスト比が1:0.1であり、それにより導出されたパラメータ値が、TE=x、TR=y、TI=zであったとする。また、過去の画像における視床(Thalamus)の領域と脳脊髄液の領域(CSF)との間のコントラスト比が1:0.1であり、それにより導出されたパラメータ値が、TE=x、TR=y、TI=zであったとする。
この場合には、例えば、設定機能353は、灰白質の領域(GM)と白質の領域(WM)との間のコントラスト比から導出されたパラメータ値を外れ値とみなし、灰白質の領域(GM)と脳脊髄液の領域(CSF)との間のコントラスト比、及び、視床(Thalamus)の領域と脳脊髄液の領域(CSF)との間のコントラスト比から導出されたパラメータ値を最適なパラメータ値として採用する。
また、上述した第1の実施形態では、操作者によって画像種類が指定される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、予め処理の対象となる画像種類が指定されて、記憶回路320に記憶されていてもよい。この場合には、例えば、設定機能353は、分割機能352によって分割された脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、記憶回路320によって記憶された画像種類に対応する既知のコントラスト比となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
なお、ここで、記憶回路320に記憶される画像種類の数は複数であってもよい。その場合には、設定機能353は、記憶回路320に記憶されている全ての画像種類について、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。そして、例えば、生成機能354が、記憶回路320に記憶されている全ての画像種類について、それぞれ計算画像を生成し、生成した計算画像を順に、又は、同時にディスプレイ340に表示する。
また、上述した第1の実施形態では、設定機能353が、記憶回路320に記憶されたコントラスト比テーブル及びパラメータ範囲テーブルを参照して、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
例えば、設定機能353は、定量画像、画像種類、及び、計算画像の生成に用いられるパラメータ値に関する正解値を学習用のデータセットとした機械学習によって得られた学習済みモデルを用いて、パラメータ値を設定してもよい。
例えば、設定機能353は、機械学習の手法として、ディープラーニング(深層学習)を用いる。
この場合には、例えば、設定機能353は、T1マップ画像、T2マップ画像、PD画像等の大量の定量画像と、T1W画像、T2W画像、FLAIR画像等の画像種類と、各定量画像から各画像種類の計算画像を生成する際に用いられるTR、TE、TI等のパラメータ値に関する正解値とを学習用データセットとしたディープラーニングによって、学習済みモデルを生成する。
ここで、パラメータ値に関する正解値としては、例えば、過去の診断で計算画像が用いられた際に医師によって適切なパラメータ値として実際に設定された値が用いられる。または、パラメータ値に関する正解値としては、例えば、上述したコントラスト比テーブル及びパラメータ範囲テーブルを用いて実際に設定された値が用いられる。
このように、ディープラーニングによって得られた学習済みモデルを用いることによって、上述したようにコントラスト比テーブル及びパラメータ範囲テーブルを参照してパラメータ値を設定する場合と比べて、より短い時間で、パラメータ値を設定することができるようになる。
なお、設定機能353によって用いられる機械学習の手法としては、ディープラーニングに限られず、他の手法が用いられてもよい。
例えば、設定機能353は、機械学習の手法として、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等を用いてもよい。
ここで、サポートベクターマシンは、線形入力素子を利用して2クラスのパターン識別器を構成する統計手法である。サポートベクターマシンは、訓練データから、各データ点との距離が最大となるマージン最大化超平面を求めるという基準で、線形入力素子のパラメータを学習する統計手法である。また、ランダムフォレストは、ランダムにサンプリングされたトレーニングデータによって学習した多数の決定木を使用する集団学習を行う統計手法である。また、ナイーブベイズは、ベイズ定理を用いて学習をする統計手法である。
いずれの手法でも、正解値に相当する学習用のデータセットを多数入力することによって学習済みモデルを生成し、生成した学習モデルを用いて、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を推測することが可能である。
また、上述した第1の実施形態では、設定機能353が、分割機能352によって分割された複数の領域に含まれる領域間のコントラストが既知のコントラスト比となるようにパラメータ値を設定する場合の例を説明したが、ここで対象とされる領域は、必ずしも、分割機能352によって分割された全ての領域でなくてもよい。
例えば、設定機能353は、分割機能352によって分割された複数の領域のうちの少なくとも1つの領域を指定する操作を操作者から受け付け、指定された領域を複数の領域の中から除いた残りの領域間のコントラストが既知の関係となるように、パラメータ値を設定する。
この場合には、例えば、設定機能358は、分割機能352によって入力画像として用いられた脳のMR画像をディスプレイ340に表示し、入力インタフェース330を介して、表示したMR画像上で任意の位置を指定する操作を操作者から受け付ける。そして、設定機能358は、入力画像から得られた脳の複数の領域の中から、操作者によって指定された位置を含む領域を特定し、特定した領域を除いた残りの領域を対象として、領域間のコントラストが既知の関係となるようにパラメータ値を設定する。
このように、操作者によって指定された領域を対象外とすることによって、パラメータ値を設定する際に用いられる領域から、腫瘍等の異常部位が発生している領域やアーチファクトが発生しやすい領域(例えば、血管の周辺領域等)等を除外することができるようになり、より精度よく、撮像によって得られていたMR画像と同じコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を設定できるようになる。
また、上述した第1の実施形態では、設定機能353が、脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストが、指定された画像種類に対応する既知のコントラスト比となるように、パラメータ値を設定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、設定機能353が、指定された疾患に関連する領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定してもよい。そこで、以下では、このような場合の例を第2の実施形態として説明する。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、図1に示した構成要素と同じ役割を果たす構成要素については、同一の符号を付すこととして詳細な説明を省略する。例えば、図9に示すように、本実施形態では、MRI装置100と、画像保管装置200と、画像処理装置1300とが、ネットワーク400を介して通信可能に接続されている。
画像処理装置1300は、MRI装置100によって収集された画像データを処理する。具体的には、画像処理装置1300は、ネットワーク400を介して、MRI装置100又は画像保管装置200から画像データを取得し、装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。また、画像処理装置1300は、取得した画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理を行う前又は画像処理を行った後の画像データをディスプレイ等に表示する。例えば、画像処理装置1300は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
具体的には、画像処理装置1300は、NWインタフェース310と、記憶回路1320と、入力インタフェース330と、ディスプレイ340と、処理回路1350とを備える。
記憶回路1320は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路1320は、処理回路1350に接続され、処理回路1350から送られる命令に応じて、入力された画像データを記憶し、又は、記憶している画像データを処理回路1350に出力する。例えば、記憶回路1320は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路1350は、入力インタフェース330を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、画像処理装置1300が備える各構成要素を制御する。具体的には、処理回路1350は、NWインタフェース310から出力される画像データを記憶回路1320に記憶させる。また、処理回路1350は、記憶回路320から読み出した画像データをディスプレイ340に表示する。例えば、処理回路1350は、プロセッサによって実現される。
このような構成のもと、本実施形態に係る画像処理装置1300は、MRI装置100によって撮像されたMR画像と任意のパラメータ値とを用いて、撮像後に、計算的に任意の画像種類の計算画像を生成する機能を有する。ここで、画像種類とは、例えば、T1W画像や、T2W画像、FLAIR画像等である。
例えば、画像処理装置1300は、第1の実施形態で説明した画像処理装置300と同様に、Synthetic MRIによって計算画像を生成する機能を有する。
そして、本実施形態に係る画像処理装置1300は、診断に適した計算画像を得ることができるように構成されている。
ここで、例えば、一般的に行われているように、撮像と同じパラメータ値で計算画像を得るだけでは、従来は撮像されていなかったようなコントラストの計算画像の診断利用価値を見過ごしている場合もあり得る。
このようなことから、本実施形態に係る画像処理装置1300は、対象の領域が視覚的に区別しやすくなるようなコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することで、診断利用価値の高い計算画像を得ることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、記憶回路1320が、疾患ごとに、脳の複数の領域のうちの疾患に関連する領域を示す情報を記憶する。なお、本実施形態における記憶回路1320は、記憶部の一例である。
図10は、第2の実施形態に係る記憶回路1320によって記憶される疾患関連領域テーブルの一例を示す図である。例えば、図10に示すように、記憶回路1320は、疾患ごとに、当該疾患に関連する脳の領域と、当該領域と当該疾患との関連度とを対応付けた疾患関連領域テーブルを記憶する。
例えば、図10に示す例は、アルツハイマーに関する疾患関連領域テーブルを示しており、図10に示す「領域#2」、「領域#3」及び「領域#8」は、それぞれ脳の領域を示している。例えば、図10に示す例では、アルツハイマーと領域#2との関連度が「2」であり、アルツハイマーと領域#3との関連度が「5」であり、アルツハイマーと領域#8との関連度が「4」であることを示している。ここでいう関連度は、例えば、文献から得られるp値に基づいて設定されてもよいし、医師が診断を下すときに参照された回数に基づいて設定されてもよい。
また、本実施形態では、処理回路1350が、取得機能351と、分割機能352と、設定機能1353と、生成機能354と、更新機能1355とを有する。なお、本実施形態における分割機能352は、分割部の一例である。また、本実施形態における設定機能1353は、設定部の一例である。また、本実施形態における生成機能354は、生成部の一例である。また、本実施形態における更新機能1355は、更新部の一例である。なお、本明細書における分割部、設定部、生成部、及び更新部は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。
設定機能1353は、分割機能352によって分割された脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストの関係が所定の関係となるように、脳に関する計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
具体的には、設定機能1353は、Synthetic MRIによって生成される脳に関する計算画像における、複数の領域に含まれる領域間のコントラストの関係が所定の関係となるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
ここで、本実施形態では、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを参照して、操作者によって指定された疾患に関連する領域を特定し、特定した領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
例えば、設定機能1353は、指定された疾患に関連する領域と、当該領域の周辺にある領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
具体的には、設定機能1353は、入力インタフェース330を介して、操作者から疾患の指定を受け付ける。例えば、設定機能1353は、予め決められた複数の疾患について、各疾患を列挙したリストをディスプレイ340に表示し、表示したリストの中から疾患を選択する操作を操作者から受け付けることで、疾患の指定を受け付ける。
その後、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを参照して、指定された疾患に関連する領域を特定する。例えば、設定機能1353は、疾患関連領域テーブルに設定されている脳の領域のうち、指定された疾患との関連度が最も高い領域を処理対象の領域として特定する。
そして、設定機能1353は、予めパラメータ値ごとに決められた所定の範囲内で、特定した領域と、当該領域の周辺にある領域との間のコントラスト比が最も大きくなるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
例えば、計算画像の生成に用いられるTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値をTE、TR及びTIとすると、これらのパラメータ値の組み合わせは、以下に示すように、集合θで表される。
θ={TR,TE,TI}
また、予め決められたTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値の範囲は、以下のように表される。ここで、各パラメータ値の範囲は、十分に広く設定されるのが望ましい。
TRmin<TR<TRmax,TEmin<TE<TEmax,TImin<TI<TImax
そして、例えば、分割機能352によって分割された脳の領域の個数をNとすると、集合θのパラメータ値から導出される計算画像における指定された領域と他の領域との間のコントラスト比は、以下に示すように、領域ごとのコントラスト比からなるベクトルCθで表される。
Cθ=(c1θ,c2θ,c3θ,・・・cNθ)
また、指定された領域の周辺にある領域と他の領域との間のコントラスト比は、以下に示すように、領域ごとのコントラスト比からなるベクトルCPERIで表される。
CPERI=(c1PERI,c2PERI,c3PERI,・・・cNPERI)
この場合に、設定機能1353は、以下に示すように、ベクトル間の距離を表す関数D(・)を用いて、ベクトルCθとベクトルCPERIとの間の距離D(Cθ−CPERI)が最大となるTE、TR及びTIの組み合わせθoptimizedを探索する。
θoptimized=argmaxθD(Cθ−CPERI)
具体的には、設定機能1353は、予め決められた所定の範囲内でTE、TR及びTIそれぞれを個別に順次変化させながら、順次、ベクトルCθ及びベクトルCPERIを導出し、さらに、ベクトルCθとベクトルCDBとの間の距離D(Cθ−CDB)を導出する。そして、設定機能1353は、距離D(Cθ−CDB)が最大となったときのTE、TR及びTIの組み合わせをθoptimizedとして特定する。
なお、例えば、設定機能1353は、各パラメータ値を変化させる際に、必ずしも、パラメータ範囲テーブルから取得したパラメータ値の範囲内の全ての値に変化させなくてもよい。例えば、設定機能1353は、通常、MR画像が撮像される際に用いられているパラメータ値を初期値とし、当該初期値から次第に離れるようにパラメータ値を順次変化させながら、ベクトルCθとベクトルCPERIとの間の距離D(Cθ−CPERI)を導出する。そして、設定機能1353は、距離D(Cθ−CPERI)が所定の閾値より大きい値となった時点で処理を終了し、その時点でのTE、TR及びTIの組み合わせをθoptimizedとして特定する。
その後、設定機能1353は、特定したθoptimizedにおけるTE、TR及びTIそれぞれのパラメータ値を、計算画像の生成に用いられるパラメータ値として設定する。これにより、指定された疾患に関連する領域と、当該領域の周辺にある領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値が自動的に設定される。
更新機能1355は、操作者からの操作に応じて、記憶回路1320に記憶された疾患に関連する領域を示す情報を更新する。
具体的には、更新機能1355は、操作者からの操作に応じて、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを更新する。
例えば、更新機能1355は、分割機能352によって分割された複数の領域を示す画像をディスプレイ340に表示し、表示された画像を読影した読影結果に基づく操作を医師等の操作者から受け付ける。
そして、更新機能1355は、操作者から受け付けた操作に応じて、疾患関連領域テーブルを更新する。例えば、更新機能1355は、特定の疾患に関する疾患関連領域テーブルについて、設定されている脳の領域を変更又は削除したり、新たな脳の領域を追加したりする。または、例えば、更新機能1355は、新たな疾患に関する疾患関連領域テーブルを記憶回路1320に登録したり、特定の疾患に関する疾患関連領域テーブルを記憶回路1320から削除したりする。
このように、更新機能1355が、操作者からの操作に応じて、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを更新することによって、例えば、複数の医師によって行われた読影結果に基づいて、疾患に関連する領域を示す情報を蓄積できるようになる。
以上、処理回路1350が有する各機能について説明した。例えば、本実施形態では、取得機能351、分割機能352、設定機能1353、生成機能354、及び更新機能1355によって行なわれる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路1320に記憶されている。処理回路1350は、記憶回路1320からプログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図9の処理回路1350内に示された各機能を有することとなる。
なお、図9では、取得機能351、分割機能352、設定機能1353、生成機能354、及び更新機能1355によって行われる処理機能が単一の処理回路1350によって実現される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路1350を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路1350が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、上述した第1の実施形態では、単一の記憶回路1320が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路1350は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
図11は、第2の実施形態に係る画像処理装置1300によって行われる疾患関連領域テーブルの更新に関する処理の処理手順を示すフローチャートである。例えば、図11に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1300では、まず、取得機能351が、被検体の脳に関する入力画像をMRI装置100又は画像保管装置200から取得する(ステップS201)。このとき、例えば、取得機能351は、MRI装置100によってMPRAGE(Magnetization Prepared Rapid Gradient Echo)シーケンスを用いて撮像されたT1W画像を取得する。
その後、分割機能352が、脳に関する入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する(ステップS202)。
そして、更新機能1355が、分割機能352によって分割された複数の領域を示す画像をディスプレイ340に表示し(ステップS203)、表示された画像を読影した読影結果に基づく操作を医師等の操作者から受け付ける(ステップS204)。その後、更新機能1355は、受け付けた操作に応じて、疾患に関連する領域を示す情報(疾患関連領域テーブル)を更新する(ステップS205)。
ここで、ステップS201は、例えば、処理回路1350が取得機能351に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS202は、例えば、処理回路1350が分割機能352に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS203〜S205は、例えば、処理回路1350が更新機能1355に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。
なお、ここでは、読影用の画像を更新機能1355が表示する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本実施形態における設定機能1353が、第1の実施形態で説明した設定機能353と同様にパラメータ値を設定し、生成機能354が、設定されたパラメータ値を用いて、読影用の計算画像を生成してもよい。
図12は、第2の実施形態に係る画像処理装置1300によって行われる計算画像の生成に関する処理の処理手順を示すフローチャートである。例えば、図12に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1300では、まず、取得機能351が、被検体の脳に関する入力画像をMRI装置100又は画像保管装置200から取得する(ステップS301)。
その後、分割機能352が、脳に関する入力画像における脳の領域を複数の領域に分割する(ステップS302)。
また、設定機能1353が、入力インタフェース330を介して、操作者から疾患の指定を受け付ける(ステップS303)。その後、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを参照して、指定された疾患に関連する領域を特定する(ステップS304)。
そして、設定機能1353は、特定した領域と、当該領域の周辺にある領域との間のコントラスト比が強調されるように、計算画像生成用のパラメータ値を設定する(ステップS305)。
その後、生成機能354が、設定機能1353によって設定されたパラメータ値を用いて、計算画像を生成し(ステップS306)、生成した計算画像をディスプレイ340に表示する(ステップS307)。なお、ここで表示される計算画像は、T1W画像やT2W画像、FLAIR画像等のような特定の名前が付けられていない画像であってもよい。
ここで、ステップS301は、例えば、処理回路1350が取得機能351に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS302は、例えば、処理回路1350が分割機能352に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS303〜S305は、例えば、処理回路1350が設定機能1353に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS306及びS307は、例えば、処理回路1350が生成機能354に対応する所定のプログラムを記憶回路1320から呼び出して実行することにより実現される。
なお、図12において、分割機能352が脳の領域を複数の領域に分割する処理(ステップS302)と、設定機能1353が操作者から疾患の指定を受け付け、指定された疾患に関連する領域を特定する処理(ステップS303及びS304)とは、実行順序が逆になってもよいし、並行して実行されてもよい。
上述したように、第2の実施形態によれば、疾患とその疾患に関連した領域の情報に基づいて、対象の領域が視覚的に区別しやすくなるようなコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することができる。これにより、診断利用価値の高い計算画像を得ることができる。また、医師が、疾患に関連する領域を計算画像上で読影しやすくなる。
また、例えば、熟練した医師が定性的に読影していた異常領域がはっきり分かるようなコントラストの計算画像が生成されるようになり、熟練していない医師であっても異常領域を読影できるようになる。また、生成された計算画像から得られるピクセル値が、Imaging biomarkerとして定められる可能性がある。また、計算画像のパラメータを自動的に設定することによって、ワークフローを改善することができる。
このように、第2の実施形態によれば、診断に適した計算画像を得ることができる。
なお、上述した第2の実施形態では、記憶回路1320が、疾患関連領域テーブルにおいて、疾患に関連する領域を一つずつ記憶する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、記憶回路1320は、疾患ごとに、当該疾患に関連する少なくとも二つの領域の組み合わせを示す情報を記憶してもよい。この場合には、例えば、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶された情報を参照して、指定された疾患に関連する領域の組み合わせを特定し、特定した組み合わせに含まれる領域間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータを設定する。
また、上述した第2の実施形態では、設定機能1353が、疾患関連領域テーブルに設定されている脳の領域のうち、指定された疾患との関連度が最も高い領域を処理対象の領域として特定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、設定機能1353は、疾患関連領域テーブルに設定されている脳の複数の領域を処理対象としてもよい。この場合には、例えば、設定機能1353は、全ての領域について、ベクトルCθとベクトルCDBとの間の距離D(Cθ−CDB)を導出し、その中で距離D(Cθ−CDB)が最大となったときのTE、TR及びTIの組み合わせをθoptimizedとして特定する。また、設定機能1353は、このように複数の領域を処理対象とする場合には、領域ごとにパラメータを設定する際に、疾患関連領域テーブルに設定されている関連度に応じて重み付けを行うようにしてもよい。
また、上述した第2の実施形態では、設定機能1353が、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを参照して、指定された疾患に関連する領域を特定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、設定機能1353は、脳の複数の領域の中で疾患に関連する領域を指定する操作を操作者から受け付け、操作者によって指定された領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、パラメータ値を設定してもよい。なお、このとき、操作者から受け付ける領域の数は、一つであってもよいし、複数であってもよい。
また、上述した第2の実施形態では、操作者によって疾患が指定される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、予め処理の対象となる疾患が指定されて、記憶回路1320に記憶されていてもよい。この場合には、例えば、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶された疾患関連領域テーブルを参照して、記憶回路1320によって記憶された疾患に関連する領域を特定し、特定した領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。
なお、ここで、記憶回路1320に記憶される疾患の数は複数であってもよい。その場合には、設定機能1353は、記憶回路1320に記憶されている全ての疾患について、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する。そして、例えば、生成機能354が、記憶回路1320に記憶されている全ての疾患について、それぞれ計算画像を生成し、生成した計算画像を順に、又は、同時にディスプレイ340に表示する。
また、上述した第2の実施形態では、設定機能1353が、指定された疾患に関連する領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する場合の例を説明したが、さらに、コントラストの強調度合いを変えられるようにしてもよい。
例えば、設定機能1353は、コントラストの強調度合いを指定する操作を操作者から受け付け、指定された強調度合いで、指定された疾患に関連する領域と他の領域との間のコントラストが強調されるように、パラメータ値を設定する。
この場合には、例えば、設定機能1353は、入力インタフェース330を介して、強調度合いを示す値を入力する操作を操作者から受け付ける。または、例えば、設定機能1353は、大、中、小のように、予め段階的に決められた複数の強調度のレベルの中から1つのレベルを選択する操作を操作者から受け付ける。
これにより、操作者が、疾患に関連する領域の強調度合いを調整できるようになり、より容易に読影を行えるようになる。
以上、第1及び第2の実施形態に係る画像処理装置について説明した。ここで、例えば、上述した第1及び第2の実施形態において、設定機能が、計算画像を生成するための最適なパラメータ値を導出した際に、導出したパラメータ値をプリセットとして記憶回路に保存するようにしてもよい。この場合には、例えば、生成機能が、後に、プリセットとして保存されているパラメータ値を再利用して、計算画像を生成する。
また、上述した第1及び第2の実施形態では、計算画像を生成する技術として、Synthetic MRIが用いられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、Synthetic MRIの代わりに、MR fingerprintingが用いられてもよい。MR fingerprintingでは、データベースとの比較及び推定によるシミュレーションによって、T1値やT2値、PD(Proton Density)値等の組織定量値が導出される。
また、上述した第1及び第2の実施形態では、本願が開示する技術を画像処理装置に適用した場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本願が開示する技術は、MRI装置に適用することも可能である。そこで、以下では、第3及び第4の実施形態として、MRI装置の実施形態を説明する。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。例えば、図13に示すように、本実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、架台8、寝台9、入力インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路13〜16を備える。
静磁場磁石1は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、内側の空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成された冷却容器と、当該冷却容器内に充填された冷却材(例えば、液体ヘリウム等)に浸漬された超伝導磁石等の磁石とを有している。ここで、例えば、静磁場磁石1は、永久磁石を用いて静磁場を発生させるものであってもよい。また、例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成されたものではなく、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように1対の磁石を配置した、いわゆるオープン型の構成を有するものであってもよい。
傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、静磁場磁石1の内側に配置されている。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる三つのコイルを備える。ここで、x軸、y軸及びz軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、x軸の方向は、水平方向に設定され、y軸の方向は、鉛直方向に設定される。また、z軸の方向は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束の方向と同じに設定される。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が備える三つのコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を傾斜磁場コイル2の内側の空間に発生させる。x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を適宜に発生させることによって、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。
ここで、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
そして、各傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、MR(Magnetic Resonance(磁気共鳴))信号に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
送信コイル4は、送信回路5から出力されるRF(Radio Frequency)パルス信号に基づいて、被検体Sが配置される撮像空間にRF磁場を印加するRFコイルである。具体的には、送信コイル4は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、傾斜磁場コイル2の内側に配置されている。そして、送信コイル4は、送信回路5から出力されるRFパルス信号に基づいて、当該送信コイル4の内側の空間に形成された撮像空間にRF磁場を印加する。
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルス信号を送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。例えば、受信コイル6は、送信コイル4の内側に配置された被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから発せられるMR信号を受信する。そして、受信コイル6は、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここで、専用のコイルとは、例えば、頭部用の受信コイル、頚部用の受信コイル、肩用の受信コイル、胸部用の受信コイル、腹部用の受信コイル、下肢用の受信コイル、脊椎用の受信コイル等である。
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRF磁場を印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、各RFコイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよいし、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有する場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルス信号を出力する。
架台8は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4を収容している。具体的には、架台8は、円筒状に形成された中空のボアBを有しており、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4がボアBを囲むように配置された状態で、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4それぞれを収容している。ここで、架台8におけるボアBの内側の空間が、被検体Sの撮像が行われる際に被検体Sが配置される撮像空間となる。
寝台9は、被検体Sが載置される天板9aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、架台8におけるボアBの内側へ天板9aを挿入する。例えば、寝台9は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
入力インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。例えば、入力インタフェース10は、関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、及び音声入力インタフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース10の例に含まれる。
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、MR信号データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。例えば、処理回路13は、プロセッサによって実現される。寝台制御機能13aは、寝台9に接続され、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。例えば、寝台制御機能13aは、入力インタフェース10を介して、天板9aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する天板9aの駆動機構を動作させる。
処理回路14は、実行機能14aを有する。実行機能14aは、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、MR信号データのデータ収集を行う。ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス信号の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。例えば、処理回路14は、プロセッサによって実現される。
また、実行機能14aは、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路12に記憶させる。なお、実行機能14aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路12に記憶される。
処理回路15は、記憶回路12に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、処理回路15は、実行機能14aによって記憶回路12に記憶されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、処理回路15は、生成した画像の画像データを記憶回路12に記憶させる。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。
処理回路16は、主制御機能16aを有する。主制御機能16aは、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、主制御機能16aは、入力インタフェース10を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種のパラメータの入力を受け付け、受け付けたパラメータに基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、主制御機能16aは、生成したシーケンス実行データを処理回路14に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、主制御機能16aは、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路12から読み出し、読み出した画像をディスプレイ11に出力する。例えば、処理回路16は、プロセッサによって実現される。
このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、MR画像と任意のパラメータ値とを用いて、撮像後に、計算的に任意の画像種類の計算画像を生成する機能を有する。ここで、画像種類とは、例えば、T1W画像や、T2W画像、FLAIR画像等である。
例えば、MRI装置100は、第1の実施形態で説明した画像処理装置と同様に、Synthetic MRIによって計算画像を生成する機能を有する。
そして、本実施形態に係るMRI装置100は、診断に適した計算画像を得ることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、記憶回路12が、第1の実施形態で説明した記憶回路320と同様に、画像種類ごとに、脳の複数の領域に含まれる領域間のコントラストについて、当該画像種類に対応する既知のコントラスト比を示す情報を記憶する。なお、本実施形態における記憶回路12は、記憶部の一例である。
さらに、本実施形態では、記憶回路12は、第1の実施形態で説明した記憶回路320と同様に、画像種類ごとに、計算画像の生成に用いられるパラメータ値を設定する際の条件となるパラメータ値の範囲を定義した情報を記憶する。
また、本実施形態では、処理回路15が、取得機能15aと、分割機能15bと、設定機能15cと、生成機能15dとを有する。なお、本実施形態における分割機能15bは、分割部の一例である。また、本実施形態における設定機能15cは、設定部の一例である。また、本実施形態における生成機能15dは、生成部の一例である。なお、本明細書における分割部、設定部、及び生成部は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。
取得機能15aは、第1の実施形態で説明した取得機能351と同様の機能を有する。ただし、第1の実施形態では、取得機能351が、MRI装置100又は画像保管装置200から入力画像を取得したのに対し、本実施形態に係る取得機能15aは、記憶回路12から、被検体の脳に関するMR画像を入力画像として取得する。
分割機能15bは、第1の実施形態で説明した分割機能352と同様の機能を有する。また、設定機能15cは、第1の実施形態で説明した設定機能353と同様の機能を有する。また、生成機能15dは、第1の実施形態で説明した生成機能354と同様の機能を有する。
ここで、本実施形態では、入力インタフェース10及びディスプレイ11が、それぞれ、第1の実施形態で説明した入力インタフェース330及びディスプレイ340に対応する。
以上、処理回路15が有する各機能について説明した。例えば、本実施形態では、取得機能15a、分割機能15b、設定機能15c、及び生成機能15dによって行なわれる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶されている。処理回路15は、記憶回路12からプログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図13の処理回路15内に示された各機能を有することとなる。
なお、図13では、取得機能15a、分割機能15b、設定機能15c、及び生成機能15dによって行われる処理機能が単一の処理回路15によって実現される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路15を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路15が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、上述した第3の実施形態では、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
このような構成により、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、第3の実施形態によれば、従来は撮像によって得られていたMR画像と同じコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することで、検査時間を短縮することができる。
このように、第3の実施形態によれば、診断に適した計算画像を得ることができる。
(第4の実施形態)
図14は、第4の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。なお、第4の実施形態では、第3の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、図13に示した構成要素と同じ役割を果たす構成要素については、同一の符号を付すこととして詳細な説明を省略する。例えば、図14に示すように、本実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、架台8、寝台9、入力インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路112、並びに処理回路13、14、115及び16を備える。
記憶回路112は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路112は、MR信号データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路112は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路115は、記憶回路112に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、処理回路115は、実行機能14aによって記憶回路112に記憶されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、処理回路115は、生成した画像の画像データを記憶回路112に記憶させる。例えば、処理回路115は、プロセッサによって実現される。
このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、MR画像と任意のパラメータ値とを用いて、撮像後に、計算的に任意の画像種類の計算画像を生成する機能を有する。ここで、画像種類とは、例えば、T1W画像や、T2W画像、FLAIR画像等である。
例えば、MRI装置100は、第2の実施形態で説明した画像処理装置と同様に、Synthetic MRIによって計算画像を生成する機能を有する。
そして、本実施形態に係るMRI装置100は、診断に適した計算画像を得ることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、記憶回路112が、第2の実施形態で説明した記憶回路1320と同様に、疾患ごとに、脳の複数の領域のうちの疾患に関連する領域を示す情報を記憶する。なお、本実施形態における記憶回路1320は、記憶部の一例である。
また、本実施形態では、処理回路115が、取得機能15aと、分割機能15bと、設定機能115cと、生成機能15dと、更新機能115eとを有する。なお、本実施形態における分割機能15bは、分割部の一例である。また、本実施形態における設定機能115cは、設定部の一例である。また、本実施形態における生成機能15dは、生成部の一例である。また、本実施形態における更新機能115eは、更新部の一例である。なお、本明細書における分割部、設定部、生成部、及び更新部は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。
設定機能115cは、第2の実施形態で説明した設定機能1353と同様の機能を有する。また、更新機能115eは、第2の実施形態で説明した更新機能1355と同様の機能を有する。
ここで、本実施形態では、入力インタフェース10及びディスプレイ11が、それぞれ、第2の実施形態で説明した入力インタフェース330及びディスプレイ340に対応する。
以上、処理回路115が有する各機能について説明した。例えば、本実施形態では、取得機能15a、分割機能15b、設定機能115c、生成機能15d、及び更新機能115eによって行なわれる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路112に記憶されている。処理回路115は、記憶回路112からプログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図14の処理回路115内に示された各機能を有することとなる。
なお、図14では、取得機能15a、分割機能15b、設定機能115c、生成機能15d、及び更新機能15eによって行われる処理機能が単一の処理回路115によって実現される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路115を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路115が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、上述した第1の実施形態では、単一の記憶回路112が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
このような構成により、第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、第4の実施形態によれば、対象の領域が視覚的に区別しやすくなるようなコントラストの計算画像が得られるパラメータ値を自動的に設定することで、診断利用価値の高い計算画像を得ることができる。
このように、第4の実施形態によれば、診断に適した計算画像を得ることができる。
なお、上述した各実施形態では、脳の画像を対象とした場合の例を説明したが、各実施形態で説明した計算画像の生成方法は、脳以外の部位の画像を対象とした場合にも適用することが可能である。その場合には、例えば、各実施形態において、分割機能は、対象部位の領域を解剖学的な構造や機能等に基づいて区分けしたテンプレートを用いて、当該テンプレートを入力画像にフィッティングさせることで、入力画像における対象部位の領域を複数の領域に分割する。または、分割部は、各種のセグメンテーション(領域分割)技術を用いて、入力画像における対象部位の領域を複数の領域に分割する。
また、上述した各実施形態では、MR画像を用いた場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置や超音波診断装置、X線診断装置等の他の画像診断装置によって撮像された医用画像を用いた場合でも、画像処理装置や各医用画像診断装置において同様の実施形態が実施可能である。
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)−ROM、FD(Flexible Disk)、CD−R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、診断に適した計算画像を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。