JP2019002696A - 質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法 - Google Patents

質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スペクトルデータから任意の2つの分子のピーク間の組成を推定することができる質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法を提供する。【解決手段】質量分析データ処理装置は、演算部と、探索部と、を備えている。演算部は、マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差Δm/zを算出、又は質量差Δm/zを取得する。探索部は、質量差Δm/zの範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する。さらに、探索部は、2つの分子のうち一方の分子から減少する原子群と増加する原子群の質量差が質量差Δm/zと一致する原子の組み合わせを探索する。【選択図】図2

Description

本発明は、導入された試料を解析するために用いられる質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法に関する。
従来から、質量分析データ処理装置では、質量分析計が分析したマススペクトルを用いて種々のデータ処理が行われている。例えば、質量分析データ処理装置では、マススペクトルデータのピーク値から組成が未知の分子の組成の推定が行われている。この組成の推定では、対象となる分子のピーク値(精密質量)から原子の組み合わせを探索することで行われている。そのため、対象となる分子の精密質量の値が大きくなるほど、原子の組み合わせの数が膨大になり、候補の絞り込みが困難となっていた。
また、特許文献1には、マススペクトルで検出された任意のイオンと他のイオンとの質量差を算出し、質量差が所望分子の組み合わせと一致するイオン群から選択する技術が記載されている。
特開2013−92495号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、選択されたイオンとの質量差が所望分子の組み合わせと一致するイオンを探索する技術であり、マススペクトルデータから任意の2つの分子のピーク間の組成の推定は行われていなかった。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、マススペクトルデータから任意の2つの分子のピーク間の組成を推定することができる質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法を提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の質量分析データ処理装置は、演算部と、探索部と、を備えている。演算部は、マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差を算出、又は質量差を取得する。探索部は、質量差の範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する。さらに、探索部は、2つの分子のうち一方の分子から減少する原子群と増加する原子群の質量差が質量差と一致する原子の組み合わせを探索する。
また、本発明の質量分析システムは、試料の質量分析を行い、マススペクトルデータを生成する質量分析計と、質量分析計からマススペクトルデータを取得する質量分析データ処理装置と、を備えている。質量分析データ処理装置としては、上述した質量分析データ処理装置が用いられる。
さらに、本発明の質量分析データ処理方法は、下記(1)から(2)に示す工程を含んでいる。
(1)マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差を算出、又は質量差を取得する演算工程。
(2)質量差の範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する探索工程。
また、探索工程では、2つの分子のうち一方の分子から減少する原子群と増加する原子群の質量差が質量差と一致する原子の組み合わせを探索する。
本発明の質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法によれば、任意の2つの分子のピーク間の組成を推定することができる。
実施の形態例にかかる質量分析システムを示すブロック図である。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理方法を示すフローチャートである。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理方法と従来例の条件値を示すテーブルである。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理方法において用いられるマススペクトルデータの一例を示すものである。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理方法の概要を示す説明図である。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理方法における絞り込み処理を示すフローチャートである。 実施の形態例にかかる質量分析データ処理システムの表示装置に表示される表示例である。
以下、本発明の質量分析データ処理装置、質量分析システム及び質量分析データ処理方法の実施の形態例について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
1.質量分析システムの構成
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる質量分析システムについて図1を参照して説明する。
図1は、本例の質量分析システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す質量分析システム100は、導入された試料を解析するために用いられるシステムである。図1に示すように、質量分析システム100は、質量分析計(MS)1と、質量分析データ処理装置10と、を備えている。質量分析計1と質量分析データ処理装置10は、無線、又は有線のネットワーク(LAN(Local Area Network)、インターネット、専用線等)を介して接続され、互いにデータの送受信が可能である。
質量分析計1は、導入された試料をイオン化し、イオンの質量電荷比(m/z)毎の検出強度を検出し、マススペクトルデータを生成する装置である。この質量分析計1は、導入された試料をイオン化するイオン源と、イオン源で生成されたイオンを質量に応じて分離させる質量分離部と、質量分離部により分離されたイオンを検出する検出部とを備えている。
イオン源によるイオン化法としては、電子イオン化(electron ionization:EI)法、化学イオン化(chemical ionization:CI)法、高速原子衝撃(fast atom bombardment:FAB)法、エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization:ESI)法、大気圧化学イオン化(atmospheric pressure chemical ionization:APCI)法や、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(matrix-assisted laser desorption/ ionization:MALDI)法等その他各種のイオン化法が適用されるものである。なお、本例のイオン源のイオン化法としては、MALDI法が用いられている。
また、質量分離部としては、磁場型、四重極型、イオントラップ型、フーリエ変換イオンサイクトロン共鳴型、飛行時間型等や、これらを複数組み合わせたもの等その他各種の型の質量分離部が適用されるものである。なお、本例の質量分離部としては、飛行時間型が用いられている。
検出部は、検出したイオンの検出強度をアナログ信号に変換して、質量分析データ処理装置10の制御部2に送信する。
質量分析データ処理装置10は、制御部2と、記憶部3と、入力部4と、表示装置5とを備えている。制御部2は、質量分析計1の制御を行うコントロール部2aと、質量分析計1から質量分析データを取得する取込部2bと、データ処理部2cと、表示装置5を制御する表示制御部2dとを有している。
コントロール部2aには、入力部4が接続されている。入力部4としては、例えばキーボードやスイッチ等の各種入力手段が適用される。取込部2bは、質量分析計1からマススペクトルデータを所得する。そして、取込部2bは、取得した質量分析データをデータ処理部2cに送信する。
データ処理部2cには、取得した質量分析データに対して演算処理を行う。データ処理部2cは、演算部11と、探索部12と、絞り込み部13とを有している。演算部11は、取込部2bが取得した質量分析データに対して演算処理を行う。探索部12は、演算部11が演算処理を行った情報と、入力部4に入力された情報や、記憶部3に格納された情報に基づいて、組成を推定する。
絞り込み部13は、探索部12が探索した組成を、予め設定された条件に基づいて、絞り込み処理を行う。絞り込み部13は、絞り込まれた組成の候補を表示制御部2dや記憶部3に送信する。
また、表示制御部2dは、データ処理部2cで演算処理されたデータや、取込部2bが取得した質量分析データ等を表示装置5に表示させるための処理を行う。
記憶部3には、制御部2から送信された各種データや、組成推定の際に用いられる原子の精密質量が質量電荷比(m/z値)として格納されている。
質量分析データ処理装置10としては、質量分析計1と一体に設けられた制御装置を適用してもよく、あるいは、外部の携帯情報処理端末や、PC(パーソナルコンピューター)等を適用してもよい。
2.質量分析システムを用いたデータ処理方法
次に、上述した構成を有する質量分析システム100を用いたデータ処理方法(組成推定処理)の一例について図2〜図6を参照して説明する。
図2は、データ処理方法を示すフローチャートである。図3は、データ処理方法で用いられる条件値を示すテーブルである。図4は、データ処理方法で用いられるマススペクトルデータである。図5は、本例のデータ処理方法の概要を示す説明図である。
図2に示すように、まず、使用者は、入力部4を介して条件値を入力する(ステップS11)。ステップS11の処理で入力される条件値としては、例えば、図3に示すテーブルの、「質量(m/z)の誤差」、絞り込み処理で用いられる「DBE値の範囲」、組み合わせの探索(組成推定)で用いられる原子の種類と、その原子の数の「最小値」及び「最大値」である。また、従来のデータ処理方法では、絞り込み処理で用いられる「電子の数」、「電荷」も入力される。入力部4に入力された条件値は、記憶部3に格納される。
本例では、条件値を使用者が入力部4を介して入力する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、予め図3に示す条件値を記憶部3に格納し、データ処理を行う際に、制御部2のデータ処理部2cが、記憶部3から取得してもよい。
次に、制御部2の取込部2bは、質量分析計1からマススペクトルデータを取得する(ステップS12)。なお、ステップS12におけるマススペクトルデータを取得する工程は、ステップS11の条件値を入力する工程の前に行ってもよい。
次に、マススペクトルデータから、2つの分子のピーク(モノアイソートピーク)を選択する(ステップS13)。ステップS13の処理は、例えば、表示装置5に図4に示すマススペクトルを表示し、使用者に差の組成推定を行う2つの分子のピークA、Bを選択させることで行われる。または、差の組成推定を行う2つの分子のピークの質量電荷比(m/z値)又は精密質量を入力部4に入力してもよい。
次に、データ処理部2cは、選択された2つのピークA、Bの質量電荷比(m/z値)、すなわち任意の2つの分子の精密質量を抽出する。そして、データ処理部2cの演算部11は、2つの分子の精密質量の差(質量差)を演算する(ステップS14)。具体的には、演算部11は、選択された2つのピークA、Bにおけるm/z値の差であるΔm/zを算出する(ステップS14)。なお、演算部11は、取込部2bや入力部4を介して、質量差Δm/zを取得してもよい。そして、演算部11で算出された質量差Δm/zは、記憶部3に格納されると共に探索部12に出力される。
次に、探索部12は、ステップS11で入力された条件値と、記憶部3に格納された組み合わせ探索に用いられる原子の精密質量に基づいて、質量差Δm/zの範囲内で、原子の組み合わせ(以下、単に「組」という。)を探索する(ステップS15)。
図5に示すように、ピークAとピークBの間では、増加する原子だけではなく、減少する原子も存在する。そして、選択したピークBから減少した原子群(負数の原子群)の精密質量(質量電荷比)を減少質量D1とし、ピークBから増加した原子群(正数の原子群)の精密質量(質量電荷比)を増加質量A1とした場合、A1−D1=Δm/zとなる。したがって、探索部12は、減少質量D1と増加質量A1の差が、質量差Δm/zと一致する原子の組を探索する。
ステップS15の探索処理で用いられる原子の種類と、原子の数の最大値と最小値は、ステップS11で入力した図3に示す条件値である。
なお、従来のデータ処理方法では、0から組成推定を行う分子のピークAまでのm/z値の範囲H1内で原子の組の探索処理が行われていた。そのため、図3に示すように、従来例のデータ処理方法で用いられる条件値では、組み合わせの探索で用いられる原子の数は、0以下の負数を含まない0以上の整数が入力され、その「最小値」は、0となっている。さらに、従来のデータ処理方法では、図5に示すように、探索を行う範囲H1が広いため、組成推定の誤差も大きくなっていた。
これに対して、本例のデータ処理では、2つのピークA、Bにおける質量差Δm/zの範囲内で原子の組の探索処理が行われている。上述したように、本例のデータ処理の探索部12は、減少する原子も考慮して、原子の組の探索処理を行っている。これにより、任意の2つの分子のピーク間の差の組成を推定することができる。
また、減少する原子も考慮するため、図3に示すように、ステップS11の処理で入力される条件値には、原子の数の「最小値」に0以下の数として、負数も入力可能になっている。本例では、Cの数の範囲が−6〜+100(最小値−6、最大値+100)、Hの数の範囲が−15〜+200(最小値−15、最大値+200)、Oの数の範囲が−2〜+15(最小値−2、最大値+15)、Nの数の範囲が−4〜+10(最小値−4、最大値+10)、Pの数の範囲が0〜+2(最小値0、最大値+2)に設定されている。これらの原子の精密質量は、予め記憶部3に格納されている。なお、原子の種類及び原子の数の範囲は、組成推定する対象に応じて任意に変更可能である。
さらに、本例のデータ処理方法では、原子の組の探索処理の範囲が、2つのピークA、B間であるため、探索を行う範囲を従来のデータ処理方法の範囲H1よりも狭めることができ、組成推定の誤差を小さくすることができる。さらに、組成推定を行う範囲が狭まるため、原子の組み合わせの数を減らすことができ、候補の絞り込みを容易に行うことができる。
例えば、チロシンの組成推定を行う場合、チロシンの精密質量、すなわち実測したm/z値は、182.08117である。そのため、従来例の組成推定を行う範囲のm/z値は、182.08117となる。
これに対して、チロシンとアルギニンの差の組成推定を行う本例のデータ処理の場合、ピークAとしてチロシンのピーク値が選択され、ピークBとしてアルギニンのピーク値が選択される。ここで、アルギニンのチロシンの精密質量、すなわち実測したm/z値は、175.11889である。そして、チロシンとアルギニンの質量差Δm/zは、6.96228となる。したがって、本例でのデータ処理方法で組成推定を行う範囲のm/z値は、6.96228となり、上述した従来の組成推定で行う範囲よりも狭まったことが分かる。
そして、探索部12は、探索した原子の組を、表示制御部2d、絞り込み部13や、記憶部3等に出力する。なお、探索部12が出力する原子の組は、負数の原子群と正数の原子群が混在した原子の組である。例えば、探索部12からC3H−3O1N−3という原子の組が出力された場合、Cが3つ、Oが1つ増加し、Hが3つ、Nが3つ減少したことを示す。
次に、データ処理部2cは、探索した原子の組を、減少した原子群である負数の原子群と、増加した原子群である正数の原子群に分ける(ステップS16)。ステップS15の処理において、例えば、C3H−3O1N−3という原子の組が探索された場合、負数の原子群としてH3とN3、正数の原子群としてC3とO1に分けられる。
そして、ステップS16で分けられた、負数の原子群と、正数の原子群に基づいて、絞り込み部13は、絞り込み処理を行う(ステップS17)。なお、本例では、負数の原子群と、正数の原子群に分けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、負数の原子群と正数の原子群が混在した原子の組を用いて絞り込み処理を行ってもよい。
[絞り込み処理]
ここで、図6を参照してステップS17の絞り込み処理の一例について説明する。
図6は、絞り込み処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、絞り込み部13は、ステップS16の処理で分けられた負数の原子群のDBE(Double Bond Equivalent)値と、正数の原子群のDBE値を算出する(ステップS21)。すなわち、ステップS21の処理では、負数の原子群と正数の原子群のそれぞれの不飽和度を算出する。
DBE値は、原子の組において、炭素原子の数をw、水素原子の数をx、ハロゲン原子の数をy、窒素原子の数をzとすると、下記式1から算出される。なお、酸素や硫黄のような第16族元素の数は、カウントしない。ただし、ヒドロキシ基のような酸素原子に結合した水素元素は、カウントする。
[式1]
DBE=(2+2w−x−y+z)/2
例えば、C3H−3O1N−3という原子の組が探索された場合、負数の原子群としてH3とN3、正数の原子群としてC3とO1に分けられるため、負数の原子群のDBE値は、(2−3+3)/2から1となり、正数の原子群のDBE値は、(2+2×3)/2から4となる。
次に、絞り込み部13は、ステップS21の処理で算出された負数の原子群のDBE値と、正数の原子群のDBE値の差を算出する(ステップS22)。そして、負数の原子群のDBE値が1、正数の原子群のDBE値が4の場合、DBE値の差は、4−1から3となる。
次に、絞り込み部13は、ステップS22の処理で算出されたDBE値の差が、ステップS11の処理で設定した範囲内であるか否かを判断する(ステップS23)。ここで用いられる範囲とは、図3に示す「DBEの範囲」であり、本例では、−1.5〜25.0に設定されている。なお、DBEの範囲は、組成推定する対象によって任意に変更可能である。
そして、ステップS23の処理において、DBE値の差が範囲外であると判断した場合(ステップS23のNO判定)、絞り込み部13は、絞り込みを行った原子の組を組成の候補から排除する(ステップS26)。そして、絞り込み処理が完了し、図2に示すステップS18の処理に戻る。
これに対して、ステップS23の処理において、DBE値の差が範囲内であると判断した場合(ステップS23のYES判定)、絞り込み部13は、負数の原子群のDBE値と正数の原子群のDBE値のodd/evenが同一であるか否かを判断する(ステップS24)。
ここで、even(偶数)では、全ての原子の手(原子価)が結合されており、odd(奇数)では、原子に結合されていない手を有することを示している。なお、DBE値は、式1に示すように2で除算されている。そのため、evenは整数となり、odd(奇数)は整数に0.5を加えた値となる。
上述したように、C3H−3O1N−3という原子の組では、負数の原子群のDBE値は1で、正数の原子群のDBE値は4であるため、負数の原子群のDBE値及び正数の原子群のDBE値は、それぞれ整数である。そのため、減少した原子群の原子価の状態と、増加した原子群の原子価の状態が一致していると判断できる。
また、本例のステップS24の処理では、負数の原子群のDBE値と正数の原子群のDBE値のodd/evenがそれぞれ同一であるか否かを判断した例を説明したが、これに限定されるものではない。ここで、負数の原子群のDBE値と正数の原子群のDEB値のodd/evenが同一の場合、正数の原子群のDBE値から負数の原子群のDBE値を減算すると必ず整数となる。逆に、odd/evenが異なる場合には、必ず半整数、すなわち整数に0.5を加えた値となる。そのため、正数の原子群のDBE値から負数の原子群のDBE値を減算することで、ステップS24の処理と同一の判定を行うことができる。
ステップS24の処理において、負数の原子群のDBE値と正数の原子群のDBE値のodd/evenが同一でないと判断した場合(ステップS24のNO判定)、絞り込み部13は、絞り込みを行った原子の組を組成の候補から排除する(ステップS26)。そして、絞り込み処理が完了し、図2に示すステップS18の処理に戻る。
これに対して、ステップS24の処理において、負数の原子群のDBE値と正数の原子群のDBE値のodd/evenが同一であると判断した場合(ステップS24のYES判定)、絞り込み部13は、絞り込みを行った原子の組を組成の候補に登録する(ステップS25)。すなわち、絞り込み部13は、絞り込みを行った原子の組を記憶部3に格納する。これにより、絞り込み部13による絞り込み処理が完了し、図2に示すステップS18の処理に戻る。
次に、図2に示すように、データ処理部2cは、探索部12によって質量差Δm/zの範囲における全ての原子の組の探索が終了したか否かを判断する(ステップS18)。ステップS18の処理において、データ処理部2cがまだ探索が終了していないと判断した場合(ステップS18のNO判定)、ステップS15の処理に戻り、原子の組の探索処理を続ける。
また、ステップS18の処理において、データ処理部2cが全ての原子の組の探索が終了したと判断した場合(ステップS18のYES判定)、表示制御部2dは、ステップS17の処理で絞り込まれた原子の組の候補を、表示装置5に表示させる。これにより、質量分析システム100を用いたデータ処理が終了する。
上述したように、本例のデータ処理方法によれば、組成が未知の2つの分子のピーク間の組成を容易に推定することができる。これに対して、従来のデータ処理方法では、組成が未知の2つの分子のピーク間の組成を推定するためには、2つの分子の組成をそれぞれ推定する必要があった。従来のデータ処理方法では、さらに推定された2つの分子の組成の組み合わせから、2つの分子のピーク間の組成を推定する必要があり、組成の候補が膨大となるだけではなく、候補の絞り込みが困難なものとなっていた。
さらに、本例のデータ処理方法では、2つの分子の内、一方の組成が既知の場合、既知の分子の組成に、上述したデータ処理方法で取得した2つの分子のピーク間の組成の候補を組み合わせることで、残りの未知の分子の組成を推定することができる。また、組成推定を行う範囲が狭まるため、原子の組み合わせの数を減らすことができ、候補の絞り込みを容易に行うことができる。
図7は、表示装置5に表示される組成推定処理の結果画面の表示例を示す説明図である。
図7に示すように、表示装置5の表示画面50には、精密質量差表示領域51と、条件値表示領域52と、組成候補リスト表示領域53が表示される。精密質量差表示領域51には、上述したデータ処理方法のステップS14の処理において演算部11の演算工程で演算された2つの分子の質量差Δm/zが表示される。
条件値表示領域52には、上述したデータ処理方法のステップS11の処理で設定された条件値が表示される。条件値表示領域52には、「質量(m/z)の誤差」が表示される分析誤差表示領域52aと、絞り込み処理で用いられる「DBE値の範囲」が表示されるDBE値表示領域52bが表示されている。さらに、条件値表示領域52には、原子の組み合わせの探索に用いられる原子の種類と、その原子の数の「最小値(Min)」と、「最大値(Max)」を表示する絞り込み原子リスト52cが表示される。
組成候補リスト表示領域53には、上述したデータ処理方法の組成正推定処理の結果が表示される。組成候補リスト表示領域53には、組成候補原子リスト54と、組成候補精密質量リスト55と、組成候補DBE値リスト56と、推定質量差表示領域57と、誤差表示領域58が表示される。
組成候補原子リスト54には、上述したデータ処理方法で組成推定された原子の組み合わせが表示される。組成候補原子リスト54は、組成推定された原子の組み合わせのうち減少した原子群が表示される減少原子群リスト54aと、組成推定された原子の組み合わせのうち増加した原子群が表示される増加原子群リスト54bとを有している。
組成候補精密質量リスト55は、減少原子群精密質量表示領域55aと、増加原子群精密質量表示領域55bとを有している。減少原子群精密質量表示領域55aには、減少した原子群の精密質量が表示される。増加原子群精密質量表示領域55bには、増加した原子群の精密質量が表示される。
組成候補DBE値リスト56には、上述した絞り込み処理におけるステップS22の処理で算出されたDBE値が表示される。組成候補DBE値リスト56は、減少原子群DBE値表示領域56aと、増加原子群DBE値表示領域56bとを有している。減少原子群DBE値表示領域56aには、減少した原子群のDBE値、すなわち負数の原子群のDBE値が表示される。増加原子群DBE値表示領域56bには、増加した原子群のDBE値、すなわち正数の原子群のDBE値が表示される。
推定質量差表示領域57は、組成推定された原子の組み合わせにおける増加した原子群の精密質量と、減少した原子群の精密質量の差(以下、「推定質量差」という)が表示される。この推定質量差は、演算部11又は探索部12で演算される。また、誤差表示領域58には、推定質量差表示領域57に表示された推定質量差における、演算部11で演算された質量差Δm/zに対する誤差が表示される。誤差としては、質量差Δm/zと推定質量差との差分や、質量差Δm/zに対する推定質量差の比率等が用いられる。そして、誤差は、演算部11又は探索部12で演算される。
なお、表示装置5の表示画面50に表示される表示例としては、上述した図7に示すものに限定されるものではなく、例えば、組成候補リスト表示領域53のみが表示されていてもよい。さらに、組成候補リスト表示領域53には、組成候補原子リスト54と、誤差表示領域58のみが表示されていてもよい。表示装置5の表示画面50には、その他各種の表示例が表示されるものである。さらに、絞り込み処理を行わず、探索部12で探索した全ての原子の組み合わせを処理結果として表示装置5に表示させてもよい。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、DBE値を用いた絞り込み処理を適用した例を説明したが、絞り込み処理はこれに限定されるものではない。絞り込み処理としては、例えば、水素と炭素の比率から絞り込みを行ってもよく、あるいは減少した原子の数と、増加した原子の数の比率から絞り込みを行ってもよくその他各種の絞り込み方法を適用できるものである。
1…質量分析計、 2…制御部、 2a…コントロール部、 2b…取込部、 2c…データ処理部、 2d…表示制御部、 3…記憶部、 4…入力部、 5…表示装置、 10…質量分析データ処理装置、 11…演算部、 12…探索部、 13…絞り込み部、50…表示画面、 100…質量分析システム、 Δm/z…質量差

Claims (6)

  1. マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差を算出、又は前記質量差を取得する演算部と、
    前記質量差の範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する探索部と、を備え、
    前記探索部は、2つの分子のうち一方の分子から減少する原子群と増加する原子群の質量差が前記質量差と一致する原子の組み合わせを探索する
    質量分析データ処理装置。
  2. 前記探索部は、予め設定された原子の種類と、原子の数の最小値と最大値の範囲で原子の組み合わせを探索し、
    前記最小値には、0以下の負数を設定可能である
    請求項1に記載の質量分析データ処理装置。
  3. 前記探索部が探索した原子の組み合わせに対して絞り込みを行う絞り込み部を備えた
    請求項1又は2に記載の質量分析データ処理装置。
  4. 前記絞り込み部は、減少する原子の組み合わせの不飽和度と、増加する原子の組み合わせの不飽和度に基づいて絞り込み処理を行う
    請求項3に記載の質量分析データ処理装置。
  5. 試料の質量分析を行い、マススペクトルデータを生成する質量分析計と、
    前記質量分析計から前記マススペクトルデータを取得する質量分析データ処理装置と、を備え、
    前記質量分析データ処理装置は、
    前記マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差を算出、又は前記質量差を取得する演算部と、
    前記質量差の範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する探索部と、を備え、
    前記探索部は、2つの分子のうち一方の試料から減少する原子群と増加する原子群の質量差が前記質量差と一致する原子の組み合わせを探索する
    質量分析システム。
  6. マススペクトルデータから選択された2つの分子のピーク間の質量差を算出、又は前記質量差を取得する演算工程と、
    前記質量差の範囲で、2つの分子のピーク間の原子の組み合わせを推定する探索工程と、を含み、
    前記探索工程では、2つの分子のうち一方の分子から減少する原子群と増加する原子群の質量差が前記質量差と一致する原子の組み合わせを探索する
    質量分析データ処理方法。
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