JP2019001691A - 強化ガラス板の製造方法、強化用ガラス板、および強化ガラス板 - Google Patents

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【課題】高い強度を有する強化ガラス板を安定して高い生産性で製造可能とする強化ガラス板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の強化ガラス板の製造方法は、ガラス板をイオン交換法を用いて強化する強化ガラス板の製造方法であって、ガラス板の表面の一部に、イオン交換を防止するイオン透過防止膜を成膜する成膜工程と、成膜されたガラス板を溶融塩浴に接触させて成膜領域以外の領域を選択的にイオン交換処理する選択イオン交換工程とを備え、イオン透過防止膜は、窒化珪素を50〜100質量%含有する無機膜であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、強化ガラス板の製造方法、強化用ガラス板、および強化ガラス板に関し、より具体的には、イオン交換法によってガラス板の化学強化を行う強化ガラス板の製造方法等に関する。
従来、スマートフォンやタブレットPCなどの電子機器に搭載されるタッチパネルディスプレイには、カバーガラス板として化学強化された強化ガラス板が用いられている。
このような強化ガラス板は、一般的に、アルカリ金属を組成として含むガラス板を強化液で化学的に処理し、表面に圧縮応力層を形成することによって製造される。このような強化ガラス板は、表面に圧縮応力層を有するために衝撃耐性等が向上している。しかしながら、このような強化ガラス板であっても、主表面における衝撃耐性に比べ、エッジ部や周縁部における衝撃耐性が低く、強化ガラス板の破損の原因となっていた。このような破損を防止するべく強化ガラス板表面の圧縮応力層を全体的に深くした場合、ガラス板内部に形成される引張応力が過大となり、当該引張応力に起因した破損(所謂、自己破壊)が生じやすくなる問題がある。
上記のような問題を解決すべく、強化ガラス板表面の一部分においてのみ選択的に深く圧縮応力層を形成する技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示される方法では、主表面の中央部分のみをマスク材料でシールディングすることによって、シールドされていない周縁部のみをイオン交換して強化処理できる。その後シールディングを除去し、再度、強化処理を行うことで、予め強化処理されたエッジ部では深い圧縮応力層を形成し、シールドされていた主表面では浅い圧縮応力層を形成できる。
米国特許出願公開第2012/0236477号明細書
特許文献1では上記シールドを構成するマスク材料(イオン交換防止膜)として金属箔やポリイミド等の材料が例示されている。しかしながら、これらの材料から成るイオン交換防止膜ではイオン交換処理中に溶融塩との化学的反応によって損耗、分解、あるいは剥離し易く、イオン交換を十分に抑止できず、所望の強化特性を有する強化ガラスを安定して得られない場合があった。また、このようなイオン交換防止膜の損耗等は、イオン交換処理の処理温度が高温であるほど顕著となる場合があった。
したがって、従来の材料のイオン交換防止膜では、損耗に耐え得る程度に膜厚を厚くしたり、処理温度を低く且つ処理時間を長くする必要があり、生産性が低下するおそれがあった。
本発明は、このような事情を考慮して成されたものであり、高い強度を有する強化ガラス板を安定して高い生産性で製造可能とする強化ガラス板の製造方法、および強化用ガラス板、ならびに強化ガラス板を提供することを課題とする。
本発明の強化ガラス板の製造方法は、ガラス板をイオン交換法を用いて強化する強化ガラス板の製造方法であって、ガラス板の表面の一部に、イオン交換を防止するイオン透過防止膜を成膜する成膜工程と、成膜されたガラス板を溶融塩に接触させて成膜領域以外の領域を選択的にイオン交換処理する選択イオン交換工程とを備え、イオン透過防止膜は、窒化物を含有する無機膜であることを特徴とする。
本発明の強化ガラス板の製造方法によれば、イオン透過防止膜が窒化物を含むため、例えば高温の硝酸カリウム等の溶融塩と接触しても当該膜が損耗し難く、また、高温の溶融塩に接触していても膜質が変質し難いため割れ難く、イオンの透過を十分に遮断できる。したがって高い強度を有する強化ガラス板を安定して高い生産性で製造可能である。
本発明の強化ガラス板の製造方法において、イオン透過防止膜は、窒化物として窒化珪素を50〜100%含有する無機膜であることが好ましい。
本発明の強化ガラス板の製造方法では、選択イオン交換工程において、ガラス板を350℃以上の温度の溶融塩浴に浸漬することが好ましい。
本発明の強化ガラス板の製造方法では、成膜工程において、イオン透過防止膜として質量%で窒化珪素を70〜99%、SiO、ZrO、Y、CaO、Al、CeO、HfO、AlNの少なくとも何れかを合量で1〜30%含有する無機膜を形成することが好ましい。
本発明の強化ガラス板の製造方法では、成膜工程において、厚さが10〜400nmとなるようイオン透過防止膜を形成することが好ましい。
本発明の強化ガラス板の製造方法では、選択イオン交換工程の後にイオン透過防止膜をガラス板から除去する除去工程と、除去工程後に、ガラス板の表面全体をイオン交換処理する全体イオン交換工程をさらに備えることが好ましい。
本発明の強化用ガラス板は、イオン交換法を用いた強化処理に供される強化用ガラス板であって、表面において、窒化珪素を50〜100質量%を含有する無機膜に被覆された成膜部と、端面の少なくとも一部に無機膜に被覆されていない露出部と、を有することを特徴とする。
本発明の強化ガラス板は、イオン交換法を用いて部分的に強化された強化ガラス板であって、表面において、窒化珪素を50〜100質量%を含有する無機膜に被覆された成膜部と、端面の少なくとも一部に無機膜に被覆されていない露出部と、を有し、成膜部におけるガラス表面の圧縮応力層の深さが、露出部における圧縮応力深さより小さいことを特徴とする。
本発明の第一の実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す図 本発明の強化ガラス板の製造方法における成膜領域の一例を示す図
以下、本発明の実施形態の強化ガラス板の製造方法について説明する。図1は、本発明の強化ガラス板の製造方法の一例を示す図である。
先ず、図1の(a)に示す準備工程の処理を実施する。準備工程は、元ガラス板G1を準備する工程である。元ガラス板G1は、イオン交換法を用いて強化可能な板状のガラス板である。
元ガラス板G1は、ガラス板組成として質量%で、SiO 45〜75%、Al 1〜30%、NaO 0〜20%、KO 0〜20%、LiO 0〜20%、P 0〜20%、NaO+KO+LiO 0.1〜40%を含有することが好ましい。上記のようにガラス板組成範囲を規制すれば、イオン交換性能と耐失透性を高いレベルで両立し易くなる。
元ガラス板G1の板厚は、例えば、1.5mm以下であり、好ましくは1.3mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6 mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、特に0 .1mm以下である。強化ガラス板基板の板厚が小さい程、強化ガラス板基板を軽量化することでき、結果として、デバイスの薄型化、軽量化を図ることができる。なお、生産性等を考慮すれば元ガラス板G1の板厚は0.01mm以上であることが好ましい。
元ガラス板G1の主表面の寸法は任意に設定可能であるが、例えば、480×320mm〜3350×3950mmである。
元ガラス板G1は、例えば、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形されたものである。なお、元ガラス板G1の成形方法や加工状態は任意に選択しても良い。例えば、元ガラス板G1はフロート法を用いて成形され、主表面Sおよび端面Eは研磨加工されたものであっても良い。
次いで、上記準備工程の後、図1の(b)、(c)の選択イオン交換工程の処理を実施する。選択イオン交換工程は、元ガラス板G1の表面を部分的に化学強化する工程である。具体的には、選択イオン交換工程は、元ガラス板G1の表面の一部に設定した選択領域(周縁部S2および端面E)において、当該選択領域以外の非選択領域(中央部S1)よりも深い圧縮応力層を形成する処理を行う工程である。選択イオン交換工程は、成膜工程、選択イオン交換工程、および除去工程を含む。
選択イオン交換工程では、先ず、図1の(b)に示す成膜工程の処理を実施する。成膜工程は、元ガラス板G1の表面の少なくとも一部に設定された非選択領域にイオン透過防止膜Mを形成して膜付ガラス板G2を得る工程である。本実施形態では、図2に示すように元ガラス板G1の表裏主表面Sの中央部S1を非選択領域とした場合を一例として説明する。なお、図1の(b)は図2におけるAA矢視断面図に相当する。元ガラス板G1の表面のうち中央部S1以外の領域、すなわち周縁部S2および端面Eは選択領域であり、露出した状態とされている。なお、周縁部S2は主表面Sのうち中央部S1を取り囲む領域である。イオン透過防止膜Mは、後述の選択イオン交換工程において、元ガラス板G1表層のイオン交換を行う際にイオンの透過を抑制または遮断する膜層である。
イオン透過防止膜Mは、窒化珪素を含有する無機膜であり、いわゆるSiN膜である。好ましくは、イオン透過防止膜Mは、窒化珪素を50〜100質量%含有する。本発明においてイオン透過防止膜M中の窒化珪素は、任意の配位状態であってよく、例えば、Si、β−Siが含まれていても良い。イオン透過防止膜Mとしてこのような材質を用いることにより、後述の選択イオン交換工程における損耗等を抑制できる。具体的には、450℃より高温の溶融塩に浸漬した場合であっても、膜付ガラス板G2からのイオン透過防止膜Mの剥離等を極めて生じ難い。
イオン透過防止膜Mは、組成として質量%で窒化珪素を70〜99%、SiO、ZrO、Y、CaO、Al、CeO、HfO、AlNの少なくとも何れかを合量で1〜30%含有することがより好ましい。
イオン透過防止膜Mの厚さは、イオン透過の遮断および抑制が可能であれば任意の厚さであって良い。ただし、イオン透過防止膜Mの厚さが過大であると、成膜時間や材料コスト等が増大するため、イオン透過の遮断および抑制が可能な範囲で薄く形成することが好ましい。具体的には、イオン透過防止膜Mの膜厚は、例えば1〜5000nmが好ましく、より好ましくは5〜350nm、10〜100nmである。
イオン透過防止膜Mの成膜方法は、スパッタ法や真空蒸着法などのPVD法(物理気相成長法)、熱CVD法やプラズマCVD法などのCVD法(化学気相成長法)、ディップコート法やスリットコート法などのウェットコート法を用いることができる。特にスパッタ法、ディップコート法が好ましい。スパッタ法を用いた場合、イオン透過防止膜Mを容易に均一に形成できる。イオン透過防止膜Mを成膜する領域は任意の手法で設定して良い。例えば、選択領域(周縁部S2、端面E)をマスクした状態で成膜を行うことができる。また、予めシート状に成形したイオン透過防止膜Mを元ガラス板G1の主表面に接合して成膜しても良い。
また、イオン透過防止膜Mは、アモルファス膜であることが好ましい。このような構成であれば、イオン交換の熱処理中に膜が変質し難く、安定してイオン交換を抑制できる。なお、イオン透過防止膜Mが結晶質膜である場合、溶融塩中の高温雰囲気下で結晶粒径や結晶方向などが変化し、イオン交換の抑制性能が変化してしまう場合がある。
次いで、上記成膜工程の後、図1の(c)に示す選択イオン交換工程の処理を実施する。選択イオン交換工程は、膜付ガラス板G2をイオン交換法により化学強化して膜付強化ガラス板G3を得る工程である。具体的には、アルカリ金属イオンを含む溶融塩T1に膜付ガラス板G2を浸漬してイオン交換する。本実施形態における溶融塩T1は、例えば、硝酸カリウム溶融塩である。
選択イオン交換工程における溶融塩T1の温度は任意に定めて良いが、例えば、350〜500℃、好ましくは370〜480℃である。また、膜付ガラス板G2を溶融塩T1中に浸漬する時間は任意に定めて良いが、例えば、0.1〜150時間、好ましくは0.3〜100時間、より好ましくは0.5〜50時間である。
次いで、上記選択イオン交換工程の後、図1の(d)に示す除去工程の処理を実施する。
除去工程は、膜付強化ガラス板G3からイオン透過防止膜Mを除去する工程である。イオン透過防止膜Mの除去方法としては、例えば、研磨やエッチング等の方法を用いることができる。
研磨に用いる研磨装置としては、周知の両面研磨機や片面研磨機を用いることができる。なお、研磨によりイオン透過防止膜Mを除去する場合、イオン透過防止膜Mのみを研磨しても良いし、イオン透過防止膜Mとともにガラス板部分を研磨しても良い。
エッチング方法としては、ドライエッチングやウェットエッチングなどの方法を用いることができる。
ドライエッチングを用いる場合、特に、Ar、O、CH、BC13、C12、SFなどのプラズマを用いることが好ましい。
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、例えば、フッ素、TMAH、EDP、KOH、NaOH等を含む溶液をエッチング液として用いることができ、特にフッ酸溶液をエッチング液として用いることが好ましい。なお、フッ酸溶液を用い、ガラスの寸法を変更することなくイオン透過防止膜Mのみを除去する場合には、当該フッ酸溶液におけるHFの濃度を10%以下とすることが好ましい。
上記のようにして得られた強化ガラス板G4は、周縁部S2および端面Eにおいて深い圧縮応力層Cを有する。すなわち、強化ガラス板G4は、端縁部において高い耐衝撃性を有しつつ、内部の引張応力を低減でき、当該引張応力に起因する破壊が発生し難いガラスとなっている。
上記の選択イオン交換工程においてイオン透過防止膜Mによりイオンの透過が遮断されているため、強化ガラス板G4の中央部S1には圧縮応力層Cが形成されていない。したがって、中央部S1の強度を向上するためには、以下の全体イオン交換工程を上記除去工程の処理に次いで行い、中央部S1においても圧縮応力層Cを形成することが好ましい。
全体イオン交換工程は、図1の(e)に示すように、強化ガラス板G4の表面全体に溶融塩を接触させて表層のイオンを交換する工程である。具体的には、アルカリ金属イオンを含む溶融塩T2に強化ガラス板G4を浸漬してイオン交換し、中央部S1において周縁部S2および端面Eより浅い圧縮応力層Cを有する強化ガラス板G5を得る。溶融塩T2は、例えば、硝酸カリウム溶融塩である。
全体イオン交換工程における溶融塩T2の温度は任意に定めて良いが、例えば、350〜500℃、好ましくは370〜480℃である。また、強化ガラス板G4を溶融塩T2中に浸漬する時間は任意に定めて良いが、例えば、0.1〜72時間、好ましくは0.3〜50時間、より好ましくは0.5〜24時間である。
溶融塩T2は、上述の溶融塩T1と同様のものであっても良い。すなわち、選択イオン交換工程において用いた塩浴に強化ガラス板G4を再度浸漬して良い。この場合、単一の塩浴で複数工程の処理を行うことができるため、製造コストを抑制できる。
また、溶融塩T2は、溶融塩T1とは異なるものであって良いし、全体イオン交換工程における処理温度および処理時間は、選択イオン交換工程の処理温度および処理時間と異なっていて良い。例えば、全体イオン交換工程におけるイオン交換の処理時間は、選択イオン交換工程における処理時間より短いことが好ましい。このような処理によれば、中央部S2における圧縮応力層Cの深さが過剰になることがなく、引張応力の増加を抑制できる。
非成膜領域(端面)の圧縮応力層の深さは板厚の1/4以下が望ましく、成膜領域(主表面)の圧縮応力層の深さは板厚の1/8以下が望ましい。アルミノシリケート系の応力深さが100μmを超えてくる場合、また、ガラス中に含まれるLiをNaイオンやKイオンとイオン交換した場合は、FSM−6000では測定できない場合がある。その場合は折原製作所SLP−1000を用いて測定することができる。また、断面サンプルが作製できる場合は、WPA−microやAbrioを用いて内部応力分布を観察し、応力深さを確認することが望ましい。
なお、全体イオン交換工程の後、さらに仕上げ加工工程の処理を実施しても良い(図示せず)。仕上げ加工工程では、強化ガラス板G5の表面、例えば主表面Sおよび端面Eの少なくとも何れかを研磨加工する。全体イオン交換工程の処理によって強化ガラス板G5の寸法や表面の状態が製品規格等の所望の状態でない場合、このような仕上げ加工工程の処理を実施することによって所望の状態にすることができる。
以上に説明した通り、本発明の実施形態に係る強化ガラス板の製造方法によれば、端面からの破損の少ない強化ガラス板G4、G5を安定して効率良く製造できる。
なお、上記に示した任意の工程の前後において、切断加工、端面加工、および孔あけ加工の何れかの加工を実施する加工工程を設けても良い。また、上記に示した任意の工程の前後において、ガラス板に洗浄および乾燥処理を適宜行なって良い。
また、上記実施形態では溶融塩T1、T2が、硝酸カリウム溶融塩である場合を一例として説明したが、これに限らずガラス板のイオン交換に用いられる周知の溶融塩を代替して、或いは組み合わせて用いて良い。
なお、選択イオン交換工程の処理は上記手法に限らず、例えば、選択領域のみイオン交換用の溶融塩に浸漬したり、溶融塩を塗布する等して、部分的に深い圧縮応力層Cを形成しても良い。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
表1において、No.1〜3は本発明の実施例を示し、No.4〜6は比較例を示している。
表1の各試料は以下のようにして作製した。先ず、質量%で、SiO 61.6%、Al 19.6%、B 0.8%、NaO 16%、KO 2%を含有するガラス組成となるようガラス原料を調合および溶融し、オーバーフローダウンドロー法を用いて板状に成形して厚さ0.7mmの強化用ガラスを得た。次いで、表1に記載の各組成および膜厚を有するイオン交換抑制膜を上記強化用ガラスの両主表面にスパッタ法を用いて成膜した後、切断し、端面が成膜されていない(ガラスが露出した)膜付ガラスを得た。次いで、得られた膜付ガラスを表1に記載の溶融塩温度の硝酸カリウム溶融塩に、表1記載の浸漬時間で浸漬し、純水洗浄および自然乾燥した後、イオン交換抑制膜を研磨により除去して表1記載のNo.1〜6の強化ガラス板試料を得た。
上記のようにして得た各ガラス試料について、成膜領域(主表面)および非成膜領域(端面)各々の圧縮応力層の深さDOLを応力計(折原製作所製のFSM−6000LEおよびFsmXP)で測定した。成膜領域(主表面)のDOLの値がゼロである場合、成膜領域下に圧縮応力層が形成されておらず、イオン交換抑制膜によってイオン交換が十分に遮断されたことが示される。
表1に示すように、実施例である試料No.1〜3は、イオン交換抑制膜に窒化珪素を適量含むため、損耗が生じず、イオン交換を好適に遮断可能であった。特に、比較的高い溶融塩温度および比較的薄い膜厚であっても過度の損耗が生じず、イオン交換を好適に遮断可能であった。
一方、試料No.4〜6は、ZrO、SiOやNbから成るイオン交換抑制膜を用いているために、480℃以上のイオン交換温度になると当該膜がひび割れたり溶解する等して損耗してしまい、成膜領域において確実にイオン交換を遮断できなかった。すなわち、成膜領域において意図しない深い圧縮応力層が形成されていた。
本発明の強化ガラス板およびその製造方法は、タッチパネルディスプレイ等に用いられる強化ガラス板およびその製造方法等として有用である。
G1 元ガラス板
G2 膜付ガラス板
G3、膜付強化ガラス板
G4、G5 強化ガラス板
M イオン透過防止膜
T1 第一溶融塩
T2 第二溶融塩

Claims (8)

  1. ガラス板をイオン交換法を用いて強化する強化ガラス板の製造方法であって、
    前記ガラス板の表面の一部に、前記イオン交換を防止するイオン透過防止膜を成膜する成膜工程と、
    前記成膜された前記ガラス板を溶融塩に接触させて前記成膜領域以外の領域を選択的にイオン交換処理する選択イオン交換工程とを備え、
    前記イオン透過防止膜は、窒化物を含有する無機膜であることを特徴とする、強化ガラス板の製造方法。
  2. 前記イオン透過防止膜は、前記窒化物として窒化珪素を50〜100質量%含有する無機膜であることを特徴とする、請求項1に記載の強化ガラス板の製造方法。
  3. 前記選択イオン交換工程において、前記ガラス板を350℃以上の温度の溶融塩浴に浸漬することを特徴とする、請求項1または2に記載の強化ガラス板の製造方法。
  4. 前記成膜工程において、前記イオン透過防止膜として質量%で窒化珪素を70〜99%、SiO、Y、CaO、Al、CeO、HfO、AlNの少なくとも何れかを合量で1〜30%含有する無機膜を形成することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  5. 前記成膜工程において、厚さが10〜400nmとなるよう前記イオン透過防止膜を形成する、請求項1〜4の何れか1項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  6. 前記選択イオン交換工程の後に前記イオン透過防止膜を前記ガラス板から除去する除去工程と、
    前記除去工程後に、前記ガラス板の表面全体をイオン交換処理する全体イオン交換工程をさらに備える、請求項1〜5の何れか1項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  7. イオン交換法を用いた強化処理に供される強化用ガラス板であって、
    表面において、
    窒化珪素を50〜100質量%を含有する無機膜に被覆された成膜部と、
    端面の少なくとも一部に前記無機膜に被覆されていない露出部と、を有することを特徴とする強化用ガラス板。
  8. イオン交換法を用いて部分的に強化された強化ガラス板であって、
    表面において、
    窒化珪素を50〜100質量%を含有する無機膜に被覆された成膜部と、
    端面の少なくとも一部に前記無機膜に被覆されていない露出部と、を有し、
    前記成膜部におけるガラス表面の圧縮応力層の深さが、前記露出部における圧縮応力深さより小さいことを特徴とする強化ガラス板。
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