JP2019001257A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とを両立することのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】トレッドゴム8に設けられたサイプ13に狭隘部31と底部32とを設けると共に、底部32は、第1曲面部41を有する第1凹面35と第2曲面部42を有する第2凹面36と、を含み、第1曲面部41の曲率半径Rと第2曲面部42の曲率半径rとは、タイヤ周方向の開口30の第1寸法をLとしたとき、5.0L≧R>r≧0.5L、5.0r≧R≧1.1r、の条件を満足し、第1凹面35は、第1縮径領域43を有し、サイプ13は、トレッド接地端Tと、トレッド接地端Tからタイヤ幅方向内側に0.3×トレッド接地幅TWの距離の部位との間に、第1凹面35が第2凹面36よりも回転方向の前方に位置する向きで設けられる。
【選択図】図7

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、ドレッドゴムにサイプが設けられた空気入りタイヤが知られている。
特許第3208417号公報 特許第4980656号公報
サイプがトレッドゴムに設けられることによって、エッジ効果が向上し、氷上における空気入りタイヤの制動性能が向上する。一方、サイプに起因して空気入りタイヤの耐久性能が低下する可能性がある。このため、耐久性能を低下させることなく、氷上における制動性能を向上させるのは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、車両の前進時において回転軸を中心に指定された回転方向に回転するように前記車両に装着される空気入りタイヤであって、トレッド部を有するトレッドゴムと、前記トレッドゴムに設けられたサイプと、を備え、タイヤ周方向の前記サイプの開口の第1寸法は、タイヤ幅方向の前記サイプの開口の第2寸法よりも小さく、前記サイプは、前記開口と接続される狭隘部と、前記狭隘部よりもタイヤ径方向内側に配置される底部と、を有し、前記狭隘部は、タイヤ周方向において前記開口の一方の端部と接続される第1内面と、前記開口の他方の端部と接続され前記第1内面と間隙を介して対向する第2内面と、を含み、前記底部は、前記第1内面と接続されタイヤ周方向において一方側に凹む第1凹面と、前記第2内面と接続されタイヤ周方向において他方側に凹む第2凹面と、を含み、前記第1凹面は、前記回転軸と直交する前記サイプの断面において円弧状に形成される第1曲面部を有し、前記第2凹面は、前記回転軸と直交する前記サイプの断面において円弧状に形成される第2曲面部を有しており、前記断面における前記第1曲面部の曲率半径と前記第2曲面部の曲率半径とは異なり、前記断面における前記第1曲面部の曲率半径をR、前記第2曲面部の曲率半径をr、タイヤ周方向の前記開口の前記第1寸法をLとしたとき、5.0L≧R>r≧0.5L、5.0r≧R≧1.1r、の条件を満足し、前記第1凹面は、前記サイプにおけるタイヤ径方向の最も内側に位置する最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第1曲面部を設けた場合における前記第1曲面部と前記第1内面との交点を第1開口側端部とし、タイヤ径方向における前記第1開口側端部と前記最深部との距離を第1凹面高さとし、前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第1曲面部を設けた場合の前記第1曲面部上における、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第1凹面高さの1/4の位置を第1最深部側端部とする場合に、前記第1曲面部は、前記第1最深部側端部と前記最深部との間の範囲に設けられ、前記第1開口側端部と前記第1最深部側端部との間の領域は、前記第1曲面部を前記第1最深部側端部から前記第1開口側端部まで設けた場合における前記第1曲面部の位置に相当する第1曲面部仮想線よりも前記第1曲面部仮想線の中心点側に前記第1凹面の壁面が位置する、または前記第1曲面部仮想線上に前記第1凹面の壁面が位置する第1縮径領域になっており、前記トレッド部においてタイヤ幅方向両側にトレッド接地端が規定され、一方の前記トレッド接地端と他方の前記トレッド接地端との距離を示すトレッド接地幅をTWとしたとき、前記サイプは、前記トレッド接地端と、前記トレッド接地端からタイヤ幅方向内側に0.3×TWの距離の部位との間に、前記第1凹面が前記第2凹面よりも前記回転方向の前方に位置する向きで少なくとも1つ以上設けられることを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第1縮径領域は、前記断面において前記第1曲面部仮想線に対して弦となる第1壁部を有することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第1壁部は、前記断面において前記第1開口側端部寄りに位置する側の端部が、前記第1開口側端部と、前記第1開口側端部からタイヤ径方向内側に前記第1凹面高さの1/4の位置との間に位置することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第1壁部は、前記断面において前記第1最深部側端部寄りに位置する側の端部が、前記第1最深部側端部と、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第1凹面高さの1/2の位置との間に位置することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第1内面と前記第2内面との中央を通りタイヤ径方向に延在する中心線をサイプ中心とする場合に、前記第1縮径領域は、前記断面において前記第1縮径領域の壁面と前記第1曲面部仮想線とによって区画される面積が、前記第1曲面部仮想線における前記第1開口側端部側に位置する端部側を前記サイプ中心まで延長した場合における前記第1曲面部仮想線と前記第1曲面部と前記サイプ中心とによって区画される面積の5%以上40%以下の範囲内で形成されることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第2凹面は、前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第2曲面部を設けた場合における前記第2曲面部と前記第2内面との交点を第2開口側端部とし、タイヤ径方向における前記第2開口側端部と前記最深部との距離を第2凹面高さとし、前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第2曲面部を設けた場合の前記第2曲面部上における、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第2凹面高さの1/4の位置を第2最深部側端部とする場合に、前記第2曲面部は、前記第2最深部側端部と前記最深部との間の範囲に設けられ、前記第2開口側端部と前記第2最深部側端部との間の領域は、前記第2曲面部を前記第2最深部側端部から前記第2開口側端部まで設けた場合における前記第2曲面部の位置に相当する第2曲面部仮想線よりも前記第2曲面部仮想線の中心点側に前記第2凹面の壁面が位置する、または前記第2曲面部仮想線上に前記第2凹面の壁面が位置する第2縮径領域になっていることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記断面において、前記第1凹面と前記第2凹面との境界は、前記第1内面と前記第2内面との中央を通りタイヤ径方向に延在する中心線であるサイプ中心上に設けられ、前記断面における前記底部の形状は、実質的に勾玉形状であることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とを両立することができる、という効果を奏する。
図1は、本実施形態に係るタイヤが装着される車両の一例を示す側面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤが装着される車両の一例を後方から見た図である。 図3は、路面を走行するタイヤを模式的に示す図である。 図4は、本実施形態に係るタイヤの一部を示す断面図である。 図5は、本実施形態に係るトレッド部の一部を示す平面図である。 図6は、サイプが設けられた陸部を模式的に示す斜視図である。 図7は、サイプが設けられた陸部を模式的に示す断面図である。 図8は、サイプの断面における底部の面積についての説明図であり、第1曲面部仮想線、第2曲面部仮想線の形状での面積の説明図である。 図9は、サイプの断面における底部の面積についての説明図であり、第1縮径領域、第2縮径領域で小さくなる面積の説明図である。 図10は、センター部に設けられるサイプの一例を示す断面図である。 図11は、実施形態に係るタイヤの変形例であり、図7のA−A断面視における第1凹面や第2凹面を設ける範囲についての説明図である。 図12は、実施形態に係るタイヤの変形例であり、第1壁部の端部の位置と第1開口側端部の位置とが異なる場合の説明図である。 図13は、実施形態に係るタイヤの変形例であり、センター部に設けられるサイプの一例を示す断面図である。 図14Aは、性能試験の結果を示す図表である。 図14Bは、性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
<実施形態>
実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ1が装着される車両500の一例を示す側面図である。図2は、本実施形態に係るタイヤ1が装着される車両500の一例を後方から見た図である。
タイヤ1は、空気入りタイヤである。本実施形態において、タイヤ1は、乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤとは「JATMA YEAR BOOK 2017(日本自動車タイヤ協会規格)」のA章に定められるタイヤをいう。なお、タイヤ1はB章に定められる小型トラック用タイヤでもよいし、C章に定められるトラック及びバス用タイヤでもよい。
図1及び図2に示すように、車両500は、タイヤ1を含む走行装置501と、走行装置501に支持される車体502と、走行装置501を駆動するためのエンジン503とを備える。
走行装置501は、タイヤ1を支持するホイール504と、ホイール504を支持する車軸505と、走行装置501の進行方向を変えるための操舵装置506と、走行装置501を減速又は停止させるためのブレーキ装置507とを有する。
車体502は、運転者が搭乗する運転室を有する。運転室に、エンジン503の出力を調整するためのアクセルペダルと、ブレーキ装置507を作動するためのブレーキペダルと、操舵装置506を操作するためのステアリングホイールとが配置される。運転者は、アクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイールを操作する。運転者の操作により、車両500は走行する。
タイヤ1は、車両500のホイール504のリムに装着される。タイヤ1は、車両500に装着された状態で、回転軸AXを中心に回転して、路面RSを走行する。
以下の説明においては、タイヤ1の回転軸AXと平行な方向を適宜、タイヤ幅方向、と称し、タイヤ1の回転軸AXに対する放射方向を適宜、タイヤ径方向、と称し、タイヤ1の回転軸AXを中心とする回転方向を適宜、タイヤ周方向、と称する。
また、以下の説明においては、タイヤ幅方向のタイヤ1の中心を適宜、タイヤ中心C、と称する。タイヤ中心Cは、タイヤ1のタイヤ幅方向の中心を通り、回転軸AXと直交する平面(タイヤ赤道面)を含む。また、タイヤ中心Cは、トレッド部6の表面においてタイヤ赤道面とタイヤ1のトレッド部6の表面とが交差するセンターライン(タイヤ赤道線)を含む。
また、以下の説明においては、タイヤ幅方向においてタイヤ中心Cから遠い位置又は離れる方向を適宜、タイヤ幅方向外側、と称し、タイヤ幅方向においてタイヤ中心Cに近い位置又は近付く方向を適宜、タイヤ幅方向内側、と称し、タイヤ径方向において回転軸AXから遠い位置又は離れる方向を適宜、タイヤ径方向外側、と称し、タイヤ径方向において回転軸AXに近い位置又は近付く方向を適宜、タイヤ径方向内側、と称し、タイヤ周方向において指定された一つの方向を適宜、タイヤ周方向一方側、と称し、タイヤ周方向において指定された方向の逆方向を適宜、タイヤ周方向他方側、と称する。
また、以下の説明においては、車両500の車幅方向内側を適宜、車両内側、と称し、車両500の車幅方向外側を適宜、車両外側、と称する。車両内側とは、車両500の車幅方向において車両500の中心に近い位置又は近付く方向をいう。車両外側とは、車両500の車幅方向において車両500の中心から遠い位置又は離れる方向をいう。
車両500は、4輪車両である。走行装置501は、車体502の左側に設けられる左前輪及び左後輪と、車体502の右側に設けられる右前輪及び右後輪とを有する。タイヤ1は、車体502の左側に装着される左タイヤ1Lと、車体502の右側に装着される右タイヤ1Rとを含む。
タイヤ1は、トレッドパターンが形成されたトレッド部6と、トレッド部6のタイヤ幅方向両側に設けられるサイド部7とを備える。タイヤ1の走行において、トレッド部6が路面RSと接触する。
回転軸AXを中心とするタイヤ1の回転方向が指定される場合がある。回転方向が指定されているタイヤ1の場合、車両500の前進時において回転軸AXを中心に指定された回転方向に回転するように、タイヤ1が車両500に装着される。左タイヤ1Lは、車両500の左側に装着された状態で、車両500の前進時において指定された回転方向に回転する。右タイヤ1Rは、車両500の右側に装着された状態で、車両500の前進時において指定された回転方向に回転する。
また、車両500に対するタイヤ1の装着方向が指定される場合がある。例えばトレッド部6のトレッドパターンが非対称パターンである場合、車両500に対するタイヤ1の装着方向が指定される。左タイヤ1Lは、2つのサイド部7のうち指定された一方のサイド部7が車両内側を向き、他方のサイド部7が車両外側を向くように、車両500の左側に装着される。右タイヤ1Rは、2つのサイド部7のうち指定された一方のサイド部7が車両内側を向き、他方のサイド部7が車両外側を向くように、車両500の右側に装着される。
回転方向又は車両500に対する装着方向が指定されている場合、そのタイヤ1には、指定された回転方向又は車両500に対する装着方向を示す表示部600が設けられる。表示部600は、2つのサイド部7のうち少なくとも一方のサイド部7に設けられる。表示部600は、回転方向又は車両500に対する装着方向を示すセリアル記号を含む。表示部600は、マーク、文字、符号、及び模様の少なくとも一つを含む。タイヤ1の回転方向を示す表示部600の例として、例えば回転方向を示す矢印又は「ROTATION」のような文字が挙げられる。車両500に対するタイヤ1の装着方向を示す表示部600の例として、例えば「OUTSIDE」又は「INSIDE」のような文字が挙げられる。ユーザは、サイド部7に設けられている表示部600に基づいて、タイヤ1の回転方向又は車両500に対するタイヤ1の装着方向を認識することができる。表示部600に基づいて、車両500の前進時において回転軸AXを中心に指定された回転方向に回転するようにタイヤ1が車両500に装着されたり、左タイヤ1Lが車両500の左側に装着され右タイヤ1Rが車両500の右側に装着されたりする。
なお、タイヤ1の回転方向及び車両500に対するタイヤ1の装着方向が指定されない場合もある。その場合、タイヤ1に表示部600は設けられなくてもよい。
本実施形態に係るタイヤ1は、回転方向が指定されており、指定された回転方向を示す表示部600を備える。
図3は、路面RSを走行するタイヤ1を模式的に示す図である。路面RSの走行において、トレッド部6の少なくとも一部が接地する。図3において、タイヤ1が矢印Rで示す回転方向に回転する場合、トレッド部6の接地面において、回転方向の前方側は、蹴り出し側、と呼ばれ、回転方向の後方側は、踏み込み側、と呼ばれる。以下、「蹴り出し側」及び「踏み込み側」という用語を用いて適宜説明する。
次に、本実施形態に係るタイヤ1について説明する。図4は、本実施形態に係るタイヤ1の一部を示す断面図である。図4は、タイヤ1の回転軸AXを通る子午断面を示す。
タイヤ1は、カーカス2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部6と、サイド部7とを備える。トレッド部6は、トレッドゴム8に設けられる。サイド部7は、サイドゴム9に設けられる。
カーカス2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス2は、カーカスコードを含み、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス2は、有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス2は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ビード部5は、カーカス2を支持する強度部材である。ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、ビードコア5Aと、ビードフィラー5Bとを有する。ビード部5は、タイヤ幅方向においてカーカス2の両側に配置され、カーカス2の両端部を支持する。カーカス2は、ビード部5のビードコア5Aにおいて折り返される。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、ベルトコードを含み、カーカス2とトレッドゴム8との間に配置される。ベルト層3は、金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のベルトコードを含んでもよい。ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのベルトコードと第2ベルトプライ3Bのベルトコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、カバーコードを含み、タイヤ1の回転軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
トレッド部6は、トレッドゴム8を含む。トレッドゴム8は、カーカス2を保護する。サイド部7は、サイドゴム9を含む。サイド部7は、タイヤ幅方向においてトレッド部6の両側に配置される。サイドゴム9は、カーカス2を保護する。
トレッド部6にトレッド接地端Tが規定される。トレッド接地端Tとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、平面上に垂直に置いて、正規荷重を加えた負荷状態のときにトレッド部6が接地する部分のタイヤ幅方向の端部をいう。トレッド接地端Tは、トレッド部6においてタイヤ幅方向両側に規定される。タイヤ幅方向においてタイヤ中心Cの一方側のトレッド接地端Tと他方側のトレッド接地端Tとの距離は、トレッド接地幅TWと呼ばれる。
「正規リム」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めているリムであり、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。但し、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、このタイヤ1が組まれる純正ホイールを用いる。
「正規内圧」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。但し、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
「正規荷重」とは、タイヤ1が基づく規格を含む規格体系において、その規格がタイヤ1毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。但し、タイヤ1が乗用車である場合には前記荷重の88[%]に相当する荷重とする。タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両の車検証記載の前後軸重をそれぞれタイヤの数で除して求めた輪荷重とする。
図5は、本実施形態に係るトレッド部6の一部を示す平面図である。図4及び図5に示すように、トレッドゴム8に所定のパターンデザインで溝10が設けられる。溝10は、周方向主溝11と、ラグ溝12と、サイプ13とを含む。
周方向主溝11とは、少なくとも一部がタイヤ周方向に延在する縦溝をいう。周方向主溝11は、1.0[mm]以上の溝幅を有し、4.0[mm]以上の溝深さを有する溝である。なお一般に、周方向主溝11は、6.0[mm]以上の溝幅を有し、7.0[mm]以上の溝深さを有する。周方向主溝11は、内部にトレッドウェアインジケータ(スリップサイン)を有する。トレッドウェアインジケータは、摩耗末期を示す。周方向主溝11は、タイヤ赤道面Cとトレッド部6とが交差するタイヤ赤道線(センターライン)と実質的に平行である。周方向主溝11は、タイヤ周方向に直線状に延在してもよいし、波形状又はジグザグ状に設けられてもよい。
ラグ溝12とは、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延在する横溝をいう。ラグ溝12は、2.0[mm]以上の溝幅を有し、3.0[mm]以上の溝深さを有する溝である。ラグ溝12は、そのラグ溝12が接地したと仮定したとき、接地した場合においてもラグ溝12の開口が維持される溝である。ラグ溝12は、タイヤ赤道線に対して傾斜してもよい。
サイプ13とは、ラグ溝12よりも細い溝幅を有し、ラグ溝12よりも浅い溝深さを有する溝をいう。なお一般に、サイプ13は、1.5[mm]以下の溝幅を有し、2.5[mm]以下の溝深さを有する。サイプ13は、そのサイプ13が接地したと仮定したとき、トレッドゴム8の弾性変形によりサイプ13の開口が閉じる溝である。サイプ13は、タイヤ幅方向に延在してもよいし、タイヤ周方向に延在してもよい。サイプ13は、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向の少なくとも一方の方向に直線状に延在してもよいし、波形状又はジグザグ状に設けられてもよい。サイプ13は、タイヤ赤道線に対して傾斜してもよい。
本実施形態において、周方向主溝11は、タイヤ幅方向に4つ設けられる。周方向主溝11は、タイヤ中心Cの両側に設けられた一対のセンター主溝11A,11Bと、センター主溝11A,11Bよりもタイヤ幅方向外側に設けられた一対のショルダー主溝11C,11Dと、を含む。本実施形態において、センター主溝11A、センター主溝11B、ショルダー主溝11C、及びショルダー主溝11Dのそれぞれは、タイヤ赤道線と実質的に平行な直線状である。
トレッドゴム8は、センター主溝11Aとセンター主溝11Bとの間に設けられたセンター陸部20Aと、センター主溝11Aとショルダー主溝11Cとの間に設けられたミドル陸部20Bと、センター主溝11Bとショルダー主溝11Dとの間に設けられたミドル陸部20Cと、ショルダー主溝11Cよりもタイヤ幅方向外側に設けられたショルダー陸部20Dと、ショルダー主溝11Dよりもタイヤ幅方向外側に設けられたショルダー陸部20Eと、を含む。
ラグ溝12は、タイヤ周方向に複数設けられる。ラグ溝12は、タイヤ周方向においてミドル陸部20B及びショルダー陸部20Dを分断する第1ラグ溝12Aと、タイヤ周方向においてショルダー陸部20Dを分断しミドル陸部20Bを分断しない第2ラグ溝12Bと、タイヤ周方向においてミドル陸部20C及びショルダー陸部20Eを分断する第3ラグ溝12Cと、タイヤ周方向においてショルダー陸部20Eを分断しミドル陸部20Cを分断しない第4ラグ溝12Dと、を含む。第1ラグ溝12Aと第2ラグ溝12Bとは、タイヤ幅方向においてタイヤ中心Cよりも一方側においてタイヤ周方向に交互に設けられる。第3ラグ溝12Cと第4ラグ溝12Dとは、タイヤ幅方向においてタイヤ中心Cよりも他方側においてタイヤ周方向に交互に設けられる。
第1ラグ溝12Aのタイヤ幅方向外側の端部は、トレッド接地端Tよりもタイヤ幅方向外側に配置される。第1ラグ溝12Aのタイヤ幅方向内側の端部は、センター陸部20Aに配置される。すなわち、第1ラグ溝12Aのタイヤ幅方向内側の端部は、センター陸部20Aで終端する。第1ラグ溝12Aは、センター陸部20A及びミドル陸部20Bにおいて、タイヤ幅方向外側に向かってタイヤ周方向の一方側に傾斜するように設けられる。また、第1ラグ溝12Aは、ショルダー陸部20Dにおいて、タイヤ幅方向と実質的に平行に設けられる。
第2ラグ溝12Bのタイヤ幅方向外側の端部は、トレッド接地端Tよりもタイヤ幅方向外側に配置される。第2ラグ溝12Bのタイヤ幅方向内側の端部は、ミドル陸部20Bに配置される。すなわち、第2ラグ溝12Bのタイヤ幅方向内側の端部は、ミドル陸部20Bで終端する。ミドル陸部20Bは、第1ラグ溝12Aによって分断されるものの、第2ラグ溝12Bによっては分断されない。第2ラグ溝12Bは、ミドル陸部20Bにおいて、タイヤ幅方向外側に向かってタイヤ周方向の一方側に傾斜するように設けられる。また、第2ラグ溝12Bは、ショルダー陸部20Dにおいて、タイヤ幅方向と実質的に平行に設けられる。
第3ラグ溝12Cのタイヤ幅方向外側の端部は、トレッド接地端Tよりもタイヤ幅方向外側に配置される。第3ラグ溝12Cのタイヤ幅方向内側の端部は、センター陸部20Aに配置される。すなわち、第3ラグ溝12Cのタイヤ幅方向内側の端部は、センター陸部20Aで終端する。第3ラグ溝12Cは、センター陸部20A及びミドル陸部20Cにおいて、タイヤ幅方向外側に向かってタイヤ周方向の一方側に傾斜するように設けられる。また、第3ラグ溝12Cは、ショルダー陸部20Eにおいて、タイヤ幅方向と実質的に平行に設けられる。
第4ラグ溝12Dのタイヤ幅方向外側の端部は、トレッド接地端Tよりもタイヤ幅方向外側に配置される。第4ラグ溝12Dのタイヤ幅方向内側の端部は、ミドル陸部20Cに配置される。すなわち、第4ラグ溝12Dのタイヤ幅方向内側の端部は、ミドル陸部20Cで終端する。ミドル陸部20Cは、第3ラグ溝12Cによって分断されるものの、第4ラグ溝12Dによっては分断されない。第4ラグ溝12Dは、ミドル陸部20Cにおいて、タイヤ幅方向外側に向かってタイヤ周方向の一方側に傾斜するように設けられる。また、第4ラグ溝12Dは、ショルダー陸部20Eにおいて、タイヤ幅方向と実質的に平行に設けられる。
ミドル陸部20Bには、周方向主溝11よりも溝幅が細い縦溝14が設けられる。縦溝14は、タイヤ赤道線に対して傾斜するように設けられる。縦溝14は、タイヤ周方向の他方側に向かってタイヤ幅方向内側に傾斜するように設けられる。縦溝14は、タイヤ周方向において隣り合う第2ラグ溝12Bを結ぶように設けられる。また、縦溝14は、タイヤ周方向において隣り合う第2ラグ溝12Bの間に設けられた第1ラグ溝12Aとも接続される。縦溝14は、縦溝14のタイヤ周方向の中央部が第1ラグ溝12Aと交差するように設けられる。タイヤ周方向において縦溝14の一方側の端部は、タイヤ周方向において隣り合う第2ラグ溝12Bのうち一方側の第2ラグ溝12Bと接続される。タイヤ周方向において縦溝14の他方側の端部は、タイヤ周方向において隣り合う第2ラグ溝12Bのうち他方側の第2ラグ溝12Bと接続される。一方側の第2ラグ溝12Bにおいては、第2ラグ溝12Bの内側の端部よりもタイヤ幅方向外側の部位が縦溝14と接続される。他方側の第2ラグ溝12Bにおいては、第2ラグ溝12Bの内側の端部が縦溝14と接続される。
ミドル陸部20Cには、周方向主溝11よりも溝幅が細い縦溝15が設けられる。縦溝15は、タイヤ赤道線に対して傾斜するように設けられる。縦溝15は、タイヤ周方向の他方側に向かってタイヤ幅方向内側に傾斜するように設けられる。縦溝15は、タイヤ周方向において隣り合う第4ラグ溝12Dを結ぶように設けられる。また、縦溝15は、タイヤ周方向において隣り合う第4ラグ溝12Dの間に設けられた第3ラグ溝12Cとも接続される。縦溝15は、縦溝15のタイヤ周方向の中央部が第3ラグ溝12Cと交差するように設けられる。タイヤ周方向において縦溝15の一方側の端部は、タイヤ周方向において隣り合う第4ラグ溝12Dのうち一方側の第4ラグ溝12Dと接続される。タイヤ周方向において縦溝15の他方側の端部は、タイヤ周方向において隣り合う第4ラグ溝12Dのうち他方側の第4ラグ溝12Dと接続される。一方側の第4ラグ溝12Dにおいては、第4ラグ溝12Dの内側の端部よりもタイヤ幅方向外側の部位が縦溝15と接続される。他方側の第4ラグ溝12Dにおいては、第4ラグ溝12Dの内側の端部が縦溝15と接続される。
センター陸部20Aは、ラグ溝12によって分断されず、トレッドゴム8のリブを形成する。
ミドル陸部20Bは、第1ラグ溝12Aによって分断され、トレッドゴム8のブロック列を形成する。また、ミドル陸部20Bには縦溝14が設けられている。ミドル陸部20Bのトレッドゴム8が第1ラグ溝12Aと縦溝14とで区画されることによって、センター主溝11Aとショルダー主溝11Cとの間に、トレッドゴム8の複数のブロックが形成される。
ミドル陸部20Cは、第3ラグ溝12Cによって分断され、ブロック列を形成する。また、ミドル陸部20Cには縦溝15が設けられている。ミドル陸部20Cのトレッドゴム8が第3ラグ溝12Cと縦溝15とで区画されることによって、センター主溝11Bとショルダー主溝11Dとの間に、トレッドゴム8の複数のブロックが形成される。
ショルダー陸部20Dは、第1ラグ溝12A及び第2ラグ溝12Bによって分断され、ブロック列を形成する。ショルダー陸部20Dのトレッドゴム8が第1ラグ溝12Aと第2ラグ溝12Bとで区画されることによって、ショルダー主溝11Cよりもタイヤ幅方向外側に、トレッドゴム8の複数のブロックが形成される。
ショルダー陸部20Eは、第3ラグ溝12C及び第4ラグ溝12Dによって分断され、ブロック列を形成する。ショルダー陸部20Eのトレッドゴム8が第3ラグ溝12Cと第4ラグ溝12Dとで区画されることによって、ショルダー主溝11Dよりもタイヤ幅方向外側に、トレッドゴム8の複数のブロックが形成される。
以下の説明においては、トレッドゴム8のリブ及びブロックを総称して適宜、トレッドゴム8の陸部20、と称する。陸部20は、路面RSと接触可能な表面21を有する。
サイプ13は、複数の陸部20のそれぞれに複数設けられる。サイプ13は、そのサイプ13の両端部が陸部20を区画する周方向主溝11又はラグ溝12と接続されその陸部20を貫通するオープン構造でもよい。サイプ13は、そのサイプ13の一方の端部が陸部20を区画する周方向主溝11又はラグ溝12と接続され、他方の端部が接続されずにその陸部20で終端するセミクローズド構造でもよい。サイプ13は、そのサイプ13の両端部が陸部20を区画する周方向主溝11又はラグ溝12と接続されずにその陸部20で終端するクローズド構造でもよい。
本実施形態において、サイプ13は、センター陸部20Aとミドル陸部20Bとミドル陸部20Cとを含むトレッド部6のセンター部16と、ショルダー陸部20Dとショルダー陸部20Eとを含むトレッド部6のショルダー部17とのそれぞれに設けられる。
本実施形態において、タイヤ幅方向のセンター部16の寸法TCは、トレッド接地幅TWの60[%]である(TC=0.4×TW)。タイヤ中心Cと、センター部16のタイヤ幅方向一方側の端部とのタイヤ幅方向の寸法TC1は、トレッド接地幅TWの20[%]である(TC1=0.2×TW)。タイヤ中心Cと、センター部16のタイヤ幅方向他方側の端部とのタイヤ幅方向の寸法TC2は、トレッド接地幅TWの20[%]である(TC2=0.2×TW)。寸法TC1,TC2は、タイヤ幅方向のタイヤ中心Cと、タイヤ中心Cからタイヤ幅方向外側に0.2×TWの距離の部位とのタイヤ幅方向の距離である。
本実施形態において、トレッド接地端Tからタイヤ幅方向内側におけるタイヤ幅方向のショルダー部17の寸法TSは、トレッド接地幅TWの30[%]である(TS=0.3×TW)。寸法TSは、トレッド接地端Tと、トレッド接地端Tからタイヤ幅方向に0.3×TWの距離の部位とのタイヤ幅方向の距離である。すなわち、タイヤ幅方向一方側のショルダー部17において、そのショルダー部17のタイヤ幅方向内側の端部とタイヤ幅方向一方側のトレッド接地端Tとのタイヤ幅方向の寸法TS1は、トレッド接地幅TWの30[%]である(TS1=0.3×TW)。タイヤ幅方向他方側のショルダー部17において、そのショルダー部17のタイヤ幅方向内側の端部とタイヤ幅方向他方側のトレッド接地端Tとのタイヤ幅方向の寸法TS2は、トレッド接地幅TWの30[%]である(TS2=0.3×TW)。
センター陸部20Aのリブのうち、タイヤ中心Cよりもタイヤ幅方向の一方側において、サイプ13は、タイヤ周方向に複数設けられる。そのサイプ13の一方側の端部はセンター主溝11Aと接続され、他方側の端部はセンター陸部20Aで終端する。そのサイプ13の他方側の端部は、タイヤ中心Cにおいて終端する。
センター陸部20Aのリブのうち、タイヤ中心Cよりもタイヤ幅方向の他方側において、サイプ13は、タイヤ周方向に複数設けられる。そのサイプ13の他方側の端部はセンター主溝11Bと接続され、一方側の端部はセンター陸部20Aで終端する。そのサイプ13の一方側の端部は、タイヤ中心Cにおいて終端する。
すなわち、本実施形態において、センター陸部20Aのリブに設けられるサイプ13は、セミクローズド構造である。
ミドル陸部20Bの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ周方向に複数設けられる。ミドル陸部20Bの1つのブロックにおいて、最もタイヤ周方向の一方側に設けられるサイプ13と、最もタイヤ周方向の他方側に設けられるサイプ13とは、サイプ13の両端部がそのブロックを囲む溝10と接続されないクローズド構造である。ミドル陸部20Bの1つのブロックにおいて、最もタイヤ周方向の一方側のサイプ13と最もタイヤ周方向の他方側のサイプ13との間に設けられる複数のサイプ13は、サイプ13の両端部がそのブロックを囲む溝10と接続されるオープン構造である。
ミドル陸部20Cの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ周方向に複数設けられる。ミドル陸部20Cの1つのブロックにおいて、最もタイヤ周方向の一方側に設けられるサイプ13と、最もタイヤ周方向の他方側に設けられるサイプ13とは、サイプ13の両端部がそのブロックを囲む溝10と接続されないクローズド構造である。ミドル陸部20Cの1つのブロックにおいて、最もタイヤ周方向の一方側のサイプ13と最もタイヤ周方向の他方側のサイプ13との間に設けられる複数のサイプ13は、サイプ13の両端部がそのブロックを囲む溝10と接続されるオープン構造である。
ショルダー陸部20Dの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ周方向に複数(6つ)設けられる。また、ショルダー陸部20Dの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ幅方向に複数(2列)設けられる。ショルダー陸部20Dの1つのブロックにおいて、タイヤ幅方向に2列設けられたサイプ13のうち、タイヤ幅方向内側に設けられたサイプ13の一部が、ショルダー主溝11Cと接続される。本実施形態においては、4つのサイプ13がショルダー主溝11Cと接続されるセミクローズド構造である。ショルダー陸部20Dの1つのブロックにおいて、セミクローズド構造以外のサイプ13は、クローズド構造である。
ショルダー陸部20Eの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ周方向に複数(6つ)設けられる。また、ショルダー陸部20Eの1つのブロックにおいて、サイプ13は、タイヤ幅方向に複数(2列)設けられる。ショルダー陸部20Eの1つのブロックにおいて、タイヤ幅方向に2列設けられたサイプ13のうち、タイヤ幅方向内側に設けられたサイプ13の一部が、ショルダー主溝11Dと接続される。本実施形態においては、4つのサイプ13がショルダー主溝11Dと接続されるセミクローズド構造である。ショルダー陸部20Eの1つのブロックにおいて、セミクローズド構造以外のサイプ13は、クローズド構造である。
図6は、サイプ13が設けられた陸部20を模式的に示す斜視図である。図7は、サイプ13が設けられた陸部20を模式的に示す断面図である。図7は、回転軸AXと直交する陸部20の断面を示す。なお、以下で説明するサイプ13の構造は、タイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えない無負荷状態(接地させない状態)のときの構造である。なお、図6ではサイプ13の開口30が上方を向き、図7ではサイプ13の開口30が下方を向くようにサイプ13を図示する。なお、上述したように、サイプ13は、そのサイプ13が設けられている陸部20の表面21が接地したと仮定したとき、トレッドゴム8の弾性変形により、サイプ13の開口30が閉じる溝幅を有する溝である。
図6及び図7に示すように、サイプ13はトレッドゴム8の陸部20に設けられる。サイプ13の開口30の周囲に、路面RSと接触可能な陸部20の表面(接地面、踏面)21が配置される。
図6及び図7に示すように、タイヤ周方向のサイプ13の開口30の第1寸法Lは、タイヤ幅方向のサイプ13の開口30の第2寸法Wよりも小さい。すなわち、開口30は、タイヤ幅方向に延在する。開口30の長手方向とタイヤ幅方向とが一致する。
サイプ13は、開口30と接続される狭隘部31と、狭隘部31よりもタイヤ径方向内側に配置される底部32と、を有する。
狭隘部31は、タイヤ周方向において開口30の一方側の端部30Aと接続される第1内面33と、タイヤ周方向において開口30の他方側の端部30Bと接続される第2内面34とを含む。
第1内面33と第2内面34とは間隙を介して対向する。第1内面33と第2内面34とは、実質的に平行である。第1内面33と第2内面34との間隙の寸法は、第1寸法Lである。
狭隘部31は、第1内面33と第2内面34とによって規定される空間を含む。
底部32は、第1内面33と接続されタイヤ周方向において一方側に凹む第1凹面35と、第2内面34と接続されタイヤ周方向において他方側に凹む第2凹面36とを含む。
第1凹面35と第2凹面36とは間隙を介して対向する。第1凹面35と第2凹面36との間隙の寸法は、第1内面33と第2内面34との間隙の寸法よりも大きい。
底部32は、第1凹面35と第2凹面36とによって規定される空間を含む。
図7に示すように、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第1凹面35の少なくとも一部は円弧状である。同様に、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第2凹面36の少なくとも一部は円弧状である。すなわち、第1凹面35は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において円弧状に形成される第1曲面部41を有しており、第2凹面36は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において円弧状に形成される第2曲面部42を有している。
回転軸AXと直交するサイプ13の断面における第1曲面部41の曲率半径Rと、第2曲面部42の曲率半径rとは、異なる。図7に示すように、第1曲面部41の曲率半径Rは、第2曲面部42の曲率半径rよりも大きい。
本実施形態においては、第1曲面部41の曲率半径Rと第2曲面部42の曲率半径rとタイヤ周方向の開口30の第1寸法Lとが以下の(1)式及び(2)式の条件を満足するように、サイプ13が形成される。
5.0L≧R>r≧0.5L・・・(1)
5.0r≧R≧1.1r・・・(2)
第1凹面35が有する第1曲面部41は、少なくともサイプ13におけるタイヤ径方向の最も内側に位置する最深部40と、第1最深部側端部52との間の範囲に設けられている。第1最深部側端部52は、最深部40からタイヤ径方向外側に向かって第1曲面部41を設けた場合の第1曲面部41上における、最深部40からタイヤ径方向外側に第1凹面高さH3の1/4の位置になっている。第1凹面高さH3は、最深部40からタイヤ径方向外側に向かって第1曲面部41を設けた場合における第1曲面部41と第1内面33との交点を第1開口側端部51とした際の、タイヤ径方向における第1開口側端部51と最深部40との距離になっている。
第1凹面35における、第1開口側端部51と第1最深部側端部52との間の領域は、第1縮径領域43になっている。第1縮径領域43は、第1曲面部41を第1最深部側端部52から第1開口側端部51まで延長して設けた場合における第1曲面部41の位置に相当する第1曲面部仮想線47よりも、第1曲面部仮想線47の中心点47c側に第1凹面35の壁面35wが位置する、または第1曲面部仮想線47上に第1凹面35の壁面35wが位置する領域になっている。この場合における中心点47cは、回転軸AXと直交するサイプ13の断面における、第1曲面部仮想線47の形状である円弧の曲率中心になっている。また、第1曲面部仮想線47は、第1曲面部41をタイヤ径方向外側に延長して設けた場合における第1曲面部41の位置に相当する仮想線であるため、第1開口側端部51は、第1曲面部仮想線47と第1内面33との交点になっている。
第1縮径領域43は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において第1曲面部仮想線47に対して弦となる第1壁部45を有している。第1壁部45は、第1凹面35の壁面35wの一部を構成し、第1曲面部仮想線47よりも中心点47c側に位置している。
第1壁部45は、第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aが、第1開口側端部51と、第1開口側端部51からタイヤ径方向内側に第1凹面高さH3の1/4の位置P1との間に位置している。本実施形態では、第1壁部45における第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aは、第1開口側端部51と同じ位置になっており、第1壁部45は、第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aが第1内面33に接続されている。
また、第1壁部45は、第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bが、第1最深部側端部52と、最深部40からタイヤ径方向外側に第1凹面高さH3の1/2の位置P2との間に位置している。本実施形態では、第1壁部45における第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bは、第1最深部側端部52よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、第1縮径領域43における、第1壁部45の第1最深部側端部52側の端部45bと第1最深部側端部52との間の範囲は、第1曲面部41によって形成されている。すなわち、第1縮径領域43は、第1曲面部41における第1最深部側端部52よりもタイヤ径方向外側の部分と、第1壁部45とを有して構成されている。
第2凹面36が有する第2曲面部42は、少なくとも第2最深部側端部54と最深部40との間の範囲に設けられている。第2最深部側端部54は、最深部40からタイヤ径方向外側に向かって第2曲面部42を設けた場合の第2曲面部42上における、最深部40からタイヤ径方向外側に第2凹面高さH4の1/4の位置になっている。第2凹面高さH4は、最深部40からタイヤ径方向外側に向かって第2曲面部42を設けた場合における第2曲面部42と第2内面34との交点を第2開口側端部53とした際の、タイヤ径方向における第2開口側端部53と最深部40との距離になっている。
第2凹面36における、第2開口側端部53と第2最深部側端部54との間の領域は、第2縮径領域44になっている。第2縮径領域44は、第2曲面部42を第2最深部側端部54から第2開口側端部53まで延長して設けた場合における第2曲面部42の位置に相当する第2曲面部仮想線48よりも、第2曲面部仮想線48の中心点48c側に第2凹面36の壁面36wが位置する、または第2曲面部仮想線48上に第2凹面36の壁面36wが位置する領域になっている。この場合における中心点48cは、回転軸AXと直交するサイプ13の断面における、第2曲面部仮想線48の形状である円弧の曲率中心になっている。また、第2曲面部仮想線48は、第2曲面部42をタイヤ径方向外側に延長して設けた場合における第2曲面部42の位置に相当する仮想線であるため、第2開口側端部53は、第2曲面部仮想線48と第2内面34との交点になっている。
第2縮径領域44は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において第2曲面部仮想線48に対して弦となる第2壁部46を有している。第2壁部46は、第2凹面36の壁面36wの一部を構成し、第2曲面部仮想線48よりも中心点48c側に位置している。
第2壁部46は、第2開口側端部53寄りに位置する側の端部46aが、第2開口側端部53と、第2開口側端部53からタイヤ径方向内側に第2凹面高さH4の1/4の位置P3との間に位置している。本実施形態では、第2壁部46における第2開口側端部53寄りに位置する側の端部46aは、第2開口側端部53と同じ位置になっており、第2壁部46は、第2開口側端部53寄りに位置する側の端部46aが第2内面34に接続されている。
また、第2壁部46は、第2最深部側端部54寄りに位置する側の端部46bが、第2最深部側端部54と、最深部40からタイヤ径方向外側に第2凹面高さH4の1/2の位置P4との間に位置している。本実施形態では、第2壁部46における第2最深部側端部54寄りに位置する側の端部46bは、第2最深部側端部54よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、第2縮径領域44における、第2壁部46の第2最深部側端部54側の端部46bと第2最深部側端部54との間の範囲は、第2曲面部42によって形成されている。すなわち、第2縮径領域44は、第2曲面部42における第2最深部側端部54よりもタイヤ径方向外側の部分と、第2壁部46とを有して構成されている。
本実施形態においては、第1凹面35は、第2凹面36よりもタイヤ1の回転方向の後方に設けられる。すなわち、大きい曲率半径Rの第1曲面部41を有する第1凹面35が、接地領域における蹴り出し側に配置され、小さい曲率半径rの第2曲面部42を有する第2凹面36が、接地領域における踏み込み側に配置される。
図7に示すように、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第1凹面35と第2凹面36との境界Kは、第1内面33と第2内面34との中央を通りタイヤ径方向に延在する中心線であるサイプ中心IL上に設けられる。第1凹面35と第2凹面36との境界Kとは、第1凹面35のタイヤ径方向内側の端部35Pと、第2凹面36のタイヤ径方向内側の端部36Pとの接続部を含む。
図7に示すように、タイヤ径方向における第1凹面35の端部35Pの位置と、タイヤ径方向における第2凹面36の端部36Pの位置とは、一致する。第1凹面35の端部35Pと第2凹面36の端部36Pとが接続されるように(連続するように)、サイプ13が形成される。換言すれば、第1凹面35の端部35Pと第2凹面36の端部36Pとの間に段差が形成されないように、第1凹面35の端部35Pと第2凹面36の端部36Pとが滑らかに接続される。第1凹面35のタイヤ径方向内側の端部35Pと第2凹面36のタイヤ径方向内側の端部36Pとの接続部が、サイプ13の最深部40になっている。回転軸AXと直交するサイプ13の断面における底部32の形状は、実質的に勾玉形状である。
タイヤ径方向における第1内面33の寸法H1は、第2内面34の寸法H2よりも小さい。第1内面33のタイヤ径方向内側の端部と、第1凹面35のタイヤ径方向外側の端部、すなわち、第1縮径領域43のタイヤ径方向外側の端部とが接続される。第2内面34のタイヤ径方向内側の端部と、第2凹面36のタイヤ径方向外側の端部、すなわち、第2縮径領域44のタイヤ径方向外側の端部とが接続される。
サイプ13の深さH0は、3.0[mm]以上9.0[mm]以下である。
本実施形態において、図6及び図7に示したような、蹴り出し側に第1凹面35が配置され踏み込み側に第2凹面36が配置されるサイプ13は、少なくともショルダー部17に設けられる。すなわち、接地領域における蹴り出し側に第1凹面35が配置され、接地領域における踏み込み側に第2凹面36が配置されるサイプ13は、トレッド接地端Tと、トレッド接地端Tからタイヤ幅方向内側に0.3×TWの距離の部位との間に設けられる。本実施形態においては、ショルダー陸部20D,20Eに設けられるサイプ13が、図6及び図7に示したような、接地領域における蹴り出し側に第1凹面35が配置され、接地領域における踏み込み側に第2凹面36が配置されるサイプ13である。
図8は、サイプ13の断面における底部の面積32についての説明図であり、第1曲面部仮想線47、第2曲面部仮想線48の形状での面積の説明図である。図9は、サイプ13の断面における底部32の面積についての説明図であり、第1縮径領域43、第2縮径領域44で小さくなる面積の説明図である。第1縮径領域43は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第1凹面35に第1縮径領域43が形成されることにより小さくなる面積A2が、第1縮径領域43が形成されない場合の第1凹面35とサイプ中心ILとにより区画される面積A1の5%以上40%以下の範囲内で形成されている。
このうち、第1縮径領域43が形成されない場合の第1凹面35とサイプ中心ILとにより区画される面積A1は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第1曲面部仮想線47における第1開口側端部51側に位置する端部側をサイプ中心ILまで延長した場合における第1曲面部仮想線47と第1曲面部41とサイプ中心ILとによって区画される面積A1になっている。
また、第1凹面35に第1縮径領域43が形成されることにより小さくなる面積A2は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第1縮径領域43の壁面35wと第1曲面部仮想線47とによって区画される面積A2になっている。第1縮径領域43は、この面積A2が、面積A1の5%以上40%以下の範囲内で形成されている。
また、第2縮径領域44は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第2凹面36に第2縮径領域44が形成されることにより小さくなる面積A4が、第2縮径領域44が形成されない場合の第2凹面36とサイプ中心ILとにより区画される面積A3の0%以上40%以下の範囲内で形成されている。
このうち、第2縮径領域44が形成されない場合の第2凹面36とサイプ中心ILとにより区画される面積A3は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第2曲面部仮想線48における第2開口側端部53側に位置する端部側をサイプ中心ILまで延長した場合における第2曲面部仮想線48と第2曲面部42とサイプ中心ILとによって区画される面積A3になっている。
また、第2凹面36に第2縮径領域44が形成されることにより小さくなる面積A4は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において、第2縮径領域44の壁面36wと第2曲面部仮想線48とによって区画される面積A4になっている。第2縮径領域44は、この面積A4が、面積A3の0%以上40%以下の範囲内で形成されている。つまり、第2凹面36は、第2縮径領域44の面積A4が面積A3の0%でもよいので、換言すると、第2凹面36には、第2縮径領域44は設けられていなくてもよい。
図10は、センター部16に設けられるサイプ13の一例を示す断面図である。図10は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面を示す。図10に示すように、センター部16に設けられるサイプ13は、接地領域における踏み込み側に第1凹面35が配置され、接地領域における蹴り出し側に第2凹面36が配置されるサイプ13である。すなわち、本実施形態においては、ショルダー部17に設けられるサイプ13と、センター部16に設けられるサイプ13とは、指定された回転方向において第1凹面35と第2凹面36とが逆向きに配置されている。本実施形態においては、センター陸部20A及びミドル陸部20B,20Cに設けられるサイプ13が、図10に示したような、踏み込み側に大きい曲率半径Rの第1曲面部41を有する第1凹面35が配置され、蹴り出し側に小さい曲率半径rの第2曲面部42を有する第2凹面36が配置されるサイプ13である。
これらのように構成されるタイヤ1を車両500に装着して走行すると、陸部20の表面21のうち下方に位置する部分が路面RSに接触しながら当該タイヤ1は回転する。タイヤ1を装着した車両500で乾燥した路面RSを走行する場合には、主に陸部20の表面21と路面RSとの間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面RSに伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。一方、雪道や氷上の路面RSを走行する際には、周方向主溝11やラグ溝12、サイプ13のエッジ効果も用いて走行する。つまり、雪道や氷上の路面RSを走行する際には、溝10を構成する溝壁とトレッド部6の表面とが交差する部分のエッジや、サイプ13の第1内面33や第2内面34とトレッド部6の表面とが交差する部分のエッジが、雪面や氷面に引っ掛かることによる抵抗も用いて走行する。
また、雪道や氷上の路面RSを走行する際には、氷雪面の表面の水をサイプ13で吸水し、これらの氷雪面とトレッド部6との間の水膜を除去することにより、氷雪面とトレッド部6は接触し易くなる。これにより、陸部20は、摩擦力やエッジ効果によって氷雪面との間の抵抗が大きくなり、タイヤ1を装着した車両500の走行性能を確保することができる。また、サイプ13は、タイヤ幅方向に延びて形成されるため、サイプ13のエッジ効果は、タイヤ周方向に向けて大きな効果を発揮することができる。これにより、氷上における制動性能を確保することができる。
ここで、サイプ13は、サイプ13が接地領域に位置する場合には、車両500の重量等による接地領域周辺に作用する荷重によってサイプ13の周囲のトレッドゴム8が変形することにより、サイプ13がタイヤ径方向に押し潰される方向に変形し易くなっている。サイプ13がタイヤ径方向に押し潰される方向に変形した場合、サイプ13の壁部同士が開く方向の力がサイプ13に作用するため、サイプ13の底の部分に応力が集中し、クラックが発生し易くなる。これに対し、本実施形態では、サイプ13の底部32には、互いにタイヤ周方向に離れる方向に凹んで形成される第1凹面35と第2凹面36とが設けられている。これにより、サイプ13の壁部同士が開く方向の力がサイプ13に作用した場合でも、サイプ13の底部32に応力が集中することを抑制することができ、底部32にクラックが発生することを抑制することができる。
また、第1凹面35と第2凹面36とは、第1曲面部41と第2曲面部42とで曲率半径が異なるため、トレッドゴム8における、タイヤ周方向においてサイプ13の両側に位置する部分同士で、振動モードを異ならせることができる。これにより、サイプ13に雪が入り込んだ場合、そのサイプ13に入り込んだ雪は、トレッドゴム8における、タイヤ周方向においてサイプ13の両側に位置する部分同士の相対的な動きにより、サイプ13から円滑に排出される。このように、サイプ13からの雪の排出性能が向上するので、サイプ13に雪が入り込んでも、サイプ13に雪が詰まった状態が維持されることが抑制される。これにより、雪上におけるタイヤ1の制動性能の低下が抑制される。
また、第1凹面35と第2凹面36とは、第1凹面35が有する第1曲面部41の曲率半径Rと、第2凹面36が有する第2曲面部42の曲率半径rと、サイプ13の開口30の第1寸法Lとの関係が、5.0L≧R>r≧0.5Lの範囲内であるたため、タイヤ1の耐久性能の低下及び制動性能の低下が抑制される。つまり、第1凹面35の曲率半径Rが第2凹面36の曲率半径rよりも大きい場合[R>rである場合]において、[5.0L≧R]の条件を満足しない場合、すなわちサイプ13の開口30の第1寸法Lに対して曲率半径Rが大き過ぎる場合、トレッドゴム8の剛性(ブロック剛性)が低下する。この場合、タイヤ1の耐久性能及び制動性能が低下する。また、[r≧0.5L]の条件を満足しない場合、すなわちサイプ13の開口30の第1寸法Lに対して曲率半径rが小さ過ぎる場合、第1凹面35は第1内面33に対して十分に凹んだ状態とならず、サイプ13の底部32においてトレッドゴム8にクラックが発生する可能性が高くなる。この場合、タイヤ1の耐久性能が低下する。これに対し、第1曲面部41の曲率半径Rと、第2曲面部42の曲率半径rと、サイプ13の開口30の第1寸法Lとの関係が、5.0L≧R>r≧0.5Lの範囲内である場合は、タイヤ1の耐久性能の低下及び制動性能の低下を抑制することができる。
また、第1曲面部41の曲率半径Rと、第2曲面部42の曲率半径rとの関係が、5.0r≧R≧1.1rの範囲である場合は、タイヤ1の耐久性能及び制動性能はより向上する。つまり、[5.0r≧R]の条件を満足しない場合、すなわち曲率半径rに対して曲率半径Rが大き過ぎる場合又は曲率半径Rに対して曲率半径rが小さ過ぎる場合、応力が作用する部位が第1凹面35及び第2凹面36のいずれか一方に偏り過ぎてしまい、適切な応力分散効果を得ることが困難となる。この場合、タイヤ1の耐久性能が低下する。また、[R≧1.1r]の条件を満足しない場合、すなわち曲率半径Rと曲率半径rとが近似する場合、トレッドゴム8における、タイヤ周方向においてサイプ13の両側に位置する部分同士の振動モードが近似することとなる。この場合、サイプ13からの雪の排出性能が低下し、雪上におけるタイヤ1の制動性能が低下する。これに対し、第1曲面部41の曲率半径Rと、第2曲面部42の曲率半径rとの関係が、5.0r≧R≧1.1rの範囲である場合は、タイヤ1の耐久性能及び制動性能をより向上させることができる。
また、第1凹面35には第1縮径領域43が形成されており、第1凹面35側のトレッドゴム8の体積を増加させることにより第1凹面35の剛性を確保することできるため、サイプ13に対してタイヤ径方向の大きな荷重が作用した場合でも、この荷重を第1凹面35の第1縮径領域43で受けることができる。これにより、より確実に応力を分散することができ、より確実にクラックの発生を抑制することができるため、耐久性能を確保することができる。
また、タイヤ1が回転しながら接地した場合には、サイプ13は、より潰れ易くなる。つまり、タイヤ1は、トレッド部6において路面RSに対向する部分、即ち、下側に位置する部分が接地するため、タイヤ1の回転時には、陸部20の表面21は、接地部分がタイヤ周方向に順次変化しながら接地する。その際に、接地した陸部20には、表面21と路面RSとの間の抵抗によって回転方向の力が作用するため、当該陸部20は、接地領域周辺に作用する荷重のみでなく、回転方向の力によっても変形する。
特に、ショルダー部17では、陸部20における、タイヤ回転時に路面RSから先に離れる蹴り出し側付近で、荷重の作用の仕方が大きく変化するため、陸部20が大きく変形し易くなる。これに対し、本実施形態では、第1凹面35に第1縮径領域43が形成されているため、サイプ13における蹴り出し側の部分で、荷重の作用の仕方が大きく変化した場合でも、第1凹面35が有する第1縮径領域43によって変化する荷重を受けることができ、応力を分散することができる。これにより、タイヤ1が回転することによって発生し易くなるクラックの発生も抑制することができる。これらの結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とを両立することができる。
また、第1縮径領域43は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において第1曲面部仮想線47に対して弦となる第1壁部45を有するため、第1凹面35の剛性をより確実に向上させることができる。この結果、より確実に耐久性能の低下を抑制することができる。
また、第1縮径領域43の第1壁部45は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aが、第1開口側端部51と、第1開口側端部51からタイヤ径方向内側に第1凹面高さH3の1/4の位置P1との間に位置するため、より確実に第1縮径領域43の剛性を確保して応力を分散させることができる。つまり、第1壁部45における第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aが、第1開口側端部51からタイヤ径方向内側に第1凹面高さH3の1/4の位置P1よりもタイヤ径方向内側である場合は、タイヤ周方向において第1壁部45が設けられる範囲が小さくなり過ぎるため、サイプ13に大きな荷重が作用した場合における応力を、第1縮径領域43で分散させ難くなる虞がある。この場合、クラックの発生を効果的に抑制するのが困難になる虞がある。
これに対し、第1壁部45における第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aが、第1開口側端部51と、第1開口側端部51からタイヤ径方向内側に第1凹面高さH3の1/4の位置P1との間に位置する場合は、サイプ13に大きな荷重が作用した場合に、より確実に第1縮径領域43で受けることができ、より確実に応力を分散させることができる。また、第1縮径領域43の剛性を確保することができるため、サイプ13の剛性を高めることができ、氷上制動に必要なサイプ13の剛性を確保することができる。この結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とをより確実に両立することができる。
また、第1壁部45は、回転軸AXと直交するサイプ13の断面において第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bが、第1最深部側端部52と、最深部40からタイヤ径方向外側に第1凹面高さH3の1/2の位置P2との間に位置するため、より確実に第1縮径領域43の剛性を確保して応力を分散させることができる。つまり、第1壁部45における第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bが、最深部40からタイヤ径方向外側に第1凹面高さH3の1/2の位置P2よりもタイヤ径方向外側である場合は、タイヤ周方向において第1壁部45が設けられる範囲が小さくなり過ぎるため、サイプ13に大きな荷重が作用した場合における応力を、第1縮径領域43で分散させ難くなる虞がある。この場合、クラックの発生を効果的に抑制するのが困難になる虞がある。
これに対し、第1壁部45における第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bが、第1最深部側端部52と、最深部40からタイヤ径方向外側に第1凹面高さH3の1/2の位置P2との間に位置する場合は、サイプ13に大きな荷重が作用した場合に、より確実に第1縮径領域43で受けることができ、より確実に応力を分散させることができる。また、第1縮径領域43の剛性を確保することができるため、サイプ13の剛性を高めることができ、氷上制動に必要なサイプ13の剛性を確保することができる。この結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とをより確実に両立することができる。
また、第1縮径領域43は、第1縮径領域43の壁面35wと第1曲面部仮想線47とによって区画される面積A2が、第1曲面部仮想線47における第1開口側端部51側に位置する端部側をサイプ中心ILまで延長した場合における第1曲面部仮想線47と第1曲面部41とサイプ中心ILとによって区画される面積A1の5%以上40%以下の範囲内で形成されるため、より確実に第1縮径領域43の剛性を確保すると共に、サイプ13に作用した荷重を分散させることができる。つまり、面積A2が面積A1の5%未満である場合は、第1凹面35側のトレッドゴム8の体積を増加させ難くなり、第1縮径領域43の剛性を確保するのが困難になるため、サイプ13に作用した荷重によって発生する応力を効果的に分散するのが困難になる虞がある。また、面積A2が面積A1の40%を超える場合は、第1凹面35において第1曲面部41が設けられる範囲が小さくなり過ぎ、サイプ13に作用した荷重を第1凹面35で分散させ難くなる虞がある。
これに対し、面積A2が面積A1の5%以上40%以下の範囲内である場合は、第1凹面35側のトレッドゴム8の体積を増加させて第1縮径領域43の剛性を確保しつつ、サイプ13に作用した荷重を第1凹面35によってより確実に分散させることができる。この結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とをより確実に両立することができる。
また、第1凹面35に第1縮径領域43を設けるのみでなく、第2凹面36にも第2縮径領域44を設けることにより、サイプ13に対して作用した大きな荷重を、第2縮径領域44でも受けることができ、より確実に応力を分散することができる。これにより、より確実にクラックの発生を抑制することができるため、耐久性能を確保することができ、また、サイプ13の剛性を確保するため、より確実にサイプ13のエッジ効果を発揮することができる。この結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とをより確実に両立することができる。
また、サイプ13の底部32は、第1凹面35と第2凹面36との境界Kがサイプ中心IL上に設けられ、底部32の形状は、実質的に勾玉形状であるため、より確実にサイプ13の剛性を確保しつつ、サイプ13に大きな荷重が作用し際に荷重をサイプ13で分散することができる。また、底部32の形状が、実質的に勾玉形状であるため、底部32には、タイヤ周方向において一方側と他方側とのそれぞれに大きい空間が形成される。これにより、タイヤ1が氷上を走行した場合に、サイプ13は氷の水分を十分に吸い上げることができ、氷上におけるタイヤ1の制動性能を向上させることができる。この結果、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とをより確実に両立することができる。
また、サイプ13は、タイヤ径方向における第1凹面35の端部35Pの位置と第2凹面36の端部36Pの位置とが一致し、端部35Pと端部36Pとの間に段差が形成されず、端部35Pと端部36Pとは滑らかに接続されている。これにより、底部32における応力集中をより確実に抑制することができ、トレッドゴム8にクラックが発生することを抑制することができる。この結果、より確実にタイヤ1の耐久性能の低下を抑制することができる。
また、サイプ13は、開口30の長手方向がタイヤ幅方向と一致するように、トレッドゴム8にサイプ13が設けられる。これにより、サイプ13の十分なエッジ効果が得られるので、タイヤ1の制動性能が向上させることができ、また、タイヤ1の耐久性能も向上させることができる。
<変形例>
なお、上述した実施形態では、サイプ13に上述した形態で第1凹面35や第2凹面36を設けるにあたって、サイプ13の長手方向、すなわち、第2寸法Wの方向において設ける範囲は規定していないが、上述した形態の第1凹面35や第2凹面36は、サイプ13の全ての範囲に設けられていなくてもよい。図11は、実施形態に係るタイヤ1の変形例であり、図7のA−A断面視における第1凹面35や第2凹面36を設ける範囲についての説明図である。サイプ13の長手方向における位置によってサイプ13の深さが変化している場合は、第1凹面35や第2凹面36は、深さが最も深い部分の長さの60%以上であればよい。
例えば、図11に示すように、サイプ13の一部に、サイプ13の深さが浅くなる部分である底上げ部60が形成されている場合は、底上げ部60以外に位置してサイプ13の深さが底上げ部60での深さよりも深く、底上げ部60が設けられない部分である基準底部61の長さの60%以上の範囲に、上述した形態の第1凹面35や第2凹面36が設けられていればよい。図11に示す形態では、基準底部61は2箇所形成されているため、サイプ13の長手方向において、一方の基準底部61の幅W1と、他方の基準底部61の幅W2との合計の幅WTの60%以上の範囲に、上述した形態の第1凹面35や第2凹面36が設けられていればよい。この場合における基準底部61は、サイプ13の深さH0が規定される部分である。つまり、サイプ13の基準底部61がi箇所の位置に亘って形成される場合、幅W1から幅Wiまで合計した幅WTの60%の範囲に、第1凹面35と第2凹面36とが設けられ、少なくとも第1凹面35には第1縮径領域43が形成されていればよい。
図12は、実施形態に係るタイヤ1の変形例であり、第1壁部45の端部45aの位置と第1開口側端部51の位置とが異なる場合の説明図である。また、上述した実施形態では、第1縮径領域43が有する第1壁部45における第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aは、第1開口側端部51と同じ位置になっているが、第1壁部45の第1開口側端部51寄りに位置する側の端部45aの位置は、第1開口側端部51とは異なっていてもよい。この場合、第1縮径領域43における第1壁部45の第1開口側端部51側の端部45aと、第1開口側端部51と間の範囲は、壁面35wが第1曲面部仮想線47上か、第1曲面部仮想線47よりも第1曲面部仮想線47の中心点47c側に位置していればよく、例えば、この範囲に第1曲面部41が形成されていてもよい。第1縮径領域43における第1壁部45の第1開口側端部51側の端部45aは、第1開口側端部51と、第1開口側端部51からタイヤ径方向内側に第1凹面高さH3の1/4の位置P1との間に位置していれば、その位置は問わない。また、第1壁部45における第1最深部側端部52寄りに位置する側の端部45bが、第1最深部側端部52と同じ位置であってもよい。
図13は、実施形態に係るタイヤ1の変形例であり、センター部16に設けられるサイプ13の一例を示す断面図である。また、上述した実施形態では、センター部16に設けられるサイプ13は、指定された回転方向においてセンター部16に設けられるサイプ13とは逆向きに配置されるように設けられているが、センター部16のサイプ13は、これ以外の形態で設けられていてもよい。例えば、図13に示すように、センター部16に設けられるサイプ13Cは、第1内面33Cと第2内面34Cとを有し、凹面を有しない形状でもよい。ショルダー部17に設けられるサイプ13のうち少なくとも1つ以上のサイプ13の形態が、上述した実施形態のように蹴り出し側に第1凹面35が位置し、踏み込み側に第2凹面36が位置する向きで設けられていれば、センター部16に設けられるサイプ13の形態は問わない。
<実施例>
図14A、図14Bは、性能試験の結果を示す図表である。以下、上記のタイヤ1について、従来例のタイヤと、本発明に係るタイヤ1と、本発明に係るタイヤ1と比較する比較例のタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、氷上の路面での制動性能を示す氷上制動性能と、耐久性能とについての試験を行った。
これらの性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが195/65R15 91Qサイズのタイヤ1を、15×6.0JサイズのJATMA標準リムのリムホイールにリム組みし、排気量が1800ccのFF(フロントエンジン・フロントドライブ)乗用車の試験車両に装着してテスト走行をすることにより行った。
氷上制動性能の評価方法は、試験タイヤの空気圧を前輪250[kPa]、後輪240[kPa]に調整して氷路面で制動試験を行い、初速40[km/h]から0[km/h]までの制動距離を測定することにより行った。氷上制動性能は、測定した制動距離の逆数を、後述する従来例を100とする指数で表示した。この数値が大きいほど氷路面での制動距離が短く、氷上制動性能が優れていることを示している。
また、耐久性能の評価方法は、試験タイヤの空気圧を180[kPa]に調整し、タイヤに正規荷重の85[%]の荷重を負荷した状態で、時速120[km]で4時間走行させる。4時間走行させた後、荷重を15[%]増加させ、時速120[km]で4時間走行させる。4時間走行させた後、荷重を更に15[%]増加させ、時速120[km]で4時間走行させる。このように、4時間走行させる毎に荷重を15[%]増加させ、トレッドゴム8がチャンクアウトするまでの走行距離を用いて耐久性能を評価した。なお、チャンクアウトとは、サイプ近傍のトレッドゴムが剥離する現象をいう。耐久性能は、トレッドゴム8がチャンクアウトするまでの走行距離を、後述する従来例を100とする指数で表示した。この数値が大きいほどチャンクアウトが発生し難く、耐久性能が優れていることを示している。
評価試験は、従来のタイヤの一例である従来例と、本発明に係るタイヤ1である実施例1〜8と、本発明に係るタイヤ1と比較するタイヤである比較例1〜5の14種類のタイヤについて行った。これらのタイヤのうち、従来例のタイヤは、サイプ13の第1曲面部41の曲率半径Rと第2曲面部42の曲率半径rとが同じ大きさになっており、第1凹面35と第2凹面36とは、第1縮径領域43や第2縮径領域44を有していない。また、比較例1〜5のタイヤは、サイプ13の第1曲面部41の曲率半径Rと第2曲面部42の曲率半径rとで大きさが異なっているものの、5.0L≧R>r≧0.5L及び5.0r≧R≧1.1rの条件を満たしていない、または、第1凹面35が第1縮径領域43を有していない、またはショルダー部17のサイプ13の向きが、第1凹面35が第2凹面36よりも回転方向の前方に位置する向きではない。
これに対し、本発明に係るタイヤ1の一例である実施例1〜8は、サイプ13の第1曲面部41の曲率半径Rと第2曲面部42の曲率半径rとで大きさが異なると共に、5.0L≧R>r≧0.5L及び5.0r≧R≧1.1rの条件を満たしており、第1凹面35が第1縮径領域43を有しており、ショルダー部17のサイプ13の向きが、第1凹面35が第2凹面36よりも回転方向の前方に位置する向きになっている。また、実施例1〜8に係るタイヤ1は、第1凹面35の面積A1に対する第1縮径領域43の面積A2の大きさや、第2凹面36が第2縮径領域44を有しているか否かが、それぞれ異なっている。
これらのタイヤを用いて評価試験を行った結果、図14A、図14Bに示すように、実施例1〜8のタイヤ1は、従来例に対して耐久性能と氷上制動性能とをそれぞれ向上させることができ、比較例1〜5に対しても、少なくともいずれか一方の性能を向上させることができると共に他方の性能についても従来例以上の性能を発揮することができることが分かった。つまり、実施例1〜8に係るタイヤ1は、耐久性能の低下の抑制と、氷上における制動性能の低下の抑制とを両立することができる。
1 タイヤ(空気入りタイヤ)
2 カーカス
3 ベルト層
4 ベルトカバー
5 ビード部
5A ビードコア
5B ビードフィラー
6 トレッド部
7 サイド部
8 トレッドゴム
9 サイドゴム
10 溝
11 周方向主溝
12 ラグ溝
13 サイプ
16 センター部
17 ショルダー部
20 陸部
21 表面
30 開口
30A,30B 端部
31 狭隘部
32 底部
33 第1内面
34 第2内面
35 第1凹面
35P 端部
35w 壁面
36 第2凹面
36P 端部
36w 壁面
40 最深部
41 第1曲面部
42 第2曲面部
43 第1縮径領域
44 第2縮径領域
45 第1壁部
45a,45b 端部
46 第2壁部
46a,46b 端部
47 第1曲面部仮想線
47c 中心点
48 第2曲面部仮想線
48c 中心点
51 第1開口側端部
52 第1最深部側端部
53 第2開口側端部
54 第2最深部側端部
60 底上げ部
61 基準底部
500 車両
600 表示部

Claims (7)

  1. 車両の前進時において回転軸を中心に指定された回転方向に回転するように前記車両に装着される空気入りタイヤであって、
    トレッド部を有するトレッドゴムと、
    前記トレッドゴムに設けられたサイプと、
    を備え、
    タイヤ周方向の前記サイプの開口の第1寸法は、タイヤ幅方向の前記サイプの開口の第2寸法よりも小さく、
    前記サイプは、前記開口と接続される狭隘部と、前記狭隘部よりもタイヤ径方向内側に配置される底部と、を有し、
    前記狭隘部は、タイヤ周方向において前記開口の一方の端部と接続される第1内面と、前記開口の他方の端部と接続され前記第1内面と間隙を介して対向する第2内面と、を含み、
    前記底部は、前記第1内面と接続されタイヤ周方向において一方側に凹む第1凹面と、前記第2内面と接続されタイヤ周方向において他方側に凹む第2凹面と、を含み、
    前記第1凹面は、前記回転軸と直交する前記サイプの断面において円弧状に形成される第1曲面部を有し、
    前記第2凹面は、前記回転軸と直交する前記サイプの断面において円弧状に形成される第2曲面部を有しており、
    前記断面における前記第1曲面部の曲率半径と前記第2曲面部の曲率半径とは異なり、
    前記断面における前記第1曲面部の曲率半径をR、前記第2曲面部の曲率半径をr、タイヤ周方向の前記開口の前記第1寸法をLとしたとき、
    5.0L≧R>r≧0.5L、
    5.0r≧R≧1.1r、
    の条件を満足し、
    前記第1凹面は、
    前記サイプにおけるタイヤ径方向の最も内側に位置する最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第1曲面部を設けた場合における前記第1曲面部と前記第1内面との交点を第1開口側端部とし、
    タイヤ径方向における前記第1開口側端部と前記最深部との距離を第1凹面高さとし、
    前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第1曲面部を設けた場合の前記第1曲面部上における、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第1凹面高さの1/4の位置を第1最深部側端部とする場合に、
    前記第1曲面部は、前記第1最深部側端部と前記最深部との間の範囲に設けられ、
    前記第1開口側端部と前記第1最深部側端部との間の領域は、前記第1曲面部を前記第1最深部側端部から前記第1開口側端部まで設けた場合における前記第1曲面部の位置に相当する第1曲面部仮想線よりも前記第1曲面部仮想線の中心点側に前記第1凹面の壁面が位置する、または前記第1曲面部仮想線上に前記第1凹面の壁面が位置する第1縮径領域になっており、
    前記トレッド部においてタイヤ幅方向両側にトレッド接地端が規定され、
    一方の前記トレッド接地端と他方の前記トレッド接地端との距離を示すトレッド接地幅をTWとしたとき、
    前記サイプは、前記トレッド接地端と、前記トレッド接地端からタイヤ幅方向内側に0.3×TWの距離の部位との間に、前記第1凹面が前記第2凹面よりも前記回転方向の前方に位置する向きで少なくとも1つ以上設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第1縮径領域は、前記断面において前記第1曲面部仮想線に対して弦となる第1壁部を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1壁部は、前記断面において前記第1開口側端部寄りに位置する側の端部が、前記第1開口側端部と、前記第1開口側端部からタイヤ径方向内側に前記第1凹面高さの1/4の位置との間に位置する請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1壁部は、前記断面において前記第1最深部側端部寄りに位置する側の端部が、前記第1最深部側端部と、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第1凹面高さの1/2の位置との間に位置する請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第1内面と前記第2内面との中央を通りタイヤ径方向に延在する中心線をサイプ中心とする場合に、
    前記第1縮径領域は、
    前記断面において前記第1縮径領域の壁面と前記第1曲面部仮想線とによって区画される面積が、
    前記第1曲面部仮想線における前記第1開口側端部側に位置する端部側を前記サイプ中心まで延長した場合における前記第1曲面部仮想線と前記第1曲面部と前記サイプ中心とによって区画される面積の5%以上40%以下の範囲内で形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第2凹面は、
    前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第2曲面部を設けた場合における前記第2曲面部と前記第2内面との交点を第2開口側端部とし、
    タイヤ径方向における前記第2開口側端部と前記最深部との距離を第2凹面高さとし、
    前記最深部からタイヤ径方向外側に向かって前記第2曲面部を設けた場合の前記第2曲面部上における、前記最深部からタイヤ径方向外側に前記第2凹面高さの1/4の位置を第2最深部側端部とする場合に、
    前記第2曲面部は、前記第2最深部側端部と前記最深部との間の範囲に設けられ、
    前記第2開口側端部と前記第2最深部側端部との間の領域は、前記第2曲面部を前記第2最深部側端部から前記第2開口側端部まで設けた場合における前記第2曲面部の位置に相当する第2曲面部仮想線よりも前記第2曲面部仮想線の中心点側に前記第2凹面の壁面が位置する、または前記第2曲面部仮想線上に前記第2凹面の壁面が位置する第2縮径領域になっている請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記断面において、前記第1凹面と前記第2凹面との境界は、前記第1内面と前記第2内面との中央を通りタイヤ径方向に延在する中心線であるサイプ中心上に設けられ、
    前記断面における前記底部の形状は、実質的に勾玉形状である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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