JP2019001214A - 氷結海域において航海可能な商船及びその運航方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】氷結海域での航行エネルギー効率が高い商船の運航方法を提供する。【解決手段】船首部にバルバスバウ13を有し、船尾部に主機関12により駆動する常用プロペラ11を有し、船底に追加プロペラ20及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ11及び前記追加プロペラ20が推力を与えることができる位置に配置されるとともに、前記バルバスバウ13の下部が海面又は氷上面にある喫水線18をもち、氷結海域を航行する際に、前記常用プロペラ11及び前記追加プロペラ20を使用して航行する。【選択図】図1

Description

本発明は、氷結海域での航海可能な商船及びその運転方法に関する。
北極海域及びこれに隣接する海域では、氷の影響又は過度に低温であることの影響を受けて、特に10月〜3月の冬期では、船舶構造又は設備、操船状の安全、乗組員の安全、積荷の安全のために商船の航行は困難である。そして、氷海に対応した特殊の構造をもった、軍艦、観測船又は砕氷船などが航行できる程度である。
例えば、北極海域でなくとも、バルチック海沿岸、セントローレンス川、五大湖海域又は日本海・シベリア沿岸海域での航海は、浮遊氷海により、船体や推進プロペラに損傷を受けたり、ジャム化した氷や薄い氷の凍結の影響を受けて、氷海に閉じ込められる危険性がある。
そこで、アイスクラスが規定され、IACS URI(Polar Class)ではPC1〜PC7のクラスが示され、FSICR(Finnish Swedish Ice Class Rules)ではIASuper,IA,IB,IC,IIが示されている。
商船においては、造波抵抗を低減するためにバルバスバウが形成されている。この種のバルバスバウを有する船において、氷海を進むための工夫が、例えば特許文献1に記載されている。
WO2015/029154公報
しかるに、先行文献の船は、推進力を得る手段についての開示はないものの、通常の常用プロペラのみで推進するものと考えられる。
他方、現在の一般商船の常用プロペラとその駆動のデイ−ゼル主機関により、初期氷結海域、通常海域、ジャム化した浮遊氷海域、氷塊浮遊海域を安全に航海するためには、その航海域のデーゼル機関の適用範囲が過度に広く、総合エネルギー効率(燃料消費量)が低くなると共に、安全上問題点がある。
すなわち、一般商船において、その常用プロペラを駆動するデイ−ゼル主機関は、氷と無縁な海域を比較的高速で航海することを前提として、前記デイ−ゼル主機関の能力が定められており、その能力に対して例えば85−90%MCRの出力で全航海過程を走行することを前提としている。
前記のデイ−ゼル主機関により常用プロペラを駆動して常用プロペラのみで、浮遊氷海域、氷塊浮遊海域を航海するとともに、安全に航海するためには、前記デイ−ゼル主機関の能力に対して例えば20%−30%MCR程度の出力で運行することが必要となる。
その結果、前記デイ−ゼル主機関を非効率的な使用する形態とならざるを得ず、総合エネルギー効率(燃料消費量)を競う商船にとって致命的な課題が残るものである。
また、浮遊氷海域又は氷塊浮遊海域においては、運行速度を遅くして航海する必要がある。浮遊氷海域又は氷塊浮遊海域において常用プロペラのみで航海しようとする場合、常用プロペラは比較的高速で航海することを前提としているものであるから、広い範囲の速度調整に適するものではなく、操船の点でも問題が多い。
そこで本発明の主たる課題は、氷結海域での安全航行、通常海域でエネルギー効率を損なわれない総合エネルギー効率が高い(燃料消費量が低い)商船の運航方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
本発明は、商船を対象とする。商船としては、一般貨物船のほか、コンテナ船、原油タンカー、ケミカル船、鉱石船、石炭船、LNG船、LPG船、自動車運搬船、バラ積み船などについて適用可能である。
本発明の商船の運航方法は、船首部にバルバスバウを有し、船底部に配置された追加プロペラ及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、
氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が海面又は氷上面にある喫水線をもって、
前記常用プロペラ及び前記追加プロペラのうち、少なくとも前記追加プロペラを主として使用して航行することを特徴とするものである。
なお、砕氷時には、前記常用プロペラをも使用することができる。
氷結海域において、高速で航行すると、仮に氷と衝突した場合、船体を破損する可能性がある。そこで、低速での航行が必要である。低速での航行を行うために、敢えて主機関により駆動する常用プロペラを使用すると、元来、一般海域で所定の速い速度で航行することを前提として選択された主機関を、低速用に適した出力となるように駆動するので、エネルギー効率が悪い。
これに対し、本発明に従って、氷結海域を航行する際に、主として前記追加プロペラを使用して航行するものとすると、追加プロペラの追加プロペラ駆動手段として小型のもので足り、総合的に高い効率で運転できる。
前記追加プロペラ駆動手段の出力は、主機関の出力の15〜45%MCR(Maximum Continuous Rating)、より好ましくは20〜35%MCRである。
氷結海域ではない一般海域では、比較的に速い、例えば15〜19ノットで航行するためには、常用プロペラを回転させて速度を上げて航行することができる。このために、主機関の出力として大出力であることが要求される。
これに対して、氷結海域では低速での航行が必要である(高速では、氷との衝突により船体を破損する可能性がある。)。この航行速度としては、5ノット以下、より好ましくは3ノット以下である。
したがって、低速での航行を行うための追加プロペラを駆動する追加プロペラ駆動手段の出力は、主機関の出力の15〜45%MCRが望ましい。
氷結海域ではあるが氷結していない時期(結氷に到る初期又は結氷が緩む時期)では、氷との衝突の危険性を完全には排除できないので、常用プロペラを回転させるより、追加プロペラを駆動して低速で航海する方が好ましい。
航路を見いだせないほど広範囲にわたって結氷した状態、あるいは厚く結氷した状態ではなく、氷結海域ではあるが氷結していない又は氷結が緩い時期(結氷に到るも「初期結氷」又は結氷が緩む時期)において、主として追加プロペラを使用しながら低速で航海する場合に、本発明の利点が顕在化する。
ここで「初期結氷」とは、1ウインターシーズンを超えていない氷をいう。本発明の商船は、「初期結氷」の氷結海域を安全に航海できる。
追加プロペラ駆動手段としては、機械式又は電気式があるが、電気式が好ましい。前記主機関の駆動により発電される発電機を使用できる。補助発電機による電気を駆動手段とすることもできる。
追加プロペラは可変ピッチプロペラが望ましい。その回転駆動力の調整範囲が大きく、連続調整かつ微細の駆動力の調整が可能となる点で利点が大きい。
前記追加プロペラは、前記常用プロペラより前方の配置位置における、船底部に配置され、かつ、船外への張出し状態と船内への引き込み状態とを選択可能である態様が提案される。
追加プロペラを使用しない場合(例えば一般海域を航行する場合)には、船外へ張出し状態としておくことは抵抗になってしまうので、船内へ引き込むようにすることが望ましい。
氷結期以外の時期における積荷状態、あるいは一般海域での航行においては、主として前記常用プロペラを駆動して推進する。
前記追加プロペラは、上下軸線周りに回転可能とすることができる。前記追加プロペラの運転において、追加プロペラを適宜、上下軸線周りに回転させることにより、操船(方向)性を高めることができる。
前記追加プロペラはダクトプロペラとすることができる。追加プロペラとしてダクトプロペラを使用すると、小型であっても、相対的に大きい推力を得ることができる。
氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が氷を割り、かつ側方に押し流すように航行できる。
水密用の船首隔壁より後方の貨物部の二重底構造が、前方の前記バルバスバウの下部に延在しているものが望ましい。
商船においては、一般に水密用の船首隔壁より後方は積荷荷重を受けるために二重底構造としているが、船首隔壁より前方は二重底構造とはしていない。しかし、氷結海域での航海では氷と衝突する、あるいは氷上に乗り上げることが想定されるので、これに耐えうる強度をもたせるために、船首隔壁より後方の貨物部の二重底構造が、前方のバルバスバウの下部に延在しているものが望ましいのである。
水密用の船首隔壁より前方に、追加のバラストタンクを設け、砕氷時に前記バラストタンク内にバラスト水を投入して船首側重量を増大させることができる。これにより砕氷能力を高めることができる。
水密用の船首隔壁より前方を、船底外板より上方に内板を設けて二重底構造とするほか、船底外板と前記内板との間に他の内板を設けて三重底構造とすることができる。
前記二重底構造又は三重底構造内にモルタルなどの充填材を充填した構造であると、例えば氷と衝突した場合に耐衝撃力、あるいは氷上に乗り上げたときの外板の耐曲げ性が高まる。
船首部にバルバスバウを有し、船尾部に主機関により駆動する常用プロペラを有し、船の後方があって常用プロペラへの水流に影響しない距離を離れた位置に、追加プロペラを設け、その追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、前記バルバスバウの下部が海面(喫水線)位置又は氷上面に接する位置にあり、
水密用の船首隔壁より前方の船首を、二重底構造又は三重底構造とし、かつ前記バルバスバウの一部を構成している商船を提供できる。
以上のとおり、本発明によれば、氷結海域において高い航行エネルギー効率をもって商船を運航できる。
氷結域での航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。 追加プロペラ及びその駆動手段の概要図である。 商船の横断面図である。 バルバスバウを示す縦断面図である。バルバスバウの底面からの視図である。 5−5線矢視図である。 6−6線矢視図である。 バルバスバウの底部における平面図である。 充填材の他の充填態様を示す縦断面図である。 他の追加プロペラの配置態様の概要図である。 一般海域での積荷航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。 一般海域での空荷航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1は、本発明に係る船、例えば積荷を目的とする商船10、例えば貨物船(図示例は鉱石運搬船を示している。)の概要正面図である。この商船10には、ディーゼル機関などの主機(主機関)12により常用プロペラ(主プロペラ)11を駆動して推進力を得る。
商船10は、その船首部に造波抵抗を低減するためのバルバスバウ13を有する。このバルバスバの形状としては公知例を採用できる。
図示の商船10は、積荷Rの貨物室を有する貨物船であり、例えば5つの貨物室を有する例である。貨物室相互は横隔壁14により船長方向に区画されている。また、最前方の貨物室は、船首隔壁(水密隔壁)15Fによって区画され、最後方の貨物室は、船尾隔壁(水密隔壁)15Bによって区画されている。
また、船尾側にはブリッジ16が設けられている。17は舵である。
18は、氷結海域を空荷状態で航海するために、喫水線であり、船首方向が浅く、船尾部は深い「とも足」状態である。
図10に示すように、積荷状態の喫水線18Aは深い。
非氷結海域を、空荷状態で左右のバラストタンクBTにバラスト水を張り込んだ場合の通常の喫水線は図11に示すように、例えば18Bの位置である。
図2にも参照されるように、船舶に、追加プロペラ20及び追加プロペラ駆動手段22設けられている。追加プロペラ20としては、例えばダクト内にプロペラを備えたダクトプロペラ21を使用できる。
この追加プロペラ20は、常用プロペラ11とは異なる位置、船底部に配置されている。
この場合、すなわち中間より船尾側位置に設けるのが望ましいが、図9に示すように、中間より船首側位置に設けることもできる。
追加プロペラ20の追加プロペラ駆動手段22の出力は、主機12の駆動手段の出力の15〜45%MCR、より好ましくは20〜35%MCRであるのが望ましい。
そして、常用プロペラ11を駆動して推進力を得る常用運転状態と、追加プロペラ21を駆動して推進力を得る運転状態と、さらに両者を運転し、例えば氷上に乗り上げる運転状態とを選択可能とされている。
追加プロペラ駆動手段22としては、電気モータ、油圧モータなどのほか、必要ならば、主機(主機関)12と電気的に連結して駆動力を得るようにすることもできる。
特に、主機(主機関)12をにより発電機とを駆動して電気モータを回転させて主プロペラ、追加プロペラ20を回転させるものが最適である。
この例示では駆動手段22による出力軸23の回転駆動力は、一対の傘歯車24を介して縦軸25に伝達され、縦軸25に設けた一対の傘歯車26を介して、プロペラ駆動軸27の回転力として伝達され、プロペラの周囲にダクト21Aを有するダクトプロペラ21を回転させるように構成されている。
他方、駆動手段22による伝達軸28の回転駆動力は、駆動小歯車29、これに噛合する大歯車30に伝達され、ダクトプロペラ21を縦軸25回りに回転可能に構成されている。
さらに、船底外板10Aより下方のダクトプロペラ21を含む機器は、図2に示すように、船底10Aの外へ張出す状態にあるが、通常の航海では邪魔になるので、船内への引き込み可能である構造が好適である。10Bは船内への引き込み後に閉止する遮蔽部材である。
かかる船構造をもった商船10は、貨物Rの積荷(載荷)時であって、一般海域(海が氷結しない海域)又は氷結していない時期での航海においては、図10に示すように、計画満載喫水に近い喫水状態で、主機12により常用プロペラ11を駆動して運航する。
北極海域及びこれに隣接する海域を通過し、寄港し、荷下ろし後は、とりわけ天候が穏やかな日、あるいは波の静かな海においては、船舶の航海時の安定性につき過度に厳格とする必要性に乏しいので、図1の場合と同様に、喫水線を下げた状態で、小型の追加プロペラ20にて走行させる。この場合、船の進行方向は適宜選択でき、船の進行方向によりブリッジ13で船首、船尾を監視する。例えば、図1のように船首方向に進行するほか、図9のように船尾方向に進行することができる。また、図9は、船体の中間より船首側に小型の追加プロペラ20Fを設けた例を示している。
その結果、喫水線を下げることにより、見掛け上の排水量の低下となり、外板の水との接触面積が小さくなり、水線面積係数の改善を図ることができ、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。
また、小型の追加プロペラ20を駆動するので、追加プロペラ駆動手段22の出力は小さいもので足り、主機12の駆動手段の出力の15〜45%MCR程度の出力で航行できる観点からも、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。天候が穏やかな日(ビューフォートスケールで0〜3の日)での走行速度は5〜10ノット程度で十分である。
当該船舶が貨物Rを満載した後に出港し、通常の航海に移行する場合には、常用プロペラ11を駆動し、または併用し深い喫水で航海する。
また、天候が悪い場合には、たとえ空船であっても、例えば図3の貨物室の左右に設けたバラストタンクBTにバラスト水を張り、例えば図11に示す喫水線18Bとし、安定化させた状態で、小型の追加プロペラ20又は常用プロペラ11にて走行させることができる。
ダクトプロペラ21が、上下軸線周りに回転可能であると、必要とする運転状態に応じて、ダクトプロペラ21を駆動して船尾方向にも推進することができる。
ダクトプロペラ21が、縦軸25(上下軸線)周りに回転可能であると、追加プロペラ及び常用プロペラ併用運転において、追加プロペラを適宜、上下軸線周りに回転させることにより、ステアリング機能を付加することができ、操船(方向)性を高めることができる。また、当該船の着岸時において、横向かせてスライドスラスターとして利用できる。
また、ダクトプロペラ21による推進方向を船首方向とすることができる。そのために、常用プロペラ11に対し、その回転を防止するプロペラ遊転防止装置11Aを設けておくことができる。
必要ならば、ダクトプロペラ21を船の中心線を境として左右に設けることもできる。左右のダクトプロペラ21,21の上下軸線周りの回転によって、操船性を高めることができる。また、サイドスラスターとして利用時において、着岸がより一層簡単になる。
本発明においては、商船10により氷結海域をも航行することができるようにしたものである。
このために、種々の対策が取られている。
その対策の一つは水密用の船首隔壁15Fより後方の貨物部の、船底外板10Aの内方に内底板10Bを設けた二重底構造が、前方のバルバスバウ13の下部に延在しているものが望ましい。内底板10Bの延在部を符号10Cとして図示した。
従来の商船10においては、水密用の船首隔壁15Fより後方は積荷荷重を受けるために二重底構造としているが、船首隔壁15Fより前方は二重底構造ではない。
しかし、氷結海域での航海では氷と衝突する、あるいは氷上に乗り上げることが想定されるので、これに耐えうる強度をもたせるために、船首隔壁15Fより後方の貨物部の二重底構造が、前方のバルバスバウ13の下部に延在しているものが望ましいのである。
水密用の船首隔壁15Fより前方に、バラスト水の投入及び排出を行う追加の例えばFRP製のバラストタンク38を設け、砕氷の際に氷に乗り上げた後に、前記バラストタンク38内にバラスト水を投入して船首側重量を増大させて砕氷することに利用できる。
これにより砕氷能力を高めることができる。
図示の例においては内底板延在部10Cより上方をバラストタンク38としてある。必要によりさらに上方にバラストタンク39を設けることができる。
また、実施の形態においては、内底板延在部10Cを設けることにより、補強を図っているが、さらに船底外板Cからの浸水事故に備えとともにより高い強度を求めるために、内底板延在部10Cと船底外板10Aとの間に、補強用水平仕切り板10Dを設け、三重底構造とすることができる。
また、砕氷タンク38(図7、8参照)の下方にモルタルなどの充填材32を充填した構造とすることができる。バラストタンクの底部にモルタルなどの充填材32を充填した構造であると、例えば氷と衝突した場合に耐衝撃力、あるいは氷上に乗り上げたときの耐衝撃性が高まる。
充填材32の充填位置としては、船底外板10Aより上方であればよく、図示例のように船底外板10Aと補強用水平仕切り板10Dとの間のほか、図8に示すように、さらに内底板延在部10Cまでの間にも充填材32を充填することができる。また、図8に示すように、内底板延在部10Cより上方にまで充填材32を充填することもできる。
充填材32の充填は、船底外板10Aの耐衝撃性を高めるだけでなく、充填材32自体の重量が砕氷能力を高めることにつながる。
充填材として、モルタルに換えて船底外板10Aと直接接触し覆うものであれば他の充填材も使用できる。その充填材として、例えば各種の無機充填材、鋳物などの金属充填材、プラスチック充填材あるいはこれらを組み合せた充填材を使用できる。
氷結海域又はこれに隣接する海域を航行する場合、バルバスバウ13の下部の強度を向上させるほか、不意に氷と衝突する可能性もあるので、バルバスバウ13の前面側の強度も高める必要がある。
そこで、図示するように、船底外板10Aと内底板延在部10Cとの間を横、縦向きにつなぐ追加のボトムトランス33T、ボトムロンジ33L、縦フレーム34、パンチングストリンガー35、バーティカルフレーム36、ブレストフック37などを設けるのが望ましい。
本発明によると、一般貨物船のほか、コンテナ船、原油タンカー、ケミカル船、鉱石船、石炭船、LNG船、LPG船、自動車運搬船、バラ積み船などの商船における、一般海域のみならず、氷結海域での航海、あるいは氷結海域ではあるが氷結していない時期での航海を安定して行うことができる。その結果、結氷を避けて遠回りした航海でなく最短のコースで航海できるので、その経済価値をきわめて高い。
例えば、北太平洋と北大西洋との間を、北極海を経由して航海できる。特に近年の地球温暖化に伴って結氷面積が小さくなる傾向がある北極海を経由できることは多大な経済効果をもたらす。
10…船
10A…船底外板
10B…内底板
10C…内底板延在部
10D…補強用水平仕切り板
11…常用プロペラ(常用プロペラ)
12…主機(主機関)
19…モルタル
20…追加プロペラ
21…ダクトプロペラ
22…追加プロペラ駆動手段
本発明は、氷結海域において航海可能な商船及びその運航方法に関する。
北極海域及びこれに隣接する海域では、氷の影響又は過度に低温であることの影響を受けて、特に10月〜3月の冬期では、船舶構造又は設備、操船の安全、乗組員の安全、積荷の安全のために商船の航行は困難である。そして、氷海に対応した特殊構造をもった、軍艦、観測船又は砕氷船などが航行できる程度である。
例えば、北極海域でなくとも、バルチック海沿岸、セントローレンス川、五大湖海域又は日本海・シベリア沿岸海域での航海は、浮遊氷海により、船体や推進プロペラ損傷を受けたり、ジャム化した氷や薄い氷の凍結の影響を受けて、氷海に閉じ込められる危険性がある。
そこで、アイスクラスが規定され、IACS URI(Polar Class)ではPC1〜PC7のクラスが示され、FSICR(Finnish Swedish Ice Class Rules)ではIASuper,IA,IB,IC,IIが示されている。
商船においては、造波抵抗を低減するためにバルバスバウが形成されている。この種のバルバスバウを有する船において、氷海を進むための工夫が、例えば特許文献1に記載されている。
WO2015/029154公報
しかるに、先行文献の船は、推進力を得る手段についての開示はないものの、通常の常用プロペラのみで推進するものと考えられる。
他方、現在の一般商船の常用プロペラとその駆動のディーゼル主機関により、初期氷結海域、通常海域、ジャム化した浮遊氷海域、氷塊浮遊海域を安全に航海するためには、その航海域のディーゼル機関の適用範囲が過度に広く、総合エネルギー効率(燃料消費量 )が低くなると共に、安全上問題点がある。
すなわち、一般商船において、その常用プロペラを駆動するディーゼル主機関は、氷と無縁な海域を比較的高速で航海することを前提として、前記ディーゼル主機関の能力が定められており、その能力に対して例えば8590%MCRの出力で全航海過程を走行することを前提としている。
前記のディーゼル主機関により常用プロペラを駆動して常用プロペラのみで、浮遊氷海域、氷塊浮遊海域を航海するとともに、安全に航海するためには、前記ディーゼル主機関の能力に対して例えば20%30%MCR程度の出力で運行することが必要となる。
その結果、前記ディーゼル主機関を非効率的使用する形態とならざるを得ず、総合エネルギー効率(燃料消費量)を競う商船にとって致命的な課題が残るものである。
また、浮遊氷海域又は氷塊浮遊海域においては、運行速度を遅くして航海する必要がある。浮遊氷海域又は氷塊浮遊海域において常用プロペラのみで航海しようとする場合、常用プロペラは比較的高速で航海することを前提としているものであるから、広い範囲の速度調整に適するものではなく、操船の点でも問題が多い。
そこで本発明の主たる課題は、氷結海域での安全航行、通常海域でエネルギー効率を損なわない総合エネルギー効率が高い(燃料消費量が低い)商船の運航方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
本発明は、商船を対象とする。商船としては、一般貨物船のほか、コンテナ船、原油タンカー、ケミカル船、鉱石船、石炭船、LNG船、LPG船、自動車運搬船、バラ積み船などについて適用可能である。
本発明の商船の運航方法は、船首部にバルバスバウを有し、船底部に配置された追加プロペラ及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、
氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が海面又は氷上面にある喫水線をもって、
前記常用プロペラ及び前記追加プロペラのうち、少なくとも前記追加プロペラを主として使用して航行することを特徴とするものである。
なお、砕氷時には、前記常用プロペラ使用することができる。
氷結海域において、高速で航行すると、仮に氷と衝突した場合、船体を破損する可能性がある。そこで、低速での航行が必要である。低速での航行を行うために、敢えて主機関により駆動する常用プロペラを使用すると、元来、一般海域で所定の速い速度で航行することを前提として選択された主機関を、低速用に適した出力となるように駆動するので、エネルギー効率が悪い。
これに対し、本発明に従って、氷結海域を航行する際に、追加プロペラを使用して航行するものとすると、追加プロペラの追加プロペラ駆動手段として小型のもので足り、総合的に高い効率で運転できる。
前記追加プロペラ駆動手段の出力は、例えば主機関の出力の15〜45%MCR(Maximum Continuous Rating)、より好ましくは20〜35%MCRである。
氷結海域でない一般海域では、比較的速い、例えば15〜19ノットで航行するために、常用プロペラを回転させて速度を上げて航行することができる。このために、主機関の出力として大出力であることが要求される。
これに対して、氷結海域では低速での航行が必要である(高速では、氷との衝突により船体を破損する可能性がある。)。この航行速度としては、5ノット以下、より好ましくは3ノット以下である。
したがって、低速航行を行うための追加プロペラを駆動する追加プロペラ駆動手段の出力は、主機関の出力の15〜45%MCRが望ましい。
氷結海域ではあるが氷結していない時期(結氷に到る初期又は結氷が緩む時期)では、氷との衝突の危険性を完全排除できないので、常用プロペラを回転させるより、追加プロペラを駆動して低速で航海する方が好ましい。
航路を見いだせないほど広範囲にわたって結氷した状態、あるいは厚く結氷した状態ではなく、氷結海域ではあるが氷結していない又は氷結が緩い時期(結氷に到るも「初期結氷」又は結氷が緩む時期)において、主として追加プロペラを使用しながら低速で航海する場合に、本発明の利点が顕在化する。
ここで「初期結氷」とは、1ウインターシーズンを超えていない氷をいう。本発明の商船は、「初期結氷」の氷結海域を安全に航海できる。
追加プロペラ駆動手段としては、機械式又は電気式があるが、電気式が好ましい。前記主機関の駆動により発電される発電機を使用できる。補助発電機による電気を駆動手段とすることもできる。
追加プロペラは可変ピッチプロペラが望ましい。その回転駆動力の調整範囲が大きく、駆動力の連続調整及び微細調整が可能となる点で利点が大きい。
追加プロペラは、常用プロペラより前方の配置位置における、船底部に配置され、かつ、船外への張出し状態と船内への引き込み状態とを選択可能である態様が提案される。
追加プロペラを使用しない場合(例えば一般海域を航行する場合)には、船外へ張出した状態にしておくと抵抗になってしまうので、船内へ引き込むようにすることが望ましい。
氷結期以外の時期における積荷状態、あるいは一般海域での航行においては、主として常用プロペラを駆動して推進する。
追加プロペラは、上下軸線周りに回転可能とすることができる。追加プロペラの運転において、追加プロペラを適宜、上下軸線周りに回転させることにより、操船(方向)性を高めることができる。
追加プロペラはダクトプロペラとすることができる。追加プロペラとしてダクトプロペラを使用すると、小型であっても、相対的に大きい推力を得ることができる。
氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が氷を割り、かつ側方に押し流すように航行できる。
水密用の船首隔壁より後方の貨物部の二重底構造が、船首隔壁より前方のバルバスバウの下部に延在しているものが望ましい。
商船においては、一般に水密用の船首隔壁より後方は積荷荷重を受けるために二重底構造としているが、船首隔壁より前方は二重底構造とはしていない。しかし、氷結海域での航海では氷と衝突する、あるいは氷上に乗り上げることが想定されるので、これに耐えうる強度をもたせるために、船首隔壁より後方の貨物部の二重底構造が、船首隔壁より前方のバルバスバウの下部に延在しているものが望ましいのである。
水密用の船首隔壁より前方に、追加のバラストタンクを設け、砕氷時にバラストタンク内にバラスト水を投入して船首側重量を増大させ、氷に乗り上げた後、バラストタンク内にバラスト水を投入して重量により砕氷できるようになり、砕氷能力を高めることができる。
水密用の船首隔壁より前方を、船底外板より上方に内板を設けてバルバスバウの下部を二重底構造とするほか、船底外板と内板との間に他の内板を設けて三重底構造とすることできる。
二重底構造又は三重底構造内にモルタルなどの充填材を充填した構造であると、例えば氷と衝突した場合に耐衝撃力、あるいは氷上に乗り上げたときの外板の耐曲げ性が高まる。
空船状態での運航は、図1のように、喫水線18が二重底構造又は三重底構造の最上の内板より下方に位置した状態で、海面位置、あるいは氷結海域における氷上面に接する位置にあるのが望ましい。
この場合、二重底構造又は三重底構造の最上の内板と船底外板との間にモルタルなどの補強用充填材を充填するのが望ましい。充填材は、補強を行う目的では、少なくとも船底外板に接して充填することが好ましい。
このような二重底構造又は三重底構造を構成した商船は、空船状態での喫水線が、バルバスバウの下部、すなわち船首隔壁より前方にあり、かつ二重底構造又は三重底構造の最上の内板より下方に位置した状態で運航することが望ましい理由は、次のとおりである。
第1に、バルバスバウの下部が二重底構造又は三重底構造を構成する内板によって補強されるので、氷と接触して船外板の破損が防止される。
第2に、仮に、氷と接触して船底外板が破損しても、強度が著しく高い船首隔壁の破損に至らないので、浸水はなく積荷に影響を受けることはなく、かつ航行を続行できる。
第3に、二重底構造又は三重底構造の最上の内板と船底外板との間にモルタルなどの補強用充填材が充填されている場合には、内板及び充填材の存在により、バルバスバウの下部の強度が高くなり、氷と衝突による破損の危険性を低減できる。
モルタルなどの補強用充填材を充填した態様においては、上記の観点から、氷結海域の運航に当たっては、喫水線が船首隔壁より前方にあるのが最適である。
他方で、本発明によれば、 船首部にバルバスバウを有し、船尾部に主機関により駆動する常用プロペラを有し、船底部に配置された追加プロペラ及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、
貨物部が船底外板の内方に内底板を設けた二重底構造を有し、船首隔壁より前方に、前記貨物部の二重底構造における前記内底板の位置に船首部内板を設け、かつ、前記船首部内板より上方にバラストタンクを形成し、
前記内板と前記バルバスバウ船底外板との間に、少なくとも前記船底外板に接して補強用充填材を充填してあることを特徴とする商船を提供できる。
以上のとおり、本発明によれば、氷結海域において高い航行エネルギー効率をもって商船を運航できる。
氷結海域での航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。 追加プロペラ及びその駆動手段の概要図である。 商船の横断面図である。 バルバスバウを示す縦断面図である。バルバスバウの底面からの視図である。 5−5線矢視図である。 6−6線矢視図である。 バルバスバウの底部における平面図である。 充填材の他の充填態様を示す縦断面図である。 他の追加プロペラの配置態様の概要図である。 一般海域での積荷航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。 一般海域での空荷航海時の喫水線を併せて示した商船の全体例の正面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1は、本発明に係る船、例えば積荷を目的とする商船10、例えば貨物船(図示例は鉱石運搬船を示している。)の概要正面図である。この商船10には、ディーゼル機関などの主機(主機関)12により常用プロペラ(主プロペラ)11を駆動して推進力を得る。
商船10は、その船首部に造波抵抗を低減するためのバルバスバウ13を有する。このバルバスバの形状としては公知例を採用できる。
図示の商船10は、積荷Rの貨物室を有する貨物船であり、例えば5つの貨物室を有する例である。貨物室相互は横隔壁14により船長方向に区画されている。また、最前方の貨物室は、船首隔壁(水密隔壁)15Fによって区画され、最後方の貨物室は、船尾隔壁(水密隔壁)15Bによって区画されている。
また、船尾側にはブリッジ16が設けられている。17は舵である。
図1に示す符号18は、氷結海域を空荷状態で航海するために、喫水線であり、船首方向が浅く、船尾部は深い「とも足」状態である。
図10に示すように、積荷状態の喫水線18Aは深い。
非氷結海域を、空荷状態で左右のバラストタンクBTにバラスト水を張り込んだ場合の通常の喫水線は図11に示すように、例えば18Bの位置である。
図2にも参照されるように、船舶に、追加プロペラ20及び追加プロペラ駆動手段22が設けられている。追加プロペラ20としては、例えばダクト内にプロペラを備えたダクトプロペラ21を使用できる。
この追加プロペラ20は、常用プロペラ11とは異なる位置、船底部に配置されている。
この場合、すなわち中間より船尾側位置に設けるのが望ましいが、図9に示すように、中間より船首側位置に追加プロペラ20Aを設けることもできる。この場合、船尾側位置の追加プロペラ20と併せて設置することもできるが、中間より船首側位置のみに追加プロペラ20Aを設置することもできる。
追加プロペラ20の追加プロペラ駆動手段22の出力は、主機12の駆動手段の出力の15〜45%MCR、より好ましくは20〜35%MCRであるのが望ましい。
そして、常用プロペラ11を駆動して推進力を得る常用運転状態と、追加プロペラ21を駆動して推進力を得る運転状態と、さらに両者を運転し、例えば氷上に乗り上げる運転状態とを選択可能とされている。
追加プロペラ駆動手段22としては、電気モータ、油圧モータなどのほか、必要ならば、主機(主機関)12と電気的に連結して駆動力を得るようにすることもできる。
特に、主機(主機関)12により発電機を駆動して電気モータを回転させて主プロペラ、追加プロペラ20を回転させるものが最適である。
この例示では駆動手段22による出力軸23の回転駆動力は、一対の傘歯車24を介して縦軸25に伝達され、縦軸25に設けた一対の傘歯車26を介して、プロペラ駆動軸27の回転力として伝達され、プロペラの周囲にダクト21Aを有するダクトプロペラ21を回転させるように構成されている。
他方、駆動手段22による伝達軸28の回転駆動力は、駆動小歯車29、これに噛合する大歯車30に伝達され、ダクトプロペラ21を縦軸25回りに回転可能に構成されている。
さらに、船底外板10Aより下方のダクトプロペラ21を含む機器は、図2に示すように、船底外板10Aの外へ張出す状態にあるが、通常の航海では邪魔になるので、船内への引き込み可能である構造が好適である。10aは船内への引き込み後に閉止する遮蔽部材である。
かかる船構造をもった商船10は、貨物Rの積荷(載荷)時であって、一般海域(海が氷結しない海域)又は氷結していない時期での航海においては、図10に示すように、計画満載喫水に近い喫水状態で、主機12により常用プロペラ11を駆動して運航する。
北極海域及びこれに隣接する海域を通過し、寄港し、荷下ろし後は、とりわけ天候が穏やかな日、あるいは波の静かな海においては、船舶の航海時の安定性につき過度に厳格とする必要性に乏しいので、図1の場合と同様に、喫水線を下げた状態で、小型の追加プロペラ20にて走行させる。この場合、船の進行方向は適宜選択でき、船の進行方向によりブリッジ16で船首、船尾を監視する。例えば、図1のように船首方向に進行するほか、図9のように船尾方向に進行することができる。また、図9は、船体の中間より船首側に小型の追加プロペラ20Aを設けた例を示している。
その結果、喫水線を下げることにより、見掛け上の排水量の低下となり、外板の水との接触面積が小さくなり、水線面積係数の改善を図ることができ、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。
また、小型の追加プロペラ20を駆動するので、追加プロペラ駆動手段22の出力は小さいもので足り、主機12の駆動手段の出力の15〜45%MCR程度の出力で航行できる観点からも、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。天候が穏やかな日(ビューフォートスケールで0〜3の日)での走行速度は5〜10ノット程度で十分である。
当該船舶が貨物Rを満載した後に出港し、通常の航海に移行する場合には、常用プロペラ11を駆動し、または併用し深い喫水で航海する。
また、天候が悪い場合には、たとえ空船であっても、例えば図3の貨物室の左右に設けたバラストタンクBTにバラスト水を張り、例えば図11に示す喫水線18Bとし、安定化させた状態で、小型の追加プロペラ20又は常用プロペラ11にて走行させることができる。
ダクトプロペラ21が、上下軸線周りに回転可能であると、必要とする運転状態に応じて、ダクトプロペラ21を駆動して船尾方向にも推進することができる。
ダクトプロペラ21が、縦軸25(上下軸線)周りに回転可能であると、追加プロペラ及び常用プロペラ併用運転において、追加プロペラを適宜、上下軸線周りに回転させることにより、ステアリング機能を付加することができ、操船(方向)性を高めることができる。また、当該船の着岸時において、横向かせてスライドスラスターとして利用できる。
また、ダクトプロペラ21による推進方向を船首方向とすることができる。そのために、常用プロペラ11に対し、その回転を防止するプロペラ遊転防止装置11Aを設けておくことができる。
必要ならば、ダクトプロペラ21を船の中心線を境として左右に設けることもできる。左右のダクトプロペラ21,21の上下軸線周りの回転によって、操船性を高めることができる。また、サイドスラスターとして利用時において、着岸がより一層簡単になる。
本発明においては、商船10により氷結海域をも航行することができるようにしたものである。
このために、種々の対策が取られている。
その対策の一つは水密用の船首隔壁15Fより後方の貨物部の、船底外板10Aの内方に内底板10Bを設けた二重底構造が、前方のバルバスバウ13の下部に延在し、内板10Cと船底外板10Aとによる二重底構造を有するものが望ましい。
従来の商船10においては、水密用の船首隔壁15Fより後方は積荷荷重を受けるために二重底構造としているが、船首隔壁15Fより前方は二重底構造ではない。
しかし、氷結海域での航海では氷と衝突する、あるいは氷上に乗り上げることが想定されるので、これに耐えうる強度をもたせるために、船首隔壁15Fより後方の貨物部の二重底構造が、前方のバルバスバウ13の下部に延在しているものが望ましいのである。
水密用の船首隔壁15Fより前方に、バラスト水の投入及び排出を行う追加の例えばFRP製のバラストタンク38を設け、砕氷の際に氷に乗り上げた後に、前記バラストタンク38内にバラスト水を投入して船首側重量を増大させて砕氷することに利用できる。
これにより砕氷能力を高めることができる。
図示の例においては内底板延在部10Cより上方をバラストタンク38としてある。必要によりさらに上方にバラストタンク39を設けることができる。
また、実施の形態においては、内底板延在部10Cを設けることにより、補強を図っているが、さらに船底外板Cからの浸水事故に備えとともにより高い強度を求めるために、内板10Cと船底外板10Aとの間に、補強用水平仕切り板10Dを設け、三重底構造とすることができる。
また、砕氷タンク38(図4、図8参照)の下方にモルタルなどの充填材32を充填した構造とすることができる。バラストタンクの底部にモルタルなどの充填材32を充填した構造であると、例えば氷と衝突した場合に耐衝撃力、あるいは氷上に乗り上げたときの耐衝撃性が高まる。
充填材32の充填位置としては、船底外板10Aより上方であればよく、図示例のように船底外板10Aと補強用水平仕切り板10Dとの間のほか、図8に示すように、さらに内板10Cまでの間にも充填材32を充填することができる。また、図8に示すように、内板10Cより上方にまで充填材32を充填することもできる。
充填材32の充填は、船底外板10Aの耐衝撃性を高めるだけでなく、充填材32自体の重量が砕氷能力を高めることにつながる。
充填材として、モルタルに換えて船底外板10Aと直接接触し覆うものであれば他の充填材も使用できる。その充填材として、例えば各種の無機充填材、鋳物などの金属充填材、プラスチック充填材あるいはこれらを組み合せた充填材を使用できる。
氷結海域又はこれに隣接する海域を航行する場合、バルバスバウ13の下部の強度を向上させるほか、不意に氷と衝突する可能性もあるので、バルバスバウ13の前面側の強度も高める必要がある。
そこで、図示するように、船底外板10Aと内底板延在部10Cとの間を横、縦向きにつなぐ追加のボトムトランス33T、ボトムロンジ33L、縦フレーム34、パンチングストリンガー35、バーティカルフレーム36、ブレストフック37などを設けるのが望ましい。
本発明によると、一般貨物船のほか、コンテナ船、原油タンカー、ケミカル船、鉱石船、石炭船、LNG船、LPG船、自動車運搬船、バラ積み船などの商船における、一般海域のみならず、氷結海域での航海、あるいは氷結海域ではあるが氷結していない時期での航海を安定して行うことができる。その結果、結氷を避けて遠回りした航海でなく最短のコースで航海できるので、その経済価値をきわめて高い。
例えば、北太平洋と北大西洋との間を、北極海を経由して航海できる。特に近年の地球温暖化に伴って結氷面積が小さくなる傾向がある北極海を経由できることは多大な経済効果をもたらす。
10…船
10A…船底外板
10B…内底板
10C…内板10C
10D…補強用水平仕切り板
11…常用プロペラ(主プロペラ
12…主機(主機関)
20…追加プロペラ
21…ダクトプロペラ
22…追加プロペラ駆動手段
32…充填材

Claims (12)

  1. 船首部にバルバスバウを有し、船尾部に主機関により駆動する常用プロペラを有し、船底部に配置された追加プロペラ及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
    前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、
    氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が海面又は氷上面にある喫水線をもって、
    前記常用プロペラ及び前記追加プロペラのうち、少なくとも前記追加プロペラを主として使用して航行することを特徴とする商船の運航方法。
  2. 前記追加プロペラ駆動手段の出力は、主機関の出力の15〜45%(20〜35%)MCRである請求項1記載の商船の運航方法。
  3. 前記追加プロペラは、前記常用プロペラより前方の配置位置における、船底部に配置され、かつ、船外への張出し状態と船内への引き込み状態とを選択可能である請求項1記載の商船の運航方法
  4. 氷結期以外の時期における積荷状態では、主として前記常用プロペラを駆動して推進する請求項1記載の商船の運航方法。
  5. 前記追加プロペラは、上下軸線周りに回転可能である請求項1記載の商船の運航方法。
  6. 前記追加プロペラはダクトプロペラである請求項1記載の商船の運航方法。
  7. 氷結海域を航行する際に、前記バルバスバウの下部が氷を割り、かつ側方に押し流す請求項1記載の商船の運航方法。
  8. 水密用の船首隔壁より後方の貨物部の二重底構造が、前方の前記バルバスバウの下部に延在している請求項1記載の商船の運航方法。
  9. 水密用の船首隔壁より前方に追加のバラストタンクを設け、砕氷時に前記追加のバラストタンク内にバラスト水を投入して船首側重量を増大させる請求項1記載の商船の運航方法。
  10. 水密用の船首隔壁より前方にバラスト水の投入及び排出を行う追加のバラストタンクを設け、前記追加のバラストタンクより下方に充填材した請求項1記載の商船の運航方法。
  11. 船首部にバルバスバウを有し、船尾部に主機関により駆動する常用プロペラを有し、船の船底部追加プロペラ及びその追加プロペラ駆動手段を有する商船であって、
    前記商船は空船状態で、前記常用プロペラ及び前記追加プロペラが推力を与えることができる位置に配置されるとともに、前記バルバスバウの下部が海面又は氷上面にある喫水線をもち、
    水密用の船首隔壁より前方に、二重底構造が前方に延在し、かつ前記バルバスバウの下部に延在していることを特徴とする商船。
  12. 前記二重底構造が前方に延在し、かつ前記バルバスバウの下部に延在し、その一部が三重底構造なつている請求項11記載の商船。
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