JP2019001084A - 積層体および包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた撥水性及び撥油性を持つ積層体および包装体に関して、高粘稠体の内容物の高い取出し性を発揮することが可能な積層体および包装体を提供する。
【解決手段】基材層、熱可塑性樹脂層、撥液層を備えた積層体であって、撥液層表面に5μm以上100μm以下の高さの突起を備え、該突起が5mm四方の中に1個以上10個以下備えていることを特徴とする積層体とする。特に、前記突起はフッ素含有化合物もしくは有機ケイ素化合物で表面処理されている疎水性粒子で形成されていることを特徴とする積層体が好ましく。前記撥液層が、熱可塑性樹脂、有機ケイ素化合物またはワックスおよび疎水性粒子を含むことを特徴とする積層体がさらに好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた撥水性及び撥油性を持つ包装材料である積層体に関し、特に高粘稠体の内容物の付着を防止することが可能な包装体に関する。
近時、積層プラスチックフィルム製の包装材料は軽量で気密性に優れ、高強度で取扱い性に便利であるため、液状、粉末状、ペースト状、固形状の食品、薬品など多岐にわたる商品に使用されている。しかしながら、包装体に詰められた液状又は流動性を持つ高粘稠の内容物、例えばソース等は、その粘り気により包装体の内面に付着して、取り出しにくく、また粘稠物を取り出した後の包装体内に残った粘稠物は、この包装体と共に廃棄されてしまうので、粘稠物の取出歩留りを大きく低下させると共に、廃棄物の処理にあっても、環境面から問題点を有する。
内容物の取り出し性を改善するためには、包装体内面に内容物が付着しにくくすれば良く、従って内容物が水分の多いものの場合には撥水性を、内容物が油分の多いものの場合は撥油性を包装体内面に持たせれば良いことになる。撥水性や撥油性を付与するための手法としてはシリコン系やフッ素系の材料を表面にコートする手法などが知られている(特許文献1、2)。
しかしながら、前述したように包装体内面にシリコン系やフッ素系の材料をコートすることによって撥水性や撥油性を付与しても包装体内面に液膜や液滴として残ってしまい、十分な取り出し性を発揮するにはいたっていない。
特開2015−24548号公報 特開2008−213861号公報
本発明においては、高粘稠体の内容物の高い取出し性を発揮することが可能な包装体およびそれに用いられる積層体を提供する。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の態様は、次のような積層体からなる。すなわち、基材層、熱可塑性樹脂層、撥液層を備えた積層体であって、撥液層表面に5μm以上100μm以下の高さの突起を備え、該突起が5mm四方の中に1個以上10個以下備えていることを特徴とする。
本発明の他の態様に係る積層体は、前記突起はフッ素含有化合物もしくは有機ケイ素化合物で表面処理されている疎水性粒子で形成されていることを特徴とする。
本発明の他の態様に係る積層体は、前記撥液層が、熱可塑性樹脂、有機ケイ素化合物またはワックス、および疎水性粒子を含むことを特徴とする。
本発明の他の態様に係る包装体は、このような積層体が、該積層体の撥液層側を内面として貼り合わされていることを特徴とする。
本発明に係る包装体は、基材層、熱可塑性樹脂層、撥液層を備えた積層体であって、撥液層表面に5μm以上100μm以下の高さの突起を備え、該突起が5mm四方の中に1個以上10個以下備えていることで、突起周辺の内容物が突起と内容物の表面張力の差に起因する拡張力によってまとまり、自重により滑り落ちやすくなることで、内容物の十分な取り出し性を得ることができる。
本発明に係る積層体の構成例を示す模式図である。
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の積層体の積層例を示した模式断面図である。
本発明の一例の包装体に用いられる積層体100は、図1の断面図のように、外層側から基材層1、熱可塑性樹脂層2、撥液層3が順次積層されていて、撥液層3の表面に粒子状材料4によって、5μm〜100μmの高さを有する突起が形成されている。
基材層1には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのプラスチックフィルムや紙、セロファンなどが使用できるが、熱可塑性樹脂層2と、強固に密着するものであれば限定されない。
熱可塑性樹脂層2は、好ましくはオレフィン系樹脂からなっている。オレフィン系樹脂としては、フィルム、トレイ、シートなどの包装体に成形可能であれば特に制限はなく、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を例示することができる。これらは各単独で使用される他、成形性や包装体の機械的物性を向上させる目的で2種以上を混合して用いてもよい。特に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレンは本発明のポリオレフィン系樹脂として好適である。
撥液層3は好ましくは熱可塑性樹脂層2と同様のオレフィン系樹脂に有機ケイ素化合物、あるいはワックスが添加されてなっている。有機ケイ素化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン等が、ワックスとしては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸アミド系や、パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸などの脂肪酸系等が例示できる。
粒子状材料4はフッ素含有化合物あるいは有機ケイ素系化合物で表面処理されている疎水性粒子が好ましい。疎水性粒子としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニアなどの粒子に疎水化処理を施して得ることができる。
撥液層3表面に粒子状材料4が5μm〜100μmの高さの突起を有するように形成する。形成方法としては、コーティング法、押出し法などが挙げられる。
粒子状材料4による突起の高さが5μm以下だと、粒子状材料4による突起と内容物との表面張力差によって生じる、内容物を突起周辺から押しのけようとする力である拡張力の発生が弱く内容物をまとめることが出来ないので、十分な取り出し性を得ることができない。また、粒子状材料4による突起の高さが100μm以上だと摩擦や振動などの外部応力によって粒子状材料4による突起が欠落し、撥水性能が損なわれる。
粒子状材料4による突起は5mm四方の中が1個以上10個以下形成されていることが好ましい。突起の数が1個未満だと内容物が個々でまとまりにならないので、十分な取り出し性を得ることができない。また、突起の数が10個より多いと内容物が小さくまとまりすぎてしまい、自重による滑落が起きないので十分な取り出し性を得ることができない。
以下実施例に基づき、本発明に係る積層体および包装体について、さらに具体的に説明する。なお以下の実施例は、本発明の作用、効果を明確化するためのものであって、実施例に記載された条件が本発明の技術的範囲を限定するものでない。
〔実施例1〕
ドライラミネートで貼り合わせた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材層1に、熱可塑性樹脂2として直鎖状低密度ポリエチレンを押出し成形し、さらにその上にポリジメチルシロキサンとエチレンビニルアセテートとを混合しキシレンで固形分1wt%になるよう希釈した溶液に、平均一次粒径10μmの疎水性シリカ粒子を固形分2wt%になるよう分散した分散液をウェット塗布量1.5g/mでグラビアコートにより全面塗布し、包装体を作製した。
〔実施例2〜5、比較例1〜4〕
表1に示す処方、実施例1に示す手順に従い、評価用試料を作製した。
〔突起間隔測定〕
光学顕微鏡により観測し、突起数の計測を行った。
〔内容物取出し性評価〕
2枚の試料を撥液層同士が向かい合う形で熱圧着を用いて製袋し、その中にソースを入れ取出し、内容物の残渣を計測。残渣が0.5%以下のものを○、それ以外のものを×として評価を行った。
各実施例および各比較例の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の処方の包装体を用いることで、内容物に対して十分な取り出し性を得ることができる。
Figure 2019001084
1 基材層
2 熱可塑性樹脂層
3 撥液層
4 粒子状材料

Claims (4)

  1. 基材層、熱可塑性樹脂層、撥液層を備えた積層体であって、撥液層表面に5μm以上100μm以下の高さの突起を備え、該突起が5mm四方の中に1個以上10個以下備えていることを特徴とする積層体。
  2. 前記突起はフッ素含有化合物もしくは有機ケイ素化合物で表面処理されている疎水性粒子で形成されていることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記撥液層が、熱可塑性樹脂、有機ケイ素化合物またはワックス、および疎水性粒子を含むことを特徴とする請求項2記載の積層体。
  4. 請求項1から3何れか記載の積層体が、該積層体の撥液層側を内面として貼り合わされていることを特徴とする包装体。
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