JP2019000890A - 摩擦攪拌接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属部材同士を摩擦攪拌接合する場合に、各金属部材の熱歪を小さくすることができるとともに摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減することができる。【解決手段】金属部材1,2同士の突合部に回転した仮接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う仮接合工程と、仮接合工程を行った後に、金属部材1,2同士の前記突合部に回転した本接合用回転ツールFBの攪拌ピンF2を挿入し、攪拌ピンF2のみを金属部材1,2に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う本接合工程とを含む。【選択図】図3
Description
本発明は、摩擦攪拌接合方法に関する。
金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合とは、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合せ部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合せ部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。
例えば、特許文献1には、仮接合用回転ツールを用いて金属部材同士の突合部を仮接合する仮接合工程と、本接合用回転ツールを用いて仮接合した突合部を本接合する本接合工程とを含む摩擦攪拌接合方法が開示されている。仮接合用回転ツールは、ショルダ部と攪拌ピンとで構成されており、仮接合工程ではショルダ部で塑性流動化した金属を押さえながら突合部に沿って仮接合用回転ツールを相対移動する。また、本接合用回転ツールは、連結部と攪拌ピンとで構成されており、本接合工程では金属部材に回転した攪拌ピンのみを挿入し、金属部材と連結部とを離間させた状態で突合部に沿って本接合用回転ツールを相対移動する。
しかし、従来の摩擦攪拌接合方法では、仮接合用回転ツールのショルダ部の下端面を金属部材の表面に押し込んで仮接合工程を行うため、入熱量が多くなり金属部材の熱歪が大きくなるという問題がある。また、仮接合用回転ツールのショルダ部の下端面を金属部材の表面に押し込んで仮接合工程を行うため、摩擦攪拌装置にかかる負荷が大きくなるという問題がある。
このような観点から、本発明は、金属部材同士を摩擦攪拌接合する場合に、各金属部材の熱歪を小さくすることができるとともに摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減することができる摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士の突合部に回転した仮接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う仮接合工程と、前記仮接合工程を行った後に、前記金属部材同士の前記突合部に回転した本接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる方法によれば、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、各金属部材の熱歪を小さくすることができる。また、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属部材同士の突合部に回転した仮接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う仮接合工程と、前記仮接合工程を行った後に、前記金属部材同士の前記突合部に回転した本接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、前記仮接合工程では、前記金属部材の表面側から摩擦攪拌接合を行う第一の仮接合工程と、前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌接合を行う第二の仮接合工程と、を行い、前記本接合工程では、前記金属部材の表面側から摩擦攪拌接合を行う第一の本接合工程と、前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌接合を行う第二の本接合工程と、を行い、前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることを特徴とする。
かかる方法によれば、金属部材の両側から仮接合工程及び本接合工程を行うので、金属部材の深い位置まで攪拌ピンを挿入することができるようになるため、板厚の大きい金属部材であっても深い位置まで接合することができる。また、突合部の厚さ方向の全長に対して摩擦攪拌接合することができるため、気密性及び水密性を高めることができる。
また、本発明は、前記本接合工程で形成された塑性化領域の上に肉盛溶接を行うのが好ましい。かかる方法によれば、本接合工程による金属の不足分を補充することができる。
また、本発明は、前記本接合工程で形成された塑性化領域の上に補助部材を配置する配置工程と、前記金属部材と前記補助部材とを接合する補助部材接合工程と、を行うのが好ましい。かかる方法によれば、本接合工程による金属の不足分を補充することができる。
また、本発明は、前記突合部の脇にタブ材を配置し前記タブ材に下穴を設けた後、前記下穴に前記攪拌ピンを挿入して前記本接合工程を行うのが好ましい。かかる方法によれば、本接合用回転ツールを金属部材に押し込む際の圧力抵抗を小さくすることができる。
本発明に係る摩擦攪拌接合方法によれば、各金属部材の熱歪を小さくすることができるとともに摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減することができる。
本発明の実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、二つの板状の金属部材(図1に示す第一金属部材1及び第二金属部材2)を突き合わせた後で、突合部の両側から接合用ツールを使用して摩擦攪拌を行う。
本実施形態における摩擦攪拌接合方法は、(1)準備工程、(2)第一の予備工程、(3)第一の本接合工程、(4)第一の補修工程、(5)第二の予備工程、(6)第二の本接合工程、(7)第二の補修工程を含んでいる。なお、第一の予備工程、第一の本接合工程及び第一の補修工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面側から作業を実行する工程であり、第二の予備工程、第二の本接合工程及び第二の補修工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2の裏面側から作業を実行する工程である。なお、説明における「裏面」とは、「表面」に対する反対側の面という意味である。
(1)準備工程
図1を参照して準備工程を説明する。本実施形態に係る準備工程は、接合すべき第一金属部材1及び第二金属部材2を突き合せる突合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の両側に第一タブ材3と第二タブ材4を配置するタブ材配置工程とを具備している。
図1を参照して準備工程を説明する。本実施形態に係る準備工程は、接合すべき第一金属部材1及び第二金属部材2を突き合せる突合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の両側に第一タブ材3と第二タブ材4を配置するタブ材配置工程とを具備している。
第一金属部材1及び第二金属部材2は、矩形状を呈する板状の金属部材である。第一金属部材1及び第二金属部材2の材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等の摩擦攪拌可能な金属から適宜選択されればよいが、本実施形態ではアルミニウム合金を用いる。
突合工程では、接合すべき第一金属部材1及び第二金属部材2を並べて配置し、第一金属部材1の側面1cと第二金属部材2の側面2cとを突き合わせて突合部J1を形成する。第一金属部材1の板厚と第二金属部材2の板厚とは同等の寸法であることが好ましい。つまり、第一金属部材1と第二金属部材2とが突き合わされた状態において、第一金属部材1の表面1aと第二金属部材2の表面2aとが面一になるとともに、第一金属部材1の裏面1bと第二金属部材2の裏面2bとが面一になることが好ましい。また、第一金属部材1の延長方向の長さと第二金属部材2の延長方向の長さとは同等の寸法であることが好ましい。つまり、第一金属部材1と第二金属部材2とが突き合わされた状態において、第一金属部材1の端面1dと第二金属部材2の端面2dとが面一になるとともに、第一金属部材1の端面1eと第二金属部材2の端面2eとが面一になることが好ましい。
タブ材配置工程では、突合部J1の一端側に第一タブ材3を配置し、第一タブ材3の当接面3cを第一金属部材1及び第二金属部材2の端面1d,2dに当接させて突合部J2を形成する。また、突合部J1の他端側に第二タブ材4を配置し、第二タブ材4の当接面4cを第一金属部材1及び第二金属部材2の端面1e,2eに当接させて突合部J3を形成する。第一タブ材3及び第二タブ材4の板厚と第一金属部材1及び第二金属部材2の板厚とは同等の寸法であることが好ましい。つまり、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3及び第二タブ材4とが突き合わされた状態において、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面1a,2aと、第一タブ材3及び第二タブ材4の表面3a,4aとが面一になるとともに、第一金属部材1及び第二金属部材2の裏面1b,2bと、第一タブ材3及び第二タブ材4の裏面3b,4bとが面一になることが好ましい。
なお、準備工程は、第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4を図示せぬ摩擦攪拌装置の架台に載置した状態で行われ、これらの部材はクランプ等の図示せぬ治具を用いて移動不能に拘束される。
(2)第一の予備工程
図2を参照して(適宜図3参照)第一の予備工程を説明する。第一の予備工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との突合部J2を接合する第一の一端側タブ材接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1を仮接合する第一の仮接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との突合部J3を接合する第一の他端側タブ材接合工程と、第一の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを具備している。
図2を参照して(適宜図3参照)第一の予備工程を説明する。第一の予備工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との突合部J2を接合する第一の一端側タブ材接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1を仮接合する第一の仮接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との突合部J3を接合する第一の他端側タブ材接合工程と、第一の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを具備している。
第一の一端側タブ材接合工程、第一の仮接合工程及び第一の他端側タブ材接合工程では、仮接合用回転ツールFAが使用される。仮接合用回転ツールFAは、例えば工具鋼で形成されており、図2に示すように、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。
連結部F1は、図示しない摩擦攪拌装置の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルトが締結されるネジ孔(図示せず)が形成されている。攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝F3が刻設されている。本実施形態では、仮接合用回転ツールFAを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、仮接合用回転ツールFAを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝F3をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝F3によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
図2に示すように、仮接合用回転ツールFAを用いて摩擦攪拌接合をする際には、被接合金属部材(第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4)に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。
第一の一端側タブ材接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との突合部J2に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J2に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第一タブ材3の適所に設けた開始位置P11に挿入して摩擦攪拌を開始し、仮接合用回転ツールFAを突合部J2上に設定される方向転換点P12に向けて相対移動させる。方向転換点P12まで連続して摩擦攪拌を行ったら、突合部J2上に設定される方向転換点P13に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを途中で離脱させることなく方向転換点P12から方向転換点P13まで連続して摩擦攪拌を行う。方向転換点P13まで連続して摩擦攪拌を行ったら、第一タブ材3の適所に設けた終了位置P14に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを終了位置P14に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールFAが終了位置P14に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P14から離脱させる。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。
なお、仮接合用回転ツールFAを右回転させた場合には、進行方向の左側に凹溝状の表面欠陥が発生する虞があるので、仮接合用回転ツールFAの進行方向の右側に第一金属部材1及び第二金属部材2が位置するように仮接合用回転ツールFAの経路を設定することが望ましい。このようにすると、第一金属部材1及び第二金属部材2側に凹溝状の表面欠陥が発生し難くなるので、高品質の接合体を得ることが可能となる。
第一の仮接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1と第二金属部材2との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J1に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第一タブ材3の適所に設けた開始位置P21に挿入し、摩擦攪拌を開始する。第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の一端まで摩擦攪拌を行ったら、摩擦攪拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま仮接合用回転ツールFAを突合部J1に突入させる。そして、第一金属部材1及び第二金属部材2の継ぎ目上に設定された摩擦攪拌のルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J1の一端から他端まで連続して摩擦攪拌を行う。突合部J1の他端まで仮接合用回転ツールFAを相対移動させたら、摩擦攪拌を行いながら突合部J3を横切らせ、そのまま終了位置P22に向けて相対移動させる。開始位置P21及び終了位置P22は、突合部J1の延長線上に位置している。
仮接合用回転ツールFAが終了位置P22に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させながら上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P22から離脱させる。なお、終了位置P22において攪拌ピンF2を上方に離脱させると、攪拌ピンF2と略同形の抜き穴が不可避的に形成されることになるが、本実施形態ではそのまま残置する。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W2が形成される。
第一の他端側タブ材接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との突合部J3に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J3に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第二タブ材4の適所に設けた開始位置P31(図3参照)に挿入して摩擦攪拌を開始し、仮接合用回転ツールFAを突合部J3上に設定される方向転換点P32(図3参照)に向けて相対移動させる。方向転換点P32まで連続して摩擦攪拌を行ったら、突合部J3上に設定される方向転換点P33(図3参照)に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを途中で離脱させることなく方向転換点P32から方向転換点P33まで連続して摩擦攪拌を行う。方向転換点P33まで連続して摩擦攪拌を行ったら、第二タブ材4の適所に設けた終了位置P34(図3参照)に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを終了位置P34に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールFAが終了位置P34に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P34から離脱させる。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W3(図3参照)が形成される。
なお、仮接合用回転ツールFAを右回転させた場合には、進行方向の左側に凹溝状の表面欠陥が発生する虞があるので、仮接合用回転ツールFAの進行方向の右側に第一金属部材1及び第二金属部材2が位置するように仮接合用回転ツールFAの経路を設定することが望ましい。このようにすると、第一金属部材1及び第二金属部材2側に凹溝状の表面欠陥が発生し難くなるので、高品質の接合体を得ることが可能となる。
第一の他端側タブ材接合工程に続いて、下穴形成工程を実行する。下穴形成工程は、第一の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する工程である。本実施形態では、第一の仮接合工程における開始位置P21に新たに下穴を形成する。なお、第一の仮接合工程において、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を離脱させたときに形成される抜き穴を、ドリル等で拡径して下穴を形成してもよい。このようにすると、下穴の加工作業を省略あるいは簡略化することができるので、作業時間を短縮することが可能となる。なお、前記した抜き穴をそのまま下穴として利用してもよい。
(3)第一の本接合工程
図3を参照して(適宜図2、図4参照)第一の本接合工程を説明する。第一の予備工程が終了したら、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図2参照)を本格的に接合する第一の本接合工程を実行する。本実施形態に係る第一の本接合工程では、図3に示す本接合用回転ツールFBを使用し、仮接合された状態の突合部J1(図2参照)に対して第一金属部材1及び第二金属部材2の表面側から摩擦攪拌を行う。
図3を参照して(適宜図2、図4参照)第一の本接合工程を説明する。第一の予備工程が終了したら、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図2参照)を本格的に接合する第一の本接合工程を実行する。本実施形態に係る第一の本接合工程では、図3に示す本接合用回転ツールFBを使用し、仮接合された状態の突合部J1(図2参照)に対して第一金属部材1及び第二金属部材2の表面側から摩擦攪拌を行う。
本接合用回転ツールFBは、例えば工具鋼で形成されており、仮接合用回転ツールFAと同様に、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。本実施形態で使用する本接合用回転ツールFBは、仮接合用回転ツールFAに比べて一回り大きいサイズであるが、本接合用回転ツールFBと仮接合用回転ツールFAとが同一であってもよい。つまり、第一の予備工程及び第一の本接合工程で同じ接合用回転ツールを使用することで、接合用回転ツールを交換しなくて済むため作業効率を高めることができる。
本実施形態では、本接合用回転ツールFBを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。なお、本接合用回転ツールFBを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。ここでは、本接合用回転ツールFBの連結部F1と第一金属部材1及び第二金属部材2とを離間させて、攪拌ピンF2のみを突合部J1に挿入して摩擦攪拌を行う。
第一の本接合工程では、図3に示すように、本接合用回転ツールFBを右回転させつつ攪拌ピンF2を開始位置P41(すなわち、図1に示す開始位置P21)に挿入し、摩擦攪拌を開始する。第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の一端まで摩擦攪拌を行ったら、摩擦攪拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま本接合用回転ツールFBを突合部J1(図2参照)に突入させる。そして、第一金属部材1及び第二金属部材2の継ぎ目上に設定された摩擦攪拌のルートに沿って本接合用回転ツールFBを相対移動させることで、突合部J1(図2参照)の一端から他端まで連続して摩擦攪拌を行う。突合部J1の他端まで本接合用回転ツールFを相対移動させたら、摩擦攪拌を行いながら突合部J3を横切らせ、そのまま終了位置P42(図5参照)に向けて相対移動させる。
本接合用回転ツールFBが終了位置P42(図5参照)に達したら、本接合用回転ツールFBを回転させながら上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P42から離脱させる。なお、終了位置P42において攪拌ピンF2を上方に離脱させると、攪拌ピンF2と略同形の抜き穴が不可避的に形成されることになるが、本実施形態ではそのまま残置する。本接合用回転ツールFBの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W4が形成される(図5参照)。
(4)第一の補修工程
図4を参照して(適宜図2、図5参照)第一の補修工程を説明する。第一の本接合工程が終了したら、第一の本接合工程により第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図2参照)に形成された塑性化領域W4に対して第一の補修工程を実行する。本実施形態に係る第一の補修工程では、塑性化領域W4の表面に肉盛り溶接を行う。これにより、塑性化領域W4の表面に溶接金属N1(図5参照)が形成されるため、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面を平坦にすることができる。なお、塑性化領域W4の表面を切削して凹溝を形成し、形成した凹溝に肉盛り溶接を行ってもよい。
図4を参照して(適宜図2、図5参照)第一の補修工程を説明する。第一の本接合工程が終了したら、第一の本接合工程により第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図2参照)に形成された塑性化領域W4に対して第一の補修工程を実行する。本実施形態に係る第一の補修工程では、塑性化領域W4の表面に肉盛り溶接を行う。これにより、塑性化領域W4の表面に溶接金属N1(図5参照)が形成されるため、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面を平坦にすることができる。なお、塑性化領域W4の表面を切削して凹溝を形成し、形成した凹溝に肉盛り溶接を行ってもよい。
(5)第二の予備工程
図6を参照して(適宜図7参照)第二の予備工程を説明する。第一の補修工程を終えたら被接合金属部材(第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4)を裏返し、第二の予備工程を実行する。
図6を参照して(適宜図7参照)第二の予備工程を説明する。第一の補修工程を終えたら被接合金属部材(第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4)を裏返し、第二の予備工程を実行する。
本実施形態に係る第二の予備工程は、第一の予備工程と同様の工程からなる。つまり、第二の予備工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との突合部J2を接合する第二の一端側タブ材接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1を仮接合する第二の仮接合工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との突合部J3を接合する第二の他端側タブ材接合工程と、第二の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを具備している。第二の予備工程では、第一の予備工程で使用した仮接合用回転ツールFAを使用する。
第二の一端側タブ材接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との突合部J2に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1及び第二金属部材2と第一タブ材3との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J2に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第一タブ材3の適所に設けた開始位置P51に挿入して摩擦攪拌を開始し、仮接合用回転ツールFAを突合部J2上に設定される方向転換点P52に向けて相対移動させる。方向転換点P52まで連続して摩擦攪拌を行ったら、突合部J2上に設定される方向転換点P53に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを途中で離脱させることなく方向転換点P52から方向転換点P53まで連続して摩擦攪拌を行う。方向転換点P53まで連続して摩擦攪拌を行ったら、第一タブ材3の適所に設けた終了位置P54に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを終了位置P54に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールFAが終了位置P54に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P54から離脱させる。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W5が形成される。
第二の仮接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1と第二金属部材2との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J1に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第一タブ材3の適所に設けた開始位置P61に挿入し、摩擦攪拌を開始する。第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の一端まで摩擦攪拌を行ったら、摩擦攪拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま仮接合用回転ツールFAを突合部J1に突入させる。そして、第一金属部材1及び第二金属部材2の継ぎ目上に設定された摩擦攪拌のルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J1の一端から他端まで連続して摩擦攪拌を行う。突合部J1の他端まで仮接合用回転ツールFAを相対移動させたら、摩擦攪拌を行いながら突合部J3を横切らせ、そのまま終了位置P62に向けて相対移動させる。開始位置P61及び終了位置P62は、突合部J1の延長線上に位置している。
仮接合用回転ツールFAが終了位置P62に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させながら上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P62から離脱させる。なお、終了位置P62において攪拌ピンF2を上方に離脱させると、攪拌ピンF2と略同形の抜き穴が不可避的に形成されることになるが、本実施形態ではそのまま残置する。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W6が形成される。
第二の他端側タブ材接合工程では、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との突合部J3に対して摩擦攪拌を行う。具体的には、第一金属部材1及び第二金属部材2と第二タブ材4との継ぎ目上に摩擦攪拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFAを相対移動させることで、突合部J3に対して摩擦攪拌を行う。
本実施形態では、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を右回転させながら第二タブ材4の適所に設けた開始位置P71(図7参照)に挿入して摩擦攪拌を開始し、仮接合用回転ツールFAを突合部J3上に設定される方向転換点P72(図7参照)に向けて相対移動させる。方向転換点P72まで連続して摩擦攪拌を行ったら、突合部J3上に設定される方向転換点P73(図7参照)に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを途中で離脱させることなく方向転換点P72から方向転換点P73まで連続して摩擦攪拌を行う。方向転換点P73まで連続して摩擦攪拌を行ったら、第二タブ材4の適所に設けた終了位置P74(図7参照)に仮接合用回転ツールFAが進む方向を変更し、仮接合用回転ツールFAを終了位置P74に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールFAが終了位置P74に達したら、仮接合用回転ツールFAを回転させつつ上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P74から離脱させる。仮接合用回転ツールFAの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W7(図7参照)が形成される。
第二の他端側タブ材接合工程に続いて、下穴形成工程を実行する。下穴形成工程は、第二の本接合工程における摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する工程である。本実施形態では、第二の仮接合工程における開始位置P61に新たに下穴を形成する。なお、第二の仮接合工程において、仮接合用回転ツールFAの攪拌ピンF2を離脱させたときに形成される抜き穴を、ドリル等で拡径して下穴を形成してもよい。このようにすると、下穴の加工作業を省略あるいは簡略化することができるので、作業時間を短縮することが可能となる。なお、前記した抜き穴をそのまま下穴として利用してもよい。
(6)第二の本接合工程
図7を参照して(適宜図6、図8参照)第二の本接合工程を説明する。第二の予備工程が終了したら、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図6参照)を本格的に接合する第二の本接合工程を実行する。第二の本接合工程は、第一の本接合工程と同様の工程である。つまり、本実施形態に係る第二の本接合工程では、第一の本接合工程で使用した本接合用回転ツールFBを使用し、仮接合された状態の突合部J1(図6参照)に対して第一金属部材1及び第二金属部材2の裏面側から摩擦攪拌を行う。
図7を参照して(適宜図6、図8参照)第二の本接合工程を説明する。第二の予備工程が終了したら、第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図6参照)を本格的に接合する第二の本接合工程を実行する。第二の本接合工程は、第一の本接合工程と同様の工程である。つまり、本実施形態に係る第二の本接合工程では、第一の本接合工程で使用した本接合用回転ツールFBを使用し、仮接合された状態の突合部J1(図6参照)に対して第一金属部材1及び第二金属部材2の裏面側から摩擦攪拌を行う。
第二の本接合工程では、図7に示すように、本接合用回転ツールFBを右回転させつつ攪拌ピンF2を開始位置P81(すなわち、図6に示す開始位置P61)に挿入し、摩擦攪拌を開始する。第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1の一端まで摩擦攪拌を行ったら、摩擦攪拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま本接合用回転ツールFBを突合部J1(図6参照)に突入させる。そして、第一金属部材1及び第二金属部材2の継ぎ目上に設定された摩擦攪拌のルートに沿って本接合用回転ツールFBを相対移動させることで、突合部J1(図6参照)の一端から他端まで連続して摩擦攪拌を行う。
ここでは、本接合用回転ツールFBの連結部F1と第一金属部材1及び第二金属部材2とを離間させて、攪拌ピンF2のみを突合部J1に挿入する。また、図8を参照するように、第二の本接合工程における攪拌ピンF2の挿入深さは、第一の本接合工程で形成された塑性化領域W4まで到達するのがよい。突合部J1の他端まで本接合用回転ツールFBを相対移動させたら、摩擦攪拌を行いながら突合部J3を横切らせ、そのまま終了位置P82に向けて相対移動させる。
本接合用回転ツールFBが終了位置P82に達したら、本接合用回転ツールFBを回転させながら上昇させて攪拌ピンF2を終了位置P82から離脱させる。なお、終了位置P82において攪拌ピンF2を上方に離脱させると、攪拌ピンF2と略同形の抜き穴が不可避的に形成されることになるが、本実施形態ではそのまま残置する。本接合用回転ツールFBの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W8が形成される。
(7)第二の補修工程
第二の本接合工程が終了したら、第二の本接合工程により第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図8参照)に形成された塑性化領域W8に対して第二の補修工程を実行する。第二の補修工程は、第一の補修工程と同様の工程である。つまり、本実施形態に係る第二の補修工程では、塑性化領域W8の表面に肉盛り溶接を行う。これにより、塑性化領域W8の表面に溶接金属が形成されるため、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面を平坦にすることができる。なお、塑性化領域W8の表面を切削して凹溝を形成し、形成した凹溝に肉盛り溶接を行ってもよい。
第二の本接合工程が終了したら、第二の本接合工程により第一金属部材1及び第二金属部材2の突合部J1(図8参照)に形成された塑性化領域W8に対して第二の補修工程を実行する。第二の補修工程は、第一の補修工程と同様の工程である。つまり、本実施形態に係る第二の補修工程では、塑性化領域W8の表面に肉盛り溶接を行う。これにより、塑性化領域W8の表面に溶接金属が形成されるため、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面を平坦にすることができる。なお、塑性化領域W8の表面を切削して凹溝を形成し、形成した凹溝に肉盛り溶接を行ってもよい。
以上説明した本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1及び第二金属部材2に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、第一金属部材1及び第二金属部材2の熱歪を小さくすることができる。また、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1及び第二金属部材2に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、第一金属部材1及び第二金属部材2の両側から仮接合工程及び本接合工程を行うので、第一金属部材1及び第二金属部材2の深い位置まで攪拌ピンF2を挿入することができるようになるため、板厚の大きい金属部材であっても深い位置まで接合することができる。また、突合部J1の厚さ方向の全長に対して摩擦攪拌接合することができるため、気密性及び水密性を高めることができる。
また、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、本接合工程で形成された塑性化領域W4,W8の上に肉盛溶接を行うので、本接合工程による金属の不足分を補充することができる。
また、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、突合部J1の脇に第一タブ材3を配置し第一タブ材3に下穴を設けた後、下穴に本接合用回転ツールFBの攪拌ピンF2を挿入して本接合工程を行うので、本接合用回転ツールFBを第一金属部材1及び第二金属部材2に押し込む際の圧力抵抗を小さくすることができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において設計変更が可能である。
例えば、第一の予備工程及び第二の予備工程において、仮接合用回転ツールFAを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J1,J2,J3に対して連続して摩擦攪拌を行ってもよい。
例えば、第一の予備工程及び第二の予備工程において、仮接合用回転ツールFAを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J1,J2,J3に対して連続して摩擦攪拌を行ってもよい。
また、実施形態では第一の補修工程及び第二の補修工程(以下では、まとめて「補修工程」と称する)において突合部J1に形成された塑性化領域W4,W8の表面に肉盛り溶接を行っていた。しかしながら、補修工程はこれに限定されずに、例えば、図9及び図10に示すように、凹溝Mを形成する凹溝形成工程と、凹溝Mに補助部材5を配置する配置工程と、第一金属部材1及び第二金属部材2と補助部材5とを接合する補助部材接合工程とを有する。
凹溝形成工程では、本接合用回転ツールFBの移動に伴って形成された塑性化領域W4,W8の表面に凹溝Mを形成する。ここでは、図9として第一の補修工程を示しており、表面側の塑性化領域W4の表面に凹溝Mを形成した状態を示している。凹溝形成工程では、例えばエンドミル等を用いてバリや塑性化領域W4,W8の表面を切削して、断面視矩形の凹溝Mを形成する。
配置工程では、図9に示すように、凹溝Mに補助部材5を配置する。補助部材5は、第一金属部材1及び第二金属部材2と同等の材料からなる金属板である。補助部材5は、凹溝Mと同等の形状を呈する。補助部材5の厚さは、凹溝Mの深さと略同等になっている。
補助部材接合工程では、図10に示すように、補助部材5の縁部分(つまり、補助部材5と、第一金属部材1、第二金属部材2、第一タブ材3及び第二タブ材4との各突き合わせ部分)に対して摩擦攪拌接合を行う。補助部材5の摩擦攪拌接合は、補修用回転ツールFCを使用して行われる。
補修用回転ツールFCは、例えば工具鋼で形成されており、仮接合用回転ツールFAや本接合用回転ツールFBと同様に、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。ここで使用する補修用回転ツールFCは、本接合用回転ツールFBに比べて一回り小さいサイズ(例えば、仮接合用回転ツールFAと同じサイズ)であるが、本接合用回転ツールFBと補修用回転ツールFCとが同一であってもよい。つまり、補修工程で予備工程や本接合工程と同じ回転ツールを使用することで、回転ツールを交換しなくて済むため作業効率を高めることができる。
具体的には、回転した補修用回転ツールFCを第一タブ材3又は第二タブ材4に設定した開始位置(図示せず)に挿入し、補助部材5に沿って一周させて終了位置(図示せず)まで移動させる。図10に示すように、補助部材接合工程では、補修用回転ツールFCの連結部F1と第一金属部材1や第二金属部材2とを離間させて、攪拌ピンF2のみを突き合わせ部分に挿入する。攪拌ピンF2の挿入深さは、補助部材5の厚みよりも深く設定されている。
図10に示すように、補修用回転ツールFCを補助部材5に沿って一周させて、補助部材5の周りにリング状の塑性化領域W9,W10が形成されると、補助部材5は全て塑性化領域W9,W10で覆われる。また、塑性化領域W4と塑性化領域W9とが重複する、また塑性化領域W8と塑性化領域W10とが重複するため、より気密性及び水密性を高めることができる。
なお、第一の本接合工程後、第一金属部材1及び第二金属部材2の表面1a,2aと塑性化領域W4の表面との段差、又は第一金属部材1及び第二金属部材2の裏面1b,2bと塑性化領域W8の表面との段差が大きい場合には、凹溝形成工程は省略してもよい。
1 第一金属部材
2 第二金属部材
3 第一タブ材
4 第二タブ材
5 補助部材
J1〜J3 突合部
FA 仮接合用回転ツール
FB 本接合用回転ツール
FC 補修用回転ツール
W1〜W10 塑性化領域
N1 溶接金属
M 凹溝
2 第二金属部材
3 第一タブ材
4 第二タブ材
5 補助部材
J1〜J3 突合部
FA 仮接合用回転ツール
FB 本接合用回転ツール
FC 補修用回転ツール
W1〜W10 塑性化領域
N1 溶接金属
M 凹溝
Claims (5)
- 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
前記金属部材同士の突合部に回転した仮接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う仮接合工程と、
前記仮接合工程を行った後に、前記金属部材同士の前記突合部に回転した本接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、
を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。 - 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
前記金属部材同士の突合部に回転した仮接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う仮接合工程と、
前記仮接合工程を行った後に、前記金属部材同士の前記突合部に回転した本接合用回転ツールの攪拌ピンを挿入し、前記攪拌ピンのみを前記金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、
を含み、
前記仮接合工程では、
前記金属部材の表面側から摩擦攪拌接合を行う第一の仮接合工程と、
前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌接合を行う第二の仮接合工程と、を行い、
前記本接合工程では、
前記金属部材の表面側から摩擦攪拌接合を行う第一の本接合工程と、
前記金属部材の裏面側から摩擦攪拌接合を行う第二の本接合工程と、を行い、
前記第一の本接合工程で形成された塑性化領域と前記第二の本接合工程で形成された塑性化領域とを接触させることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。 - 前記本接合工程で形成された塑性化領域の上に肉盛溶接を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記本接合工程で形成された塑性化領域の上に補助部材を配置する配置工程と、
前記金属部材と前記補助部材とを接合する補助部材接合工程と、を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。 - 前記突合部の脇にタブ材を配置し前記タブ材に下穴を設けた後、前記下穴に前記攪拌ピンを挿入して前記本接合工程を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
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US20060086775A1 (en) * | 2004-10-22 | 2006-04-27 | Edison Welding Institute | Method of friction stir welding and retractable shoulderless variable penetration friction stir welding tool for same |
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-
2017
- 2017-06-19 JP JP2017119811A patent/JP2019000890A/ja active Pending
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