JP2019000807A - 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法 - Google Patents

化学プラント、及び液体材料の蒸留方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019000807A
JP2019000807A JP2017117751A JP2017117751A JP2019000807A JP 2019000807 A JP2019000807 A JP 2019000807A JP 2017117751 A JP2017117751 A JP 2017117751A JP 2017117751 A JP2017117751 A JP 2017117751A JP 2019000807 A JP2019000807 A JP 2019000807A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling water
liquid material
heat source
temperature
source water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017117751A
Other languages
English (en)
Inventor
林日 崔
Rinnichi SAI
林日 崔
正頌 坂井
Masanobu Sakai
正頌 坂井
山口 徹
Toru Yamaguchi
徹 山口
清一 辻
Seiichi Tsuji
清一 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Thermal Systems Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Thermal Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Thermal Systems Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Thermal Systems Ltd
Priority to JP2017117751A priority Critical patent/JP2019000807A/ja
Publication of JP2019000807A publication Critical patent/JP2019000807A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、CO2を削減可能で、かつランニングコストを低減することの可能な化学プラント、及び液体材料の蒸留方法を提供することを目的とする。【解決手段】蒸気を生成するボイラ9、ボイラ9が生成する蒸気により、液体材料を蒸発させる蒸発部7、及び蒸発した液体材料を冷却水で冷却して凝縮させる凝縮部11を含む化学プラント本体2と、冷媒が循環する循環ラインに設けられ、凝縮部11で使用された冷却水と冷媒とを熱交換させる蒸発器、循環ラインに設けられ、蒸発器を通過した冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮機を通過した冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器、及び凝縮器を通過した熱源水を蒸発部7に供給する第1の熱源水供給ライン41を含むヒートポンプシステム3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、化学プラント、及び液体材料の蒸留方法に関する。
液体材料を原料として製品を製造する場合、例えば、予熱部、蒸発部、及び凝縮部を備えた化学プラントを用いて、液体材料の蒸留処理を行う。蒸留処理は、予熱部で行う予熱工程と、蒸発部で行う蒸発工程と、凝縮部で行う凝縮工程と、を含む。
予熱工程では、ボイラで生成した蒸気を用いて、液体材料を予熱する。蒸発工程では、ボイラで生成した蒸気を用いて、予熱された液体材料を加熱して蒸発させる。凝縮工程では、蒸発した液体材料を冷却して液体材料を凝縮させる。
特許文献1には、化学プラントにヒートポンプを設け、ヒートポンプにより低温レベルの熱を高温レベルの熱にして、補助熱源として利用することが開示されている。
実開昭61−150003号公報
ところで、ボイラにより生成された蒸気のみを用いて、予熱工程及び蒸発工程を行うと、大量の燃料及び水を使用するため、ランニングコストが上昇してしまう可能性があった。
また、ボイラは、燃料として、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料を使用する。このため、大量の化石燃料を使用すると、大量のCOが発生し、環境に悪影響を及ぼす可能性があった。
そこで、本発明は、COを削減可能で、かつランニングコストを低減することの可能な化学プラント、及び液体材料の蒸留方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る化学プラントは、蒸気を生成するボイラ、該蒸気により、液体材料を蒸発させる蒸発部、及び前記蒸発した前記液体材料を冷却水で冷却して凝縮させる凝縮部を含む化学プラント本体と、冷媒が循環する循環ライン、該循環ラインに設けられ、前記凝縮部で使用された前記冷却水と前記冷媒とを熱交換させる蒸発器、前記循環ラインに設けられ、前記蒸発器を通過した前記冷媒を圧縮する圧縮機、該圧縮機を通過した前記冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器、及び該凝縮器を通過した前記熱源水を前記蒸発部に供給する第1の熱源水供給ラインを含むヒートポンプシステムと、を備える。
本発明によれば、化学プラント本体の凝縮部で使用された冷却水と冷媒とを熱交換させる蒸発器、蒸発器を通過した冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮機を通過した冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器、及び凝縮器を通過した熱源水を蒸発部に供給する第1の熱源水供給ラインを有することで、凝縮部の排熱を利用して、熱源水の温度を高温にして熱源水を化学プラント本体の蒸発部に供給することが可能となる。
これにより、蒸発部において、高温の熱源水を用いて液体材料を蒸発させることが可能となるので、ボイラの蒸気のみで液体材料を蒸発させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
また、蒸気の量が少なくなることで、ボイラの燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量を少なくすることが可能となるので、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。
また、上記本発明の一態様に係る化学プラントにおいて、前記圧縮機は、低圧段圧縮機と、該低圧段圧縮機よりも高い圧力となるように前記冷媒を圧縮する高圧段圧縮機と、を含み、前記低圧段圧縮機、及び前記高圧段圧縮機は、直列接続されており、前記凝縮器は、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含んでもよい。
このように、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含む構成とされた凝縮器を用いることで、高圧段圧縮機の吐出冷媒だけでなく、低圧段圧縮機の吐出冷媒ガスからも熱源水の熱交換が可能となる。
これにより、高圧段圧縮機を通過する冷媒流量が減少するので、搬送動力の減少によって冷凍サイクルの成績係数(COP:Coefficient of Performance)を向上させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る化学プラントにおいて、前記ヒートポンプシステムは、前記凝縮部から回収した前記冷却水を貯留する第1のバッファタンクと、前記第1のバッファタンク及び前記蒸発器と接続され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記蒸発器に供給する第1の冷却水供給ラインと、を備えてもよい。
このような構成とされた第1のバッファタンク及び第1の冷却水供給ラインを有することで、液体材料から製造される製品の製造量に依存することなく、蒸発器に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となる。これにより、化学プラントを安定して稼働させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る化学プラントにおいて、前記ヒートポンプシステムは、前記蒸発器と接続され、該蒸発器を通過した前記冷却水を貯留する第2のバッファタンクと、前記第2のバッファタンク及び前記化学プラント本体の前記凝縮部と接続され、前記第2のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給する第2の冷却水供給ラインと、を備えてもよい。
このような構成とされた第2のバッファタンク及び第2の冷却水供給ラインを有することで、液体材料から生成される製品の製造量に依存することなく、凝縮部に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となる。これにより、化学プラントを安定して稼働させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る化学プラントにおいて、前記化学プラント本体は、前記蒸発部の前段に設けられた予熱部を備えており、前記ヒートポンプシステムは、前記蒸発部及び前記予熱部と接続され、該蒸発部を通過した少なくとも一部の前記熱源水を前記予熱部に供給する第2の熱源水供給ラインと、前記予熱部及び前記凝縮器と接続され、該予熱部を通過した前記熱源水を前記凝縮器に供給する熱源水回収ラインと、を備えてもよい。
このような構成とされた第2の熱源水供給ラインを有することで、蒸発部で使用された熱源水を予熱部で再利用することが可能となる。これにより、ボイラから予熱部に供給する蒸気の量を少なくすることが可能となるので、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。
また、上記構成とされた熱源水回収ラインを有することで、熱源水を循環させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る化学プラントにおいて、前記ヒートポンプシステムは、前記化学プラント本体の前記凝縮部から回収した前記冷却水を貯留する第1のバッファタンク、及び前記第2のバッファタンクと接続され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記第2のバッファタンク内に導入する接続ラインと、前記接続ラインに設けられたバルブと、前記第2の冷却水供給ラインに設けられ、該第2の冷却水供給ラインを流れる前記冷却水の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部が検出する温度が所定温度となるように、前記バルブの開閉状態を制御する制御部と、を備えてもよい。
このような構成とされた接続ライン、温度検出部、及び制御部を有することで、化学プラント本体の凝縮部に供給する冷却水の温度が所定温度よりも高い場合、化学プラント本体の凝縮部に供給する冷却水の温度が所定温度となるように、第2のバッファタンク内に、第1のバッファタンク内に貯留された冷却水(第2のバッファタンク内の冷却水よりも高い温度とされた冷却水)を導入させることが可能となる。これにより、凝縮部に供給する冷却水の温度を一定の温度にすることができる。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法は、液体材料の蒸留方法であって、化学プラント本体の蒸発部において、ボイラにより生成された蒸気を用いて、前記液体材料を蒸発させる蒸発工程と、前記蒸発工程の後に、前記化学プラント本体の凝縮部において、冷却水を用いて、蒸発した前記液体材料を冷却して、該液体材料を凝縮させる凝縮工程と、前記液体材料の冷却により温度が上昇した前記冷却水をヒートポンプの蒸発器に供給し、該蒸発器で該冷却水と前記ヒートポンプ内を循環する冷媒とを熱交換させ、その後、前記ヒートポンプの凝縮器において、熱源水と前記蒸発器を通過後に圧縮機で圧縮された前記冷媒とを熱交換させて前記熱源水を加温する熱源水加温工程と、を備え、前記蒸発工程では、前記蒸気、及び加温された前記熱源水を用いて、前記液体材料を蒸発させる。
本発明によれば、液体材料の冷却により温度が上昇した冷却水をヒートポンプの蒸発器に供給し、蒸発器で冷却水とヒートポンプ内を循環する冷媒とを熱交換させ、その後、ヒートポンプの凝縮器において、熱交換した冷媒と熱源水とを熱交換させることで、凝縮部の排熱を利用して、熱源水の温度を高温にすることが可能となる。
そして、蒸気、及び高温の熱源水を用いて、蒸発部で液体材料を蒸発させることで、ボイラの蒸気のみで液体材料を蒸発させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
このように、蒸気の量を少なくすることで、ボイラの燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量を少なくすることが可能となるので、COを削減でき、かつランニングコストを低減することができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記圧縮機は、低圧段圧縮機と、該低圧段圧縮機よりも高い圧力となるように前記冷媒を圧縮する高圧段圧縮機と、を含み、前記低圧段圧縮機、及び前記高圧段圧縮機は、直列接続されており、前記凝縮器は、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含んでもよい。
このように、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含む構成とされた凝縮器を用いることで、高圧段圧縮機の吐出冷媒だけでなく、低圧段圧縮機の吐出冷媒ガスからも熱源水の熱交換が可能となる。
これにより、高圧段圧縮機を通過する冷媒流量が減少するので、搬送動力の減少によって冷凍サイクルの成績係数(COP:Coefficient of Performance)を向上させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記凝縮工程で温度が上昇した前記冷却水は、第1のバッファタンク内に貯留され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記蒸発器に供給してもよい。
このように、第1のバッファタンク内に貯留された冷却水を蒸発器に供給することで、製品の製造量に依存することなく、蒸発器に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となるので、化学プラントを安定して稼働させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記蒸発工程の前に、前記ボイラにより生成された蒸気を用いて、前記液体材料を予熱する予熱工程を含み、前記予熱工程では、前記蒸気、及び前記蒸発工程で温度が低下した前記熱源水を用いて、前記液体材料を予熱してもよい。
このように、予熱工程において、蒸発工程で温度が低下した熱源水を用いて、液体材料を予熱することで、ボイラの蒸気のみで液体材料を予熱させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
このように、蒸気の量を少なくすることで、ボイラの燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量を少なくすることが可能となるので、COを削減でき、かつランニングコストを低減することができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記液体材料の予熱に使用されることで温度が低下した前記熱源水を前記凝縮器に供給してもよい。
このように、液体材料の予熱に使用されることで温度が低下した熱源水を凝縮器に供給することで、凝縮器を用いて、再度、熱源水の温度を高温にすることができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記液体材料の予熱に使用され、かつ前記凝縮器の入口側に導入される熱源水の温度と、前記凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度と、の差が10℃以上であってもよい。
例えば、凝縮器の入口側に導入される熱源水の温度と凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度との差が10℃よりも小さいと、ヒートポンプの凝縮器に導入する熱源水の流量を増加させる必要がある。この場合、ポンプの搬送能力を大きくする必要がある。
一方、凝縮器の入口側に導入される熱源水の温度と凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度との差が10℃以上になると、ヒートポンプの凝縮器に導入する熱源水の流量を少なくすることが可能となる。この場合、ポンプの搬送能力を小さくすることが可能となるので、ヒートポンプの効率を向上させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記蒸発器から供給され、かつ第2のバッファタンクに貯留された前記冷却水を前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給してもよい。
このように、蒸発器から凝縮部に直接冷却水を供給するのではなく、第2のバッファタンクに貯留された冷却水を凝縮部に供給することで、製品の製造量に依存することなく、凝縮部に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となるので、化学プラントを安定して稼働させることができる。
また、上記本発明の一態様に係る液体材料の蒸留方法において、前記凝縮工程で温度が上昇した前記冷却水は、第1のバッファタンク内に貯留され、前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給する前記冷却水の温度が所定温度よりも低い場合、前記冷却水の温度が前記所定温度となるように、前記第2のバッファタンク内に前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を導入させてもよい。
このように、化学プラント本体の凝縮部に供給する冷却水の温度が所定温度となるように、第2のバッファタンク内に第1のバッファタンク内に貯留された冷却水(第2のバッファタンク内の冷却水よりも高い温度とされた冷却水)を導入させることで、凝縮部に供給する冷却水の温度を一定の温度にすることができる。
本発明によれば、COを削減でき、かつランニングコストを低減することができる。
本発明の実施形態に係る化学プラントの概略構成を示す模式図である。 図1に示すヒートポンプの概略構成の一例を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係る液体材料の蒸留方法を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
(実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る化学プラント1について説明する。図2において、Tは凝縮器66の入口側(第1の凝縮部71の入口側)における熱源水の温度(以下、「温度T」という)、Tは凝縮器66の出口側(第2の凝縮部72の出口側)における熱源水の温度(以下、「温度T」という)をそれぞれ示している。図1及び図2において、同一構成部分には同一符号を付す。
化学プラント1は、化学プラント本体2と、ヒートポンプシステム3と、を有する。
化学プラント本体2は、液体材料供給部4と、予熱部5と、蒸発部7と、蒸気供給ライン8と、ボイラ9と、凝縮部11と、を有する。予熱部5、蒸発部7、及び凝縮部11は、液体材料の蒸留を行う際に使用する。
液体材料供給部4は、製品を生成する際に使用する液体材料(原料)を予熱部5に供給する。予熱部5に供給する液体材料の温度は、使用する液体材料に応じて適宜設定することが可能である。
予熱部5は、液体材料供給部4、蒸発部7、及び蒸気供給ライン8を構成する蒸気供給ライン本体8Aと接続されている。
予熱部5は、蒸気供給ライン本体8Aから供給される蒸気(ボイラ9が生成する蒸気)を用いて、液体材料を所定温度まで加熱する。所定温度とされた液体材料は、蒸発部7に供給される。
蒸発部7は、予熱部5、蒸気供給ライン8を構成する分岐ライン8B、及び凝縮部11と接続されている。
蒸発部7は、分岐ライン8Bから供給される蒸気(ボイラ9が生成する蒸気)を用いて、液体材料を加熱することで、液体材料を蒸発させる。蒸発した液体材料は、凝縮部11に供給される。
蒸気供給ライン8は、蒸気供給ライン本体8Aと、分岐ライン8Bと、を有する。蒸気供給ライン本体8Aの一端は、ボイラ9と接続されている。蒸気供給ライン本体8Aの他端は、予熱部5と接続されている。蒸気供給ライン本体8Aは、ボイラ9により生成された蒸気の一部を予熱部5に供給する。
分岐ライン8Bは、蒸気供給ライン本体8Aから分岐されており、先端が蒸発部7と接続されている。分岐ライン8Bは、ボイラ9により生成された蒸気の残部を蒸発部7に供給する。
ボイラ9は、水と燃料を用いて、蒸気を生成する。ボイラ9の燃料としては、例えば、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料が使用される。大量の蒸気を生成する場合、大量の水と大量の燃料が必要となる。
凝縮部11は、ヒートポンプシステム3と接続されている。凝縮部11は、ヒートポンプシステム3から供給される冷却水を用いて、蒸発した液体材料を凝縮させる。凝縮した液体材料は、図示していない処理装置(製品を生成する他の装置)に供給される。
ヒートポンプシステム3は、ヒートポンプ14と、冷却水回収ライン16と、第1のバッファタンク18と、第1の冷却水供給ライン21と、ポンプ22,29,46と、ライン24と、第2のバッファタンク26と、第2の冷却水供給ライン27と、温度検出部32と、接続ライン34と、バルブ36と、制御部38と、第1の熱源水供給ライン41と、第2の熱源水供給ライン42と、熱源水回収ライン44と、ドレインライン48と、を有する。
ヒートポンプ14は、循環ライン51と、冷媒調整弁53と、低圧段膨張弁54と、高圧段膨張弁56と、低圧段圧縮機61と、高圧段圧縮機62と、ライン64,65と、凝縮器66と、蒸発器68と、を有する。
循環ライン51は、冷媒が循環するラインである。冷媒としては、例えば、HFO−1233zd(E)といった低圧冷媒を用いることが可能である。循環ライン51は、循環ライン本体51Aと、分岐ライン51Bと、を有する。
循環ライン本体51Aは、ループ状とされたラインである。循環ライン本体51Aには、低圧段圧縮機61、凝縮器66を構成する第1の凝縮部71、及び蒸発器68が設けられている。循環ライン本体51Aの一部は、第1の凝縮部71及び蒸発器68の内部を通過している。
分岐ライン51Bは、第1の凝縮部71と蒸発器68との間から分岐されている。分岐ライン51Bの先端は、第1の凝縮部71と蒸発器68との間であって、第1の凝縮部71の近傍に位置する循環ライン本体51Aと接続されている。分岐ライン51Bには、凝縮器66を構成する第1の凝縮部71、及び高圧段圧縮機62が設けられている。
分岐ライン51Bを流れる冷媒は、蒸発器68の前段において、第1の凝縮部71を通過した冷媒と合流し、蒸発器68内に供給される。
冷媒調整弁53は、分岐ライン51Bの分岐位置と第1の凝縮部71との間に位置する循環ライン本体51Aに設けられている。冷媒調整弁53は、分岐ライン51Bの分岐位置の前段を流れる冷媒の一部(低圧段圧縮機61に圧縮された冷媒の一部)を抽気する際に抽気冷媒の流量を調整する。
低圧段膨張弁54は、循環ライン本体51Aのうち、蒸発器68の入口側に配置された部分に設けられている。低圧段膨張弁54は、第1の凝縮部71を通過した液冷媒、及び第2の凝縮部72を通過した液冷媒を膨張させる。低圧段膨張弁54としては、例えば、電動式の膨張弁を用いることが可能である。
高圧段膨張弁56は、分岐ライン51Bのうち、凝縮器66を構成する第2の凝縮部72の出口側に配置された部分に設けられている。高圧段膨張弁56は、第2の凝縮部72から導出された冷媒を膨張させる。高圧段膨張弁56としては、例えば、電動式の膨張弁を用いることが可能である。
低圧段圧縮機61は、循環ライン本体51Aのうち、分岐ライン51Bの分岐位置と蒸発器68との間に位置する部分に設けられている。低圧段圧縮機61は、低圧段膨張弁54により膨張された液冷媒を圧縮する。低圧段圧縮機61としては、例えば、遠心式圧縮機を用いることが可能である。
高圧段圧縮機62は、分岐ライン51Bのうち、第2の凝縮部72の前段に位置する部分に設けられている。高圧段圧縮機62と低圧段圧縮機61とは、直列に接続されている。高圧段圧縮機62は、抽気されずに高圧段圧縮機62に流入された冷媒を圧縮することで、高温高圧のガス冷媒を生成する。高圧段圧縮機62は、低圧段圧縮機61よりも高い圧力となるように冷媒を圧縮する。
なお、本実施形態では、一例として、2つの圧縮機(低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62)を用いた場合を例に挙げて説明したが、圧縮機の数は1つでもよい。
ライン64は、一端が第1の冷却水供給ライン21と接続されており、他端がライン24と接続されている。ライン64は、蒸発器68内に配置されている。
ライン64の入口側には、第1の冷却水供給ライン21を通じて、化学プラント1の凝縮部11から回収した冷却水(温度が上昇した冷却水)が導入される。この温度が上昇した冷却水は、ライン64を流れる際に蒸発器68内を通過する膨張した液冷媒を蒸発させる。蒸発した冷媒は、ライン64の出口側から導出され、低圧段圧縮機61に供給される。
ライン65は、一端が熱源水回収ライン44と接続されており、他端が第1の熱源水供給ライン41と接続されている。ライン65は、第1の凝縮部71から第2の凝縮部72に跨って配置されている。
ライン65の一端には、熱源水回収ライン44を介することで、化学プラント本体2を構成する予熱部5で使用され、温度が低下した熱源水が導入される。この熱源水は、第1の凝縮部71を通過した後に、第2の凝縮部72を通過し、その後、第1の熱源水供給ライン41に導出される。
凝縮器66は、カスケード接続された第1及び第2の凝縮部71,72を有する。第1及び第2の凝縮部71,72は、分離されている。
第1の凝縮部71には、熱源水回収ライン44を介することで、温度Tとされた熱源水が導入される。第1の凝縮部71では、熱源水と抽気された冷媒とを熱交換させることで、圧縮された中間圧の冷媒を凝縮させる。
このとき、温度Tとされた熱源水は、圧縮された中間圧の冷媒により加温され、第2の凝縮部72に供給される。温度Tとしては、例えば、60℃とすることが可能である。
第2の凝縮部72では、高圧段圧縮機62により圧縮された高温高圧のガス冷媒と第1の凝縮部71を経由した熱源水とを熱交換させることで、高温高圧のガス冷媒を凝縮させる。
このとき、第1の凝縮部71を経由した熱源水は、圧縮された高温高圧のガス冷媒により加温され、温度Tの熱源水として第1の熱源水供給ライン41に導出される。温度Tとしては、例えば、160℃とすることが可能である。
上述した直列接続された低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62と、互いに分離され、かつカスケード接続された第1及び第2の凝縮部71,72(複数の凝縮部)を含む凝縮器66と、を備えることで、高圧段圧縮機62の吐出冷媒だけでなく、低圧段圧縮機61の吐出冷媒ガスからも熱源水の熱交換が可能となる。
これにより、高圧段圧縮機62を通過する冷媒流量が減少するので、搬送動力の減少によって冷凍サイクルの成績係数(COP:Coefficient of Performance)を向上させることができる。
また、上記構成とされたヒートポンプ14では、サイクル効率が最大となる運転点と、低圧段圧縮機61の効率と高圧段圧縮機62の効率との合計である総効率が最大となる圧縮比の運転点と、を考慮して、ヒートポンプ効率が最大となるような運転を行うことで、さらなる高効率を実現することができる。
上述した第1及び第2の凝縮部71,72としては、例えば、シェルアンドチューブ型とされた熱交換器を用いることが可能である。
なお、図2では、凝縮器66の一例として、2つの凝縮部よりなる凝縮器を例に挙げて説明したが、凝縮器66は、3つ以上の凝縮部を備えていてもよいし、1つの凝縮部のみで構成してもよい。
蒸発器68は、低圧段膨張弁54と低圧段圧縮機61との間に位置する循環ライン本体51Aに設けられている。
蒸発器68では、低圧段膨張弁54により膨張させられた液冷媒と第1のバッファタンク18から供給された冷却水とを熱交換させることで、液冷媒を蒸発させる。蒸発させた液冷媒は、低圧段圧縮機61に供給される。
冷却水回収ライン16は、一端が凝縮部11と接続されており、他端が第1のバッファタンク18と接続されている。冷却水回収ライン16は、凝縮部11で使用し、温度が上昇した冷却水を第1のバッファタンク18内に回収する。
第1のバッファタンク18は、第1の冷却水供給ライン21の一端と接続されている。第1のバッファタンク18は、凝縮部11から回収した冷却水を貯留する。
第1の冷却水供給ライン21は、他端が蒸発器68内に配置されたライン64の入口側と接続されている。第1の冷却水供給ライン21は、ライン64を介することで、第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水を蒸発器68に供給する。
このような構成とされた第1のバッファタンク18及び第1の冷却水供給ライン21を有することで、液体材料から生成される製品の製造量に依存することなく、蒸発器68に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となる。これにより、化学プラント1を安定して稼働させることができる。
ポンプ22は、第1の冷却水供給ライン21に設けられている。ポンプ22は、第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水をライン64内に送液する。
ライン24は、一端がライン64の出口側と接続されており、他端が第2のバッファタンク26と接続されている。ライン24は、蒸発器68で冷媒の蒸発に寄与した冷却水を第2のバッファタンク26内に回収する。
第2のバッファタンク26は、ライン24を介することで、蒸発器68を通過した冷却水を貯留する。第2のバッファタンク26内に貯留された冷却水の温度は、第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水の温度よりも低い。
第2の冷却水供給ライン27は、一端が第2のバッファタンク26と接続されており、他端が凝縮部11と接続されている。第2の冷却水供給ライン27は、凝縮部11に第2のバッファタンク26内に貯留された冷却水を凝縮部11内に供給する。
凝縮部11では、第2の冷却水供給ライン27を介することで供給された冷却水を用いて、液体材料の凝縮処理を行う。そして、液体材料の凝縮に寄与し、温度が上昇した冷却水は、冷却水回収ライン16内に導出される。
このような構成とされた第2のバッファタンク26及び第2の冷却水供給ライン27を有することで、液体材料から生成される製品の製造量に依存することなく、凝縮部11に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となる。これにより、化学プラント1を安定して稼働させることができる。
ポンプ29は、第2の冷却水供給ライン27に設けられている。ポンプ29は、第2のバッファタンク26内に貯留された冷却水を凝縮部11に送液する。
温度検出部32は、第2の冷却水供給ライン27に設けられている。温度検出部32は、第2の冷却水供給ライン27を流れる冷却水の温度を検出する。温度検出部32は、制御部38と電気的に接続されている。温度検出部32は、検出した冷却水の温度に関するデータを制御部38に送信する。温度検出部32としては、例えば、温度センサを用いることが可能である。
接続ライン34は、第1のバッファタンク18と第2のバッファタンク26とを接続している。接続ライン34は、第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水を第2のバッファタンク26内に導入する。
バルブ36は、接続ライン34に設けられている。バルブ36は、制御部38と電気的に接続されている。バルブ36の開閉状態は、制御部38により制御される。
制御部38は、温度検出部32が検出した冷却水の温度が所定温度よりも低い場合、バルブ36の開閉状態を制御して、温度検出部32が検出する冷却水の温度を所定温度にする。
このような構成とされた接続ライン34、温度検出部32、及び制御部38を有することで、凝縮部11に供給する冷却水の温度が所定温度よりも高い場合、凝縮部11に供給する冷却水の温度が所定温度となるように、第2のバッファタンク26内に第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水を導入させることが可能となる。これにより、凝縮部11に供給する冷却水の温度を一定の温度にすることができる。
第1の熱源水供給ライン41は、一端がライン65の出口側と接続されており、他端が蒸発部7と接続されている。第1の熱源水供給ライン41は、凝縮器66を通過することで加温され、温度Tとされた熱源水を蒸発部7に供給する。
蒸発部7では、第1の熱源水供給ライン41から供給された熱源水と、ボイラ9が生成した蒸気と、を用いて予熱された液体材料を蒸発させる。
上述した蒸発器68と、蒸発器68を通過した冷媒を圧縮する低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62と、低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62を通過した冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器66と、凝縮器66を通過した熱源水を蒸発部7に供給する第1の熱源水供給ライン41を有することで、化学プラント本体2の凝縮部11の排熱を利用して、高温(例えば、160℃)とされた熱源水を化学プラント本体2の蒸発部7に供給することが可能となる。
これにより、蒸発部7において、高温の熱源水を用いて液体材料を蒸発させることが可能となるので、ボイラ9の蒸気のみで液体材料を蒸発させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
このように、蒸気の量が少なくなることで、ボイラ9の燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量が少なくすることが可能となるので、COを削減でき、かつランニングコストを低減することができる。
第2の熱源水供給ライン42は、一端が蒸発部7と接続され、他端が予熱部5と接続されている。第2の熱源水供給ライン42は、蒸発部7を通過した少なくとも一部の熱源水(温度が低下した熱源水)を予熱部5に供給する。
このような構成とされた第2の熱源水供給ライン42を有することで、蒸発部7で使用された熱源水を予熱部5で再利用することが可能となる。これにより、ボイラ9から予熱部5に供給する蒸気の量を少なくすることが可能となるので、COを削減でき、かつランニングコストを低減することができる。
熱源水回収ライン44は、一端が予熱部5と接続されており、他端がライン65の入口側と接続されている。熱源水回収ライン44は、予熱部5を通過した熱源水を凝縮器66に供給する。上記構成とされた熱源水回収ライン44を有することで、熱源水を循環させることができる。
ポンプ46は、熱源水回収ライン44に設けられている。ポンプ46は、予熱部5で使用され、温度が低下した熱源水を凝縮器66内に配置されたライン65内に供給する。上記構成とされた熱源水回収ラインを有することで、熱源水を循環させることができる。
ドレインライン48は、一端が蒸発部7と接続されている。ドレインライン48は、蒸発部7で使用された蒸気の一部を排出するためのラインである。
本実施形態の化学プラント1によれば、冷媒を蒸発させる蒸発器68と、蒸発器68を通過した冷媒を圧縮する低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62と、低圧段圧縮機61及び高圧段圧縮機62を通過した冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器66と、凝縮器66を通過した熱源水を蒸発部7に供給する第1の熱源水供給ライン41を有することで、化学プラント本体2の凝縮部11の排熱を利用して、高温(例えば、160℃)とされた熱源水を生成し、生成した高温の熱源水を蒸発部7に供給することが可能となる。
これにより、蒸発部7において、高温の熱源水を用いて液体材料を蒸発させることが可能となるので、ボイラ9の蒸気のみで液体材料を蒸発させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
このように、蒸気の量が少なくなることで、ボイラ9の燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量が少なくすることが可能となるので、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。
次に、図1〜図3を参照して、図1に示す化学プラント1を用いた本実施形態の液体材料の蒸留方法について説明する。
図3に示す液体材料の蒸留処理が開始されると、S1では、液体材料供給部4から予熱部5に液体材料(製品を製造するための原料)を供給する(液体材料供給工程)。
次いで、S2では、予熱部5により、液体材料供給部4から供給された液体材料が予熱される(予熱工程)。
化学プラント1の可動初期段階には、ボイラ9により生成された蒸気のみを用いて液体材料の予熱を行う。
一方、S5で熱源水加温工程が行われ、かつS6にて製品の処理を終了しないと判定(No判定)されると、予熱部5には、ボイラ9により生成された蒸気だけでなく、第2の熱源水供給ライン42により蒸発部7で使用された熱源水が供給される。
したがって、化学プラント1の可動初期段階以降の予熱工程では、ボイラ9により生成された蒸気、及び蒸発部7で使用された熱源水を用いて、液体材料の予熱が行われる。予熱工程において、予熱された液体材料は、蒸発部7に供給される。
上述したように、ボイラ9により生成された蒸気、及び蒸発部7で使用された熱源水を用いて、液体材料の予熱を行うことで、ボイラ9の蒸気のみを用いて予熱工程を行う場合と比較して、ボイラ9が使用する化石燃料及び水を少なくすることが可能となる。これにより、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。
また、予熱工程で使用された熱源水は、熱源水回収ライン44により凝縮器66の入口側(第1の凝縮部71)に導入される。このときの熱源水の温度Tは、例えば、60℃とすることが可能である。
このように、液体材料の予熱に使用されることで温度が低下した熱源水を凝縮器66に供給することで、凝縮器66により、再度、熱源水の温度を高温にすることができる。
次いで、S3では、蒸発部7により、予熱された液体材料を蒸発させる(蒸発工程)。化学プラント1の可動初期段階には、ボイラ9により生成された蒸気のみを用いて液体材料を蒸発させる。
一方、S5で熱源水加温工程が行われ、かつS6にて製品の処理を終了しないと判定(No判定)されると、蒸発部7には、ボイラ9により生成された蒸気だけでなく、凝縮部11の排熱を利用して、ヒートポンプ14で生成された高温の熱源水(温度Tとされた熱源水)が供給される。
高温の熱源水は、第1の熱源水供給ライン41を介することで蒸発部7に供給される。高温とされた熱源水の温度Tは、例えば、160℃とすることが可能である。
したがって、化学プラント1の可動初期段階以降の蒸発工程では、ボイラ9により生成された蒸気、及びヒートポンプ14で生成された高温の熱源水を用いて、予熱された液体材料の蒸発処理が行われる。その後、蒸発した液体材料は、凝縮部11に供給される。
上述したように、ボイラ9により生成された蒸気、及びヒートポンプ14で生成された高温の熱源水を用いて、液体材料を蒸発させることで、ボイラ9の蒸気のみを用いて蒸発工程を行う場合と比較して、ボイラ9が使用する化石燃料及び水を少なくすることが可能となる。
これにより、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。また、凝縮部11の排熱を利用して、高温の熱源水を生成することで、凝縮部11の排熱を有効活用することができる。
本実施形態の液体材料の蒸留方法では、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部(本実施形態の場合、第1及び第2の凝縮部71,72)を含む凝縮器66を用いるとよい。
このような構成とされた凝縮器66を用いることで、段階的に冷媒を凝縮させることが可能(段階的に熱源水を加温することが可能)となるので、ヒートポンプ14の効率を高めることが可能となる。これにより、化学プラント1全体の効率を高めることができる。
本実施形態の液体材料の蒸留方法において、液体材料の予熱に使用され、かつ凝縮器66の入口側に導入される熱源水の温度Tと、凝縮器66の出口側から導出される加温された熱源水の温度Tと、の差は、例えば、10℃以上にすることが好ましい。
例えば、凝縮器66の入口側に導入される熱源水の温度Tと凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度Tとの差が10℃よりも小さいと、ヒートポンプ14の凝縮器66に導入する冷却水の流量を増加させる必要がある。この場合、ポンプ46の搬送能力を大きくする必要がある。
一方、凝縮器66の入口側に導入される熱源水の温度Tと凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度Tとの差が10℃以上になると、ヒートポンプ14の凝縮器に導入する冷却水の流量を少なくすることが可能となる。この場合、ポンプ46の搬送能力を小さくすることが可能となるので、ヒートポンプ14の効率を向上させることができる。
さらに、凝縮器66の入口側に導入される熱源水の温度Tと、凝縮器66の出口側から導出される加温された熱源水の温度Tと、の差を10℃以上にするとともに、凝縮器66を複数の凝縮部で構成することで、凝縮器一台当たりの熱交換器を小型化でき、分配不良等の積層枚数が多いことに起因する性能低下を防止できるとともに、該熱交換器の高圧設計を容易に行うことができる。
次いで、S4では、凝縮部11において、蒸発器68で冷媒と熱交換した冷却水を用いて、蒸発した液体材料を凝縮させる(凝縮工程)。
このとき、蒸発器68から導出された冷却水を第2のバッファタンク26内に貯留し、第2のバッファタンク26内に貯留された冷却水を凝縮部11に供給するとよい。
このように、蒸発器68から凝縮部11に直接冷却水を供給するのではなく、第2のバッファタンク26に貯留された冷却水を凝縮部11に供給することで、製品の製造量に依存することなく、凝縮部11に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となるので、化学プラントを安定して稼働させることができる。
また、温度検出部32は検出する冷却水の温度が所定温度よりも低い場合、制御部38により、バルブ36の開閉状態を調節して、凝縮部11に供給する冷却水の温度が所定温度となるように、第2のバッファタンク26内に第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水を導入させてもよい。
このように、凝縮部11に供給する冷却水の温度が所定温度となるように、第2のバッファタンク26内に第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水(第2のバッファタンク26内の冷却水よりも高い温度とされた冷却水)を導入させることで、凝縮部11に供給する冷却水の温度を一定の温度にすることができる。
次いで、S5では、熱源水を加温する熱源水加温工程が行われる。熱源水加温工程では、凝縮工程で使用され、かつ温度が上昇した冷却水は、冷却水回収ライン16を介することで第1のバッファタンク18内に貯留される。
第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水は、第1の冷却水供給ライン21によりライン64に導入される。ライン64に導入された冷却水は、蒸発器68において、低圧段膨張弁54により膨張された冷媒と熱交換することで、温度が低下する。温度が低下した冷却水は、ライン24を介することで第2のバッファタンク26内に貯留される。
上述したように、第1のバッファタンク18内に貯留された冷却水を蒸発器68に供給することで、製品の製造量に依存することなく、蒸発器68に供給する冷却水の温度及び供給量を一定にすることが可能となるので、化学プラント1を安定して稼働させることができる。
蒸発器68を通過後、低圧段圧縮機61または高圧段圧縮機62を通過した冷媒は、凝縮器66に供給される。
凝縮器66では、低圧段圧縮機61または高圧段圧縮機62を通過した冷媒と熱源水とを熱交換させて温度Tとなるように熱源水を加温する。温度Tとされた熱源水は、第1の熱源水供給ライン41を介することで、蒸発部7に供給される。
次いで、S6では、液体材料の蒸留処理を終了するか否かの判定が行われる。S6において、液体材料の蒸留処理を終了しないと判定(No判定)されると、処理は、S1に戻り、S2、S3、S4、S5の処理が順次行われる。
S6において、液体材料の蒸留処理を終了すると判定(Yes判定)されると、図3に示す処理は、終了する。
本実施形態の液体材料の蒸留方法によれば、液体材料の冷却により温度が上昇した冷却水をヒートポンプ14の蒸発器68に供給し、蒸発器68で冷却水とヒートポンプ14内を循環する冷媒とを熱交換させ、その後、ヒートポンプ14の凝縮器66において熱交換した冷媒と熱源水とを熱交換させることで、凝縮部11の排熱を利用して、高温(例えば、160以上の温度)の熱源水を生成することが可能となる。
そして、蒸気、及び高温の熱源水を用いて、蒸発部7で液体材料を蒸発させることで、ボイラ9の蒸気のみで液体材料を蒸発させる場合と比較して、蒸気の量を少なくすることが可能となる。
このように、蒸気の量を少なくすることで、ボイラ9の燃料(石炭、石油、天然ガス等の化石燃料)、及び蒸気となる水の量を少なくすることが可能となるので、COを削減できるとともに、ランニングコストを低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1…化学プラント、2…化学プラント本体、3…ヒートポンプシステム、4…液体材料供給部、5…予熱部、7…蒸発部、8…蒸気供給ライン、8A…蒸気供給ライン本体、8B,51B…分岐ライン、9…ボイラ、11…凝縮部、14…ヒートポンプ、16…冷却水回収ライン、18…第1のバッファタンク、21…第1の冷却水供給ライン、22,29,46…ポンプ、24,64,65…ライン、26…第2のバッファタンク、27…第2の冷却水供給ライン、32…温度検出部、34…接続ライン、36…バルブ、38…制御部、41…第1の熱源水供給ライン、42…第2の熱源水供給ライン、44…熱源水回収ライン、48…ドレインライン、51…循環ライン、51A…循環ライン本体、53…冷媒調整弁、54…低圧段膨張弁、56…高圧段膨張弁、61…低圧段圧縮機、62…高圧段圧縮機、66…凝縮器、68…蒸発器、71…第1の凝縮部、72…第2の凝縮部、T,T温度

Claims (14)

  1. 蒸気を生成するボイラ、該蒸気により、液体材料を蒸発させる蒸発部、及び前記蒸発した前記液体材料を冷却水で冷却して凝縮させる凝縮部を含む化学プラント本体と、
    冷媒が循環する循環ライン、該循環ラインに設けられ、前記凝縮部で使用された前記冷却水と前記冷媒とを熱交換させる蒸発器、前記循環ラインに設けられ、前記蒸発器を通過した前記冷媒を圧縮する圧縮機、該圧縮機を通過した前記冷媒と熱源水とを熱交換させる凝縮器、及び該凝縮器を通過した前記熱源水を前記蒸発部に供給する第1の熱源水供給ラインを含むヒートポンプシステムと、
    を備える化学プラント。
  2. 前記圧縮機は、低圧段圧縮機と、該低圧段圧縮機よりも高い圧力となるように前記冷媒を圧縮する高圧段圧縮機と、を含み、
    前記低圧段圧縮機、及び前記高圧段圧縮機は、直列接続されており、
    前記凝縮器は、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含む請求項1記載の化学プラント。
  3. 前記ヒートポンプシステムは、前記化学プラント本体の前記凝縮部から回収した前記冷却水を貯留する第1のバッファタンクと、
    前記第1のバッファタンク及び前記蒸発器と接続され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記蒸発器に供給する第1の冷却水供給ラインと、
    を備える請求項1または2記載の化学プラント。
  4. 前記ヒートポンプシステムは、前記蒸発器と接続され、該蒸発器を通過した前記冷却水を貯留する第2のバッファタンクと、
    前記第2のバッファタンク及び前記化学プラント本体の前記凝縮部と接続され、前記第2のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給する第2の冷却水供給ラインと、
    を備える請求項1から3のうち一項記載の化学プラント。
  5. 前記化学プラント本体は、前記蒸発部の前段に設けられた予熱部を備えており、
    前記ヒートポンプシステムは、前記蒸発部及び前記予熱部と接続され、該蒸発部を通過した少なくとも一部の前記熱源水を前記予熱部に供給する第2の熱源水供給ラインと、
    前記予熱部及び前記凝縮器と接続され、該予熱部を通過した前記熱源水を前記凝縮器に供給する熱源水回収ラインと、
    を備える請求項1から4のうち一項記載の化学プラント。
  6. 前記ヒートポンプシステムは、前記化学プラント本体の前記凝縮部から回収した前記冷却水を貯留する第1のバッファタンク、及び前記第2のバッファタンクと接続され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記第2のバッファタンク内に導入する接続ラインと、
    前記接続ラインに設けられたバルブと、
    前記第2の冷却水供給ラインに設けられ、該第2の冷却水供給ラインを流れる前記冷却水の温度を検出する温度検出部と、
    前記温度検出部が検出する温度が所定温度となるように、前記バルブの開閉状態を制御する制御部と、
    を備える請求項4記載の化学プラント。
  7. 液体材料の蒸留方法であって、
    化学プラント本体の蒸発部において、ボイラにより生成された蒸気を用いて、前記液体材料を蒸発させる蒸発工程と、
    前記蒸発工程の後に、前記化学プラント本体の凝縮部において、冷却水を用いて、蒸発した前記液体材料を冷却して、該液体材料を凝縮させる凝縮工程と、
    前記液体材料の冷却により温度が上昇した前記冷却水をヒートポンプの蒸発器に供給し、該蒸発器で該冷却水と前記ヒートポンプ内を循環する冷媒とを熱交換させ、その後、前記ヒートポンプの凝縮器において、熱源水と前記蒸発器を通過後に圧縮機で圧縮された前記冷媒とを熱交換させて前記熱源水を加温する熱源水加温工程と、
    を備え、
    前記蒸発工程では、前記蒸気、及び加温された前記熱源水を用いて、前記液体材料を蒸発させる液体材料の蒸留方法。
  8. 前記圧縮機は、低圧段圧縮機と、該低圧段圧縮機よりも高い圧力となるように前記冷媒を圧縮する高圧段圧縮機と、を含み、
    前記低圧段圧縮機、及び前記高圧段圧縮機は、直列接続されており、
    前記凝縮器は、互いに分離され、かつカスケード接続された複数の凝縮部を含む請求項7記載の液体材料の蒸留方法。
  9. 前記凝縮工程で温度が上昇した前記冷却水は、第1のバッファタンク内に貯留され、前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を前記蒸発器に供給する請求項7または8記載の液体材料の蒸留方法。
  10. 前記蒸発工程の前に、前記ボイラにより生成された蒸気を用いて、前記液体材料を予熱する予熱工程を含み、
    前記予熱工程では、前記蒸気、及び前記蒸発工程で温度が低下した前記熱源水を用いて、前記液体材料を予熱する請求項7ないし9のうち一項記載の液体材料の蒸留方法。
  11. 前記液体材料の予熱に使用されることで温度が低下した前記熱源水を前記凝縮器に供給する請求項10記載の液体材料の蒸留方法。
  12. 前記液体材料の予熱に使用され、かつ前記凝縮器の入口側に導入される熱源水の温度と、前記凝縮器の出口側から導出される加温された熱源水の温度と、の差が10℃以上である請求項11記載の液体材料の蒸留方法。
  13. 前記蒸発器から供給され、かつ第2のバッファタンクに貯留された前記冷却水を前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給する請求項7ないし請求項12のうち、いずれか1項記載の液体材料の蒸留方法。
  14. 前記凝縮工程で温度が上昇した前記冷却水は、第1のバッファタンク内に貯留され、
    前記化学プラント本体の前記凝縮部に供給する前記冷却水の温度が所定温度よりも低い場合、前記冷却水の温度が前記所定温度となるように、前記第2のバッファタンク内に前記第1のバッファタンク内に貯留された前記冷却水を導入させる請求項13記載の液体材料の蒸留方法。
JP2017117751A 2017-06-15 2017-06-15 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法 Pending JP2019000807A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017117751A JP2019000807A (ja) 2017-06-15 2017-06-15 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017117751A JP2019000807A (ja) 2017-06-15 2017-06-15 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019000807A true JP2019000807A (ja) 2019-01-10

Family

ID=65004476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017117751A Pending JP2019000807A (ja) 2017-06-15 2017-06-15 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019000807A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4939396B1 (ja) * 1970-11-13 1974-10-25
JPS60108652A (ja) * 1983-11-18 1985-06-14 株式会社荏原製作所 ヒ−トポンプ
JPS60168501A (ja) * 1984-02-14 1985-09-02 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 蒸留装置
JP2009136713A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Stella Chemifa Corp 蒸留方法
JP2015221411A (ja) * 2014-05-23 2015-12-10 株式会社神戸製鋼所 蒸留装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4939396B1 (ja) * 1970-11-13 1974-10-25
JPS60108652A (ja) * 1983-11-18 1985-06-14 株式会社荏原製作所 ヒ−トポンプ
JPS60168501A (ja) * 1984-02-14 1985-09-02 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 蒸留装置
JP2009136713A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Stella Chemifa Corp 蒸留方法
JP2015221411A (ja) * 2014-05-23 2015-12-10 株式会社神戸製鋼所 蒸留装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4838318B2 (ja) 発電方法及び発電プラント
KR101398312B1 (ko) 저온 열 소스의 열 에너지를 기계 에너지로 변환하기 위한 방법 및 장치
CN103459925B (zh) 蒸气发生系统
EP0372864A1 (en) Method of and apparatus for producing power using steam
JP4915680B2 (ja) 多元ヒートポンプ式蒸気・温水発生装置
JP4471992B2 (ja) 多元ヒートポンプ式蒸気・温水発生装置
JP2017190925A (ja) 燃料電池用廃熱回収システム
CN108474271B (zh) 用于将来自热源的废热转换成机械能的有机朗肯循环以及利用该有机朗肯循环的压缩机装置
JP2010164223A (ja) 蒸気発生装置
KR101995728B1 (ko) 열 회수 장치
JP2008298406A (ja) 多元ヒートポンプ式蒸気・温水発生装置
JP2012007762A (ja) ドレン回収設備
US20120151924A1 (en) Method and system for generating high pressure steam
JP2010038391A (ja) ヒートポンプ式蒸気発生装置
CN103025955A (zh) 在用于制造纤维料幅的机器的干燥部中回收热量的方法和设备
JP2012247156A (ja) ヒートポンプ式蒸気発生方法
JP2019100617A (ja) 循環式ボイラシステム、火力発電プラント、及び排熱回収方法
CN106968732B (zh) 运行蒸汽发电设备的方法和实施所述方法的蒸汽发电设备
EP3318829B1 (en) System and method for producing liquid carbon dioxide
CN201972745U (zh) 一次再热的热力系统
KR101624081B1 (ko) 열 회수 장치
JP2019000807A (ja) 化学プラント、及び液体材料の蒸留方法
JP6338143B2 (ja) 冷却システム
CN113418320A (zh) 提升低温热源温度的装置及其使用方法
JP7391071B2 (ja) 排熱利用システム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170616

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181109

A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20200324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210316

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210928