JP2019000629A - 自動製パン機 - Google Patents

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Toshihiro Sugimoto
智弘 杉本
松井 敬三
Keizo Matsui
敬三 松井
元 野嶋
Hajime Nojima
元 野嶋
福弥 難波
Fukuya Nanba
福弥 難波
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Abstract

【課題】目標回転角度となるようにインバータを介してモータに接続された練り羽根を制御することにより、ガス抜き工程におけるパン生地の損傷を抑え、ガス抜き動作を安定させる。【解決手段】モータ10の回転角度に応じてパルスを出力するパルス出力部26と、出力されたパルスによりインバータ部24を制御する制御部27を備えたものである。制御部は、ガス抜き工程において、パルス信号に基づきモータの回転速度を算出し、回転速度が目標回転速度となるようにインバータ部を制御する。制御部は、パルス信号に基づきモータの回転角度を算出し、回転角度が目標回転角度となるようにインバータ部を制御する。これにより、ガス抜き工程において、パン生地の損傷を抑制するとともに、ガス抜きを安定的に行うことができる。【選択図】図2

Description

本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン機に関する。
家庭用の自動製パン機では、原料を焼き型である容器に入れてパンを作製する。一般的に、この種の自動製パン機は、練り工程、一次発酵工程、ガス抜き工程、二次発酵工程、焼成工程を順に実行することにより、パンを作製する。
ガス抜き工程とは、発酵後のパン生地内に存在するガスを抜くための工程である。ガス抜き工程において、パン生地が回転する練り羽根に引きちぎられると、焼成工程においてパンがあまり膨らまない。
この問題を解決するための従来技術には、原料を入れる容器と、垂直な回転軸を中心にして容器内で回転する練り羽根を備え、容器に入れられたパン原料を撹拌するように構成された自動製パン機が含まれる(例えば、特許文献1参照)。
練り羽根は、第1の機能部と第2の機能部とを備える。練り羽根が時計回りに回転すると、第1の機能部がパン生地を容器の側壁に向けて押圧する。練り羽根が反時計回りに回転すると、練り羽根が時計回りに回転する場合とは異なる方向に、第2の機能部がパン生地を押圧する。
この構成によれば、練り羽根の回転方向を切り換えることで、パン生地を容器の側壁に向けて押圧するか否かを選択することができる。
これにより、練り工程においてパン生地に強い力を加える必要がある場合、パン生地が、第1の機能部により容器の側壁に向けて押圧されて、容器の側壁と練り羽根との間に移動する。その結果、パン生地に強い圧力をかけることができる。
一方、練り羽根を反時計回りに回転させることにより、パン生地に強い圧力がかからないようにして、パン生地を損傷させないようにすることができる。
国際公開第2014/162743号
必要なパン生地の量は、製パンメニューに依存する。パン生地の量によっては、回転方向を切り換えてもパン生地に強い圧力がかかり、パン生地の損傷を回避できない場合がある。
上記問題を解決する方法には、モータを間欠的に駆動することで、練り羽根の回転速度を見かけ上、遅くする方法が含まれる。以下、モータを間欠的に駆動することを、モータの間欠駆動という。
しかしながら、モータの間欠駆動では、モータの性能やパン生地の位置により、パン生地の損傷を引き起こす、ガスの抜き過ぎ、または、ガスがうまく抜けない、ガス抜き不足
が生じる。
本発明は、上記問題を解決するもので、ガス抜き工程において、パン生地の量、モータの性能、パン生地の位置に関わらず、パン生地を損傷させることなく、パン生地のガス抜きを良好に行うことができる自動製パン機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の一態様の自動製パン機は、容器と練り羽根とモータとパルス出力部とインバータ部と制御部とを備える。容器にはパン原料が入れられる。練り羽根は容器内に回転可能に取り付けられる。モータは練り羽根を回転させる。パルス出力部はモータの回転角度に応じてパルス信号を出力する。インバータ部は、製パン工程においてモータを駆動する。制御部は、パルス信号に応じて、インバータ部を制御する。制御部はさらに、製パン工程に含まれたガス抜き工程において、パルス信号に基づきモータの回転速度を算出し、回転速度が目標回転速度となるようにインバータ部を制御する。制御部は、パルス信号に基づきモータの回転角度を算出し、回転角度が目標回転角度となるようにインバータ部を制御する。
本態様によれば、ガス抜き工程において、パン生地の損傷を抑制するとともにガス抜きを安定的に行うことができる自動製パン機を実現することができる。
本発明の自動製パン機は、ガス抜き工程におけるパン生地の損傷を抑え、ガス抜き動作を安定して行うことができる自動製パン機を実現することができる。
本発明の実施の形態1に係る自動製パン機の概略構成を示す一部切り欠き断面図 本発明の実施の形態1に係る駆動部のブロック構成図 従来の自動製パン機のガス抜き工程における各種の波形図 従来の自動製パン機のガス抜き工程における各種の波形図 本発明の実施の形態1に係る自動製パン機のガス抜き工程における各種の波形図 本発明の実施の形態1に係る自動製パン機のガス抜き工程における各種の波形図 従来の自動製パン機の練り工程における各種の波形図 本発明の実施の形態2に係る自動製パン機の練り工程における各種の波形図
本発明の第1の態様の自動製パン機は、容器と練り羽根とモータとパルス出力部とインバータ部と制御部とを備える。容器にはパン原料が入れられる。練り羽根は容器内に回転可能に取り付けられる。モータは練り羽根を回転させる。パルス出力部はモータの回転角度に応じてパルス信号を出力する。インバータ部は、製パン工程においてモータを駆動する。制御部は、パルス信号に応じて、インバータ部を制御する。制御部はさらに、製パン工程に含まれたガス抜き工程において、パルス信号に基づきモータの回転速度を算出し、回転速度が目標回転速度となるようにインバータ部を制御する。制御部は、パルス信号に基づきモータの回転角度を算出し、回転角度が目標回転角度となるようにインバータ部を制御する。
これによって、モータと連結された練り羽根の回転角度を一定に制御することが可能となり、ガス抜き工程におけるパン生地の損傷を抑え、ガス抜き動作を安定して行うことが
できるので、膨らみのあるパンを成形することができる自動製パン機を実現することができる。
本発明の第2の態様の自動製パン機では、第1の態様に加えて、制御部が、ガス抜き工程において、モータの間欠駆動によりモータが目標回転角度となるように、インバータ部を制御する。
これによって、ガス抜き工程におけるパン生地の損傷を抑え、ガス抜き動作を安定して行うことが可能となる。
本発明の第3の態様の自動製パン機では、第1の態様に加えて、制御部が、製パン工程に含まれた練り工程において、モータの回転速度を変動させることにより、回転速度の時間変動の平均が目標回転速度に等しくなるように、インバータ部を制御する。
これによって、練り工程におけるパン生地が練り羽根に張り付いて、パン生地を練ることができない状態(空回り状態)を改善することが可能となる。
本発明の第4の態様の自動製パン機では、第3の態様に加えて、制御部が、練り工程において、練り羽根の回転速度の時間変動が正弦波を示すように、インバータ部を制御する。
これによって、練り工程におけるパン生地が練り羽根に張り付いて、パン生地を練ることができない状態(空回り状態)を改善することが可能となる。
本発明の第5の態様の自動製パン機では、第1の態様に加えて、制御部が、パン原料の量に応じて、目標回転速度および目標回転角度を設定する。
これによって、パン容器に投入されるパン原料の量によって、最適な目標回転速度および目標回転角度で練り羽根が動作し、ガス抜き動作を安定して行うことができる。
本発明の第6の態様の自動製パン機では、第5の態様に加えて、パン原料の量が増加した場合に、制御部が目標回転速度および目標回転角度をより大きく設定する。
これによって、パン容器に投入されるパン原料の量が増加した場合においても、最適な目標回転速度および目標回転角度でモータが動作し、ガス抜き動作を安定して行うことができる。
本発明の第7の態様の自動製パン機では、第5の態様に加えて、制御部がパン原料の量を検出する。
これによって、パン容器に投入されるパン原料の量を検出することが可能となり、パン原料の量に適した目標回転速度、および目標回転角度を設定することができる。
本発明の第8の態様の自動製パン機は、第5の態様に加えて、パン原料の量を入力するように構成された操作部をさらに備える。
これによって、あらかじめパン原料の量を入力することによって、パン原料の量に適した目標回転速度、および目標回転角度を設定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自動製パン機1の概略構成を示す一部切り欠き断面図である。自動製パン機1は、操作部2と容器3と焼成室4と練り羽根5と回転軸6とプーリ7、8とベルト9とモータ10と駆動部20とを備える。
操作部2は、自動製パン機1の本体の上部に設けられる。操作部2には、製パンの開始/停止などの操作を行うための複数の操作キーと、操作内容を表示するための表示部とが設けられる。表示部は、進行状況、終了予定時刻なども表示する。複数の操作キーが、パン原料の量を入力するための操作キーを含んでもよい。
容器3にはパン原料が入れられる。容器3は焼成室4に収容される。焼成室4内には、収容された容器3を包囲するように、ヒータ(図示せず)が配置される。容器3内には練り羽根5が配置される。練り羽根5は、容器3の底を貫通する回転軸6に容器3内で回転可能に取り付けられる。
回転軸6に設けられたプーリ7は、ベルト9によってプーリ8に連結される。プーリ8は、モータ10の出力軸11に取り付けられる。プーリ7、8は、第1、第2のプーリにそれぞれ相当する。
モータ10が回転すると、プーリ7、8が機能し、回転軸6がモータ10より低速で回転する。練り羽根5は回転軸6とともに回転する。
図2は、駆動部20のブロック構成図である。図2に示すように、駆動部20は、整流回路22と平滑コンデンサ23とインバータ部24と電流センサ25aと電流センサ25bと電流センサ25cとパルス出力部26と制御部27とを備える。電流センサ25a、25b、25cは電流検出部に相当する。
整流回路22は、商用電源21により供給された交流電力を整流する。平滑コンデンサ23は、整流された直流電力を平滑化する。インバータ部24は、平滑化された直流電力を受けてモータ10を駆動する。パルス出力部26は、モータ10の回転角度に応じたパルス信号を出力する。制御部27は、パルス出力部26により出力されたパルス信号に基づき、インバータ部24に駆動信号を送信する。
制御部27は、電流検出部28、回転速度演算部29、電圧出力部30、電流制御部31、回転速度制御部32、目標回転速度制御部33、ドライバ34、回転角度演算部35を有する。電流検出部28は、電流センサ25a、25b、25cにより検出された相電流Iu、Iv、Iwから電流値Iを算出する。制御部27は、マイクロコンピュータで構成される。
インバータ部24は、還流ダイオード110、還流ダイオード111、還流ダイオード112、還流ダイオード113、還流ダイオード114、還流ダイオード115、スイッチング素子100、スイッチング素子101、スイッチング素子102、スイッチング素子103、スイッチング素子104、スイッチング素子105を有する。
還流ダイオード110〜115は、スイッチング素子100〜105にそれぞれ並列に設けられる。スイッチング素子100〜105は、例えばIGBT(Insulated
Gate Bipolar Transistor)で構成される。
スイッチング素子100、101、102は、上アームのスイッチング素子に相当する。スイッチング素子103、104、105は、下アームのスイッチング素子に相当する。
一つの上アームのスイッチング素子と一つの下アームのスイッチング素子とにより、1系統の直列回路が構成される。合計で、インバータ部24は、U相、V相、W相の3系統の直列回路を有する。各直列回路における上アームと下アームとの接続点が、負荷であるモータ10に接続される。
上述の通り、モータ10は、自動製パン機1の本体内に配置される。モータ10の回転軸6には、練り羽根5が連結される。
制御部27からの駆動信号を受けてスイッチング素子100〜105が作動すると、インバータ部24は、直流電圧を3相の交流電圧に変換して、モータ10を駆動する。制御部27は、電流センサ25a、25b、25cで検出された電流を用いて、フィードバック制御を行う。
本実施の形態に係る自動製パン機1では、制御部27が、モータ10を所望の回転速度で回転させるようにインバータ部24を制御することにより、パンが作製される。
自動製パン機1の製パン工程には、一般的に、練り工程、一次発酵工程、ガス抜き工程、二次発酵工程、焼成工程が含まれる。
練り工程は、パン原料を混練して、パン生地を作製する工程である。開始から所定時間経過すると練り工程は終了し、一次発酵工程が開始される。一次発酵工程は、パン生地を発酵させる工程である。開始から所定時間経過すると一次発酵工程は終了し、ガス抜き工程が開始される。
ガス抜き工程は、膨らんだパン生地内のガスを抜き出すための工程である。ガス抜き工程では、発酵とガス抜きとが交互に複数回繰り返される。パン生地の体積が例えば約2倍になるまで大きくなるとガス抜き工程は終了し、二次発酵工程が開始される。
二次発酵工程は、パン生地が次の焼成工程に適した状態になるように、パン生地を発酵させて膨らませる工程である。開始から所定時間経過すると二次発酵工程は終了し、焼成工程が開始される。
焼成工程は、発酵したパン生地を焼き上げる工程である。開始から所定時間経過すると焼成工程を終了する。これにより、全ての製パン工程が終了する。
制御部27は、所定の製パンメニューのシーケンスに沿って、練り工程時において、製パン開始からの経過時間に応じた目標回転速度でモータ10が回転するように、インバータ部24を制御する。制御部27は、製パン工程において、パルス出力部26により出力されたパルス信号に基づいて算出された目標回転速度でモータ10が回転するように、インバータ部24を制御する。
詳しくは、回転速度演算部29が、パルス出力部26により出力されたパルス信号を用いて回転角の変化速度を演算することで、回転速度ωを求める。
回転速度制御部32は、回転速度演算部29により求められたモータ10の実際の回転速度ωが、目標回転速度制御部33により求められた目標回転速度ω*と等しくなるよう
に、モータ10の電流値Iに対する電流指令値I*を出力する。この演算は、一般的なPI制御に基づいて行われる。
パルス出力部26は、ホールセンサ(Hall sensor)のように、モータ10内の回転子の近傍に固定して配置されたホールIC(Hall IC)により構成される。
パルス出力部26は、回転子の磁界の変化に応じてパルス信号を出力するセンサでもよい。パルス出力部26は、フラックス・ゲートセンサ(Fluxgate sensor)のように、回転子の磁極に沿って固定子側に形成されたコイル配線を有し、回転速度に応じて周波数が変化するパルス信号を出力するセンサでもよい。
電流センサ25a、25b、25cは、モータ10に流れる相電流Iu、Iv、Iwをそれぞれ検出する。電流検出部28は、相電流Iu、Iv、Iwから電流値Iを算出する。電流制御部31は、電流値Iと電流指令値I*との差を用いて演算を行い、出力電圧Vを電圧出力部30に送信する。
電圧出力部30は、パルス出力部26により得られた回転角度と、出力電圧Vとを受信し、PWM信号をドライバ34に送信する。ドライバ34は、PWM信号に従って、インバータ部24を駆動するための六つの信号をスイッチング素子100〜105にそれぞれ送信する。
制御部27は、ガス抜き工程において、パルス出力部26により得られたパルス信号に基づいてモータ10の回転角度を算出し、その回転角度が目標回転角度に等しくなるようにインバータ部24を介してモータ10を制御する。
詳しくは、回転速度演算部29は、パルス出力部26の出力を入力し、モータ10の回転速度を回転角度演算部35に送信する。回転角度演算部35は、目標回転角度を設定するとともに、回転速度と経過時間とによりモータ10の回転角度を算出する。回転角度演算部35は、その回転角度が所望の目標回転角度に到達すると、モータ10を停止させる停止信号を目標回転速度制御部33に送信する。
停止信号を受けた目標回転速度制御部33は、目標回転速度ω*の値として「0(ゼロ)」を出力する。回転速度制御部32は、モータ10の実際の回転速度ωと、目標回転速度ω*の値「0(ゼロ)」との差を用いて、回転速度ωが目標回転速度ω*に一致するように、モータ10の電流値Iに対する電流指令値I*を算出する。
回転速度制御部32は、モータ10の実際の回転速度ωが「0(ゼロ)」になるまで演算を行う。モータ10の実際の回転速度ωが「0(ゼロ)」となると、モータ10は停止状態となる。
次に、練り羽根5とモータ10の目標回転速度との関係、および、練り羽根5とモータ10の目標回転角度との関係について説明する。
モータ10が回転すると、プーリ7、8の減速機能(例えば、1/5)により、回転軸6は低速で回転する(例えば、250rpm)。回転軸6に連結された練り羽根5は、回転軸6と同じ速度で回転する。
プーリ7、8およびベルト9を介して、練り羽根5に連結されたモータ10は、目標回転速度制御部33により得られた目標回転速度により回転するとともに、ガス抜き工程に
おいて、モータ10の回転角度が回転角度演算部35により得られた目標回転角度に到達すると、モータ10が停止する。
練り羽根5の目標回転速度を250rpmとした場合、プーリ7、8の減速機能(例えば、1/5)により、モータ10の目標回転速度は1250rpmとなる。同様に、練り羽根5の目標回転角度を90度とした場合、モータ10の目標回転角度は450度となる。
以下、上記構成の自動製パン機の、一般的なガス抜き工程における動作について説明する。従来の自動製パン機でパンを作製するとき、ガス抜き工程は、発酵後のパン生地内に存在するガスを抜くための工程である。ガス抜きの成否は、焼成工程でのパンの膨らみなどのパンの出来栄えに影響する。
上述のように、従来のガス抜きの方法には、モータ10の回転方向を切り換えることで、パン生地に強い圧力がかからないようにする方法や、モータ10の間欠駆動により、パン生地の損傷を抑える方法が含まれる。
しかしながら、従来の方法では、必要なパン生地の量は、製パンメニューに依存する。パン生地の量によっては、回転方向を切り換えてもパン生地に強い圧力がかかり、パン生地の損傷を回避できない場合がある。モータ10の間欠駆動では、モータの性能やパン生地の位置により、パン生地の損傷を引き起こす、ガスの抜き過ぎ、または、ガスがうまく抜けない、ガス抜き不足が生じる。
以下、従来の自動製パン機のガス抜き工程における、モータ10の間欠駆動の問題点について図面を用いて説明する。
図3、図4は、従来の自動製パン機のガス抜き工程における、練り羽根5の目標回転速度、モータ10の入力電流、練り羽根5の実際の回転速度の波形図である。図3は、練り羽根5の目標回転角度が180度の場合の波形図であり、図4は、練り羽根5の目標回転角度が90度の場合の波形図である。
図3、図4において、入力電流とは、インバータ部24に流れ込む入力電流を意味する。図3、図4における回転速度および目標回転速度の単位は[V]であり、[rpm]で表すには変換係数を乗算すればよい。
本実施の形態のモータ10の起動方法では、モータ10内の回転子の位置を検出しながら印加電圧を徐々に上げていくことで、モータ10の回転速度を徐々に上昇させ、モータ10を所望の目標回転速度で回転させる。
起動時の印加電圧が大きいと、モータ10への起動電流が大きくなる。上記起動方法は、それを防ぐために用いられる。モータ10の回転速度を徐々に上昇させると、容器3内におけるパン生地の位置に応じて、練り羽根5にかかる負荷が異なり、それにより、練り羽根5の回転速度の立ち上がり方に違いが生じる。
それにもかかわらず、図3、図4に示すように、モータ10を間欠的に駆動すると、練り羽根5の移動回転角度に違いが生じ、その結果、回転速度の立ち上がり方に差が生じる。
負荷が大きい場合、すなわち入力電流が大きい場合(図3に示す波形A1)、回転速度の立ち上がりは小さい(図3に示す波形A2)。負荷が小さい場合、すなわち入力電流が
小さい場合(図3に示す波形B1)、回転速度の立ち上がりは大きい(図3に示す波形B2)。
回転速度の時間積分の値、すなわち、図3、図4における回転速度の面積が、練り羽根5の移動回転角度に相当する。図3に示すように、180度の目標回転角度に対して、練り羽根5の移動回転角度に±20%のバラつきが生じる。図4に示すように、90度の目標回転角度に対しても、練り羽根5の移動回転角度に±20%のバラつきが生じる。
練り羽根5の移動回転角度におけるバラつきの発生は、設定した目標回転角度での最適なガス抜きが実現できていないことを意味する。すなわち、ガスの抜き過ぎ、または、ガス抜き不足が発生する。
本実施の形態において、制御部27は、ガス抜き工程において、モータ10の間欠駆動により、練り羽根5が目標回転角度を有するようにインバータ部24を制御する。制御部27は、練り羽根5の回転角度が所望の目標回転角度に到達すると、モータ10を停止させる停止信号を目標回転速度制御部33に出力する。
制御部27は、練り羽根5を一定時間停止させた後、再び練り羽根5を駆動する。制御部27は、所望の目標回転角度に到達すると、モータ10を再度停止する。
以下、本実施の形態のガス抜き工程において、モータ10の間欠駆動により、練り羽根5が目標回転速度で回転するようにインバータ部24を制御する自動製パン機1の動作について説明する。
図5、図6は、本実施の形態に係る自動製パン機1のガス抜き工程における、練り羽根5の目標回転速度、モータ10の入力電流、練り羽根5の実際の回転速度の波形図である。図5は、練り羽根5の目標回転角度が180度の場合の波形図であり、図6は、練り羽根5の目標回転角度が90度の場合の波形図である。
図5、図6において、入力電流は、インバータ部24に流れ込む入力電流を意味する。図5、図6における回転速度および目標回転速度の単位は[V]であり、[rpm]で表すには変換係数を乗算すればよい。
本実施の形態のモータ10の起動方法では、モータ10内の回転子の位置を検出しながら印加電圧を徐々に上げていくことで、モータ10の回転速度を徐々に上昇させ、モータ10を所望の目標回転速度で回転させる。
起動時の印加電圧が大きいと、モータ10への起動電流が大きくなる。上記起動方法は、それを防ぐために用いられる。モータ10の回転速度を徐々に上昇させると、容器3内におけるパン生地の位置に応じて、練り羽根5にかかる負荷が異なり、それにより、練り羽根5の回転速度の立ち上がり方に違いが生じる。
図5において、ON時間T1は、練り羽根5の負荷が大きく、入力電流が大きい場合(図5に示す波形C1)に、モータ10を駆動する時間である。ON時間T2は、練り羽根5の負荷が小さく、入力電流が小さい場合(図5に示す波形D1)に、モータ10を駆動する時間である。
図5に示すように、ON時間T1はON時間T2より長い。練り羽根5が目標回転角度に到達すると、練り羽根5が停止する。
図6において、ON時間T3は、練り羽根5の負荷が小さく、入力電流が小さい場合(図6に示す波形E1)に、モータ10を駆動する時間である。ON時間T4は、練り羽根5の負荷が大きく、入力電流が大きい場合(図6に示す波形F1)に、モータ10を駆動する時間である。
図6に示すように、ON時間T3はON時間T4より短い。練り羽根5が目標回転角度に到達すると、練り羽根5が停止する。
回転速度の時間積分の値、すなわち、図5、図6における回転速度の面積が、練り羽根5の移動回転角度に相当する。上述の通り、従来の自動製パン機における制御では、180度の目標回転角度に対して、練り羽根5の移動回転角度に±20%のバラつきが生じる。
しかし、本実施の形態によれば、図5に示すように、180度の目標回転角度に対して、練り羽根5の移動回転角度のバラつきを±5%に低減することができる。図6に示すように、90度の目標回転角度に対しても、練り羽根5の移動回転角度のバラつきを±5%に低減することができる。
その結果、ガスの抜き過ぎとガス抜き不足とを発生させることなく、パン生地のガスを安定して抜くことができる。
次に、容器3内のパン原料の量を検出する方法について説明する。本実施の形態では、パン原料の量を検出するために、電流センサ25a、25b、25cが用いられる。
予め、種々の量のパン原料に対して、所定の練り羽根5の回転速度における電流値が測定され、それらのデータがメモリ(図示せず)に記憶される。
練り工程において、練り羽根5が所定の回転速度で駆動され、電流センサ25a、25b、25cが、モータ10に流れる相電流Iu、Iv、Iwを検出する。電流検出部28は、相電流Iu、Iv、Iwから電流値Iを算出する。制御部27は、その電流値Iと記憶されたデータとを比較して、パン原料の量を検出する。
操作部2に、パン原料の量を入力するための操作キーを設けてもよい。
以下、上記方法により検出または入力されたパン原料の量に基づく練り羽根5の動作について説明する。
ガス抜き工程において、制御部27は、容器3内のパン原料の量に応じて、目標回転速度および目標回転角度を設定する。具体的には、制御部27は、容器3内のパン原料の量が増加すると、目標回転速度および目標回転角度をより大きく設定する。
パン原料の量が増加すると、練り羽根にかかる負荷は大きくなる。従って、パン原料の量が多い場合に、パン原料の量が少ない場合と同じ電圧をモータ10に印加すると、練り羽根5の回転速度および移動回転角度が不十分となり、その結果、ガス抜き不足が生じる。
上記方法によりパン原料の量を検出または入力した後、ガス抜き工程において、パン原料の量に応じて練り羽根5の目標回転速度および目標回転角度が設定される。例えば、パン原料が1斤の食パンのための量である場合、目標回転速度は200rpm、目標回転角度は90度に設定される。パン原料が1.5斤の食パンのための量である場合、目標回転
速度は250rpm、目標回転角度は120度に設定される。
本実施の形態では、パン原料の量が増加すると、目標回転速度および目標回転角度をより大きく設定する。これにより、所望の練り羽根5の回転速度および移動回転角度を得ることができる。その結果、十分なガス抜きを行うことが可能となる。
上述のように、本実施の形態に係る制御部27はマイクロコンピュータで構成される。制御部27はマイクロコンピュータに限られるものではない。しかしながら、プログラム可能なマイクロコンピュータを用いれば、処理内容を容易に変更可能であり、設計の自由度を高めることができる。
処理速度の向上のため、制御部27を論理回路で構成することも可能である。制御部27を物理的に一つまたは複数の素子で構成してもよい。制御部27を複数の素子で構成する場合、制御部27に含まれる構成要素を別々の素子で実施してもよい。この場合、これら複数の素子が一つの制御部に対応すると考えることができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の自動製パン機の実施の形態2について説明する。
練り工程の初期では、パン原料は十分練られていない。そのため、練り工程の初期において、低速の回転速度(例えば、60rpm)で練り羽根5を回転させ、パン原料の飛び散りを抑制する。
練り工程において所定の時間が経過すると、パン生地の練りはある程度進行する。このタイミングで、練り羽根5の回転速度を上げる(例えば、250rpm)。
練り羽根5の回転速度を上げると、パン生地が練り羽根5に張り付いた状態で練り羽根5が回転する、いわゆる練り羽根5の空回りが発生することがある。練り羽根5の空回りが発生すると、パン生地を十分に練ることができない。
図7は、従来の自動製パン機の練り工程における、練り羽根5の目標回転速度、モータ10の入力電流の波形図である。
図7に示すように、開始から2.5秒経過すると、入力電流は減少する。この現象は、練り羽根5の空回りにより、練り羽根5にかかる負荷が小さくなっていることを示す。
図8は、本実施の形態に係る自動製パン機1の練り工程における、練り羽根5の目標回転速度、モータ10の入力電流の波形図である。図8に示すように、本実施の形態では、制御部27は、練り工程において、練り羽根5の回転速度を周期的に変動させることにより、回転速度の時間変動の平均が真の目標回転速度に等しくなるように、インバータ部24を制御する。
具体的には、制御部27に含まれた目標回転速度制御部33(図2参照)が、練り羽根5の回転速度の時間変動が正弦波を示すように、練り羽根5の目標回転速度を出力する。例えば、目標回転速度制御部33は、真の目標回転速度250rpmに対して、時間変動が±80rpmの振幅と、4.167Hzの周波数とを有する正弦波とを示すように目標回転速度を変動させる。
本実施の形態によれば、練り工程における練り羽根5の空回りを防止することができる。その結果、パン生地を十分に練ることができる。
本実施の形態では、図8に示すように、回転速度の時間変動が正弦波を示す。しかし、これに限定されない。目標回転速度の時間変動は、正弦波以外の波形を示してもよい。
以上のように、本発明にかかる自動製パン機は、練り羽根の回転によりパン生地が損傷することを抑えることができるので、パン生地を撹拌して調理し、良好な製パン性能が必要な自動製パン機について有用である。
1 自動製パン機
2 操作部
3 容器
4 焼成室
5 練り羽根
6 回転軸
10 モータ
11 出力軸
20 駆動部
21 商用電源
22 整流回路
23 平滑コンデンサ
24 インバータ部
25a、25b、25c 電流センサ
26 パルス出力部
27 制御部
28 電流検出部
29 回転速度演算部
30 電圧出力部
31 電流制御部
32 回転速度制御部
33 目標回転速度制御部
35 回転角度演算部
100〜105 スイッチング素子
110〜115 還流ダイオード

Claims (8)

  1. パン原料を入れるように構成された容器と、
    前記容器内に回転可能に取り付けられる練り羽根と、
    前記練り羽根を回転させるように構成されたモータと、
    前記モータの回転角度に応じてパルス信号を出力するように構成されたパルス出力部と、
    製パン工程において前記モータを駆動するように構成されたインバータ部と、
    前記パルス信号に応じて、前記インバータ部を制御するように構成された制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記製パン工程に含まれたガス抜き工程において、前記パルス信号に基づき前記モータの回転速度を算出し、前記回転速度が目標回転速度となるように前記インバータ部を制御し、
    前記制御部は、前記パルス信号に基づき前記モータの回転角度を算出し、前記回転角度が目標回転角度となるように前記インバータ部を制御するように構成された、自動製パン機。
  2. 前記制御部が、前記ガス抜き工程において、前記モータの間欠駆動により前記練り羽根が目標回転角度となるように、前記インバータ部を制御するように構成された、請求項1に記載の自動製パン機。
  3. 前記制御部が、前記製パン工程に含まれた練り工程において、前記練り羽根の回転速度を変動させることにより、前記回転速度の時間変動の平均が目標回転速度に等しくなるように、前記インバータ部を制御するように構成された、請求項1に記載の自動製パン機。
  4. 前記制御部が、前記練り工程において、前記練り羽根の前記回転速度の前記時間変動が正弦波を示すように、前記インバータ部を制御するように構成された、請求項3に記載の自動製パン機。
  5. 前記制御部が、前記パン原料の量に応じて、前記目標回転速度および前記目標回転角度を設定するように構成された、請求項1に記載の自動製パン機。
  6. 前記パン原料の量が増加した場合に、前記制御部が前記目標回転速度および前記目標回転角度をより大きく設定するように構成された、請求項5に記載の自動製パン機。
  7. 前記制御部が前記パン原料の量を検出するように構成された、請求項5に記載の自動製パン機。
  8. 前記パン原料の量を入力するように構成された操作部をさらに備えた、請求項5に記載の自動製パン機。
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