以下、図面を参照して、実施形態に係るマンモグラフィ装置を説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の一例を説明する。図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、基台101と、スタンド102とを有する。スタンド102は、基台101上に立設され、X線管103と、X線絞り器104と、圧迫板保持器105と、撮影台107とを支持する。
スタンド102は、Cアーム(図1において、X線管103、X線絞り器104、圧迫板保持器105及び撮影台107を含む部分)を移動可能に支持する。例えば、スタンド102は、図示しない昇降駆動回路と接続される。昇降駆動回路は、処理回路113による制御の下、モータ等を用いて発生させた駆動力を用いて、Cアームを移動させる。一例を挙げると、昇降駆動回路は、Cアームを上下方向(図1に示すZ方向)へ移動させる。また、一例を挙げると、昇降駆動回路は、処理回路113による制御の下、Cアームを、図1に示すY方向を回転軸として回転移動させる。
X線管103は、高電圧発生器109から供給された高電圧を用いて、X線を発生させる。X線絞り器104は、X線管103と圧迫板106との間に配置され、X線管103から発生したX線の照射範囲を制御する。
圧迫板保持器105は、圧迫板106を支持する。また、圧迫板保持器105は、Cアームにおいて、X線管103及びX線絞り器104と接離する方向に移動することができる。例えば、Cアームは、図示しない昇降駆動回路と接続され、昇降駆動回路は、処理回路113による制御の下、モータ等を用いて発生させた駆動力を用いて圧迫板保持器105を移動させる。
圧迫板106は、圧迫板保持器105に支持されることにより、撮影台107の上方に配置される。そして、圧迫板106は、撮影台107に対して平行に対向するとともに、圧迫板保持器105の移動に伴い、撮影台107に対して接離する方向へ移動する。例えば、圧迫板106は、圧迫板保持器105の移動に伴って撮影台107に接近する方向に移動し、撮影台107上に支持されている被検体の乳房Pを圧迫する。圧迫板106により圧迫された被検体の乳房Pは薄く押し広げられ、乳腺の重なりが減少する。また、圧迫板106は、撮影モードに応じて切り替えが可能である。なお、圧迫板106の切り替えについては後述する。
撮影台107は、被検体の乳房Pを支持する台であり、X線検出装置108を含む。また、撮影台107は、CアームにおいてX線管103及びX線絞り器104と接離する方向に移動できる場合であってもよいし、Cアームにおける位置が固定される場合であってもよい。撮影台107がCアームにおいて移動できる場合、撮影台107の高さの調整は、スタンド102に対してCアームを上下動させることにより行ってもよいし、Cアームに対して撮影台107を上下動させることにより行ってもよい。撮影台107がCアームに対して固定されている場合、撮影台107の高さの調整は、スタンド102に対してCアームを上下動させることにより行われる。
また、撮影台107は、撮影モードに応じた切り替えが可能である。例えば、撮影台107は、密着撮影に対応する撮影台107から拡大撮影に対応する撮影台107への切り替えが可能である。ここで、密着撮影に対応する撮影台107と拡大撮影に対応する撮影台107とは、被検体の乳房Pが載せられる載置面の高さが異なる。なお、撮影台107の切り替えについては後述する。
X線検出装置108は、被検体の乳房Pを透過したX線を検出して電気信号(透過X線データ)に変換し、変換した電気信号から投影データを生成する。例えば、X線検出装置108は、X線検出器と信号処理回路とから構成される。X線検出装置108におけるX線検出器は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ画素を有し、X線管103から照射されたX線パルスを検出して電気信号を生成する。X線検出器によって生成された電気信号は、X線検出器に保持され、X線パルスの照射後に読み出される。また、X線検出装置108における信号処理回路は、X線検出器によって変換された電気信号から投影データを生成し、記憶回路111に格納する。
また、図1に示すように、マンモグラフィ装置1は、高電圧発生器109と、入力回路110と、記憶回路111と、ディスプレイ112と、処理回路113とを有する。
高電圧発生器109は、X線管103に接続され、処理回路113による制御の下、X線を発生するための高電圧をX線管103に供給する。
入力回路110は、マンモグラフィ装置1を操作する操作者から各種指示を受け付ける。例えば、入力回路110は、マウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティック、タッチパネルなどを有し、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路113に出力する。
記憶回路111は、マンモグラフィ装置1によって生成された各種の画像データを記憶する。例えば、記憶回路111は、X線検出装置108において生成された投影データや、処理回路113において生成されたマンモグラフィ画像を記憶する。また、記憶回路111は、処理回路113がマンモグラフィ装置1による処理の全体を制御する際に用いるデータを記憶する。例えば、記憶回路111は、図1に示す各回路によって実行されるプログラムを記憶する。
ディスプレイ112は、操作者から各種コマンドの入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、ディスプレイ112は、マンモグラフィ装置1によって生成された画像を表示する。
処理回路113は、制御機能113a、検知機能113b及び取得機能113cを実行することで、マンモグラフィ装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路113は、制御機能113aに対応するプログラムを記憶回路111から読み出して実行することにより、撮影台107と圧迫板106との間で乳房Pを圧迫したり、圧迫された乳房Pからの投影データの収集処理を制御したり、投影データに基づいてマンモグラフィ画像を生成したりする。
例えば、処理回路113は、昇降駆動回路を制御することで、被検体が乳房Pを載置しやすいように撮影台107の高さを調整する。次に、処理回路113は、昇降駆動回路を制御することで圧迫板保持器105を移動させ、撮影台107に載置された乳房Pを、撮影台107と圧迫板106との間で圧迫する。なお、処理回路113は、乳房Pを圧迫する方向を制御することができる。例えば、処理回路113は、Cアームを傾けない状態において圧迫板保持器105を移動させることで、撮影台107に載置された乳房PをCC(Cranio-Caudal:頭尾)方向で圧迫する。また、例えば、処理回路113は、被検体が乳房Pを撮影台107に載置する前にCアームを傾け、Cアームを傾けた状態において圧迫板保持器105を移動させることで、撮影台107に載置された乳房PをMLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位)方向で圧迫する。また、処理回路113は、乳房Pへの照射角度を一定に保った状態で、乳房Pに対してX線を照射し、投影データを収集する。また、処理回路113は、収集した投影データに基づいて、MLO画像やCC画像を生成する。
また、例えば、処理回路113は、検知機能113bに対応するプログラムを記憶回路111から読み出して実行することにより、撮影モードの切り替えを検知する。また、例えば、処理回路113は、取得機能113cに対応するプログラムを記憶回路111から読み出して実行することにより、圧迫板保持器105や撮影台107の目標位置の情報を取得する。なお、この点については後述する。
ここで、図1に示すマンモグラフィ装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路111へ記憶されている。処理回路113は、記憶回路111からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路113は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路113にて、制御機能113a、検知機能113b及び取得機能113cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路113を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路を意味する。プロセッサは記憶回路111に記憶されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路111にプログラムを記憶させる代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を一つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、マンモグラフィ装置1の構成について説明した。かかる構成の下、マンモグラフィ装置1は、撮影モードの切り替えを容易にする。以下、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1が行う処理について、詳細に説明する。なお、以下では、切り替え前の撮影モードを第1の撮影モードと記載し、切り替え後の撮影モードを第2の撮影モードと記載する。また、第1の実施形態では、第1の撮影モードが密着撮影であり、第2の撮影モードが拡大撮影である場合について説明する。また、第1の実施形態では、CC方向で被検体の乳房Pを圧迫する場合について説明する。
例えば、マンモグラフィ装置1は、まず、被検体の乳房Pに対する密着撮影を実行する。ここで、密着撮影は、後述する拡大撮影と比較して、乳房Pの広範囲を撮影する撮影モードである。例えば、操作者は、密着撮影により収集されたマンモグラフィ画像を用いて、病変(例えば、乳腺の石灰化)の有無や、病変の疑われる部分の位置等を判断することができる。
密着撮影を実行するためには、制御機能113aは、まず、密着撮影用の撮影台107及び圧迫板106を用いて、被検体の乳房Pを圧迫する。ここで、図2を用いて、密着撮影用の撮影台107及び圧迫板106について説明する。図2は、第1の実施形態に係る密着撮影用の撮影台107及び圧迫板106について説明するための図である。
図2に示すアダプタ107aは、撮影台107を密着撮影に対応させる装置である。言い換えると、密着撮影に対応する撮影台107は、アダプタ107a及びX線検出装置108から構成される。なお、アダプタ107aの上面は、密着撮影に対応する撮影台107の載置面となる。また、アダプタ107aは、散乱線によるアーチファクトを低減するためのグリッド、及び、グリッドによる線状アーチファクトを低減するためのグリッド振動機能を有するものであってもよい。また、以下では、密着撮影に対応する撮影台107を、密着撮影台とも記載する。
図2に示す圧迫板106aは、圧迫板106の一例であり、密着撮影に対応する圧迫板106である。例えば、図2に示すように、圧迫板106aの取付け部を圧迫板保持器105に差し込むことで、圧迫板106aは圧迫板保持器105に装着される。圧迫板106aは、圧迫板保持器105に取り付けられた後、制御機能113aによる制御の下、圧迫板保持器105に伴って上下動し、密着撮影台との間で乳房Pを圧迫する。
例えば、制御機能113aは、まず、操作者からの操作に基づいて、被検体の乳房Pの高さまで撮影台107を移動させる。ここで、撮影台107の移動は、スタンド102に対してCアームを上下動させることにより行ってもよいし、Cアームに対して撮影台107を上下動させることにより行ってもよい。一例を挙げると、制御機能113aは、立位の被検体における乳房Pの下端の高さが、撮影台107の載置面の高さに合うように、撮影台107を上下動させる。次に、制御機能113aは、載置面と圧迫面との間に乳房Pを配置するための十分な隙間ができるよう、圧迫板保持器105を上昇させる。次に、乳房Pが撮影台107の載置面に載置され、制御機能113aは、圧迫板保持器105を下降させることで、載置面に載置された乳房Pを圧迫板106aの圧迫面により圧迫する。
そして、制御機能113aは、撮影台107の載置面と、圧迫板106aの圧迫面との間で圧迫された被検体の乳房Pに対して、X線管103からX線を照射し、乳房Pを透過したX線をX線検出装置108で検出することで投影データを収集する。また、制御機能113aは、収集した投影データに基づいて、密着撮影によるマンモグラフィ画像を生成する。そして、制御機能113aは、生成したマンモグラフィ画像をディスプレイ112に表示させる。
ここで、密着撮影によるマンモグラフィ画像を読影した操作者により、病変の疑われる部分があると判断された場合、マンモグラフィ装置1は、被検体の乳房Pに対する拡大撮影を更に実行する。ここで、拡大撮影は、乳房Pをより詳細に検査するための撮影モードである。例えば、マンモグラフィ装置1は、密着撮影によるマンモグラフィ画像において病変が疑われた部分について、拡大撮影によるマンモグラフィ画像を収集し、操作者に提示する。操作者は、拡大撮影によるマンモグラフィ画像を用いて、密着撮影によるマンモグラフィ画像において病変の疑われた部分が病変であるか否か、あるいは病変の状態や後の治療計画について判断することができる。
拡大撮影を実行するためには、制御機能113aは、まず、拡大撮影用の撮影台107及び圧迫板106を用いて、被検体の乳房Pを圧迫する。ここで、図3を用いて、拡大撮影用の撮影台107及び圧迫板106について説明する。図3は、第1の実施形態に係る拡大撮影用の撮影台107及び圧迫板106について説明するための図である。
図3は、密着撮影の後、アダプタ107a及び圧迫板106aが取り外された状態を示す。図3において、撮影台107は、X線検出装置108により構成される。図3に示すアダプタ107bは、撮影台107を拡大撮影に対応させる装置である。言い換えると、拡大撮影に対応する撮影台107は、アダプタ107b及びX線検出装置108から構成される。なお、アダプタ107bの上面は、拡大撮影に対応する撮影台107の載置面となる。また、以下では、拡大撮影に対応する撮影台107を、拡大撮影台とも記載する。
上述したように、撮影台107は、アダプタ107a及びX線検出装置108から構成される場合(密着撮影台である場合)と、アダプタ107b及びX線検出装置108から構成される場合(拡大撮影台である場合)と、X線検出装置108のみから構成される場合とがある。従って、撮影台107を移動させるには、アダプタ107a及びX線検出装置108(密着撮影台)を移動させる場合と、アダプタ107b及びX線検出装置108(拡大撮影台)を移動させる場合と、X線検出装置108のみを移動させる場合とがある。
次に、密着撮影台及び拡大撮影台の載置面の高さについて、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る載置面の高さについて説明するための図である。図4に示すように、撮影台107を密着撮影に対応させるためのアダプタ107aは、X線検出装置108を覆う薄型のカバーのような形状を有する。このようなアダプタ107aを用いることにより、撮影時に乳房PとX線検出装置108の検出面との距離が小さくなり、乳房Pの広範囲を撮影することができる。一方で、撮影台107を拡大撮影に対応させるためのアダプタ107bは、アダプタ107aと比較して高さ(厚み)が大きい形状を有する。このようなアダプタ107bを用いることにより、撮影時に乳房PとX線検出装置108における検出面との距離が大きくなり、拡大率の大きいマンモグラフィ画像を収集することができる。
即ち、図4の矢印に示すように、アダプタ107aとアダプタ107bとは、取付け部(マンモグラフィ装置1に装着するための接続部分)からの載置面の高さが異なる。そのため、アダプタ107aをアダプタ107bに交換すると、撮影台107における載置面の高さが変化し、被検体が乳房Pを載置しにくくなる。そこで、操作者は、被検体が乳房Pを載置しやすいように、拡大撮影台における載置面の高さを、被検体における乳房Pの高さに応じて調整する。
次に、密着撮影に対応する圧迫板106a及び拡大撮影に対応する圧迫板106bの圧迫面の高さについて、図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態に係る圧迫面の高さについて説明するための図である。
図5に示すように、圧迫板106aと圧迫板106bとは形状が異なる。即ち、拡大撮影では、密着撮影と比較して撮影対象となる範囲が小さいことに応じて、圧迫板106bの圧迫面は、圧迫板106aの圧迫面と比較して小さくなっている。また、図5の矢印に示すように、圧迫板106aと圧迫板106bとは、取付け部(圧迫板保持器105に装着するための接続部分)からの圧迫面の高さが異なるため、撮影モードを拡大撮影に切り替えるためには、操作者は、圧迫面の高さを調整する必要がある。
ここで、撮影モードを密着撮影から拡大撮影に切り替える際の操作者の操作及びマンモグラフィ装置1の動作の一例について、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る撮影モードの切り替えについて説明するための図である。なお、図6は、後述する目標位置の情報の取得を行うことなく撮影モードを切り替える場合を示す。
まず、密着撮影台及び圧迫板106aを用いて密着撮影が実行される。次に、操作者は、図6に示すように、密着撮影用のアダプタ107a及び圧迫板106aをマンモグラフィ装置1から取り外す。次に、操作者は、入力回路110が有する圧迫板保持器移動ボタンを押下する。圧迫板保持器移動ボタンが押下されると、マンモグラフィ装置1は、圧迫板保持器105を上端まで移動させる。その後、操作者は、拡大撮影用のアダプタ107b及び圧迫板106bを、マンモグラフィ装置1に装着する。
ここで、圧迫板保持器105を移動させず、圧迫板保持器105が低い位置にある状態においてアダプタ107bを装着しようとすると、アダプタ107bの高さ(厚み)がアダプタ107aと比較して大きいことから、アダプタ107bと圧迫板保持器105とで干渉するおそれがある。また、アダプタ107bを装着できたとしても、圧迫板106bを装着しようとした際に、圧迫板106bとアダプタ107bとで干渉するおそれがある。操作者としては、圧迫板保持器105をどの程度上昇させれば干渉を回避できるのか正確に把握しておらず、確実に干渉を回避するため、通常、圧迫板保持器105を上端まで移動させる。
そして、操作者は、被検体における乳房Pの高さと、拡大撮影用に切り替えた撮影台107の載置面の高さとに応じて、撮影台107の高さを調整するための操作を行う。この操作に応じて、マンモグラフィ装置1は、撮影台107を上下動させる。次に、被検体の乳房Pが撮影台107の載置面に載置される。そして、操作者は、圧迫板保持器105の高さを調整するための操作を行い、マンモグラフィ装置1は、操作者による操作に基づいて圧迫板保持器105を上下動させて乳房Pを圧迫する。
上述したように、撮影モードを密着撮影から拡大撮影に切り替えるためには、操作者は、撮影台107や圧迫板保持器105の高さ調整を含む複数の操作を行う必要があり、撮影モードを切り替えには手間がかかる。そこで、処理回路113は、操作者の操作から撮影モードの切り替えを検知し、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標位置の情報を取得することで、撮影モードの切り替えを容易にする。以下、この点について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、第1の実施形態に係る撮影モードの切り替えについて説明するための図である。
まず、密着撮影台及び圧迫板106aを用いて密着撮影が実行される。次に、操作者は、図7に示すように、密着撮影用のアダプタ107a及び圧迫板106aをマンモグラフィ装置1から取り外し、拡大撮影用の圧迫板106bを装着する。ここで、検知機能113bは、密着撮影用のアダプタ107a及び圧迫板106aが取り外されたことと、拡大撮影用の圧迫板106bが装着されたこととに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する。
なお、検知機能113bは、アダプタ107aが取り外されたか否かに関わらず、圧迫板106aが取り外されたこと及び圧迫板106bが装着されたことに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する場合であってもよい。即ち、圧迫板106aが圧迫板106bに切り替えられた場合、検知機能113bは、操作者が検査を終了しようとしているのではなく、撮影モードを拡大撮影に切り替えようとしているものと判定する。
一例を挙げると、検知機能113bは、圧迫板106aから圧迫板106bへの切り替えを検知するセンサを用いて、撮影モードの切り替えを検知する。切り替えを検知するセンサは、例えば、圧迫板106aと圧迫板106bとの重量の違いを検知する重量センサである。このような重量センサは、圧迫板保持器105に設けられる。また、例えば、切り替えを検知するセンサは、圧迫板106aと圧迫板106bとの形状の違いを検知する光学センサである。このような光学センサは、圧迫板保持器105に設けられてもよいし、マンモグラフィ装置1や検査室における圧迫板保持器105以外の位置に設けられてもよい。
図7に示すように、検知機能113bが撮影モードの切り替えを検知した場合、取得機能113cは、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離を取得し、制御機能113aは、取得機能113cが取得した目標移動距離を保持する。また、図7に示すように、入力回路110が備える移動ボタンが操作者により押下されると、制御機能113aは、保持する目標移動距離に基づいて、目標位置まで、撮影台107及び圧迫板保持器105を上下動させる。以下、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離について詳細に説明する。なお、目標移動距離は、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標位置の情報の一例である。
まず、撮影台107の目標移動距離の取得について説明する。例えば、取得機能113cは、密着撮影台の載置面の高さと、拡大撮影台の載置面の高さとが一定になるように、撮影台107の目標移動距離を取得する。
例えば、取得機能113cは、密着撮影が行われた際の載置面の高さと、アダプタ107a及びアダプタ107bの寸法とに基づいて、撮影台107の目標移動距離を算出する。以下、密着撮影が行われた際の載置面の床からの高さが「100cm」であり、図4の左図に示すアダプタ107aの高さ(アダプタ107aの下面から載置面までの長さ)が「10cm」であり、図4の右図に示すアダプタ107bの高さ(アダプタ107bの下面から載置面までの長さ)が「30cm」である場合を一例として説明する。
まず、取得機能113cは、密着撮影が行われた際の密着撮影台における載置面の高さを取得する。例えば、取得機能113cは、密着撮影が行われた際の密着撮影台の位置(例えば、アダプタ107aの取付け部の位置)と、密着撮影台における載置面の位置(例えば、アダプタ107aの取付け部に対する載置面の位置)とに基づいて、密着撮影が行われた際の載置面の高さを取得する。なお、密着撮影台の位置は制御機能113aにより制御されるものであるため、取得機能113cは、制御機能113aによる制御のログから、密着撮影が行われた際の密着撮影台の位置を取得することができる。ここで、密着撮影が行われた際の載置面の高さは、被検体の乳房Pを載置しやすいように調整された高さである。即ち、密着撮影が行われた際の載置面の床からの高さ「100cm」は、被検体の乳房Pを載置するのに適した載置面の高さである。
また、取得機能113cは、密着撮影台を拡大撮影台に切り替えた場合における載置面の高さの変化を取得する。例えば、取得機能113cは、高さ「10cm」のアダプタ107aと、高さ「30cm」のアダプタ107bとの載置面の高さの差(図4に示す矢印の長さ)に基づいて、撮影台107を切り替えた場合の載置面の高さの変化として、載置面の高さが「20cm」上昇することを算出する。
そして、取得機能113cは、密着撮影が行われた際の載置面の床からの高さ「100cm」と、撮影台107を切り替えた場合における載置面の高さの変化「20cm」とに基づいて、撮影台107の目標移動距離を取得する。ここで、密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に、撮影台107が移動されている場合がある。例えば、アダプタ107a及び圧迫板106aを取り外したり、圧迫板106bを装着したりといった操作を行いやすいように、操作者により、撮影台107が移動されている場合がある。
密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動された場合、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の撮影台107の位置(現在の撮影台107の位置)を基準として、撮影台107の目標移動距離を算出する。例えば、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の撮影台107の位置として、撮影モードの切り替えを検知した際における密着撮影台の載置面の高さを取得する。なお、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際に既にアダプタ107aが取り外されている場合であっても、アダプタ107aが装着されていることを仮定して、密着撮影台の載置面の高さを取得することができる。
例えば、撮影モードの切り替えを検知した際の密着撮影台の載置面の床からの高さが「90cm」である場合において、拡大撮影用のアダプタ107bをそのまま装着すると、載置面の床からの高さは「110cm」となる。従って、取得機能113cは、撮影台107の目標移動距離として、撮影台107を「10cm」下降させることを算出する。そして、制御機能113aが撮影台107を「10cm」下降させることで、拡大撮影台の載置面の高さを、被検体の乳房Pを載置するのに適した高さ「100cm」とすることができる。
また、密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に、撮影台107が移動されていない場合もある。この場合、拡大撮影用のアダプタ107bをそのまま装着すると、載置面の床からの高さは「120cm」となる。従って、取得機能113cは、撮影台107の目標移動距離として、撮影台107を「20cm」下降させることを算出する。そして、制御機能113aが撮影台107を「20cm」下降させることで、拡大撮影台の載置面の高さを、被検体の乳房Pを載置するのに適した高さ「100cm」とすることができる。
なお、密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されていない場合、取得機能113cは、密着撮影が行われた際の載置面の高さを用いることなく、アダプタ107a及びアダプタ107bの寸法のみに基づいて、撮影台107の目標移動距離を算出することもできる。例えば、取得機能113cは、撮影台107を切り替えた場合に載置面の高さが「20cm」上昇することに基づいて、撮影台107の目標移動距離「20cm」を取得することができる。
また、密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されず、かつ、撮影台107を密着撮影に対応させるためのアダプタ107a及び撮影台107を拡大撮影に対応させるためのアダプタ107bがそれぞれ1種類しかない場合、撮影台107の目標移動距離は、被検体によらず一定となる。従って、このような場合には、取得機能113cは、撮影台107の目標移動距離を固定値として取得してもよい。
また、密着撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されず、かつ、アダプタ107a及びアダプタ107bの少なくとも一方が複数種類ある場合、取得機能113cは、予め設定された対応情報に基づいて、撮影台107の目標移動距離を取得してもよい。
例えば、アダプタ107aの種類が「アダプタ107a1」の1種類であり、アダプタ107bの種類が「アダプタ107b1」及び「アダプタ107b2」の2種類である場合において、「アダプタ107a1」が「アダプタ107b1」に交換された場合における目標移動距離が「20cm」であり、「アダプタ107a1」が「アダプタ107b2」に交換された場合における目標移動距離が「30cm」であることを示す対応情報が、予め記憶回路111に記憶される。そして、取得機能113cは、検査に用いられるアダプタ107bが、「アダプタ107b1」であるか「アダプタ107b2」であるかに応じて、目標移動距離として、「20cm」及び「30cm」のいずれかを取得する。
次に、圧迫板保持器105の目標移動距離の取得について説明する。例えば、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した時点における載置面から圧迫面までの高さを維持するための圧迫板保持器105の目標移動距離を算出する。例えば、まず、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫面の高さとして、撮影モードの切り替えを検知した時点での圧迫板106aの圧迫面の高さを、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの戴置面からの高さとして取得する。
一例を挙げると、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫面の高さとして、圧迫板106bが圧迫板保持器105に装着された時点における圧迫板106aの圧迫面の高さを取得する。ここで、取得機能113cは、圧迫面の高さとして、アダプタ107a戴置面から、圧迫板106aの圧迫面までの高さを取得する。なお、取得機能113cは、既にアダプタ107a及び圧迫板106aが取り外されている場合であっても、アダプタ107a及び圧迫板106aが装着されていることを仮定して載置面及び圧迫面の高さを取得し、載置面から圧迫面までの高さを取得することができる。
例えば、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した時点の圧迫板保持器105の位置(例えば、圧迫板保持器105において図5の取付け部が差し込まれる位置)と、圧迫板保持器105に対する圧迫面の位置(例えば、図5における取付け部に対する圧迫面の位置)とに基づいて、撮影モードの切り替えを検知した時点での圧迫板106aの圧迫面の高さを取得する。一例を挙げると、撮影モードの切り替えを検知した時点の圧迫板保持器105の位置が、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの載置面から「30cm」であり、図5における圧迫板106aの取付け部から圧迫面までの長さが「5cm」である場合、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫板106aの圧迫面の高さを、載置面から「25cm」と算出することができる。なお、圧迫板保持器105の位置は制御機能113aにより制御されるものであるため、取得機能113cは、制御機能113aによる制御のログから、撮影モードの切り替えを検知した時点の圧迫板保持器105の位置を取得することができる。
また、取得機能113cは、圧迫板106aを圧迫板106bに切り替えた場合における圧迫面の高さの変化を取得する。例えば、図5における圧迫板106aの取付け部から圧迫面までの長さが「5cm」であり、圧迫板106bの取付け部から圧迫面までの長さが「3cm」である場合、取得機能113cは、圧迫板106aを圧迫板106bに切り替えた場合における圧迫面の高さの変化として、圧迫面が「8cm」上昇することを算出する。
また、取得機能113cは、密着撮影に対応させるためのアダプタ107a及び撮影台107を拡大撮影に対応させるためのアダプタ107bがそれぞれ1種類しかない場合、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aから、この後に装着される拡大撮影に対応するアダプタ107bへの切り替えで戴置面の高さが「20cm」上昇することを算出する。そして、取得機能113cは、圧迫面の高さの変化と、戴置面の高さの変化とから、戴置面から圧迫面までの距離が「12cm」小さくなることを算出する。この計算に基づいて。取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する。
例えば、撮影モードの切り替えを検知した際、圧迫板保持器105の高さが、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの戴置面から「40cm」であると、圧迫板106aにおける圧迫面の高さは、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの戴置面から「35cm」となる。ここで、圧迫板106aから圧迫板106bに切り替えると、圧迫板106bにおける圧迫面の高さは、密着撮影台の載置面から「43cm」となる。更に、この後に装着される拡大撮影に対応するアダプタ107bへの切り替えによって戴置面の高さが「20cm」上昇するので、戴置面から圧迫面までの距離は、「23cm」となる。従って、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離として、圧迫板保持器105を「12cm」上昇させることを算出する。そして、制御機能113aが圧迫板保持器105を「12cm」上昇させることで、拡大撮影に対応する圧迫板106bの圧迫面の高さを、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫板106aの圧迫面の高さと同様に「35cm」とすることができる。
また、例えば、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫板保持器105の高さが取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの戴置面から「35cm」であり、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫板106aの圧迫面の高さが戴置面から「30cm」である場合、圧迫板106aから圧迫板106bに切り替えると、圧迫板106bにおける圧迫面の高さは、取り外された密着撮影に対応するアダプタ107aの戴置面から「38cm」となる。この圧迫面の高さは、この後に装着される拡大撮影に対応するアダプタ107bの戴置面から「18cm」となる。従って、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離として、圧迫板保持器105を「12cm」上昇させることを算出する。そして、制御機能113aが圧迫板保持器105を「12cm」上昇させることで、拡大撮影に対応する圧迫板106bの圧迫面の高さを、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫板106aの圧迫面の高さと同様に「30cm」とすることができる。
上述したように、取得機能113cは、アダプタ107a、アダプタ107b、圧迫板106a及び圧迫板106bの寸法に基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離を算出することができる。即ち、取得機能113cは、圧迫板106aを圧迫板106bに切り替えた場合に載置面の高さが「8cm」上昇し、アダプタの戴置面が「20cm」上昇することに基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離「12cm」を取得することができる。
また、撮影台107を密着撮影に対応させるためのアダプタ107a及び撮影台107を拡大撮影に対応させるためのアダプタ107bがそれぞれ1種類しかなく、かつ、圧迫板106a及び圧迫板106bがそれぞれ1種類しかない場合、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離「12cm」を、固定値として取得してもよい。また、圧迫板106a及び圧迫板106bの少なくとも一方が複数種類ある場合、取得機能113cは、予め設定された対応情報に基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得してもよい。
なお、載置面からの高さを基準として圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する場合について説明したが、高さの基準は載置面に限定されるものではない。例えば、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離を、床からの高さを基準として取得する場合であってもよい。即ち、載置面や圧迫面の高さは、床や天井を基準としてもよいし、マンモグラフィ装置1における任意の点を基準としてもよいし、マンモグラフィ装置1が設置された部屋の任意の点を基準としてもよい。
次に、撮影台107及び圧迫板保持器105の移動について説明する。図7に示すように、操作者が、入力回路110が備える移動ボタンを押下すると、制御機能113aは、保持する目標移動距離に基づいて、目標位置まで、撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。例えば、移動ボタンは一つのボタンであり、制御機能113aは、移動ボタンを押す単一の入力操作に応じて、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる。
また、制御機能113aは、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる際には、操作者や被検体に注意を促すため、撮影台107及び圧迫板保持器105が移動することを通知することとしてもよい。例えば、マンモグラフィ装置1における任意の位置(例えば、入力回路110が備える操作スイッチ)にLED(Light Emitting Diode)が設けられ、制御機能113aは、撮影台107及び圧迫板保持器105が移動する際にLEDを発光させて、操作者に通知する。また、例えば、制御機能113aは、撮影台107及び圧迫板保持器105が移動することを、ディスプレイ112への表示や音により通知する。
図7に示すように、目標移動距離に基づき撮影台107及び圧迫板保持器105が移動された後、操作者は、拡大撮影用のアダプタ107bを装着する。また、拡大撮影台の載置面及び圧迫板106bの圧迫面の間に乳房Pを配置した後、制御機能113aは、圧迫板保持器105を下降させることで乳房Pを圧迫する。また、制御機能113aは、乳房Pを圧迫した状態で、X線管103からX線を照射し、乳房Pを透過したX線をX線検出装置108で検出することで、投影データを収集する。また、制御機能113aは、収集した投影データに基づいて、拡大撮影によるマンモグラフィ画像を生成する。そして、制御機能113aは、生成したマンモグラフィ画像をディスプレイ112に表示させる。
なお、取得機能113cが目標移動距離を取得した場合であっても、制御機能113aは、目標移動距離に基づく撮影台107及び圧迫板保持器105の移動を実行しない場合であってもよい。例えば、操作者から、目標移動距離に基づく移動を実行しない旨の入力操作があった場合、制御機能113aは、入力操作に応じて目標移動距離の保持を解除する。そして、制御機能113aは、目標移動距離に基づく移動を実行することなく、操作者による操作に基づいて、撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。
一例を挙げると、入力回路110は、目標移動距離に基づく移動を実行しない旨の入力操作を受け付けるための解除ボタンを備える。そして、制御機能113aは、操作者が解除ボタンを押下したことに応じて、目標移動距離の保持を解除する。なお、入力回路110が備える解除ボタンは、目標移動距離の保持を解除した後、再度、目標移動距離を保持できるものであってもよい。即ち、解除ボタンは、目標移動距離の保持のON/OFFを切り替えられるものであってもよい。
ここで、入力回路110は、撮影台107の目標移動距離に係る解除ボタンと、圧迫板保持器105の目標移動距離に係る解除ボタンとをそれぞれ有する場合であってもよい。この場合、制御機能113aは、操作者が、撮影台107の目標移動距離に係る解除ボタンを押下したことに応じて、撮影台107の目標移動距離の保持を解除する。また、制御機能113aは、操作者が、圧迫板保持器105の目標移動距離に係る解除ボタンを押下したことに応じて、圧迫板保持器105の目標移動距離の保持を解除する。
次に、マンモグラフィ装置1による処理の手順の一例を、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS102、ステップS105、ステップS106及びステップS107は、制御機能113aに対応するステップである。ステップS103は、検知機能113bに対応するステップである。ステップS104は、取得機能113c及び制御機能113aに対応するステップである。
まず、処理回路113は、検査開始コマンドを受け付けたか否かを判定し(ステップS101)、検査開始コマンドを受け付けない場合には待機状態となる(ステップS101否定)。一方で、検査開始コマンドを受け付けた場合(ステップS101肯定)、処理回路113は、密着撮影台と圧迫板106aとの間に配置された乳房Pに対してX線を照射し、密着撮影を実行する(ステップS102)。
次に、処理回路113は、撮影モードの切り替えを検知したか否かを判定する(ステップS103)。撮影モードの切り替えを検知した場合(ステップS103肯定)、処理回路113は、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離を取得して保持する(ステップS104)。ここで、処理回路113は、目標移動距離に基づく移動を実行するか否かを判定し(ステップS105)、目標移動距離に基づく移動を実行する場合には(ステップS105肯定)、目標移動距離に基づいて、目標位置まで撮影台107及び圧迫板保持器105を上下動させる(ステップS106)。
ステップS106の後、又は、目標移動距離に基づく移動を実行しない場合であって(ステップS105否定)、操作者からの操作に応じて撮影台107及び圧迫板保持器105を上下動させた後、処理回路113は、拡大撮影台と圧迫板106bとの間に配置された乳房Pに対してX線を照射し、拡大撮影を実行する(ステップS107)。また、処理回路113は、拡大撮影を実行した後、又は、ステップS103において撮影モードの切り替えを検知しなかった場合、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、X線管103は、被検体にX線を照射する。撮影台107は、被検体の乳房Pが載置される。検知機能113bは、操作者の操作に基づいて、密着撮影から拡大撮影への撮影モードの切り替えを検知する。取得機能113cは、検知機能113bが切り替えを検知したことに応じて、拡大撮影台の載置面の高さに応じた、撮影台107の目標移動距離を取得する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、密着撮影から拡大撮影に撮影モードを切り替える際、撮影台107を目標移動距離に基づいて移動させることで、載置面の高さ調整のための操作者の負担を軽減し、撮影モードの切り替えを容易にすることができる。
また、第1の実施形態によれば、取得機能113cは、更に、検知機能113bが切り替えを検知したことに応じて、拡大撮影に対応する圧迫板106aの圧迫面の高さに応じた、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、密着撮影から拡大撮影に撮影モードを切り替える際、圧迫板保持器105を目標移動距離に基づいて移動させることで、圧迫面の高さ調整のための操作者の負担を軽減し、撮影モードの切り替えを容易にすることができる。また、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、圧迫板保持器105を上端まで移動させなくとも干渉を回避できるため、圧迫板保持器105の移動距離、及び、撮影モードの切り替えに要する時間を短縮することができる。
また、第1の実施形態によれば、操作者からの単一の入力操作に応じて、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる。従って、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、撮影モード切り替えのための操作者の操作の手数を減らし、撮影モードの切り替えを更に容易にすることができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、第1の撮影モードが密着撮影であり、第2の撮影モードが拡大撮影である場合について説明した。これに対して第2の実施形態では、第1の撮影モードが拡大撮影であり、第2の撮影モードが密着撮影である場合について説明する。なお、第2の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、図1に示した第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1と同様の構成を有し、制御機能113a、検知機能113b及び取得機能113cにおける処理が一部相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、撮影モードを拡大撮影から密着撮影に切り替える際の操作者の操作及びマンモグラフィ装置1の動作の一例について、図9を用いて説明する。図9は、第2の実施形態に係る撮影モードの切り替えについて説明するための図である。なお、図9は、目標移動距離の取得を行うことなく撮影モードを切り替える場合を示す。
まず、拡大撮影台及び圧迫板106bを用いて拡大撮影が実行される。次に、操作者は、図9に示すように、拡大撮影用のアダプタ107b及び圧迫板106bを、マンモグラフィ装置1から取り外す。次に、操作者は、密着撮影用のアダプタ107a及び圧迫板106aを、マンモグラフィ装置1に装着する。ここで、アダプタ107aの高さ(厚み)はアダプタ107bと比較して小さいため、図6の場合(密着撮影から拡大撮影に切り替える場合)と異なり、圧迫板保持器105を上端まで移動させなくとも、アダプタ107aと圧迫板保持器105とが干渉したり、アダプタ107aと圧迫板106aとが干渉したりすることはない。
また、図9に示すように、操作者は、被検体における乳房Pの高さと、密着撮影台の載置面の高さとに応じて、密着撮影台の高さを調整するための操作を行う。この操作に応じて、マンモグラフィ装置1は、密着撮影台を上下動させる。次に、乳房Pが密着撮影台の載置面に載置される。そして、操作者は、圧迫板保持器105の高さを調整するための操作を行い、マンモグラフィ装置1は、操作者による操作に基づいて圧迫板保持器105を上下動させ、乳房Pを圧迫する。
上述したように、撮影モードを拡大撮影から密着撮影に切り替えるためには、操作者は、撮影台107や圧迫板保持器105の高さ調整を含む複数の操作を行う必要があり、撮影モードを切り替えるには手間がかかる。そこで、処理回路113は、操作者の操作から撮影モードの切り替えを検知し、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離を取得することで、撮影モードの切り替えを容易にする。以下、この点について、図10を用いて詳細に説明する。図10は、第2の実施形態に係る撮影モードの切り替えについて説明するための図である。
まず、拡大撮影台及び圧迫板106bを用いて拡大撮影が実行される。次に、操作者は、図10に示すように、拡大撮影用のアダプタ107b及び圧迫板106bをマンモグラフィ装置1から取り外し、密着撮影用の圧迫板106aを装着する。ここで、図10に示すように、検知機能113bは、拡大撮影用のアダプタ107b及び圧迫板106bが取り外されたことと、密着撮影用のアダプタ107aが装着されたこととに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する。
図10に示すように、検知機能113bが撮影モードの切り替えを検知した場合、取得機能113cは、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離を取得し、制御機能113aは、取得機能113cが取得した目標移動距離を保持する。また、図10に示すように、入力回路110が備える移動ボタンが操作者により押下されると、制御機能113aは、保持する目標移動距離に基づいて、撮影台107及び圧迫板保持器105を上下動させる。
例えば、取得機能113cは、拡大撮影が行われた際の載置面の高さと、アダプタ107a及びアダプタ107bの寸法とに基づいて、撮影台107の目標移動距離を算出する。一例を挙げると、取得機能113cは、拡大撮影が行われた際の拡大撮影台における載置面の床からの高さと、拡大撮影台を密着撮影台に切り替えた場合における載置面の高さの変化とに基づいて、撮影台107の目標移動距離を取得する。
また、例えば、拡大撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されない場合において、取得機能113cは、アダプタ107a及びアダプタ107bの寸法に基づいて、撮影台107の目標移動距離を算出する。また、例えば、拡大撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されず、かつ、アダプタ107a及びアダプタ107bがそれぞれ1種類しかない場合において、取得機能113cは、撮影台107の目標移動距離を固定値として取得する。また、例えば、拡大撮影が行われてから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に撮影台107が移動されず、かつ、アダプタ107a及びアダプタ107bの少なくとも一方が複数種類ある場合において、取得機能113cは、予め設定された対応情報に基づいて、撮影台107の目標移動距離を取得する。
また、例えば、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際の圧迫面の高さと、圧迫板106a及び圧迫板106bの寸法とに基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離を算出する。一例を挙げると、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した際における圧迫板106bの圧迫面の載置面からの高さと、取り外された拡大撮影用のアダプタの戴置面とこの後装着される密着撮影のためのアダプタの戴置面の高さの差と、圧迫板106bを圧迫板106aに切り替えた場合における圧迫面の高さの変化とに基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する。
また、例えば、アダプタ107a及びアダプタ107bがそれぞれ1種類しかなく、かつ、圧迫板106a及び圧迫板106bがそれぞれ1種類しかない場合において、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離を固定値として取得する。また、例えば、圧迫板106a及び圧迫板106bの少なくとも一方が複数種類ある場合において、取得機能113cは、予め設定された対応情報に基づいて、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する。
図10に示すように、操作者が、入力回路110が備える移動ボタンを押下すると、制御機能113aは、保持する目標移動距離に基づいて、撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。例えば、移動ボタンは一つのボタンであり、制御機能113aは、移動ボタンを押す単一の入力操作に応じて、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる。なお、制御機能113aは、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる際には、操作者や被検体に注意を促すため、撮影台107及び圧迫板保持器105が移動することを通知することとしてもよい。
図10に示すように、目標移動距離に基づき撮影台107及び圧迫板保持器105が移動された後、操作者は、密着撮影用のアダプタ107aを装着し、密着撮影台に切り替える。また、密着撮影台の載置面及び圧迫板106aの圧迫面の間に乳房Pを配置した後、制御機能113aは、圧迫板保持器105を下降させることで乳房Pを圧迫する。また、制御機能113aは、乳房Pを圧迫した状態で、X線管103からX線を照射し、乳房Pを透過したX線をX線検出装置108で検出することで、投影データを収集する。また、制御機能113aは、収集した投影データに基づいて、密着撮影によるマンモグラフィ画像を生成する。そして、制御機能113aは、生成したマンモグラフィ画像をディスプレイ112に表示させる。
なお、取得機能113cが目標移動距離を取得した場合であっても、制御機能113aは、目標移動距離に基づく撮影台107及び圧迫板保持器105の移動を実行しない場合であってもよい。例えば、操作者から、目標移動距離に基づく移動を実行しない旨の入力操作があった場合、制御機能113aは、入力操作に応じて目標移動距離の保持を解除する。そして、制御機能113aは、目標移動距離に基づく移動を実行することなく、操作者による操作に基づいて、撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。
上述したように、第2の実施形態に係るマンモグラフィ装置1は、拡大撮影から密着撮影に撮影モードを切り替える際、撮影台107及び圧迫板保持器105を目標移動距離に基づいて移動させることで、載置面及び圧迫面の高さ調整のための操作者の負担を軽減し、撮影モードの切り替えを容易にすることができる。
(第3の実施形態)
さて、これまで第1〜第2の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、CC方向での撮影を行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、Cアームを傾けて撮影(例えば、MLO撮影)を行う場合であってもよい。
例えば図1に示すY方向から見て、CC方向の撮影は、Cアームを床に対して傾けないで行う撮影である。即ち、CC方向の撮影におけるCアームの傾き角度θは「0°」である。これに対して、MLO方向の撮影は、Y方向から見て、Cアームを床に対して傾けて行う撮影である。以下では、MLO方向の撮影におけるCアームの傾き角度θが「30°」である場合を一例として説明する。また、以下では、密着撮影から拡大撮影への切り替えについて説明する。
例えば、密着撮影から拡大撮影への切り替えを、Cアームの傾き角度θが「30°」であるMLO方向で行う場合に、高さ「10cm」のアダプタ107aから高さ「30cm」のアダプタ107bに切り替えると、載置面の床からの高さ(例えば、載置面の中心点の床からの高さ)は、「(20×cos30°)cm」上昇する。従って、取得機能113cは、撮影台107の目標移動距離として「(20×cos30°)cm」を取得する。そして、制御機能113aは、撮影台107の床からの高さを「(20×cos30°)cm」上昇させることで、密着撮影台の載置面の高さと、拡大撮影台の載置面の高さとを一定にすることができる。
例えば、制御機能113aは、撮影台107の床からの高さを「(20×cos30°)cm」上昇させるため、Cアームを、図1に示すZ方向に「(20×cos30°)cm」移動させる。また、例えば、制御機能113aは、撮影台107の床からの高さを「(20×cos30°)cm」上昇させるため、Cアームにおける撮影台107を、X線管103及びX線絞り器104と接近する方向に「20cm」移動させる。
なお、圧迫板106aを圧迫板106bに切り替える際の圧迫板保持器105の目標移動距離については、載置面からの圧迫面の高さに基づいて算出することができる。即ち、載置面(例えば、密着撮影時における載置面)から圧迫面までの距離を圧迫面の高さとすればCアームの傾きの影響を受けないため、取得機能113cは、CC方向の場合と同様に、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得することができる。
また、上述した実施形態では、撮影モードの切り替えを検知した時点の載置面から圧迫面までの高さを、撮影モード切り替えの前後で維持するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、密着撮影から拡大撮影への切り替えを行う場合に、密着撮影のため圧迫されていた乳房Pを解放した際の載置面から圧迫面までの高さを、拡大撮影への切り替え後に維持する場合であってもよい。即ち、取得機能113cは、密着撮影が終了して乳房Pを解放するために設けられた隙間(載置面から圧迫面までの高さ)を、拡大撮影のための乳房Pの再配置にも適しているものとして、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得する場合であってもよい。
例えば、乳房Pを解放してから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に圧迫板保持器105が移動されていない場合、取得機能113cは、圧迫板106a及び圧迫板106bの寸法から、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得することができる。例えば、圧迫板106aから圧迫板106bに切り替えることによって圧迫面の高さが「8cm」上昇する場合、取得機能113cは、圧迫板保持器105の床からの高さが「8cm」下降するように目標移動距離を取得する。そして、制御機能113aが圧迫板保持器105の床からの高さを「8cm」下降させることで、圧迫板106bの圧迫面の高さが、乳房Pを解放した際の圧迫板106aの圧迫面の高さで維持される。
一方、乳房Pを解放してから撮影モードの切り替えを検知するまでの間に圧迫板保持器105が移動されていた場合、取得機能113cは、密着撮影が終了した後、圧迫板保持器105の上昇が最初に停止した時点(即ち、乳房Pを解放した時点)での圧迫板保持器105の高さを取得する。次に、取得機能113cは、圧迫板保持器105の高さと、圧迫板106aの寸法とから、乳房Pを解放した時点の圧迫面の高さを取得する。そして、取得機能113cは、乳房Pを解放した時点の圧迫面の高さと、撮影モードの切り替えを検知した時点の圧迫板保持器105の高さと、圧迫板106a及び圧迫板106bの寸法とから、圧迫板保持器105の目標移動距離を取得することができる。例えば、乳房Pを解放した時点の圧迫面の高さが床から「125cm」である場合において、撮影モードの切り替えを検知した時点の圧迫板保持器105の高さが床から「140cm」であると、圧迫板106bにおける圧迫面の高さは床から「143cm」となる。従って、取得機能113cは、圧迫板保持器105の目標移動距離として、圧迫板保持器105を「18cm」下降させることを算出する。そして、制御機能113aが圧迫板保持器105を「18cm」下降させることで、圧迫板106bの圧迫面の高さが、乳房Pを解放した際の圧迫板106aの圧迫面の高さ「125cm」で維持される。
更に、アダプタ107aからアダプタ107bに切り替えることによって載置面の高さが「20cm」上昇する場合、取得機能113cは、撮影台107の床からの高さが「20cm」下降するように目標移動距離を取得する。そして、制御機能113aが撮影台107の床からの高さを「20cm」下降させることで、拡大撮影台の載置面の高さが、乳房Pを解放した際の密着撮影台の載置面の高さで維持される。このように、乳房Pを解放した際の載置面及び圧迫面の高さを撮影モード切り替え後にも維持することで、載置面と圧迫面との間に乳房Pを配置するための隙間を設けることができる。更に、乳房Pを圧迫するための圧迫板保持器105の移動距離が小さくなるため、より迅速に拡大撮影に移行することができる。
なお、取得機能113cは、撮影モード切り替え後の載置面から圧迫面までの高さが、乳房Pを解放した際の載置面から圧迫面までの高さより大きくなるようにしてもよい。即ち、乳房Pを解放した際の載置面から圧迫面までの高さでは乳房Pを出すことはできても再度入れることが容易ではないという場合、乳房Pを配置するための余裕を持たせてもよい。例えば、乳房Pを解放した際の載置面から圧迫面までの高さが「15cm」である場合、取得機能113cは、載置面から圧迫面までの高さが、「15cm」に乳房Pを配置するための余裕「10cm」を加えた「25cm」となるように、目標移動距離を取得する。一例を挙げると、乳房Pを解放した際の載置面の床からの高さが「100cm」であり、圧迫面の床からの高さが「115cm」である場合、取得機能113cは、載置面の高さが維持されるように撮影台107の目標移動距離を取得する。更に、取得機能113cは、圧迫板106aから圧迫板106bに切り替えることによって圧迫面の高さが「8cm」上昇する場合、圧迫板保持器105の床からの高さが「2cm」上昇するように目標移動距離を取得する。そして、制御機能113aが、目標移動距離に基づいて撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。これにより、載置面の高さは床から「100cm」となり、圧迫面の高さは床から「125cm」となって、載置面から圧迫面までの高さが「25cm」となる。
また、取得機能113cは、撮影モード切り替え後の載置面から圧迫面までの高さが、設定値となるようにしてもよい。例えば、載置面から圧迫面までの高さの設定値が「25cm」であり、乳房Pを解放した際の載置面の床からの高さが「100cm」であり、圧迫面の床からの高さが「110cm」である場合、取得機能113cは、載置面の高さが維持されるように撮影台107の目標移動距離を取得する。更に、取得機能113cは、圧迫板106aから圧迫板106bに切り替えることによって圧迫面の高さが「8cm」上昇する場合、圧迫板保持器105の床からの高さが「7cm」上昇するように目標移動距離を取得する。そして、制御機能113aが、目標移動距離に基づいて撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させる。これにより、載置面の高さは床から「100cm」となり、圧迫面の高さは床から「125cm」となって、載置面から圧迫面までの高さが設定値「25cm」となる。
また、上述した実施形態では、第1の撮影モードに対応するアダプタ及び圧迫板が取り外され、第2の撮影モードに対応する圧迫板が装着されたことに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、検知機能113bは、第1の撮影モードに対応するアダプタが取り外されたか否かに関わらず、第1の撮影モードに対応する圧迫板から第2の撮影モードに対応する圧迫板に切り替えられたことに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する。また、例えば、検知機能113bは、第1の撮影モードに対応する圧迫板が取り外されたか否かに関わらず、第1の撮影モードに対応する撮影台から第2の撮影モードに対応する撮影台に切り替えられたことに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する。また、例えば、検知機能113bは、第1の撮影モードに対応する圧迫板から第2の撮影モードに対応する圧迫板に切り替えられ、かつ、第1の撮影モードに対応する撮影台から第2の撮影モードに対応する撮影台に切り替えられたことに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する。
また、上述した実施形態では、アダプタ107aとアダプタ107bとが付け替えられることにより、第1の撮影モードに対応する撮影台から第2の撮影モードに対応する撮影台に切り替えられる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、アダプタを追加することで、密着撮影に対応する撮影台が拡大撮影に対応する撮影台に切り替えられ、アダプタを取り外すことで、拡大撮影に対応する撮影台が密着撮影に対応する撮影台に切り替えられる場合であってもよい。この場合も、検知機能113bは、第1の撮影モードに対応する撮影台から第2の撮影モードに対応する撮影台に切り替えられたこと、及び、第1の撮影モードに対応する圧迫板から第2の撮影モードに対応する圧迫板に切り替えられたことの少なくとも一つに基づいて、撮影モードの切り替えを検知することができる。
また、上述した実施形態では、第1の撮影モードに対応する撮影台から第2の撮影モードに対応する撮影台に切り替えられたこと、及び、第1の撮影モードに対応する圧迫板から第2の撮影モードに対応する圧迫板に切り替えられたことの少なくとも一つに基づいて、撮影モードの切り替えを検知する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、検知機能113bは、入力回路110が備えるスイッチやマウス等を介した操作者による操作に基づいて、撮影モードの切り替えを検知する場合であってもよい。
また、上述した実施形態では、取得機能113cが取得した目標移動距離に基づいて、制御機能113aが撮影台107及び圧迫板保持器105を移動させると、撮影モード切り替えの前後で、載置面及び圧迫面の高さが一定となる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、取得機能113cが取得する目標移動距離は、撮影モード切り替えの前後で、載置面及び圧迫面の高さを一定とするものであってもよいし、載置面及び圧迫面の高さをできる限り一定とするものであってもよい。
例えば、密着撮影台から拡大撮影台に切り替え、載置面の高さを一定とするためには、撮影台107を下降させる必要があるが、ここで載置面の高さを一定にできない場合が想定される。例えば、載置面の高さを一定とするために撮影台107を「20cm」下降させる必要があるのに対し、撮影台107の可動範囲では撮影台107を「10cm」しか下降させられない場合である。この場合、取得機能113cは、載置面の高さができる限り一定になるように、撮影台107の目標移動距離として「10cm」を取得する。
また、上述した実施形態では、移動ボタンを押す等の単一の入力操作に応じて、撮影台107及び圧迫板保持器105を同時に移動させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、撮影台移動ボタンと圧迫板保持器移動ボタンとがそれぞれ設けられる場合であってもよい。この場合、制御機能113aは、撮影台移動ボタンが押下されたことに応じて、撮影台107の目標移動距離に基づいて撮影台107を移動させる。また、制御機能113aは、圧迫板保持器移動ボタンが押下されたことに応じて、圧迫板保持器105の目標移動距離に基づいて圧迫板保持器105を移動させる。
また、上述した実施形態では、撮影台107の目標移動距離及び圧迫板保持器105の目標移動距離の双方を取得する場合について説明したが、圧迫板保持器105の目標移動距離の取得については行わない場合であってもよい。例えば、密着撮影から拡大撮影への切り替えの際、撮影台107については目標移動距離を取得し、目標移動距離に基づいて、密着撮影台の載置面の高さと拡大撮影台の載置面の高さとが一定になるように、撮影台107を移動させる。これにより、拡大撮影台の載置面の高さを、乳房Pを載置するのに適した高さとすることができる。一方で、圧迫板保持器105については単に上端まで移動させる。これにより、圧迫板106bを取り付ける際にアダプタ107bと干渉することを回避するとともに、拡大撮影台の載置面と圧迫板106bの圧迫面との間に乳房Pを配置する隙間を設けることができる。
また、上述した実施形態では、目標位置の情報の一例として、撮影台107及び圧迫板保持器105の目標移動距離について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、取得機能113cは、目標位置の情報として、撮影モード切り替え後の撮影台107及び圧迫板保持器105の位置を取得する場合であってもよい。以下、この点について、密着撮影から拡大撮影への切り替えを例として説明する。
まず、取得機能113cは、密着撮影が行われた時点における密着撮影台の載置面の高さ及び位置(例えば、アダプタ107aの取付け部の位置)を取得する。また、取得機能113cは、密着撮影台を拡大撮影台に切り替えた場合における載置面の高さの変化を取得する。そして、取得機能113cは、密着撮影台の載置面の高さと拡大撮影台の載置面の高さとが一定になるように、拡大撮影台の位置(例えば、アダプタ107bの取付け部の位置)を取得する。例えば、取得機能113cは、拡大撮影台の位置として、拡大撮影台の床からの高さを示す座標を取得する。
また、取得機能113cは、撮影モードの切り替えを検知した時点における圧迫面の戴置面からの高さ、及び、圧迫板保持器105の位置(例えば、圧迫板保持器105において図5の取付け部が差し込まれる位置)を取得する。また、取得機能113cは、圧迫板106aを圧迫板106bに切り替えた場合における圧迫面の高さの変化を取得する。そして、取得機能113cは、圧迫板106aの圧迫面の高さと圧迫板106bの圧迫面の高さとが一定になるように、圧迫板保持器105の位置を取得する。例えば、取得機能113cは、撮影モード切り替え後の圧迫板保持器105の位置として、圧迫板保持器105の載置面からの高さを示す座標を取得する。
次に、制御機能113aは、取得機能113cが取得した撮影台107及び圧迫板保持器105の位置に基づいて、撮影台107及び圧迫板保持器105の移動を開始する。ここで、制御機能113aは、撮影台107及び圧迫板保持器105の位置を検知する。例えば、制御機能113aは、センサ(例えば、光学センサや超音波センサ、接触式センサなど)により、撮影台107及び圧迫板保持器105の位置を検知する。そして、制御機能113aは、取得機能113cが取得した位置において停止するように、撮影台107及び圧迫板保持器105の移動を制御する。
第1〜第3の実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、第1〜第3の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、撮影モードを容易に切り替えることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。